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目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 3
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度[(COOK)2・H2O] ··································································································· 4
6.3 水溶状 ························································································································· 4
6.4 酸性塩(KHC2O4)又は塩基(K2CO3として) ···································································· 5
6.5 塩化物(Cl) ················································································································ 6
6.6 硝酸塩 ························································································································· 7
6.7 りん酸塩(PO4) ··········································································································· 7
6.8 硫酸塩(SO4) ·············································································································· 8
6.9 ナトリウム(Na) ·········································································································· 9
6.10 銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe) ··················································································· 10
6.11 マグネシウム(Mg)及びカルシウム(Ca) ····································································· 12
6.12 アンモニウム(NH4) ·································································································· 13
6.13 硫酸着色物質 ·············································································································· 15
7 容器······························································································································ 16
8 表示······························································································································ 16
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まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人
日本試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を
改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本産業規格で
ある。これによって,JIS K 8522:2016は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,令和2年9月22日までの間は,産業標準化法第30条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 8522:2016を適用してもよい。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
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しゅう酸カリウム一水和物(試薬)
Potassium oxalate monohydrate (Reagent)
(COOK)2・H2O FW:184.23
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いるしゅう酸カリウム一水和物について規定する。
警告1 しゅう酸カリウム一水和物は,有害なので,吸い込みに注意し,目,皮膚及び衣類に触れな
いように注意する。また,可燃性でもあり,有害ガスを発生するので,火気に注意する。
警告2 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とす
る。この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするもので
はない。この規格の利用者は,安全データシート(SDS)などを参考にして各自の責任にお
いて安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0117 赤外分光分析通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8034 アセトン(試薬)
JIS K 8051 3-メチル-1-ブタノール(試薬)
JIS K 8085 アンモニア水(試薬)
JIS K 8092 インジゴカルミン(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)
JIS K 8129 塩化コバルト(II)六水和物(試薬)
JIS K 8136 塩化すず(II)二水和物(試薬)
JIS K 8142 塩化鉄(III)六水和物(試薬)
JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
2
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JIS K 8230 過酸化水素(試薬)
JIS K 8247 過マンガン酸カリウム(試薬)
JIS K 8284 くえん酸水素二アンモニウム(試薬)
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8377 酢酸ブチル(試薬)
JIS K 8454 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(試薬)
JIS K 8519 しゅう酸二水和物(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)
JIS K 8798 フェノール(試薬)
JIS K 8799 フェノールフタレイン(試薬)
JIS K 8810 1-ブタノール(試薬)
JIS K 8905 モリブデン(VI)酸アンモニウム四水和物(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬)
JIS R 3505 ガラス製体積計
JIS Z 8802 pH測定方法
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
しゅう酸カリウム一水和物は,無色から白色の,結晶又は結晶性粉末で,水にやや溶けやすく,エタノ
ール(99.5)に溶けにくい。
4.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料1 gに水20 mLを加えて溶かす(A液)。A液10 mLに塩化カルシウム溶液(100 g/L)1 mLを加
えると,白い沈殿が生じる。
b) 炎色試験は,直径約0.8 mmの白金線の先端から約30 mmまでを塩酸(1+1)に浸し,炎の長さ約120
mm,内炎の長さ約30 mm程度としたガスバーナーの無色炎中に,内炎の最上部から約10 mmの位置
に水平に入れた後,放冷する。この操作を炎に色が現れなくなるまで繰り返す。次に,白金線の先端
約5 mmを,A液に浸したものをガスバーナーの無色炎中に入れて,コバルトガラスで透かして見る
と,紫が現れる。
c) 試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数3 275 cm-1,1 596 cm-1,1 407 cm-1,
3
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1 311 cm-1及び773 cm-1付近に主な吸収ピークを認める。この場合,試料調製は,JIS K 0117の5.2 b)
(錠剤法)による。錠剤の調製に臭化カリウムを用いたときの赤外吸収スペクトルの例を図1に示す。
[出典:国立研究開発法人産業技術総合研究所の有機化合物のスペクトルデータベース(SDBS)(チャート上にピー
クの波数を追記)]
図1−赤外吸収スペクトルの例
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度[(COOK)2・H2O]
質量分率 %
99.0以上
6.2
水溶状
−
試験適合
6.3
酸性塩(KHC2O4)
質量分率 %
0.05以下
6.4
塩基(K2CO3として)
質量分率 %
0.05以下
6.4
塩化物(Cl)
質量分率 %
0.001以下
6.5
硝酸塩
−
試験適合
6.6
りん酸塩(PO4)
質量分率 ppm
5以下
6.7
硫酸塩(SO4)
質量分率 %
0.005以下
6.8
ナトリウム(Na)
質量分率 %
0.02以下
6.9
銅(Cu)
質量分率 ppm
2以下
6.10
マグネシウム(Mg)
質量分率 %
0.001以下
6.11
カルシウム(Ca)
質量分率 %
0.001以下
6.11
鉛(Pb)
質量分率 ppm
3以下
6.10
鉄(Fe)
質量分率 %
0.001以下
6.10
アンモニウム(NH4)
質量分率 %
0.001以下
6.12
硫酸着色物質
−
試験適合
6.13
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
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6.2
純度[(COOK)2・H2O]
純度[(COOK)2・H2O]の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) 硫酸(1+1) 水の体積1を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々に
加えたもの。
2) 0.02 mol/L 過マンガン酸カリウム溶液(KMnO4:3.161 g/L) JIS K 8247に規定する過マンガン酸
カリウムを用い,JIS K 8001のJA.6.4 g)[0.02 mol/L過マンガン酸カリウム溶液(KMnO4:3.161 g/L)]
に従って,調製,標定及び計算したもの。
b) 装置 主な装置は,次による。
・ 自動滴定装置 電位差滴定の機能をもち,最小吐出量が0.01 mL以下のもの。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料0.25 gをコニカルビーカー500 mLなどに0.1 mgの桁まではかりとり,水200 mL及び硫酸(1
+1)20 mLを加えて溶かし,液温を約70 ℃にする。
なお,滴定における終点の液の温度は,60 ℃以下にならないことが望ましい。
2) 次のいずれかの方法で,滴定する。
2.1) 穏やかにかき混ぜながら0.02 mol/L 過マンガン酸カリウム溶液で滴定する。終点は,液の色が僅
かな紅色となった点とする。終点直前では,前に加えた液の色が消えてから少量ずつ加える。
2.2) JIS K 0113の5.(電位差滴定方法)によって,指示電極に白金電極を,参照電極に銀−塩化銀電
極若しくはガラス電極を用いるか,又はそれらの複合電極を用いて,0.02 mol/L 過マンガン酸カ
リウム溶液で滴定する。終点は,変曲点とする。
3) 別に,水200 mLに硫酸(1+1)20 mLを加えたものについて空試験を行い,滴定量を補正する。
d) 計算 純度[(COOK)2・H2O]は,次の式によって算出する。
(
)
100
212
009
.0
1
1
2
1
×
×
−
×
=
m
f
V
V
B
ここに,
B: 純度[(COOK)2・H2O](質量分率 %)
V1: 試料溶液の滴定に要した0.02 mol/L 過マンガン酸カリ
ウム溶液の体積(mL)
V2: 空試験に要した0.02 mol/L 過マンガン酸カリウム溶液
の体積(mL)
f1: 0.02 mol/L 過マンガン酸カリウム溶液のファクター
m1: はかりとった試料の質量(g)
0.009 212: 0.02 mol/L 過マンガン酸カリウム溶液1 mLに相当する
(COOK)2・H2Oの質量を示す換算係数(g/mL)
6.3
水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合したもの。
2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,更に水
を加えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“澄明”を用いる。
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塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.2 mLを共通すり合わせ平底試験管[c) 参照]にとり,水10 mL,
硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,更に水を加えて20 mLとし,振り混ぜて
から15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせ平底試験管 容量50 mL,直径約24 mmで目盛のあるもの。
d) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水20 mLを加えて溶か
す。
2) 試料を溶かした直後に,試料溶液の濁りの程度をb) と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物
の有無を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。
e) 判定 試料溶液の濁りが,b) の濁りより濃くなく,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めないとき,
“水溶状:試験適合(規格値)”とする。
6.4
酸性塩(KHC2O4)又は塩基(K2CO3として)
酸性塩(KHC2O4)又は塩基(K2CO3として)の試験方法は,次による。
a) ガス及び試験用溶液類 ガス及び試験用溶液類は,次による。
1) 窒素 純度がJIS K 1107に規定する2級以上のもの。
2) しゅう酸溶液(0.01 mol/L) JIS K 8519に規定するしゅう酸二水和物1.3 gを全量フラスコ1 000 mL
にはかりとり,水を加えて溶かし,更に水を標線まで加えて混合したもの。気密容器に入れて保存
する。
3) 二酸化炭素を除いた水 JIS K 8001の5.8 c)(二酸化炭素を除いた水)による。
4) フェノールフタレイン溶液 JIS K 8799に規定するフェノールフタレイン1.0 gをはかりとり,JIS
K 8102に規定するエタノール(95)90 mLを加えて溶かし,水を加えて100 mLにしたもの。
5) 0.02 mol/L 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:0.799 9 g/L) 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液10 mLを
全量フラスコ500 mLに正確にとり,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合したもの。ポリ
エチレンなどの樹脂製気密容器に保存し,使用時に調製する。
なお,1 mol/L水酸化ナトリウム溶液は,JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウムを用い,JIS K
8001のJA.6.4 r) 1)(1 mol/L水酸化ナトリウム溶液)に従って,調製,標定及び計算したもの。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) メスピペット JIS R 3505に規定する呼び容量0.1 mL〜0.5 mLのもの。
2) pH計 JIS Z 8802に規定する形式II以上の性能のもの。
c) 操作 操作は,次による。
1) 使用する三角フラスコ500 mLに,二酸化炭素を除いた水300 mLを入れ,窒素を通じながら200 mL
まで加熱濃縮し,フェノールフタレイン溶液を2滴添加しても紅色にならないことを,試験前に確
認する。
2) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを三角フラスコ500 mLに0.1 mgの桁まではかりとり,二酸化炭素を
除いた水150 mLを加えて溶かす。
3) しゅう酸溶液(0.01 mol/L)5.0 mLを正確に加え,窒素を通じながら液量が約100 mLとなるまで約
10分間加熱濃縮する。
4) 窒素を通じながら約25 ℃まで冷却し,そのまま窒素を通じながら0.02 mol/L 水酸化ナトリウム溶
液で,pH計を用いてpH 8.2までメスピペットで滴定する(所要量V3 mL)。
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5) 空試験溶液の調製は,二酸化炭素を除いた水150 mLにしゅう酸溶液(0.01 mol/L)5.0 mLを正確に
加え,窒素を通じながら液量が約100 mLとなるまで約10分間煮沸する。以下,4) と同一操作によ
って滴定する(所要量V4 mL)。
6) 測定結果は,試料溶液の滴定量V3 mLと空試験溶液の滴定量V4 mLとの差(V3−V4)の符号を比較
する。
d) 計算 酸性塩(KHC2O4)の含有率(質量分率 %)は,次の1) によって,塩基(K2CO3として)の含
有率(質量分率 %)は,次の2) によって算出する。
1) 酸性塩(KHC2O4)の含有率(質量分率 %)は,(V3−V4)の符号が正の数の場合で,次の式による。
(
)
100
5
562
002
.0
2
2
4
3
×
×
−
×
=
m
f
V
V
C
ここに,
C: 酸性塩(KHC2O4)(質量分率 %)
V3: 試料溶液の滴定に要した0.02 mol/L 水酸化ナトリウム
溶液の体積(mL)
V4: 空試験溶液の滴定に要した0.02 mol/L 水酸化ナトリウ
ム溶液の体積(mL)
f2: 0.02 mol/L 水酸化ナトリウム溶液のファクター
m2: はかりとった試料の質量(g)
0.002 562 5: 0.02 mol/L 水酸化ナトリウム溶液1 mLに相当する
KHC2O4の質量を示す換算係数(g/mL)
2) 塩基(K2CO3として)の含有率(質量分率 %)は,(V3−V4)の符号が負の数の場合で,次の式に
よる。
(
)
100
1
382
001
.0
2
2
3
4
×
×
−
×
=
m
f
V
V
D
ここに,
D: 塩基(K2CO3)(質量分率 %)
V3: 試料溶液の滴定に要した0.02 mol/L 水酸化ナトリウム
溶液の体積(mL)
V4: 空試験溶液の滴定に要した0.02 mol/L 水酸化ナトリウ
ム溶液の体積(mL)
f2: 0.02 mol/L 水酸化ナトリウム溶液のファクター
m2: はかりとった試料の質量(g)
0.001 382 1: 0.02 mol/L 水酸化ナトリウム溶液1 mLに相当する
K2CO3の質量を示す換算係数(g/mL)
6.5
塩化物(Cl)
塩化物(Cl)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1) による。
2) 硝酸銀溶液(20 g/L) 6.3 a) 2) による。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 6.3 a) 3) による。
b) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,硝酸(1+2)10 mLを加
えて溶かし,更に水を加えて20 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,共通すり合わせ平底試験管に塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)1.0 mLをとり,
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硝酸(1+2)10 mLを加え,更に水を加えて20 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加えて振り混ぜた後,15分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 試料溶液から得られた液の濁りが,比較溶液から得られた液の白濁より濃くないとき,“塩化物
(Cl):質量分率0.001 %以下(規格値)”とする。
6.6
硝酸塩
硝酸塩の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。
2) インジゴカルミン溶液(1.8 g/L) JIS K 8092に規定するインジゴカルミン(質量分率100 %として
の相当量)0.18 gをはかりとり,塩酸(2+1)15 mL及び水を加えて100 mLにしたもの。褐色ガラ
ス製瓶に保存し,30日以内に使用する。
3) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合したもの。
b) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし,更に
水を加えて10 mLにする。
2) 試料溶液にインジゴカルミン溶液(1.8 g/L)0.05 mLを加え,硫酸10 mLを振り混ぜながら徐々に
加え,10分間放置する。
3) 白の背景を用いて,試料溶液から得られた液を,共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観
察する。
d) 判定 試料溶液から得られた液の色が,青を保つとき,“硝酸塩:試験適合(規格値)”とする。
6.7
りん酸塩(PO4)
りん酸塩(PO4)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) 過酸化水素 JIS K 8230に規定するもの。
2) 塩化すず(II)溶液(りん酸定量用) JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物40 gをはかり
とり,JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)60 mLを加えて溶かして混合し,その1 mLをとり,
硫酸(1+30)を加えて250 mLにしたもの。使用時に調製する。
なお,硫酸(1+30)の調製は,水の体積30を冷却し,かき混ぜながら,JIS K 8951に規定する
硫酸の体積1を徐々に加える。
3) 塩酸(2+1) 6.6 a) 3) による。
4) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1) による。
5) モリブデン酸アンモニウム溶液(りん酸定量用) モリブデン酸アンモニウム溶液(りん酸定量用)
の調製は,次による。
5.1) JIS K 8905に規定するモリブデン(VI)酸アンモニウム四水和物10.6 gをはかりとり,水70 mL
及びアンモニア水(質量分率28.0 %〜30.0 %)7 mLを加えて溶かし,更に水を加えて100 mLに
する。これをろ過後,ろ液に水を加えて200 mLにし,硫酸(1+5)10 mLを加える。
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5.2) モリブデン酸アンモニウム溶液(りん酸定量用)の洗浄は,これを分液漏斗に移し,JIS K 8810
に規定する1-ブタノール30 mLを加え,1分〜2分間激しく振り混ぜる。放置後,上層(1-ブタノ
ール相)と下層(水相)とを分離し,下層(水相)をポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。
5.3) 洗浄の確認試験は,洗浄操作で分離した上層(1-ブタノール相)を硫酸(1+5)15 mLで洗い,下
層(硫酸相)を除去する操作を2回行った後,上層(1-ブタノール相)に塩化すず(II)溶液(り
ん酸定量用)15 mLを加えて30秒間振り混ぜて放置し,上層(1-ブタノール相)に青が現れない
ことを確認する。
なお,確認試験で上層(1-ブタノール相)に青が現れた場合は,保存した下層(水相)の洗浄
及び確認試験を繰り返す。ポリエチレン製瓶などに保存する。
6) 硫酸(1+5) 水の体積5を冷却し,かき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々に
加えたもの。
7) りん酸塩標準液(PO4:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
2) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
c) 操作 操作は,次による。
なお,有害な硝酸の蒸気が発生するので,排気に注意して行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gをビーカー300 mLなどにはかりとり,硝酸(1+2)6 mL及び過酸化
水素4 mLを加え,時計皿で蓋をする。沸騰水浴上で加熱し,反応が終了した後に時計皿をとり,
沸騰水浴上で加熱して蒸発乾固する。再び,硝酸(1+2)3 mL及び過酸化水素2 mLを加えて,沸
騰水浴上で加熱して蒸発乾固する。塩酸(2+1)5 mLを加えて,沸騰水浴上で加熱して蒸発乾固す
る操作を2回行う。残分を少量の水で溶かし,共通すり合わせ平底試験管に移し,更に水を加えて
20 mLとする。
2) 比較溶液の調製は,りん酸塩標準液(PO4:0.01 mg/mL)1.0 mLをビーカー300 mLなどにとり,硝
酸(1+2)9 mL及び過酸化水素6 mLを加え,時計皿で蓋をする。沸騰水浴上で加熱し,反応が終
了した後に時計皿をとり,沸騰水浴上で加熱して蒸発乾固する。これに塩酸(2+1)10 mLを加え
た後,沸騰水浴上で加熱して蒸発乾固する。残分を少量の水で溶かし,共通すり合わせ平底試験管
に移し,更に水を加えて20 mLとする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,硫酸(1+5)2.5 mL及びモリブデン酸アンモニウム溶液(りん酸定量用)
1 mLを加えて振り混ぜ,3分間放置する。これに塩化すず(II)溶液(りん酸定量用)1 mLを加え
振り混ぜ,10分間放置する。
4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,色を比較する。
d) 判定 試料溶液から得られた液の色が,比較溶液から得られた液の青より濃くないとき,“りん酸塩
(PO4):質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。
6.8
硫酸塩(SO4)
硫酸塩(SO4)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) 過酸化水素 6.7 a) 1) による。
9
K 8522:2020
3) 塩化バリウム溶液(100 g/L) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gをはかりとり,
水を加えて溶かし,更に水を加えて100 mLにしたもの。
4) 塩酸(2+1) 6.6 a) 3) による。
5) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1) による。
6) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
2) 水浴 6.7 b) 2) による。
c) 操作 操作は,次による。
なお,有害な硝酸の蒸気が発生するので,排気に注意して行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gをビーカー300 mLなどにはかりとり,硝酸(1+2)3 mL及び過酸化
水素2 mLを加え,時計皿で蓋をする。沸騰水浴上で加熱し,反応が終了した後に時計皿をとり,
沸騰水浴上で加熱して蒸発乾固する。再び,硝酸(1+2)3 mL及び過酸化水素2 mLを加えて,沸
騰水浴上で蒸発乾固する。さらに,塩酸(2+1)5 mLを加えて,沸騰水浴上で加熱して蒸発乾固す
る操作を2回行う。残分を水で溶かし,共通すり合わせ平底試験管に移し,塩酸(2+1)0.3 mL及
び水を加えて25 mLとする。
2) 比較溶液の調製は,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)5.0 mLをビーカー300 mLなどにとり,硝酸
(1+2)6 mL及び過酸化水素4 mLを加え,時計皿で蓋をする。沸騰水浴上で加熱し,反応が終了
した後に時計皿をとり,沸騰水浴上で蒸発乾固する。さらに,塩酸(2+1)5 mLを加えて沸騰水浴
上で加熱して蒸発乾固する操作を2回行う。残分を水で溶かし,共通すり合わせ平底試験管に移し,
塩酸(2+1)0.3 mL及び水を加えて25 mLとする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,エタノール(95)3 mL及び塩化バリウム溶液(100 g/L)2 mLを加えて
振り混ぜた後,1時間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 試料溶液から得られた液の濁りが,比較溶液から得られた液の白濁より濃くないとき,“硫酸塩
(SO4):質量分率0.005 %以下(規格値)”とする。
6.9
ナトリウム(Na)
ナトリウム(Na)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
・ ナトリウム標準液(Na:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 装置 主な装置は,次による。
・ フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。
c) ナトリウム(Na)の測定波長 ナトリウム(Na)の測定波長の例を表2に示す。
表2−ナトリウム(Na)の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
ナトリウム(Na)
589.0
d) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料0.5 gをポリエチレンなどの樹脂製の全量フラスコ100 mLにはかりとり,
10
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水を加えて溶かし,更に水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,試料0.5 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,ナトリウム標準液(Na:0.01
mg/mL)10 mLを加え,水を加えて溶かし,更に水を標線まで加えて混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表2に示す測
定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれアセチレン−空気フレ
ーム中に噴霧し,ナトリウム(Na)の吸光度を測定し,X液の指示値及びY液の指示値を読み取る。
4) 測定結果は,X液の指示値をY液の指示値からX液の指示値を引いた値と比較する。
e) 判定 X液の指示値が,Y液の指示値からX液の指示値を引いた値より大きくないとき,“ナトリウ
ム(Na):質量分率0.02 %以下(規格値)”とする。
注記 ナトリウムの含有率(質量分率 %)は,次の式によって,おおよその値を求めることができ
る。
100
000
1
3
1
2
1
×
×
−
×
=m
n
n
n
F
E
ここに,
E: ナトリウム(Na)の含有率(質量分率 %)
F: 用いた標準液中のナトリウム(Na)の質量(mg)
m3: はかりとった試料の質量(g)
n1: X液の指示値
n2: Y液の指示値
6.10 銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)
銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) 過酸化水素 6.7 a) 1) による。
2) 酢酸ブチル JIS K 8377に規定するもの。
3) アンモニア水(2+3) JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0 %〜30.0 %)の体積2と
水の体積3とを混合したもの。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。
4) 塩酸(2+1) 6.6 a) 3) による。
5) くえん酸水素二アンモニウム溶液(100 g/L) JIS K 8284に規定するくえん酸水素二アンモニウム
10 gをはかりとり,水を加えて溶かし,更に水を加えて100 mLにしたもの。
6) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム溶液(10 g/L)[NaDDTC溶液(10 g/L)] JIS K 8454
に規定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物1.3 gをはかりとり,水を加えて
溶かし,更に水を加えて100 mLにしたもの。使用時に調製する。
7) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1) による。
8) 銅標準液(Cu:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
9) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
10) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 装置 主な装置は,次による。
1) 水浴 6.7 b) 2) による。
2) フレーム原子吸光分析装置 6.9 b) による。
3) pH計 6.4 b) 2) による。
c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表3に示す。
11
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表3−分析種の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
銅(Cu)
324.8
鉛(Pb)
283.3
鉄(Fe)
248.3
d) 操作 操作は,次による。
なお,有害な硝酸の蒸気が発生するので,排気に注意して行う。
1) 試料溶液の調製は,試料5 gをビーカー300 mLなどにはかりとり,硝酸(1+2)15 mL及び過酸化
水素10 mLを加え,時計皿で蓋をし,沸騰水浴上で加熱する。反応終了後に時計皿をとり,沸騰水
浴上で蒸発乾固する。硝酸(1+2)3 mL及び過酸化水素2 mLを加え,再び沸騰水浴上で加熱する。
塩酸(2+1)10 mLを加え,更に沸騰水浴上で蒸発乾固した後,塩酸(2+1)1 mL及び水を加えて
80 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,試料5 gをビーカー300 mLなどにはかりとり,銅標準液(Cu:0.01 mg/mL)1.0
mL,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)1.5 mL,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)5.0 mL,硝酸(1+2)15 mL
及び過酸化水素10 mLを加え,時計皿で蓋をし,沸騰水浴上で加熱する。反応終了後に時計皿をと
り,沸騰水浴上で蒸発乾固する。硝酸(1+2)3 mL及び過酸化水素2 mLを加え,再び沸騰水浴上
で加熱する。塩酸(2+1)10 mLを加え,更に沸騰水浴上で蒸発乾固した後,塩酸(2+1)1 mL及
び水を加えて80 mLにする。
3) 空試験溶液の調製は,ビーカー300 mLなどに,硝酸(1+2)18 mL及び過酸化水素12 mLを加え,
時計皿で蓋をし,沸騰水浴上で加熱する。反応終了後に時計皿をとり,沸騰水浴上で蒸発乾固する。
塩酸(2+1)10 mLを加え,再び沸騰水浴上で蒸発乾固した後,塩酸(2+1)1 mL及び少量の水を
加え5 mLにする。
4) 試料溶液及び比較溶液に,くえん酸水素二アンモニウム溶液(100 g/L)2 mLを加え,pH計を用い
て,塩酸(2+1)又はアンモニア水(2+3)でpH 5.5に調節し,更にNaDDTC溶液(10 g/L)5 mL
を直ちに加え,水を加えて100 mLにする。
5) これらの溶液それぞれを分液漏斗200 mLに入れ,酢酸ブチル20 mLを加えた後,1分間激しく振り
混ぜ,二層に分かれるまで放置する。この上層(酢酸ブチル相)を分取する。試料溶液からの酢酸
ブチル相をX液とし,下層(水相)は保存する。比較溶液からの酢酸ブチル相をY液とし,下層(水
相)は捨てる。
6) 保存していた試料溶液からの水相を分液漏斗200 mLにとり,酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激
しく振り混ぜ,二層に分かれるまで放置して下層(水相)を分取する。この場合の上層(酢酸ブチ
ル相)は捨てる。再び,水相に酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激しく振り混ぜ,二層に分かれる
まで放置して下層(水相)を分取し,上層(酢酸ブチル相)は捨てる。ここで得た水相に3)の空試
験溶液を加え,pH計を用いて,塩酸(2+1)又はアンモニア水(2+3)でpH 5.5に調節する。さ
らに,NaDDTC溶液(10 g/L)5 mLを直ちに加え,酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激しく振り混
ぜ,二層に分かれるまで放置し,上層(酢酸ブチル相)を分取してZ液とする。
7) フレーム原子吸光分析装置は,あらかじめ酢酸ブチルを噴霧してアセチレン−空気フレームの状態
を最適にしておき,Y液をフレーム中に噴霧し,表3に示す測定波長付近で吸光度が最大となる波
長を設定する。X液,Y液及びZ液をそれぞれアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,分析種の吸
光度を測定し,X液の指示値,Y液の指示値及びZ液の指示値を読み取る。
12
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8) 測定結果は,X液の指示値からZ液の指示値を引いた値と,Y液の指示値からX液の指示値を引い
た値とを比較する。
e) 判定 X液の指示値からZ液の指示値を引いた値が,Y液の指示値からX液の指示値を引いた値より
大きくないとき,“銅(Cu):質量分率2 ppm以下(規格値),鉛(Pb):質量分率3 ppm以下(規格値),
鉄(Fe):質量分率0.001 %以下(規格値)”とする。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,次の式によって,おおよその値を求めることができる。
なお,含有率(質量分率 %)に104を乗じると,含有率(質量分率 ppm)に変換される。
100
000
1
4
3
4
5
3
×
×
−
−
×
=m
n
n
n
n
H
G
ここに,
G: 分析種の含有率(質量分率 %)
H: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m4: はかりとった試料の質量(g)
n3: X液の指示値
n4: Y液の指示値
n5: Z液の指示値
6.11 マグネシウム(Mg)及びカルシウム(Ca)
マグネシウム(Mg)及びカルシウム(Ca)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) 過酸化水素 6.7 a) 1) による。
2) 塩酸(2+1) 6.6 a) 3) による。
3) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1) による。
4) マグネシウム標準液(Mg:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
5) カルシウム標準液(Ca:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 装置 主な装置は,次による。
1) 水浴 6.7 b) 2) による。
2) pH計 6.4 b) 2) による。
3) フレーム原子吸光分析装置 6.9 b) による。
c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表4に示す。
表4−分析種の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
マグネシウム(Mg)
285.2
カルシウム(Ca)
422.7
d) 操作 操作は,次による。
なお,有害な硝酸の蒸気が発生するので,排気に注意して行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gをビーカー300 mLなどにはかりとり,水10 mL,硝酸(1+2)6 mL
及び過酸化水素4 mLを加え,時計皿で蓋をし,沸騰水浴上で加熱する。反応終了後に時計皿をと
り,沸騰水浴上で蒸発乾固する。硝酸(1+2)3 mL及び過酸化水素2 mLを加え,再び沸騰水浴上
で加熱する。塩酸(2+1)5 mLを加え,更に沸騰水浴上で蒸発乾固した後,塩酸(2+1)1 mL及
び少量の水を加えて溶かし,液を全量フラスコ50 mLに移し,更に水を標線まで加えて混合する(X
13
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液)。
2) 比較溶液の調製は,試料2.0 gをビーカー300 mLなどにはかりとり,水10 mL,マグネシウム標準
液(Mg:0.01 mg/mL)2.0 mL,カルシウム標準液(Ca:0.01 mg/mL)2.0 mL,硝酸(1+2)6 mL
及び過酸化水素4 mLを加え,時計皿で蓋をし,沸騰水浴上で加熱する。反応終了後に時計皿をと
り,沸騰水浴上で蒸発乾固する。硝酸(1+2)3 mL及び過酸化水素2 mLを加え,再び沸騰水浴上
で加熱する。塩酸(2+1)5 mLを加え,更に沸騰水浴上で蒸発乾固した後,塩酸(2+1)1 mL及
び少量の水を加えて溶かし,液を全量フラスコ50 mLに移し,更に水を標線まで加えて混合する(Y
液)。
3) 空試験溶液の調製は,ビーカー300 mLなどに,硝酸(1+2)9 mL及び過酸化水素6 mLを加え,時
計皿で蓋をし,沸騰水浴上で加熱する。反応終了後に時計皿をとり,沸騰水浴上で蒸発乾固する。
塩酸(2+1)5 mLを加え,再び沸騰水浴上で蒸発乾固した後,塩酸(2+1)1 mL及び少量の水を
加えて溶かし,液を全量フラスコ50 mLに移し,更に水を標線まで加えて混合する(Z液)。
4) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表4に示す測
定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液,Y液及びZ液をそれぞれアセチレン−空
気フレーム中に噴霧し,分析種の吸光度を測定し,X液の指示値,Y液の指示値及びZ液の指示値
を読み取る。
5) 測定結果は,X液の指示値からZ液の指示値を引いた値と,Y液の指示値からX液の指示値を引い
た値とを比較する。
e) 判定 X液の指示値からZ液の指示値を引いた値が,Y液の指示値からX液の指示値を引いた値より
大きくないとき,“マグネシウム(Mg):質量分率0.001 %以下(規格値),カルシウム(Ca):質量分
率0.001 %以下(規格値)”とする。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,6.10 e) の注記に準じて求めることができる。
6.12 アンモニウム(NH4)
アンモニウム(NH4)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(インドフェノール青法用)[EDTA2Na溶液(イ
ンドフェノール青法用)] JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム1 gをはかりとり,水60 mLを
加えて溶かす。これにJIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物
5 gを加えて溶かし,更に水を加えて100 mLにしたもの。
2) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質
量分率5 %〜12 %)の有効塩素を使用時に定量し,有効塩素が質量分率約1 %になるように水でう
すめたもの。冷暗所に保存し,30日以内に使用する。
なお,有効塩素の定量は,次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5 %〜12 %)10 gを
0.1 mgの桁まではかりとり,全量フラスコ200 mLに移し,水を標線まで加えて混合する。その20 mL
を共通すり合わせ三角フラスコ300 mLに正確にとり,水100 mL及びJIS K 8913に規定するよう化
カリウム2 gを加えて溶かした後,速やかに酢酸(1+1)6 mLを加えて栓をして振り混ぜる。約5
分間暗所に放置後,指示薬としてでんぷん溶液を用い,0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定す
る。
この場合,でんぷん溶液は,終点間際で液の色がうすい黄になったときに約0.5 mLを加える。終
点は,液の青が消える点とする。別に同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
14
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次亜塩素酸ナトリウム溶液の有効塩素濃度は,次の式によって算出する。
5
6
3
5
0.0035453(
)
100
20
200
VV
f
I
m
×
−
×
=
×
×
ここに,
I: 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5 %〜
12 %)の有効塩素濃度(Cl)(質量分率 %)
V5: 滴定に要した0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液の体積
(mL)
V6: 空試験に要した0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(mL)
f3: 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m5: はかりとった試料の質量(g)
0.003 545 3: 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液1 mLに相当する塩素
の質量を示す換算係数(g/mL)
また,酢酸(1+1),でんぷん溶液及び0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の調製は,次による。
・ 酢酸(1+1)の調製は,JIS K 8355に規定する酢酸の体積1と水の体積1とを混合する。
・ でんぷん溶液の調製は,JIS K 8659に規定する特級又は1級のでんぷん(溶性)1.0 gをはかりと
り,水10 mLを加えてかき混ぜながら熱水200 mL中に入れて溶かす。これを約1分間煮沸した
後に冷却する。冷所に保存し,10日以内に使用する。
・ 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液の調製は,JIS K 8637に規定するチオ硫酸ナトリウム五水和物
及びJIS K 8625に規定する炭酸ナトリウム又はJIS K 8051に規定する3-メチル-1-ブタノールを
用い,JIS K 8001のJA.6.4 t) 2)(0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液)に従って,調製,標定及び
計算する。
3) 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム30.9 gをはかりとり,
水を加えて溶かし,更に水を加えて100 mLにしたもの。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。
4) ナトリウムフェノキシド溶液 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)18 mLをビーカー200 mLにとり,
冷水中で冷却しながらJIS K 8798に規定するフェノール12.6 gを少量ずつ加えた後,更にJIS K
8034に規定するアセトン4 mLを加え,水で100 mLにしたもの。使用時に調製する。
5) 溶存酸素を除いた水 JIS K 8001の5.8 d)(溶存酸素を除いた水)による。
6) アンモニウム標準液(NH4:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 吸収セル 光路長が10 mmのもの。
2) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
3) 恒温水槽 20 ℃〜25 ℃に調節できるもの。
4) 分光光度計 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料0.5 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし,更に
水を加えて10 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,アンモニウム標準液(NH4:0.01 mg/mL)0.5 mLを共通すり合わせ平底試験管
にとり,水を加えて10 mLにする。
3) 空試験溶液は,共通すり合わせ平底試験管に水10 mLをとる。
4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液に,EDTA2Na溶液(インドフェノール青法用)1 mL及びナト
15
K 8522:2020
リウムフェノキシド溶液4 mLを加えてよく振り混ぜる。これらに次亜塩素酸ナトリウム溶液(有
効塩素 質量分率約1 %)2.5 mLを加え,更に水を加えて25 mLにし,20 ℃〜25 ℃の恒温水槽で
15分間放置する。
5) 試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液は,空試験溶液から得られた液を対照液とし,吸
収セルを用いて,波長630 nmにおける吸光度をJIS K 0115の6.(特定波長における吸収の測定)
によって測定し,比較する。
d) 判定 試料溶液から得られた液の吸光度が,比較溶液から得られた液の吸光度より大きくないとき,
“アンモニウム(NH4):質量分率0.001 %以下(規格値)”とする。
6.13 硫酸着色物質
硫酸着色物質の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) 硫酸[質量分率(95±0.5)%] JIS K 8951に規定する硫酸で質量分率(95±0.5)%のもの,又は
市販の質量分率(95±0.5)%に調製されたもの。硫酸[質量分率(95±0.5)%]の調製が必要な場
合は,あらかじめJIS K 8951に規定する硫酸の純度を求め,計算量の水をとり,硫酸を注意して徐々
に加え,硫酸濃度を質量分率(95±0.5)%に調節する。
2) 塩化コバルト(II)比色原液 JIS K 8129に規定する塩化コバルト(II)六水和物59.5 g(質量分率
100 %としての相当質量)をビーカー1 000 mLにはかりとり,塩酸(1+39)を加えて溶かし,全量
フラスコ1 000 mLに移し,更に塩酸(1+39)を標線まで加えて混合したもの。
なお,塩酸(1+39)の調製は,JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積1と水の体積39とを
混合する。
3) 塩化鉄(III)比色原液 JIS K 8142に規定する塩化鉄(III)六水和物45.0 g(質量分率100 %とし
ての相当質量)をビーカー1 000 mLにはかりとり,塩酸(1+39)を加えて溶かし,全量フラスコ1 000
mLに移し,更に塩酸(1+39)を標線まで加えて混合したもの。
なお,塩酸(1+39)の調製は,2)による。
4) 硫酸銅(II)比色原液 JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水和物62.4 g(質量分率100 %として
の相当質量)をビーカー1 000 mLにはかりとり,塩酸(1+39)を加えて溶かし,全量フラスコ1 000
mLに移し,更に塩酸(1+39)を標線まで加えて混合したもの。
なお,塩酸(1+39)の調製は,2)による。
b) 着色の程度の適合限度標準 着色の程度の適合限度標準“比色標準液A”は,次による。
表5に示す割合で,比色標準液A 5.0 mLを共通すり合わせ平底試験管に調製する。
表5−硫酸着色物質試験用比色標準液
単位 mL
比色標準液の
記号
比色原液
水
塩化コバルト(II)
塩化鉄(III)
硫酸銅(II)
A
0.1
0.4
0.1
4.4
c) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
d) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,共通すり合わせ平底試験管に約10 ℃に冷却した硫酸[質量分率(95±0.5)%]
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K 8522:2020
10 mLを入れる。振り混ぜながら,粉末にした試料1.0 gを30 ℃を超えないように注意して徐々に
加え,約10 ℃に冷却し,約10 ℃で15分間放置する。
2) 試料溶液の色と比色標準液Aの色とを,共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察して比
較する。
e) 判定 試料溶液の色が,比色標準液Aの色より濃くないとき,“硫酸着色物質:試験適合(規格値)”
とする。
7
容器
容器は,気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) この規格の番号
b) 名称“しゅう酸カリウム一水和物”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号