K 8509:2007
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 一般事項 ························································································································· 1
4 種類······························································································································· 1
5 性質······························································································································· 1
5.1 性状 ···························································································································· 2
5.2 定性方法 ······················································································································ 2
6 品質······························································································································· 2
7 試験及び検査方法 ············································································································· 2
7.1 試験及び検査方法の条件並びに結果 ··················································································· 2
7.2 濃度 (HBr) ··················································································································· 2
7.3 強熱残分(硫酸塩) ······································································································· 2
7.4 塩化物 (Cl) ··················································································································· 2
7.5 よう化物 ······················································································································ 3
7.6 りん酸塩 (PO4) ·············································································································· 3
7.7 硫酸塩及び亜硫酸塩(SO4として) ··················································································· 3
7.8 遊離臭素 ······················································································································ 3
7.9 重金属(Pbとして) ······································································································ 3
7.10 ひ素 (As) ···················································································································· 3
7.11 鉄 (Fe) ······················································································································· 4
8 記録······························································································································· 4
9 容器······························································································································· 4
10 表示 ····························································································································· 4
11 取扱い上の注意事項 ········································································································ 4
附属書JA(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································· 5
K 8509:2007
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本試薬
協会(JRA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申
出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8509:1994は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 8509:2007
臭化水素酸(試薬)
Hydrobromic acid (Reagent)
HBr FW : 80.91
序文
この規格は,1987年に第1版として発行されたISO 6353-3,Reagents for chemical analysis−Part 3:
Specifications−Second seriesを基に作成した日本工業規格であるが,対応国際規格の規定の一部に市場の実
態を反映していない部分があるため,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる臭化水素酸について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 6353-3:1987,Reagents for chemical analysis−Part 3: Specifications−Second series (MOD)
なお,対応の程度を表す記号(MOD)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,修正していることを示
す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8848 ヘキサン(試薬)
3
一般事項
試験及び検査方法の一般的な事項は,JIS K 8001による。
4
種類
種類は,特級とする。
5
性質
2
K 8509:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.1
性状
臭化水素酸は,無色又はわずかに褐色の液体で,密度は約1.48 g/mlである。空気及び光によって徐々に
褐色を増す。
5.2
定性方法
試料2 mlに塩素酸カリウム溶液 (20 g/l) 1 ml及び硫酸1 mlを加えると臭素が発生し,この液にヘキサン
1 mlを加えて振ると,ヘキサン層は黄褐色になる。
警告 この操作は,粘膜及び皮膚を侵す有毒な臭素を扱うため,これを吸入しないようにドラフト内
で行う。
6
品質
品質は,箇条7によって試験及び検査したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
濃度 (HBr)
質量分率 %
47.0〜49.0
強熱残分(硫酸塩)
質量分率 %
0.005以下
塩化物 (Cl)
質量分率 %
0.03以下
よう化物
試験適合
りん酸塩 (PO4)
質量分率 ppm
2以下
硫酸塩及び亜硫酸塩
(SO4として)
質量分率 %
0.003以下
遊離臭素
試験適合
重金属(Pbとして)
質量分率 ppm
3以下
ひ素 (As)
質量分率 ppm
0.5以下
鉄 (Fe)
質量分率 ppm
2以下
7
試験及び検査方法
7.1
試験及び検査方法の条件並びに結果
試験及び検査方法の環境は,JIS K 8001の3.7(試験操作など)(1)(試験の環境)による。湿度管理は,
必要に応じて実施する。また,表1で規定する各品質項目の試験及び検査は,次の各試験及び検査方法に
よって行い,得られる測定値の計算方法及び規格値に対する判定は,JIS K 8001の3.5(測定値)による。
7.2
濃度 (HBr)
濃度の定量法は,次による。
試料5 gを0.1 mgのけたまではかりとり,水50 mlを加える。ブロモチモールブルー溶液3滴を加えた
後,1 mol/l水酸化ナトリウム溶液で滴定する。終点は,液の色が黄色から青に変わる点とする。この場合,
1 mol/l水酸化ナトリウム溶液1 mlは,0.080 91 g HBrに相当する。
7.3
強熱残分(硫酸塩)
強熱残分は,JIS K 0067の4.4.1(試験方法の種類)(4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)による。
試料40 gを用いる。
7.4
塩化物 (Cl)
溶液の調製及び操作は,次による。
a) 試料側溶液 試料1.0 gを細かいガラスビーズを入れた丸底フラスコにとる。硝酸 (1+2) 50 mlを加え
た後,煮沸し始めるまで徐々に加熱し,液の色が完全に消えるまで窒素を吹き込む。このとき,液の
3
K 8509:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
量が40 ml以下にならないようにする。冷却後,水を加えて100 mlとし,その20 ml(試料量0.2 g)
をとる。
b) 標準側溶液 硝酸 (1+2) 10 ml,塩化物標準液 (Cl:0.01 mg/ml) 6.0 ml及び水を加えて20 mlにする。
c) 操作 JIS K 8001の5.7[塩化物 (Cl)](1)(比濁法)による。
7.5
よう化物
操作及び判定は,次による。
a) 操作 試料4 g (2.7 ml) を共通すり合わせ試験管にとり,水20 ml,塩化鉄(Ⅲ)溶液 (100 g/l) 0.2 ml
及びJIS K 8848に規定するヘキサン5 mlを加えて5分間放置した後,1分間振り混ぜる。
b) 判定 ヘキサン層に紫が現れない。Iとして約質量分率0.002 %以下である。
7.6
りん酸塩 (PO4)
溶液の調製及び操作は,次による。
a) 試料側溶液 試料10 gに飽和臭素水を黄色になるまで加える。
b) 標準側溶液 りん酸塩標準液 (PO4:0.01 mg/ml) 2.0 mlに試料側で用いた量の飽和臭素水を加える。
c) 操作 試料側溶液,標準側溶液それぞれに炭酸ナトリウム溶液 (10 g/l) 1 mlを加えた後,水浴上で蒸
発乾固する。水1 ml及び塩酸 (2+1) 0.1 mlを加えて,穏やかに加熱して溶かした後,水を加えて20 ml
にする。以下,JIS K 8001の5.13[りん酸塩 (PO4)](1)(比色法)による。
7.7
硫酸塩及び亜硫酸塩(SO4として)
溶液の調製及び操作は,次による。
a) 試料側溶液 試料5 gに飽和臭素水を黄色になるまで加える。炭酸ナトリウム溶液 (100 g/l) 1 ml及び
塩酸 (2+1) 0.5 mlを水浴上で蒸発乾固し,塩酸 (2+1) 0.3 ml及び水を加えて25 mlにする。
b) 標準側溶液 試料側で用いた量の飽和臭素水,炭酸ナトリウム溶液 (100 g/l) 1 ml及び塩酸 (2+1) 0.5
mlを水浴上で蒸発乾固した後,硫酸塩標準液 (SO4:0.01 mg/ml) 15.0 ml,塩酸 (2+1) 0.3 ml及び水を
加えて25 mlにする。
c) 操作 JIS K 8001の5.15[硫酸塩 (SO4)](1)(比濁法)による。
7.8
遊離臭素
操作及び判定は,次による。
a) 操作 試料10 mlに溶存酸素を含まない水を加えて100 mlにする。その10 mlを共通すり合わせ三角
フラスコ100 mlにとり,溶存酸素を含まない水50 ml,よう化カリウム溶液 (20 g/l) 0.1 ml及びJIS K
8848に規定するヘキサン1 mlを加えて約10秒間激しく振り混ぜた後,30秒間放置する。
b) 判定 ヘキサン層に紅色が現れない。Brとして約質量分率0.001 %以下である。
7.9
重金属(Pbとして)
溶液の調製及び操作は,次による。
a) 試料側溶液 試料10 gを水浴上で蒸発乾固し,塩酸 (2+1) 0.5 ml,酢酸ナトリウム溶液 (200 g/l) 2 ml
及び水を加えて20 mlにする。
b) 標準側溶液 鉛標準液 (Pb:0.01 mg/ml) 3.0 ml,塩酸 (2+1) 0.5 ml,酢酸ナトリウム溶液 (200 g/l) 2 ml
及び水を加えて20 mlにする。
c) 操作 JIS K 8001の5.24[重金属(Pbとして)](1)(硫化ナトリウム法)による。
7.10 ひ素 (As)
溶液の調製及び操作は,次による。
a) 試料側溶液 試料4.0 gを水素化ひ素発生瓶100 mlにとり,水を加えて20 mlにする。
4
K 8509:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
b) 標準側溶液 ひ素標準液 (As:0.001 mg/ml) 2.0 mlを水素化ひ素発生瓶100 mlにとり,水を加えて20 ml
にする。
c) 操作 JIS K 8001の5.19[ひ素 (As)](3)[N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀法(AgDDTC法)]に
よる。
7.11 鉄 (Fe)
溶液の調製及び操作は,次による。
a) 試料側溶液 試料5 gを水浴上で蒸発乾固した後,残分に塩酸 (2+1) 1 ml及び水を加えて溶かし15 ml
にする。
b) 標準側溶液 鉄標準液 (Fe:0.01 mg/ml) 1.0 mlに塩酸 (2+1) 1 ml及び水を加えて15 mlにする。
c) 操作 JIS K 8001の5.22[鉄 (Fe)](2)(1,10-フェナントロリン法)による。
8
記録
記録は,JIS K 0050の12.(記録)による。
9
容器
容器は,遮光した気密容器とする。
10 表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 名称 “臭化水素酸”及び“試薬”の文字
b) 種類
c) 化学式及び式量
d) 濃度
e) 内容量
f)
製造番号
g) 製造年月又はその略号
h) 製造業者名又はその略号
11 取扱い上の注意事項
臭化水素酸は,有毒なので,特に蒸気の吸入並びに粘膜及び皮膚への付着を避ける。
警告 この規格の使用者は,試験室での作業に精通するように努めなければならない。また,この規
格の使用に関連して起こるすべての安全上の問題は記載していないので,MSDS(化学物質等
安全データシート)などを参考にして安全及び健康に留意した適切な措置をとらなければなら
ない。
5
K 8509:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(参考)
JISと対応する国際規格との対比表
JIS K 8509:2007 臭化水素酸(試薬)
ISO 6353-3:1987,Reagents for chemical analysis−Part 3: Specifications−Second
series
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策
箇条番号及び名称
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲
試薬として用いる
臭化水素酸につい
て規定。
1
化学分析用試
薬57品目の仕
様について規
定。
変更
JISは1品目1規格。
試薬の規格使用者が各規格を
多く引用しやすくするために1
品目1規格としている。
なお,対応国際規格は20年
以上見直しが行われていない
ため市場の実態に合わない。国
際規格の改正提案を検討する
予定。
2 引用規格
3 一般事項
JIS K 8001によ
る。
―
―
追加
項目を追加。
編集上の差異であり,技術的な
差異はない。
4 種類
―
―
追加
種類の項目を追加。
JISは種類として“特級”だけ
なので,ISO規格と技術的な差
異はない。
5 性質
―
―
追加
性質の項目を追加。
一般的な説明事項であり,技術
的な差異はない。
6 品質
R 66.1
変更
1) 品質に差異のある項目:りん
酸塩,重金属,ひ素。
2) 追加した項目:遊離臭素。
ISO規格は,長期間内容の見直
しが行われず,国際市場でISO
規格品が用いられることはほ
とんどない。また,技術的差異
も軽微1)2)3)である。
3
K
8
5
0
9
:
2
0
0
7
6
K 8509:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策
箇条番号及び名称
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
R 66.2
試験溶液の調
製
変更
JISは,試験方法の該当項目ご
とに規定。
編集上の差異であり,技術的な
差異は軽微。
7 試験及び検査方法
7.1試験及び検査方法
の条件並びに結果
追加
一般的な試験及び検査方法の
条件並びに結果に関する事項
であり,技術的な差異はない。
7.2濃度 (HBr)
滴定法
R 66.3.1
滴定法
変更
試料のひょう(秤)量方法,試
料量,指示薬などを変更。
最新の原子量表を用いた当量
に変更。
ISO規格は,最新の原子量表を
用いた当量に変更する必要が
ある。ISO規格の見直し時に,
改正提案の検討を行う予定。
7.3強熱残分(硫酸塩) 硫酸塩として強
熱する方法
R 66.3.9
硫酸塩として
強熱する方法
変更
JIS K 0067を引用。
技術的な差異は軽微であり,対
策は考慮しない。
7.4 塩化物 (Cl)
比濁法
R 66.3.2
比濁法
変更
標準液の濃度などを変更。
7.5よう化物
抽出溶媒にヘキ
サンを使用。
R 66.3.3
抽出溶媒にク
ロロホルム使
用。
変更
抽出溶媒をクロロホルムから
ヘキサンに変更。
7.6りん酸塩 (PO4)
比色法
R 66.3.4
比色法
変更
1) 試料の前処理法などを変更。
2) JIS K 8001の5.13を引用。
7.7硫酸塩及び亜硫酸
塩(SO4として)
比濁法
R 66.3.5
比濁法
変更
1) 試料の量,調製液の濃度など
を変更。
2) JIS K 8001の5.15を引用。
7.8遊離臭素
追加
項目を追加。
品質確保のために必要。
ISO規格の見直し時に,改正提
案の検討を行う予定。
7.9重金属(Pbとして) 比色法
R 66.3.7
比色法
変更
1) 試料の量,標準液量などを変
更。
2) JIS K 8001の5.24を引用。
技術的な差異は軽微であり,対
策は考慮しない。
7.10ひ素 (As)
AgDDTC法
R 66.3.6
AgDDTC法
変更
1) 試料量などを変更。
2) JIS K 8001の5.19を引用。
3
K
8
5
0
9
:
2
0
0
7
7
K 8509:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策
箇条番号及び名称
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
7.11鉄 (Fe)
1,10-フェナント
ロリン法
R 66.3.8
1,10-フェナン
トロリン法
変更
1) 試料量などを変更。
2) JIS K 8001の5.22を引用。
技術的な差異は軽微であり,対
策は考慮しない。
8 記録
―
―
追加
項目を追加。
規格適合性を評価する関係で
必要な項目を追加。
9 容器
―
―
追加
項目を追加。
10 表示
―
―
追加
項目を追加。
11 取扱い上の注意
事項
追加
項目を追加。
注1) 理由:軽微な技術的差異。箇条6(品質)の(Ⅳ)欄の1)及び2)は,いずれも一般用途の試薬としては軽微な技術的差異であり,この差が取引上の障害になる可能
性はほとんどない。ISO規格,JISとも品質項目の設定・品質水準の設定は,市場での長い使用実績・経験を踏まえたものである。ISO規格とJISとの質量分率
ppm〜質量分率pptレベルの不純物のごくわずかの差異は,経験上,一般用途の試薬としては実用上差し支えないものと考えられる。
なお,不純物のごくわずかの差異がどのような影響を及ぼすか,あらゆる用途を想定して検証することは現実的ではない。この(Ⅳ)の1)及び2)の品質項目及び
品質水準が不満足な場合は,通常,JIS試薬,ISO規格試薬とも対応できない。この場合,対応策としては,目的に合致した高純度試薬など特殊用途の試薬を使
用することになる。
2) ISO試薬規格の状況:ISO規格の試薬は,規格の維持管理が行われていない(規格制定後約20年経過)。このため,ISO規格の内容が現在の市場の要求にこたえ
ているかどうかの検討が行われていない(JISとの差)。また,ISO規格の試薬は,我が国だけではなく,国際市場でも商取引がほとんどなく国際規格としての
存在意義が乏しい。
3) 今後の対策:注1)及び注2)の理由から,当面,対策を考慮しない。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価: ISO 6353-3:1987,MOD
被引用法規
放射性医薬品基準(平成8年厚生省告示第242号)
第十四改正日本薬局方(平成13年厚生労働省告示第111号)
作物残留に係る農薬登録保留基準(昭和48年環境庁告示第46号)
関連する法規
労働安全衛生法(昭和47年政令第318号)−通知対象物
毒物及び劇物取締法(昭和25年法律第303号)−劇物
消防法(昭和23年法律第186号)−貯蔵等の届出を要する物質(消防活動阻害物質)
船舶安全法(昭和8年法律第11号)−危規則−腐食性物質
航空法(昭和27年法律第231号)−腐食性物質
3
K
8
5
0
9
:
2
0
0
7
8
K 8509:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
関連する外国規格
アメリカ Reagent Chemicals−American Chemical Society Specifications ACS (2000)
イギリス British Standards BS 6376-3(1989)
韓国 韓国産業規格 (Korean Standards) KS M 8483 (1998) KS M ISO 6353-3 (2002)
中国 国家標準 (Guojia Biaozhum) GB/T 621 (1993)
フランス Norme Française(フランス標準) NF ISO 6353-3 (1988)
ロシア Gosdarstvennye Standarty(国家標準) GOST 2062 (1977)
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 追加………………国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更………………国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD…………… 国際規格を修正している。
3
K
8
5
0
9
:
2
0
0
7