K 8498:2011
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法 ························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度(C4H8N2O2)·········································································································· 3
6.3 エタノール溶状 ············································································································· 3
6.4 強熱残分(硫酸塩) ······································································································· 4
6.5 鋭敏度 ························································································································· 4
7 容器······························································································································· 5
8 表示······························································································································· 5
K 8498:2011
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本試薬
協会(JRA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきと
の申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これに
よって,JIS K 8498:1992は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成23年12月21日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJIS
マーク表示認証において,JIS K 8498:1992によることができる。
また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標
準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格
JIS
K 8498:2011
ジメチルグリオキシム(試薬)
Dimethylglyoxime(Reagent)
C4H8N2O2 FW:116.12
序文
この規格は,1950年に制定され,その後4回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は1992年に
行われたが,その後の試験・研究開発などの技術進歩に対応するために改正した。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いるジメチルグリオキシムについて規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0117 赤外分光分析方法通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8085 アンモニア水(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8152 塩化ニッケル(II)六水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8371 酢酸ナトリウム三水和物(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8989 硫酸ニッケル(II)六水和物(試薬)
JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
2
K 8498:2011
JIS Z 0701 包装用シリカゲル乾燥剤
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
ジメチルグリオキシムは,白からほとんど白い結晶性粉末で,エタノール及びジエチルエーテルにやや
溶けにくく,水にほとんど溶けない。融点は約240 ℃(分解)である。
4.2
定性方法
試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波長1 443 cm−1,1 364 cm−1,1 143 cm−1,
979 cm−1,904 cm−1及び706 cm−1付近に主な吸収ピークを認める。この場合,試料調製はJIS K 0117の
5.3(粉体)のa)(錠剤法)による。錠剤の調製に臭化カリウムを用いたときの赤外吸収スペクトルの例を
図1に示す。
図1−赤外吸収スペクトルの例
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(C4H8N2O2)
質量分率 %
98.0以上
6.2
エタノール溶状
試験適合
6.3
強熱残分(硫酸塩) 質量分率 %
0.05以下
6.4
鋭敏度
試験適合
6.5
500
3
K 8498:2011
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(C4H8N2O2)
純度(C4H8N2O2)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) アンモニア水(1+2) JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0〜30.0 %)の体積1と水
の体積2とを混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する。
3) 酢酸ナトリウム溶液(200 g/l) JIS K 8371に規定する酢酸ナトリウム三水和物33.2 gを水に溶かし
て100 mlにする。
4) 硫酸ニッケル(II)溶液 JIS K 8989に規定する硫酸ニッケル(II)六水和物0.3 gを水に溶かして
100 mlにする。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) るつぼ形ガラスろ過器 JIS R 3503に規定するるつぼ形ガラスろ過器1G4のもの。
2) デシケーター 乾燥剤としてJIS Z 0701に規定するシリカゲル(A形1種)を入れた物質を乾燥す
る容器。
3) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
4) 電気定温乾燥機 105±2 ℃に調節できるもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料0.2 gをビーカー200 mlに0.1 mgの桁まではかりとり,エタノール(95)20 mlを加え,温めて
溶解する。沸騰した硫酸ニッケル(II)溶液100 ml及び酢酸ナトリウム溶液(200 g/l)5 mlを加え,
水浴上で1時間加熱した後,10 ℃以下に冷却する。
2) 105 ℃で恒量にし,0.1 mgの桁まで質量をはかったるつぼ形ガラスろ過器(1G4)(W1 g)を用いて
ろ過し,アンモニア水(1+2)0.05 mlを含む水10 mlで3回るつぼ形ガラスろ過器上の残さを洗浄
する。残さを含むるつぼ形ガラスろ過器を105 ℃で恒量になるまで乾燥し,シリカゲルデシケータ
ーで放冷した後,0.1 mgの桁まで質量をはかる(W2 g)。
d) 計算 純度(C4H8N2O2)は,次の式によって算出する。
(
)
100
8
0.803
1
2
×
×
−
=
m
W
W
A
ここに,
A: 純度(C4H8N2O2)(質量分率 %)
W1: るつぼ形ガラスろ過器の質量(g)
W2: るつぼ形ガラスろ過器及びNiC8H14N4O4の質量(g)
m: はかりとった試料の質量(g)
0.803 8: 係数(=C8H16N4O4の式量/NiC8H14N4O4の式量)
6.3
エタノール溶状
エタノール溶状の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エタノール(95) 6.2 a) 1)による。
2) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60〜61 %)の体積1と水の体積2とを混合す
る。
4
K 8498:2011
3) 硝酸銀溶液(20 g/l) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mlにする。溶液は,褐
色ガラス製瓶に保存する。
4) 塩化物標準液
4.1) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
4.1.1) 計量標準供給制度[JCSS 1)]に基づく標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致し
た場合に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する(以下,“JCSSに基づく標準液”
という。)。
4.1.2) JCSS以外の認証標準液で酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,必要な
場合は,適切な方法で希釈して使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液がない場合は,市販
の標準液を用いる(以下,JCSS以外の認証標準液及び市販の標準液を合わせて,“JCSS以外の
認証標準液など”という。)。
4.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム1.65 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,
更に水を標線まで加えて混合する。
注1) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。
4.2) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに
とり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準(“澄明”)は,次による。
塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)0.2 mlを共通すり合わせ平底試験管にとり,水10 ml,硝酸(1+2)
1 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加え,更に水を加えて20 mlとし,振り混ぜてから15分間放置
する。
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 例として,容量50 ml,直径約23 mmで目盛のあるもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料0.2 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,エタノール(95)を加えて20 ml
にし,振り混ぜて溶かす(試料溶液は,6.5の試験にも用いる。)。
2) 直後に,試料溶液の濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を上方又は
側方から観察する。
e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“エタノール溶状:試験適合”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りよりも濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めない。
6.4
強熱残分(硫酸塩)
強熱残分(硫酸塩)は,JIS K 0067の4.4.4 (4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)による。この場
合,試料2.0 gを0.1 mgの桁まではかりとり,JIS K 8951に規定する硫酸約0.2 mlを加えて操作し,600
±50 ℃で強熱する。
6.5
鋭敏度
鋭敏度の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) アンモニア水(2+3) JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0〜30.0 %)の体積2と水
の体積3とを混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する。
2) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸の体積2と水の体積1とを混合する。
5
K 8498:2011
3) ニッケル標準液
3.1) ニッケル標準液(Ni:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
3.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 4.1.1)に準じる。
3.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 4.1.2)に準じる。
3.1.3) JIS K 8152に規定する塩化ニッケル(II)六水和物4.05 g(質量分率100 %としての相当量)を
全量フラスコ1 000 mlにとり,塩酸(2+1)10 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて
混合する。
3.2) ニッケル標準液(Ni:0.01 mg/ml) ニッケル標準液(Ni:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml
に正確にはかりとり,塩酸(2+1)10 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
ろ紙(5種C) JIS P 3801に規定するもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 6.3) d) 1)の試料溶液0.05 mlをろ紙上にスポットした後,風乾する。
2) ろ紙上の試料溶液を採取した同じ場所に,ニッケル標準液(Ni:0.01 mg/ml)0.05 ml及びアンモニ
ア水(2+3)1滴を加える。ろ紙上の試料溶液をスポットした部分の色を観察する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“鋭敏度:試験適合”とする。
ろ紙上の試料溶液をスポットした部分に紅色が現れる。
7
容器
容器は,気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本産業規格番号
b) 名称 “ジメチルグリオキシム”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号