サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

K 8491:2013  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 種類······························································································································· 2 

4 性質······························································································································· 2 

4.1 性状 ···························································································································· 2 

4.2 定性方法 ······················································································································ 2 

5 品質······························································································································· 3 

6 試験方法························································································································· 3 

6.1 一般事項 ······················································································································ 3 

6.2 エタノール溶状 ············································································································· 3 

6.3 融点 ···························································································································· 4 

6.4 強熱残分(硫酸塩) ······································································································· 4 

6.5 鋭敏度 ························································································································· 4 

7 容器······························································································································· 6 

8 表示······························································································································· 6 

9 保存方法························································································································· 6 

K 8491:2013  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正

すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS K 8491:1996は改正され,この規格に置き換えられた。 

なお,平成25年6月20日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ

ーク表示認証において,JIS K 8491:1996によることができる。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 8491:2013 

2,6-ジブロモ-N-クロロ-p-ベンゾキノンモノイミン

(試薬) 

2,6-Dibromo-N-chloro-p-benzoquinone monoimine (Reagent) 

C6H2Br2ClNO  FW:299.35 

序文 

この規格は,1955年に制定され,その後5回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は1996年に

行われたが,その後の試験・研究開発の進歩などに対応するために改正した。 

なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。 

適用範囲 

この規格は,試薬として用いる2,6-ジブロモ-N-クロロ-p-ベンゾキノンモノイミン1) について規定する。 

注1) 別名:2,6-ジブロモキノンクロロイミド 

警告 2,6-ジブロモ-N-クロロ-p-ベンゾキノンモノイミンは,加熱すると,毒性を有するガス(一酸化

炭素,二酸化炭素,窒素酸化物,塩化水素,臭化水素など)が発生するおそれがあるため,加

熱を行う場合は,局所排気装置の下又はドラフト内で行う。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0064 化学製品の融点及び溶融範囲測定方法 

JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法 

JIS K 0117 赤外分光分析方法通則 

JIS K 1107 窒素 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8005 容量分析用標準物質 

JIS K 8101 エタノール(99.5)(試薬) 

JIS K 8102 エタノール(95)(試薬) 

background image

K 8491:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8550 硝酸銀(試薬) 

JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬) 

JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8603 ソーダ石灰(試薬) 

JIS K 8798 フェノール(試薬) 

JIS K 8842 ブロモチモールブルー(試薬) 

JIS K 8866 四ほう酸ナトリウム十水和物(試薬) 

種類 

種類は,特級とする。 

性質 

4.1 

性状 

2,6-ジブロモ-N-クロロ-p-ベンゾキノンモノイミンは,黄色から黄褐色の結晶性粉末で,エタノールにや

や溶けやすく,水にほとんど溶けない。水酸化ナトリウム溶液に溶ける。 

4.2 

定性方法 

試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117に従って測定すると,波数3 039 cm−1,1 664 cm−1,1 557 cm−1,

1 278 cm−1,1 010 cm−1,916 cm−1,747 cm−1,703 cm−1及び591 cm−1付近に主な吸収ピークを認める。試

料調製をJIS K 0117の5.3 a)(錠剤法)によって行い,錠剤の調製に臭化カリウムを用いたときの赤外吸

収スペクトルの例を図1に示す。 

図1−赤外吸収スペクトルの例 

background image

K 8491:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

品質 

品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。 

表1−品質 

項目 

規格値 

試験方法 

エタノール溶状 

試験適合 

6.2 

融点 

℃ 

81〜84 

6.3 

強熱残分(硫酸塩) 

質量分率 % 

0.1以下 

6.4 

鋭敏度 

試験適合 

6.5 

試験方法 

6.1 

一般事項 

試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。 

6.2 

エタノール溶状 

エタノール溶状の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) エタノール(99.5) JIS K 8101に規定するもの。 

2) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60〜61 %)の体積1と水の体積2とを混合す

る。 

3) 硝酸銀溶液(20 g/l) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mlにする。褐色ガラス

製瓶に保存する。 

4) 塩化物標準液 

4.1) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。 

4.1.1) 計量標準供給制度[JCSS 2)]に基づく標準液は,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する。 

4.1.2) JCSS以外の認証標準液は,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する。ただし,JCSS以外

の認証標準液がない場合は,市販の標準液を用いる。 

4.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム1.65 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,

水を標線まで加えて混合する。 

注2) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。 

4.2) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに

正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準(“澄明”)は,次による。 

塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)0.2 mlを共通すり合わせ平底試験管にとり,水10 ml,硝酸(1+2)

1 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加え,更に水を加えて20 mlとし,振り混ぜてから15分間放置

する。 

c) 器具 主な器具は,次のものを用いる。 

共通すり合わせ平底試験管 濁り,ごみなどの有無が確認しやすい大きさで,目盛のあるもの。例

として,容量50 ml,直径約23 mmのもの。 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料0.1 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,エタノール(99.5)を加

えて溶かし,エタノール(99.5)で20 mlとする。 

K 8491:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2) 直後に,濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を共通すり合わせ平底

試験管の上方又は側面から観察する。 

e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“エタノール溶状:試験適合”とする。 

1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。 

2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物はほとんど認めない。 

6.3 

融点 

融点の試験方法は,JIS K 0064による。 

6.4 

強熱残分(硫酸塩) 

強熱残分(硫酸塩)の試験方法は,JIS K 0067の4.4.4(4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)によ

る。この場合,試料1.0 gをはかりとり,残分は0.1 mgの桁まではかる。 

6.5 

鋭敏度 

鋭敏度の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) エタノール(99.5) 6.2 a) 1)による。 

2) ソーダ石灰 JIS K 8603に規定する。 

3) 水酸化カリウム溶液(250 g/l) JIS K 8574に規定する水酸化カリウム29.4 gを水に溶かして100 ml

にする(必要な場合に用いる。)。ポリエチレン製瓶などに保存する。 

4) 二酸化炭素を除いた水 次の4.1)〜4.4)のいずれか,又はそれらの二つ以上を組み合わせたものを用

い,使用時に調製する。 

4.1) 水をフラスコに入れ,加熱し,沸騰が始まってから5分間以上その状態を保つ。加熱を止め,フ

ラスコの口を時計皿で軽く蓋をして少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶に水酸化カリ

ウム溶液(250 g/l)を入れたもの,又はソーダ石灰管を連結して空気中の二酸化炭素を遮り,冷却

したもの。 

4.2) 水をフラスコに入れ,水の中にJIS K 1107に規定する窒素を15分間以上通じたもの。 

4.3) 二酸化炭素分離膜をもつガス分離管を用いて水から二酸化炭素を除いたもの。 

4.4) 18 MΩ・cm以上の抵抗率のある水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立てないように採取したも

の。ただし,採水後速やかに用いる。 

5) ブロモチモールブルー溶液 JIS K 8842に規定するブロモチモールブルー0.10 gをJIS K 8102に規

定するエタノール(95)50 mlに溶かし,水で100 mlにする。褐色ガラス製瓶に保存する。 

6) 四ほう酸ナトリウム−1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液 JIS K 8866に規定する四ほう酸ナトリウム

十水和物2.84 gに水80 mlを加え,水浴中又は加熱で溶かした後,冷却し,1 mol/l 水酸化ナトリウ

ム溶液8.2 mlを加え,水で100 mlとする。 

6.1) 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:40.00 g/l) 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の調製,標定及

び計算は,次による。 

注記 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の調製,標定及び計算は,JIS K 8001のJA.5.2(滴定用溶

液の調製,標定及び計算)r) 1)と同じである。 

6.1.1) 調製 JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム165 gをポリエチレン製気密容器500 mlにはかり

とり,二酸化炭素を除いた水150 mlを加えて溶かした後,二酸化炭素を遮り4〜5日間放置する。

その上澄み液54 mlをポリエチレン製気密容器1 000 mlにとり,二酸化炭素を除いた水を加えて

1 000 mlとし,混合した後,ソーダ石灰管を付けて保存する。 

K 8491:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.1.2) 標定 標定は,認証標準物質3) 又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のアミド硫酸を

用い,次のとおり行う。 

6.1.2.1) 認証標準物質3) のアミド硫酸を用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。 

6.1.2.2) 容量分析用標準物質のアミド硫酸を用いる場合は,必要量をめのう乳鉢で軽く砕いた後,上口

デシケーター(減圧デシケーター)に入れ,上口デシケーター内圧2.0 kPa以下で約48時間乾

燥する。 

6.1.2.3) 認証標準物質3) 又は容量分析用標準物質のアミド硫酸2.4 g〜2.6 gを0.1 mgの桁まではかりコ

ニカルビーカー100 mlに移し,水25 mlを加えて溶かした後,指示薬としてブロモチモールブ

ルー溶液数滴を加え,6.1.1)で調製した液で滴定する。終点は,液の色が黄から青みの緑になる

点とする。 

注3) 容量分析に用いることが可能な認証書の付いた標準物質で,不確かさが算出され国際

単位系(SI)へのトレーサビリティが保証されたもの。ただし,認証書のある標準物

質を入手できない場合には,含有率が明らかな市販の標準物質を用いることができ,

その説明書に従って使用する。 

なお,認証標準物質の供給者としては,独立行政法人産業技術総合研究所計量標準

総合センター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST)などの国家計量機関及び認

証標準物質生産者がある。 

6.1.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。 

100

09

097

.0

A

V

m

f

×

×

=

ここに, 

f: 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファクター 

m: はかりとったアミド硫酸の質量(g) 

A: アミド硫酸の純度(質量分率 %) 

V: 滴定に要した1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の体積(ml) 

0.097 09: 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液1 mlに相当するアミド硫酸

の質量を示す換算係数(g/ml) 

7) フェノール標準液 

7.1) フェノール標準液(C6H5OH:1 mg/ml) JIS K 8798に規定するフェノール1.00 gを水に溶かして

1 000 mlにする。使用時に調製する。 

7.2) フェノール標準液(C6H5OH:0.01 mg/ml) フェノール標準液(C6H5OH:1 mg/ml)10 mlに水を

加えて1 000 mlにする。使用時に調製する。 

b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。 

共通すり合わせ平底試験管 6.2 c)による。 

c) 操作 操作は,次による。 

1) 試料溶液の調製は,試料0.05 gを,全量フラスコ100 mlにはかりとり,エタノール(99.5)を加え

て溶かし,エタノール(99.5)を標線まで加えて混合する(A液)。 

2) 共通すり合わせ平底試験管に,フェノール標準液(C6H5OH:0.01 mg/ml)1.0 mlをとり,水を加え

て10 mlとし,四ほう酸ナトリウム−1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液0.5 mlを加え,A液0.1 mlを加

えて,5分間放置する。 

3) 白色の背景を用いて,試料溶液から得られた液の色を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側面か

ら観察する。 

K 8491:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“試験適合”とする。 

試料溶液から得られた液の色に,青が現れる。 

容器 

容器は,遮光した気密容器とする。 

表示 

容器には,次の事項を表示する。 

a) 日本工業規格番号 

b) 名称 “2,6-ジブロモ-N-クロロ-p-ベンゾキノンモノイミン”及び“試薬”の文字 

c) 種類 

d) 化学式及び式量 

e) 内容量 

f) 

製造番号 

g) 製造業者名又はその略号 

保存方法 

この品目は,温度が上昇すると徐々に着色が強くなる。場合によっては急激な分解によって爆発するこ

ともある。製品は,0 ℃から10 ℃の暗所に保存する。 

注記 防爆された冷蔵庫などに保存するとよい。