K 8490:2019
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 1
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度(C13H12N4S)及び吸光度比(E620/E450) ······································································· 3
6.3 四塩化炭素溶状 ············································································································· 3
6.4 乾燥減量 ······················································································································ 4
6.5 強熱残分(硫酸塩) ······································································································· 4
6.6 鉛(Pb) ······················································································································ 4
7 容器······························································································································· 5
8 表示······························································································································· 5
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8490:1994は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成31年8月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 8490:1994を適用してもよい。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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ジチゾン(試薬)
Dithizone (Reagent)
C13H12N4S FW:256.33
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いるジチゾンについて規定する。
注記 別名:1,5-ジフェニルチオカルバゾン,1-アニリノ-3-フェニルイミノチオ尿素
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0117 赤外分光分析通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬)
JIS K 8567 硝酸マグネシウム六水和物(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)
3
種類
種類は,特級とする。
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性質
4.1
性状
ジチゾンは,青みのある黒い結晶,結晶性粉末又は粉末で,エタノール(99.5)にやや溶けやすく,ク
ロロホルムにやや溶けにくく,ジエチルエーテル及び四塩化炭素に極めて溶けにくく,水にほとんど溶け
ない。クロロホルム及び四塩化炭素の溶液は緑で,空気に触れると酸化されて次第に黒くなる。
4.2
定性方法
試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数1 500 cm-1,1 440 cm-1,1 320 cm-1,
1 220 cm-1,1 144 cm-1,900 cm-1,749 cm-1及び680 cm-1付近に主な吸収ピークを認める。この場合,試料
調製は,JIS K 0117の5.2 b)(錠剤法)による。錠剤の調製に臭化カリウムを用いたときの赤外吸収スペ
クトルの例を図1に示す。
図1−赤外吸収スペクトルの例
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(C13H12N4S)
質量分率 %
85.0 以上
6.2
四塩化炭素溶状
−
試験適合
6.3
吸光度比(E620/E450)
−
1.55 以上
6.2
乾燥減量
質量分率 %
1.0 以下
6.4
強熱残分(硫酸塩)
質量分率 %
0.2 以下
6.5
鉛(Pb)
質量分率 %
0.002 以下
6.6
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試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(C13H12N4S)及び吸光度比(E620/E450)
純度(C13H12N4S)及び吸光度比(E620/E450)の試験方法は,次による。
a) 試薬 試薬は,次のものを用いる。
・ 四塩化炭素 純度(GC)面積百分率99.0 %以上のもの。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 吸収セル 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,光路長が10 mmのもの。
2) 分光光度計 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料25 mgを全量フラスコ100 mLに0.1 mgの桁まではかりとり,四塩化炭素
を加えて溶かし,四塩化炭素を標線まで加えて混合する。その5.0 mLを全量フラスコ50 mLに正
確にとり,四塩化炭素を標線まで加えて混合する。その5.0 mLを全量フラスコ50 mLに正確にと
り,四塩化炭素を標線まで加えて混合する。
2) 四塩化炭素を対照として,試料溶液の波長620 nmにおける吸光度(E620)及び波長450 nmにおけ
る吸光度(E450)をJIS K 0115の6.(特定波長における吸収の測定)によって測定する。
d) 計算 純度(C13H12N4S)及び吸光度比(E620/E450)は,次の式によって算出する。
1) 純度(C13H12N4S)
100
349
1
000
1
200
620
×
×
×
×
=
m
E
C
ここに,
C: 純度(C13H12N4S)(質量分率 %)
m: はかりとった試料の質量(mg)
1 349: ジチゾンの四塩化炭素溶液(10 g/L)の吸光係数
2) 吸光度比(E620/E450)
450
620
E
E
AR=
ここに,
AR: 吸光度比
6.3
四塩化炭素溶状
四塩化炭素溶状の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 四塩化炭素 6.2 a) による。
2) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合したもの。
3) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加
えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。
4) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウ
ム1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
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b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“ほとんど澄明”を用いる。
ほとんど澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.5 mLを共通すり合わせ平底
試験管[c) 参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,水
を加えて20 mLとし,振り混ぜてから15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせ平底試験管 例えば,容量50 mL,直径約23 mmで目盛のあるもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料10 mgを全量フラスコ50 mLにはかりとり,四塩化炭素を加えて溶かし,
四塩化炭素を標線まで加えて混合する。その液20 mLを共通すり合わせ平底試験管に移す。
2) 試料溶液は,試料を溶かした直後に濁りの程度をb) と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物
の有無を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。
e) 判定 次の1) 及び2) に適合するとき,“四塩化炭素溶状:試験適合(規格値)”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b) の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。
6.4
乾燥減量
乾燥減量の試験方法は,JIS K 0067の4.1.4(2)(第2法 大気圧下で乾燥剤を用いて乾燥する方法)によ
る。この場合,試料0.5 gを用い,12時間乾燥する。
6.5
強熱残分(硫酸塩)
強熱残分(硫酸塩)の試験方法は,JIS K 0067の4.4.4(4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)による。
この場合,試料1.0 gをはかりとり,JIS K 8951に規定する硫酸0.5 mLを加え,強熱温度は,600 ℃±50 ℃
とし,強熱残分は,0.1 mgの桁まではかる。
6.6
鉛(Pb)
鉛(Pb)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。
2) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合したもの。
3) 硝酸マグネシウム・エタノール溶液 JIS K 8567に規定する硝酸マグネシウム六水和物17 gをはか
りとり,JIS K 8102に規定するエタノール(95)を加えて溶かし,エタノール(95)を加えて100 mL
にする。
4) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 g
を全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで
加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25 mL及び水
を標線まで加えて混合する。使用時に調製する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 石英ガラス製蒸発皿 容量20 mL以上のもの。
2) ろ紙(必要な場合に用いる。) JIS P 3801に規定する5種Cのもの。
3) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
4) 電気炉 600 ℃±50 ℃に調節できるもの。
5) フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。
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c) 鉛(Pb)の測定波長 鉛(Pb)の測定波長の例を表2に示す。
表2−鉛(Pb)の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
鉛(Pb)
283.3
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを石英ガラス製蒸発皿などにはかりとり,硝酸マグネシウム・エタノ
ール溶液10 mLを加え,よくかき混ぜる。
2) 比較溶液の調製は,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)2.0 mLを石英ガラス製蒸発皿などにとり,硝酸マ
グネシウム・エタノール溶液10 mLを加え,よくかき混ぜる。
3) 試料溶液及び比較溶液を点火,燃焼し,炭化した後,放冷する。次に,硫酸1 mLを入れ,徐々に
加熱し,600 ℃±50 ℃の電気炉で強熱,灰化した後,放冷する。塩酸(2+1)2 mL及び水10 mL
を加え,水浴上で加熱して溶かした後,冷却し(不溶分があれば,ろ紙を用いてろ過し,水で洗い,
ろ液と洗液とを合わせる。),全量フラスコ50 mLに移し,水を標線まで加えて混合する(試料溶液
及び比較溶液を前処理したものを,それぞれX液及びY液とする。)。
4) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表2に示す測
定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれアセチレン−空気フレ
ーム中に噴霧し,分析種の吸光度を測定し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読み取る。
5) 測定結果は,X液の指示値n1とY液の指示値n2とを比較する。
e) 判定 n1が,n2より大きくないとき,“鉛(Pb):質量分率0.002 %以下(規格値)”とする。
注記 鉛(Pb)の含有率(質量分率 %)は,次の式によって,おおよその値を求めることができる。
100
000
1
2
1
×
×
×
=
m
n
n
B
A
ここに,
A: 鉛(Pb)の含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
7
容器
容器は,遮光した気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称“ジチゾン”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
6
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号