K 8480:2020
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目 次
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1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 硫酸溶状 ······················································································································ 3
6.3 吸光度(5 mg/L)(乾燥後) ····························································································· 3
6.4 鋭敏度 ························································································································· 4
7 容器······························································································································· 5
8 表示······························································································································· 5
K 8480:2020
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まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人
日本試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を
改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本産業規格で
ある。これによって,JIS K 8480:2015は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,令和2年9月22日までの間は,産業標準化法第30条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 8480:2015を適用してもよい。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
K 8480:2020
2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(試薬)
2,4-Dinitrophenylhydrazine (Reagent)
C6H6N4O4 FW:198.14
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる2,4-ジニトロフェニルヒドラジンについて規定する。
警告1 2,4-ジニトロフェニルヒドラジンを乾燥したものは,加熱,衝撃又は摩擦によって爆発のお
それがある。また,可燃性であり,燃えると一酸化炭素,二酸化炭素,窒素酸化物などのガ
スが発生する。乾燥する場合は,硫酸又はシリカゲルを乾燥剤としたデシケーターを用い,
乾燥したものは保存してはならない。
警告2 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とす
る。この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするもので
はない。この規格の利用者は,安全データシート(SDS)などを参考にして各自の責任にお
いて安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0117 赤外分光分析通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬)
JIS K 8777 ピリジン(試薬)
JIS K 8891 メタノール(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS Z 0701 包装用シリカゲル乾燥剤
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種類
種類は,特級とする。
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性質
4.1
性状
2,4-ジニトロフェニルヒドラジンは,黄みの赤から黄赤の結晶性粉末で,水に極めて溶けにくく,エタ
ノール(99.5)に溶けにくい。硫酸(1+1)に溶ける。乾燥した2,4-ジニトロフェニルヒドラジンは,約
198 ℃で分解する。安全のため,通常,30 %〜50 %程度の水を添加している。
4.2
定性方法
デシケーター中で乾燥した試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数3 328 cm-1,
3 089 cm-1,1 645 cm-1,1 632 cm-1,1 571 cm-1,1 414 cm-1,1 333 cm-1,1 323 cm-1,1 288 cm-1,1 226 cm-1,
1 064 cm-1,985 cm-1,834 cm-1,745 cm-1及び709 cm-1付近に主な吸収ピークを認める。この場合,試料調
製は,JIS K 0117の5.2 b)(錠剤法)による。錠剤の調製に臭化カリウムを用いたときの赤外吸収スペク
トルの例を図1に示す。
[出典:国立研究開発法人産業技術総合研究所の有機化合物のスペクトルデータベース(SDBS)(チャート上にピー
クの波数を追記)]
図1−赤外吸収スペクトルの例
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品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
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表1−品質
項目
規格値
試験方法
硫酸溶状
試験適合
6.2
吸光度(5 mg/L)(乾燥後)
0.32以上
6.3
鋭敏度
試験適合
6.4
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
硫酸溶状
硫酸溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率 60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合したもの。
2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mLにしたもの。褐色
ガラス製瓶に保存する。
3) 硫酸(1+1) 水の体積1を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々に
加えたもの。
4) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“澄明”を用いる。
塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.2 mLを共通すり合わせ平底試験管[c) 1)参照]にとり,水10 mL,
硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,更に水を加えて20 mLとし,振り混ぜて
から15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次による。
1) 共通すり合わせ平底試験管 容量50 mL,直径約24 mmで目盛のあるもの。
2) デシケーター 乾燥剤としてJIS Z 0701に規定するシリカゲル(A形1種)を入れたもの。
d) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,デシケーター中で12時間以上乾燥した試料0.5 gを共通すり合わせ平底試験管
にはかりとり,硫酸(1+1)を加えて溶かし,更に硫酸(1+1)で20 mLにする。
2) 試料を溶かした直後に,試料溶液の濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の
有無を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。
e) 判定 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くなく,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めないとき,
“硫酸溶状:試験適合(規格値)”とする。
6.3
吸光度(5 mg/L)(乾燥後)
吸光度(5 mg/L)(乾燥後)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) メタノール JIS K 8891に規定するもの。
2) 1 mol/L 塩酸(HCl:36.46 g/L) JIS K 8180に規定する塩酸90 mLをとり,水を加えて1 000 mLと
し,混合したもの。気密容器に入れて保存する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
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1) デシケーター 6.2 c) 2)による。
2) 吸収セル 光路長が10 mmのもの。
3) 分光光度計 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。
c) 操作 操作は,次による。
1) デシケーター中で12時間以上乾燥した試料0.10 gを0.1 mgの桁まではかりとり,全量フラスコ100
mLに入れ,メタノール80 mL及び1 mol/L 塩酸10 mLを加えて,振り混ぜて溶かし,更にメタノ
ールを標線まで加えて混合する(A液)。
2) 試料溶液の調製は,A液10 mLを全量フラスコ100 mLに正確にとり,メタノールを標線まで加え
て混合し,その5 mLを全量フラスコ100 mLに正確にとり,メタノールを標線まで加えて混合する。
3) 吸収セルを用い,分光光度計で波長350 nmにおける試料溶液の吸光度を,JIS K 8891に規定するメ
タノールを対照液としてJIS K 0115の6.(特定波長における吸収の測定)によって測定する。
d) 計算 吸光度(5 mg/L)(乾燥後)は,次の式によって算出する。
m
C
B
10
.0
×
=
ここに,
B: 吸光度(5 mg/L)(乾燥後)
C: 吸光度の測定値
m: c) 1)ではかりとった試料の量(g)
0.10: c) 1)で規定されたはかりとり試料量(g)
6.4
鋭敏度
鋭敏度の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) 塩酸 JIS K 8180に規定するもの。
2) メタノール 6.3 a) 1)による。
3) ピリジン JIS K 8777に規定するもの。
4) 水酸化カリウム溶液(メタノール溶媒) JIS K 8574に規定する水酸化カリウム11.8 gを水で溶かし,
更に水を加えて30 mLとし,冷却後,JIS K 8891に規定するメタノール100 mLを加えたもの。
5) アセトン標準液(CH3COCH3:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 器具 主な器具は,次による。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.2 c) 1)による。
2) デシケーター 6.2 c) 2)による。
c) 操作 操作は,次による。
1) デシケーター中で12時間以上乾燥した試料50 mgをはかりとり,メタノール25 mL及び塩酸2 mL
を加えて溶かし,更に水を加えて50 mLとする(D液)。
2) 試料溶液の調製は,共通すり合わせ平底試験管にアセトン標準液(CH3COCH3:0.01 mg/mL)5 mL
をとり,D液1 mLを加える。
3) 空試験溶液の調製は,共通すり合わせ平底試験管に水5 mLをとり,D液1 mLを加える。
4) 試料溶液及び空試験溶液それぞれを30分間放置後,ピリジン8 mL,水2 mL及び水酸化カリウム溶
液(メタノール溶媒)2 mLを加えて混合し,10分間放置する。
5) 白の背景を用いて,共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から試料溶液と空試験溶液に現れる
色を比較する。
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d) 判定 試料溶液に現れる赤が,空試験溶液に現れる赤より濃いとき,“鋭敏度:試験適合(規格値)”
とする。
7
容器
容器は,気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) この規格の番号
b) 名称“2,4-ジニトロフェニルヒドラジン”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 内容量
f)
製造番号
g) 製造業者名又はその略号
h) 水の添加量(質量分率 %)