K 8470:2016
(1)
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 3
4.1 性状 ···························································································································· 3
4.2 定性方法 ······················································································································ 3
5 品質······························································································································· 3
6 試験方法························································································································· 4
6.1 一般事項 ······················································································································ 4
6.2 純度(C3H7NO2S・HCl)(乾燥物換算) ··············································································· 4
6.3 水溶状 ························································································································· 5
6.4 比旋光度
20
D]
[α
·············································································································· 5
6.5 乾燥減量 ······················································································································ 6
6.6 強熱残分(硫酸塩) ······································································································· 6
6.7 硫酸塩(SO4) ·············································································································· 6
6.8 重金属(Pbとして) ······································································································ 7
6.9 ひ素(As) ··················································································································· 8
6.10 鉄(Fe) ···················································································································· 10
6.11 アンモニウム(NH4) ··································································································· 11
6.12 他のアミノ酸 ·············································································································· 14
7 容器······························································································································ 16
8 表示······························································································································ 16
K 8470:2016
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8470:1995は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成28年9月21日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 8470:1995によることができる。
また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標
準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
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L-システイン塩酸塩一水和物(試薬)
L-Cysteine hydrochloride monohydrate (Reagent)
HSCH2CH(NH2)COOH・HCl・H2O C3H7NO2S・HCl・H2O FW:175.63
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いるL-システイン塩酸塩一水和物について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0063 化学製品の旋光度測定方法
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0117 赤外分光分析方法通則
JIS K 0126 流れ分析通則
JIS K 0970 ピストン式ピペット
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8012 亜鉛(試薬)
JIS K 8034 アセトン(試薬)
JIS K 8044 三酸化二ひ素(試薬)
JIS K 8051 3-メチル-1-ブタノール(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)
JIS K 8116 塩化アンモニウム(試薬)
JIS K 8136 塩化すず(II)二水和物(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8201 塩化ヒドロキシルアンモニウム(試薬)
JIS K 8202 塩化1,10-フェナントロリニウム一水和物(試薬)
JIS K 8230 過酸化水素(試薬)
JIS K 8288 くえん酸三ナトリウム二水和物(試薬)
JIS K 8295 グリセリン(試薬)
2
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JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8359 酢酸アンモニウム(試薬)
JIS K 8371 酢酸ナトリウム三水和物(試薬)
JIS K 8374 酢酸鉛(II)三水和物(試薬)
JIS K 8432 酸化マグネシウム(試薬)
JIS K 8521 しゅう酸アンモニウム一水和物(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬)
JIS K 8567 硝酸マグネシウム六水和物(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8580 すず(試薬)
JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)
JIS K 8722 ペンタシアノニトロシル鉄(III)酸ナトリウム二水和物(試薬)
JIS K 8777 ピリジン(試薬)
JIS K 8798 フェノール(試薬)
JIS K 8810 1-ブタノール(試薬)
JIS K 8863 ほう酸(試薬)
JIS K 8870 ニンヒドリン(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8920 よう素(試薬)
JIS K 8949 硫化ナトリウム九水和物(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JIS K 9048 L(-)-シスチン(試薬)
JIS K 9512 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀(試薬)
JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS R 3505 ガラス製体積計
JIS Z 0701 包装用シリカゲル乾燥剤
3
種類
種類は,特級とする。
3
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4
性質
4.1
性状
L-システイン塩酸塩一水和物は,白い結晶又は結晶性粉末で,水に極めて溶けやすく,エタノール(99.5)
にやや溶けやすく,ジエチルエーテルにほとんど溶けない。酸性溶液は右旋性,塩基性溶液は左旋性を示
す。
4.2
定性方法
試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数2 552 cm-1,1 743 cm-1,1 570 cm-1,
1 522 cm-1,1 400 cm-1,1 222 cm-1,1 207 cm-1及び525 cm-1付近に主な吸収ピークを認める。この場合,試
料調製はJIS K 0117の5.3 a)(錠剤法)による。錠剤の調製に塩化ナトリウムを用いたときの赤外吸収ス
ペクトルの例を図1に示す。
図1−赤外吸収スペクトルの例
注記 図1は,国立研究開発法人産業技術総合研究所のスペクトルデータベースシステム(SDBS)か
ら引用したもので,チャート上に波数表示を追加している。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(C3H7NO2S・HCl)(乾燥物換算) 質量分率 %
99.0 以上
6.2
水溶状
試験適合
6.3
比旋光度
20
D]
[α
°(度)
+5.0 〜+7.0
6.4
乾燥減量
質量分率 %
8.5 〜12.0
6.5
強熱残分(硫酸塩)
質量分率 %
0.05 以下
6.6
硫酸塩(SO4)
質量分率 %
0.02 以下
6.7
重金属(Pbとして)
質量分率 %
0.001 以下
6.8
ひ素(As)
質量分率 ppm
1 以下
6.9
鉄(Fe)
質量分率 %
0.001 以下
6.10
アンモニウム(NH4)
質量分率 %
0.05 以下
6.11
他のアミノ酸
試験適合
6.12
4
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6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法は,次による。
a) 試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
b) 使用するガラス器具は,特に規定がない場合は,JIS R 3503及びJIS R 3505による。
c) 使用する標準液は,計量計測トレーサビリティが確保された標準物質を,使用用途に合致することを
確認し,必要ならば希釈して使用する。このような標準液がない場合,使用用途に合致することを確
認して市販の標準液を用いるか,又は調製したものを用いる。
注記1 計量計測トレーサビリティが確保された標準物質としては,計量標準供給制度[JCSS (Japan
Calibration Service System)]に基づく標準液,国立研究開発法人産業技術総合研究所計量標
準総合センター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST),ドイツ連邦材料試験研究所
(BAM)などが供給する標準物質及びこれらへの計量計測トレーサビリティが確保された
市販の認証標準物質がある。
d) 滴定用溶液は,計量計測トレーサビリティが確保されたものを,使用用途に合致することを確認して
使用する。調製及び標定を行う場合,JIS K 8001の附属書JA(試験用溶液類の調製方法及び滴定用溶
液類の調製及び標定)による。
注記2 ISO/IEC 17025に準拠した方法によって標定された市販の滴定用溶液がある。
6.2
純度(C3H7NO2S・HCl)(乾燥物換算)
純度(C3H7NO2S・HCl)(乾燥物換算)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) よう化カリウム JIS K 8913に規定するもの。
2) 塩酸(1+3) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積1と水の体積3とを混合する。
3) 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム30.9 gをはかりとり,
水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。
4) でんぷん溶液 JIS K 8659に規定する特級又は1級のでんぷん(溶性)1.0 gをはかりとり,水10 mL
を加えてかき混ぜながら熱水200 mL中に入れて溶かす。これを約1分間煮沸した後に冷却する。
冷所に保存し,10日以内に使用する。
5) 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液(Na2S2O3・5H2O:24.82 g/L) JIS K 8637に規定するチオ硫酸ナ
トリウム五水和物及びJIS K 8625に規定する炭酸ナトリウムを用い,6.1 d)による。
なお,防腐剤は,適切な量のJIS K 8051に規定する3-メチル-1-ブタノールなどを用いるか,それ
らを炭酸ナトリウムと併用してもよい。
6) 0.05 mol/L よう素溶液(I2:12.69 g/L) JIS K 8913に規定するよう化カリウム及びJIS K 8920に規
定するよう素を用いて,6.1 d)による。
b) 操作
共通すり合わせ三角フラスコ200 mLなどに,試料0.25 gを0.1 mgの桁まではかりとり,水50 mL
及びよう化カリウム4 gを加えて溶かす。さらに,塩酸(1+3)5 mLを加え,5 ℃以下に冷却する。
0.05 mol/L よう素溶液25 mLを正確に加え,直ちに栓をして5 ℃以下で20分間放置した後,指示薬
としてでんぷん溶液を用い,0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。この場合,でんぷん溶液
は,終点近くで液の色がうすい黄になったときに約0.5 mLを加える。終点は,液の青が消えた点とす
る。別に,同一条件で空試験を行い,滴定量を補正する。
5
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c) 計算 純度(C3H7NO2S・HCl)(乾燥物換算)は,次の式によって計算する。
(
)
(
)
100
100
100
762
015
.0
1
2
×
−
×
×
−
×
=
a
m
f
V
V
A
ここに,
A: 純度(C3H7NO2S・HCl)(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体積
(mL)
V2: 空試験に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(mL)
f: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
a: 6.5で求めた乾燥減量(質量分率 %)
0.015 762: 0.05 mol/L よう素溶液1 mLに相当するC3H7NO2S・HClの
質量を示す換算係数(g/mL)
6.3
水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合する。
2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加
えて100 mLにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。
なお,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)を調製する場合,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム
1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準“澄明”は,次による。
塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.2 mLを共通すり合わせ平底試験管[c) 参照]にとり,水10 mL,
硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,更に水を加えて20 mLとし,振り混ぜて
から15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 濁り,ごみなどの有無が確認しやすい大きさで,目盛のあるもの。例
として,容量50 mL,直径約23 mmのもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし20 mL
にする。
2) 直後に,試料溶液の濁りの程度をb) と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を共通す
り合わせ平底試験管の上方又は側面から観察する。
e) 判定 d) によって操作し,次の1) 及び2) に適合するとき,“水溶状:試験適合”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b) の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めない。
6.4
比旋光度
20
D]
[α
比旋光度
20
D]
[α
の試験方法は,次による。
6
K 8470:2016
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
塩酸(1 mol/L) 全量フラスコ1 000 mLにJIS K 8180に規定する塩酸(特級)90 mLをとり,水を
標線まで加えて混合する。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
1) 恒温水槽(必要な場合に用いる。) 15 ℃〜25 ℃に調節できるもの。
2) 旋光計 装置の構成は,JIS K 0063に規定するもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料4 gを0.1 mgの桁まではかりとり,全量フラスコ50 mLに入れ,塩酸(1
mol/L)を加えて溶かし,塩酸(1 mol/L)を標線まで加えて混合する。
2) 直ちにJIS K 0063の3.4(操作)を行う。ただし,測定は液温15 ℃〜25 ℃で行い,測定後,直ち
に液温t ℃を測定する。
d) 計算 溶液の温度t ℃の比旋光度はJIS K 0063の3.5(計算及び結果の表示)によって算出し,次の
式によって温度補正を行い20 ℃の比旋光度に換算する。
[]
[]
(
)t
α
α
t
−
×
−
=
20
03
.0
D
20
D
ここに,
20
D]
[α: 20 ℃のL-システイン塩酸塩一水和物の比旋光度(ナトリウ
ムD線)
t
αD]
[
: t ℃のL-システイン塩酸塩一水和物の比旋光度(ナトリウム
D線)
t: L-システイン塩酸塩一水和物塩酸溶液の測定温度(℃)
−0.03: 温度係数
6.5
乾燥減量
乾燥減量の試験方法は,JIS K 0067の4.1.4 (4)(第4法 減圧下で乾燥剤を用いて乾燥する方法)によ
る。ただし,試料1.0 gを0.1 mgの桁まではかりとり,乾燥剤としてJIS Z 0701に規定するシリカゲルを
用いて24時間乾燥する。
6.6
強熱残分(硫酸塩)
強熱残分(硫酸塩)の試験方法は,JIS K 0067の4.4.4 (4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)によ
る。この場合,試料2.0 gを0.1 mgの桁まではかりとり,JIS K 8951に規定する硫酸0.6 mLを用い,強熱
温度は(600±50)℃とする。
6.7
硫酸塩(SO4)
硫酸塩(SO4)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) 塩化バリウム溶液(100 g/L) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gをはかりとり,
水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。
3) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合する。
4) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。
なお,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)を調製する場合,JIS K 8962に規定する硫酸カリウム
1.81 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
7
K 8470:2016
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料0.30 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,塩酸(2+1)0.3 mL及
び水を加えて溶かし,水を加えて25 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,塩酸(2+1)0.3 mL及び硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)6.0 mLを共通すり
合わせ平底試験管にとり,水を加えて25 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,エタノール(95)3 mL及び塩化バリウム溶液(100 g/L)2 mLを加えて
振り混ぜた後,30分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側面から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“硫酸塩(SO4):質量分率0.02 %以下(規格値)”とす
る。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.8
重金属(Pbとして)
重金属(Pbとして)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。
2) 塩酸(2+1) 6.7 a) 3)による。
3) 酢酸ナトリウム溶液(200 g/L) JIS K 8371に規定する酢酸ナトリウム三水和物33.2 gをはかりと
り,水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。
4) 硝酸(1+2)(必要な場合に用いる。) 6.3 a) 1)による。
5) 硝酸マグネシウム・エタノール溶液 JIS K 8567に規定する硝酸マグネシウム六水和物17 gをはか
りとり,JIS K 8102に規定するエタノール(95)を加えて溶かし,エタノール(95)を加えて100 mL
にする。
6) 硫化ナトリウム・グリセリン溶液 JIS K 8295に規定するグリセリン30 mLに水10 mLを加えた溶
液にJIS K 8949に規定する硫化ナトリウム九水和物5 gを加えて溶かす。放置後,上澄み液を用い
る。冷所に保存し,3か月以内に使用する。
7) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。
なお,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)を調製する場合,JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60を
全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)1 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで加
えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
使用時に調製する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
2) 石英ガラス製蒸発皿 材質が石英ガラスのもの。
3) ろ紙(5種C)(必要な場合に用いる。) JIS P 3801に規定するもの。
4) pH試験紙 pHの測定に用いる,ろ紙に酸塩基指示薬をしみこませた試験紙。
5) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
6) 電気炉 (600±50)℃に調節できるもの。
c) 操作 操作は,排気に注意して次のとおり行う。
8
K 8470:2016
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを石英ガラス製蒸発皿にはかりとり,硝酸マグネシウム・エタノール
溶液10 mLを加え,よくかき混ぜる。
2) 比較溶液の調製は,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)2.0 mLを石英ガラス製蒸発皿にとり,硝酸マグネ
シウム・エタノール溶液10 mLを加える。
3) 試料溶液及び比較溶液を点火,燃焼し,炭化した後,放冷する。次に,硫酸1 mLを加え,熱板(ホ
ットプレート)上で白煙が出なくなるまで加熱し,(600±50)℃の電気炉で強熱,灰化した後,放
冷する。塩酸(2+1)2 mL及び水10 mLを加え,水浴上で加熱して溶かし,冷却後[必要ならば
ろ紙(5種C)を用いてろ過し,水で洗い,ろ液と洗液とを合わせる。]共通すり合わせ平底試験管
にとり,水を加えて20 mLにする。
4) 試料溶液及び比較溶液から得られた液に酢酸ナトリウム溶液(200 g/L)を加えてpH約3.5に調節
し,水を加えて30 mLにし,硫化ナトリウム・グリセリン溶液0.05 mLを加え,5分間放置する。
5) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られた液を,共通すり合わせ平底試験管の上方又
は側面から観察して,暗色を比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“重金属(Pbとして):質量分率0.001 %以下(規格値)”
とする。
試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の暗色より濃くない。
6.9
ひ素(As)
ひ素(As)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 亜鉛(ひ素分析用) JIS K 8012に規定する粒径150 μm〜1 400 μmのもの。
2) 過酸化水素 JIS K 8230に規定するもの。
3) 硝酸 JIS K 8541に規定するもの(質量分率60 %〜61 %,特級)。
4) ピリジン JIS K 8777に規定するもの。
5) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。
6) 塩化すず(II)溶液(ジエチルジチオカルバミド酸銀法用)[塩化すず(II)溶液(AgDDTC法用)]
JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物40 gをはかりとり,JIS K 8180に規定する塩酸(ひ
素分析用)を加えて溶かし,塩酸(ひ素分析用)を加えて100 mLにする。JIS K 8580に規定する
小粒のすず2,3個を加えて保存し,使用時に水で10倍にうすめる。褐色ガラス製瓶に保存する。
7) 塩酸(ひ素分析用)(1+1) JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の体積1とを
混合する。
8) 塩酸(ひ素分析用)(1+3)(必要な場合に用いる。) JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)の
体積1と水の体積3とを混合する。
9) 酢酸鉛(II)溶液(100 g/L) JIS K 8374に規定する酢酸鉛(II)三水和物11.6 gをはかりとり,水
を加えて溶かし,水を加えて100 mLにした後,JIS K 8355に規定する酢酸0.1 mLを加える。
10) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀・ピリジン溶液(AgDDTC・ピリジン溶液) JIS K 9512に規
定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀0.5 gをはかりとり,JIS K 8777に規定するピリジンを
加えて溶かし,JIS K 8777に規定するピリジンを加えて100 mLにする。褐色ガラス製瓶に保存す
る。
11) しゅう酸アンモニウム溶液(40 g/L) JIS K 8521に規定するしゅう酸アンモニウム一水和物4.6 g
をはかりとり,水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。
9
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12) 水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)(必要な場合に用いる。) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウ
ム10.3 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。ポリエチレンなどの樹脂
製瓶に保存する。
13) よう化カリウム溶液(200 g/L) JIS K 8913に規定するよう化カリウム20 gをはかりとり,水を加
えて溶かし,水を加えて100 mLにする。使用時に調製する。
14) ひ素標準液(As:0.001 mg/mL) 6.1 c)による。
なお,ひ素標準液(As:0.001 mg/mL)を調製する場合,JIS K 8044に規定する特級又は1級の三
酸化二ひ素1.32 gをはかりとり,水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)6 mLを加えて溶かし,水で500
mLにする。塩酸(ひ素分析用)(1+3)でpH3〜5に調節した後,水で全量フラスコ1 000 mLに移
し,水を標線まで加えて混合する。この液25 mLを全量フラスコ250 mLに正確にとり,水を標線
まで加えて混合する。その10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合
する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 吸収セル(必要な場合に用いる。) 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,
光路長が10 mmのもの。
2) ひ素試験装置 例を図2に示す。
3) 分光光度計(必要な場合に用いる。) 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。
c) 操作 操作は,排気に注意して次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gをケルダールフラスコ100 mLにはかりとり,硝酸10 mLをゆっくり
と加え,泡が発生しなくなるまで放置した後,硫酸2 mLを加え,内容物が炭化しないように注意
して硫酸の白煙が発生するまで穏やかに加熱する。放冷後,過酸化水素2 mLを加え,液が無色か
らごくうすい黄になるまで加熱する。放冷後,しゅう酸アンモニウム溶液(40 g/L)2 mLを加え,
硫酸の白煙が発生するまで加熱し,放冷後,水10 mLを加え,水素化ひ素発生瓶100 mLに移し入
れ,水を加えて40 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,ひ素標準液(As:0.001 mg/mL)1.0 mLをケルダールフラスコ100 mLにとり,
硝酸10 mL及び硫酸2 mLをゆっくり加え,硫酸の白煙が発生するまで穏やかに加熱する。放冷後,
過酸化水素2 mLを加え,試料溶液と同様に加熱する。放冷後,しゅう酸アンモニウム溶液(40 g/L)
2 mLを加え,硫酸の白煙が発生するまで加熱し,放冷後,水10 mLを加え,水素化ひ素発生瓶100
mLに移し入れ,水を加えて40 mLにする。
3) 空試験溶液の調製は,水40 mLを水素化ひ素発生瓶100 mLにとる(吸光度を測定する場合に調製
する。)。
4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液に,塩酸(ひ素分析用)(1+1)5 mLを加える。これらによう
化カリウム溶液(200 g/L)15 mL及び塩化すず(II)溶液(AgDDTC法用)5 mLを加えて振り混ぜ,
10分間放置する。次に,亜鉛(ひ素分析用)3 gを加え,直ちに水素化ひ素発生瓶100 mLと導管B
(あらかじめ水素化ひ素吸収管CにAgDDTC・ピリジン溶液5 mLを入れ,導管Bと水素化ひ素吸
収管Cとを連結しておく。)とを連結して約25 ℃の水中で約1時間放置した後,水素化ひ素吸収管
Cを離しピリジンを5 mLの標線まで加える。
5) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を水素化ひ素吸収管Cの上方
又は側面から観察して赤を比較する。
なお,必要があれば吸収セルを用い,分光光度計で波長519 nmにおける吸光度を,空試験溶液か
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らのAgDDTC・ピリジン溶液を対照液として,JIS K 0115の6.(特定波長における吸収の測定)に
よって測定する。
d) 判定 c) によって操作し,次の1) 又は2) に適合するとき,“ひ素(As):質量分率1 ppm以下(規
格値)”とする。
1) 試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の赤より濃くない。
2) 試料溶液から得られた液の吸光度は,比較溶液から得られた液の吸光度より大きくない。
A:
B:
C:
D:
E:
F:
G:
水素化ひ素発生瓶100 mL
導管
水素化ひ素吸収管
ゴム栓又はすり合わせ
酢酸鉛(II)溶液(100 g/L)
で湿したガラスウール
40 mLの標線
5 mLの標線
図2−ひ素試験装置の例
6.10 鉄(Fe)
鉄(Fe)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(100 g/L) JIS K 8201に規定する塩化ヒドロキシルアンモニ
ウム10 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。
2) 塩酸(2+1) 6.7 a) 3)による。
3) 酢酸アンモニウム溶液(250 g/L) JIS K 8359に規定する酢酸アンモニウム25 gをはかりとり,水
を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。
4) 1,10-フェナントロリン溶液(2 g/L) JIS K 8202に規定する塩化1,10-フェナントロリニウム一水和
物0.28 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。褐色ガラス製瓶に保存す
る。
5) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。
なお,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)を調製する場合,JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄
(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,塩酸(2+1)3 mL及び水を加えて溶か
し,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,塩酸(2
+1)3 mLを加え,水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,塩酸(2+1)1 mL及び
水を加えて溶かし,水を加えて15 mLにする。
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2) 比較溶液の調製は,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)1.0 mLを共通すり合わせ平底試験管にとり,塩酸
(2+1)1 mL及び水を加えて15 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(100 g/L)1 mLを加えて,5分間放
置した後,1,10-フェナントロリン溶液(2 g/L)1 mL,酢酸アンモニウム溶液(250 g/L)5 mL及び
水を加えて25 mLとし,20 ℃〜30 ℃で15分間放置する。
4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側面から観察して,黄みの赤を比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“鉄(Fe):質量分率0.001 %以下(規格値)”とする。
試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の黄みの赤より濃くない。
6.11 アンモニウム(NH4)
6.11.1 第1法 蒸留−インドフェノール青法
蒸留−インドフェノール青法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 酸化マグネシウム JIS K 8432に規定するもの。
2) エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(インドフェノール青法用)[EDTA2Na溶液(イ
ンドフェノール青法用)] JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム1 gをはかりとり,水60 mLを
加えて溶かす。これにJIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物
5 gを加えて溶かし,水で100 mLにする。
3) 吸収液 試験に必要な数の受器を準備し,それぞれに硫酸(1+15)2 mLに水18 mLを加える。
なお,硫酸(1+15)の調製は,水の体積15を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する
硫酸の体積1を徐々に加える。
4) 酢酸(1+1) JIS K 8355に規定する酢酸の体積1と水の体積1とを混合する。
5) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質
量分率5 %〜12 %)の有効塩素を使用時に定量し,有効塩素が質量分率約1 %になるように水でう
すめる。冷暗所に保存し,30日以内に使用する。
有効塩素の定量方法 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5 %〜12 %)10 gを0.1 mg
の桁まではかりとり,全量フラスコ200 mLに移し,水を標線まで加えて混合する。その20 mLを
共通すり合わせ三角フラスコ300 mLに正確にとり,水100 mL,JIS K 8913に規定するよう化カリ
ウム2 g及び酢酸(1+1)6 mLを加えて栓をして振り混ぜる。約5分間暗所に放置後,指示薬とし
てでんぷん溶液を用い,0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。この場合,でんぷん溶液は,
終点間際で液の色がうすい黄になったときに約0.5 mLを加える。終点は,液の青が消える点とする。
別に同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
有効塩素の濃度は,次の式によって計算する。
(
)
100
200
20
3
545
003
.0
2
1
×
×
×
×
−
=
m
f
V
V
A
ここに,
A: 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5 %〜
12 %)の有効塩素濃度(Cl)(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体積
(mL)
V2: 空試験に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体
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積(mL)
f: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質
量分率5 %〜12 %)の質量(g)
0.003 545 3: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液1 mL に相当するCl
の質量を示す換算係数(g/mL)
6) 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L) 6.2 a) 3) による。
7) でんぷん溶液 6.2 a) 4) による。
8) ナトリウムフェノキシド溶液 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)18 mLをビーカー200 mLにとる。
冷水中で冷却しながらJIS K 8798に規定するフェノール12.6 gを少量ずつ加えた後,更にJIS K
8034に規定するアセトン4 mLを加え,水で100 mLにする。この溶液は使用時に調製する。
9) 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液(Na2S2O3・5H2O:24.82 g/L) 6.2 a) 5) による。
10) アンモニウム標準液(NH4:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。
なお,アンモニウム標準液(NH4:0.01 mg/mL)を調製する場合,JIS K 8116に規定する塩化ア
ンモニウム2.97 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて
混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 吸収セル 6.9 b) 1) による。
2) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
3) 沸騰石 液体を沸騰させるとき,突沸を防ぐために入れる多孔質の小片。
4) 恒温水槽 20 ℃〜25 ℃に調節できるもの。
5) 減圧蒸留装置 例を図3に示す。
6) 分光光度計 6.9 b) 3) による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,蒸留フラスコAに試料0.50 g及び酸化マグネシウム1 gをはかりとり,水約80
mLを加える。
2) 比較溶液の調製は,蒸留フラスコAにアンモニウム標準液(NH4:0.01 mg/mL)25.0 mL及び酸化
マグネシウム1 gをとり,水約80 mLを加える。
3) 空試験溶液の調製は,蒸留フラスコAに酸化マグネシウム1 gをとり,水約80 mLを加える。
4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液の受器Hに吸収液20 mLを入れ,吸引アダプターGの先端を浸
す。減圧装置に連結し,減圧蒸留して初留約60 mLをとり,それを全量フラスコ100 mLに移し,
水を加えて100 mLにする(試料溶液から得られた液をX液,比較溶液から得られた液をY液及び
空試験溶液から得られた液をZ液とする。)。
5) X液10 mL,Y液10 mL及びZ液10 mLを共通すり合わせ平底試験管にとり,それぞれにEDTA2Na
溶液(インドフェノール青法用)1 mL及びナトリウムフェノキシド溶液4 mLを加えてよく振り混
ぜる。これらに次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %)2.5 mLを加え,更に水を加
えて25 mLにし,20 ℃〜25 ℃の恒温水槽で15分間放置する。
6) X液及びY液から得られた液は,Z液から得られた液を対照液とし,吸収セル(光路長10 mm)を
用いて,波長630 nmにおける吸光度をJIS K 0115の6.(特定波長における吸収の測定)によって
測定し,比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“アンモニウム(NH4):質量分率0.05 %以下(規格値)”
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とする。
X液から得られた液の吸光度は,Y液から得られた液の吸光度より大きくない。
A:
B:
C:
D:
E:
F:
G:
H:
I:
J:
K:
L:
蒸留フラスコ200 mL
連結導入管
(先端は細くしておく。)
すり合わせコックK-16
(減圧時には開放にしておく。)
注入漏斗
ケルダール形トラップ球(E':小孔)
水浴(約60 ℃)
吸引アダプター
受器(丸底フラスコ200 mL)
共通すり合わせ
吸引口(減圧装置に連結)
氷浴
温度計
図3−減圧蒸留装置の例
6.11.2 第2法 連続流れ分析法(インドフェノール青法)
連続流れ分析法(インドフェノール青法)は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) フェノール溶液 JIS K 8798に規定するフェノール10 gを全量フラスコ200 mLにはかりとり,水
150 mLを加えて溶かし,JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム5.0 g及びJIS K 8288に規定する
くえん酸三ナトリウム二水和物2.0 gを加え,水を標線まで加えて混合する。使用時に調製する。
2) エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム溶液(EDTA4Na溶液) エチレンジアミン四酢酸四ナトリウ
ム四水和物(純度質量分率97.0 %以上)25 gを全量フラスコ200 mLにはかりとり,JIS K 8863に
規定するほう酸2.0 gを加え,水を標線まで加え,トリトン溶液1 mLを加え混合する。
3) エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム・アルカリ溶液(EDTA4Na・アルカリ溶液) エチレンジア
ミン四酢酸四ナトリウム四水和物(純度質量分率97.0 %以上)16 gを全量フラスコ200 mLにはか
りとり,水150 mLを加えて溶かし,JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム2.0 gを加え,水を標
線まで加えて混合する。
4) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約0.3 %) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質
量分率5 %〜12 %)の有効塩素を使用時に定量し,有効塩素が質量分率約0.3 %になるように水でう
すめる。有効塩素の定量は,6.11.1 a) 5)による。使用時に調製する。
5) ペンタシアノニトロシル鉄(III)酸ナトリウム溶液 JIS K 8722に規定するペンタシアノニトロシ
ル鉄(III)酸ナトリウム二水和物0.25 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,1 mol/L硫酸0.20 mL
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を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。この液4.0 mLを全量フラスコ500 mLにとり,1
mol/L硫酸5.0 mLを加え,水を標線まで加え,トリトン溶液1 mLを加え混合する。保管する場合
には,冷蔵とする。
6) ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル溶液(トリトン溶液という。) ポリオキシエチレン
オクチルフェニルエーテル[トリトン(X−100)]30 mLに水70 mLを加え,よくかき混ぜる。
7) 1 mol/L硫酸(H2SO4:98.08 g/L) 水1 000 mLをビーカーにとり,JIS K 8951に規定する硫酸60 mL
をかき混ぜながら徐々に加えて放冷した後,気密容器に入れて保存する。
8) アンモニウム標準液(NH4:0.01 mg/mL) 6.11.1 a) 10)による。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
連続流れ分析装置 装置の構成は,JIS K 0126に規定する分光光度計及び透析分離機能を備えたも
の。装置の構成の例を図4に示す。
図4−連続流れ分析装置の構成例
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料0.1 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線
まで加えて混合する。
2) 検量線溶液の調製は,3個の全量フラスコ100 mLのそれぞれにアンモニウム標準液(NH4:0.01
mg/mL)0.5 mL,1.0 mL,5.0 mLをとり,水を標線まで加えて混合する(それぞれ,Y1液,Y2液及
びY3液とする。)。
3) 空試験溶液は,試料溶液の希釈に用いた水とする。
4) 分析装置及び検出器を作動できる状態にし,水及び試薬溶液をポンプで送液し,分析に支障を来さ
ない状態になるまで待つ。この間,流れの気泡の間隔が乱れていないことを確認する。
5) 試料溶液,空試験溶液,Y1液,Y2液及びY3液を波長630 nmにおける吸光度を測定する。
d) 計算 JIS K 0126の6.1.2(連続流れ分析)によって検量線を作成し,アンモニウム(NH4)の含有率
を計算する。
e) 判定 c)によって操作し,d)によって計算し,次に適合するとき,“アンモニウム(NH4):質量分率
0.05 %以下(規格値)”とする。
計算して得られた含有率が,規格値を満足している。
6.12 他のアミノ酸
他のアミノ酸の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(1 mol/L) 6.4 a)による。
2) L(-)-シスチン JIS K 9048に規定するもの。
3) N-エチルマレイミド溶液 N-エチルマレイミド(純度 質量分率97.0 %以上のもの)2 gを水に溶か
送液部
(試料・試薬導入部)
送気部
反応部
検出部
指示・記録部
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し,水で100 mLにする。
4) ニンヒドリン・アセトン溶液(発色液) JIS K 8870に規定するニンヒドリン2 gをJIS K 8034に規
定するアセトンに溶かし,アセトンで100 mLにする。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 薄層板 (50 mm〜200 mm)×200 mmの平滑で均一な厚さのガラス板に,固定相基材を0.2 mm〜0.3
mmの均一な厚さに塗布したもの。
注記 薄層板は,市販の既製品も使用することができる。
2) 展開容器 例を図5に示す。
3) マイクロシリンジなど 少量の定容量の測定溶液をはかりとる体積計。
4) ピストン式ピペット JIS K 0970に規定するもの。
5) ろ紙 JIS P 3801に規定するもの。
6) 乾燥器 試験温度に対して±2 ℃以内に調節できるもの。
図5−展開容器の例
c) 分析条件
1) 固定相基材の種類 薄層クロマトグラフ用シリカゲル
2) 展開溶媒 JIS K 8810に規定する1-ブタノール100 mL,水50 mL及びJIS K 8355に規定する酢酸
50 mLを混合する。
3) 展開距離 約10 cm
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料0.50 gを全量フラスコ50 mLにはかりとり,N-エチルマレイミド溶液を加
えて溶かし,N-エチルマレイミド溶液を標線まで加えて混合し,2時間放置する。
2) 対照液の調製は,L(-)-シスチン0.50 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,塩酸(1 mol/L)を加
えて溶かし,塩酸(1 mol/L)を標線まで加えて混合する。その液1 mLを全量フラスコ50 mLに正
確にとり,N-エチルマレイミド溶液を標線まで加えて混合する。
3) 薄層板の下端から約20 mm上の位置を原線とし,原線上の左右両端から少なくとも10 mm離れた
位置に試料溶液0.005 mL(試料量50 μg)及び対照液0.005 mL[L(-)-シスチン量0.5 μg]をマイク
ロシリンジ,ピストン式ピペットなどを用いて10 mm以上の間隔で2 mm〜6 mmの円形状にスポッ
トし,乾燥する。
4) 展開容器の内壁に沿ってろ紙を巻き,ろ紙を展開溶媒で湿し,更に展開溶媒を約10 mmの深さに入
れ,展開容器を密閉した後,室温で約1時間放置して展開溶媒の蒸気を飽和させる。
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5) これに薄層板を器壁に触れないように入れ,容器を密閉し,室温で放置して展開させる。
6) 展開溶媒の先端が原線から約10 cmの距離まで上昇したとき,薄層板を取り出し,直ちに溶媒の先
端の位置に印を付けて風乾後,100 ℃で30分間乾燥し,放冷する。これに発色液を噴霧し,80 ℃
で10分間加熱して発色させ,スポットの位置,数などを調べる。
e) 判定 d) によって操作し,次に適合するとき,“他のアミノ酸:試験適合”とする。
発色液を噴霧した薄層板は,主スポット以外のスポットは,対照液から得られるスポットより濃く
ない[L(-)-シスチンとして質量分率1.0 %以下]。
注記 移動率(Rf)を求める場合は,次の式によって算出する。
b
a
Rf=
ここに,
Rf: 移動率
a: 原線からスポットの中心までの距離(mm)
b: 原線から溶媒先端までの距離(mm)
なお,L-システイン塩酸塩一水和物のRf値は,約0.6,L(-)-シスチンのRf値は,約0.3であ
る。
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容器
容器は,気密容器とする。
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表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本産業規格番号
b) 名称“L-システイン塩酸塩一水和物”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号