K 8461:2007
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 一般事項 ························································································································· 1
4 種類······························································································································· 2
5 性質······························································································································· 2
5.1 性状 ···························································································································· 2
5.2 定性方法 ······················································································································ 2
6 品質······························································································································· 2
7 試験及び検査方法 ············································································································· 3
7.1 試験及び検査方法の条件並びに結果 ··················································································· 3
7.2 純度(C4H8O2)(GC) ···································································································· 3
7.3 外観 ···························································································································· 3
7.4 水溶状 ························································································································· 3
7.5 凝固点 ························································································································· 3
7.6 密度(20 ℃) ··············································································································· 4
7.7 水分 ···························································································································· 4
7.8 不揮発物 ······················································································································ 4
7.9 酸(CH3COOHとして) ································································································· 4
7.10 アルデヒド ·················································································································· 4
7.11 過酸化物(H2O2として) ······························································································· 4
7.12 鉄(Fe) ····················································································································· 4
8 記録······························································································································· 4
9 容器······························································································································· 5
10 表示 ····························································································································· 5
11 取扱い上の注意事項 ········································································································ 5
附属書JA(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································· 6
K 8461:2007
(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本試薬
協会(JRA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申
出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8461:1996は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
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日本工業規格
JIS
K 8461:2007
1,4-ジオキサン(試薬)
1,4-Dioxane (Reagent)
C4H8O2 FW : 88.11
序文
この規格は,1987年に第1版として発行されたISO 6353-3,Reagents for chemical analysis−Part 3:
Specifications−Second seriesを基に作成した日本工業規格であるが,対応国際規格の規定の一部に市場の実
態を反映していない部分があるため,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる1,4-ジオキサンについて規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 6353-3:1987,Reagents for chemical analysis−Part 3: Specifications−Second series (MOD)
なお,対応の程度を表す記号(MOD)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,修正していることを示
す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0061 化学製品の密度及び比重測定方法
JIS K 0065 化学製品の凝固点測定方法
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0068 化学製品の水分測定方法
JIS K 0114 ガスクロマトグラフ分析通則
JIS K 0117 赤外分光分析方法通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
3
一般事項
試験及び検査方法の一般的な事項は,JIS K 8001による。
2
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4
種類
種類は,特級とする。
5
性質
5.1
性状
1,4-ジオキサンは,無色透明の液体で,エタノール及びジエチルエーテルに極めて溶けやすく,水に溶
けやすい。沸点は,約102 ℃である。安定剤として,2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)などを
含む。
5.2
定性方法
試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数2 960 cm−1,2 915 cm−1,2 855 cm−1,
1 454 cm−1,1 255 cm−1,1 120 cm−1,874 cm−1及び613 cm−1付近に主な吸収を認める。この場合,試料調
製は,JIS K 0117の5.4(液体)a)(液膜法)による。窓板に臭化カリウムを用いたときの赤外吸収スペク
トルの一例を,図1に示す。
図1−赤外吸収スペクトルの一例
6
品質
品質は,箇条7によって試験及び検査したとき,表1に適合しなければならない。
3
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表1−品質
項目
規格値
純度(C4H8O2)(GC)
質量分率 %
99.5 以上
外観
ハーゼン単位
10 以下
水溶状
試験適合
凝固点
℃
11.0 以上
密度(20 ℃)
g/ml
1.030 〜 1.035
水分
質量分率 %
0.1 以下
不揮発物
質量分率 %
0.01 以下
酸(CH3COOHとして)
質量分率 %
0.01 以下
アルデヒド
試験適合
過酸化物(H2O2として)
質量分率 %
0.05 以下
鉄(Fe)
質量分率 ppm
1 以下
7
試験及び検査方法
7.1
試験及び検査方法の条件並びに結果
試験及び検査方法の環境は,JIS K 8001の3.7(試験操作など)(1)(試験の環境)による。湿度管理は,
必要に応じて実施する。また,表1で規定する各品質項目の試験及び検査は,次の各試験及び検査方法に
よって行い,得られる測定値の計算方法及び規格値に対する判定は,JIS K 8001の3.5(測定値)による。
7.2
純度(C4H8O2)(GC)
一般的な事項は,JIS K 0114によるほかは,次による。
a) 分析条件 一例を,次に示すが,これと同等の性能の条件でもよい。
検出器の種類 水素炎イオン化検出器
固定相液体名 メチルシリコーン
固定相液体の膜厚 5.0 μm
カラム用キャピラリーの材質,内径及び長さ 石英ガラス,0.53 mm,30 m
設定温度 カラム槽:80 ℃で5分間保持した後,毎分5 ℃の割合で140 ℃まで昇温して,2分間保
持する。
検出器槽:200 ℃
試料気化室:200 ℃
キャリヤーガスの種類及び流量 ヘリウム,5.0 ml/min
試料量及び試料導入方法 0.2 μl,直接注入法
b) 定量方法 JIS K 0114の11.3(ピーク面積の測定)b)(データ処理装置を用いる方法)によって,各
成分のピーク面積を測定し,JIS K 0114の11.5(面積百分率法)によって純度を算出する。
7.3
外観
操作及び判定は,次による。
a) 操作 JIS K 8001の5.1(外観)(2)(液体試料の場合)による。
b) 判定 適合限度標準10番の色より濃くない。
7.4
水溶状
水溶状は,JIS K 8001の5.2(溶状)による。この場合,試料は10 ml,濁りの程度の適合限度標準はJIS
K 8001の5.2(1)(濁りの程度の適合限度標準)(a)(澄明)を用いる。
7.5
凝固点
4
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
凝固点は,JIS K 0065による。
7.6
密度(20 ℃)
密度は,JIS K 0061の7.2(比重瓶法)又は7.3(振動式密度計法)による。
7.7
水分
水分は,JIS K 0068の6.3.5(操作)a)(直接滴定)による。この場合,試料10 gをとり,滴定溶媒はメ
タノールとする。
7.8
不揮発物
不揮発物は,JIS K 0067の4.3.4(操作)(1)(第1法 水浴上で加熱蒸発する方法)による。この場合,
試料10 gを用いる。
7.9
酸(CH3COOHとして)
酸は,次による。
a) あらかじめ窒素を約200 ml/minの流速で約2分間流して空気を置換した三角フラスコ200 mlに二酸化
炭素を含まない水50 mlを手早く加え,更にブロモチモールブルー溶液を3滴加える。窒素を液面に
流しながら,液の色が中間色1)になるまで0.05 mol/l水酸化ナトリウム溶液又は0.05 mol/l塩酸で中和
し,試料10 gを加えるとき,中間色〜塩基性側の色(青)になる。
注1)
JIS K 8001の5.28[変色範囲(指示薬)]pH6.8の緩衝液60 mlを三角フラスコ200 mlにとり,
ブロモチモールブルー溶液3滴を加えたときの色とする。
b) 中間色〜酸性側の色(黄色)が現れる場合は,窒素を液面に流しながら0.05 mol/l水酸化ナトリウム
溶液0.33 mlを加えるとき,中間色〜塩基性側の色(青)になる。
注記 0.05 mol/l水酸化ナトリウム溶液1 mlは,0.003 002 6 g CH3COOHに相当する。
7.10 アルデヒド
操作及び判定は,次による。
a) 操作 試料5 mlに水5 ml及びアンモニア性硝酸銀溶液2 mlを加え,暗所で15分間放置する。
b) 判定 液に濁りが生じない。HCHOとして約質量分率0.01 %以下である。
7.11 過酸化物(H2O2として)
操作及び判定は,次による。
a) 操作 試料5 gに水50 ml及びJIS K 8913に規定するよう化カリウム1 gを加えて溶かす。この液に
硫酸(1+15)5 ml及びでんぷん溶液1 mlを加えて振り混ぜた後,0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液
1.5 mlを加える。
b) 判定 液の色は無色である。
注記 0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液1 mlは,0.001 700 5 g H2O2に相当する。
7.12 鉄(Fe)
溶液の調製及び操作は,次による。
a) 試料側溶液 試料20 gに炭酸ナトリウム溶液(10 g/l)0.5 mlを加えて蒸発乾固し,残分を塩酸(2+1)
1 ml及び水に溶かして,更に水を加えて15 mlにする。
b) 標準側溶液 鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml)2.0 mlに炭酸ナトリウム溶液(10 g/l)0.5 ml及び塩酸(2+
1)1 mlを加えて,更に水を加えて15 mlにする。
c) 操作 JIS K 8001の5.22[鉄(Fe)](2)(1,10-フェナントロリン法)(c)による。
8
記録
5
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
記録は,JIS K 0050の12.(記録)による。
9
容器
容器は,気密容器とする。
10 表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 名称“1,4-ジオキサン”及び“試薬”の文字
b) 種類
c) 化学式及び式量
d) 純度
e) 内容量
f)
製造番号
g) 製造年月又はその略号
h) 製造業者名又はその略号
i)
安定剤の名称及び量
11 取扱い上の注意事項
1,4-ジオキサンは,引火性があるので特に火気を避け,有害なので蒸気を吸入しないようにし,粘膜及
び皮膚に付着しないようにする。
また,空気中の酸素によって過酸化物を生成するので,1,4-ジオキサンを加熱蒸発又は蒸留する場合は
注意する。
警告 この規格の使用者は,試験室での作業に精通するように努めなければならない。また,この規
格の使用に関連して起こるすべての安全上の問題は記載していないので,MSDS(化学物質等
安全データシート)などを参考にして安全及び健康に留意した適切な措置をとらなければなら
ない。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(参考)
JISと対応する国際規格との対比表
JIS K 8461:2007 1,4-ジオキサン(試薬)
ISO 6353-3:1987 Reagents for chemical analysis−Part 3: Specifications−Second
series
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際規
格番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号及び
名称
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲
試薬として用い
る1,4-ジオキサ
ンについて規
定。
1
化学分析用試薬57品目
の仕様について規定。
変更
JISは1品目1規格。
試薬の規格使用者が各規格を多く
引用しやすくするために1品目1
規格としている。
なお,対応国際規格は20年以上
見直しが行われていないため市場
の実態に合わない。国際規格の改
正提案を検討する。
2 引用規格
3 一般事項
JIS K 8001によ
る。
―
―
追加
項目を追加。
JIS K 8001を引用。
編集上の差異であり,技術的な差
異はない。
4 種類
―
―
追加
種類の項目を追加。
JISは種類として“特級”だけな
ので,ISO規格と技術的な差異は
ない。
5 性質
―
―
追加
性質の項目を追加。
一般的な説明事項であり,技術的
な差異はない。
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0
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際規
格番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号及び
名称
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
6 品質
R 60.1
変更
1) 品質に差異のある項目:
酸,過酸化物(ISO規格は
試験方法だけで規格値な
し。)。
2) 追加した項目:水溶状及び
アルデヒド。
3) ISO規格は酸を“H+のミリ
モルとして”で規定,JIS
は酸を“CH3COOHとして”
に変更。
ISO規格は,長期間内容の見直し
が行われず国際市場でISO規格品
が用いられることはほとんどな
い。また,技術的差異も軽微1)2)3)
である。
7 試験及び検
査方法
7.1試験及び検
査方法の条件
並びに結果
追加
一般的な試験及び検査方法の条件
並びに結果に関する事項であり,
技術的な差異はない。
7.2純度
(C4H8O2)(GC)
ガスクロマトグラ
フ法
R 60.2.3
ガスクロマトグラフ法
変更
1) 分析条件などを変更。
2) JIS K 0114を引用。
国際的にも広く普及しているキャ
ピラリーカラム法に変更。
ISO規格の見直し時に,改正提案
の検討を行う予定。
7.3外観
R 60.2.1
一致
7.4水溶状
追加
1) 項目を追加
2) JIS K 8001の5.2を引用。
品質確保のために必要。
ISO規格の見直し時に,改正提案
の検討を行う予定。
7.5凝固点
R 60.2.4
一致
7.6密度
(20 ℃)
比重瓶法又は振
動式密度計法
R 60.2.2
比重瓶法
選択
JIS K 0061を引用。
精度の高い振動式密度計法を選択
できるようにした。
ISO規格の見直し時に,改正提案
の検討を行う予定。
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K
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際規
格番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号及び
名称
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
7.7水分
カールフィッシ
ャー滴定法
R 60.2.8
カールフィッシャー滴定
法
変更
試料の量などを変更。
技術的な差異は軽微であり,対策
は考慮しない。
7.8不揮発物
R 60.2.5
一致
7.9酸
(CH3COOHと
して)
R 60.2.6
変更
試料の量,指示薬及び操作法
を変更。
技術的な差異は軽微であり,対策
は考慮しない。
7.10アルデヒ
ド
追加
項目を追加。
品質確保のために必要。ISO規格
の見直し時に,改正提案の検討を
行う予定。
7.11過酸化物
(H2O2として)
チオ硫酸ナトリ
ウム溶液滴定法
R 60.2.9
チオ硫酸ナトリウム溶液
滴定法
変更
調製液の量などを変更。
技術的な差異は軽微である。対策
は考慮しない。
なお,ISO規格は,参考試験で
ある。
7.12鉄(Fe)
1,10-フェナント
ロリン法
R 60.2.7
原子吸光法
変更
JIS K 8001の5.22を引用。
技術的な差異は軽微であり,対策
は考慮しない。
8 記録
―
―
追加
項目を追加。
規格適合性を評価する関係で必要
な項目を追加。
9 容器
―
―
追加
項目を追加。
10 表示
―
―
追加
項目を追加。
11取扱い上の
注意事項
―
―
追加
項目を追加。
注1) 理由:軽微な技術的差異。箇条6(品質)の(Ⅳ)欄の1)〜3)は,いずれも一般用途の試薬としては軽微な技術的差異であり,この差が取引上の障害になる可
能性はほとんどない。ISO規格,JISとも品質項目の設定・品質水準の設定は,市場での長い使用実績・経験を踏まえたものである。ISO規格とJISとの質量
分率ppm〜質量分率pptレベルの不純物のごくわずかの差異は,経験上,一般用途の試薬としては実用上差し支えないものと考えられる。
なお,不純物のごくわずかの差異がどのような影響を及ぼすか,あらゆる用途を想定して検証することは現実的ではない。この(Ⅳ)の1)〜3)の品質項目及び
品質水準が不満足な場合は,通常,JIS試薬,ISO規格試薬とも対応できない。この場合,対応策としては,目的に合致した高純度試薬など特殊用途の試薬を
使用することになる。
2) ISO試薬規格の状況:ISO規格の試薬は,規格の維持管理が行われていない(規格制定後約20年経過)。このため,ISO規格の内容が現在の市場の要求にこた
えているかどうかの検討が行われていない(JISとの差)。また,ISO規格の試薬は,我が国だけではなく,国際市場でも商取引がほとんどなく国際規格として
の存在意義が乏しい。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
注3) 今後の対策:注1)及び注2)の理由から,当面,対策を考慮しない。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 6353-3:1987,MOD
被引用法規
食品・添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)
化粧品原料基準(昭和42年厚生省告示第322号)
放射線医薬品基準(平成8年厚生省告示第242号)
第十四改正日本薬局方(平成13年厚生労働省告示第111号)
飼料及び飼料添加物の成分規格(昭和51年農林省令第35号)
関連する法規
消防法(昭和23年法律第186号)−危険物第4類第1石油類水溶性液体
特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善に関する法律(平成11年7月13日法律第86号)−第1種指定物質
労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)−名称等通知すべき有害物
関連する外国規格
アメリカ Reagent Chemicals−American Chemical Society Specifications ACS (2000)
イギリス British Standards BS 6376-3(1989)
韓国 韓国産業規格(Korean Standards) KS M 8349(2000),KS M ISO 6353-3(2002)
チェコ Ceskych Technickych Norem(チェコ技術標準) CN 68-6196(1962)
フランス Norme Française(フランス標準) NF ISO 6353-3(1988)
ロシア Gosdarstvennye Standarty(国家標準) GOST 10455(1980)
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 一致……………… 技術的差異がない。
− 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。
− 選択……………… 国際規格の規定内容とは異なる規定内容を追加し,それらのいずれかを選択するとしている。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD…………… 国際規格を修正している。