2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 8454-1994
N, N−ジエチルジチオカルバミド酸
ナトリウム三水和物(試薬)
Sodium N, N-diethyldithiocarbamate trihydrate
(C2H5) 2NCS2Na・3H2O FW : 225.31
1. 適用範囲 この規格は,試薬として用いるN, N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(1)
について規定する。
注(1) 略号:NaDDTC
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS K 0117 赤外分光分析方法通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
2. 共通事項 この規格に共通する事項は,JIS K 8001による。
3. 種類 特級
4. 性質 N, N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物は,次の性質を示す。
(1) 性状 N, N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物は白い結晶で,水及びエタノールに溶
けやすい。融点は約94℃である。
(2) 定性方法
(a) 試料0.2gに水20mlを加えて溶かし,これを用いてJIS K 8001の5.29(炎色試験)(1)(アルカリ金属
及びアルカリ土類金属試験法)によると黄色が現れる。
(b) 試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数が1 470cm−1,1 420cm−1,1 260cm
−1,1 200cm−1,1 130cm−1,990cm−1及び910cm−1付近に主な吸収を認める。この場合,試料調製は
JIS K 0117の6.2(1)(錠剤法)による。赤外吸収スペクトルの一例を図1に示す。
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図1 赤外吸収スペクトルの一例
5. 品質 品質は,6.によって試験し,表1に適合しなければならない。
表1 品質
項目
規格値
純度
92.0%以上
水溶状
試験適合
エタノール溶状
試験適合
液性
試験適合
銅分析適合性
試験適合
6. 試験方法 試験方法は,次のとおりとする。
(1) 純度 92.0%以上
試料0.5g(0.1mgのけたまではかる)+メタノール100ml→0.05mol/lよう素溶液で滴定(終点は液
に持続する黄色が現れる点)。
別に,同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
0.05mol/lよう素溶液1mlは,0.022 531g C5H10NNaS23H2Oに相当する。
(2) 水溶状
試料0.2g+水 (→20ml)……無色,ほとんど澄明以内[(4)の試験に用いる]。
(3) エタノール溶状
試料0.2g+エタノール (95) (→20ml)……ほとんど澄明以内。
(4) 液性
(2)の溶液+フェノールフタレイン溶液2滴……紅色+0.1mol/l塩酸0.1ml……無色。
(5) 銅分析適合性
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試料溶液:試料0.10g(正確にはかる)→全量フラスコ100mlにとる→水を標線まで加える→その
10ml(正確にとる)→全量フラスコ100mlに入れる→水を標線まで加える。
試験溶液:銅標準液 (0.01mgCu/ml) 5ml+水40ml+くえん酸水素二アンモニウム溶液 (200g/l) 2ml
→アンモニア水 (2+3) 滴加(pH9になるまで)+水 (→50ml) 。
空試験溶液:水45ml+くえん酸水素二アンモニウム溶液 (200g/l) 2ml→アンモニア水 (2+3) 滴加
(pH9になるまで)+水 (→50ml)。
操作:試験溶液及び空試験溶液それぞれに,+試料溶液5ml+酢酸ブチル10ml(正確にとる)→1
分間激しく振り混ぜる→放置→酢酸ブチル層分取(保存)→水層+酢酸ブチル10ml(正確にとる)→
1分間激しく振り混ぜる→放置→酢酸ブチル層分取→酢酸ブチル層を合わせる→乾燥したろ紙(5種
C)でろ過→ろ液→全量フラスコ25mlに入れる→酢酸ブチルを標線まで加える(試験溶液及び空試験
溶液からの酢酸ブチル層をそれぞれA液,B液とする)→吸収セル10mmを用いて波長430nm付近の
吸収極大波長におけるA液の吸光度を,B液を対照として測定……吸光度0.35以上。
7. 容器 遮光した気密容器とする。
8. 表示 容器には,次の表示をしなければならない。
(1) 名称 “N, N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物”及び“試薬”の文字
(2) 種類
(3) 化学式,式量
(4) 品質(純度)
(5) 内容量
(6) 製造番号
(7) 製造業者名又はその略号
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原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
久保田 正 明
物質工学工業技術研究所計測化学部
細 川 幹 夫
通商産業省基礎産業局生物化学産業課
津 田 博
通商産業省機械情報産業局計量行政室
地 崎 修
工業技術院標準部繊維化学規格課
喜多川 忍
通商産業検査所化学部化学標準課
野々村 誠
都立工業技術センター無機化学部
加 山 英 男
財団法人日本規格協会
石 橋 無味男
厚生省国立衛生試験所
川 瀬 晃
社団法人日本分析化学会
柳 瀬 斉 彦
社団法人日本化学工業協会
藤 貫 正
社団法人日本分析化学会
並 木 昭
財団法人化学品検査協会
鶴 田 利 行
硫酸協会
中 村 靖
日本鉱業協会
大 槻 孝
社団法人日本鉄鋼協会
日 暮 喜八郎
第一化学薬品株式会社
北 田 佳 伸
和光純薬工業株式会社
高 野 虞美子
東京化成工業株式会社
中 村 穣
森田化学工業株式会社
山 岡 宏
片山化学工業株式会社
飯 岡 寛 一
柳島製薬株式会社
山 田 和 夫
関東化学株式会社
(事務局)
平 井 信 次
日本試薬連合会