K 8447:2018
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度(NaCN) ·············································································································· 3
6.3 水溶状 ························································································································· 4
6.4 塩化物(Cl) ················································································································ 4
6.5 りん酸塩(PO4) ··········································································································· 5
6.6 硫酸塩(SO4) ·············································································································· 6
6.7 硫化物(S) ·················································································································· 6
6.8 チオシアン酸塩(SCN) ································································································· 7
6.9 カリウム(K) ·············································································································· 8
6.10 鉛(Pb)及び鉄(Fe) ·································································································· 9
7 容器······························································································································ 10
8 表示······························································································································ 10
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8447:1993は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成30年8月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 8447:1993によることができる。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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シアン化ナトリウム(試薬)
Sodium cyanide (Reagent)
NaCN FW:49.01
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適用範囲
この規格は,試薬として用いるシアン化ナトリウムについて規定する。
警告1 シアン化ナトリウムは毒物で,酸との接触によって猛毒で引火性のシアン化水素が発生する
ので,取扱いはドラフト内で行わなければならない。
警告2 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とす
る。この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするもので
はない。この規格の利用者は,SDS(安全データシート)などを参考にして,各自の責任に
おいて安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8085 アンモニア水(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8121 塩化カリウム(試薬)
JIS K 8142 塩化鉄(III)六水和物(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8230 過酸化水素(試薬)
JIS K 8374 酢酸鉛(II)三水和物(試薬)
JIS K 8533 ビス[(+)-タルトラト]二アンチモン(III)酸二カリウム三水和物(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8588 アミド硫酸アンモニウム(試薬)
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JIS K 8905 七モリブデン酸六アンモニウム四水和物(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8949 硫化ナトリウム九水和物(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JIS K 9000 チオシアン酸アンモニウム(試薬)
JIS K 9007 りん酸二水素カリウム(試薬)
JIS K 9502 L(+)-アスコルビン酸(試薬)
JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
シアン化ナトリウムは,白又は黄みの白の結晶又は結晶性粉末で,潮解性があり,水に極めて溶けやす
く,エタノール(99.5)に溶けにくい。酸及び光によって分解する。水溶液は,塩基性である。
4.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料0.5 gに水30 mLを加えて溶かす(A液)。A液10 mLに水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)1 mL
及び硫酸鉄(II)溶液(100 g/L)0.2 mLを加えて加熱し,冷却後,塩化鉄(III)溶液(100 g/L)0.2 mL
及び塩酸(2+1)1 mLを加えると,青い沈殿が生じる。
b) 炎色試験は,直径約0.8 mmの白金線の先端から約30 mmまでを塩酸(1+1)に浸し,ガスバーナー
の無色炎中1)に入れた後,放冷する。この操作を炎に色が現れなくなるまで繰り返す。白金線の先端
約5 mmを水で浸し,少量の試料を付着させたものをガスバーナーの無色炎中に入れると黄が現れる。
注1) 炎色試験に用いるガスバーナーは,炎の長さ約120 mm,内炎の長さ約30 mm程度とする。
白金線は,内炎の最上部から約10 mmの位置に水平に入れる。
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品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
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表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(NaCN)
質量分率 %
97.0以上
6.2
水溶状
−
試験適合
6.3
塩化物(Cl)
質量分率 %
0.02以下
6.4
りん酸塩(PO4)
質量分率 %
0.02以下
6.5
硫酸塩(SO4)
質量分率 %
0.01以下
6.6
硫化物(S)
質量分率 %
0.003以下
6.7
チオシアン酸塩(SCN)
質量分率 %
0.02以下
6.8
カリウム(K)
質量分率 %
0.1以下
6.9
鉛(Pb)
質量分率 %
0.002以下
6.10
鉄(Fe)
質量分率 %
0.003以下
6.10
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(NaCN)
純度(NaCN)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) アンモニア水(2+3) JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0 %〜30.0 %)の体積2と
水の体積3とを混合したもの。
2) よう化カリウム溶液(100 g/L) JIS K 8913に規定するよう化カリウム1.0 gをはかりとり,水を加
えて溶かし,水を加えて10 mLにしたもの。使用時に調製する。
3) 0.1 mol/L硝酸銀溶液(AgNO3:16.99 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀を用い,JIS K 8001のJA.6.4
n)(0.1 mol/L 硝酸銀溶液)に従って調製,標定及び計算する。
b) 装置 主な装置は,次による。
− 自動滴定装置(必要な場合に用いる。) 電位差滴定の機能をもち,最小吐出量が0.01 mL以下のも
の。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料0.3 gをコニカルビーカー200 mLなどに0.1 mgの桁まではかりとり,水30 mLを加えて溶かし,
よう化カリウム溶液(100 g/L)0.2 mL及びアンモニア水(2+3)3 mLを加え,0.1 mol/L硝酸銀溶
液で滴定する。
2) 終点は,僅かな濁りが持続する点とする。
3) または,JIS K 0113の5.(電位差滴定方法)によって,指示電極に硫酸水銀,又は塩化銀電極の内
部液を硝酸カリウム溶液に置き換えたもので,参照電極に銀又は,銀−塩化銀電極を用いるか,指
示電極と参照電極とを組み合わせた複合銀電極を用いて,0.1 mol/L硝酸銀溶液で滴定する。
4) 終点は変曲点とする。
d) 計算 純度(NaCN)は,次の式によって算出する。
100
802
009
.0
×
×
×
=
m
f
V
A
ここに,
A: 純度(NaCN)(質量分率 %)
V: 滴定に要した0.1 mol/L硝酸銀溶液の体積(mL)
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f: 0.1 mol/L硝酸銀溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.009 802: 0.1 mol/L硝酸銀溶液1 mLに相当するNaCNの質量を示
す換算係数(g/mL)
6.3
水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合したもの。
2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加
えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウ
ム1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“ほとんど澄明”を用いる。
ほとんど澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.5 mLを共通すり合わせ平底
試験管[c)参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,水を
加えて20 mLとし,振り混ぜてから15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次による。
− 共通すり合わせ平底試験管 例えば,容量50 mL,直径約23 mmで目盛のあるもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし,水を加えて20 mLにす
る。
2) 試料を溶かした直後に濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を共通す
り合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。
e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“水溶状:試験適合(規格値)”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。
6.4
塩化物(Cl)
塩化物(Cl)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 過酸化水素 JIS K 8230に規定するもの。
2) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。
3) 硝酸銀溶液(20 g/L) 6.3 a) 2)による。
4) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 6.3 a) 3)による。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
2) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
c) 操作 操作は,有毒なシアン化水素が発生するので,排気に注意して次のとおり行う。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
1) 試料溶液の調製は,試料0.1 gをはかりとり,水を加えて10 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)2.0 mLをビーカー50 mLなどにとり,水8 mL
を加える。
3) 試料溶液及び比較溶液に過酸化水素2 mLを加え,直ちに時計皿などを載せ,沸騰水浴上で20分間
加熱し,冷却後,共通すり合わせ平底試験管に移し,水を加えて20 mLにする。
4) 試料溶液及び比較溶液に硝酸(1+2)5 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加えて振り混ぜた後,
15分間放置する。
5) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c)によって操作し,試料溶液から得られた液の濁りが,比較溶液から得られた液の白濁より濃
くないとき,“塩化物(Cl):質量分率0.02 %以下(規格値)”とする。
6.5
りん酸塩(PO4)
りん酸塩(PO4)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合したもの。
2) 七モリブデン酸六アンモニウム−アスコルビン酸溶液 JIS K 8905に規定する七モリブデン酸六ア
ンモニウム四水和物6 g,JIS K 8533に規定するビス[(+)-タルトラト]二アンチモン(III)酸二カ
リウム三水和物0.24 g,水300 mL,硫酸(2+1)120 mL及びJIS K 8588に規定するアミド硫酸ア
ンモニウム5 gを加えて溶かし,水で500 mLにする(A液)。
JIS K 9502に規定するL(+)-アスコルビン酸7.2 gを水に溶かし,水を加えて100 mLにする(B液)。
使用時にA液及びB液を体積比5:1で混合する。
なお,硫酸(2+1)の調製は,水の体積1を冷却し,かき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫
酸の体積2を徐々に加える。
3) りん酸塩標準液(PO4:0.01 mg/L) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,りん酸塩標準液(PO4:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 9007に規定するりん酸二水
素カリウム1.43 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて
混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
2) 水浴 6.4 b) 2)による。
c) 操作 操作は,有毒なシアン化水素が発生するので,排気に注意して次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料0.1 gをビーカー50 mLなどにはかりとり,水5 mL及び塩酸(2+1)2 mL
を徐々に加え,沸騰水浴上で蒸発乾固し,塩酸(2+1)4 mLを加えて,再び沸騰水浴上で蒸発乾固
し,水20 mLを加えて,共通すり合わせ平底試験管に移す。
2) 比較溶液の調製は,塩酸(2+1)6 mLをビーカー50 mLなどにとり,沸騰水浴上で蒸発乾固し,り
ん酸塩標準液(PO4:0.01 mg/mL)2.0 mL及び水18 mLを加えて,共通すり合わせ平底試験管に移
す。
3) 試料溶液及び比較溶液に,七モリブデン酸六アンモニウム−アスコルビン酸溶液2 mL及び水を加
え25 mLにし,振り混ぜて,20 ℃〜40 ℃で15分間放置する。
4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
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管の上方又は側方から観察して,色を比較する。
d) 判定 c)によって操作し,試料溶液から得られた液の色が,比較溶液から得られた液の青より濃くな
いとき,“りん酸塩(PO4):質量分率0.02 %以下(規格値)”とする。
6.6
硫酸塩(SO4)
硫酸塩(SO4)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) 塩酸(2+1) 6.5 a) 1)による。
3) 塩化バリウム溶液(100 g/L) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gをはかりとり,
水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにしたもの。
4) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8962に規定する硫酸カリウム
1.81 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
2) ろ紙(必要な場合に用いる。) JIS P 3801に規定する5種Cのもの。
3) 水浴 6.4 b) 2)による。
c) 操作 操作は,有毒なシアン化水素が発生するので,排気に注意して次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料0.5 gをビーカー50 mLなどにはかりとり,水5 mL及び塩酸(2+1)5 mL
を加え,沸騰水浴上で蒸発乾固する。塩酸(2+1)5 mLを加え,沸騰水浴上で再び蒸発乾固し,塩
酸(2+1)0.3 mL及び水10 mLを加え,共通すり合わせ平底試験管に移し,水を加えて25 mLにす
る(濁りがある場合,ろ過する。)。
2) 比較溶液の調製は,塩酸(2+1)10 mLをビーカー50 mLなどにとり,沸騰水浴上で蒸発乾固する。
水10 mLを加えて溶かし,共通すり合わせ平底試験管に移し,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)
5.0 mL及び塩酸(2+1)0.3 mLを加え,水を加えて25 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,エタノール(95)3 mL及び塩化バリウム溶液(100 g/L)2 mLを加えて
振り混ぜた後,1時間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c)によって操作し,試料溶液から得られた液の濁りが,比較溶液から得られた液の白濁より濃
くないとき,“硫酸塩(SO4):質量分率0.01 %以下(規格値)”とする。
6.7
硫化物(S)
硫化物(S)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩基性酢酸鉛(II)溶液 JIS K 8374に規定する酢酸鉛(II)三水和物11.7 gをはかりとり,水を加
えて溶かし,水を加えて100 mLにした後,酢酸0.1 mLを加える。その10 mLに,一旦生じた沈殿
が溶けるまで水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)を加えたもの。使用時に調製する。
なお,水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)の調製は,JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム10.3
gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2) 硫化物標準液(S:0.01 mg/mL) JIS K 8949に規定する硫化ナトリウム九水和物7.49 g(質量分率
100 %としての相当量)を全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで
加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合
したもの。使用時に調製する。
b) 器具 主な器具は,次による。
− 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし,更に
水を加えて10 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,硫化物標準液(S:0.01 mg/mL)3.0 mLを共通すり合わせ平底試験管に正確に
とり,水を加えて10 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液それぞれに,塩基性酢酸鉛(II)溶液0.3 mLを加える。
4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,色を比較する。
d) 判定 c)によって操作し,試料溶液から得られた液の色が,比較溶液から得られた液の色より暗くな
いとき,“硫化物(S):質量分率0.003 %以下(規格値)”とする。
6.8
チオシアン酸塩(SCN)
チオシアン酸塩(SCN)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) 6.5 a) 1)による。
2) 塩化鉄(III)溶液(100 g/L) JIS K 8142に規定する塩化鉄(III)六水和物16.7 gをはかりとり,
塩酸(2+1)9 mL及び水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにしたもの。
3) チオシアン酸塩標準液(SCN:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
JIS K 9000に規定するチオシアン酸アンモニウム1.31 g(質量分率100 %としての相当量)を全
量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。この液10 mL
を全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具 主な器具は,次による。
− 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
c) 操作 操作は,有毒なシアン化水素が発生するので,排気に注意して次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料0.5 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし,水で
10 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,チオシアン酸塩標準液(SCN:0.01 mg/mL)10 mLを共通すり合わせ平底試験
管に正確にとる。
3) 試料溶液及び比較溶液それぞれに,塩酸(2+1)3 mL及び塩化鉄(III)溶液(100 g/L)0.05 mLを
加える。
4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,色を比較する。
d) 判定 c)によって操作し,試料溶液から得られた液の色が,比較溶液から得られた液の色より赤くな
いとき,“チオシアン酸塩(SCN):質量分率0.02 %以下(規格値)”とする。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.9
カリウム(K)
カリウム(K)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) 6.5 a) 1)による。
2) カリウム標準液(K:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,カリウム標準液(K:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8121に規定する塩化カリウ
ム1.91 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,更に水を標線まで加えて混合
する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエ
チレンなどの樹脂製瓶に保存する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。
2) 水浴 6.4 b) 2)による。
c) カリウム(K)の測定波長 カリウム(K)の測定波長の例を表2に示す。
表2−カリウムの測定波長の例
分析種
測定波長 nm
カリウム(K)
766.5
d) 操作 操作は,有毒なシアン化水素が発生するので,排気に注意して次のとおり行う。
1) 試料0.5 gをビーカー50 mLなどにはかりとり,水5 mL及び塩酸(2+1)5 mLを加え,沸騰水浴上
で蒸発乾固する。水20 mLを加えて溶かし,全量フラスコ100 mLに移し,水を標線まで加えて混
合する(S液)。
2) 試料溶液の調製は,S液20 mL(試料量0.1 g)を全量フラスコ100 mLに正確にとり,水を標線ま
で加えて混合する(X液)。
3) 比較溶液の調製は,S液20 mL(試料量0.1 g)を全量フラスコ100 mLに正確にとり,カリウム標
準液(K:0.01 mg/mL)10 mLを加え,水を標線まで加えて混合する(Y液)。
4) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表2に示す測
定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれアセチレン−空気フレ
ーム中に噴霧し,カリウム(K)の吸光度を測定し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読み取
る。
5) 測定結果は,X液の指示値n1をY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1と比較する。
e) 判定 d)によって操作し,n1がn2−n1より大きくないとき,“カリウム(K):質量分率0.1 %以下(規
格値)”とする。
注記 カリウム(K)の含有率(質量分率 %)は,次の式によっておおよその参考値を求めること
ができる。
100
000
1
1
2
1
×
×
−
×
=m
n
n
n
B
A
ここに,
A: 分析種の含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
m: X液に含まれる試料の質量(g)
6.10 鉛(Pb)及び鉄(Fe)
鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) 6.5 a) 1)による。
2) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 g
を全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mLを加えて溶かし,水を標線まで加えて
混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25 mLを加え,更に
水を標線まで加えて混合する。
3) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム
鉄(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて
溶かし,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸
(1+2)25 mLを加え,更に水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) フレーム原子吸光分析装置 6.9 b) 1)による。
2) 水浴 6.4 b) 2)による。
c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表3に示す。
表3−分析種の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
鉛(Pb)
283.3
鉄(Fe)
248.3
d) 操作 操作は,有毒なシアン化水素が発生するので,排気に注意して次のとおり行う。
1) 試料5 gをはかりとり,水10 mL及び塩酸(2+1)25 mLを加え,沸騰水浴上で蒸発乾固する。塩
酸(2+1)5 mLを加え,再び沸騰水浴上で蒸発乾固する。水20 mLを加えて溶かし,全量フラス
コ50 mLに移し,水を標線まで加えて混合する(B液)。
2) 試料溶液の調製は,B液20 mL(試料量2 g)を全量フラスコ100 mLに正確にとり,塩酸(2+1)1
mLを加えて,水を標線まで加えて混合する(X液)。
3) 比較溶液の調製は,B液20 mL(試料量2 g)を全量フラスコ100 mLに正確にとり,塩酸(2+1)1
mL,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)4.0 mL及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)6.0 mLを加えて,水を
標線まで加えて混合する(Y液)。
4) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表3に示す測
定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれアセチレン−空気フレ
ーム中に噴霧し,分析種の吸光度を測定し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読み取る。
5) 測定結果は,X液の指示値n1をY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1と比較する。
e) 判定 d)によって操作し,n1がn2−n1より大きくないとき,“鉛(Pb):質量分率0.002 %以下(規格
値),鉄(Fe):質量分率0.003 %以下(規格値)”とする。
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K 8447:2018
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,6.9 e)の注記によって求めることができる。
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容器
容器は,遮光した気密容器とする。
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表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称“シアン化ナトリウム”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造年月又はその略号
i)
製造業者名又はその略号