K 8410:2014
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度(CaO)(強熱後) ··································································································· 3
6.3 強熱減量(800 ℃,4時間) ···························································································· 5
6.4 塩化物(Cl) ················································································································ 5
6.5 硫酸塩(SO4) ·············································································································· 6
6.6 炭酸塩(CO3) ·············································································································· 6
6.7 ナトリウム(Na),カリウム(K)及びマグネシウム(Mg) ·················································· 7
6.8 重金属(Pbとして) ······································································································ 8
6.9 鉄(Fe) ······················································································································ 9
7 容器······························································································································ 10
8 表示······························································································································ 10
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8410:1994は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
K 8410:2014
酸化カルシウム(試薬)
Calcium oxide (Reagent)
CaO FW:56.08
序文
この規格は,1950年に制定され,その後3回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は1994年に
行われたが,その後の試験・研究開発などの技術進歩に対応するために改正した。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる酸化カルシウム1) について規定する。
注1) 別名 生石灰
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS K 8085 アンモニア水(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)
JIS K 8116 塩化アンモニウム(試薬)
JIS K 8121 塩化カリウム(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8201 塩化ヒドロキシルアンモニウム(試薬)
JIS K 8202 塩化1,10-フェナントロリニウム一水和物(試薬)
JIS K 8295 グリセリン(試薬)
JIS K 8359 酢酸アンモニウム(試薬)
JIS K 8371 酢酸ナトリウム三水和物(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
2
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JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8736 エリオクロムブラックT(試薬)
JIS K 8776 2-ヒドロキシ-1-(2-ヒドロキシ-4-スルホ-1-ナフチルアゾ)-3-ナフトエ酸(試薬)
JIS K 8949 硫化ナトリウム九水和物(試薬)
JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JIS K 8995 硫酸マグネシウム七水和物(試薬)
JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
酸化カルシウムは,白から薄い灰色の塊又は粉末で,水を加えると発熱し水酸化カルシウムになる。空
気中で二酸化炭素及び水分を吸収する。
4.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料0.1 gに水20 mlを加えて振り混ぜた上澄み液は,アルカリ性である。
b) 試料0.1 gに水5 ml及び硝酸(1+2)10 mlを加え溶かす(A液)。A液5 mlに酢酸ナトリウム溶液(200
g/l)10 mlを加え,しゅう酸アンモニウム溶液(40 g/l)1 mlを加えると,白い沈殿が生じる。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(CaO)(強熱後)
質量分率 %
98.0以上
6.2
強熱減量(800 ℃,4時間) 質量分率 %
6.0以下
6.3
塩化物(Cl)
質量分率 %
0.05以下
6.4
硫酸塩(SO4)
質量分率 %
0.08以下
6.5
炭酸塩(CO3)
試験適合
6.6
ナトリウム(Na)
質量分率 %
0.5以下
6.7
カリウム(K)
質量分率 %
0.1以下
6.7
マグネシウム(Mg)
質量分率 %
0.05以下
6.7
重金属(Pbとして)
質量分率 %
0.005以下
6.8
鉄(Fe)
質量分率 %
0.015以下
6.9
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試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(CaO)(強熱後)
純度(CaO)(強熱後)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) アンモニア性塩化アンモニウム溶液 JIS K 8116に規定する塩化アンモニウム7 gにJIS K 8085に
規定するアンモニア水(質量分率28.0 %〜30.0 %)57 ml及び水を加えて溶かし,水で100 mlにす
る。ポリエチレンなどの樹脂製の瓶に密栓して保存する。
2) エリオクロムブラックT希釈粉末 JIS K 8736に規定するエリオクロムブラックT 0.10 g及びJIS K
8150に規定する塩化ナトリウム10 gを混合する。褐色ガラス製の瓶に保存する。
3) エリオクロムブラックT溶液 エリオクロムブラックT 0.5 gをメタノールに溶かして100 mlにす
る。これにJIS K 8201に規定する塩化ヒドロキシルアンモニウム0.5 gを加えて溶かす。褐色ガラ
ス製の瓶に保存する。
4) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸の体積2と水の体積1とを混合する。
5) 塩酸(1+3) 塩酸の体積1と水の体積3とを混合する。
6) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %)の体積1と水の体積2とを混合
する。
7) 水酸化ナトリウム溶液(100 g/l) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム10.3 gを水に溶かして
100 mlにする。高密度ポリエチレンなどの樹脂製の瓶に保存する。
8) 2-ヒドロキシ-1-(2-ヒドロキシ-4-スルホ-1-ナフチルアゾ)-3-ナフトエ酸希釈粉末(HSNN希釈粉末)
JIS K 8776に規定する2-ヒドロキシ-1-(2-ヒドロキシ-4-スルホ-1-ナフチルアゾ)-3-ナフトエ酸
(HSNN)0.20 gにJIS K 8962に規定する硫酸カリウム10 gを混合する。褐色ガラス製の瓶に保存
する。
9) 0.01 mol/l 亜鉛溶液(Zn:0.653 8 g/l) 0.01 mol/l 亜鉛溶液の調製及び計算は,次による。
注記1 0.01 mol/l 亜鉛溶液の調製及び計算は,JIS K 8001のJA.5.2(滴定用溶液の調製,標定及
び計算)a) 3) と同じである。
9.1) 調製 調製は,認証標準物質2) 又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質の亜鉛を用い,次
のとおり行う。
9.1.1) 認証標準物質2) の亜鉛は,認証書に定める方法で使用する。
9.1.2) 容量分析用標準物質の亜鉛を用いる場合,試験成績書などに従って乾燥する。
9.1.3) 認証標準物質2) 又は容量分析用標準物質の亜鉛0.33 gを0.1 mgの桁まではかりとり,共通すり
合わせ冷却管が付けられる三角フラスコ300 mlに移し,水25 ml及び硝酸(1+2)25 mlを加え,
冷却管を付けて水浴上で加熱して溶かす。次に,穏やかに煮沸して窒素酸化物を除いた後,放冷
し,全量フラスコ500 mlに移し,溶かすのに使用した三角フラスコ及び冷却管を水洗し,洗液
を先の全量フラスコ500 mlに加え,更に水を標線まで加えて混合した後,気密容器に入れて保
存する。
注2) 認証標準物質を供給する者として,独立行政法人産業技術総合研究所計量標準総合セン
ター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST)などの国家計量機関及び認証標準物質
生産者がある。
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9.2) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
0
9
.326
0
1
A
m
f
×
=
ここに,
f1: 0.01 mol/l 亜鉛溶液のファクター
m: はかりとった亜鉛の質量(g)
A: 亜鉛の純度(質量分率 %)
0.326 90: 0.01 mol/l 亜鉛溶液500 ml中の亜鉛の相当質量(g)
10) 0.01 mol/l エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(0.01 mol/l EDTA2Na溶液)
(C10H14O8N2Na2・2H2O:3.722 g/l) 0.01 mol/l エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液の
調製,標定及び計算は,次による。
注記2 0.01 mol/l EDTA2Na溶液は,JIS K 8001のJA.5.2(滴定用溶液の調製,標定及び計算)
c) 4) と同じである。
10.1) 調製 JIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(EDTA2Na)
3.8 gをはかりとり,水1 000 mlを加えて溶かした後,ポリエチレンなどの樹脂製の気密容器に入
れて保存する。
10.2) 標定 0.01 mol/l 亜鉛溶液25 mlをコニカルビーカー200 mlなどに正確にはかりとり,水75 ml
を加えて,アンモニア性塩化アンモニウム溶液5 ml及び指示薬としてエリオクロムブラックT
希釈粉末0.02 g〜0.03 g又はエリオクロムブラックT溶液を2,3滴を加え,10.1) で調製した0.01
mol/l EDTA2Na溶液で滴定する。終点は,液の色が赤から青に変わった点とする。
10.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
V
f
f
25
1×
=
ここに,
f: 0.01 mol/l EDTA2Na溶液のファクター
f1: 0.01 mol/l 亜鉛溶液のファクター
V: 滴定に要した0.01 mol/l EDTA2Na溶液の体積(ml)
b) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 6.3の残分0.7 gを0.1 mgの桁までビーカー200 mlなどにはかりとり,水50 ml及び塩酸(2+1)5 ml
を加え,加熱して溶かし,冷却し,全量フラスコ500 mlに移し,水を標線まで加えて混合する(S
液)。
2) S液10 ml(試料量0.014 g)をコニカルビーカー200 mlなどに正確にはかりとり,水酸化ナトリウ
ム溶液(100 g/l)15 mlを加え,0.01 mol/l EDTA2Na溶液で滴定する。指示薬は,HSNN希釈粉末0.05
gを加える。終点は,液の色が赤から青に変わった点とする。
c) 計算 純度(CaO)(強熱後)は,次の式を用いて計算する。
100
500
/
10
8
560
000
.0
×
×
×
×
=
m
f
V
A
ここに,
A: 純度(CaO)(強熱後)(質量分率 %)
V: 滴定に要した0.01 mol/l EDTA2Na溶液の体積(ml)
f: 0.01 mol/l EDTA2Na溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.000 560 8: 0.01 mol/l EDTA2Na溶液1 mlに相当するCaOの質量
を示す換算係数(g/ml)
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6.3
強熱減量(800 ℃,4時間)
強熱減量(800 ℃,4時間)は,JIS K 0067の4.2(強熱減量試験)による。ただし,砕いた試料1.0 g
を0.1 mgの桁まではかりとり,800 ℃で4時間強熱する。残分は,6.2の試験に用いる。
6.4
塩化物(Cl)
塩化物(Cl)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.2 a) 6) による。
2) 硝酸銀溶液(20 g/l) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mlにする。褐色ガラス
製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液
3.1) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
3.1.1) 計量標準供給制度[JCSS 3)]に基づく標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致し
た場合に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する(以下,“JCSSに基づく標準液”
という。)。
3.1.2) JCSS以外の認証標準液で酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,必要な
場合は,適切な方法で希釈して使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液がない場合は,市販
の標準液を用いる(以下,JCSS以外の認証標準液及び市販の標準液を合わせて,“JCSS以外の
認証標準液など”という。)。
3.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム1.65 gを全量フラスコ1 000 mlにはかりとり,水を加えて
溶かし,水を標線まで加えて混合する。
注3) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。
3.2) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml
を正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
1) 共通すり合わせ平底試験管 濁り,ごみなどの有無が確認しやすい大きさで,目盛のあるもの。例
として,容量50 ml,直径約23 mmのもの。
2) 洗浄ろ紙(5種C) JIS K 8001の5.7 f)(洗浄ろ紙)による。この場合,ろ紙はJIS P 3801に規定
する5種Cを用いる。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料0.50 gをビーカー200 mlなどにはかりとり,水15 ml及び硝酸(1+2)25 ml
を加え,加熱して溶かし,冷却する。洗浄ろ紙(5種C)を用いてろ過し,残分及びろ紙を水で洗
い,ろ液と洗液を全量フラスコ100 mlにはかりとり,水を標線まで加えて混合する。その20 ml(試
料量0.10 g)を共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて25 mlにする。
2) 比較溶液の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)5.0 ml及び硝酸(1+2)5 mlを共通すり合わせ
平底試験管にはかりとり,水を加えて25 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加え振り混ぜた後,15分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側面から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“塩化物(Cl):質量分率0.05 %以下(規格値)”とす
る。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.5
硫酸塩(SO4)
硫酸塩(SO4)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) 塩化バリウム溶液(100 g/l) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gを水に溶かして
100 mlにする。
3) 塩酸(2+1) 6.2 a) 4) による。
4) 硫酸塩標準液
4.1) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
4.1.1) JCSSに基づく標準液 6.4 a) 3.1.1) に準じる。
4.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.4 a) 3.1.2) に準じる。
4.1.3) JIS K 8962に規定する硫酸カリウム1.81 gを全量フラスコ1 000 mlにはかりとり,水を加えて溶
かし,水を標線まで加えて混合する。
4.2) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/ml) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml
に正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.4 b) 1) による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料0.10 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水5 ml及び塩酸(2+1)
5 mlを加えて溶かし,水を加えて20 mlにする。
2) 比較溶液の調製は,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/ml)8.0 ml及び塩酸(2+1)5 mlを共通すり合わ
せ平底試験管にはかりとり,水を加えて20 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,エタノール(95)3 ml及び塩化バリウム溶液(100 g/l)2 mlを加えて振
り混ぜた後,30分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側面から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“硫酸塩(SO4):質量分率0.08 %以下(規格値)”とす
る。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.6
炭酸塩(CO3)
炭酸塩(CO3)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
塩酸(2+1) 6.2 a) 4) による。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.4 b) 1) による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料の前処理は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水10 mlを加えて試料を崩
壊させる。さらに,水40 mlを加えて,振り混ぜた後,放置し,上澄み液を捨てる。
2) 試料溶液の調製は,前処理された試料に塩酸(2+1)5 mlを加え,共通すり合わせ平底試験管の上
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方又は側面から観察して発生する泡の程度を観察する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“炭酸塩(CO3):試験適合”とする。
試料溶液から発生する泡の程度は,僅かに泡がでる状態にとどまる。
6.7
ナトリウム(Na),カリウム(K)及びマグネシウム(Mg)
ナトリウム(Na),カリウム(K)及びマグネシウム(Mg)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) 6.2 a) 4) による。
2) ナトリウム標準液,カリウム標準液及びマグネシウム標準液
2.1) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml),カリウム標準液(K:1 mg/ml)及びマグネシウム標準液(Mg:
1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
2.1.1) JCSSに基づく標準液 6.4 a) 3.1.1) に準じる。
2.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.4 a) 3.1.2) に準じる。
2.1.3) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml),カリウム標準液(K:1 mg/ml)及びマグネシウム標準液(Mg:
1 mg/ml)を調製する場合 調製は,次による。
2.1.3.1) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム2.54 gを全量フラ
スコ1 000 mlにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン
などの樹脂製の瓶に保存する。
2.1.3.2) カリウム標準液(K:1 mg/ml) JIS K 8121に規定する塩化カリウム1.91 gを全量フラスコ1 000
mlにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレンなどの樹脂
製の瓶に保存する。
2.1.3.3) マグネシウム標準液(Mg:1 mg/ml) JIS K 8995に規定する硫酸マグネシウム七水和物10.1 g
を全量フラスコ1 000 mlにはかりとり,塩酸(2+1)15 ml及び水を加えて溶かし,水を標線
まで加えて混合する。
2.2) ナトリウム標準液(Na:0.1 mg/ml),カリウム標準液(K:0.01 mg/ml)及びマグネシウム標準液
(Mg:0.01 mg/ml) 次のものを用いる。
2.2.1) ナトリウム標準液(Na:0.1 mg/ml) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml)100 mlを全量フラスコ
1 000 mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレンなどの樹脂製の瓶に
保存する。
2.2.2) カリウム標準液(K:0.01 mg/ml) カリウム標準液(K:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000
mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレンなどの樹脂製の瓶に保存
する。
2.2.3) マグネシウム標準液(Mg:0.01 mg/ml) マグネシウム標準液(Mg:1 mg/ml)10 mlを全量フ
ラスコ1 000 mlに正確にはかりとり,塩酸(2+1)15 mlを加え,水を標線まで加えて混合する。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。
c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を,表2に示す。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表2−分析種の測定波長の例
単位 nm
分析種
測定波長
ナトリウム
Na
589.0
カリウム
K
766.5
マグネシウム
Mg
285.2
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料0.50 gをはかりとり,水20 ml及び塩酸(2+1)2 mlを加えて加熱して溶
かし,冷却後,全量フラスコ100 mlに移し,水を標線まで加えて混合する(A液)。A液10 ml(試
料量0.050 g)を全量フラスコ100 mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,A液10 ml(試料量0.050 g)を全量フラスコ100 mlに正確にはかりとり,ナト
リウム標準液(Na:0.1 mg/ml)2.5 ml,カリウム標準液(K:0.01 mg/ml)5.0 ml及びマグネシウム
標準液(Mg:0.01 mg/ml)2.5 mlを加え,水を標線まで加えて混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,表2に示す測定波長付近で吸光
度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸光度を
測定し,X液の指示値(n1)及びY液の指示値(n2)を読み取る。
4) 測定結果は,X液の指示値n1をY液の指示値n2からX液の指示値n1を引いたn2−n1と比較する。
e) 判定 d) によって操作し,次に適合するとき,“ナトリウム(Na):質量分率0.5 %以下(規格値),
カリウム(K):質量分率0.1 %以下(規格値),マグネシウム(Mg):質量分率0.05 %以下(規格値)”
とする。
n1は,n2−n1より大きくない。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)を求める場合は,次の式によって計算する。
100
000
1
1
2
1
×
×
−
×
=m
n
n
n
B
A
ここに,
A: 分析種の含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
6.8
重金属(Pbとして)
重金属(Pbとして)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) 6.2 a) 4) による。
2) 酢酸ナトリウム溶液(200 g/l) JIS K 8371に規定する酢酸ナトリウム三水和物33.2 gを水に溶か
して100 mlにする。
3) 硝酸(1+2) 6.2 a) 6) による。
4) 硫化ナトリウム・グリセリン溶液 JIS K 8295に規定するグリセリン30 mlに水10 mlを加えた溶
液にJIS K 8949に規定する硫化ナトリウム九水和物5 gを加えて溶かす。放置後,その上澄み液を
用いる。冷所に保存し3か月以内に使用する。
5) 鉛標準液
5.1) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml) 次のいずれかを用いる。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.1.1) JCSSに基づく標準液 6.4 a) 3.1.1) に準じる。
5.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.4 a) 3.1.2) に準じる。
5.1.3) JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 gを全量フラスコ1 000 mlにはかりとり,硝酸(1+2)1
ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
5.2) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確に
はかりとり,水を標線まで加えて混合する。使用時に調製する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) ろ紙(5種C) 6.4 b) 2) による。
2) 蒸発皿 JIS R 3503に規定するもの。
3) 共通すり合わせ平底試験管 6.4 b) 1) による。
4) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料3.0 gを蒸発皿にはかりとり,水30 ml,塩酸(2+1)30 ml及び硝酸(1+
2)6 mlを加えて溶かし,水浴上で蒸発乾固する。さらに,塩酸(2+1)3 ml及び水15 mlを加えて
加熱して溶かし,冷却後,ろ紙(5種C)を用いてろ過し,水で洗浄する。ろ液と洗浄液を合わせ
て,水浴上でほとんど乾固させ,水を加えて60 mlとする(B液)。B液30 ml(試料量1.5 g)を,
共通すり合わせ平底試験管にはかりとる。
2) 比較溶液の調製は,塩酸(2+1)11 ml及び硝酸(1+2)2 mlを,水浴上で蒸発乾固し,少量の水
で共通すり合わせ平底試験管に入れ,更に,B液10 ml(試料量0.5 g)及び鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml)
5 mlを加えて,水で30 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,塩酸(2+1)0.5 mlを加えた後,酢酸ナトリウム溶液(200 g/l)でpH約
3.5に調節し,水を加えて40 mlにする。硫化ナトリウム・グリセリン溶液0.05 mlを加えて振り混
ぜた後,5分間放置する。
4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側面から観察して,暗色を比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“重金属(Pbとして):質量分率0.005 %以下(規格値)”
とする。
試料溶液から得られた液の暗色は,比較溶液から得られた液の暗色より濃くない。
6.9
鉄(Fe)
鉄(Fe)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(100 g/l) JIS K 8201に規定する塩化ヒドロキシルアンモニ
ウム10 gを水に溶かして100 mlにする。
2) 塩酸(2+1) 6.2 a) 4) による。
3) 酢酸アンモニウム溶液(250 g/l) JIS K 8359に規定する酢酸アンモニウム25 gを水に溶かして100
mlにする。
4) 1,10-フェナントロリン溶液(2 g/l) JIS K 8202に規定する塩化1,10-フェナントロリニウム一水和
物0.28 gを水に溶かして100 mlにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
5) 鉄標準液
5.1) 鉄標準液(Fe:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.1.1) JCSSに基づく標準液 6.4 a) 3.1.1) に準じる。
5.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.4 a) 3.1.2) に準じる。
5.1.3) JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mlにはかり
とり,塩酸(2+1)3 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶
に保存する。
5.2) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml) 鉄標準液(Fe:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確には
かりとり,塩酸(2+1)3 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存
する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.4 b) 1) による。
2) 蒸発皿 6.8 b) 2) による。
3) 水浴 6.8 b) 4) による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gに,水10 ml及び塩酸(2+1)10 mlを加え,加熱して溶かし,冷却
後,全量フラスコ100 mlに移し,水を標線まで加えて混合する(C液)。C液10 ml(試料量0.10 g)
を蒸発皿にはかりとり,水浴上で蒸発乾固し,少量の水で共通すり合わせ平底試験管に移し,塩酸
(2+1)1 mlを加えて水で15 mlにする。
2) 比較溶液の調製は,鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml)1.5 mlを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,
塩酸(2+1)1 mlを加え,更に水を加えて15 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(100 g/l)1 mlを加えて,5分間放
置した後,1,10-フェナントロリン溶液(2 g/l)1 ml,酢酸アンモニウム溶液(250 g/l)5 ml及び水
を加えて25 mlとし,20 ℃〜30 ℃で15分間放置する。
4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側面から観察して,黄みの赤を比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“鉄(Fe):質量分率0.015 %以下(規格値)”とする。
試料溶液から得られた液の黄みの赤は,比較溶液から得られた液の黄みの赤より濃くない。
7
容器
容器は,気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称 “酸化カルシウム”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 内容量
f)
製造番号
g) 製造年月又はその略号
h) 製造業者又はその略号