K 8405:2018
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度(ZnO) ················································································································ 3
6.3 酢酸溶状 ······················································································································ 4
6.4 強熱減量 ······················································································································ 5
6.5 塩化物(Cl) ················································································································ 5
6.6 硝酸塩 ························································································································· 5
6.7 りん酸塩(PO4) ··········································································································· 6
6.8 硫黄化合物(SO4として) ······························································································· 7
6.9 ナトリウム(Na),カリウム(K)及びカルシウム(Ca)······················································ 8
6.10 鉛(Pb) ···················································································································· 9
6.11 ひ素(As) ················································································································· 10
6.12 マンガン(Mn)及び鉄(Fe) ······················································································· 11
6.13 過マンガン酸還元性物質 ······························································································· 12
7 容器······························································································································ 13
8 表示······························································································································ 13
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8405:1994は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成30年8月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 8405:1994によることができる。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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酸化亜鉛(試薬)
Zinc oxide (Reagent)
ZnO FW:81.39
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる酸化亜鉛について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8012 亜鉛(試薬)
JIS K 8044 三酸化二ひ素(試薬)
JIS K 8085 アンモニア水(試薬)
JIS K 8092 インジゴカルミン(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)
JIS K 8116 塩化アンモニウム(試薬)
JIS K 8121 塩化カリウム(試薬)
JIS K 8136 塩化すず(II)二水和物(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬)
JIS K 8160 塩化マンガン(II)四水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8201 塩化ヒドロキシルアンモニウム(試薬)
JIS K 8247 過マンガン酸カリウム(試薬)
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8374 酢酸鉛(II)三水和物(試薬)
JIS K 8529 臭素(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
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JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8580 すず(試薬)
JIS K 8617 炭酸カルシウム(試薬)
JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8736 エリオクロムブラックT(試薬)
JIS K 8777 ピリジン(試薬)
JIS K 8810 1-ブタノール(試薬)
JIS K 8891 メタノール(試薬)
JIS K 8905 七モリブデン酸六アンモニウム四水和物(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JIS K 9007 りん酸二水素カリウム(試薬)
JIS K 9512 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀(試薬)
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
酸化亜鉛は,白又はほとんど白の粉末で,水及びエタノール(99.5)にほとんど溶けない。希塩酸,希
硫酸,希酢酸及び水酸化ナトリウム溶液に溶ける。
4.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料1 gを磁器るつぼにはかりとり,強熱すると黄になり,冷えると白に戻る。
b) 試料0.1 gに水5 mLと酢酸(1+2)2 mLとを加えて溶かし,水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)1 mL
を加えると白い沈殿が生じる。さらに,水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)2 mLを加えると,その沈
殿は溶ける。
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品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
3
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表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(ZnO)
質量分率 %
99.0以上
6.2
酢酸溶状
−
試験適合
6.3
強熱減量
質量分率 %
0.5以下
6.4
塩化物(Cl)
質量分率 %
0.001以下
6.5
硝酸塩
−
試験適合
6.6
りん酸塩(PO4)
質量分率 ppm
5以下
6.7
硫黄化合物(SO4として)
質量分率 %
0.01以下
6.8
ナトリウム(Na)
質量分率 %
0.01以下
6.9
カリウム(K)
質量分率 %
0.01以下
6.9
カルシウム(Ca)
質量分率 %
0.01以下
6.9
鉛(Pb)
質量分率 %
0.005以下
6.10
ひ素(As)
質量分率 ppm
2以下
6.11
マンガン(Mn)
質量分率 ppm
5以下
6.12
鉄(Fe)
質量分率 ppm
5以下
6.12
過マンガン酸還元性物質
−
試験適合
6.13
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(ZnO)
純度(ZnO)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) アンモニア性塩化アンモニウム溶液(pH 10) JIS K 8116に規定する塩化アンモニウム7 gにJIS K
8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0 %〜30.0 %)57 mL及び水を加えて溶かし,水で100 mL
にしたもの。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。
2) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合したもの。
3) エリオクロムブラックT希釈粉末(必要な場合に用いる。) JIS K 8736に規定するエリオクロムブ
ラックT 0.10 g及びJIS K 8150に規定する塩化ナトリウム10 gを混合したもの。褐色ガラス製瓶に
保存する。
4) エリオクロムブラックT溶液(必要な場合に用いる。) JIS K 8736に規定するエリオクロムブラッ
クT 0.5 gをJIS K 8891に規定するメタノールに溶かして100 mLにする。これにJIS K 8201に規定
する塩化ヒドロキシルアンモニウム0.5 gを加えて溶かしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。
5) 0.1 mol/L エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(0.1 mol/L EDTA2Na溶液) JIS K 8107
に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物を用い,JIS K 8001のJA.6.4 c) 1)
(0.1 mol/L エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液)に従って調製,標定及び計算する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
2) 自動滴定装置(必要な場合に用いる。) 光度滴定の機能をもち,最小吐出量が0.01 mL以下のもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料2 gを50 mLビーカーなどに0.1 mgの桁まではかりとり,水10 mL及び塩酸(2+1)10 mLを
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加え,沸騰水浴上で加熱して溶かし,ほとんど蒸発乾固する。
2) 水10 mLを加えて溶かし,全量フラスコ250 mLに移し入れ,少量の水でビーカーなどの内壁を洗
浄し,洗液を全量フラスコ250 mLに合わせ,水を標線まで加えて混合する。
3) その液25 mL(試料量0.2 g)を三角フラスコ200 mLなどに正確にとり,アンモニア性塩化アンモ
ニウム溶液(pH 10)5 mL及び指示薬としてエリオクロムブラックT希釈粉末0.03 g〜0.04 g又はエ
リオクロムブラックT溶液2,3滴を加え,0.1 mol/L EDTA2Na溶液で滴定する。
4) 終点は,液の色が赤から赤紫を経て青に変わる点とする。
5) または,光度滴定によって,610 nm〜660 nmで0.1 mol/L EDTA2Na溶液で滴定する。
6) 終点は,変曲点とする。
d) 計算 純度(ZnO)は,次の式によって算出する。
100
250
25
139
008
.0
×
×
×
×
=
m
f
V
A
ここに,
A: 純度(ZnO)(質量分率 %)
V: 滴定に要した0.1 mol/L EDTA2Na溶液の体積(mL)
f: 0.1 mol/L EDTA2Na溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.008 139: 0.1 mol/L EDTA2Na溶液1 mLに相当するZnOの質量を示
す換算係数(g/mL)
6.3
酢酸溶状
酢酸溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 酢酸(1+2) JIS K 8355に規定する酢酸の体積1と水の体積2とを混合したもの。
2) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合したもの。
3) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加
えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。
4) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウ
ム1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“ほとんど澄明”を用いる。
ほとんど澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.5 mLを共通すり合わせ平底
試験管[c)参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,水を
加えて20 mLとし,振り混ぜてから15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次による。
− 共通すり合わせ平底試験管 例えば,容量50 mL,直径約23 mmで目盛のあるもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水10 mLを加えて,煮
沸(泡を除く。)し,冷却後,酢酸(1+2)10 mLを加え,穏やかにかき混ぜて溶かす。
2) 試料を溶かした直後に濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無及び泡の
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発生を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。
e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“酢酸溶状:試験適合(規格値)”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めず,連続した泡の発生は認めない。
6.4
強熱減量
JIS K 0067の4.2(強熱減量試験)による。この場合,試料2.0 gを0.1 mgの桁まではかり,650 ℃±50 ℃
で強熱する。
6.5
塩化物(Cl)
塩化物(Cl)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 2)による。
2) 硝酸銀溶液(20 g/L) 6.3 a) 3)による。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 6.3 a) 4)による。
b) 器具 主な器具は,次による。
− 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水10 mL及び硝酸(1+
2)7 mLを加えて溶かし,水を加えて20 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)1.0 mLを共通すり合わせ平底試験管にとり,
硝酸(1+2)7 mLを加え,水を加えて20 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加えて振り混ぜた後,15分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c)によって操作し,試料溶液から得られた液の濁りが,比較溶液から得られた液の白濁より濃
くないとき,“塩化物(Cl):質量分率0.001 %以下(規格値)”とする。
6.6
硝酸塩
硝酸塩の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。
2) インジゴカルミン溶液(1.8 g/L) JIS K 8092に規定するインジゴカルミン0.18 g(質量分率100 %
としての相当量)をはかりとり,塩酸(2+1)15 mL及び水を加えて溶かし,水を加えて100 mL
にしたもの。
なお,塩酸(2+1)の調製は,JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混
合する。
3) 塩酸(2+1) 6.2 a) 2)による。
4) 硫酸(1+5) 水の体積5を冷却し,かき混ぜながら,これにJIS K 8951に規定する硫酸の体積1
を徐々に加えたもの。
b) 器具 主な器具は,次による。
− 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,硫酸(1+5)5 mLを加
え,加熱して溶かす。冷却後,水を加えて10 mLにする。これにインジゴカルミン溶液(1.8 g/L)
0.10 mLを加え,硫酸10 mLを振り混ぜながら徐々に加え,10分間放置する。
2) 試料溶液の色の変化を,共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。
d) 判定 c)によって操作し,試料溶液から得られた液が青を保つとき,“硝酸塩:試験適合(規格値)”
とする。
注記 青を保つとき,硝酸塩の含有率は,硝酸塩(NO3)として質量分率約0.005 %以下。
6.7
りん酸塩(PO4)
りん酸塩(PO4)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 七モリブデン酸六アンモニウム溶液(りん酸定量用) JIS K 8905に規定する七モリブデン酸六アン
モニウム四水和物10.6 gをはかりとり,水70 mL及びJIS K 8085に規定するアンモニア水7 mLを
加え,加熱せずに溶かし,水を加えて100 mLにする。ろ過後,ろ液に水を加え200 mLにする。さ
らに,硫酸(1+5)10 mLを加える。洗浄は,これを分液漏斗に移し,JIS K 8810に規定する1-ブ
タノール30 mLを加え,1〜2分間激しく振り混ぜる。放置後,上層(1-ブタノール相)と下層(水
相)とを分離する(水相を保存する。)。確認試験は,洗浄操作で分離した1-ブタノール相(上層)
を硫酸(1+5)15 mLで洗い,硫酸相(下層)を除去する操作を2回行った後,1-ブタノール相(上
層)に塩化すず(II)溶液(りん酸定量用)15 mLを加え,30秒間振り混ぜて放置し,1-ブタノー
ル相(上層)が青くならないもの。
なお,確認試験で上層(1-ブタノール相)が青くなった場合は,保存水相の洗浄及び確認試験を
繰り返す。
2) 塩化すず(II)溶液(りん酸定量用) JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物40 gをはかり
とり,JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)60 mLを加えて溶かす。この液1 mLをとり,硫酸
(1+30)を加えて250 mLにしたもの。
なお,硫酸(1+30)の調製は,水の体積30を冷却し,かき混ぜながら,これにJIS K 8951に規
定する硫酸の体積1を徐々に加える。
3) 硫酸(1+5) 6.6 a) 4)による。
4) りん酸塩標準液(PO4:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,りん酸塩標準液(PO4:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 9007に規定するりん酸二水
素カリウム1.43 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を加えて1 000 mL
にする。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
2) 水浴 6.2 b) 1)による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,硫酸(1+5)5 mLを加
え,加熱して溶かす。冷却後,水を加えて20 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,共通すり合わせ平底試験管にりん酸塩標準液(PO4:0.01 mg/mL)1.0 mLをと
り,硫酸(1+5)5 mLを加え,水を加えて20 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,七モリブデン酸六アンモニウム溶液(りん酸定量用)1 mLを加えて振り
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混ぜて3分間放置する。これに塩化すず(II)溶液(りん酸定量用)1 mLを加え,振り混ぜて10
分間放置する。
4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,青を比較する。
d) 判定 c)によって操作し,試料溶液から得られた液の色が,比較溶液から得られた液の青より濃くな
いとき,“りん酸塩(PO4):質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。
6.8
硫黄化合物(SO4として)
硫黄化合物(SO4として)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) 塩化バリウム溶液(100 g/L) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gをはかりとり,
水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにしたもの。
3) 塩酸(2+1) 6.2 a) 2)による。
4) 臭素水 JIS K 8529に規定する臭素3 mL〜4 mLに水を加えて100 mLにしたもの。激しく振り混ぜ,
放置後,上澄み液を用いる。
5) 炭酸ナトリウム溶液(100 g/L) JIS K 8625に規定する炭酸ナトリウム10 gをはかりとり,水を加
えて溶かし,水を加えて100 mLにしたもの。
6) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8962に規定する硫酸カリウム
1.81 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
2) 水浴 6.2 b) 1)による。
c) 操作 操作は,有害な臭素及び塩酸が発生するので,排気に注意して,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gをビーカー50 mLなどにはかりとり,水15 mL,炭酸ナトリウム溶液
(100 g/L)0.2 mL及び臭素水0.5 mLを加え,15分間煮沸する。塩酸(2+1)5 mLを加え,沸騰水
浴上で蒸発乾固する。塩酸(2+1)0.3 mL及び水5 mLを加えて溶かし,共通すり合わせ平底試験
管に移し入れ,水を加えて25 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,ビーカー50 mLなどに炭酸ナトリウム溶液(100 g/L)0.2 mL,臭素水0.5 mL及
び塩酸(2+1)5 mLを加え,沸騰水浴上で蒸発乾固する。塩酸(2+1)0.3 mL及び水5 mLを加え
て溶かし,共通すり合わせ平底試験管に移し入れ,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)10 mLを加え,
水を加えて25 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,エタノール(95)3 mL及び塩化バリウム溶液(100 g/L)2 mLを加えて
振り混ぜた後,30分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c)によって操作し,試料溶液から得られた液の濁りが,比較溶液から得られた液の白濁より濃
くないとき,“硫黄化合物(SO4として):質量分率0.01 %以下(規格値)”とする。
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6.9
ナトリウム(Na),カリウム(K)及びカルシウム(Ca)
ナトリウム(Na),カリウム(K)及びカルシウム(Ca)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 2)による。
2) ナトリウム標準液(Na:0.1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,ナトリウム標準液(Na:0.1 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナト
リウム2.54 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合
する。この液100 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。ポリ
エチレンなどの樹脂製瓶に保存する。
3) カリウム標準液(K:0.1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,カリウム標準液(K:0.1 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8121に規定する塩化カリウム
1.91 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,更に水を標線まで加えて混合す
る。この液100 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエ
チレンなどの樹脂製瓶に保存する。
4) カルシウム標準液(Ca:0.1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,カルシウム標準液(Ca:0.1 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8617に規定する炭酸カルシ
ウム2.50 gをはかりとり,水50 mL及び塩酸(2+1)15 mLを加えて溶かし,沸騰しない程度に加
熱し,更に二酸化炭素を除き,冷却する。これを全量フラスコ1 000 mLに移し,水を標線まで加え
て混合する。この液100 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,塩酸(2+1)15 mLを加え,
更に水を標線まで加えて混合する。カルシウム系の可塑剤を含まないポリエチレンなどの樹脂製瓶
に保存する。
b) 装置 主な装置は,次による。
− フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。
c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表2に示す。
表2−分析種の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
ナトリウム(Na)
589.0
カリウム(K)
766.5
カルシウム(Ca)
422.7
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,硝酸(1+2)7 mL及び水を加
えて溶かし,水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,ナトリウム標準液(Na:0.1
mg/mL)1.0 mL,カリウム標準液(K:0.1 mg/mL)1.0 mL,カルシウム標準液(Ca:0.1 mg/mL)1.0
mL,硝酸(1+2)7 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表2に示す測
定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれアセチレン−空気フレ
ーム中に噴霧し,分析種の吸光度を測定し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読み取る。
4) 測定結果は,X液の指示値n1をY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1と比較する。
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e) 判定 d)によって操作し,n1がn2−n1より大きくないとき,“ナトリウム(Na):質量分率0.01 %以下
(規格値),カリウム(K):質量分率0.01 %以下(規格値),カルシウム(Ca):質量分率0.01 %以下
(規格値)”とする。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,次の式によっておおよその参考値を求めることができる。
なお,含有率を質量分率ppmに換算する場合は,Aに10 000を乗じるとよい。
100
000
1
1
2
1
×
×
−
×
=m
n
n
n
B
A
ここに,
A: 分析種の含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
6.10 鉛(Pb)
鉛(Pb)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 2)による。
2) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 g
を全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mLを加えて溶かし,水を標線まで加えて
混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25 mLを加え,更に
水を標線まで加えて混合する。
b) 装置 主な装置は,次による。
− フレーム原子吸光分析装置 6.9 b)による。
c) 鉛(Pb)の測定波長 鉛(Pb)の測定波長の例を表3に示す。
表3−鉛(Pb)の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
鉛(Pb)
283.3
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gをビーカー50 mLなどにはかりとり,硝酸(1+2)14 mLを加え,加
熱して溶かし,冷却後,全量フラスコ100 mLに移し入れ,水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,試料2.0 gをビーカー50 mLなどにはかりとり,硝酸(1+2)14 mLを加え,加
熱して溶かし,冷却後,全量フラスコ100 mLに移し入れ,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)10 mLを
加え,水を標線まで加えて混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表3に示す測
定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれアセチレン−空気フレ
ーム中に噴霧し,鉛(Pb)の吸光度を測定し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読み取る。
4) 測定結果は,X液の指示値n1をY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1と比較する。
e) 判定 d)によって操作し,n1がn2−n1より大きくないとき,“鉛(Pb):質量分率0.005 %以下(規格
値)”とする。
注記 鉛(Pb)の含有率(質量分率 %)は,6.9 e)の注記によって求めることができる。
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6.11 ひ素(As)
ひ素(As)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 亜鉛(ひ素分析用) JIS K 8012に規定する粒径150 μm〜1 400 μmのもの。
2) 塩酸(ひ素分析用) JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)のもの。
3) ピリジン JIS K 8777に規定するもの。
4) 塩化すず(II)溶液(N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀法用)[塩化すず(II)溶液(AgDDTC法
用)] JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物40 gをJIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析
用)に溶かし,JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)で100 mLにしたもの。JIS K 8580に規
定する小粒状のすず2,3個を加えて保存する。褐色ガラス製瓶に保存する。この液を,使用時に水
で10倍にうすめる。
5) 酢酸鉛(II)溶液(100 g/L) JIS K 8374に規定する酢酸鉛(II)三水和物11.6 gを水に溶かして100
mLにした後,JIS K 8355に規定する酢酸0.1 mLを加えたもの。
6) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀・ピリジン溶液(AgDDTC・ピリジン溶液) JIS K 9512に規
定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀0.5 gをJIS K 8777に規定するピリジンに溶かし,JIS K
8777に規定するピリジンで100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に入れ,冷所に保存する。
7) よう化カリウム溶液(200 g/L) JIS K 8913に規定するよう化カリウム20 gを水に溶かして100 mL
にしたもの。使用時に調製する。
8) ひ素標準液(As:0.001 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,ひ素標準液(As:0.001 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8044に規定する特級又は1級の
三酸化二ひ素1.32 gをはかりとり,水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)6 mLを加えて溶かし,水500
mLを加える。塩酸(ひ素分析用)(1+3)でpH 3〜5に調節した後,水で全量フラスコ1 000 mL
に移し,水を標線まで加えて混合する。この液25 mLを全量フラスコ250 mLに正確にとり,水を
標線まで加えて混合する。さらに,この10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線ま
で加えて混合する。
また,水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)及び塩酸(1+3)を調製する場合は,次による。
− 水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)の調製は,JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム10.3 gをは
かりとり,水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存
する。
− 塩酸(1+3)の調製は,JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の体積3とを混
合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 吸収セル(必要な場合に用いる。) 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,
光路長が10 mmのもの。
2) ひ素試験装置 例を図1に示す。
3) 分光光度計(必要な場合に用いる。) 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,ビーカー50 mLに試料1.0 gをはかりとり,水5 mL及び塩酸(ひ素分析用)3 mL
を加え,加熱して溶かす。冷却後,水素化ひ素発生瓶100 mLに移し,水で20 mLとする。
2) 比較溶液の調製は,ひ素標準液(As:0.001 mg/mL)2.0 mL及び塩酸(ひ素分析用)3 mLを水素化
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ひ素発生瓶100 mLにとり,水で40 mLとする。
3) 空試験溶液の調製は,塩酸(ひ素分析用)3 mLを水素化ひ素発生瓶100 mLにとり,水で40 mLに
する(空試験溶液は,吸光度を測定する場合に調製する。)。
4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液に,よう化カリウム溶液(200 g/L)15 mL及び塩化すず(II)
溶液(AgDDTC法用)5 mLを加えて振り混ぜ,10分間放置する。次に,亜鉛(ひ素分析用)3 gを
加え,直ちに水素化ひ素発生瓶100 mLと導管B(あらかじめ水素化ひ素吸収管CにAgDDTC・ピ
リジン溶液5 mLを入れ,導管Bと水素化ひ素吸収管Cとを連結しておく。)とを連結して約25 ℃
の水中で約1時間放置した後,水素化ひ素吸収管Cを離し,ピリジンを5 mLの標線まで加える。
5) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を水素化ひ素吸収管Cの上方
又は側方から観察して色を比較する。
なお,必要であれば吸収セルを用い,分光光度計で波長519 nm付近の吸収極大の波長における吸
光度を空試験溶液からのAgDDTC・ピリジン溶液を対照液としてJIS K 0115の6.(特定波長におけ
る吸収の測定)によって測定する。
d) 判定 c)によって操作し,次の1)又は2)に適合するとき,“ひ素(As):質量分率2 ppm以下(規格値)”
とする。
1) 試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の赤より濃くない。
2) 試料溶液から得られた液の吸光度は,比較溶液から得られた液の吸光度より大きくない。
A:
B:
C:
D:
E:
F:
G:
水素化ひ素発生瓶100 mL
導管
水素化ひ素吸収管
ゴム栓又はすり合わせ
酢酸鉛(II)溶液(100 g/L)で
湿したガラスウール
40 mLの標線
5 mLの標線
図1−ひ素試験装置の例
6.12 マンガン(Mn)及び鉄(Fe)
マンガン(Mn)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 2)による。
2) マンガン標準液(Mn:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,マンガン標準液(Mn:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8160に規定する塩化マンガ
ン(II)四水和物3.60 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,塩酸(2+1)15 mL及び水を加え
て溶かし,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝
酸(1+2)15 mL及び水を加え,水を標線まで加えて混合する。
3) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
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なお,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム
鉄(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて
溶かし,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸
(1+2)25 mLを加え,更に水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。
b) 装置 主な装置は,次による。
− フレーム原子吸光分析装置 6.9 b)による。
c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表4に示す。
表4−分析種の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
マンガン(Mn)
279.5
鉄(Fe)
248.3
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料10 gをビーカー200 mLなどにはかりとり,硝酸(1+2)65 mLを加え,加
熱して溶かし,冷却後,全量フラスコ100 mLに移し入れ,水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,試料10 gをビーカー200 mLなどにはかりとり,硝酸(1+2)65 mLを加え,加
熱して溶かし,冷却後,全量フラスコ100 mLに移し入れ,マンガン標準液(Mn:0.01 mg/mL)5.0
mL及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)5.0 mLを加え,水を標線まで加えて混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液を空気−アセチレンフレーム中に噴霧し,表4に示す測
定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれ空気−アセチレンフレ
ーム中に噴霧し,分析種の吸光度を測定し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読み取る。
4) 測定結果は,X液の指示値n1をY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1と比較する。
e) 判定 d)によって操作し,n1がn2−n1より大きくないとき,“マンガン(Mn):質量分率5 ppm以下(規
格値),鉄(Fe):質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。
注記 分析種の含有率(質量分率 ppm)は,6.9 e)の注記によって求めることができる。
6.13 過マンガン酸還元性物質
過マンガン酸還元性物質の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硫酸(1+15) 水の体積15を冷却し,かき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々
に加えたもの。
2) 0.02 mol/L過マンガン酸カリウム溶液(KMnO4:3.161 g/L) JIS K 8247に規定する過マンガン酸カ
リウムを用いて,JIS K 8001のJA.6.4 g)(0.02 mol/L 過マンガン酸カリウム溶液)に従って調製,
標定及び計算する。
b) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,ビーカー200 mLなどに硫酸(1+15)125 mLをとり,液温を約65 ℃に保ち,
0.02 mol/L過マンガン酸カリウム溶液を僅かな紅色になるまで加え,試料10 gを加え,0.02 mol/L
過マンガン酸カリウム溶液0.10 mLを加えて振り混ぜ,光を遮り,液温約65 ℃で1分間放置する。
2) 白の背景を用いて,ビーカーの上方又は側方から試料溶液の色を観察する。
c) 判定 b)によって操作し,試料溶液の色が紅色を保つとき,“過マンガン酸還元性物質:試験適合(規
格値)”とする。
13
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
7
容器
容器は,気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称“酸化亜鉛”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号