K 8364:2013
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 3
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度[(CH3COO)2Ca・H2O] ···························································································· 3
6.3 水溶状 ························································································································· 5
6.4 pH(50 g/l,25 ℃) ······································································································· 6
6.5 塩化物(Cl) ················································································································ 7
6.6 りん酸塩(PO4) ··········································································································· 7
6.7 硝酸塩(NO3) ·············································································································· 9
6.8 硫酸塩(SO4) ·············································································································· 9
6.9 ナトリウム(Na)及びカリウム(K)··············································································· 10
6.10 銅(Cu),バリウム(Ba),鉛(Pb)及び鉄(Fe) ···························································· 11
6.11 マグネシウム(Mg)及びストロンチウム(Sr) ································································ 15
7 容器······························································································································ 16
8 表示······························································································································ 16
K 8364:2013
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8364:1994は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成25年9月20日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 8364:1994によることができる。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 8364:2013
酢酸カルシウム一水和物(試薬)
Calcium acetate monohydrate (Reagent)
(CH3COO)2Ca・H2O FW:176.18
序文
この規格は,1954年に制定され,その後5回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は,1994年に
行われたが,その後の試験・研究開発などの技術進歩に対応するために改正した。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる酢酸カルシウム一水和物について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS H 6202 化学分析用白金皿
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0116 発光分光分析通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 0970 ピストン式ピペット
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS K 8050 1-アミノ-2-ナフトール-4-スルホン酸(試薬)
JIS K 8059 亜硫酸水素ナトリウム(試薬)
JIS K 8061 亜硫酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8085 アンモニア水(試薬)
JIS K 8101 エタノール(99.5)(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8103 ジエチルエーテル(試薬)
JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)
JIS K 8116 塩化アンモニウム(試薬)
JIS K 8121 塩化カリウム(試薬)
JIS K 8136 塩化すず(II)二水和物(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
2
K 8364:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8529 臭素(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8554 硝酸ストロンチウム(試薬)
JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬)
JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8586 スルファニル酸(試薬)
JIS K 8603 ソーダ石灰(試薬)
JIS K 8736 エリオクロムブラックT(試薬)
JIS K 8776 2-ヒドロキシ-1-(2-ヒドロキシ-4-スルホ-1-ナフチルアゾ)-3-ナフトエ酸(試薬)
JIS K 8810 1-ブタノール(試薬)
JIS K 8832 ブルシンn水和物(試薬)
JIS K 8905 七モリブデン酸六アンモニウム四水和物(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬)
JIS K 8995 硫酸マグネシウム七水和物(試薬)
JIS K 9007 りん酸二水素カリウム(試薬)
JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS Z 8802 pH測定方法
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
酢酸カルシウム一水和物は,白い結晶又は結晶性粉末で,水に溶けやすく,エタノールにやや溶けにく
い。
4.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料0.1 gに水20 mlを加えて溶かす(A液)。A液5 mlに塩化鉄(III)溶液(100 g/l)1 mlを加える
と暗い赤になる。
b) A液5 mlにしゅう酸溶液(40 g/l)1 mlを加えると,白い沈殿が生じる。
3
K 8364:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度[(CH3COO)2Ca・H2O]
質量分率 %
99.0以上
6.2
水溶状
試験適合
6.3
pH(50 g/l,25 ℃)
6.5〜8.5
6.4
塩化物(Cl)
質量分率 %
0.001以下
6.5
りん酸塩(PO4)
質量分率 ppm
5以下
6.6
硝酸塩(NO3)
質量分率 %
0.003以下
6.7
硫酸塩(SO4)
質量分率 %
0.002以下
6.8
ナトリウム(Na)
質量分率 %
0.1以下
6.9
カリウム(K)
質量分率 %
0.05以下
6.9
銅(Cu)
質量分率 %
0.001以下
6.10
マグネシウム(Mg)
質量分率 %
0.05以下
6.11
ストロンチウム(Sr)
質量分率 %
0.05以下
6.11
バリウム(Ba)
質量分率 %
0.005以下
6.10
鉛(Pb)
質量分率 %
0.001以下
6.10
鉄(Fe)
質量分率 %
0.001以下
6.10
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度[(CH3COO)2Ca・H2O]
純度[(CH3COO)2Ca・H2O]の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) アンモニア性塩化アンモニウム溶液 JIS K 8116に規定する塩化アンモニウム7 gにJIS K 8085に
規定するアンモニア水(質量分率28.0 %〜30.0 %)57 ml及び水を加えて溶かし,水で100 mlにす
る。ポリエチレン製瓶などに密栓して保存する。
2) エリオクロムブラックT希釈粉末 JIS K 8736に規定するエリオクロムブラックT 0.10 g及びJIS K
8150に規定する塩化ナトリウム10 gを混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。
3) 塩酸(1+3) JIS K 8180に規定する塩酸の体積1と水の体積3とを混合する。
4) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %)の体積1と水の体積2とを混合
する。
5) 水酸化カリウム溶液(100 g/l) JIS K 8574に規定する水酸化カリウム11.8 gを水に溶かして100 ml
にする。ポリエチレン製瓶などに保存する。
6) 水酸化ナトリウム溶液(100 g/l) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム10.3 gを水に溶かして
100 mlにする。ポリエチレン製瓶などに保存する。
7) 2-ヒドロキシ-1-(2-ヒドロキシ-4-スルホ-1-ナフチルアゾ)-3-ナフトエ酸希釈粉末(HSNN希釈粉末)
JIS K 8776に規定する2-ヒドロキシ-1-(2-ヒドロキシ-4-スルホ-1-ナフチルアゾ)-3-ナフトエ酸0.20 g
及びJIS K 8962に規定する硫酸カリウム10 gを混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。
8) 0.01 mol/l 亜鉛溶液(Zn:0.653 8 g/l) 0.01 mol/l 亜鉛溶液の調製及び計算は,次による。
4
K 8364:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
注記 0.01 mol/l 亜鉛溶液の調製及び計算は,JIS K 8001のJA.5.2(滴定用溶液の調製,標定及び
計算)a) 3)と同じである。
8.1) 調製 調製は,認証標準物質1) 又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質の亜鉛を用い,次
のとおり行う。
8.1.1) 認証標準物質1) の亜鉛を用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
8.1.2) 容量分析用標準物質の亜鉛を用いる場合は,必要量を塩酸(1+3),水,JIS K 8101に規定する
エタノール(99.5)及びJIS K 8103に規定するジエチルエーテルで順次洗った後,直ちに上口デ
シケーター(減圧デシケーター)に入れて,上口デシケーターの内圧2.0 kPa以下で数分間保っ
た後,減圧下で約12時間乾燥する。
8.1.3) 認証標準物質1) 又は容量分析用標準物質の亜鉛0.33 gを0.1 mgの桁まではかりとり,共通すり
合わせ冷却管が付けられる三角フラスコ300 mlに移し,水25 ml及び硝酸(1+2)25 mlを加え,
冷却管を付けて水浴上で加熱して溶かす。次に,穏やかに煮沸して窒素酸化物を除いた後,放冷
し,全量フラスコ500 mlに移し,溶かすのに使用した三角フラスコ及び冷却管を水洗し,洗液
を先の全量フラスコ500 mlに加え,更に水を標線まで加えて混合した後,気密容器に入れて保
存する。
注1) 容量分析に用いることが可能な認証書の付いた標準物質で,不確かさが算出され国際単
位系(SI)へのトレーサビリティが保証されたもの。ただし,認証書のある標準物質を
入手できない場合には,含有率が明らかな市販の標準物質を用いることができ,その説
明書に従って使用する。
なお,認証標準物質の供給者としては,独立行政法人産業技術総合研究所計量標準総
合センター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST)などの国家計量機関及び認証標
準物質生産者がある。
8.2) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
90
326
.0
A
m
f
×
=
ここに,
f: 0.01 mol/l 亜鉛溶液のファクター
m: はかりとった亜鉛の質量(g)
A: 亜鉛の純度(質量分率 %)
0.326 90: 0.01 mol/l 亜鉛溶液500 ml中の亜鉛の相当質量(g)
9) 0.01 mol/l エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(0.01 mol/l EDTA2Na溶液)
(C10H14O8N2Na2・2H2O:3.722 g/l) 0.01 mol/l エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液
(0.01 mol/l EDTA2Na溶液)の調製,標定及び計算は,次による。
注記 0.01 mol/l EDTA2Na溶液の調製,標定及び計算は,JIS K 8001のJA.5.2(滴定用溶液の調
製,標定及び計算)c) 3)と同じである。
9.1) 調製 JIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物3.8 gをはかり
とり,水1 000 mlを加えて溶かした後,ポリエチレン製などの気密容器に入れて保存する。
9.2) 標定 0.01 mol/l 亜鉛溶液25 mlをコニカルビーカー200 mlに正確に入れる。水75 mlを加えた後,
9.1)で調製した0.01 mol/l EDTA2Na溶液20 mlをビュレットを用いて加える。次に,アンモニア性
塩化アンモニウム溶液5 ml及び指示薬としてエリオクロムブラックT希釈粉末0.05 gを加え,先
に用いた0.01 mol/l EDTA2Na溶液のビュレットで引き続き滴定する。終点は,液の色が赤から青
5
K 8364:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
に変わる点とする。
9.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
V
f
f
25
1
×
=
ここに,
f1: 0.01 mol/l EDTA2Na溶液のファクター
f: 0.01 mol/l 亜鉛溶液のファクター
V: 滴定に要した0.01 mol/l EDTA2Na溶液の体積(ml)
b) 操作 操作は,次のとおり行う。
試料0.5 gをビーカー200 mlなどに0.1 mgの桁まではかりとり,水50 mlを加えて溶かし,全量フ
ラスコ250 mlに洗い入れて,水を標線まで加えて混合する。その25 ml(試料量0.05 g)をコニカル
ビーカー250 mlなどに正確に入れ,水酸化カリウム溶液(100 g/l)15 ml及び指示薬としてHSNN希
釈粉末0.05 gを加え,0.01 mol/l EDTA2Na溶液で滴定する。終点は,液の色が赤から青に変わる点と
する。
c) 計算 純度[(CH3COO)2Ca・H2O]は,次の式によって算出する。
100
250
/
25
8
761
001
.0
1×
×
×
×
=
m
f
V
A
ここに,
A: 純度[(CH3COO)2Ca・H2O](質量分率 %)
V: 滴定に要した0.01 mol/l EDTA2Na溶液の体積(ml)
f1: 0.01 mol/l EDTA2Na溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.001 761 8: 0.01 mol/l EDTA2Na溶液1 mlに相当する
(CH3COO)2Ca・H2Oの質量を示した換算係数(g/ml)
6.3
水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.2 a) 4)による。
2) 硝酸銀溶液(20 g/l) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mlにする。褐色ガラス
製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液
3.1) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
3.1.1) 計量標準供給制度[JCSS 2)]に基づく標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致し
た場合に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する(以下,“JCSSに基づく標準液”
という。)。
3.1.2) JCSS以外の認証標準液で酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,必要な
場合は,適切な方法で希釈して使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液がない場合は,市販
の標準液を用いる(以下,JCSS以外の認証標準液及び市販の標準液を合わせて,“JCSS以外の
認証標準液など”という。)。
3.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム1.65 gを全量フラスコ1 000 mlにはかりとり,水を加えて
溶かし,水を標線まで加えて混合する。
注2) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。
3.2) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに
正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
6
K 8364:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準(“ほとんど澄明”)は,次による。
塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)0.5 mlを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水10 ml,硝酸
(1+2)1 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加え,更に水を加えて20 mlとし,振り混ぜてから15
分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 濁り,ごみなどの有無が確認しやすい大きさで,目盛のあるもの。例
として,容量50 ml,直径約23 mmのもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし20 ml
にする。
2) 直後に,試料溶液の濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を共通すり
合わせ平底試験管の上方又は側面から観察する。
e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“水溶状:試験適合”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めない。
6.4
pH(50 g/l,25 ℃)
pH(50 g/l,25 ℃)の試験方法は,次による。
a) 試薬,ガス及び試験用溶液類 試薬,ガス及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) ソーダ石灰 JIS K 8603に規定するもの(必要な場合に用いる。)。
2) 窒素 JIS K 1107に規定するもの。
3) 水酸化カリウム溶液(250 g/l) JIS K 8574に規定する水酸化カリウム29.4 gを水に溶かして100 ml
にする(必要な場合に用いる。)。ポリエチレン製瓶などに保存する。
4) 二酸化炭素を除いた水 次の4.1)〜4.4)のいずれか,又はそれらの二つ以上を組み合わせたものを用
い,使用時に調製する。
4.1) 水をフラスコに入れ,加熱し,沸騰が始まってから5分間以上その状態を保つ。加熱を止め,フ
ラスコの口を時計皿で軽く蓋をして少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶に水酸化カリ
ウム溶液(250 g/l)を入れたもの,又はソーダ石灰管を連結して空気中の二酸化炭素を遮り,冷却
したもの。
4.2) 水をフラスコに入れ,水の中に窒素を15分間以上通じたもの。
4.3) 二酸化炭素分離膜をもつガス分離管を用いて水から二酸化炭素を除いたもの。
4.4) 18 MΩ・cm以上の抵抗率のある水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立てないように採取したも
の。ただし,採水後速やかに用いる。
5) pH標準液 pH標準液は,JIS Z 8802の箇条7(pH標準液)による。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
1) 恒温水槽 (25.0±0.5)℃に調節できるもの。
2) pH計 JIS Z 8802に規定する形式II以上の性能のもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料5.0 gを全量フラスコ100 mlにはかりとり,二酸化炭素を除いた水を加え
て溶かし,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合する。この液を適切な容量のビーカーなど
にとる。
7
K 8364:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2) pHの測定は,JIS Z 8802の8.2(測定方法)による。この場合,液温(25.0±0.5)℃の恒温水槽に
つ(浸)けた試料溶液の液面上に窒素を流し,かき混ぜながらはかる。
6.5
塩化物(Cl)
塩化物(Cl)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.2 a) 4)による。
2) 硝酸銀溶液(20 g/l) 6.3 a) 2)による。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 6.3 a) 3.2)による。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし,水を
加えて20 mlにする。
2) 比較溶液の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01/ml)1.0 mlを共通すり合わせ平底試験管に入れ,水を
加えて20 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,硝酸(1+2)5 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加え振り混ぜた後,15
分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側面から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“塩化物(Cl):質量分率0.001 %以下(規格値)”とす
る。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.6
りん酸塩(PO4)
りん酸塩(PO4)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 1-アミノ-2-ナフトール-4-スルホン酸溶液 JIS K 8059に規定する亜硫酸水素ナトリウム6 g,JIS K
8061に規定する亜硫酸ナトリウム0.1 g及びJIS K 8050に規定する1-アミノ-2-ナフトール-4-スルホ
ン酸0.05 gを水に溶かして50 mlにする。
2) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸の体積2と水の体積1とを混合する。
3) 塩化すず(II)溶液(りん酸定量用) JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物40 gをJIS K
8180に規定する塩酸(ひ素分析用)60 mlに溶かす。この1 mlを硫酸(1+30)で250 mlにする。
使用時に調製する。
4) 臭素水 局所排気装置の下又はドラフト内などで,JIS K 8529に規定する臭素3〜4 mlに水を加え
て100 mlにする。激しく振り混ぜ,放置後,上澄み液を用いる。褐色ガラス製瓶に保存する。
5) 七モリブデン酸六アンモニウム溶液(りん酸定量用) JIS K 8905に規定する七モリブデン酸六アン
モニウム四水和物10.6 g,水70 ml及びJIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0 %〜
30.0 %)7 mlを加えて加熱しないで溶かし,水で100 mlにする。これをろ過後,ろ液に水を加え200
mlにする。さらに,硫酸(1+5)10 mlを加える。
七モリブデン酸六アンモニウム溶液(りん酸定量用)の洗浄は,これを分液漏斗に移し,JIS K 8810
に規定する1-ブタノール30 mlを加え1〜2分間激しく振り混ぜる。放置後,上層(1-ブタノール相)
8
K 8364:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
と下層(水相)とを分離する(水相を保存する。)。
洗浄操作で分離した1-ブタノール相を硫酸(1+5)15 mlで洗い,下層(硫酸相)を除去する操
作を2回行った後,1-ブタノール相に塩化すず(II)溶液(りん酸定量用)15 mlを加え30秒間振
り放置し,1-ブタノール相に青が現れないことを確認する。
なお,1-ブタノール相に青が現れた場合は,保存水相の洗浄及び確認を繰り返す。ポリエチレン
製瓶などに保存する。
6) 硫酸(1+5) 水の体積5を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々に
加える。
7) 硫酸(1+30) 水の体積30を冷却してかき混ぜながら,硫酸の体積1を徐々に加える。
8) りん酸塩標準液
8.1) りん酸塩(PO4:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
8.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1)に準じる。
8.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2)に準じる。
8.1.3) JIS K 9007に規定するりん酸二水素カリウム1.43 gを全量フラスコ1 000 mlにはかりとり,水を
加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
8.2) りん酸塩標準液(PO4:0.01 mg/ml) りん酸塩標準液(PO4:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000
mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
2) 蒸発皿 JIS R 3503に規定するもの。
3) 白金皿 JIS H 6202に規定するもの。
4) ろ紙(5種C) JIS P 3801に規定するもの。
5) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの,又は試験管
などを浸せきできるもの。
6) 電気炉 (600±50)℃に調節できるもの。
c) 操作 操作は,局所排気装置の下又はドラフト内で,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料5.0 gを白金皿にはかりとり,電気炉に入れ,徐々に加熱し灰化させ,約
650 ℃でほとんど白色になるまで強熱した後,放冷する。次に水20 ml及び臭素水1 mlを加えて1
分間煮沸し,塩酸(2+1)20 mlを加えて,水浴上で加熱して蒸発乾固する。これに水30 mlを加え
て溶かした後,ろ紙(5種C)を用いてろ過し,水で洗い,ろ液と洗液を共通すり合わせ平底試験
管に入れ,水を加えて50 mlにする(B液)(B液は6.8の試験にも用いる。)。B液20 ml(試料量
2.0 g)を共通すり合わせ平底試験管に入れる。
2) 比較溶液の調製は,りん酸塩標準液(PO4:0.01 mg/ml)1.0 mlを蒸発皿に入れ,臭素水0.4 ml及び
塩酸(2+1)8 mlを加えて,水浴上で加熱して蒸発乾固する。これに水10 mlを加えて溶かし,少
量の水を用いて共通すり合わせ平底試験管に入れ,水を加えて20 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,塩酸(2+1)4 ml及び七モリブデン酸六アンモニウム溶液(りん酸定量
用)1 mlを加えて振り混ぜて3分間放置する。これに1-アミノ-2-ナフトール-4-スルホン酸溶液1 ml
を加え,振り混ぜて,60 ℃の水浴中で10分間加熱後,冷水で冷却する。
4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を共通すり合わせ平底試験管
の上方又は側面から観察して青を比較する。
9
K 8364:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“りん酸塩(PO4):質量分率5 ppm以下(規格値)”と
する。
試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の青より濃くない。
6.7
硝酸塩(NO3)
硝酸塩(NO3)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。
2) 塩酸(2+1) 6.6 a) 2)による。
3) ブルシン溶液(10 g/l) JIS K 8832に規定するブルシンn水和物1 g,JIS K 8586に規定するスルフ
ァニル酸0.1 g,塩酸(2+1)5 ml及び水を加えて溶かし,水で100 mlにする。褐色ガラス製瓶に
保存する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水10 mlを加えて溶かす。
2) 比較溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水7 mlを加えて溶かし,
硝酸塩標準液(NO3:0.01 mg/ml)3.0 mlを加える。
3) 試料溶液及び比較溶液に,ブルシン溶液(10 g/l)2 ml及び硫酸5 mlを振り混ぜながら徐々に加え,
20分間放置する。
4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液の上層(水相)を,共通すり
合わせ平底試験管の側面から観察して,液の上層(水相)の黄を比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“硝酸塩(NO3):質量分率0.003 %以下(規格値)”と
する。
試料溶液から得られた液の水相の色は,比較溶液から得られた液の水相の黄より濃くない。
6.8
硫酸塩(SO4)
硫酸塩(SO4)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) 塩化バリウム溶液(100 g/l) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gを水に溶かして
100 mlにする。
3) 塩酸(2+1) 6.6 a) 2)による。
4) 臭素水 6.6 a) 4)による。
5) 硫酸塩標準液
5.1) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
5.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1)に準じる。
5.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2)に準じる。
5.1.3) JIS K 8962に規定する硫酸カリウム1.81 gを全量フラスコ1 000 mlにはかりとり,水を加えて溶
かし,水を標線まで加えて混合する。
5.2) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/ml) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml
に正確に入れ,水を標線まで加えて混合する。
10
K 8364:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
2) 蒸発皿 6.6 b) 2)による。
3) 水浴 6.6 b) 5)による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,6.6 c) 1)で調製したB液20 ml(試料量2.0 g)を共通すり合わせ平底試験管に入
れ,塩酸(2+1)0.3 ml及び水を加えて25 mlにする。
2) 比較溶液の調製は,局所排気装置の下又はドラフト内で,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/ml)4.0 ml
を蒸発皿に入れ,臭素水0.4 ml及び塩酸(2+1)8 mlを加えて,水浴上で加熱して蒸発乾固する。
これに水10 ml及び塩酸(2+1)0.3 mlを加えて溶かし,少量の水を用いて共通すり合わせ平底試
験管に入れ,水を加えて25 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,エタノール(95)3 ml及び塩化バリウム溶液(100 g/l)2 mlを加えて振
り混ぜた後,1時間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を共通すり合わせ平底試験管
の上方又は側面から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“硫酸塩(SO4):質量分率0.002 %以下(規格値)”とす
る。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.9
ナトリウム(Na)及びカリウム(K)
ナトリウム(Na)及びカリウム(K)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) 6.6 a) 2)による。
2) ナトリウム標準液及びカリウム標準液
2.1) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml)及びカリウム標準液(K:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用
いる。
2.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1)に準じる。
2.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2)に準じる。
2.1.3) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml)及びカリウム標準液(K:1 mg/ml)を調製する場合
2.1.3.1) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム2.54 gを全量フラス
コ1 000 mlにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製
瓶などに保存する。
2.1.3.2) カリウム標準液(K:1 mg/ml) JIS K 8121に規定する塩化カリウム1.91 gを全量フラスコ
1 000 mlに正確にはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレ
ン製瓶などに保存する。
2.2) ナトリウム標準液(Na:0.01 mg/ml)及びカリウム標準液(K:0.01 mg/ml) 次のものを用いる。
2.2.1) ナトリウム標準液(Na:0.01 mg/ml) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ
1 000 mlに正確に入れ,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する。
2.2.2) カリウム標準液(K:0.01 mg/ml) カリウム標準液(K:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml
に正確に入れ,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
11
K 8364:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
フレーム原子吸光分析装置 JIS K 0121に規定するもの。
c) 分析種及び測定波長 分析種及び測定波長の例を表2に示す。
表2−分析種及び測定波長の例
単位nm
分析種
測定波長
ナトリウム
Na
589.0
カリウム
K
766.5
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料0.10 gを全量フラスコ100 mlにはかりとり,塩酸(2+1)2 ml及び水を加
えて溶かし,水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,試料0.10 gを全量フラスコ100 mlにはかりとり,塩酸(2+1)2 ml,ナトリウ
ム標準液(Na:0.01 mg/ml)10 ml,カリウム標準液(K:0.01 mg/ml)5.0 ml及び水を加えて溶かし,
水を標線まで加えて混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,表2に示す測定波長付近で吸光
度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸光度を
測定し,X液の指示値(n1)及びY液の指示値(n2)を読み取る。
4) 測定結果は,X液の指示値n1をY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1と比較する。
e) 判定 d)によって操作し,次に適合するとき,“ナトリウム(Na):質量分率0.1 %以下(規格値),カ
リウム(K):質量分率0.05 %以下(規格値)”とする。
n1は,n2−n1より大きくない。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)を求める場合は,次の式によって計算する。
100
000
1
1
2
1
×
×
−
×
=m
n
n
n
B
A
ここに,
A: 分析種の含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
6.10 銅(Cu),バリウム(Ba),鉛(Pb)及び鉄(Fe)
銅(Cu),バリウム(Ba),鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,表3による。
表3−分析種と対応する試験方法
分析種
試験方法
銅(Cu),バリウム(Ba),
鉛(Pb)及び鉄(Fe)
第1法 ICP発光分光分析法
銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe) 第2法 原子吸光法
6.10.1 第1法 ICP発光分光分析法
銅(Cu),バリウム(Ba),鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,第1法 ICP発光分光分析法による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸 JIS K 8541に規定する質量分率60〜61 %のもの。
2) 硝酸(1+2) 6.2 a) 4)による。
12
K 8364:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3) イットリウム標準液
3.1) イットリウム標準液(Y:1 mg/ml) 次のいずれかを用いる。
3.1.1) 硝酸イットリウム六水和物(質量分率99.9 %以上)4.31 gを全量フラスコ1 000 mlにはかりとり,
硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
3.1.2) 酸化イットリウム(質量分率99.99 %以上)1.27 gを200 mlのビーカーなどにはかりとり,硝酸
75 mlを加えて,加熱熱板上で加熱し溶解させ,全量フラスコ1 000 mlに移し,水を標線まで加
えて混合する。
注記 市販のイットリウム標準液(Y:1 mg/ml)は,分析対象の元素又は妨害元素が存在しな
いことを確認し,更に,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合,市販の
ものを用いてもよい。
3.2) イットリウム標準液(Y:0.01 mg/ml) イットリウム標準液(Y:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ
1 000 mlに正確に入れ,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する。使用時
に調製する。
注記 イットリウム標準液(Y:0.01 mg/ml)は,ICP発光分光分析法で発光強度を補正するた
めの内標準物質として添加する。
4) 銅標準液,バリウム標準液,鉛標準液及び鉄標準液
4.1) 銅標準液(Cu:1 mg/ml),バリウム標準液(Ba:1 mg/ml),鉛標準液(Pb:1 mg/ml)及び鉄標
準液(Fe:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
4.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1)に準じる。
4.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2)に準じる。
4.1.3) 銅標準液(Cu:1 mg/ml),バリウム(Ba:1 mg/ml),鉛標準液(Pb:1 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:
1 mg/ml)を調製する場合
4.1.3.1) 銅標準液(Cu:1 mg/ml) JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水和物3.93 gを全量フラスコ
1 000 mlにはかりとり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合す
る。
4.1.3.2) バリウム標準液(Ba:1 mg/ml) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物1.78 gを全量フ
ラスコ1 000 mlにはかりとり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加え
て混合する。
4.1.3.3) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml) JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 gを全量フラスコ1 000 ml
にはかりとり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
4.1.3.4) 鉄標準液(Fe:1 mg/ml) JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄(III)・12水8.63 gを全
量フラスコ1 000 mlにはかりとり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで
加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。
4.2) 銅標準液(Cu:0.01 mg/ml),バリウム(Ba:0.01 mg/ml),鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml)及び鉄標
準液(Fe:0.01 mg /ml) 次のものを用いる。
4.2.1) 銅標準液(Cu:0.01 mg/ml) 銅標準液(Cu:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確に
入れ,硝酸(1+2)25 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。
4.2.2) バリウム標準液(Ba:0.01 mg/ml) バリウム標準液(Ba:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000
mlに正確に入れ,硝酸(1+2)25 ml及び水を標線まで加えて混合する。
4.2.3) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確に
13
K 8364:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
入れ,硝酸(1+2)25 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。
4.2.4) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml) 鉄標準液(Fe:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確に
入れ,硝酸(1+2)25 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存す
る。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) ピストン式ピペット JIS K 0970に規定するもの
2) ICP発光分光分析装置 JIS K 0116に規定するもの。
c) 分析種及び測定波長 分析種及び測定波長の例を表4に示す。
表4−分析種及び測定波長の例
単位 nm
分析種
測定波長
イットリウム(Y)
の測定波長
銅
Cu
324.754
371.029
バリウム
Ba
233.527
鉛
Pb
220.353
鉄
Fe
259.940
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ100 mlにはかりとり,硝酸1 ml及びイットリウム標
準液(Y:0.01 mg/ml)1 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 検量線溶液の調製は,3個の全量フラスコ100 mlのそれぞれに硝酸1 ml,イットリウム標準液(Y:
0.01 mg/ml)1 ml及び水20 mlを入れ,ピストン式ピペットで表5に示す各標準液の体積を3段階に
はかりとり,水を標線まで加え混合する(Y1液,Y2液及びY3液)。
表5−採取する標準液の体積
標準液
mg/ml
採取量 μl
Y1
Y2
Y3
銅標準液(Cu)
0.01
500
1 000
2 000
バリウム標準液(Ba)
0.01
2500
5 000
10 000
鉛標準液(Pb)
0.01
500
1 000
2 000
鉄標準液(Fe)
0.01
500
1 000
2 000
3) 空試験溶液の調製は,全量フラスコ100 mlに硝酸1 ml,イットリウム標準液(Y:0.01 mg/ml)1 ml
を入れ,水を標線まで加えて混合する(Z液)。
4) ICP発光分光分析装置の一般事項は,JIS K 0116の5.(ICP発光分光分析)による。
5) ICP発光分光分析装置は,高周波プラズマを点灯するなどによって,発光強度を測定できる状態に
する。
6) Y1〜Y3液を噴霧し,発光線及び各標準液から作成される検量線の直線性を確認した後,最適な波
長を選択する。
7) Z液,X液,Y1〜Y3液を噴霧し,分析種及びイットリウム(Y)の発光強度を測定する。
e) 計算 JIS K 0116の5.8.3(定量法)a) 2)[検量線法(強度比法)]によって検量線を作成し,分析種
の含有率を計算する。
14
K 8364:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
f)
判定 d)によって操作し,e)によって計算し,次に適合するとき,“銅(Cu):質量分率0.001 %以下(規
格値),バリウム(Ba):質量分率0.005 %以下(規格値),鉛(Pb):質量分率0.001 %以下(規格値),
鉄(Fe):質量分率0.001 %以下(規格値)”とする。
計算して得られた含有率が,規格値を満足している。
6.10.2 第2法 原子吸光法
銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,第2法 原子吸光法による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) 6.6 a) 2)による。
2) 硝酸(1+2) 6.2 a) 4)による。
3) 銅標準液(Cu:0.01 mg/ml),鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:0.01 mg /ml) 次の
ものを用いる。
3.1) 銅標準液(Cu:0.01 mg/ml) 6.10.1 a) 4.2.1)による。
3.2) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml) 6.10.1 a) 4.2.3)による。
3.3) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml) 6.10.1 a) 4.2.4)による。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
フレーム原子吸光分析装置 6.9 b)による。
c) 分析種及び測定波長 分析種及び測定波長の例を表6に示す。
表6−分析種及び測定波長の例
単位nm
分析種
測定波長
銅
Cu
324.8
鉛
Pb
283.3
鉄
Fe
248.3
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 銅(Cu)の場合
1.1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを全量フラスコ100 mlにはかりとり,塩酸(2+1)5 ml及び水を
加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する(X液)。
1.2) 比較溶液の調製は,試料2.0 gを全量フラスコ100 mlにはかりとり,塩酸(2+1)5 ml,銅標準液
(Cu:0.01 mg/ml)2.0 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する(Y液)。
1.3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,測定波長324.8 nm付近で吸光
度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれフレーム中に噴霧し,銅の吸光度を測
定し,X液の指示値(n1)及びY液の指示値(n2)を読み取る。
1.4) 測定結果は,X液の指示値n1をY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1と比較する。
2) 鉛(Pb)及び鉄(Fe)の場合
2.1) 試料溶液の調製は,試料5.0 gを全量フラスコ100 mlにはかりとり,塩酸(2+1)5 ml及び水を
加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する(X液)。
2.2) 比較溶液の調製は,試料5.0 gを全量フラスコ100 mlにはかりとり,塩酸(2+1)5 ml,鉛標準液
(Pb:0.01 mg/ml)5.0 ml,鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml)5.0 ml及び水を加えて溶かし,水を標線ま
で加えて混合する(Y液)。
15
K 8364:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2.3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,表6に示す測定波長付近で吸
光度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸光
度を測定し,X液の指示値(n1)及びY液の指示値(n2)を読み取る。
2.4) 測定結果は,X液の指示値n1をY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1と比較する。
e) 判定 d) 1)によって操作し,次に適合するとき,“銅(Cu):質量分率0.001 %以下(規格値)”とし,
d) 2) によって操作し,次に適合するとき,“鉛(Pb):質量分率0.001 %以下(規格値),鉄(Fe):質
量分率0.001 %以下(規格値)”とする。
n1は,n2−n1より大きくない。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,6.9 e)の注記に準じて求めることができる。
6.11 マグネシウム(Mg)及びストロンチウム(Sr)
マグネシウム(Mg)及びストロンチウム(Sr)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) 6.6 a) 2)による。
2) 硝酸(1+2) 6.2 a) 4)による。
3) マグネシウム標準液及びストロンチウム標準液
3.1) マグネシウム標準液(Mg:1 mg/ml)及びストロンチウム標準液(Sr:1 mg/ml) 次のいずれか
のものを用いる。
3.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1)に準じる。
3.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2)に準じる。
3.1.3) マグネシウム標準液(Mg:1 mg/ml)及びストロンチウム標準液(Sr:1 mg/ml)を調製する場合
3.1.3.1) マグネシウム標準液(Mg:1 mg/ml) JIS K 8995に規定する硫酸マグネシウム七水和物10.1 g
を全量フラスコ1 000 mlにはかりとり,塩酸(2+1)15 ml及び水を加えて溶かし,水を標線
まで加えて混合する。
3.1.3.2) ストロンチウム標準液(Sr:1 mg/ml) JIS K 8554に規定する硝酸ストロンチウム2.42 gを全
量フラスコ1 000 mlにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
3.2) マグネシウム標準液(Mg:0.01 mg/ml)及びストロンチウム標準液(Sr:0.01 mg/ml) 次のもの
を用いる。
3.2.1) マグネシウム標準液(Mg:0.01 mg/ml) マグネシウム標準液(Mg:1 mg/ml)10 mlを全量フラ
スコ1 000 mlに正確に入れ,塩酸(2+1)15 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。
3.2.2) ストロンチウム標準液(Sr:0.01 mg/ml) ストロンチウム標準液(Sr:1 mg/ml)10 mlを全量フ
ラスコ1 000 mlに正確に入れ,水を標線まで加えて混合する。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
フレーム原子吸光分析装置 6.9 b)による。
c) 分析種及び測定波長 分析種及び測定波長の例を表7に示す。
表7−分析種及び測定波長の例
単位nm
分析種
測定波長
マグネシウム
Mg
285.2
ストロンチウム
Sr
460.7
16
K 8364:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料0.10 gを全量フラスコ100 mlにはかりとり,塩酸(2+1)2 ml及び水を加
えて溶かし,水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,試料0.10 gを全量フラスコ100 mlにはかりとり,塩酸(2+1)2 ml,マグネシ
ウム標準液(Mg:0.01 mg/ml)5.0 ml,ストロンチウム標準液(Sr:0.01 mg/ml)5.0 ml及び水を加
えて溶かし,水を標線まで加えて混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,表7に示す測定波長付近で吸光
度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸光度を
測定し,X液の指示値(n1)及びY液の指示値(n2)を読み取る。
4) X液の指示値n1をY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1と比較する。
e) 判定 d)によって操作し,次に適合するとき,“マグネシウム(Mg):質量分率0.05 %以下(規格値),
ストロンチウム(Sr):質量分率0.05 %以下(規格値)”とする。
n1は,n2−n1より大きくない。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,6.9 e)の注記に準じて求めることができる。
7
容器
容器は,気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称 “酢酸カルシウム一水和物”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号