K 8255:2010
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 3
6 試験方法 ························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度[AlK(SO4)2・12H2O] ······························································································ 3
6.3 水溶状 ························································································································· 5
6.4 塩化物(Cl) ················································································································ 6
6.5 重金属(Pbとして) ······································································································ 6
6.6 ナトリウム(Na) ·········································································································· 7
6.7 ひ素(As) ··················································································································· 9
6.8 鉄(Fe) ····················································································································· 11
6.9 アンモニウム(NH4) ···································································································· 11
7 容器······························································································································ 14
8 表示······························································································································ 14
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(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本試薬
協会(JRA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきと
の申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8255:1992は改正され,この規格に置き換えられた。
また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標
準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
日本産業規格
JIS
K 8255:2010
硫酸カリウムアルミニウム・12水(試薬)
Aluminium potassium sulfate 12-water (Reagent)
AlK(SO4)2・12H2O FW:474.39
序文
この規格は,1953年に制定され,その後3回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は,1992年に
行われたが,その後の試験・研究開発などの技術進歩に対応するために改正した。
なお,対応国際規格は,現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる硫酸カリウムアルミニウム・12水1) について規定する。
注1) 別名:カリウムみょうばん
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS K 8012 亜鉛(試薬)
JIS K 8034 アセトン(試薬)
JIS K 8044 三酸化二ひ素(試薬)
JIS K 8085 アンモニア水(試薬)
JIS K 8101 エタノール(99.5)(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8103 ジエチルエーテル(試薬)
JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)
JIS K 8116 塩化アンモニウム(試薬)
JIS K 8136 塩化すず(II)二水和物(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8201 塩化ヒドロキシルアンモニウム(試薬)
2
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JIS K 8202 塩化1,10-フェナントロリニウム一水和物(試薬)
JIS K 8295 グリセリン(試薬)
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8356 酢酸亜鉛二水和物(試薬)
JIS K 8359 酢酸アンモニウム(試薬)
JIS K 8371 酢酸ナトリウム三水和物(試薬)
JIS K 8374 酢酸鉛(II)三水和物(試薬)
JIS K 8490 ジチゾン(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8580 すず(試薬)
JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)
JIS K 8736 エリオクロムブラックT(試薬)
JIS K 8777 ピリジン(試薬)
JIS K 8780 ピロガロール(試薬)
JIS K 8798 フェノール(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8949 硫化ナトリウム九水和物(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JIS K 9512 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀(試薬)
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
硫酸カリウムアルミニウム・12水は,透明の結晶又は白い結晶性粉末で,水に溶けやすくエタノールに
ほとんど溶けない。その水溶液は酸性である。
4.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料0.5 gに水50 mlを加えて溶かす(A液)。A液10 mlに塩化バリウム溶液(100 g/l)1 mlを加える
と,白い沈殿が生じる。
b) A液10 mlに水酸化ナトリウム溶液(100 g/l)5滴を加えると白い凝乳状の沈殿が生じ,更に水酸化ナ
トリウム溶液(100 g/l)1 mlを加えると,この沈殿は溶ける。この溶液に塩化アンモニウム溶液
(100 g/l)2 mlを加えると再び白い沈殿が現れる。
3
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c) 炎色試験は,直径約0.8 mmの白金線を先端から約30 mmまで塩酸(1+1)に浸し,炎の長さ約120 mm,
内炎の長さ約30 mm程度としたガスバーナーの無色炎中に,内炎の最上部から約10 mmの位置に水
平に入れた後,放冷する。この操作を炎に色が現れなくなるまで繰り返す。次に,A液に白金線の先
端約5mmを浸し,ガスバーナーの無色炎中に入れ,コバルトガラスを透かして見ると紫が現れる。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度[AlK(SO4)2・12H2O]
質量分率 %
99.5以上
6.2
水溶状
試験適合
6.3
塩化物(Cl)
質量分率 ppm
5以下
6.4
重金属(Pbとして)
質量分率 %
0.001以下
6.5
ナトリウム(Na)
質量分率 %
0.02以下
6.6
ひ素(As)
質量分率 ppm
1以下
6.7
鉄(Fe)
質量分率 ppm
5以下
6.8
アンモニウム(NH4)
質量分率 %
0.01以下
6.9
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度[AlK(SO4)2・12H2O]
純度[AlK(SO4)2・12H2O]の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エタノール(99.5) JIS K 8101に規定するもの。
2) アンモニア性塩化アンモニウム溶液 JIS K 8116に規定する塩化アンモニウム7 gにJIS K 8085に
規定するアンモニア水(質量分率28.0〜30 %)57 ml及び水を加えて溶かし,水で100 mlにする。
ポリエチレン製瓶などに密栓して保存する。
3) エリオクロムブラックT希釈粉末 JIS K 8736に規定するエリオクロムブラックT 0.10 g及びJIS K
8150に規定する塩化ナトリウム10 gを混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。
4) 塩酸(1+3) JIS K 8180に規定する塩酸の体積1と水の体積3とを混合する。
5) 酢酸(1+1) JIS K 8355に規定する酢酸の体積1と水の体積3とを混合する。
6) 酢酸−酢酸アンモニウム溶液 酢酸(1+1)11.4 mlに水80 mlを加え,更にJIS K 8359に規定する
酢酸アンモニウム7.7 gを加えて溶かし,水で100 mlにする。
7) ジチゾン溶液 JIS K 8490に規定するジチゾン0.025 gをJIS K 8102に規定するエタノール(95)
に溶かして100 mlにする。使用時に調製する。
8) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率 60〜61 %)の体積1と水の体積2とを混合
する。
9) 水酸化ナトリウム溶液(100 g/l) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム10.3 gを水に溶かして
100 mlにする。ポリエチレン製瓶などに保存する。
10) 0.01 mol/l亜鉛溶液(Zn:0.653 8 g/l) 0.01 mol/l亜鉛溶液の調製及び計算は,次による。
4
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10.1) 調製 JIS K 8005に規定する容量分析用標準物質など2) の亜鉛の必要量を塩酸(1+3),水,JIS K
8101に規定するエタノール(99.5)及びJIS K 8103に規定するジエチルエーテルで,順次,洗っ
た後,直ちに上口デシケーター(減圧デシケーター)に入れて,上口デシケーター内圧2.0 kPa以
下で数分間保った後,減圧下で約12時間乾燥する。その0.33 gを0.1 mgのけたまではかりとり,
共通すり合わせ冷却管が付けられる三角フラスコ300 mlに移し,水25 ml及び硝酸(1+2)25 ml
を加え,冷却管を付けて水浴上で加熱して溶かす。次に,穏やかに煮沸して窒素酸化物を除いた
後,放冷し,全量フラスコ500 mlに移し,溶かすのに使用した三角フラスコ及び冷却管を水洗し,
洗液を先の全量フラスコ500 mlに加え,更に水を標線まで加えて混合した後,気密容器に入れて
保存する。
注2) 容量分析に用いることが可能な標準物質であり,使用する場合は,認証書に定める使用
方法などによる。ただし,認証書のある標準物質を入手できない場合は,市販の含有率
が明らかな標準物質も用いることができ,使用する場合は,その説明書などによる。
10.2) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
90
326
0
A
.
m
f
×
=
ここに,
f: 0.01 mol/l亜鉛溶液のファクター
m: はかりとった亜鉛の質量(g)
A: 亜鉛の純度(質量分率 %)
0.326 90: 0.01 mol/l亜鉛溶液500 ml中の亜鉛の相当質量(g)
11) 0.01 mol/lエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(0.01 mol/l EDTA2Na溶液)
(C10H14O8N2Na2・2H2O:3.722) 0.01 mol/lエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液の調
製,標定及び計算は,次による。
11.1) 調製 JIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物3.8 gをはかり
とり,水1 000 mlを加えて溶かした後,ポリエチレン製などの気密容器に入れて保存する。
11.2) 標定 0.01 mol/l亜鉛溶液25 mlをコニカルビーカー200 mlに正確にはかりとる。水75 mlを加え
た後,11.1) で調製した液20 mlをビュレットを用いて加える(このビュレットは,pHを調節した
後の滴定に再び用いる。)。次に,水酸化ナトリウム溶液(100 g/l)でpH 6〜8に調節する。アンモ
ニア性塩化アンモニウム溶液2 ml及び指示薬としてエリオクロムブラックT希釈粉末0.05 gを加
え,11.1) で調製した液で滴定する。終点は,液の色が赤から青に変わる点とする。
11.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
V
f
f
25
1
×
=
ここに,
f1: 0.01 mol/l EDTA2Na溶液のファクター
f: 0.01 mol/l亜鉛溶液のファクター
V: 滴定に要した0.01 mol/l EDTA2Na溶液の体積(ml)
12) 0.01 mol/l酢酸亜鉛溶液[Zn(CH3COO)2・2H2O:2.195 g/l] 0.0l mol/l酢酸亜鉛溶液の調製,標定
及び計算は,次による。
12.1) 調製 JIS K 8356に規定する酢酸亜鉛二水和物2.2 gをはかりとり,JIS K 8355に規定する酢酸
2 ml及び水1 000 mlを加えて溶かした後,気密容器に入れて保存する。
12.2) 標定 12.1) で調製した液25 mlをコニカルビーカー200 mlに正確にはかりとり,水75 ml及び
アンモニア性塩化アンモニウム溶液2 mlを加え,指示薬としてエリオクロムブラックT希釈粉末
5
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0.05 gを加え,0.01 mol/l EDTA2Na溶液で滴定する。終点は,液の色が赤から青に変わる点とする。
12.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
25
1
2
V
f
f
×
=
ここに,
f2: 0.01 mol/l酢酸亜鉛溶液のファクター
f1: 0.01 mol/l EDTA2Na溶液のファクター
V: 滴定に要した0.01 mol/l EDTA2Na溶液の体積(ml)
b) 操作 操作は,次のとおり行う。
試料0.1 gを0.1 mgのけたまではかりとり,コニカルビーカー300 mlに入れ,水25 mlを加えて溶
かす。0.01 mol/l EDTA2Na溶液 50 mlを正確に加えた後,煮沸する。室温まで冷却した後,酢酸−酢
酸アンモニウム溶液10 ml,エタノール(99.5)85 ml及びジチゾン溶液3 mlを加え,0.01 mol/l 酢酸
亜鉛溶液で滴定する。終点は,液の色が灰褐色から赤みの灰褐色に変わる点とする。
別に,同一条件で空試験を行う。
c) 計算 純度[AlK(SO4)2・12H2O]は,次の式によって算出する。
100
744
004
.0
2
1
2
×
×
×
=
m
f
V
V
A
)
−
(
ここに,
A: 純度[AlK(SO4)2・12H2O](質量分率 %)
V2: 空試験の滴定に要した0.01 mol/l酢酸亜鉛溶液の体積
(ml)
V1: 滴定に要した0.01 mol/l酢酸亜鉛溶液の体積(ml)
f2: 0.01 mol/l酢酸亜鉛溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.004 744: 0.01 mol/l EDTA2Na溶液1 mlに相当するAlK(SO4)2・
12H2Oの質量(g)
6.3
水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.2 a) 8) による。
2) 硝酸銀溶液(20 g/l) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mlにする。褐色ガラス
製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液
3.1) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
3.1.1) 計量標準供給制度[JCSS 3)]に基づく標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致し
た場合に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する(以下,“JCSSに基づく標準液”
という。)。
3.1.2) JCSS以外の認証標準液で酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,必要な
場合は,適切な方法で希釈して使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液がない場合は,市販
の標準液を用いる(以下,JCSS以外の認証標準液及び市販の標準液を合わせて,“JCSS以外の
認証標準液など”という。)。
3.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム1.65 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,
水を標線まで加えて混合する。
注3) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。
6
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3.2) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml
に正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“澄明”を用いる。
塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)0.2 mlを共通すり合わせ平底試験管にとり,水10 ml,硝酸(1+2)
1 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加え,更に水を加えて20 mlとし,振り混ぜてから15分間放置
する。
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 例として,容量50 ml,直径約23 mmで目盛のあるもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加えて溶かし20 mlにする。
2) 試料を溶かした直後に濁りの程度をb) と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を上方又
は側方から観察する。
e) 判定 d) によって操作し,次の1) 及び2) に適合するとき,“水溶状:試験適合”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b) の濁りより濃くない。
2) ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。
6.4
塩化物(Cl)
塩化物(Cl)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.2 a) 8) による。
2) 硝酸銀溶液(20 g/l) 6.3 a) 2) による。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 6.3 a) 3.2) による。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水15 mlを加えて溶かす。
2) 比較溶液の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)1.0 mlを共通すり合わせ平底試験管にとり,水
15 mlを加える。
3) 試料溶液及び比較溶液に,硝酸(1+2)5 ml,硝酸銀溶液(20 g/l)1 ml及び水を加えて25 mlにす
る。振り混ぜた後,15分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“塩化物(Cl):質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.5
重金属(Pbとして)
重金属(Pbとして)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸の体積2と水の体積1とを混合する。
2) 酢酸ナトリウム溶液(200 g/l) JIS K 8371に規定する酢酸ナトリウム三水和物33.2 gを水に溶か
して100 mlにする。
3) 硝酸(1+2) 6.2 a) 8) による。
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4) 硫化ナトリウム−グリセリン溶液 JIS K 8295に規定するグリセリン30 mlに水10 mlを加えた溶
液にJIS K 8949に規定する硫化ナトリウム九水和物5 gを加えて溶かす。放置後,上澄み液を用い
る。冷所に保存し,3か月以内に使用する。
5) 鉛標準液
5.1) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
5.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。
5.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。
5.1.3) JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,硝酸(1+2)1 ml及
び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
5.2) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確に
はかりとり,水を標線まで加えて混合する。使用時に調製する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加えて溶かし15 mlにする。
2) 比較溶液の調製は,鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml)2.0 mlを共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加
えて15 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,塩酸(2+1)0.5 mlを加えた後,酢酸ナトリウム溶液(200 g/l)でpH約
3.5に調節し,水を加えて30 mlにする。硫化ナトリウム−グリセリン溶液0.05 mlを加え,5分間
放置する。
4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,暗色を比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“重金属(Pbとして):質量分率0.001 %以下(規格値)”
とする。
試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の色より暗くない。
6.6
ナトリウム(Na)
ナトリウム(Na)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) ナトリウム標準液
1.1) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
1.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。
1.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。
1.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム2.54 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,
水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する。
1.2) ナトリウム標準液(Na:0.1 mg/ml) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml)100 mlを全量フラスコ
1 000 mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
炎光光度計 励起源に炎を用いて分析種の発光スペクトル強度を測定する機器。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液及び比較溶液の調製
8
K 8255:2010
1.1) 試料溶液の調製は,試料0.50 gを全量フラスコ100 mlにとり,水を加えて溶かし,水を標線まで
加えて混合する(X液)。
1.2) 比較溶液の調製は,試料0.50 gを全量フラスコ100 mlにとり,ナトリウム標準液(Na:0.1 mg/ml)
1.0 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する(Y液)。
2) 炎光光度計による測定 炎光光度計による測定は,次のいずれかによる。
2.1) バックグラウンドの補正を自動で行う場合
2.1.1) 炎光光度計の分析条件は,取扱説明書による。この場合,測定波長のバックグラウンドの補正は,
自動で行えるように設定する。
2.1.2) 測定波長の設定は,炎光光度計のフレームの中に標準液を噴霧して発光強度を測定したときに,
あまり感度を上げないで発光強度が50〜100 %を示す濃度のものを用いて,測定波長589.0 nmを
設定し,更にその感度を変えないで発光強度が最も大きくなるような波長に微調節する。ただし,
波長が自動設定される場合は,この操作を行わない。
2.1.3) 感度の設定は,炎光光度計のフレームの中にY液を噴霧して発光強度を測定し,2.1.2) で設定し
た波長における炎光光度計の発光強度が50〜100 %になるように,また,記録計のフルスケール
の50〜100 %になるように感度を設定する。
2.1.4) 測定は,この状態で,フレーム中に水・X液・水・Y液・水の順にそれぞれの液を噴霧して発光
強度を測定し,X液の指示値(n1)及びY液の指示値(n2)をそれぞれ読み取る。
2.1.5) 測定結果は,X液の指示値n1と,Y液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1とを比較する。
2.2) バックグラウンドの補正を手動で行う場合
2.2.1) 測定波長の設定は,炎光光度計のフレームの中に標準液を噴霧して発光強度を測定したときに,
あまり感度を上げないで発光強度が50〜100 %を示す濃度のものを用いて,測定波長589.0 nmを
設定し,更にその感度を変えないで発光強度が最も大きくなるような波長に微調節する。
2.2.2) 感度の設定は,炎光光度計のフレームの中にY液を噴霧して発光強度を測定し,2.2.1) で設定し
た波長における炎光光度計の発光強度が50〜100 %になるように,また,記録計のフルスケール
の50〜100 %になるように感度を設定する。
2.2.3) 測定は,この状態で,フレーム中に水・X液・水・Y液・水の順にそれぞれの液を噴霧して発光
強度を測定し,X液の指示値(n1)及びY液の指示値(n2)をそれぞれ読み取る。
2.2.4) バックグラウンドの補正は,2.2.2) で設定した感度を変えないで,測定波長580 nmを設定し,フ
レームの中にX液を噴霧して発光強度を測定し,指示値(n3)を読み取る。
2.2.5) 測定結果は,X液の指示値からバックグラウンドの指示値を引いたn1−n3と,Y液の指示値から
X液の指示値を引いたn2−n1とを比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“ナトリウム(Na):質量分率0.02 %以下(規格値)”
とする。
1) バックグラウンドの補正を自動で行う場合
n1は,n2−n1より大きくない。
注記 ナトリウムの含有率(質量分率 %)は,次の式によって求めることができる。
100
000
1
1
2
1
×
×
−
×
=m
n
n
n
B
A
ここに,
A: ナトリウムの含有率(質量分率 %)
9
K 8255:2010
B: 用いた標準液中のナトリウムの質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
2) バックグラウンドの補正を手動で行う場合
n1−n3は,n2−n1より大きくない。
注記 ナトリウムの含有率(質量分率 %)は,次の式によって求めることができる。
100
000
1
1
2
3
1
×
×
−
−
×
=m
n
n
n
n
B
A
ここに,
A: ナトリウムの含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中のナトリウムの質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
6.7
ひ素(As)
ひ素(As)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 亜鉛(ひ素分析用) JIS K 8012に規定する粒径150〜1 400 μmのもの。
2) ピリジン JIS K 8777に規定するもの。
3) 塩化すず(II)溶液(N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀法用)[塩化すず(II)溶液(AgDDTC法
用)] JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物40 gをJIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分
析用)に溶かし,塩酸(ひ素分析用)で100 mlにする。小粒のJIS K 8580に規定する粒状のすず2
〜3個を加えて保存する。褐色ガラス製瓶に保存する。これを,使用時に水で10倍にうすめる。
4) 塩酸(ひ素分析用)(1+1) 塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の体積1とを混合する(必要な場合
に用いる。)。
5) 塩酸(ひ素分析用)(1+3) 塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の体積3とを混合する。
6) 酢酸鉛(II)溶液(100 g/l) JIS K 8374に規定する酢酸鉛(II)三水和物11.6 gを水に溶かして100
mlにした後,JIS K 8355に規定する酢酸0.1 mlを加える。
7) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀・ピリジン溶液(AgDDTC・ピリジン溶液) JIS K 9512に規
定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀(AgDDTC)0.5 gをピリジンに溶かし,ピリジンで100
mlにする。褐色ガラス製瓶に入れ,冷所に保存する。
8) 水酸化ナトリウム溶液(100 g/l) 6.2 a) 9) による(必要な場合に用いる。)。
9) よう化カリウム溶液(200 g/l) JIS K 8913に規定するよう化カリウム20 gを水に溶かして100 ml
にする。使用時に調製する。
10) ひ素標準液
10.1) ひ素標準液(As:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
10.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。
10.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。
10.1.3) JIS K 8044に規定する三酸化二ひ素1.32 gに水酸化ナトリウム溶液(100 g/l)6 ml及び水500 ml
を加えて溶かす。塩酸(ひ素分析用)(1+3)でpH 3〜5に調節した後,水で全量フラスコ
1 000 mlに移し,水を標線まで加えて混合する。
10.2) ひ素標準液(As:0.001 mg/ml) ひ素標準液(As:1 mg/ml)25 mlを全量フラスコ250 mlに正確
にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。その10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確にはか
りとり,水を標線まで加えて混合する。
10
K 8255:2010
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 吸収セル 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,光路長が10 mmのもの(必
要な場合に用いる。)。
2) ひ素試験装置 例を図1に示す。
3) 分光光度計 JIS K 0115に規定するもの(必要な場合に用いる。)。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料3.0 gを水素化ひ素発生瓶100 mlにとり,水20 mlを加えて溶かす。
2) 比較溶液の調製は,ひ素標準液(As:0.001 mg/ml)3.0 mlを水素化ひ素発生瓶100 mlにとり,水
20 mlを加える。
3) 空試験用溶液の調製は,水20 mlを水素化ひ素発生瓶100 mlにとる(吸光度を測定する場合に調製
する。)。
4) 試料溶液,比較溶液及び空試験用溶液に,塩酸(ひ素分析用)(1+1)5 mlを加え,水で40 mlにす
る。これらによう化カリウム溶液(200 g/l)15 ml及び塩化すず(II)溶液(AgDDTC法用)5 mlを
加えて振り混ぜ,10分間放置する。次に亜鉛(ひ素分析用)3 gを加え,直ちに水素化ひ素発生瓶
100 mlと導管B(あらかじめ水素化ひ素吸収管CにAgDDTC・ピリジン溶液5 mlを入れ,導管B
と水素化ひ素吸収管Cとを連結しておく。)とを連結して約25 ℃の水中で約1時間放置した後,水
素化ひ素吸収管Cを離し,ピリジンを5 mlの標線まで加える。
5) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を水素化ひ素吸収管Cの上方
又は側方から観察して赤を比較する。
なお,必要があれば吸収セルを用い,分光光度計で波長510 nm付近の吸収極大の波長における吸
光度を空試験用溶液からのAgDDTC・ピリジン溶液を対照液として,JIS K 0115の6.(特定波長に
おける吸収の測定)によって測定する。
d) 判定 c) によって操作し,次の1) 又は2) に適合するとき,“ひ素(As):質量分率1 ppm以下(規格値)”
とする。
1) 試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の赤より濃くない。
2) 試料溶液から得られた液の吸光度は,比較溶液から得られた液の吸光度より大きくない。
単位 mm
A:
B:
C:
D:
E:
F:
G:
水素化ひ素発生瓶100 ml
導管
水素化ひ素吸収管
ゴム栓又はすり合わせ
酢酸鉛(II)溶液(100 g/l)で湿し
たガラスウール
40 mlの標線
5 mlの標線
図1−ひ素試験装置の例
11
K 8255:2010
6.8
鉄(Fe)
鉄(Fe)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(100 g/l) JIS K 8201に規定する塩化ヒドロキシルアンモニ
ウム10 gを水に溶かして100 mlにする。
2) 塩酸(2+1) 6.5 a) 1) による。
3) 酢酸アンモニウム溶液(250 g/l) JIS K 8359に規定する酢酸アンモニウム25 gを水に溶かして
100 mlにする。
4) 1,10-フェナントロリン溶液(2 g/l) JIS K 8202に規定する塩化1,10-フェナントロリニウム一水和
物0.28 gを水に溶かして100 mlにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
5) 鉄(III)標準液
5.1) 鉄(III)標準液(Fe:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
5.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。
5.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。
5.1.3) JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,
塩酸(2+1)3 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存
する。
5.2) 鉄(III)標準液(Fe:0.01 mg/ml) 鉄(III)標準液(Fe:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml
に正確にはかりとり,塩酸(2+1)3 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス
製瓶に保存する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,塩酸(2+1)1 ml及び水を加
えて溶かし,水で15 mlにする。
2) 比較溶液の調製は,鉄(III)標準液(Fe:0.01 mg/ml)1.0 mlを共通すり合わせ平底試験管にとり,
塩酸(2+1)1 ml及び水を加えて15 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(100 g/l)1 mlを加えて,5分間放
置後,1,10-フェナントロリン溶液(2 g/l)1 ml,酢酸アンモニウム溶液(250 g/l)5 ml及び水を加
えて25 mlとし,20〜30 ℃で15分間放置する。
4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,黄みの赤を比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“鉄(Fe):質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。
試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の黄みの赤より濃くない。
6.9
アンモニウム(NH4)
アンモニウム(NH4)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(インドフェノール青法用)[EDTA2Na溶液(イ
ンドフェノール青法用)] JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム1 gを水60 mlに溶かす。これ
にJIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物5 gを加えて溶かし,
12
K 8255:2010
水で100 mlにする。
2) 酢酸(1+1) 6.2 a) 5) による。
3) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素
質量分率5〜12 %)の有効塩素を使用時に定量し,有効塩素が質量分率約1 %になるように水でう
すめる。冷暗所に保存し,30日以内に使用する。
3.1) 有効塩素の定量方法 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5〜12 %)10 gを0.1 mg
のけたまではかりとり,全量フラスコ200 mlに移し,水を標線まで加えて混合する。その20 ml
を共通すり合わせ三角フラスコ300 mlに正確にはかりとり,水100 ml,JIS K 8913に規定するよ
う化カリウム2 g及び酢酸(1+1)6 mlを加えて栓をして振り混ぜる。約5分間暗所に放置後,指
示薬としてでんぷん溶液を用い,0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。この場合,でん
ぷん溶液は,終点間際で液の色がうすい黄色になったときに約0.5 mlを加える。終点は,液の青
が消える点とする。
別に,同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
100
200
/
20
3
545
003
0
)
(
2
1
×
×
×
×
=
m
f
.
V
V
A
−
ここに,
A: 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5〜
12 %)の有効塩素濃度(Cl)(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の体積
(ml)
V2: 空試験に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(ml)
f: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素
質量分率5〜12 %)の質量(g)
0.003 545 3: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液1 ml に相当するClの
質量(g)
4) 水酸化ナトリウム溶液(300 g/l) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム30.9 gを,水に溶かし
て100 mlにする。ポリエチレン製瓶などに保存する。
5) でんぷん溶液 JIS K 8659に規定するでんぷん(溶性)1.0 gに水10 mlを加えてかき混ぜながら熱
水200 ml中に入れて溶かす。これを約1分間煮沸した後に冷却する。冷所に保存し,10日間以内
に使用する。
6) ナトリウムフェノキシド溶液 水酸化ナトリウム溶液(300 g/l)18 mlをビーカー200 mlにとる。冷
水中で冷却しながらJIS K 8798に規定するフェノール12.6 gを少量ずつ加えた後,更にJIS K 8034
に規定するアセトン4 mlを加え,水で100 mlにする。使用時に調製する。
7) ピロガロール・水酸化ナトリウム溶液 JIS K 8780に規定するピロガロール10 gを水酸化ナトリウ
ム溶液(300 g/l)80 mlに溶かし,更に水酸化ナトリウム溶液(300 g/l)を加えて全量を100 mlにす
る。この溶液は使用時に調製する。
8) 溶存酸素を除いた水 次のいずれか,又は8.1)〜8.5) の二つ以上を組み合わせたものを用い,使用時
に調製する。
8.1) 水をフラスコに入れ15分間沸騰させる。加熱を止め,フラスコの口を時計皿で軽くふたをして少
し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶にピロガロール・水酸化ナトリウム溶液を入れたも
のを連結するなどして空気中の酸素を遮り,冷却したもの。
13
K 8255:2010
8.2) 水をフラスコに入れ,水の中にJIS K 1107に規定する窒素を15分間以上通じたもの。
8.3) 水を酸素分離膜を用いたガス分離管を用いて溶存酸素を除いたもの。
8.4) 水を超音波振動装置で十分に脱気を行ったもの。
8.5) 新鮮な18 MΩ・cm以上の抵抗率のある脱イオン化された水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立
てないように採取したもの。
9) 硫酸(1+1) 水の体積1を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々
に加える。
10) 0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液(Na2S2O3・5H2O:24.82 g/l) 0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液
の調製,標定及び計算は,次による。
10.1) 調製 JIS K 8637に規定するチオ硫酸ナトリウム五水和物26 g及びJIS K 8625に規定する炭酸ナ
トリウム0.2 gをはかりとり,溶存酸素を除いた水1 000 mlを加えて溶かした後,気密容器に入れ
て保存する。調製後2日間放置したものを用いる。
10.2) 標定 JIS K 8005に規定する容量分析用標準物質など3) のよう素酸カリウムの必要量をめのう乳
鉢で軽く砕いて,130 ℃で約2時間乾燥した後,デシケーターに入れて放冷する。その0.9〜1.1 g
を全量フラスコ250 mlに0.1 mgのけたまではかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて
混合する。その25 mlを共通すり合わせ三角フラスコ200 mlに正確にはかりとり,水100 mlを加
える。次に,JIS K 8913に規定するよう化カリウム2 gと硫酸(1+1)2 mlとを加え,直ちに栓を
して穏やかに振り混ぜて,暗所に5分間放置する。指示薬としてでんぷん溶液を用い,10.1) で調
製した液で滴定する。この場合,でんぷん溶液は,終点間際で液の色がうすい黄色になったとき
に約0.5 mlを加える。終点は,液の青が消える点とする。
別に,共通すり合わせ三角フラスコ200 mlに水125 ml及びよう化カリウム2 gをはかりとり,
硫酸(1+1)2 mlを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜて,暗所に5分間放置し,同一条件
で空試験を行って滴定量を補正する。
10.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
)
(
7
566
003
.0
250
/
25
2
1
A
V
V
m
f
×
×
×
=
−
ここに,
f: 0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとったよう素酸カリウムの質量(g)
A: よう素酸カリウムの純度(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液の体積
(ml)
V2: 空試験に要した0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液の体積
(ml)
0.003 566 7: 0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液1 mlに相当するよう素
酸カリウムの質量(g)
11) アンモニウム標準液
11.1) アンモニウム標準液(NH4:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
11.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。
11.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。
11.1.3) JIS K 8116に規定する塩化アンモニウム2.97 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶か
し,水を標線まで加えて混合する。
14
K 8255:2010
11.2) アンモニウム標準液(NH4:0.01 mg/ml) アンモニウム標準液(NH4:1 mg/ml)10 mlを全量フ
ラスコ1 000 mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 吸収セル 6.7 b) 1) による。
2) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
3) 恒温水槽 20〜25 ℃に調節できるもの。
4) 分光光度計 6.7 b) 3) による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料0.10 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加えて溶かし,水で10 ml
にする。
2) 比較溶液の調製は,アンモニウム標準液(NH4:0.01 mg/ml)1.0 mlを共通すり合わせ平底試験管に
とり,水を加えて10 mlにする。
3) 空試験用溶液は,共通すり合わせ平底試験管に水10 mlをとる。
4) 試料溶液,比較溶液及び空試験用溶液に,EDTA2Na溶液(インドフェノール青法用)1 ml及びナ
トリウムフェノキシド溶液4 mlを加えてよく振り混ぜる。これらに次亜塩素酸ナトリウム溶液(有
効塩素 質量分率約1 %)2.5 mlを加え,更に水を加えて25 mlにし,20〜25 ℃の恒温水槽で15分
間放置する。
5) 試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液は,空試験用溶液から得られた液を対照液とし,
吸収セルを用いて,分光光度計で波長630 nm付近で吸光度が最大となる波長で吸光度をJIS K 0115
の6.(特定波長における吸収の測定)によって測定して比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“アンモニウム(NH4):質量分率0.01 %以下(規格値)”
とする。
試料溶液から得られた液の吸光度は,比較溶液から得られた液の吸光度より大きくない。
7
容器
容器は,気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本産業規格番号
b) 名称 “硫酸カリウムアルミニウム・12水”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f) 内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号