K 8252:2010
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度[(NH4)2S2O8] ········································································································ 3
6.3 水溶状 ························································································································· 4
6.4 強熱残分(硫酸塩) ······································································································· 5
6.5 酸(H2SO4として) ········································································································ 5
6.6 塩化物(Cl) ················································································································ 6
6.7 ナトリウム(Na)及びカリウム(K)················································································ 7
6.8 銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)······················································································ 8
6.9 マンガン(Mn) ············································································································ 9
7 容器······························································································································ 10
8 表示······························································································································ 10
9 取扱い上の注意事項 ········································································································· 10
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本試薬
協会(JRA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきと
の申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8252:1992は改正され,この規格に置き換えられた。
また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標
準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
日本産業規格
JIS
K 8252:2010
ペルオキソ二硫酸アンモニウム(試薬)
Ammonium peroxodisulfate (Reagent)
(NH4)2S2O8 FW:228.20
序文
この規格は,1952年に制定され,その後3回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は,1992年に
行われたが,その後の試験・研究開発などの技術進歩に対応するために改正した。
なお,対応国際規格は,現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いるペルオキソ二硫酸アンモニウム1) について規定する。
注1) 別名:過硫酸アンモニウム
警告 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とする。
この規格は,その使用に関連して起こるすべての安全上の問題を取り扱おうとするものではな
い。この規格の利用者は,MSDS(化学物質等安全データシート)などを参考にして各自の責
任において安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS H 6202 化学分析用白金皿
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8121 塩化カリウム(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8160 塩化マンガン(Ⅱ)四水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8247 過マンガン酸カリウム(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8563 硝酸鉛(Ⅱ)(試薬)
2
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JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8603 ソーダ石灰(試薬)
JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8842 ブロモチモールブルー(試薬)
JIS K 8896 メチルレッド(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8979 硫酸アンモニウム鉄(Ⅱ)六水和物(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(Ⅲ)・12水(試薬)
JIS K 8983 硫酸銅(Ⅱ)五水和物(試薬)
JIS K 9005 りん酸(試薬)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
ペルオキソ二硫酸アンモニウムは,無色若しくはうすい黄色の結晶又は結晶性粉末で,水に溶けやすく,
エタノール及びジエチルエーテルにほとんど溶けない。
4.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料1 gに硝酸マンガン(Ⅱ)溶液(50 g/l)1 ml,硫酸(1+10)10 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 ml
を加えて溶かし,約50 ℃に加熱すると液は,紅色になる。
b) 試料0.5 gを水10 mlに溶かし,水酸化ナトリウム溶液(300 g/l)1 mlを加えて加熱すると,アンモニ
アが発生する。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度[(NH4)2S2O8] 質量分率 %
98.0以上
6.2
水溶状
試験適合
6.3
強熱残分(硫酸塩) 質量分率 %
0.05以下
6.4
酸(H2SO4として) 質量分率 %
0.2以下
6.5
塩化物(Cl)
質量分率 ppm
5以下
6.6
ナトリウム(Na)
質量分率 %
0.02以下
6.7
カリウム(K)
質量分率 %
0.01以下
6.7
銅(Cu)
質量分率 ppm
5以下
6.8
鉛(Pb)
質量分率 %
0.001以下
6.8
マンガン(Mn)
質量分率 ppm
0.5以下
6.9
鉄(Fe)
質量分率 ppm
5以下
6.8
3
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6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度[(NH4)2S2O8]
純度[(NH4)2S2O8]の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) りん酸 JIS K 9005に規定するもの。
2) 硫酸(1+1) 水の体積1を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々
に加える。
3) 0.02 mol/l過マンガン酸カリウム溶液(KMnO4:3.161 g/l) 0.02 mol/l過マンガン酸カリウム溶液の
調製,標定及び計算は,次による。
3.1) 調製 JIS K 8247に規定する過マンガン酸カリウム3.2 gをビーカー2 000 mlにはかりとり,水
1 050 mlを加えて1〜2時間穏やかに煮沸した後,約18時間暗所に放置する。その上澄み液をJIS
R 3503に規定するブフナー漏斗形ガラスろ過器(17G4又は25G4)を用いてろ過する。この場合,
ブフナー漏斗形ガラスろ過器は,ろ過の前後に水洗はしない。約30分間水蒸気洗浄した褐色の気
密容器に保存する。
3.2) 標定 JIS K 8005に規定する容量分析用標準物質など2) のしゅう酸ナトリウムの必要量を200 ℃
で約60分間乾燥した後,デシケーターに入れて放冷する。その0.20〜0.24 gを0.1 mgのけたまで
はかりとり,コニカルビーカー500 mlに移し,水200 mlを加えて溶かす。硫酸(1+1)20 mlを
加え,液温を25〜30 ℃にし,緩くかき混ぜながら3.1)で調製した液を,滴定所要量の約2 ml手
前までビュレットのコックを全開にして加え,液の紅色が消えるまで放置する。次に,50〜60 ℃
に加熱し,引き続き滴定する。終点は,液のうすい紅色が約30秒間残る点とする。
別に,水200 ml及び硫酸(1+1)20 mlをコニカルビーカー500 mlにはかりとり,50〜60 ℃に
加熱し,同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
注2) 容量分析に用いることが可能な標準物質であり,使用する場合は,認証書に定める使用
方法などによる。ただし,認証書のある標準物質を入手できない場合は,市販の含有率
が明らかな標準物質も用いることができ,使用する場合は,その説明書などによる。
3.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
(
)100
700
006
.0
2
1
A
V
V
m
f
×
−
×
=
ここに,
f: 0.02 mol/l過マンガン酸カリウム溶液のファクター
m: はかりとったしゅう酸ナトリウムの質量(g)
A: しゅう酸ナトリウムの純度(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.02 mol/l過マンガン酸カリウム溶液の体積
(ml)
V2: 空試験に要した0.02 mol/l過マンガン酸カリウム溶液の体
積(ml)
0.006 700: 0.02 mol/l過マンガン酸カリウム溶液1 mlに相当するしゅ
う酸ナトリウムの質量(g)
4) 0.1 mol/l硫酸アンモニウム鉄(Ⅱ)溶液[Fe(NH4)2(SO4)2・6H2O:39.21 g/l] 水300 mlをはかりと
り,硫酸30 mlをかき混ぜながら徐々に加えた後,冷却する。次に,JIS K 8979に規定する硫酸ア
ンモニウム鉄(Ⅱ)六水和物40 g及び水700 mlを加えて溶かした後,気密容器に入れる。使用時
4
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に調製する。
b) 操作 操作は,次のとおり行う。
試料1.5 gを0.1 mgのけたまではかりとり,全量フラスコ250 mlに入れて水を加えて溶かし,水を
標線まで加えて混合する。その50 mlをコニカルビーカー200 mlに正確にはかりとり,0.1 mol/l硫酸
アンモニウム鉄(Ⅱ)溶液50 mlを正確に加え,更にりん酸5 mlを加えた後,0.02 mol/l過マンガン酸
カリウム溶液で滴定する。終点は,液のうすい紅色が約30秒間残る点とする。
別に,同一条件で空試験を行う。
c) 計算 純度[(NH4)2S2O8]は,次の式によって算出する。
(
)
100
250
50
410
011
.0
1
2
×
×
×
−
×
=
m
f
V
V
A
ここに,
A: 純度[(NH4)2S2O8](質量分率 %)
V2: 空試験に要した0.02 mol/l過マンガン酸カリウム溶液の体
積(ml)
V1: 滴定に要した0.02 mol/l過マンガン酸カリウム溶液の体積
(ml)
f: 0.02 mol/l過マンガン酸カリウム溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.011 410: 0.1 mol/l硫酸アンモニウム鉄(Ⅱ)溶液1 mlに相当する
(NH4)2S2O8の質量(g)
6.3
水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60〜61 %)の体積1と水の体積2とを混合す
る。
2) 硝酸銀溶液(20 g/l) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mlにする。褐色ガラス
製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液
3.1) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
3.1.1) 計量標準供給制度[JCSS 3)]に基づく標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致し
た場合に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する(以下,JCSSに基づく標準液と
いう。)。
3.1.2) JCSS以外の認証標準液で酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,必要な
場合は,適切な方法で希釈して使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液がない場合は,市販
の標準液を用いる(以下,JCSS以外の認証標準液及び市販の標準液を合わせて,“JCSS以外の
認証標準液など”という。)。
3.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム1.65 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,
水を標線まで加えて混合する。
注3) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。
3.2) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml
に正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“澄明”を用いる。
塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)0.2 mlを共通すり合わせ平底試験管にとり,水10 ml,硝酸(1+2)
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1 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加え,更に水を加えて20 mlとし,振り混ぜてから15分間放置
する。
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 例として,容量50 ml,直径約23 mmで目盛のあるもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加えて溶かし20 mlにする。
2) 試料を溶かした直後に濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を上方又
は側方から観察する。
e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“水溶状:試験適合”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。
6.4
強熱残分(硫酸塩)
強熱残分(硫酸塩)の試験方法は,JIS K 0067の4.4.4 (4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)によ
る。この場合,試料4 gを0.1 mgのけたまではかりとる。強熱温度は,600±50 ℃とする。
6.5
酸(H2SO4として)
酸(H2SO4として)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) ソーダ石灰 JIS K 8603による。
2) 水酸化カリウム溶液(250 g/l) JIS K 8574に規定する水酸化カリウム29.4 gを水に溶かして100 ml
にする。溶液は,ポリエチレン製瓶などに保存する(必要な場合に用いる。)。
3) 二酸化炭素を除いた水 次のいずれか,又は3.1)〜3.4)の二つ以上を組み合わせたものを用い,使用
時に調製する。
3.1) 水をフラスコに入れ15分間沸騰させる。加熱を止め,フラスコの口を時計皿で軽くふたをして少
し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶に水酸化カリウム溶液(250 g/l)を入れたもの,又は
ソーダ石灰管を連結して空気中の二酸化炭素を遮り,冷却したもの。
3.2) 水をフラスコに入れ,水の中にJIS K 1107に規定する窒素を15分間以上通じたもの。
3.3) 水を二酸化炭素分離膜を用いたガス分離管を用いて二酸化炭素を除いたもの。
3.4) 新鮮な18 MΩ・cm以上の抵抗率のある脱イオン化された水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立
てないように採取したもの。
4) メチルレッド溶液 JIS K 8896に規定するメチルレッド0.10 gをJIS K 8102に規定するエタノール
(95)に溶かして100 mlにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
5) ブロモチモールブルー溶液 JIS K 8842に規定するブロモチモールブルー0.10 gをエタノール(95)
50 mlに溶かし,水で100 mlにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
6) 0.1 mol/l水酸化ナトリウム溶液(NaOH:4.000 g/l) 0.1 mol/l水酸化ナトリウム溶液の調製,標定
及び計算は,次による。
6.1) 調製 JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム165 gをポリエチレン製などの気密容器500 mlに
はかりとり,二酸化炭素を除いた水150 mlを加えて溶かした後,二酸化炭素を遮り4〜5日間放置
する。その上澄み液54 mlをポリエチレン製などの気密容器1 000 mlにとり,二酸化炭素を除い
た水を加えて1 000 mlとし混合する。その100 mlを全量フラスコ1 000 mlにはかりとり,二酸化
炭素を除いた水を標線まで加えて混合した後,ポリエチレン製などの気密容器に入れ,ソーダ石
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灰管を付けて保存する。
6.2) 標定 JIS K 8005に規定する容量分析用標準物質など2) のアミド硫酸の必要量をめのう乳鉢で軽
く砕いた後,上口デシケーター(減圧デシケーター)に入れ,上口デシケーター内圧2.0 kPa以下
で約48時間保つ。その0.24〜0.29 gを0.1 mgのけたまではかりコニカルビーカー100 mlに移し,
水25 mlを加えて溶かした後,指示薬としてブロモチモールブルー溶液数滴を加え,6.1)で調製し
た液で滴定する。終点は,液の色が黄色から青みの緑になる点とする。
6.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
709
009
.0
A
V
m
f
×
×
=
ここに,
f: 0.1 mol/l水酸化ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとったアミド硫酸の質量(g)
A: アミド硫酸の純度(質量分率 %)
V: 滴定に要した0.1 mol/l水酸化ナトリウム溶液の体積(ml)
0.009 709: 0.1 mol/l水酸化ナトリウム溶液1 mlに相当するアミド硫
酸の質量(g)
b) 操作 操作は,次のとおり行う。
試料5.0 gをコニカルビーカー100 mlにとり,二酸化炭素を除いた水50 mlを加えて溶かし,メチル
レッド溶液3滴を加え,メスピペットを用いて0.1 mol/l水酸化ナトリウム溶液2.1 mlを加えたとき,
液は黄色になる。
ただし,0.1 mol/l水酸化ナトリウム溶液のファクターが1.00でない場合は,加える体積を補正する。
注記 0.1 mol/l水酸化ナトリウム溶液1 mlは,0.004 904 g H2SO4に相当する。
c) 判定 b)によって操作し,次に適合するとき,“酸(H2SO4として):質量分率0.2 %以下(規格値)”
とする。
操作に記載された変色が認められる。
6.6
塩化物(Cl)
塩化物(Cl)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。
2) 硝酸銀溶液(20 g/l) 6.3 a) 2)による。
3) 炭酸ナトリウム溶液(100 g/l) JIS K 8625に規定する炭酸ナトリウム10 gを水に溶かして100 ml
にする。
4) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 6.3 a) 3.2)による。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 白金皿 JIS H 6202に規定するもの。
2) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
3) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿やビーカーなどを載せられるもので,熱媒体に
イオン交換水を用いたもの。
4) 電気炉 650±50 ℃に調節できるもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを白金皿にとり,炭酸ナトリウム溶液(100 g/l)20 mlを加えて溶か
し,イオン交換水を用いた水浴上で加熱して蒸発乾固する。これを加熱板上で徐々に加熱し,試料
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を揮散させた後,電気炉中で650 ℃で5分間加熱し,放冷する。次に,水10 mlを加えて溶かし,
硝酸(1+2)で中和した後,共通すり合わせ平底試験管に移し,硝酸(1+2)5 ml及び水を加えて
25 mlにする。
2) 比較溶液の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01/ml)1.0 ml及び炭酸ナトリウム溶液(100 g/l)20 mlを
白金皿にとり,イオン交換水を用いた水浴上で加熱して蒸発乾固する。次に,水10 mlを加えて溶
かし,硝酸(1+2)で中和した後,共通すり合わせ平底試験管に移し,硝酸(1+2)5 ml及び水を
加えて25 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加え振り混ぜた後,15分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側面から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“塩化物(Cl):質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.7
ナトリウム(Na)及びカリウム(K)
ナトリウム(Na)及びカリウム(K)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸の体積2と水の体積1とを混合する。
2) ナトリウム標準液及びカリウム標準液
2.1) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml)及びカリウム標準液(K:1 mg/ml) 次のいずれかのものを
用いる。
2.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1)に準じる。
2.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2)に準じる。
2.1.3) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml)及びカリウム標準液(K:1 mg/ml)を調製する場合
2.1.3.1) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml) 塩化ナトリウム2.54 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,
水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する。
2.1.3.2) カリウム標準液(K:1 mg/ml) JIS K 8121に規定する塩化カリウム1.91 gを全量フラスコ1
000 mlにとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに保
存する。
2.2) ナトリウム標準液(Na:0.01 mg/ml)及びカリウム標準液(K:0.01 mg/ml) 次のものを用いる。
2.2.1) ナトリウム標準液(Na:0.01 mg/ml) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ
1 000 mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する。
2.2.2) カリウム標準液(K:0.01 mg/ml) カリウム標準液(K:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000
mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
フレーム原子吸光分析装置 JIS K 0121に規定するもの。
c) 分析種及び測定波長 分析種及び測定波長の例を,表2に示す。
表2−分析種及び測定波長の例
分析種
測定波長 nm
ナトリウム
Na
589.0
カリウム
K
766.5
8
K 8252:2010
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ200 mlにとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加
えて混合する(S液)。S液10 ml(試料量0.05 g)を全量フラスコ100 mlにとり,塩酸(2+1)1 ml
を加え,更に水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,S液10 ml(試料量0.05 g)を全量フラスコ100 mlにとり,ナトリウム標準液(Na:
0.01 mg/ml)1.0 ml,カリウム標準液(K:0.01 mg/ml)0.5 ml及び塩酸(2+1)1 mlを加え,更に水
を標線まで加えて混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,表2に示す測定波長付近で吸光
度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸光度を
測定し,X液の指示値(n1)及びY液の指示値(n2)を読み取る。
4) 測定結果は,X液の指示値n1と,Y液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1とを比較する。
e) 判定 d)によって操作し,次に適合するとき,“ナトリウム(Na):質量分率0.02 %以下(規格値),
カリウム(K):質量分率0.01 %以下(規格値)”とする。
n1は,n2−n1より大きくない。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,次の式によって求めることができる。
なお,含有率を質量分率 ppmに換算する必要がある場合は,Aに10 000を乗じる。
100
000
1
1
2
1
×
×
−
×
=m
n
n
n
B
A
ここに,
A: 分析種の含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
6.8
銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)
銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) 6.7 a) 1)による。
2) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。
3) 銅標準液,鉛標準液及び鉄標準液
3.1) 銅標準液(Cu:1 mg/ml),鉛標準液(Pb:1 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:1 mg/ml) 次のいずれ
かのものを用いる。
3.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1)に準じる。
3.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2)に準じる。
3.1.3) 銅標準液(Cu:1 mg/ml),鉛標準液(Pb:1 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:1 mg/ml)を調製する
場合
3.1.3.1) 銅標準液(Cu:1 mg/ml) JIS K 8983に規定する硫酸銅(Ⅱ)五水和物3.93gを全量フラス
コ1 000 mlにとり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
3.1.3.2) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml) JIS K 8563に規定する硝酸鉛(Ⅱ)1.60 gを全量フラスコ1 000 ml
にとり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
3.1.3.3) 鉄標準液(Fe:1 mg/ml) JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄(Ⅲ)・12水8.63 gを全
量フラスコ1 000 mlにとり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて
9
K 8252:2010
混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。
3.2) 銅(Cu:0.01 mg/ml),鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml) 次のもの
を用いる。
3.2.1) 銅標準液(Cu:0.01 mg/ml) 銅標準液(Cu:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確
にはかりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。
3.2.2) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確に
はかりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。
3.2.3) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml) 鉄標準液(Fe:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確に
はかりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に
保存する。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
フレーム原子吸光分析装置 6.7 b)による。
c) 分析種及び測定波長 分析種及び測定波長の例を,表3に示す。
表3−分析種及び測定波長の例
分析種
測定波長 nm
銅
Cu
324.8
鉛
Pb
283.3
鉄
Fe
248.3
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料4.0 gを全量フラスコ50 mlにとり,水20 ml及び塩酸(2+1)1 mlを加え
て溶かし,水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,試料4.0 gを全量フラスコ50 mlにとり,水20 ml及び塩酸(2+1)1 mlを加え
て溶かし,銅標準液(Cu:0.01 mg/ml)2.0 ml,鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml)4.0 ml及び鉄標準液(Fe:
0.01 mg/ml)2.0 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,表3に示す測定波長付近で吸光
度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸光度を
測定し,X液の指示値(n1)及びY液の指示値(n2)を読み取る。
4) 測定結果は,X液の指示値n1とY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1とを比較する。
e) 判定 d)によって操作し,次に適合するとき,“銅(Cu):質量分率5 ppm以下(規格値),鉛(Pb):
質量分率0.001 %以下(規格値)及び鉄(Fe):質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。
n1は,n2−n1より大きくない。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,6.7 e)の注記に準じて求めることができる。
6.9
マンガン(Mn)
マンガン(Mn)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸銀溶液(20 g/l) 6.3 a) 2)による。
2) マンガン標準液
2.1) マンガン標準液(Mn:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
10
K 8252:2010
2.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1)に準じる。
2.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2)に準じる。
2.1.3) JIS K 8160に規定する塩化マンガン(Ⅱ)四水和物3.60 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,塩酸
(2+1)15 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
2.2) マンガン標準液(Mn:0.01 mg/ml) マンガン標準液(Mn:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000
mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料15.0 gをビーカー100 mlにとり,水を加えて溶かし50 mlにする。
2) 比較溶液の調製は,試料5.0 g及びマンガン標準液(Mn:0.01 mg/ml)0.5 mlをビーカー100 mlにと
り,水を加えて溶かし50 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加え,煮沸するまで加熱した後,冷却し,そ
れぞれを共通すり合わせ平底試験管に移す。
4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側面から観察して,赤を比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“マンガン(Mn):質量分率0.5 ppm以下(規格値)”と
する。
試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の赤より濃くない。
7
容器
容器は,気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本産業規格番号
b) 名称 “ペルオキソ二硫酸アンモニウム”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号
9
取扱い上の注意事項
ペルオキソ二硫酸アンモニウムは,強酸化性なので還元性物質などとの接触を避ける。