K 8247:2015
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 3
5 品質······························································································································· 3
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度(KMnO4) ············································································································ 3
6.2.1 第1法 しゅう酸ナトリウムを用いる滴定法 ···································································· 3
6.2.2 第2法 よう素滴定法 ·································································································· 4
6.3 水不溶分 ······················································································································ 6
6.4 塩化物(Cl) ················································································································ 7
6.5 硫酸塩(SO4) ·············································································································· 8
6.6 窒素化合物(Nとして)·································································································· 9
6.7 銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)····················································································· 11
7 容器······························································································································ 14
8 表示······························································································································ 14
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 15
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8247:2006は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成27年9月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 8247:2006によることができる。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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過マンガン酸カリウム(試薬)
Potassium permanganate (Reagent)
KMnO4 FW:158.03
序文
この規格は,1983年に第1版として発行されたISO 6353-2:1983,Reagents for chemical analysis−Part 2:
Specifications−First series R 26 Potassium permanganateを基とし,技術的内容を変更して作成した日本工業
規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる過マンガン酸カリウムについて規定する。
警告1 過マンガン酸カリウムは,強酸化性物質なので,試料を取り扱うときは,強酸,還元剤,有
機物などとの接触を避ける。
警告2 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とす
る。この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするもので
はない。この規格の利用者は,SDS(安全データシート),MSDS(化学物質等安全データシ
ート:JIS Z 7250:2010は,2012年に廃止され,JIS Z 7253に移行。JIS Z 7250:2010に従って
よい猶予期間は2016年まで)などを参考にして各自の責任において安全及び健康に対する適
切な措置をとらなければならない。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 6353-2:1983,Reagents for chemical analysis−Part 2: Specifications−First series R 26 Potassium
permanganate(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
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JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS K 8034 アセトン(試薬)
JIS K 8085 アンモニア水(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8230 過酸化水素(試薬)
JIS K 8284 くえん酸水素二アンモニウム(試薬)
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8377 酢酸ブチル(試薬)
JIS K 8454 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(試薬)
JIS K 8519 しゅう酸二水和物(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8548 硝酸カリウム(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JIS K 8653 デバルダ合金(試薬)
JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)
JIS K 8780 ピロガロール(試薬)
JIS K 8798 フェノール(試薬)
JIS K 8903 4-メチル-2-ペンタノン(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS Z 0701 包装用シリカゲル乾燥剤
JIS Z 8802 pH測定方法
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
3
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過マンガン酸カリウムは,緑みの黒又は紫みの黒の結晶で,金属光沢があり,水にやや溶けやすく,水
溶液は暗い赤みの紫である。
4.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料1 gに水100 mLを加えて溶かす(A液)。A液10 mLに硫酸(1+5)1 mLを加え,過酸化水素1
mLを加えると液は無色になる。
b) 炎色試験は,直径約0.8 mmの白金線の先端から約30 mmまでを塩酸(1+1)に浸し,炎の長さ約120
mm,内炎の長さ約30 mm程度としたガスバーナーの無色炎中に,内炎の最上部から約10 mmの位置
に水平に入れた後,放冷する。この操作を炎に色が現れなくなるまで繰り返す。次に白金線の先端約
5 mmを,A液に浸したものをガスバーナーの無色炎中に入れて,コバルトガラスで透かして見ると,
紫が現れる。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(KMnO4)
質量分率 %
99.3以上
6.2.1又は6.2.2
水不溶分
質量分率 %
0.1以下
6.3
塩化物(Cl)
質量分率 %
0.003以下
6.4
硫酸塩(SO4)
質量分率 %
0.005以下
6.5
窒素化合物(Nとして)
質量分率 %
0.003以下
6.6
銅(Cu)
質量分率 %
0.001以下
6.7
鉛(Pb)
質量分率 %
0.001以下
6.7
鉄(Fe)
質量分率 %
0.002以下
6.7
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(KMnO4)
6.2.1
第1法 しゅう酸ナトリウムを用いる滴定法
しゅう酸ナトリウムを用いる滴定法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硫酸(1+1) 水の体積1を冷却し,かき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々に
加える。
2) 0.05 mol/L しゅう酸ナトリウム溶液(Na2C2O4:6.700 g/L) 0.05 mol/L しゅう酸ナトリウム溶液の
調製及び計算は,次による。
2.1) 調製 認証標準物質1) 又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のしゅう酸ナトリウムを用
い,次のとおり行う。
2.1.1) 認証標準物質のしゅう酸ナトリウムを用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
2.1.2) 容量分析用標準物質のしゅう酸ナトリウムを用いる場合は,試験成績書などに記載された方法で
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乾燥する。
2.1.3) 認証標準物質又は容量分析用標準物質のしゅう酸ナトリウム6.7 g〜6.8 gを全量フラスコ1 000
mLに0.1 mgの桁まではかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。この液は,
気密容器に入れて保存する。
注1) 認証標準物質を供給する者として,独立行政法人産業技術総合研究所計量標準総合セン
ター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST)などの国家計量機関及び認証標準物質
生産者がある。
2.2) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
700
.6
A
m
f
×
=
ここに,
f: 0.05 mol/L しゅう酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとったしゅう酸ナトリウムの質量(g)
A: しゅう酸ナトリウムの純度(質量分率 %)
6.700: 0.05 mol/L しゅう酸ナトリウム溶液1 000 mL中のしゅう酸
ナトリウムの質量(g)
b) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料約0.6 gを全量フラスコ200 mLに0.1 mgの桁まではかりとり,水を加えて溶かし,水を標線ま
で加えて混合する(B液)。
2) コニカルビーカー500 mLなどに0.05 mol/L しゅう酸ナトリウム溶液25 mLを正確にとり,水200 mL
及び硫酸(1+1)20 mLを加え,70 ℃に加熱する。直ちに,溶液を緩くかき混ぜながらB液を滴
定所要量の約2 mL手前まで加える。液の紅色が消えるまで放置後,引き続きB液で滴定する。終
点は,液のうすい紅色が約15秒間残った点とする。
別に,水200 mL及び硫酸(1+1)20 mLをコニカルビーカー500 mLなどにとり,同一条件で空
試験を行って滴定量を補正する。滴定において終点の液の温度は,60 ℃以下にならないことが望ま
しい。
c) 計算 計算は,次による。
(
)
100
/200
25
6
160
003
.0
×
×
×
×
=
V
m
f
A
ここに,
A: 過マンガン酸カリウムの純度(質量分率 %)
V: 滴定に要したB液の体積(mL)
m: はかりとった試料の質量(g)
f: 0.05 mol/L しゅう酸ナトリウム溶液のファクター
0.003 160 6: 0.05 mol/L しゅう酸ナトリウム溶液1 mLに相当する
過マンガン酸カリウムの質量を示す換算係数(g/mL)
6.2.2
第2法 よう素滴定法
よう素滴定法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) よう化カリウム JIS K 8913に規定するもの。
2) 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)(必要な場合に用いる。) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウ
ム30.9 gを水に溶かして100 mLにする。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。
3) でんぷん溶液 JIS K 8659に規定するでんぷん(溶性)1.0 gに水10 mLを加えてかき混ぜながら熱
水200 mL中に入れて溶かす。これを約1分間煮沸した後に冷却する。溶液は,冷所に保存し10日
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以内に使用する。
4) ピロガロール・水酸化ナトリウム溶液(必要な場合に用いる。) JIS K 8780に規定するピロガロー
ル10 gを水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)80 mLに溶かし,更に,水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)
を加えて全量を100 mLにする。使用時に調製する。
5) 溶存酸素を除いた水 次のいずれか,又はそれらを組み合わせたものを用い,使用時に調製する。
5.1) 水をフラスコに入れ15分間以上沸騰させる。加熱を止め,フラスコの口に時計皿で軽く蓋をして
少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶にピロガロール・水酸化ナトリウム溶液を入れた
ものを連結するなどして空気中の酸素を遮り,冷却したもの。
5.2) 水をフラスコに入れ,水の中にJIS K 1107に規定する窒素を15分間以上通じたもの。
5.3) 酸素分離膜を用いたガス分離管を用いて,水から溶存酸素を除いたもの。
5.4) 水を超音波振動装置を用いて十分に脱気したもの。
5.5) 18 MΩ・cm以上の抵抗率のある脱イオン化された水を,JIS K 1107に規定する窒素を通じた三角フ
ラスコに泡立てないように採取したもの。ただし,採水後速やかに用いる。
6) 硫酸(1+1) 6.2.1 a) 1) による。
7) 硫酸(1+5) 水の体積5を冷却し,かき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々に
加える。
8) 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液(Na2S2O3・5H2O:24.82 g/L) 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液
の調製,標定及び計算は,次による。
8.1) 調製 JIS K 8637に規定するチオ硫酸ナトリウム五水和物26 g及びJIS K 8625に規定する炭酸ナ
トリウム0.2 gをはかりとり,溶存酸素を除いた水1 000 mLを加えて溶かした後,気密容器に入
れて保存する。溶液は,調製後2日間放置したものを用いる。
なお,炭酸ナトリウムと同時にJIS K 8903に規定する4-メチル-2-ペンタノンの適切な量を加え
てもよい。また,必要があればかくはん(攪拌)する。
8.2) 標定 認証標準物質1) 又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のよう素酸カリウムを用い,
次のとおり行う。
8.2.1) 認証標準物質1) のよう素酸カリウムを用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
8.2.2) 容量分析用標準物質のよう素酸カリウムを用いる場合は,試験成績書などに記載された方法で乾
燥する。
8.2.3) 認証標準物質1) 又は容量分析用標準物質のよう素酸カリウム0.9 g〜1.1 gを全量フラスコ250 mL
に0.1 mgの桁まではかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。その25 mL
を共通すり合わせ三角フラスコ200 mLに正確にとり,水100 mLを加える。次に,JIS K 8913
に規定するよう化カリウム2 g及び硫酸(1+1)2 mLを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混
ぜて,暗所に5分間放置する。指示薬としてでんぷん溶液を用い,8.1) で調製した0.1 mol/L チ
オ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。この場合,でんぷん溶液は,終点間際で液の色がうすい黄に
なったときに約0.5 mLを加える。終点は,液の青が消えた点とする。
別に,共通すり合わせ三角フラスコ200 mLに水125 mL及びJIS K 8913に規定するよう化カ
リウム2 gをはかりとり,硫酸(1+1)2 mLを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜて,暗
所に5分間放置し,同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
8.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
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(
)100
7
566
003
.0
250
/
25
2
1
A
V
V
m
f
×
−
×
×
=
ここに,
f: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとったよう素酸カリウムの質量(g)
A: よう素酸カリウムの純度(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(mL)
V2: 空試験に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の
体積(mL)
0.003 566 7: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液1 mLに相当するよ
う素酸カリウムの質量を示す換算係数(g/mL)
b) 操作 操作は,次のとおり行う。
試料1 gを全量フラスコ500 mLに0.1 mgの桁まではかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで
加えて混合する。その50 mLを正確にとり,共通すり合わせ三角フラスコ200 mLに入れ,水30 mL,
よう化カリウム3 g及び硫酸(1+5)5 mLを加え,直ちに栓をして暗所に5分間放置する。指示薬と
してでんぷん溶液を用い,0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。指示薬のでんぷん溶液は,
終点間際で液の色がうすい黄になったときに約0.5 mL加える。終点は,液の青が消えた点とする。
c) 計算 計算は,次による。
100
)
500
/
50
(
6
160
003
.0
×
×
×
×
=
m
f
V
A
ここに,
A: 過マンガン酸カリウムの純度(質量分率 %)
V: 滴定に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(mL)
m: はかりとった試料の質量(g)
f: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
0.003 160 6: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液1 mLに相当する過
マンガン酸カリウムの質量を示す換算係数(g/mL)
6.3
水不溶分
水不溶分の試験方法は,次による。
a) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 磁製乳鉢(必要な場合に用いる。) 固体を粉砕するために乳棒とともに用いる磁製の鉢。
2) るつぼ形ガラスろ過器 JIS R 3503に規定するるつぼ形ガラスろ過器1G3のもの。
3) 吸引ろ過装置 物質を溶液から分離するためにガラスろ過器と吸引瓶とを組み合わせた装置。
4) シリカゲルデシケーター 乾燥剤としてJIS Z 0701に規定するシリカゲル(A形1種)を入れた物
質を乾燥する容器。
5) 電気定温乾燥器 (105±2)℃に調節できるもの。
b) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gをビーカー500 mLなどにはかりとり,水200 mLを加え,加熱して溶
かし,放冷する。
なお,試料が塊状で溶けにくいものは,磁製乳鉢で粉砕して用いる。
2) るつぼ形ガラスろ過器は,(105±2)℃の電気定温乾燥器で恒量にし,その質量を0.1 mgの桁まで
はかる。
3) そのるつぼ形ガラスろ過器を用いて,吸引ろ過装置で試料溶液をろ過し,るつぼ形ガラスろ過器を
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水で洗液が無色になるまで洗浄する。
4) るつぼ形ガラスろ過器は,(105±2)℃の電気定温乾燥器で1時間乾燥し,シリカゲルデシケーター
中で室温まで冷却後,その質量を0.1 mgの桁まではかり残分を求める。
6.4
塩化物(Cl)
塩化物(Cl)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 過酸化水素 JIS K 8230に規定するもの。
2) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %の特級)の体積1と水の体積2と
を混合する。
3) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mLにする。褐色ガラ
ス製瓶に保存する。
4) 塩化物標準液
4.1) 塩化物標準液(Cl:1 mg/mL) 次のいずれかのものを用いる。
4.1.1) 計量標準供給制度[JCSS 2)]に基づく標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致し
た場合に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する(以下,“JCSSに基づく標準液”
という。)。
4.1.2) JCSS以外の認証標準液で酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,必要な
場合は,適切な方法で希釈して使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液がない場合は,市販
の標準液を用いる(以下,JCSS以外の認証標準液及び市販の標準液を合わせて,“JCSS以外の
認証標準液など”という。)。
4.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加え
て溶かし,水を標線まで加えて混合する。
注2) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。
4.2) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 塩化物標準液(Cl:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ1 000 mL
を正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 濁り,ごみなどの有無が確認しやすい大きさで,目盛のあるもの。例
として,容量50 mL,直径約23 mmのもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gをビーカー100 mLなどにはかりとり,水20 mLを加え約40 ℃に加
熱して溶かし,硝酸(1+2)6 mLを加え,過酸化水素3 mLを1滴ずつ徐々に加えて脱色する。冷
却後,水を加えて40 mLにする(C液)。C液20 mL(試料量0.5 g)を共通すり合わせ平底試験管
にとる。
2) 比較溶液の調製は,ビーカー100 mLに硝酸(1+2)3 mL及び過酸化水素1.5 mLをはかりとり1分
間煮沸する。冷却後,水で共通すり合わせ平底試験管に移し,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)1.5
mLを加え,更に水を加えて20 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,硝酸(1+2)5 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え振り混ぜた後,
15分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を共通すり合わせ平底試験管
の上方又は側面から観察して濁りを比較する。
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K 8247:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“塩化物(Cl):質量分率0.003 %以下(規格値)”とす
る。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.5
硫酸塩(SO4)
硫酸塩(SO4)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) 塩化バリウム溶液(100 g/L) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gを水に溶かして
100 mLにする。
3) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合する。
4) 硫酸塩標準液
4.1) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/mL) 次のいずれかのものを用いる。
4.1.1) JCSSに基づく標準液 6.4 a) 4.1.1) に準じる。
4.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.4 a) 4.1.2) に準じる。
4.1.3) JIS K 8962に規定する硫酸カリウム1.81 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて
溶かし,水を標線まで加えて混合する。
4.2) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ1 000 mL
に正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
5) 過酸化水素 6.4 a) 1) による。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.4 b) による。
c) 操作 操作は,局所排気装置の下又はドラフト内など(以下,“局所排気装置の下など”という。)で,
次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,ビーカー200 mLなどに試料3.0 gをはかりとり,水50 mLを加え加熱して溶か
す。別に,コニカルビーカー200 mLなどに水30 mL,塩酸(2+1)9 mL及び過酸化水素9 mLをと
り,混合した後,この液を振り混ぜながら試料溶液を静かに注ぐ3)。冷却後,水を加えて150 mLに
する(D液)。D液75 mL(試料量1.5 g)をビーカー100 mLなどにとり,熱板上で蒸発乾固し,冷
却後,塩酸(2+1)0.3 mLを加えて溶かし,少量の水を用いて共通すり合わせ平底試験管に移し,
水を加えて25 mLにする。
注3) この前処理の操作中に塩素ガスの発生するおそれがあるので,試薬を加える順序は変更し
てはならない。
2) 比較溶液の調製は,D液25 mL(試料量0.5 g)をビーカー100 mLなどにとり,塩酸(2+1)3 mL
及び過酸化水素3 mLを加え,熱板上で蒸発乾固する。冷却後,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)
5.0 mL及び塩酸(2+1)0.3 mLを加えて溶かし,少量の水を用いて共通すり合わせ平底試験管に移
し,水を加えて25 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,エタノール(95)3 mL及び塩化バリウム溶液(100 g/L)2 mLを加えて
振り混ぜた後,30分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を共通すり合わせ平底試験管
の上方又は側面から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“硫酸塩(SO4):質量分率0.005 %以下(規格値)”と
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
する。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.6
窒素化合物(Nとして)
窒素化合物(Nとして)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) デバルダ合金 JIS K 8653に規定するもの。
2) しゅう酸二水和物 JIS K 8519に規定するもの。
3) エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(インドフェノール青法用)[EDTA2Na溶液(イ
ンドフェノール青法用)] JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム1 gを水60 mLに溶かす。これ
にJIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物5 gを加えて溶かし,
水で100 mLにする。
4) 吸収液 準備した受器Hそれぞれに,硫酸(1+15)2 mLに水18 mLを加える。
5) 酢酸(1+1) JIS K 8355に規定する酢酸の体積1と水の体積1とを混合する。
6) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質
量分率5 %〜12 %)の有効塩素を使用時に定量し,有効塩素が質量分率約1 %になるように水でう
すめる。この溶液は,冷暗所に保存し,30日以内に使用する。
有効塩素の定量方法 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5 %〜12 %)10 gを全量フ
ラスコ200 mLに0.1mgの桁まではかりとり,水を標線まで加えて混合する。その20 mLを共通す
り合わせ三角フラスコ300 mLに正確にとり,水100 mL,JIS K 8913に規定するよう化カリウム2 g
及び酢酸(1+1)6 mLを加えて,栓をして振り混ぜる。約5分間暗所に放置後,指示薬としてでん
ぷん溶液を用い,0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。この場合,でんぷん溶液は,終点
間際で液の色がうすい黄になったときに約0.5 mL加える。終点は,液の青が消えた点とする。
別に,同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
有効塩素は,次の式によって算出する。
(
)
100
)
200
/
20
(
3
545
003
0
2
1
×
×
×
−
×
=
m
f
V
V
.
A
ここに,
A: 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5 %〜
12 %)の有効塩素濃度(Cl)(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(mL)
V2: 空試験に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の
体積(mL)
f: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質
量分率5 %〜12 %)の質量(g)
0.003 545 3: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液1 mLに相当するCl
の質量を示す換算係数(g/mL)
7) 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム30.9 gを水に溶かして
100 mLにする。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。
8) でんぷん溶液 6.2.2 a) 3) による。
9) ナトリウムフェノキシド溶液 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)18 mLをビーカー200 mLにとる。
冷水中で冷却しながらJIS K 8798に規定するフェノール12.6 gを少量ずつ加えた後,更にJIS K
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8034に規定するアセトン4 mLを加え,水で100 mLにする。使用時に調製する。
10) 硫酸(1+15) 水の体積15を冷却し,かき混ぜながら,これにJIS K 8951に規定する硫酸の体積
1を徐々に加える。
11) 硫酸(1+5) 6.2.2 a) 7) による。
12) 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液(Na2S2O3・5H2O:24.82 g/L) 6.2.2 a) 8) による。
13) 窒素標準液
13.1) 窒素標準液(N:1 mg/mL) JIS K 8548に規定する硝酸カリウム7.22 gを全量フラスコ1 000 mL
にはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
13.2) 窒素標準液(N:0.01 mg/mL) 窒素標準液(N:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正
確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 吸収セル 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,光路長が10 mmのもの。
2) 共通すり合わせ平底試験管 6.4 b) による。
3) 沸騰石 液体を沸騰させるとき突沸を防ぐために入れる多孔質の小片。
4) 蒸留装置 例を図1に示す。
5) 分光光度計 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,蒸留フラスコAに試料1.0 gをはかりとり,水を80 mL加えて溶かす。しゅう
酸二水和物2.5 g及び硫酸(1+5)3 mLを加えて無色になるまで加熱する。冷却後,水を加えて約
140 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,蒸留フラスコAに窒素標準液(N:0.01 mg/mL)3.0 mLをとり,しゅう酸二水
和物2.5 g,硫酸(1+5)3 mL及び水20 mLを加えて溶かし,更に水を加えて約140 mLにする。
3) 空試験溶液は,蒸留フラスコAに水約140 mLを入れる。
4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液それぞれの蒸留フラスコAに,沸騰石2,3粒を入れる。受器
Hに逆流止めGの先端を浸す。蒸留フラスコAにデバルダ合金1 gを入れ,直ちに蒸留装置に連結
する。これに水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)10 mLを注入漏斗Dから加える。注入漏斗Dを水
10 mLで洗い,すり合わせコックCを閉じる。加熱して蒸留し,初留約75 mLをとり,水を加えて
100 mLにする(試料溶液から得られた液をX液,比較溶液から得られた液をY液及び空試験溶液
から得られた液をZ液とする。)。
5) X液10 mL,Y液10 mL及びZ液10 mLをそれぞれ共通すり合わせ平底試験管にとり,EDTA2Na
溶液(インドフェノール青法用)1 mL及びナトリウムフェノキシド溶液4 mLを加えてよく振り混
ぜる。これらに次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %)2.5 mLを加え,更に水を加
えて25 mLとし,20 ℃〜25 ℃の恒温水槽で15分間放置する。
6) X液及びY液から得られた液は,Z液から得られた液を対照液とし,吸収セルを用いて,分光光度
計で波長630 nm付近の吸収極大の波長における吸光度を,JIS K 0115の6.(特定波長における吸収
の測定)によって測定し,その値を比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“窒素化合物(Nとして):質量分率0.003 %以下(規
格値)”とする。
X液から得られた液の吸光度は,Y液から得られた液の吸光度より大きくない。
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単位 mm
A:
B:
C:
D:
E:
F:
G:
H:
I:
J:
K:
L:
蒸留フラスコ500 mL
連結導入管
すり合わせコックK-16
注入漏斗
ケルダール形トラップ球(E':小孔)
球管冷却器300 mm
逆流止め(約50 mL)
受器(有栓形メスシリンダー100 mL)
共通すり合わせ
共通テーパー球面すり合わせ
押さえばね
ヒーター
図1−蒸留装置の例
6.7
銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)
銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 過酸化水素 JIS K 8230に規定するもの。
2) 酢酸ブチル JIS K 8377に規定するもの。
3) アンモニア水(2+3)(必要な場合に用いる。) JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0 %
〜30.0 %)の体積2と水の体積3とを混合する。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。
4) 塩酸(2+1) 6.5 a) 3) による。
5) くえん酸水素二アンモニウム溶液(100 g/L) JIS K 8284に規定するくえん酸水素二アンモニウム
10 gを水に溶かして100 mLにする。使用時に調製する。
6) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム溶液(10 g/L)[NaDDTC溶液(10 g/L)] JIS K 8454
に規定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物1.3 gを水に溶かして100 mLにす
る。
7) 硝酸(1+2) 6.4 a) 2) による。
8) 銅標準液,鉛標準液及び鉄標準液
8.1) 銅標準液(Cu:1 mg/mL),鉛標準液(Pb:1 mg/mL)及び鉄標準液(Fe:1 mg/mL) 次のいず
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れかを用いる。
8.1.1) JCSSに基づく標準液 6.4 a) 4.1.1) に準じる。
8.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.4 a) 4.1.2) に準じる。
8.1.3) 銅標準液(Cu:1 mg/mL),鉛標準液(Pb:1 mg/mL)及び鉄標準液(Fe:1 mg/mL)を調製す
る場合 次による。
8.1.3.1) 銅標準液(Cu:1 mg/mL) JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水和物3.93 gを全量フラスコ
1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合
する。
8.1.3.2) 鉛標準液(Pb:1 mg/mL) JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 gを全量フラスコ1 000 mL
にはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
8.1.3.3) 鉄標準液(Fe:1 mg/mL) JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄(III)・12水8.63 gを全
量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで
加えて混合する。
8.2) 銅標準液(Cu:0.01 mg/mL),鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 次
のものを用いる。
8.2.1) 銅標準液(Cu:0.01 mg/mL) 銅標準液(Cu:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確
にとり,硝酸(1+2)25 mLを加え,さらに水を標線まで加えて混合する。
8.2.2) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) 鉛標準液(Pb:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確
にとり,硝酸(1+2)25 mLを加え,さらに水を標線まで加えて混合する。
8.2.3) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 鉄標準液(Fe:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確
にとり,硝酸(1+2)25 mLを加え,さらに水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 分液漏斗200 mL JIS R 3503に規定するもの。
2) pH計 JIS Z 8802に規定する形式II以上の性能のもの。
3) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
4) フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。
c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表2に示す。
表2−分析種の測定波長の例
単位 nm
分析種
測定波長
銅(Cu)
324.8
鉛(Pb)
283.3
鉄(Fe)
248.3
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,局所排気装置の下などで,試料1.0 gをビーカー100 mLなどにはかりとり,水
20 mLを加えた後,加熱して溶かす(E液)。別に,コニカルビーカー200 mLなどに水20 mL,塩
酸(2+1)5 mL及び過酸化水素5 mLをとり,混合し,この液を振り混ぜながらE液を静かに注ぐ
3)。反応終了後,熱板上で約10 mLになるまで蒸発し,更に水浴上で蒸発乾固する。冷却後,塩酸
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(2+1)1 mLを加え,更に水を加えて80 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,局所排気装置の下などで,試料1.0 gをビーカー100 mLなどにはかりとり,水
20 mLを加えた後,加熱して溶かし,銅標準液(Cu:0.01 mg/mL)1.0 mL,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)
1.0 mL及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)2.0 mLを加える(F液)。別に,コニカルビーカー200 mL
などに水20 mL,塩酸(2+1)5 mL及び過酸化水素5 mLをとり,振り混ぜながらF液を静かに注
ぐ3)。反応終了後,熱板上で約10 mLになるまで蒸発し,更に水浴上で蒸発乾固する。冷却後,塩
酸(2+1)1 mLを加え,更に水を加えて80 mLにする。
3) 空試験溶液の調製は,塩酸(2+1)5 mL及び過酸化水素5 mLをビーカー100 mLなどにとり,水浴
上で蒸発乾固する。冷却後,塩酸(2+1)1 mLを加え,更に水を加えて5 mLにする。
4) 試料溶液及び比較溶液に,くえん酸水素二アンモニウム溶液(100 g/L)2 mLを加え,pH計を用い
て,塩酸(2+1)又はアンモニア水(2+3)でpH 5.5に調節し,直ちに,NaDDTC溶液(10 g/L)5
mLを加え,水を加えて100 mLにする。
5) これらの溶液それぞれを,分液漏斗200 mLに入れ,酢酸ブチル20 mLを加えた後,1分間激しく振
り混ぜ,二層に分かれるまで放置する。この上層(酢酸ブチル相)を分取する。試料溶液からの上
層(酢酸ブチル相)をX液とし,下層(水相)は保存する。比較溶液からの上層(酢酸ブチル相)
をY液とし,下層(水相)は捨てる。
6) 試料溶液からの水相を分液漏斗200 mLにとり,酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激しく振り混ぜ,
二層に分かれるまで放置して,下層(水相)を分取する。この場合,上層(酢酸ブチル相)は捨て
る。再び,水相に酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激しく振り混ぜ,二層に分かれるまで放置し,
下層(水相)を分取し,上層(酢酸ブチル相)は捨てる。ここで得た水相に3) の空試験溶液を加
え,更に,くえん酸水素二アンモニウム溶液(100 g/L)2 mLを加えた後,pH計を用いて,塩酸(2
+1)又はアンモニア水(2+3)でpH 5.5に調節する。直ちに,NaDDTC溶液(10 g/L)5 mLを加
え,酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激しく振り混ぜ,二層に分かれるまで放置し,上層(酢酸ブ
チル相)を分取してZ液とする。
7) フレーム原子吸光分析装置は,あらかじめ酢酸ブチルを噴霧してフレームの状態を最適にし,Y液
をフレーム中に噴霧し,表2に示す測定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液,Y
液及びZ液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸光度を測定し,X液の指示値(n1),Y液の
指示値(n2)及びZ液の指示値(n3)を読み取る。
8) 測定結果は,X液の指示値からZ液の指示値を引いた(n1−n3)とY液の指示値からX液の指示値
を引いた(n2−n1)とを比較する。
e) 判定 d) によって操作し,次に適合するとき,“銅(Cu):質量分率0.001 %以下(規格値),鉛(Pb):
質量分率0.001 %以下(規格値),鉄(Fe):質量分率0.002 %以下(規格値)”とする。
n1−n3は,n2−n1より大きくない。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)を求める場合は,次の式によって計算する。
100
000
1
1
2
3
1
×
×
−
−
×
=m
n
n
n
n
B
A
ここに,
A: 分析種の含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
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7
容器
容器は,気密容器とする。ただし,樹脂製の容器は用いない。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称“過マンガン酸カリウム”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号
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附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS K 8247:2015 過マンガン酸カリウム(試薬)
ISO 6353-2:1983,Reagents for chemical analysis−Part 2: Specifications−First series
R 26 Potassium permanganate
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範
囲
試薬として用いる
過マンガン酸カリ
ウムについて規定。
ISO
6353-2
−
化学分析用試薬40品目に
ついて規定。
変更
JISは,1品目1規格。
試薬の規格は,各規格に引用され
やすいように,1品目1規格とし
ている。
なお,対応国際規格は25年以
上見直しがされておらず,市場の
実態に合っていない。国際規格の
改正案を検討する予定。
2 引用規
格
3 種類
特級
−
−
追加
種類の項目を追加。
JISは種類として“特級”だけな
ので,ISO規格と技術的な差異は
ない。
4 性質
性状及び定性方法
を説明。
−
−
追加
性質の項目を追加。
一般的な説明事項であり,技術的
差異はない。
5 品質
水不溶分,硫酸塩,
鉄
R26.1
JISと同じ。
一致
−
ISO規格は,長期間内容の見直し
が行われず国際市場でISO規格
が用いられることはほとんどな
い。
純度,塩化物,窒素
酸化物
JISとほぼ同じ。
変更
JISは,ISO規格の規格値より
も小さい値を規定。
鉛
重金属(鉛として)
変更
JISは,鉛及び銅に分割して規
定。
銅
−
追加
規格値を規定
2
K
8
2
4
7
:
2
0
1
5
16
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
−
−
R26.2
試験溶液の調製方法。
変更
JISは,試験方法の該当項目で
個別に規定。
編集上の差異であり,技術的な差
異ではない。
6 試験方
法
6.1 一般
事項
JIS K 0050及びJIS
K 8001による。
−
−
追加
項目を追加。
編集上の差異であり,技術的な差
異はない。
6.2 純度
(KMnO4)
第1法 しゅう酸ナ
トリウムを用いる
滴定法
第2法 よう素滴定
法
R26.3.1
ヨード滴定法
選択
第1法を追加し,第2法と選択
できるようにした。
実績のある従来のJISの方法も使
用可能とした。
6.3 水不
溶分
JIS K 8001の
JB.2.3.1を引用。
R26.3.2
残分測定
追加
試料の溶解性不良の場合の前
処理を追加。
技術的な差異は軽微であり,対策
は考慮しない。
6.4 塩化
物(Cl)
比濁法
R26.3.3
比濁法
変更
試料の量,試薬の量を一部変更 技術的な差異は軽微であり,対策
は考慮しない。
6.5 硫酸
塩(SO4)
比濁法(JIS K 8001
のJB.2.17.2を引用)
R26.3.4
JISとほぼ同じ
変更
試料の量,試薬の量を一部変更 技術的な差異は軽微であり,対策
は考慮しない。
6.6 窒素
化合物(N
として)
蒸留−インドフェ
ノール青法(JIS K
8001のJB.2.14.3を
引用。)。
R26.3.5
ネスラー法
変更
有害な水銀試薬を,安全な試薬
に変更。
環境安全上,変更が必要。
6.7 銅
(Cu),鉛
(Pb)及び
鉄(Fe)
原子吸光法
−
−
追加
項目を追加。
品質確保のために必要。
R24.6.6
重金属(鉛として)
変更
ISO規格は,重金属として,硫
化水素による比色法で測定。
JISは,鉛を単独で測定。
品質確保のために必要。
R26.3.7
1,10-フェナントロリン法
変更
試験方法の変更。
国際的に広く普及している方法
に変更。
7 容器
品質を損なわない
気密容器。
−
−
追加
項目を追加。
規格適合性評価のために必要な
項目を追加。
2
K
8
2
4
7
:
2
0
1
5
17
K 8247:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
8 表示
容器に表示すべき
項目を規定。
−
−
追加
項目を追加。
規格適合性評価のために必要な
項目を追加。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 6353-2:1983,MOD
関連する外国規格
REAGENT CHEMICALS−American Chemical Society Specifications ACS(2010)
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 一致……………… 技術的差異がない。
− 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。
− 選択……………… 国際規格の規定内容とは異なる規定内容を追加し,それらのいずれかを選択するとしている。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD…………… 国際規格を修正している。
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K
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