K 8228:2020
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目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 1
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 2
6.1 一般事項 ······················································································································ 2
6.2 純度[Mg(ClO4)2] ········································································································· 2
6.3 酸(HClO4として)及び塩基(MgOとして) ····································································· 3
6.4 吸水率 ························································································································· 5
7 容器······························································································································· 5
8 表示······························································································································· 5
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(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人
日本試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を
改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本産業規格で
ある。これによって,JIS K 8228:1994は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,令和2年8月19日までの間は,産業標準化法第30条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 8228:1994を適用してもよい。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
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過塩素酸マグネシウム(試薬)
Magnesium perchlorate (Reagent)
Mg(ClO4)2 FW:223.21
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる過塩素酸マグネシウムについて規定する。
警告1 過塩素酸マグネシウムは,りん,硫黄,還元性の有機物などの可燃性物質と混合すると,加
熱又は衝撃によって発火し,場合によっては爆発することがあり,また,水との接触で激し
く発熱するため,接触をさせないように注意する。
警告2 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とす
る。この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするもので
はない。この規格の利用者は,安全データシート(SDS)などを参考にして各自の責任にお
いて安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8085 アンモニア水(試薬)
JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)
JIS K 8116 塩化アンモニウム(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8201 塩化ヒドロキシルアンモニウム(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8736 エリオクロムブラックT(試薬)
JIS K 8891 メタノール(試薬)
JIS K 8893 メチルオレンジ(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
3
種類
種類は,元素分析用及び乾燥用とする。
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性質
4.1
性状
過塩素酸マグネシウム(元素分析用)は,断面の径が0.3 mm〜5 mmの白い柱状又は粒状で,過塩素酸
マグネシウム(乾燥用)は,白い柱状,粒状又は粉末である。吸湿性が強く,水に極めて溶けやすく,ま
た,水を加えると激しく発熱する。250 ℃以上で分解する。
4.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料1 gに水20 mLを加えて溶かす(A液)。A液10 mLに塩化アンモニウム溶液(100 g/L)2 mL及
びりん酸水素二アンモニウム溶液(130 g/L)2 mLを加えると白い沈殿が生じる。
b) A液10 mLに塩化カリウム溶液(100 g/L)2 mLを加えると白い沈殿が生じる。
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品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
元素分析用
乾燥用
純度[Mg(ClO4)2]
質量分率 %
83.0以上
80.0以上
6.2
酸(HClO4として)
質量分率 %
0.005以下
0.05以下
6.3
塩基(MgOとして)
質量分率 %
0.01以下
0.05以下
6.3
吸水率
質量分率 %
−
25以上
6.4
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度[Mg(ClO4)2]
純度[Mg(ClO4)2]の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) アンモニア性塩化アンモニウム溶液(pH 10) JIS K 8116に規定する塩化アンモニウム7 gをはか
りとり,JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0 %〜30.0 %)57 mL及び水を加えて溶
かし,更に水を加えて100 mLにしたもの。溶液は,ポリエチレンなどの樹脂製瓶に密栓して保存
する。
2) エリオクロムブラックT希釈粉末 JIS K 8736に規定するエリオクロムブラックT 0.10 gをはかり
とり,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム10 gを加えて混合したもの。褐色ガラス製瓶に保存す
る。
3) エリオクロムブラックT溶液 JIS K 8736に規定するエリオクロムブラックT 0.5 gをはかりとり,
JIS K 8891に規定するメタノールを加えて溶かし,更にJIS K 8891に規定するメタノールを加えて
100 mLにしたもの。保存する場合,JIS K 8201に規定する塩化ヒドロキシルアンモニウム0.5 gを
加えて調製し,褐色ガラス製瓶に保存する。
4) 0.1 mol/L エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(0.1 mol/L EDTA2Na溶液) JIS K
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8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物を用い,JIS K 8001のJA.6.4
c) 1)(0.1 mol/L エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液)に従って,調製,標定及び計算
したもの。
b) 装置 主な装置は,次による。
・ 自動滴定装置 光度滴定の機能をもち,最小吐出量が0.01 mL以下のもの。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料0.6 gをビーカー200 mLなどに0.1 mgの桁まではかりとり,水100 mLを加えて溶かし,0.1 mol/L
EDTA2Na溶液20 mLをビュレット又は自動滴定装置を用いて加え,90 ℃まで加熱し,40 ℃まで冷
却する。
2) 1)で調製した試料溶液を次のいずれかの方法で滴定する。
2.1) 手動滴定
・ アンモニア性塩化アンモニウム溶液(pH 10)5 mLを加える。
・ 指示薬エリオクロムブラックT希釈粉末0.03 g〜0.04 g又はエリオクロムブラックT溶液2,3滴
を加え,引き続き0.1 mol/L EDTA2Na溶液で滴定する。
・ 終点は,液の色が赤から赤紫を経て青に変わる点とする。
2.2) 光度滴定
・ アンモニア性塩化アンモニウム溶液(pH 10)5 mLを加える。
・ 指示薬エリオクロムブラックT希釈粉末又はエリオクロムブラックT溶液を装置の検出能力に応
じた量を加え,引き続き光度滴定によって,610 nm〜660 nmで0.1 mol/L EDTA2Na溶液で滴定を
行う。
・ 終点は,変曲点とする。
d) 計算 純度[Mg(ClO4)2]は,次の式によって算出する。
100
321
022
.0
×
×
×
=
m
f
V
A
ここに,
A: 純度[Mg(ClO4)2](質量分率 %)
V: 滴定に要した0.1 mol/L EDTA2Na溶液の体積(mL)
f: 0.1 mol/L EDTA2Na溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.022 321: 0.1 mol/L EDTA2Na溶液1 mLに相当するMg(ClO4)2の質
量を示す換算係数(g/mL)
6.3
酸(HClO4として)及び塩基(MgOとして)
酸(HClO4として)及び塩基(MgOとして)の試験方法は,次による。
a) ガス及び試験用溶液類 ガス及び試験用溶液類は,次による。
1) 窒素 純度がJIS K 1107に規定する2級以上のもの。
2) 二酸化炭素を除いた水 JIS K 8001の5.8 c)(二酸化炭素を除いた水)による。
3) メチルオレンジ溶液 JIS K 8893に規定するメチルオレンジ0.10 gをはかりとり,水を加えて100
mLにしたもの。
4) 0.01 mol/L 塩酸 1 mol/L 塩酸10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて
混合したもの。ファクターは,1 mol/L 塩酸のものを用いる。
なお,1 mol/L 塩酸は,JIS K 8180に規定する塩酸(特級)を用い,JIS K 8001のJA.6.4 e) 2)(1
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mol/L 塩酸)に従って調製,標定及び計算する。
5) 0.01 mol/L 水酸化ナトリウム溶液 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液10 mLを全量フラスコ1 000 mL
に正確にとり,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合したもの。ファクターは,1 mol/L 水
酸化ナトリウム溶液のものを用いる。
なお,1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液は,JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウムを用い,JIS K
8001のJA.6.4 r) 1)(1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液)に従って調製,標定及び計算する。
b) 器具 主な器具は,次による。
・ メスピペット又はミクロビュレット 最小目盛0.01 mLのもの。
c) 操作及び判定 操作及び判定は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料5.0 gをあらかじめ窒素ガスで空気を置換した共通すり合わせ三角フラスコ
200 mLなどにはかりとり,二酸化炭素を除いた水100 mL及びメチルオレンジ溶液0.15 mLを速や
かに加える。
2) 試料の区分及び試料溶液の色の違いによって,表2のいずれかの操作を行い判定する。
表2−操作及び判定
区分
試料溶液の色
操作
判定
元素分
析用
赤
窒素ガスを液面に吹き付けながら
0.01 mol/L 水酸化ナトリウム溶液
0.25 mLを加える。
試料溶液の色が黄となるとき,次のように判定する。
“酸(HClO4として):質量分率0.005 %以下(規格値),
塩基(MgOとして):不検出”
黄
窒素ガスを液面に吹き付けながら
0.01 mol/L 塩酸2.5 mLを加える。
試料溶液の色が赤となるとき,次のように判定する。
“酸(HClO4として):不検出,塩基(MgOとして):
質量分率0.01 %以下(規格値)”
乾燥用
赤
窒素ガスを液面に吹き付けながら
0.01 mol/L 水酸化ナトリウム溶液
2.5 mLを加える。
試料溶液の色が黄となるとき,次のように判定する。
“酸(HClO4として):質量分率0.05 %以下(規格値),
塩基(MgOとして):不検出”
黄
窒素ガスを液面に吹き付けながら
0.01 mol/L 塩酸12.5 mLを加える。
試料溶液の色が赤となるとき,次のように判定する。
“酸(HClO4として):不検出,塩基(MgOとして):
質量分率0.05 %以下(規格値)”
注記 酸(HClO4として)及び塩基(MgOとして)は,次の式を用いて算出することができる。
・ 酸(HClO4として)
100
6
004
001
.0
×
×
×
=
m
f
a
B
ここに,
B: 酸(HClO4として)(質量分率 %)
a: 滴定に要した0.01 mol/L 水酸化ナトリウム溶液の体積(mL)
f: 0.01 mol/L 水酸化ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.001 004 6: 0.01 mol/L 水酸化ナトリウム溶液1 mLに相当するHClO4の
質量を示す換算係数(g/mL)
・ 塩基(MgOとして)
100
52
201
000
.0
×
×
×
=
m
f
b
C
ここに,
C: 塩基(MgOとして)(質量分率 %)
b: 滴定に要した0.01 mol/L 塩酸の体積(mL)
f: 0.01 mol/L 塩酸のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.000 201 52: 0.01 mol/L 塩酸1 mLに相当するMgOの質量を示す換算係
数(g/mL)
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6.4
吸水率
吸水率の試験は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
・ 硫酸溶液(比重1.16) 水80 mLを冷却し,かき混ぜながら,これにJIS K 8951に規定する硫酸
14.4 mLを徐々に加え,水を加えて100 mLにしたもの。
b) 器具 主な器具は,次による。
1) 平形はかり瓶 外形50 mmで高さが30 mmのもの。
2) ガラス製密閉容器 硫酸溶液(比重1.16)100 mL及び平形はかり瓶を入れることができ,密閉状態
にできるガラス製の容器。JIS R 3503に規定するデシケーターを用いることができる。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料2.0 gをあらかじめ恒量にした平形はかり瓶(m0 g)に0.1 mgの桁まではかりとり(m1 g),平
形はかり瓶の蓋を外して,硫酸溶液(比重1.16)100 mLを入れたガラス製密閉容器に入れ,16時
間放置する。
2) 平形はかり瓶の蓋をして,0.1 mgの桁まで質量をはかる(m2 g)。
注記 硫酸溶液(比重1.16)100 mLを入れたガラス製密閉容器内の相対湿度は,25 ℃で85 %〜
90 %となる。
d) 計算 吸水率は,次の式によって算出する。
100
0
1
1
2
×
−
−
=
m
m
m
m
A
ここに,
A: 吸水率(質量分率 %)
7
容器
容器は,ガラス製又は金属製の気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) この規格の番号
b) 名称“過塩素酸マグネシウム”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造年月又はその略号
i)
製造業者名又はその略号