K 8193:2020
(1)
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 3
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度(C8H14Cl2N2)(乾燥後) ·························································································· 3
6.3 水溶状 ························································································································· 4
6.4 乾燥減量 ······················································································································ 4
6.5 強熱残分(硫酸塩) ······································································································· 5
6.6 硫酸塩(SO4) ·············································································································· 6
6.7 鉄(Fe) ······················································································································ 6
6.8 硫化物分析適合性 ·········································································································· 8
7 容器······························································································································· 8
8 表示······························································································································· 9
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(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人
日本試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を
改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本産業規格で
ある。これによって,JIS K 8193:1995は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,令和2年8月19日までの間は,産業標準化法第30条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 8193:1995を適用してもよい。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
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N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミン二塩酸塩
(試薬)
N,N-Dimethyl-p-phenylenediamine dihydrochloride (Reagent)
C8H14Cl2N2 FW:209.12
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いるN,N-ジメチル-p-フェニレンジアミン二塩酸塩について規定する。
注記 別名:4-アミノ-N,N-ジメチルアニリン二塩酸塩,二塩化N,N-ジメチル-p-フェニレンジアンモニ
ウム
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS H 6201 化学分析用白金るつぼ
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0068 化学製品の水分測定方法
JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0117 赤外分光分析通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8042 アニリン(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8142 塩化鉄(III)六水和物(試薬)
JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8201 塩化ヒドロキシルアンモニウム(試薬)
JIS K 8202 1,10-フェナントロリン塩酸塩一水和物(試薬)
JIS K 8223 過塩素酸(試薬)
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8359 酢酸アンモニウム(試薬)
2
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JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8886 無水酢酸(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS R 1301 化学分析用磁器るつぼ
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS Z 0701 包装用シリカゲル乾燥剤
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミン二塩酸塩は,白からうすい紅色又は白からうすい黄褐色の結晶又は
粉末で,吸湿性がある。放置すると徐々に暗色になる。水に溶けやすく,エタノール(99.5)に溶けにく
い。
4.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料0.1 gに水10 mLを加えて溶かし,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加えると,
白い沈殿が生じる。
b) 試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数1 508 cm-1,1 466 cm-1,837 cm及
び715 cm-1付近に主な吸収ピークを認める。この場合,試料調製は,JIS K 0117の5.2 b)(錠剤法)に
よる。錠剤の調製に臭化カリウムを用いたときの赤外吸収スペクトルの例を図1に示す。
図1−赤外吸収スペクトルの例
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5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(C8H14Cl2N2)(乾燥後)
質量分率 %
99.0以上
6.2
水溶状
−
試験適合
6.3
乾燥減量
質量分率 %
1.0以下
6.4
強熱残分(硫酸塩)
質量分率 %
0.05以下
6.5
硫酸塩(SO4)
質量分率 %
0.005以下
6.6
鉄(Fe)
質量分率 ppm
5以下
6.7
硫化物分析適合性
−
試験適合
6.8
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(C8H14Cl2N2)(乾燥後)
純度(C8H14Cl2N2)(乾燥後)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) 酢酸(非水滴定用) 非水滴定に用いる酢酸は,次の試験に適合したものを用いる。
JIS K 8042に規定するアニリン1 gをJIS K 8355に規定する酢酸で溶かし,更に酢酸で100 mL
にしたものをA液とする。A液25 mLを正確にとり,0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶液)で電位差滴
定したときの滴定量をV1 mLとする。また,A液25 mLを正確にとり,酢酸75 mLを加え,0.1 mol/L
過塩素酸(酢酸溶液)で電位差滴定したときの滴定量をV2 mLとする。V2−V1は,0.1 mL以下でな
ければならない。
なお,酢酸(非水滴定用)の水分測定は,JIS K 0068の6.3.5 a)(直接滴定)による。試料10 g
を用いる。この場合,滴定溶媒はメタノールに代えて,クロロホルムとアルキレンカルボネートと
を主成分とするカールフィッシャー用脱水溶剤40 mLを用いる。水分は,質量分率0.3 %以下であ
る。
2) 無水酢酸 JIS K 8886に規定するもの。
3) 0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶液)(HClO4:10.05 g/L) JIS K 8223に規定する過塩素酸(質量分率
70.0 %〜72.0 %)及びJIS K 8886に規定する無水酢酸を用い,JIS K 8001のJA.6.4 f)[0.1 mol/L 過
塩素酸(酢酸溶媒)]に従って,調製,標定及び計算したもの。
b) 装置 主な装置は,次による。
・ 電位差滴定装置 電位差滴定の機能をもち,最小吐出量が0.01 mL以下のもの。
c) 操作 操作は,次による。
1) 6.4の残分0.4 gをビーカー200 mLなどに0.1 mgの桁まではかりとり,無水酢酸40 mL及び酢酸(非
水滴定用)20 mLを加え,約60 ℃に加熱して溶かす。冷却後,0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶液)で
JIS K 0113の5.(電位差滴定方法)によって,指示電極にガラス電極,参照電極に銀−塩化銀電極,
又はそれらを組み合わせた複合電極若しくは複合金属電極を用い,試料を溶かしながら電位差滴定
を行う。
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2) 滴定の終点は,変曲点とする。
3) 別に同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
d) 計算 純度(C8H14Cl2N2)(乾燥後)は,次の式によって算出する。
100
)
(
912
020
.0
4
3
×
×
−
×
=
m
f
V
V
A
ここに,
A: 純度(C8H14Cl2N2)(乾燥後)(質量分率 %)
V3: 滴定に要した0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶液)の体積
(mL)
V4: 空試験の滴定に要した0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶液)
の体積(mL)
f: 0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶液)のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.020 912: 0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶液)1 mLに相当する
C8H14Cl2N2の質量を示す換算係数(g/mL)
6.3
水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合したもの。
2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,更に水
を加えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“ほとんど澄明”を用いる。
ほとんど澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.5 mLを共通すり合わせ平底
試験管[c)参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,更に
水を加えて20 mLとし,振り混ぜてから15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせ平底試験管 容量50 mL,直径約24 mmで目盛のあるもの。
d) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし,更に
水を加えて20 mLにする。
2) 試料を溶かした直後に,試料溶液の濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の
有無を,共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。
e) 判定 次の1)及び2)に適合するとき,“水溶状:試験適合(規格値)”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。
6.4
乾燥減量
乾燥減量の試験方法は,次による。
a) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 平形はかり瓶 JIS R 3503の付図57に規定するもの又は類似のもので,試料を入れた場合,試料の
厚さが5 mm以下になる容量のもの。
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2) デシケーター 乾燥剤としてJIS Z 0701に規定するシリカゲル(A形1種)を入れたもの。
b) 操作 操作は,次による。
1) 試料1.0 gをあらかじめ恒量にした平形はかり瓶(W1 g)に0.1 mgの桁まではかりとる(W2 g)。こ
の場合,試料量m gは,(W2−W1)gとする。
なお,試料の質量を別途はかり込んでから平形はかり瓶に加えてもよい(m g)。
2) 平形はかり瓶をデシケーターに入れてはかり瓶の蓋を外し,18時間乾燥する。
3) 乾燥後,平形はかり瓶に蓋をしてデシケーターから取り出し,その質量を0.1 mgの桁まではかる(W3
g)。残分は,6.2の試験に用いる。
c) 計算 乾燥減量は,次の式によって算出する。
100
3
2
×
−
=
m
W
W
B
ここに,
B: 乾燥減量(質量分率 %)
d) 判定 計算して得られた値が規格値以下であるとき,“乾燥減量:質量分率1.0 %以下(規格値)”と
する。
6.5
強熱残分(硫酸塩)
強熱残分(硫酸塩)の試験方法は,次による。
a) 試薬 試薬は,次による。
・ 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) るつぼ JIS R 1301に規定する磁器るつぼ,これと類似の形状の石英るつぼ又はJIS H 6201に規定
する白金るつぼ。るつぼの大きさは,試料がその容量の1/3以下になるもの。
2) デシケーター 6.4 a) 2)による。
3) 電気炉又は湿式灰化装置 500 ℃±50 ℃に調節できるもの。
c) 操作 操作は,次による。
なお,有害な硫酸ミストが発生するため,排気に注意する。
1) 試料2.0 gをあらかじめ恒量としたるつぼ(W4 g)に0.1 mgの桁まではかりとる(W5 g)。この場合,
試料量m gは,(W5−W4)gとする。
なお,試料の質量を別途はかり込んでからるつぼに加えてもよい(m g)。
2) 硫酸3 mLを可能な限り試料全体に行き渡るように加える。
3) 熱板(ホットプレート)上又は湿式灰化装置で硫酸の白いミストが生じなくなるまで加熱する。炭
化が不十分な場合,冷却後に硫酸1 mLを加え,再び硫酸の白いミストが生じなくなり,炭化する
まで加熱する。
4) るつぼを電気炉又は湿式灰化装置で,500 ℃±50 ℃で炭化物がなくなるまで強熱する。
5) 電気炉又は湿式灰化装置から取り出したるつぼを速やかにデシケーターに入れる。
なお,強熱後のるつぼをデシケーターに入れるとデシケーター内部の空気が膨張し,デシケータ
ーの蓋が落下しやすいため,蓋をずらして空気を抜くとよい。
6) デシケーター内で放冷後,るつぼを取り出し,0.1 mgの桁まで質量をはかる(W6 g)。
7) 恒量となるまで4)から6)までの操作を繰り返す。残分は,6.7の試験に用いる。
d) 計算 強熱残分(硫酸塩)は,次の式によって算出する。
6
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100
4
6
×
−
=
m
W
W
C
ここに,
C: 強熱残分(硫酸塩)(質量分率 %)
e) 判定 計算して得られた値が規格値以下であるとき,“強熱残分(硫酸塩):質量分率0.05 %以下(規
格値)”とする。
6.6
硫酸塩(SO4)
硫酸塩(SO4)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合したもの。
3) 塩化バリウム溶液(100 g/L) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gを水に溶かして
100 mLにしたもの。
4) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水20 mL及び塩酸(2+
1)0.3 mLを加えて溶かし,水を加えて25 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,共通すり合わせ平底試験管に硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)10 mLをとり,
塩酸(2+1)0.3 mLを加え,水を加えて25 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,エタノール(95)3 mL及び塩化バリウム溶液(100 g/L)2 mLを加えて
振り混ぜた後,30分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 試料溶液から得られた液の濁りが,比較溶液から得られた液の白濁より濃くないとき,“硫酸塩
(SO4):質量分率0.005 %以下(規格値)”とする。
6.7
鉄(Fe)
6.7.1
一般
鉄(Fe)の試験方法は,6.7.2又は6.7.3のいずれかによる。
6.7.2
フレーム原子吸光分析法
フレーム原子吸光分析法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) 塩酸(2+1) 6.6 a) 2)による。
2) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。
2) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
c) 鉄(Fe)の測定波長 鉄(Fe)の測定波長の例を表2に示す。
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表2−鉄(Fe)の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
鉄(Fe)
248.3
d) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,6.5の残分(試料量2.0 g)をビーカー50 mLなどにとり,塩酸(2+1)1 mLを
加え,沸騰水浴上でほとんど蒸発乾固する。塩酸(2+1)1 mL及び水15 mLを加えて溶かし,全
量フラスコ50 mLに移し,水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,塩酸(2+1)1 mLをビーカー50 mLなどにとり,沸騰水浴上でほとんど蒸発乾
固する。塩酸(2+1)1 mL及び水15 mLを加えて溶かし,全量フラスコ50 mLに移す。鉄標準液
(Fe:0.01 mg/mL)1.0 mLを加え,水を標線まで加えて混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表2に示す鉄
(Fe)の測定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれアセチレン
−空気フレーム中に噴霧し,鉄(Fe)の吸光度を測定し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を
読み取る。
4) 測定結果は,X液の指示値n1とY液の指示値n2とを比較する。
e) 判定 n1が,n2より大きくないとき,“鉄(Fe):質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。
注記 鉄(Fe)の含有率(質量分率 ppm)は,次の式によっておおよその値を求めることができる。
100
10
000
1
4
2
1
×
×
×
×
=a
n
n
E
D
ここに,
D: 鉄(Fe)の含有率(質量分率 ppm)
E: 用いた標準液中の鉄(Fe)の質量(mg)
a: X液に含まれる試料の質量(g)
6.7.3
1,10-フェナントロリン比色法
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) 塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(100 g/L) JIS K 8201に規定する塩化ヒドロキシルアンモニ
ウム10 gをはかりとり,水を加えて溶かし,更に水を加えて100 mLにしたもの。
2) 塩酸(2+1) 6.6 a) 2)による。
3) 酢酸アンモニウム溶液(250 g/L) JIS K 8359に規定する酢酸アンモニウム25 gをはかりとり,水
を加えて溶かし,更に水を加えて100 mLにしたもの。
4) 1,10-フェナントロリン溶液(2 g/L) JIS K 8202に規定する1,10-フェナントロリン塩酸塩一水和
物0.28 gをはかりとり,水を加えて溶かし,更に水を加えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶
に保存する。
5) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 6.7.2 a) 2)による。
b) 器具 主な器具は,次による。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
2) 水浴 6.7.2 b) 2)による。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,6.5の残分(試料量2.0 g)に塩酸(2+1)1 mLを加え,沸騰水浴上でほとんど
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蒸発乾固する。塩酸(2+1)1 mL及び水15 mLを加えて溶かし,共通すり合わせ平底試験管に移
す。
2) 比較溶液の調製は,塩酸(2+1)1 mLをビーカー50 mLなどにとり,水浴上で蒸発乾固する。塩酸
(2+1)1 mLを加えて溶かし,共通すり合わせ平底試験管に移し,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)1.0
mLを加え,水を加えて15 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(100 g/L)1 mLを加えて5分間放置
後,1,10-フェナントロリン溶液(2 g/L)1 mL,酢酸アンモニウム溶液(250 g/L)5 mL及び水を加
えて25 mLとし,20 ℃〜30 ℃で15分間放置する。
4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,色を比較する。
d) 判定 試料溶液から得られた液の色が,比較溶液から得られた液の黄みの赤より濃くないとき,“鉄
(Fe):質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。
6.8
硫化物分析適合性
硫化物分析適合性の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) 塩化鉄(III)溶液(100 g/L) JIS K 8142に規定する塩化鉄(III)六水和物16.7 gをはかりとり,
塩酸(2+1)9 mL及び水を加えて溶かし,更に水を加えて100 mLにしたもの。
2) 硫酸(1+1) 水の体積1を冷却し,かき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々
に加える。
3) 硫化物標準液(S:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 吸収セル 光路長が10 mmのもの。
2) 分光光度計 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料0.4 gをビーカー300 mLなどにはかりとり,硫酸(1+1)を加えて溶かし,更に硫酸(1+1)
を加えて,200 mLにする(B液)。
2) 試料溶液の調製は,硫化物標準液(S:0.01 mg/mL)2.0 mLを全量フラスコ50 mLにとり,水40 mL
を加える。
3) 空試験溶液の調製は,水40 mLを全量フラスコ50 mLにとる。
4) 試料溶液及び空試験溶液にB液2.0 mLを加え混合し,塩化鉄(III)溶液(100 g/L)1 mLを加え,
水を標線まで加えて混合する。
5) 水を対照として,試料溶液及び空試験溶液の波長668 nmにおける吸光度をJIS K 0115の6.(特定
波長における吸収の測定)によって測定する。
d) 判定 次の1)及び2)に適合するとき,“硫化物分析適合性:試験適合(規格値)”とする。
1) 試料溶液から得られる吸光度は,0.40以上
2) 空試験溶液から得られる吸光度は,0.05以下
7
容器
容器は,遮光した気密容器とする。
9
K 8193:2020
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) この規格の番号
b) 名称“N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミン二塩酸塩”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造年月又はその略号
i)
製造業者名又はその略号