K 8161:2015
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 3
6 試験方法························································································································· 4
6.1 一般事項 ······················································································································ 4
6.2 純度(CH2Cl2)(GC)及び安定剤 ····················································································· 4
6.3 外観 ···························································································································· 6
6.4 密度(20 ℃) ··············································································································· 6
6.5 水分 ···························································································································· 6
6.6 不揮発物 ······················································································································ 6
6.7 酸(HClとして) ·········································································································· 6
6.8 遊離塩素 ······················································································································ 9
6.9 鉄(Fe) ····················································································································· 11
6.10 硫酸着色物質 ·············································································································· 12
6.11 よう素消費物質 ··········································································································· 13
7 容器······························································································································ 14
8 表示······························································································································ 14
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 16
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8161:2008は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成27年9月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 8161:2008によることができる。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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ジクロロメタン(試薬)
Dichloromethane (Reagent)
CH2Cl2 FW:84.93
序文
この規格は,1987年に第1版として発行されたISO 6353-3,Reagents for chemical analysis−Part 3:
Specifications−Second series R 57 Dichloromethaneを基とし,技術的内容を変更して作成した日本工業規格
である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いるジクロロメタンについて規定する。
警告1 ジクロロメタンは有害なので,特に蒸気の吸入に注意し,粘膜,皮膚への付着などを避ける。
警告2 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とす
る。この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするもので
はない。この規格の利用者は,SDS(安全データシート),MSDS(化学物質等安全データシ
ート:JIS Z 7250−2012年に廃止されJIS Z 7253に移行。JIS Z 7250:2010に従ってよい猶予
期間は2016年まで)などを参考にして各自の責任において安全及び健康に対する適切な措置
をとらなければならない。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 6353-3:1987,Reagents for chemical analysis−Part 3: Specifications−Second series R57
Dichloromethane(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0061 化学製品の密度及び比重測定方法
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0068 化学製品の水分測定方法
JIS K 0071-1 化学製品の色試験方法−第1部:ハーゼン単位色数(白金−コバルトスケール)
JIS K 0114 ガスクロマトグラフィー通則
2
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JIS K 0117 赤外分光分析方法通則
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8129 塩化コバルト(II)六水和物(試薬)
JIS K 8142 塩化鉄(III)六水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8201 塩化ヒドロキシルアンモニウム(試薬)
JIS K 8202 塩化1,10-フェナントロリニウム一水和物(試薬)
JIS K 8359 酢酸アンモニウム(試薬)
JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8603 ソーダ石灰(試薬)
JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)
JIS K 8780 ピロガロール(試薬)
JIS K 8842 ブロモチモールブルー(試薬)
JIS K 8844 ブロモフェノールブルー(試薬)
JIS K 8891 メタノール(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8920 よう素(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬)
JIS K 9007 りん酸二水素カリウム(試薬)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS R 3505 ガラス製体積計
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
ジクロロメタンは,無色の揮発性の液体で特異な臭いがあり,エタノール及びジエチルエーテルに極め
て溶けやすく,水にやや溶けにくい。沸点は約40 ℃である。通常,安定剤として質量分率0.001 %程度の
2-メチル-2-ブテン又は質量分率0.3 %程度のメタノールを含む。
4.2
定性方法
試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117に従って測定すると,波数3 054 cm-1,2 987 cm-1,2 306 cm-1,
3
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1 422 cm-1,1 266 cm-1,896 cm-1,741 cm-1及び705 cm-1付近に主な吸収ピークを認める。試料調製をJIS K
0117の5.4 a)(液膜法)によって行い,窓板に臭化カリウムを用いたときの赤外吸収スペクトルの例を図
1に示す。
図1−赤外吸収スペクトルの例
注記 図1は,独立行政法人産業技術総合研究所のスペクトルデータベースシステム(SDBS)から引
用したものである。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(CH2Cl2)(GC)
質量分率 %
99.5以上
6.2
外観
ハーゼン単位
10以下
6.3
密度(20 ℃)
g/mL
1.320〜1.330
6.4
水分
質量分率 %
0.05以下
6.5
不揮発物
質量分率 %
0.002以下
6.6
酸(HClとして)
質量分率 %
0.01以下
6.7
遊離塩素a)
試験適合
6.8
鉄(Fe)
質量分率 ppm
1以下
6.9
硫酸着色物質
試験適合
6.10
よう素消費物質b)
試験適合
6.11
安定剤
2-メチル-2-ブテン[CH3CH=C(CH3)2](GC) 質量分率 %
0.005以下
6.2
メタノール(CH3OH)(GC)
質量分率 %
0.7以下
注a) 塩素(Clとして)質量分率約1 ppm以下である。
b) ホルムアルデヒド(HCHOとして)質量分率約4 ppm以下である。
4
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6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(CH2Cl2)(GC)及び安定剤
6.2.1
純度(CH2Cl2)(GC)
純度(CH2Cl2)(GC)の試験方法は,次による。
a) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) マイクロシリンジ又は試料導入装置 少量の定容量の測定溶液をガスクロマトグラフのカラムに導
入するもの。
2) ガスクロマトグラフ 装置の構成は,JIS K 0114に規定するもの。
b) 分析条件 分析条件は,次による。
なお,別の分析条件でも同等の試験結果が得られることを確認した場合には,その条件を用いても
よい。
1) 検出器の種類 水素炎イオン化検出器
2) 固定相液体名 ポリエチレングリコール
3) 固定相液体の膜厚 1.0 μm
4) カラム用キャピラリーの材質,内径及び長さ 材質:石英ガラス,内径:0.25 mm,長さ:30 m
5) 設定温度 カラム槽 40 ℃で5分間保持した後,毎分5 ℃の割合で90 ℃まで昇温して,2分間
保持する。
試料気化室 200 ℃
検出器槽 200 ℃
6) キャリヤーガスの種類及び流量 ガスの種類:ヘリウム,流量:6 mL/min
7) 試料の導入方式 直接注入法
8) 試料の導入量 0.2 μL
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料の導入及び記録 試料をマイクロシリンジ又は試料導入装置を用いてガスクロマトグラフに導
入してクロマトグラムを記録する。
なお,あらかじめ,ジクロロメタン,並びに2-メチル-2-ブテン又はメタノールの保持時間を確認
しておく。
2) ピーク面積の測定 クロマトグラムのピーク面積の測定は,JIS K 0114の11.3 a)(データ処理ソフ
ト又はデータ処理装置を用いる方法)による。
d) 定量法 各成分のピーク面積(安定剤のピーク面積は除く。)を測定し,JIS K 0114の11.5(面積百分
率法)によって純度(CH2Cl2)(GC)を算出する。
6.2.2
安定剤
安定剤の試験方法は,6.2.2.1又は6.2.2.2による。
6.2.2.1
2-メチル-2-ブテン[CH3CH=C(CH3)2](GC)
2-メチル-2-ブテン[CH3CH=C(CH3)2](GC)の試験方法は,次による。
a) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) マイクロシリンジ又は試料導入装置 6.2.1 a) 1)による。
2) ガスクロマトグラフ 6.2.1 a) 2)による。
5
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b) 分析条件 6.2.1 b)による。
c) 操作 6.2.1 c)による。ただし,あらかじめ,ジクロロメタン及び2-メチル-2-ブテンの保持時間を確認
しておく。
d) 定量法 各成分のピーク面積(メタノールのピーク面積は除く。)を測定し,JIS K 0114の11.6(補正
面積百分率法)によって2-メチル-2-ブテン[CH3CH=C(CH3)2](GC)を算出する。
e) 計算式 2-メチル-2-ブテン[CH3CH=C(CH3)2]の含有率は,次の計算式によって求める。
100
1
a
a
d
a
a
m
×
+
+
=
∑
=
n
i
iA
f
A
A
f
A
C
ここに,
Cm: 2-メチル-2-ブテンの含有率[CH3CH=C(CH3)2](質量分率 %)
Aa: 2-メチル-2-ブテンのピーク面積
fa: ジクロロメタンに対する2-メチル-2-ブテンの相対感度
Ad: ジクロロメタンのピーク面積
Ai: 不純物成分のピーク面積
注記 ジクロロメタンに対する2-メチル-2-ブテンの相対感度の求め方 2-メチル-2-ブテンを含まな
いジクロロメタン1)及び2-メチル-2-ブテン(体積分率95.0 %以上もの)を0.1 mgの桁まではか
りとり,混合した試料溶液を,6.2.1 b)の分析条件で各ピーク面積を測定し,次の式によって相
対感度を求める。
d
d
a
a
a
A
w
w
A
f
×
=
ここに,
fa: ジクロロメタンに対する2-メチル-2-ブテンの相対感度
Aa: 2-メチル-2-ブテンのピーク面積
wa: はかりとった2-メチル-2-ブテンの質量(g)
Ad: ジクロロメタンのピーク面積
wd: はかりとったジクロロメタンの質量(g)
注1) 2-メチル-2-ブテンを含まないジクロロメタンは,メタノールを安定剤にしたものを用
いる。
6.2.2.2
メタノール(CH3OH)(GC)
メタノール(CH3OH)の試験方法は,次による。
a) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) マイクロシリンジ又は試料導入装置 6.2.1 a) 1)による。
2) ガスクロマトグラフ 6.2.1 a) 2)による。
b) 分析条件 6.2.1 b)による。
c) 操作 6.2.1 c)による。ただし,あらかじめ,ジクロロメタン及びメタノールの保持時間を確認してお
く。
d) 定量法 各成分のピーク面積(2-メチル-2-ブテンのピーク面積は除く。)を測定し,JIS K 0114の11.6
(補正面積百分率法)によってメタノール(CH3OH)(GC)を算出する。
e) 計算式 メタノール(CH3OH)の含有率は,次の計算式によって求める。
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∑
=
+
+
=
n
i
iA
f
A
A
f
A
C
1
m
m
d
m
m
m
ここに,
Cm: メタノールの含有率(CH3OH)(質量分率 %)
Am: メタノールのピーク面積
fm: ジクロロメタンに対するメタノールの相対感度
Ad: ジクロロメタンのピーク面積
Ai: 不純物成分のピーク面積
注記 ジクロロメタンに対するメタノールの相対感度の求め方 メタノールを含まないジクロロメタ
ン2)及びJIS K 8891に規定するメタノールを0.1 mgの桁まではかりとり,混合した試料溶液を,
6.2.1 b)の分析条件で各ピーク面積を測定し,次の式によって相対感度を求める。
d
d
m
m
m
A
w
w
A
f
×
=
ここに,
fm: ジクロロメタンに対するメタノールの相対感度
Am: メタノールのピーク面積
wm: はかりとったメタノールの質量(g)
Ad: ジクロロメタンのピーク面積
wd: はかりとったジクロロメタンの質量(g)
注2) メタノールを含まないジクロロメタンは,2-メチル-2-ブテンを安定剤にしたものを用
いる。
6.3
外観
外観の試験方法は,JIS K 0071-1による。
6.4
密度(20 ℃)
密度(20 ℃)の試験方法は,JIS K 0061の7.2(比重瓶法)又は7.3(振動式密度計法)による。
6.5
水分
水分の試験方法は,JIS K 0068の6.3(容量滴定法)又は6.4(電量滴定法)による。容量滴定法の場合,
試料20 g(15.1 mL)をはかりとり,滴定溶媒は,メタノールとする。電量滴定法の場合は,試料5.0 g(3.8
mL)をはかりとる。
6.6
不揮発物
不揮発物の試験方法は,JIS K 0067の4.3.4 (1)(第1法 水浴上で加熱蒸発する方法)による。この場
合,試料100 g(75.5 mL)をはかりとり,蒸発させる容器に適量ずつ入れて,残分は0.1 mgの桁まではか
る。残分は,2 mg以下。
6.7
酸(HClとして)
酸(HClとして)の試験方法は,次による。
a) ガス及び試験用溶液類 ガス及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 窒素 JIS K 1107に規定するもの。
2) 水酸化カリウム溶液(250 g/mL)(必要な場合に用いる。) JIS K 8574に規定する水酸化カリウム
29.4 gを水に溶かして100 mLにする。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。
3) 二酸化炭素を除いた水 次のいずれか,又はそれらを組み合わせたものを用い,使用時に調製する。
3.1) 水をフラスコに入れ,加熱し,沸騰が始まってから5分間以上その状態を保つ。加熱を止め,フ
ラスコの口を時計皿で軽く蓋をして少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶に水酸化カリ
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ウム溶液(250 g/mL)を入れたもの,又はソーダ石灰管(JIS K 8603に規定するソーダ石灰を入
れた管)を連結して空気中の二酸化炭素を遮り,冷却したもの。
3.2) 水をフラスコに入れ,水の中にJIS K 1107に規定する窒素を15分間以上通じたもの。
3.3) 二酸化炭素分離膜をもつガス分離管を用いて,水から二酸化炭素を除いたもの。
3.4) 製造直後の18 MΩ・cm以上の抵抗率のある脱イオン化された水を,JIS K 1107に規定する窒素を
通じた三角フラスコに泡立てないように採取したもの。ただし,採水後速やかに用いる。
4) pH 6.8の緩衝液 0.1 mol/Lりん酸二水素カリウム溶液50 mL及び0.2 mol/L水酸化ナトリウム溶液
11.82 mLを全量フラスコ100 mLに正確にとり,二酸化炭素を除いた水を標線まで加え混合する。
4.1) 0.1 mol/L りん酸二水素カリウム溶液 JIS K 9007に規定するりん酸二水素カリウム(pH標準液
用)6.80 g(質量分率100 %としての相当質量)を全量フラスコ500 mLにはかりとり,適量の水
で溶かし,水を標線まで加えて混合する。ほうけい酸ガラス製瓶,ポリエチレンなどの樹脂製瓶
に保存する。
4.2) 0.2 mol/L 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:8.00 g/L) 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液20 mLを樹脂
製の全量フラスコ100 mLに正確にとり,水を標線まで入れ,ファクターが1.000になるように計
算量の水を正確に加える。
4.2.1) 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:40.00 g/L) 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液の調製,標
定及び計算は,次による。
4.2.1.1) 調製 JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム165 gをポリエチレンなどの樹脂製気密容器
500 mLにはかりとり,水150 mLを加えて溶かした後,二酸化炭素を遮り4〜5日間放置する。
その上澄み液54 mLをポリエチレンなどの樹脂製気密容器1 000 mLにとり,水を加えて1 000
mLとし,混合する。必要な場合は,ソーダ石灰管(JIS K 8603に規定するソーダ石灰を入れ
た管)を付けて保存する。
4.2.1.2) 標定 標定は,認証標準物質3)又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のアミド硫酸を
用い,次のとおり行う。
4.2.1.2.1) 認証標準物質3)のアミド硫酸を用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
4.2.1.2.2) 容量分析用標準物質のアミド硫酸を用いる場合は,試験成績書などに記載された方法で乾燥
する。
4.2.1.2.3) 認証標準物質3)又は容量分析用標準物質のアミド硫酸2.4 g〜2.6 gを0.1 mgの桁まではかりコ
ニカルビーカー100 mLに移し,水25 mLを加えて溶かした後,指示薬としてブロモチモール
ブルー溶液数滴を加え,4.2.1.1)で調製した1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液で滴定する。終点
は,液の色が黄から青みの緑になる点とする。
注3) 認証標準物質を供給する者として,独立行政法人産業技術総合研究所計量標準総合セ
ンター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST)などの国家計量機関及び認証標準
物質生産者がある。
4.2.1.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
09
097
0
A
V
.
m
f
×
×
=
ここに,
f: 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとったアミド硫酸の質量(g)
A: アミド硫酸の純度(質量分率 %)
8
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V: 滴定に要した1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液の体積(mL)
0.097 09: 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液1 mLに相当するアミド硫
酸の質量を示す換算係数(g/mL)
5) ブロモチモールブルー溶液 JIS K 8842に規定するブロモチモールブルー0.10 gをJIS K 8102に規
定するエタノール(95)50 mLに溶かし,水で100 mLにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
6) ブロモフェノールブルー溶液 JIS K 8844に規定するブロモフェノールブルー0.10 gをJIS K 8102
に規定するエタノール(95)50 mLに溶かし,水で100 mLにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
7) 0.05 mol/L 塩酸(HCl:1.823 g/L) 1 mol/L 塩酸10 mLを全量フラスコ200 mLに正確にとり,水を
標線まで加えて混合した後,気密容器に入れて保存する。ファクターは,1 mol/L 塩酸のファクタ
ーをそのまま用いる。
7.1) 1 mol/L塩酸(HCl:36.46 g/L) 1 mol/L 塩酸の調製,標定及び計算は,次による。
7.1.1) 調製 JIS K 8180に規定する塩酸(特級)90 mLをとり,水を加えて1 000 mLとし,混合した
後,気密容器に入れて保存する。
7.1.2) 標定 標定は,認証標準物質3)又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質の炭酸ナトリウム
を用い,次のとおり行う。
7.1.2.1) 認証標準物質3)の炭酸ナトリウムを用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
7.1.2.2) 容量分析用標準物質の炭酸ナトリウムを用いる場合は,試験成績書などに記載された方法で乾
燥する。
7.1.2.3) 認証標準物質3)又は容量分析用標準物質の炭酸ナトリウム1.3 g〜1.4 gを0.1 mgの桁まではか
りとり,コニカルビーカー200 mLに移し,水20 mLを加えて溶かす。指示薬としてブロモフ
ェノールブルー溶液数滴を加え,7.1.1)で調製した1 mol/L 塩酸で滴定する。この場合,終点付
近で煮沸して二酸化炭素を除き,冷却した後,引き続き滴定を行う。終点は,液の色が青紫か
ら青みの緑になる点とする。
7.1.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
99
052
0
A
V
.
m
f
×
×
=
ここに,
f: 1 mol/L 塩酸のファクター
m: はかりとった炭酸ナトリウムの質量(g)
A: 炭酸ナトリウムの純度(質量分率 %)
V: 滴定に要した1 mol/L 塩酸の体積(mL)
0.052 99: 1 mol/L 塩酸1 mLに相当する炭酸ナトリウムの質量を示
す換算係数(g/mL)
8) 0.05 mol/L 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:2.000 g/L) 4.2.1)の1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液10 mL
を全量フラスコ200 mLに正確にとり,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合した後,ポリ
エチレンなどの樹脂製気密容器に入れる。使用時に調製する。
なお,ファクターは,1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液のファクターを用いる。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
メスピペット又はミクロビュレット JIS R 3505に規定する最小目盛0.01 mLのもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,あらかじめ窒素を約200 mL/minの流量で約2分間通じて,空気を置換した分液
漏斗100 mLに二酸化炭素を除いた水25 mL及びブロモチモールブルー溶液3滴を速やかに加え,
液面に窒素を通じながら,0.05 mol/L 塩酸又は0.05 mol/L 水酸化ナトリウム溶液を液の色が中間
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色 4)になるまでメスピペット又はミクロビュレットを用いて加える。直ちに試料10 g(7.6 mL)を
加え,2分間激しく振り混ぜ,下層(水相)の色を観察する。
2) 下層(水相)の色が,中間色からアルカリ性側の色(青)を現す場合は,操作を終了する。
3) 下層(水相)の色が,中間色より酸性側(黄)を現す場合は,あらかじめ窒素を約200 mL/minの流
量で約2分間通じて,空気を置換した分液漏斗100 mLに下層(水相)を移し,液面に窒素を通じ
ながら,0.05 mol/L 水酸化ナトリウム溶液0.56 mLを加え,下層(水相)の色を観察する。
注4) pH 6.8の緩衝液約25 mLを共通すり合わせ三角フラスコ100 mLに入れてブロモチモール
ブルー溶液3滴を加えたときの色。
d) 判定 c)によって操作し,次の1)又は2)に適合するとき,“酸(HClとして):質量分率0.01 %以下(規
格値)”とする。
1) c) 2)の操作によって得られた試料溶液の下層(水相)の色は,中間色からアルカリ性側の色(青)
を示す。
2) c) 3)の操作によって得られた試料溶液の下層(水相)の色は,中間色からアルカリ性側の色(青)
を示す。
注記 0.05 mol/L 水酸化ナトリウム溶液1 mLは,0.001 823 g HClに相当する。
6.8
遊離塩素
遊離塩素の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム30.9 gを水に溶かして
100 mLにする。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。
2) でんぷん溶液 JIS K 8659に規定するでんぷん(溶性)1.0 gに水 10 mLを加えてかき混ぜながら
熱水200 mL中に入れて溶かす。これを約1分間煮沸した後に冷却する。冷所に保存し,10日以内
に使用する。
3) ピロガロール・水酸化ナトリウム溶液(必要な場合に用いる。) JIS K 8780に規定するピロガロー
ル10 gを水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)80 mLに溶かし,更に水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)
を加えて全量を100 mLにする。使用時に調製する。
4) よう化カリウム溶液(100 g/L) JIS K 8913に規定するよう化カリウム10 gを水に溶かして100 mL
にする。使用時に調製する。
5) 溶存酸素を除いた水 次のいずれか,又はそれらを組み合わせたものを用い,使用時に調製する。
5.1) 水をフラスコに入れ15分間以上沸騰させる。加熱を止め,フラスコの口を時計皿で軽く蓋をして
少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶にピロガロール・水酸化ナトリウム溶液を入れた
ものを連結するなどして空気中の酸素を遮り,冷却したもの。
5.2) 水をフラスコに入れ,水の中にJIS K 1107に規定する窒素を15分間以上通じたもの。
5.3) 酸素分離膜を用いたガス分離管を用いて,水から溶存酸素を除いたもの。
5.4) 水を超音波振動装置を用いて十分に脱気したもの。
5.5) 18 MΩ・cm以上の抵抗率のある水を,JIS K 1107に規定する窒素を通じた三角フラスコに泡立てな
いように採取したもの。ただし,採水後速やかに用いる。
6) 硫酸(1+1) 水の体積1を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々に
加える。
7) 0.01 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液(Na2S2O3・5H2O:2.482 g/L) 0.01 mol/L チオ硫酸ナトリウム
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溶液の調製,標定及び計算は,次による。
7.1) 調製 JIS K 8637に規定するチオ硫酸ナトリウム五水和物2.6 g及びJIS K 8625に規定する炭酸ナ
トリウム0.2 gをはかりとり,溶存酸素を除いた水1 000 mLを加えて溶かした後,気密容器に入
れて保存する。調製後2日間放置したものを用いる。
7.2) 標定 標定は,認証標準物質3)又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のよう素酸カリウ
ムを用い,次のとおり行う。
7.2.1) 認証標準物質3)のよう素酸カリウムを用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
7.2.2) 容量分析用標準物質のよう素酸カリウムを用いる場合は,試験成績書などに記載された方法で乾
燥する。
7.2.3) 認証標準物質3)又は容量分析用標準物質のよう素酸カリウム0.3〜0.4 gを全量フラスコ1 000 mL
に0.1 mgの桁まではかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。その25 mL
を共通すり合わせ三角フラスコ200 mLに正確にとり,水100 mLを加える。次に,JIS K 8913
に規定するよう化カリウム1 g及び硫酸(1+1)2 mLを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混
ぜて,暗所に5分間放置する。指示薬としてでんぷん溶液を用い,7.1)で調製した0.01 mol/L チ
オ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。この場合,でんぷん溶液は,終点間際で液の色がうすい黄に
なったときに約0.5 mLを加える。終点は,液の青が消えた点とする。
別に,共通すり合わせ三角フラスコ200 mLに水125 mL及びJIS K 8913に規定するよう化カ
リウム1 gをはかりとり,硫酸(1+1)2 mLを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜて,暗
所に5分間放置し,同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
7.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
)
(
67
6
35
000
.0
000
1/
25
2
1
A
V
V
m
f
×
−
×
×
=
ここに,
f: 0.01 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとったよう素酸カリウムの質量(g)
A: よう素酸カリウムの純度(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.01 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の
体積(mL)
V2: 空試験に要した0.01 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液
の体積(mL)
0.000 356 67: 0.01 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液1 mLに相当する
よう素酸カリウムの質量(g)
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ三角フラスコ100 mL JIS R 3503に規定するもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,共通すり合わせ三角フラスコ100 mLに水10 mL,よう化カリウム溶液(100 g/L)
1 mL,でんぷん溶液2滴及び試料35 g(26.4 mL)をはかりとり,2分間激しく振り混ぜた後,放置
する。
2) 試料溶液の上層(水相)が無色の場合は,操作を終了する。
3) 試料溶液の上層(水相)の色が青の場合は,0.01 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液0.1 mLを加えて,
2分間激しく振り混ぜた後,放置し,液の上層(水相)の色を観察する。
なお,0.01 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクターが1.00でない場合は,加える体積を補正
する。
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d) 判定 c)によって操作し,次の1)又は2)に適合するとき,“遊離塩素:試験適合”とする。
1) c) 2)の操作によって得られた試料溶液の上層(水相)の色は,無色である。
2) c) 3)の操作によって得られた試料溶液の上層(水相)の色は,無色である。
6.9
鉄(Fe)
鉄(Fe)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(100 g/L) JIS K 8201に規定する塩化ヒドロキシルアンモニ
ウム10 gを水に溶かして100 mLにする。
2) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合する。
3) 酢酸アンモニウム溶液(250 g/L) JIS K 8359に規定する酢酸アンモニウム25 gを水に溶かして
100 mLにする。
4) 1,10-フェナントロリン溶液(2 g/L) JIS K 8202に規定する塩化1,10-フェナントロリニウム一水和
物0.28 gを水に溶かして100 mLにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
5) 鉄標準液
5.1) 鉄標準液(Fe:1 mg/mL) 次のいずれかのものを用いる。
5.1.1) 計量標準供給制度[JCSS 5)]に基づく標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致し
た場合に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する。
5.1.2) JCSS以外の認証標準液で酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,必要な
場合は,適切な方法で希釈して使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液がない場合は,市販
の標準液を用いる。
5.1.3) JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mLにはか
りとり,塩酸(2+1)3 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス
製瓶に保存する。
5.2) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 鉄標準液(Fe:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確に
とり,塩酸(2+1)3 mLを加え,更に水を標線まで加えて混合する。
注5) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 共通すり合わせ平底試験管 濁り,ごみなどの有無が確認しやすい大きさで,目盛のあるもの。例
として,容量50 mL,直径約23 mmのもの。
2) 蒸発皿 JIS R 3503に規定するもの。
3) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
c) 操作 操作は,局所排気装置の下又はドラフト内などで,次のとおり行う。
1) 試料10 gをビーカー100 mLなどにはかりとり,水浴上で蒸発乾固し,残分に塩酸(2+1)1 mLを
加え,少量の水で共通すり合わせ平底試験管に移し,水を加えて15 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)1.0 mL及び塩酸(2+1)1 mLを共通すり合わせ平
底試験管にとり,水を加えて15 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(100 g/L)1 mLを加えて,5分間放
置した後,1,10-フェナントロリン溶液(2 g/L)1 mL,酢酸アンモニウム溶液(250 g/L)5 mL及び
水を加えて25 mLとし,20 ℃〜30 ℃で15分間放置する。
4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
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管の上方又は側面から観察して,黄みの赤を比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“鉄(Fe):質量分率1 ppm以下(規格値)”とする。
試料溶液から得られた液の黄みの赤は,比較溶液から得られた液の黄みの赤より濃くない。
6.10 硫酸着色物質
硫酸着色物質の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(1+39) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積1と水の体積39とを混合する。
2) ブロモチモールブルー溶液 JIS K 8842に規定するブロモチモールブルー0.10 gをJIS K 8102に規
定するエタノール(95)50 mLに溶かし,水で100 mLにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
3) 硫酸[質量分率(95±0.5)%] 硫酸[質量分率(95±0.5)%]の調製は,あらかじめJIS K 8951
に規定する硫酸の純度を求める。希釈が必要な場合は,計算量の水をとり,注意して徐々に加えて
硫酸濃度を質量分率(95±0.5)%に調節する。
3.1) 硫酸の純度 共通すり合わせ三角フラスコ100 mLの質量を0.1 mgの桁まではかり,JIS K 8951
に規定する硫酸1.0 gを入れ,再び0.1 mgの桁まで質量をはかる。共通すり合わせ三角フラスコを
冷却しながら水20 mLを徐々に加える。ブロモチモールブルー溶液数滴を加え,1 mol/L 水酸化ナ
トリウム溶液で滴定する。終点は液の色が黄から青みの緑に変わる点とする。
硫酸の純度は,次の式によって算出する。
100
04
0.049
1
2
×
−
×
×
=
m
m
f
V
A
ここに,
A: 硫酸の純度(H2SO4)(質量分率 %)
V: 滴定に要した1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液の体積(mL)
f: 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液のファクター
m2: 試料を入れた共通すり合わせ三角フラスコの質量(g)
m1: 共通すり合わせ三角フラスコの質量(g)
0.049 04: 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液1 mLに相当するH2SO4の質
量を示す換算係数(g/mL)
3.2) 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:40.00 g /L) 6.7 a) 4.2.1)による。
4) 比色原液 比色原液の調製は,次による。
4.1) 塩化コバルト(II)比色原液 JIS K 8129に規定する塩化コバルト(II)六水和物59.5 g(質量分
率100 %としての相当質量)をビーカー1 000 mLにはかりとり,塩酸(1+39)を加えて溶かし,
全量フラスコ1 000 mLに移し,更に塩酸(1+39)を標線まで加えて混合する。
4.2) 塩化鉄(III)比色原液 JIS K 8142に規定する塩化鉄(III)六水和物45.0 g(質量分率100 %とし
ての相当質量)をビーカー1 000 mLにはかりとり,塩酸(1+39)を加えて溶かし,全量フラスコ
1 000 mLに移し,更に塩酸(1+39)を標線まで加えて混合する。
4.3) 硫酸銅(II)比色原液 JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水和物62.4 g(質量分率100 % とし
ての相当質量)をビーカー1 000 mLにはかりとり,塩酸(1+39)を加えて溶かし,全量フラスコ
1 000 mLに移し,更に塩酸(1+39)を標線まで加えて混合する。
b) 着色の程度の適合限度標準 着色の程度の適合限度標準“比色標準液A”は,次による。
表2に示す割合によって比色標準液A 5.0 mLを共通すり合わせ平底試験管に調製する。
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表2−硫酸着色物質試験用比色標準液A
単位 mL
比色標準液の
記号
比色原液
塩化コバルト(II)
塩化鉄(III)
硫酸銅(II)
水
A
0.1
0.4
0.1
4.4
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.9 b) 1)による。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,共通すり合わせ平底試験管に試料20 mLを入れ,約10 ℃に冷却する。振り混
ぜながら,約10 ℃に冷却した硫酸[質量分率(95±0.5)%]5 mLを,30 ℃を超えないように注
意して徐々に加え,約10 ℃に冷却し,約10 ℃で15分間放置する。
2) 白色の背景を用いて,試料溶液から得られた下層(硫酸相)の色を,共通すり合わせ平底試験管の
側面から観察して比較する。
e) 判定 d)によって操作し,次に適合するとき,“硫酸着色物質:試験適合”とする。
試料溶液から得られた下層(硫酸相)の色は,比色標準液Aの色より濃くない。
6.11 よう素消費物質
よう素消費物質の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液(Na2S2O3・5H2O:24.82 g/L) 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶
液の調製,標定及び計算は,次による。
1.1) 調製 JIS K 8637に規定するチオ硫酸ナトリウム五水和物26 g及びJIS K 8625に規定する炭酸ナ
トリウム0.2 gをはかりとり,溶存酸素を除いた水1 000 mLを加えて溶かした後,気密容器に入
れて保存する。調製後2日間放置したものを用いる。
1.2) 標定 標定は,認証標準物質3)又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のよう素酸カリウ
ムを用い,次のとおり行う。
1.2.1) 認証標準物質3)のよう素酸カリウムを用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
1.2.2) 容量分析用標準物質のよう素酸カリウムを用いる場合は,試験成績書などに記載された方法で乾
燥する。
1.2.3) 認証標準物質3)又は容量分析用標準物質のよう素酸カリウム0.9 g〜1.1 gを全量フラスコ250 mL
に0.1 mgの桁まではかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。その25 mL
を共通すり合わせ三角フラスコ200 mLに正確にとり,水100 mLを加える。次に,JIS K 8913
に規定するよう化カリウム2 g及び硫酸(1+1)2 mLを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混
ぜて,暗所に5分間放置する。指示薬としてでんぷん溶液を用い,1.1)で調製した0.1 mol/L チ
オ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。この場合,でんぷん溶液は,終点間際で液の色がうすい黄に
なったときに約0.5 mLを加える。終点は,液の青が消えた点とする。
別に,共通すり合わせ三角フラスコ200 mLに水125 mL及びJIS K 8913に規定するよう化カ
リウム2 gをはかりとり,硫酸(1+1)2 mLを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜて,暗
所に5分間放置し,同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
1.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
14
K 8161:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
100
)
(
7
566
003
0
250
25
2
1
A
V
V
.
/
m
f
×
−
×
×
=
ここに,
f: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとったよう素酸カリウムの質量(g)
A: よう素酸カリウムの純度(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(mL)
V2: 空試験に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の
体積(mL)
0.003 566 7: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液1 mLに相当するよ
う素酸カリウムの質量を示す換算係数(g/mL)
2) 0.05 mol/L よう素溶液(I2:12.69 g/L) 0.05 mol/L よう素溶液の調製,標定及び計算は,次による。
2.1) 調製 JIS K 8913に規定するよう化カリウム40 gをはかりとり,水25 mL及びJIS K 8920に規定
するよう素13 gを加えて溶かした後,水を加えて1 000 mLとする。これにJIS K 8180に規定す
る塩酸3滴を加えて混合した後,遮光した気密容器に入れて暗所に保存する。
2.2) 標定 2.1)で調製した0.05 mol/L よう素溶液25 mLをコニカルビーカー200 mLなどに正確にとり,
塩酸(1 mol/L)1 mLを加える。指示薬としてでんぷん溶液を用い,0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウ
ム溶液で滴定する。この場合,でんぷん溶液は,終点近くで液がうすい黄になったときに約0.5 mL
を加える。終点は,液の青が消えた点とする。
2.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
25
2
1
V
f
f
×
=
ここに,
f1: 0.05 mol/L よう素溶液のファクター
f2: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
V: 滴定に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体積(mL)
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.9 b) 1)による。
2) メスピペット又はミクロビュレット JIS R 3505に規定するのもので,最小目盛が0.01 mLのもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料20 g(15.1 mL)を共通すり合わせ平底試験管などにはかりとり,0.05 mol/L
よう素溶液0.05 mLをメスピペット又はミクロビュレットを用いて加え,混合し,30分間放置する。
なお,0.05 mol/L よう素溶液のファクターが1.00でない場合は,加える体積を補正する。
2) 白の背景を用いて,試料溶液の色を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側面から観察する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“よう素消費物質:試験適合”とする。
試料溶液の色は,紫を保つ。
7
容器
容器は,遮光した気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
15
K 8161:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
b) 名称“ジクロロメタン”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 内容量
f)
製造番号
g) 製造年月又はその略号
h) 製造業者名又はその略号
i)
安定剤の名称及び量
16
K 8161:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS K 8161:2015 ジクロロメタン(試薬)
ISO 6353-3:1987,Reagents for chemical analysis−Part 3: Specifications−Second series
R 57 Dichloromethane
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇
条ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異の理
由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲 試薬として用いるジクロロメ
タンについて規定。
取扱い上の注意事項の記載。
−
追加
JISは1品目1規格。
試薬の規格使用者が各規格を多く引用
しやすくするために1品目1規格とし
ている。
なお,対応国際規格は25年以上見直し
が行われていないため市場の実態に合
わない。国際規格の改正を検討する。
2 引用規格
3 種類
−
−
追加
種類の項目を追加。
JISは種類として“特級”だけなので,
ISO規格と技術的な差異はない。
4 性質
−
−
追加
性質の項目を追加。
一般的な説明事項であり,技術的な差
異はない。
5 品質
R 57.1
変更
1) 品質に差異のある項目:遊
離塩素。
2) 追加した項目:硫酸着色物
質,よう素消費物質,安定剤。
ISO規格は,長期間内容の見直しが行
われず国際市場でISO規格品が用いら
れることはほとんどない。また,技術
的差異も軽微である。
6 試験方法
6.1 一般事項
JIS K 0050及びJIS K 8001に
よる。
−
−
追加
項目を追加。
編集上の差異であり,技術的な差異は
ない。
2
K
8
1
6
1
:
2
0
1
5
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K 8161:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇
条ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異の理
由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
6 試験方法
(続き)
6.2 純度(CH2Cl2)(GC)及び
安定剤
国際的にも広く普及しているキャピラ
リーカラム法に変更。
ISO規格の見直し時に,改正提案の検
討を行う予定。
6.2.1 純度(CH2Cl2)(GC)ガ
スクロマトグラフ法
R 57.2.3
ガスクロマト
グラフ法
変更
1) 分析条件などを変更。
2) JIS K 0114を引用。
6.2.2 安定剤
6.2.2.1 2-メチル-2-ブテン(GC)
6.2.2.2 メタノール(GC)ガス
クロマトグラフ法
追加
項目を追加。
6.3 外観
R 57.2.1
一致
6.4 密度(20 ℃)比重瓶法又
は振動式密度計法
R 57.2.2
比重瓶法
選択
JIS K 0061を引用。
精度の高い振動式密度計法を選択でき
るようにした。
ISO規格の見直し時に,改正提案の検
討を行う予定。
6.5 水分 容量滴定法又は電
量滴定法
R 57.2.8
容量滴定法
選択
JIS K 0068を引用
定量下限の小さい電量滴定法を選択で
きるようにした。
ISO規格の見直し時に,改正提案の検
討を行う予定。
6.6 不揮発物
R 57.2.4
一致
6.7 酸(HClとして)中和滴定
法
R 57.2.5
中和滴定法
変更
試料の量,指示薬及び操作法
を変更。
技術的な差異は軽微であり,対策は考
慮しない。
6.8 遊離塩
素
よう素滴定法
R 57.2.6
よう素滴定法
変更
有害なよう化カドミウムを有
害性の低い試薬に変更。
ISO規格のよう化カドミウムの使用は
環境・安全上変更が必要。
ISO規格の見直し時に,改正提案の検
討を行う予定。
6.9 鉄(Fe) 1,10-フェナントロリン法
R 57.2.7
原子吸光法
変更
JIS K 8001を引用。
技術的な差異は軽微であり,対策は考
慮しない。
6.10 硫酸
着色物質
−
−
追加
項目を追加。
品質確保のために必要。
ISO規格の見直し時に,提案の検討を
行う予定。
6.11 よう
素消費物質
−
−
追加
項目を追加。
2
K
8
1
6
1
:
2
0
1
5
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K 8161:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇
条ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異の理
由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
7 容器
−
−
追加
項目を追加。
規格適合性を評価する関係で必要な項
目を追加。
8 表示
−
−
追加
項目を追加。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 6353-3:1987,MOD
関連する外国規格
REAGENT CHEMICALS−American Chemical Society Specifications ACS(2010)
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 一致 ················ 技術的差異がない。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
− 選択 ················ 国際規格の規定内容とは異なる規定内容を追加し,それらのいずれかを選択するとしている。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
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