K 8138:2010
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 3
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度(CuCl)················································································································ 3
6.3 酸溶状 ························································································································· 4
6.4 硫酸塩(SO4) ·············································································································· 5
6.5 窒素化合物(Nとして)·································································································· 6
6.6 ナトリウム(Na) ········································································································· 10
6.7 カリウム(K),カルシウム(Ca)及び鉛(Pb) ································································· 11
6.8 銅(II)(Cu2+) ··········································································································· 12
6.9 ひ素(As) ·················································································································· 13
6.10 鉄(Fe) ···················································································································· 15
7 容器······························································································································ 16
8 貯蔵方法························································································································ 16
9 表示······························································································································ 16
10 取扱い上の注意事項 ······································································································· 16
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本試薬
協会(JRA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきと
の申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8138:1992は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
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日本工業規格
JIS
K 8138:2010
塩化銅(I)(試薬)
Copper (I) chloride (Reagent)
CuCl FW:99.00
序文
この規格は,1952年に制定され,その後3回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は,1992年に
行われたが,その後の試験・研究開発などの技術進歩に対応するために改正した。
なお,対応国際規格は,現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる塩化銅(I)について規定する。
警告 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とする。
この規格は,その使用に関連して起こるすべての安全上の問題を取り扱おうとするものではな
い。この規格の利用者は,MSDS(化学物質等安全データシート)などを参考にして各自の責
任において安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS K 8012 亜鉛(試薬)
JIS K 8034 アセトン(試薬)
JIS K 8044 三酸化二ひ素(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)
JIS K 8121 塩化カリウム(試薬)
JIS K 8136 塩化すず(II)二水和物(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
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JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8247 過マンガン酸カリウム(試薬)
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8374 酢酸鉛(II)三水和物(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8548 硝酸カリウム(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8580 すず(試薬)
JIS K 8617 炭酸カルシウム(試薬)
JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JIS K 8653 デバルダ合金(試薬)
JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)
JIS K 8777 ピリジン(試薬)
JIS K 8780 ピロガロール(試薬)
JIS K 8798 フェノール(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JIS K 9512 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀(試薬)
JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
塩化銅(I)は,白からほとんど白の結晶性粉末又は塊で,空気中で次第に緑を帯びる。水及びエタノー
ルにやや溶けにくい。塩酸及びアンモニア水に溶ける。
4.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料1 gに硝酸(1+2)10 mlを加え,加熱して溶かした後,冷却する。この液に硝酸銀溶液(20 g/l)
1 mlを加えると白い沈殿が生じる。
b) 試料1 gに塩酸(2+1)6 mlを加えて,加熱して溶かした後,冷却する。この液にアンモニア水(2
+3)10 mlを加えると青紫の沈殿が生じ,更にアンモニア水(2+3)5 mlを加えると,沈殿は溶けて
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濃い青紫になる。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(CuCl)
質量分率 %
95.0以上
6.2
酸溶状
試験適合
6.3
硫酸塩(SO4)
質量分率 %
0.2以下
6.4
窒素化合物(Nとして) 質量分率 %
0.005以下
6.5
ナトリウム(Na)
質量分率 %
0.05以下
6.6
カリウム(K)
質量分率 %
0.01以下
6.7
銅(II)(Cu2+)
質量分率 %
0.5以下
6.8
カルシウム(Ca)
質量分率 %
0.01以下
6.7
鉛(Pb)
質量分率 %
0.02以下
6.7
ひ素(As)
質量分率 ppm
1以下
6.9
鉄(Fe)
質量分率 %
0.005以下
6.10
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(CuCl)
純度(CuCl)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(1+1) JIS K 8180に規定する塩酸の体積1と水の体積1とを混合する。
2) 硫酸(1+1) 水の体積1を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々
に加える。
3) 硫酸アンモニウム鉄(III)・塩酸溶液 JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄(III)・12水10 g
を塩酸(1+1)に溶かして100 mlにする。
4) 0.02 mol/l過マンガン酸カリウム溶液(KMnO4:3.16l g/l) 0.02 mol/l過マンガン酸カリウム溶液の
調製,標定及び計算は,次による。
4.1) 調製 JIS K 8247に規定する過マンガン酸カリウム3.2 gをビーカー2 000 mlにはかりとり,水
1 050 mlを加えて1〜2時間穏やかに煮沸した後,約18時間暗所に放置する。その上澄み液をJIS
R 3503に規定するブフナー漏斗形ガラスろ過器(17G4又は25G4)を用いてろ過する。この場合,
ブフナー漏斗形ガラスろ過器は,ろ過の前後に水洗はしない。約30分間水蒸気洗浄した褐色の気
密容器に保存する。
4.2) 標定 JIS K 8005に規定する容量分析用標準物質など1)のしゅう酸ナトリウムの必要量を200 ℃
で約60分間乾燥した後,デシケーターに入れて放冷する。その0.20〜0.24 gを0.1 mgのけたまで
はかりとり,コニカルビーカー500 mlに移し,水200 mlを加えて溶かす。硫酸(1+1)20 mlを
加え,液温を25〜30 ℃にし,緩くかき混ぜながら4.1)で調製した液を,滴定所要量の約2 ml手
前までビュレットのコックを全開にして加え,液の紅色が消えるまで放置する。次に,50〜60 ℃
に加熱し,引き続き滴定する。終点は,液のうすい紅色が約30秒間残る点とする。
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別に,水200 ml及び硫酸(1+1)20 mlをコニカルビーカー500 mlにはかりとり,50〜60 ℃に
加熱し,同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
注1) 容量分析に用いることが可能な標準物質であり,使用する場合は,認証書に定める使用
方法などによる。ただし,認証書のある標準物質を入手できない場合は,市販の含有率
が明らかな標準物質も用いることができ,使用する場合は,その説明書などによる。
4.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
)
(
700
006
.0
2
1
A
V
V
m
f
×
−
×
=
ここに,
f: 0.02 mol/l過マンガン酸カリウム溶液のファクター
m: はかりとったしゅう酸ナトリウムの質量(g)
A: しゅう酸ナトリウムの純度(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.02 mol/l過マンガン酸カリウム溶液の
体積(ml)
V2: 空試験に要した0.02 mol/l過マンガン酸カリウム溶液
の体積(ml)
0.006 700: 0.02 mol/l過マンガン酸カリウム溶液1 mlに相当する
しゅう酸ナトリウムの質量(g)
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
電位差滴定装置 JIS K 0113に規定するもの。指示電極に白金電極,参照電極に銀−塩化銀電極を
用いる。
c) 操作 操作は,次のとおりに行う。
試料0.15 gをビーカー100 mlに0.1 mgのけたまではかりとり,冷却した硫酸アンモニウム鉄(III)・
塩酸溶液30 mlを加えて溶かし,直ちに,0.02 mol/l過マンガン酸カリウム溶液でJIS K 0113の5.(電
位差滴定方法)によって滴定する。
別に,同一条件で空試験を行い,滴定量を補正する。
d) 計算 純度(CuCl)は,次の式によって算出する。
(
)
100
900
009
.0
2
1
×
×
−
×
=
m
f
V
V
A
ここに,
A: 純度(CuCl)(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.02 mol/l過マンガン酸カリウム溶液の体
積(ml)
V2: 空試験に要した0.02 mol/l過マンガン酸カリウム溶液の
体積(ml)
f: 0.02 mol/l過マンガン酸カリウム溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.009 900: 0.02 mol/l過マンガン酸カリウム溶液1 mlに相当する
CuClの質量(g)
6.3
酸溶状
酸溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸の体積2と水の体積1とを混合する。
2) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60〜61 %)の体積1と水の体積2とを混合す
る。
3) 硝酸銀溶液(20 g/l) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mlにする。褐色ガラス
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製瓶に保存する。
4) 塩化物標準液
4.1) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
4.1.1) 計量標準供給制度[JCSS2)]に基づく標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致し
た場合に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する(以下,“JCSSに基づく標準液”
という。)。
4.1.2) JCSS以外の認証標準液で酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,必要な
場合は,適切な方法で希釈して使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液がない場合は,市販
の標準液を用いる(以下,JCSS以外の認証標準液及び市販の標準液を合わせて,“JCSS以外の
認証標準液など”という。)。
4.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム1.65 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,
水を標線まで加えて混合する。
注2) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。
4.2) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml
に正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“澄明”を用いる。
塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)0.2 mlを共通すり合わせ平底試験管にとり,水10 ml,硝酸(1+2)
1 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加え,更に水を加えて20 mlとし,振り混ぜてから15分間放置
する。
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 例として,容量50 ml,直径約23 mmで目盛のあるもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,塩酸(2+1)6 ml及び硝酸(1
+2)3 mlを加えた後,水浴中で加温して溶かす。室温まで冷却した後,水を加えて20 mlにする。
2) 試料溶液を調製した直後に濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を上
方又は側方から観察する。
e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“酸溶状:試験適合”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。
6.4
硫酸塩(SO4)
硫酸塩(SO4)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) 塩酸 JIS K 8180に規定するもの。
3) 塩化バリウム溶液(100 g/l) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gを水に溶かして
100 mlにする。
4) 塩酸(2+1) 6.3 a) 1)による。
5) 硝酸(1+2) 6.3 a) 2)による。
6) 硝酸銀溶液(20 g/l) 6.3 a) 3)による。
7) 硫酸塩標準液
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7.1) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
7.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 4.1.1)に準じる。
7.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 4.1.2)に準じる。
7.1.3) JIS K 8962に規定する硫酸カリウム1.81 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,
水を標線まで加えて混合する。
7.2) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/ml) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml
に正確にはかりにとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)のもの及び100 mlのもの。
2) 洗浄ろ紙 JIS P 3801に規定するろ紙(5種C)をろ過できるように漏斗に置き,硝酸(1+2)50 ml
ずつで2回洗い,更に水50 mlずつで2回洗ったもので,その最終洗液20 mlを試験管にとり,硝
酸(1+2)l ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)l mlを加えて15分間放置後に6.3 b)の澄明であることを確
認する。必要があれば,洗浄を繰り返す。
3) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.2 gをビーカー100 mlにとり,塩酸(2+1)6 ml及び硝酸(1+2)3 ml
を加えた後,水浴上で加熱して蒸発乾固する。残分を水で溶かし,水で全量フラスコ100 mlに移し,
水を標線まで加えて混合する。その10 mlをビーカー100 mlにとり,塩酸2 mlを加えた後,水浴上
で加熱して蒸発乾固する。残分を塩酸(2+1)0.6 ml及び水で溶かし,水で共通すり合わせ平底試
験管100 mlに移し,水を加えて60 mlにする(A液)。A液20 ml(試料量0.04 g)を共通すり合わ
せ平底試験管50 mlに入れ,これにエタノール(95)3 mlを加える。
2) 比較溶液の調製は,A液20 mlをビーカー100 mlにとり,塩化バリウム溶液(100 g/l)2 mlを加え,
沸騰するまで加熱する。1時間放置した後,ろ紙には洗浄ろ紙,受器には共通すり合わせ平底試験
管50 mlを用いてろ過し,そのろ液にエタノール(95)3 mlを加える。
3) 試料溶液に塩化バリウム溶液(100 g/l)2 mlを,比較溶液に硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/ml)8.0 ml
を加え,それぞれ水で35 mlにして振り混ぜた後,30分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“硫酸塩(SO4):質量分率0.2 %以下(規格値)”とする。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.5
窒素化合物(Nとして)
窒素化合物(Nとして)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) デバルダ合金 JIS K 8653に規定するもの。
2) エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム(インドフェノール青法用)溶液[EDTA2Na溶液(イ
ンドフェノール青法用)] JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム1 gを水60 mlに溶かす。これ
にJIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物5 gを加えて溶かし,
水で100 mlにする。
3) 酢酸(1+1) JIS K 8355に規定する酢酸の体積1と水の体積1とを混合する。
4) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質
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量分率5〜12 %)の有効塩素を使用時に定量し,有効塩素が質量分率約1 %になるように水でうす
める。冷暗所に保存し,30日以内に使用する。
4.1) 有効塩素の定量方法 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5〜12 %)10 gを0.1 mg
のけたまではかりとり,全量フラスコ200 mlに移し,水を標線まで加えて混合する。その20 ml
を共通すり合わせ三角フラスコ300 mlに正確にはかりとり,水100 ml,JIS K 8913に規定するよ
う化カリウム2 g及び酢酸 (1+1)6 mlを加えて栓をして振り混ぜる。約5分間暗所に放置後,
指示薬としてでんぷん溶液を用い,0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。この場合,で
んぷん溶液は,終点間際で液の色がうすい黄色になったときに約0.5 mlを加える。終点は,液の
青が消える点とする。
別に,同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
100
200
/
20
3
545
003
.0
)
(
2
1
×
×
×
×
−
=
m
f
V
V
A
ここに,
A: 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5〜
12 %)の有効塩素濃度(Cl)(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液の体積
(ml)
V2: 空試験に要した0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(ml)
f: 0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素
質量分率5〜12 %)の質量(g)
0.003 545 3: 0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液1 mlに相当するCl
の質量(g)
5) 水酸化ナトリウム溶液(300 g/l) 水酸化ナトリウム30.9 gを水に溶かして100 mlにする。ポリエ
チレン製瓶などに保存する(必要な場合に用いる。)。
6) でんぷん溶液 JIS K 8659に規定するでんぷん(溶性)1.0 gに水 10 mlを加えてかき混ぜながら熱
水200 ml中に入れて溶かす。これを約1分間煮沸した後に冷却する。冷所に保存し,10日以内に
使用する。
7) ナトリウムフェノキシド溶液 水酸化ナトリウム溶液(300 g/l)18 mlをビーカー200 mlにとる。冷
水中で冷却しながらJIS K 8798に規定するフェノール12.6 gを少量ずつ加えた後,更にJIS K 8034
に規定するアセトン4 mlを加え,水で100 mlにする。この溶液は使用時に調製する。
8) ピロガロール・水酸化ナトリウム溶液 JIS K 8780に規定するピロガロール10 gを水酸化ナトリウ
ム溶液(300 g/l)80 mlに溶かし,更に水酸化ナトリウム溶液(300 g/l)を加えて全量を100 mlにす
る。この溶液は使用時に調製する(必要な場合に用いる。)。
9) 溶存酸素を除いた水 次のいずれか,又は9.1)〜9.5)の二つ以上を組み合わせたものを用い,使用時
に調製する。
9.1) 水をフラスコに入れ15分間沸騰させる。加熱を止め,フラスコの口を時計皿で軽くふたをして少
し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶にピロガロール・水酸化ナトリウム溶液を入れたも
のを連結するなどして空気中の酸素を遮り,冷却したもの。
9.2) 水をフラスコに入れ,水の中にJIS K 1107に規定する窒素を15分間以上通じたもの。
9.3) 水を酸素分離膜を用いたガス分離管を用いて溶存酸素を除いたもの。
9.4) 水を超音波振動装置で十分に脱気を行ったもの。
8
K 8138:2010
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9.5) 新鮮な18 MΩ・cm以上の抵抗率のある脱イオン化された水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立
てないように採取したもの。
10) 硫酸(1+1) 6.2 a) 2)による。
11) 硫酸(1+15) 水の体積15を冷却してかき混ぜながら,これにJIS K 8951に規定する硫酸の体積
1を徐々に加える。
12) 0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液(Na2S2O3・5H2O:24.82 g/l) 0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液
の調製,標定及び計算は,次による。
12.1) 調製 JIS K 8637に規定するチオ硫酸ナトリウム五水和物26 g及びJIS K 8625に規定する炭酸ナ
トリウム0.2 gをはかりとり,溶存酸素を除いた水1 000 mlを加えて溶かした後,気密容器に入れ
て保存する。調製後2日間放置したものを用いる。
12.2) 標定 JIS K 8005に規定する容量分析用標準物質など1)のよう素酸カリウムの必要量をめのう乳
鉢で軽く砕いて,130 ℃で約2時間乾燥した後,デシケーターに入れて放冷する。その0.9〜1.1 g
を全量フラスコ250 mlに0.1 mgのけたまではかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて
混合する。その25 mlを共通すり合わせ三角フラスコ200 mlに正確にはかりとり,水100 mlを加
える。次に,よう化カリウム2 g及び硫酸 (1+1)2 mlを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混
ぜて,暗所に5分間放置する。指示薬としてでんぷん溶液を用い,12.1)で調製した液で滴定する。
この場合,でんぷん溶液は,終点間際で液の色がうすい黄色になったときに約0.5 mlを加える。
終点は,液の青が消える点とする。
別に,共通すり合わせ三角フラスコ200 mlに水125 ml及びよう化カリウム2 gをはかりとり,
硫酸(1+1)2 mlを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜて,暗所に5分間放置し,同一条件
で空試験を行って滴定量を補正する。
12.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
)
(
7
566
003
.0
250
/
25
2
1
A
V
V
m
f
×
−
×
×
=
ここに,
f: 0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとったよう素酸カリウムの質量(g)
A: よう素酸カリウムの純度(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(ml)
V2: 空試験に要した0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液の
体積(ml)
0.003 566 7: 0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液1 mlに相当するよ
う素酸カリウムの質量(g)
13) 窒素標準液
13.1) 窒素標準液(N:1 mg/ml) JIS K 8548に規定する硝酸カリウム7.22 gを全量フラスコ1 000 ml
にとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
13.2) 窒素標準液(N:0.01 mg/ml) 窒素標準液(N:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確
にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 吸収セル 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,光路長が10 mmのもの。
2) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
3) 沸騰石 液体を沸騰させるとき突沸を防ぐために入れる多孔質の小片。
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4) 恒温水槽 20〜25 ℃に調節できるもの。
5) 蒸留装置 例を図1に示す。
6) 分光光度計 JIS K 0115に規定するもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,蒸留フラスコAに試料0.50 gをとり,水140 mlを加えて溶かす。
2) 比較溶液の調製は,蒸留フラスコAに窒素標準液(N:0.01 mg/ml)2.5 mlをとり,水を加えて140
mlにする。
3) 空試験用溶液は,蒸留フラスコAに水140 mlを入れる。
4) 試料溶液,比較溶液及び空試験用溶液に,沸騰石2〜3粒を入れる。受器Hに吸収液[硫酸(1+15)
2 mlに水18 mlを加える。]を入れ,逆流止めGの先端を浸す。蒸留フラスコAにデバルダ合金1 g
を入れ,直ちに蒸留装置に連結する。これに水酸化ナトリウム溶液(300 g/l)10 mlを注入漏斗D
から加える。注入漏斗Dを水10 mlで洗い,すり合わせコックCを閉じる。加熱して蒸留し,初留
約75 mlをとり,水を加えて100 mlにする(試料溶液から得られた液をX液,比較溶液から得られ
た液をY液及び空試験用溶液から得られた液をZ液とする。)。
5) X液10 ml,Y液10 ml及びZ液10 mlをそれぞれ共通すり合わせ平底試験管にとり,EDTA2Na溶
液(インドフェノール青法用)1 ml及びナトリウムフェノキシド溶液4 mlを加えてよく振り混ぜる。
これらに次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %)2.5 mlを加え,更に水を加えて
25 mlにし,20〜25 ℃の恒温水槽で15分間放置する。
6) X液及びY液から得られた液は,Z液から得られた液を対照液とし,吸収セルを用いて,分光光度
計で波長630 nm付近の吸収極大の波長における吸光度をJIS K 0115の6.(特定波長における吸収
の測定)によって測定して比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“窒素化合物(Nとして):質量分率0.005 %以下(規
格値)”とする。
X液から得られた吸光度は,Y液から得られた吸光度より大きくない。
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K 8138:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
A:
B:
C:
D:
E:
F:
G:
H:
I:
J:
K:
L:
蒸留フラスコ500 ml
連結導入管
すり合わせコックK-16
注入漏斗
ケルダール形トラップ球(E':小孔)
球管冷却器300 mm
逆流止め(約50 ml)
受器(有栓形メスシリンダー100 ml)
共通すり合わせ
共通テーパー球面すり合わせ
押さえばね
ヒーター
図1−蒸留装置の例
6.6
ナトリウム(Na)
ナトリウム(Na)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) 6.3 a) 1)による。
2) 硝酸(1+2) 6.3 a) 2)による。
3) ナトリウム標準液
3.1) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
3.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 4.1.1)に準じる。
3.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 4.1.2)に準じる。
3.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム2.54 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,
水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する。
3.2) ナトリウム標準液(Na:0.01 mg/ml) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ
1 000 mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
フレーム原子吸光分析装置 JIS K 0121に規定するもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
1) 試料溶液の調製は,試料5.0 gをビーカー200 mlにとり,塩酸(2+1)30 ml,硝酸(1+2)15 ml
及び水20 mlを加えた後,加熱して溶かし,煮沸する。冷却後,全量フラスコ100 mlに移し,水を
標線まで加えて混合する(S液)(S液は6.7及び6.10にも用いる。)。全量フラスコ100 mlにS液
2.0 ml(試料量0.10 g)をとり,水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,S液2.0 mlを全量フラスコ100 mlにとり,ナトリウム標準液(Na:0.01 mg/ml)
5.0 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,測定波長589.0 nm付近で吸光度
が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれフレーム中に噴霧し,ナトリウムの吸光度
を測定し,X液の指示値(n1)及びY液の指示値(n2)を読み取る。
4) 測定結果は,X液の指示値n1と,Y液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1とを比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“ナトリウム(Na):質量分率0.05 %以下(規格値)”
とする。
n1は,n2−n1より大きくない。
注記 ナトリウムの含有率(質量分率 %)は,次の式によって求めることができる。
100
000
1
1
2
1
×
×
−
×
=m
n
n
n
B
A
ここに,
A: ナトリウムの含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中のナトリウムの質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
6.7
カリウム(K),カルシウム(Ca)及び鉛(Pb)
カリウム(K),カルシウム(Ca)及び鉛(Pb)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) 6.3 a) 1)による。
2) 硝酸(1+2) 6.3 a) 2)による。
3) カリウム標準液,カルシウム標準液及び鉛標準液
3.1) カリウム標準液(K:1 mg/ml),カルシウム標準液(Ca:1 mg/ml)及び鉛(Pb:1 mg/ml) 次
のいずれかのものを用いる。
3.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 4.1.1)に準じる。
3.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 4.1.2)に準じる。
3.1.3) カリウム標準液(K:1 mg/ml),カルシウム標準液(Ca:1 mg/ml)及び鉛(Pb:1 mg/ml)を調
製する場合
3.1.3.1) カリウム標準液(K:1 mg/ml) JIS K 8121に規定する塩化カリウム1.91 gを全量フラスコ
1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに
保存する。
3.1.3.2) カルシウム標準液(Ca:1 mg/ml) JIS K 8617に規定する炭酸カルシウム2.50 gに水50 ml
及び塩酸(2+1)15 mlを加え,沸騰しない程度に加熱して溶かし,更に二酸化炭素を除き,
冷却する。これを全量フラスコ1 000 mlに移し,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン
製瓶などに保存する。
12
K 8138:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.1.3.3) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml) JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 gを全量フラスコ1 000 ml
にとり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
3.2) カリウム標準液(K:0.01 mg/ml),カルシウム標準液(Ca:0.01 mg/ml)及び鉛標準液(Pb:0.01
mg/ml) 次のものを用いる。
3.2.1) カリウム標準液(K:0.01 mg/ml) カリウム標準液(K:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000
mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する。
3.2.2) カルシウム標準液(Ca:0.01 mg/ml) カルシウム標準液(Ca:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ
1 000 mlに正確にはかりとり,塩酸(2+1)15 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。
ポリエチレン製瓶などに保存する。
3.2.3) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確に
はかりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
フレーム原子吸光分析装置 6.6 b)による。
c) 分析種及び測定波長 分析種及び測定波長の例を表2に示す。
表2−分析種及び測定波長の例
分析種
測定波長
nm
カリウム
K
766.5
カルシウム
Ca
422.7
鉛
Pb
283.3
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,全量フラスコ100 mlに6.6 c) 1)のS液10 ml(試料量0.50 g)をとり,水を標線
まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,6.6 c) 1)のS液10 mlを全量フラスコ100 mlにとり,カリウム標準液(K:0.01
mg/ml)5.0 ml,カルシウム標準液(Ca:0.01 mg/ml)5.0 ml及び鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml)10.0 ml
を加え,更に水を標線まで加えて混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,表2に示す測定波長付近で吸光
度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸光度を
測定し,X液の指示値(n1)及びY液の指示値(n2)を読み取る。
4) 測定結果は,X液の指示値n1と,Y液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1とを比較する。
e) 判定 それぞれd)によって操作し,次に適合するとき,“カリウム(K):質量分率0.01 %以下(規格
値),カルシウム(Ca):質量分率0.01 %以下(規格値),鉛(Pb):質量分率0.02 %以下(規格値)”
とする。
n1は,n2−n1より大きくない。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,6.6 d)の注記に準じて求めることができる。
6.8
銅(II)(Cu2+)
銅(II)(Cu2+)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
13
K 8138:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
1) 酢酸 JIS K 8355に規定するもの。
2) よう化カリウム JIS K 8913に規定するもの。
3) でんぷん溶液 6.5 a) 6)による。
4) 0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液(Na2S2O3・5H2O:24.82 g/l) 6.5 a) 12)による。
b) 器具 主な器具は,次のものを用いる。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
2) ろ紙(5種C) JIS P 3801に規定するもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,酢酸10 mlを加え,栓をして5分間激しく振り混ぜ
る。静置し,上澄み液をろ紙(5種C)でろ過する。再び,残分に酢酸10 mlを加え,栓をして5
分間激しく振り混ぜた後,ろ紙(5種C)でろ過し,先のろ液とともに共通すり合わせ三角フラス
コ200 mlに入れる。
2) よう化カリウム1 gを加え,直ちに栓をして緩く振り混ぜて溶かし,暗所に10分間放置する。これ
に水20 ml及び指示薬としてでんぷん溶液1 mlを加えた後,0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴
定する。終点は,液の青が消える点とする。
別に,同一条件で空試験を行って補正する。
d) 計算 銅(II)(Cu2+)は,次の式によって算出する。
(
)
100
335
006
.0
2
1
×
×
−
×
=
m
f
V
V
A
ここに,
A: 銅(II)(Cu2+)(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の体積
(ml)
V2: 空試験に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(ml)
f: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.006 335: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液1 mlに相当するCu2+
の質量(g)
6.9
ひ素(As)
ひ素(As)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 亜鉛(ひ素分析用) JIS K 8012に規定する粒径150〜1 400 μmのもの。
2) ピリジン JIS K 8777に規定するもの。
3) 塩化すず(Ⅱ)溶液(N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀法用)[塩化すず(Ⅱ)溶液(AgDDTC
法用)] JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物40 gをJIS K 8180に規定する塩酸(ひ素
分析用)に溶かし,塩酸(ひ素分析用)で100 mlにする。小粒のJIS K 8580に規定する粒状のす
ず2〜3個を加えて保存し,使用時に水で10倍にうすめる。褐色ガラス製瓶に保存する。
4) 塩酸(ひ素分析用)(1+1) 塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の体積1とを混合する。
5) 塩酸(ひ素分析用)(1+3) 塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の体積3とを混合する。(必要な場
合に用いる。)。
6) 酢酸鉛(II)溶液(100 g/l) JIS K 8374に規定する酢酸鉛(II)三水和物11.6 gを水に溶かして100
mlにした後,JIS K 8355に規定する酢酸0.1 mlを加える。
14
K 8138:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
7) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀・ピリジン溶液(AgDDTC・ピリジン溶液) JIS K 9512に規
定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀(AgDDTC)0.5 gをピリジンに溶かし,ピリジンで100
mlにする。褐色ガラス製瓶に入れ,冷所に保存する。
8) 硝酸(1+2) 6.3 a) 2)による。
9) 水酸化ナトリウム溶液(100 g/l) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム10.3 gを水に溶かして
100 mlにする(必要な場合に用いる。)。ポリエチレン製瓶などに保存する。
10) 硫酸(1+5) 水の体積5を冷却し,かき混ぜながら,これにJIS K 8951に規定する硫酸の体積1
を徐々に加える。
11) ひ素標準液
11.1) ひ素標準液(As:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
11.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 4.1.1)に準じる。
11.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 4.1.2)に準じる。
11.1.3) JIS K 8044に規定する三酸化二ひ素1.32 gに水酸化ナトリウム溶液(100 g/l)6 ml及び水500 ml
を加えて溶かす。塩酸(ひ素分析用)(1+3)でpH 3〜5に調節した後,水で全量フラスコ1 000
mlに移し,水を標線まで加えて混合する。
11.2) ひ素標準液(As:0.001 mg /ml) ひ素標準液(As:1 mg/ml)25 mlを全量フラスコ250 mlに正
確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。その10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確には
かりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 吸収セル 6.5 b) 1)による(必要な場合に用いる。)。
2) ひ素試験装置 例を図2に示す。
3) 分光光度計 JIS K 0115に規定するもの(必要な場合に用いる。)。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料 3.0 gをビーカー200 mlにとり,硝酸(1+2)40 ml及び硫酸(1+5)40 ml
を加え,加熱板上で硫酸の白煙が発生するまで加熱した後,放冷する。これに,水を加えて溶かし
20 mlにした後,水素化ひ素発生瓶100 mlに入れる。
2) 比較溶液の調製は,ひ素標準液(As:0.001 mg /ml)3.0 mlをとり,硝酸(1+2)40 ml及び硫酸(1
+5)40 mlを加え,加熱板上で硫酸の白煙が発生するまで加熱した後,放冷する。これに,水を加
えて溶かし20 mlにし,水素化ひ素発生瓶100 mlに入れる。
3) 空試験用溶液の調製は,硝酸(1+2)40 ml及び硫酸(1+5)40 mlを加え,加熱板上で硫酸の白煙
が発生するまで加熱した後,放冷する。これに,水を加えて溶かし20 mlにした後,水素化ひ素発
生瓶100 mlに入れる(吸光度を測定する場合に調製する。)。
4) 試料溶液,比較溶液及び空試験用溶液に,塩酸(ひ素分析用)(1+1)5 mlを加え,水で40 mlにす
る。これらに塩化すず(II)溶液(AgDDTC法用)5 mlを加えて振り混ぜ,10分間放置する。次に
亜鉛(ひ素分析用)3 gを加え,直ちに水素化ひ素発生瓶100 mlと導管B(あらかじめ水素化ひ素
吸収管CにAgDDTC・ピリジン溶液5 mlを入れ,導管Bと水素化ひ素吸収管Cとを連結しておく。)
とを連結して約25 ℃の水中で約1時間放置した後,水素化ひ素吸収管Cを離し,ピリジンを5 ml
の標線まで加える。
5) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を水素化ひ素吸収管Cの上方
又は側方から観察して,赤を比較する。
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K 8138:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
なお,必要があれば吸収セルを用い,分光光度計で波長510 nm付近の吸収極大の波長における吸
光度を,空試験用溶液からのAgDDTC・ピリジン溶液を対照液として,JIS K 0115の6.(特定波長
における吸収の測定)によって測定する。
d) 判定 c)によって操作し,次の1)又は2)に適合するとき,“ひ素(As):質量分率1 ppm以下(規格値)”
とする。
1) 試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の赤より濃くない。
2) 試料溶液から得られた液の吸光度は,比較溶液から得られた液の吸光度より大きくない。
単位 mm
A:
B:
C:
D:
E:
F:
G:
水素化ひ素発生瓶100 ml
導管
水素化ひ素吸収管
ゴム栓又はすり合わせ
酢酸鉛(II)溶液(100 g/l)で
湿したガラスウール
40 mlの標線
5 mlの標線
図2−ひ素試験装置の例
6.10 鉄(Fe)
鉄(Fe)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 2)による。
2) 鉄標準液
2.1) 鉄標準液(Fe:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
2.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 4.1.1)に準じる。
2.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 4.1.2)に準じる。
2.1.3) JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,
硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保
存する。
2.2) 鉄標準液(Fe:0.01 mg /ml) 鉄標準液(Fe:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確に
はかりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保
存する。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
フレーム原子吸光分析装置 6.6 b)による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
16
K 8138:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
1) 試料溶液の調製は,全量フラスコ100 mlに6.6 c) 1)のS液20 ml(試料量1.0 g)をとり,水を標線
まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,6.6 c) 1)のS液20 mlを全量フラスコ100 mlにとり,鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml)
5.0 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,測定波長248.3 nm付近で吸光度
が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれフレーム中に噴霧し,鉄の吸光度を測定し,
X液の指示値(n1)及びY液の指示値(n2)を読み取る。
4) 測定結果は,X液の指示値n1と,Y液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1とを比較する。n1
は,n2−n1より大きくない。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“鉄(Fe):質量分率0.005 %以下(規格値)”とする。
n1は,n2−n1より大きくない。
注記 鉄(Fe)の含有率(質量分率 %)は,6.6 d)の注記に準じて求めることができる。
7
容器
容器は,遮光した気密容器とする。
8
貯蔵方法
製品は,光を遮り保存する。
9
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称 “塩化銅(I)”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造年月又はその略号
i)
製造業者名又はその略号
10 取扱い上の注意事項
塩化銅(I)は有害なので,粉じんの吸入,粘膜及び皮膚に付着しないようにする。