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目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 2
6.1 一般事項 ······················································································································ 2
6.2 純度(HAuCl4・4H2O) ···································································································· 2
6.3 エタノール・ジエチルエーテル溶状··················································································· 3
6.4 硝酸塩(NO3) ·············································································································· 4
6.5 しゅう酸で沈殿しない物質(硫酸塩)················································································ 4
7 容器······························································································································· 5
8 表示······························································································································· 5
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(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人
日本試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を
改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本産業規格で
ある。これによって,JIS K 8127:1994は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
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テトラクロリド金(III)酸四水和物(試薬)
Hydrogen tetrachlorideaurate (III) tetrahydrate (Reagent)
HAuCl4・4H2O FW:411.85
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適用範囲
この規格は,試薬として用いるテトラクロリド金(III)酸四水和物について規定する。
警告1 テトラクロリド金(III)酸四水和物は劇物なので,粉じんの吸入,並びに粘膜及び皮膚への
付着を避ける。
警告2 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とす
る。この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするもので
はない。この規格の利用者は,安全データシート(SDS)などを参考にして,各自の責任に
おいて安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。
注記 別名:三塩化金(III)四水和物,塩化金(III)四水和物,テトラクロロ金(III)酸四水和物
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS H 6201 化学分析用白金るつぼ
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8103 ジエチルエーテル(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8519 しゅう酸二水和物(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8586 スルファニル酸(試薬)
JIS K 8832 ブルシンn水和物(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)
JIS R 1301 化学分析用磁器るつぼ
JIS Z 0701 包装用シリカゲル乾燥剤
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種類
種類は,特級とする。
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性質
4.1
性状
テトラクロリド金(III)酸四水和物は,金から赤みの黄の結晶又は固塊で,潮解性がある。水及びエタ
ノール(99.5)に極めて溶けやすく,ジエチルエーテルにやや溶けやすい。光を当てると,表面に紫色の
コロイド金が析出する。
4.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料0.5 gに水10 mLを加えて溶かす(A液)。A液5 mLに硫酸鉄(II)溶液(100 g/L)5 mLを加え
て加熱すると,黄褐色の沈殿が生じる。
b) A液5 mLに硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加えると,白い沈殿が生じる。
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品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(HAuCl4・4H2O)
質量分率 %
99.0以上
6.2
エタノール・ジエチルエーテル溶状
−
試験適合
6.3
硝酸塩(NO3)
質量分率 %
0.1以下
6.4
しゅう酸で沈殿しない物質(硫酸塩) 質量分率 %
0.2以下
6.5
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(HAuCl4・4H2O)
純度(HAuCl4・4H2O)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
・ 熱しゅう酸溶液 JIS K 8519に規定するしゅう酸二水和物2.0 gに熱水20 mLを加えて溶かしたも
の。
b) 装置及び器具 主な装置及び器具は,次による。
1) 磁器るつぼ JIS R 1301に規定するもの。
2) ろ紙 JIS P 3801に規定する5種Cのもの。
3) デシケーター 乾燥剤としてJIS Z 0701に規定するシリカゲル(A形1種)を入れたもの。
4) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
5) 電気炉 600 ℃±50 ℃に調節できるもの。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料0.5 gをビーカー100 mLなどに0.1 mgの桁まではかりとり,熱しゅう酸溶液20 mLを加えてよ
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く振り混ぜ,液の色が黄から無色になるまで放置する。
2) 沸騰水浴上で約10 mLになるまで濃縮し,ろ紙を用いてろ過する。ろ液はビーカー100 mLなどに受
け,沈殿を熱水25 mLで2回洗浄し,洗液をろ液に合わせる(ろ液及び洗液を合わせたものは,6.5
の試験に用いる。)。
3) あらかじめ恒量とした磁器るつぼ(W0 g)に沈殿をろ紙ごと移し,熱板(ホットプレート)上で沈
殿が跳ねないように注意して乾燥させ,電気炉に移し,600 ℃±50 ℃で強熱する。
4) 電気炉から取り出した磁器るつぼを速やかにデシケーターに入れる。
なお,強熱後の磁器るつぼをデシケーターに入れるとデシケーター内部の空気が膨張し,デシケ
ーターの蓋が落下しやすいため,蓋をずらして空気を抜くとよい。
5) デシケーター内で放冷後,磁器るつぼを取り出し,0.1 mgの桁まで質量をはかる。
6) 恒量となるまで強熱を繰り返し,デシケーター内で放冷後,磁器るつぼを取り出し,0.1 mgの桁ま
で質量をはかる。(W1 g)。
d) 計算 純度(HAuCl4・4H2O)は,次の式によって算出する。
(
)
100
96
090
.2
0
1
×
×
−
=
m
W
W
A
ここに,
A: 純度(HAuCl4・4H2O)(質量分率 %)
m: はかりとった試料の質量(g)
2.090 96: 残分Auの質量をHAuCl4・4H2Oの質量に換算する係数
6.3
エタノール・ジエチルエーテル溶状
エタノール・ジエチルエーテル溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) エタノール・ジエチルエーテル混液 JIS K 8102に規定するエタノール(95)10 mLとJIS K 8103
に規定するジエチルエーテル10 mLとを混ぜたもの。
2) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合したもの。
3) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,更に水
を加えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。
4) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“ほとんど澄明”を用いる。
ほとんど澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.5 mLを共通すり合わせ平底
試験管[c)参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,更に
水を加えて20 mLとし,振り混ぜてから15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせ平底試験管 容量50 mL,直径約24 mmで,目盛のあるもの。
d) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料0.5 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,エタノール・ジエチルエ
ーテル混液20 mLを加えて溶かす。
2) 試料を溶かした直後に,試料溶液の濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の
有無を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。
e) 判定 次の1)及び2)に適合するとき,“エタノール・ジエチルエーテル溶状:試験適合(規格値)”と
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する。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めない。
6.4
硝酸塩(NO3)
硝酸塩(NO3)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。
2) ブルシン溶液 JIS K 8832に規定するブルシンn水和物1 g及びJIS K 8586に規定するスルファニ
ル酸0.1 gをはかりとり,塩酸(2+1)5 mL及び水を加えて溶かし,更に水を加えて100 mLにし
たもの。
なお,塩酸(2+1)の調製方法は,JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1と
を混合する。
3) 硝酸塩標準液(NO3:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
2) 吸収セル 光路長が10 mmのもの。
3) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
4) 分光光度計 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料0.5 gを全量フラスコ50 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,更に水を
標線まで加えて混合する(B液)。B液10 mL(試料量0.10 g)を共通すり合わせ平底試験管50 mL
にとる。
2) 比較溶液の調製は,B液5 mL(試料量0.05 g)及び硝酸塩標準液(NO3:0.01 mg/mL)5 mLを共通
すり合わせ平底試験管50 mLにとる。
3) 空試験溶液の調製は,水10 mLを共通すり合わせ平底試験管50 mLにとる(空試験溶液は,吸光度
を測定する場合に調製する。)。
4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液に,ブルシン溶液0.2 mLを加えて,冷却しながら硫酸10 mL
を徐々に加え,沸騰水浴中で5分間加熱した後,冷却し,水を加えて沈殿を溶かし30 mLにする。
5) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,黄を比較する。
なお,必要があれば吸収セルを用い,波長430 nmにおける吸光度を,空試験溶液を対照液として,
JIS K 0115の6.(特定波長における吸収の測定)によって測定する。
d) 判定 次の1)又は2)に適合するとき,“硝酸塩(NO3):質量分率0.1 %以下(規格値)”とする。
1) 試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の黄より濃くない。
2) 試料溶液から得られた液の吸光度は,比較溶液から得られた液の吸光度より大きくない。
6.5
しゅう酸で沈殿しない物質(硫酸塩)
しゅう酸で沈殿しない物質(硫酸塩)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) 硫酸 6.4 a) 1)による。
2) 硝酸(1+2) 6.3 a) 2)による。
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b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) ろ紙 6.2 b) 2)による。
2) るつぼ JIS R 1301に規定する磁器るつぼ,これと類似の形状の石英るつぼ,又はJIS H 6201に規
定する白金るつぼ。るつぼの大きさは,試料がその容量の1/3以下になるもの。
3) デシケーター 6.2 b) 3)による。
4) 水浴 6.4 b) 3)による。
5) 電気炉 500 ℃±50 ℃に調節できるもの。
c) 操作 操作は,次による。
1) ビーカー100 mLに入った6.2のろ液及び洗液を沸騰水浴又は熱板(ホットプレート)上で約5 mL
まで濃縮し,るつぼに移し,沸騰水浴上で蒸発乾固する。
2) 熱板(ホットプレート)上で炭化し,るつぼを電気炉に入れ,強熱する。
3) 冷却後,硝酸(1+2)5 mLを加え,沸騰水浴上で15分間温める。
4) 水10 mLを加え,ろ紙でろ過し,ろ紙を温水20 mLで洗い,洗液をろ液に合わせる。
5) ろ液及び洗液をあらかじめ恒量にしたるつぼ(W2 g)に移し,硫酸1滴を加えて,沸騰水浴上で蒸
発乾固する。
6) るつぼを電気炉に入れ,500 ℃±50 ℃で強熱する。
7) るつぼをデシケーター中で冷却し,再び0.1 mgの桁まで質量をはかる。
8) 恒量となるまで強熱を繰り返し,デシケーター内で放冷後,磁器るつぼを取り出し,0.1 mgの桁ま
で質量をはかる。(W3 g)。
d) 計算 しゅう酸で沈殿しない物質(質量分率 %)は,次の式によって算出する。
100
2
3
×
−
=
m
W
W
B
ここに,
B: しゅう酸で沈殿しない物質(質量分率 %)
m: 6.2純度(HAuCl4・4H2O)に用いた試料の質量(g)
W2: 恒量にしたるつぼの質量(g)
W3: 恒量にした残分及びるつぼの質量(g)
e) 判定 得られた含有率が,規格値を満足しているとき,“しゅう酸で沈殿しない物質(硫酸塩):質量
分率0.2 %以下(規格値)”とする。
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容器
容器は,気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) この規格の番号
b) 名称“テトラクロリド金(III)酸四水和物”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
6
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g) 製造番号
h) 製造年月又はその略号
i)
製造業者名又はその略号