K 8114:2016
(1)
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度(AlCl3・6H2O) ······································································································· 3
6.3 水溶状 ························································································································· 4
6.4 pH(50 g/L,25 ℃) ······································································································ 5
6.5 硫酸塩(SO4) ·············································································································· 5
6.6 ナトリウム(Na) ·········································································································· 6
6.7 銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)······················································································ 7
6.8 カルシウム(Ca) ·········································································································· 9
7 容器······························································································································· 9
8 表示······························································································································· 9
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(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8114:2010は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成28年9月21日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 8114:2010によることができる。
また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標
準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
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塩化アルミニウム(III)六水和物(試薬)
Aluminium (III) chloride hexahydrate (Reagent)
AlCl3・6H2O FW:241.43
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる塩化アルミニウム(III)六水和物について規定する。
警告1 塩化アルミニウム(III)六水和物は,刺激性があるので,目,粘膜及び皮膚に付着しないよ
うにする。
警告2 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とす
る。この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするもので
はない。この規格の利用者は,SDS(安全データシート),MSDS(化学物質等安全データシ
ート:JIS Z 7250は,2012年に廃止され,JIS Z 7253に移行。JIS Z 7250:2010に従ってよい
猶予期間は2016年まで)などを参考にして各自の責任において安全及び健康に対する適切な
措置をとらなければならない。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS K 8085 アンモニア水(試薬)
JIS K 8101 エタノール(99.5)(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物 (試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8284 くえん酸水素二アンモニウム(試薬)
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8356 酢酸亜鉛二水和物(試薬)
JIS K 8359 酢酸アンモニウム(試薬)
JIS K 8377 酢酸ブチル(試薬)
2
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JIS K 8490 ジチゾン(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬)
JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8617 炭酸カルシウム(試薬)
JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬)
JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS R 3505 ガラス製体積計
JIS Z 8802 pH測定方法
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
塩化アルミニウム(III)六水和物は,白又はうすい黄の結晶又は結晶性粉末で,水に極めて溶けやすく,
エタノール(99.5)に溶けやすい。
4.2
定性方法
定性反応は,次による。
a) 試料1 gに水20 mLを加えて溶かす(A液)。A液10 mLに硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加えると,白
い沈殿が生じる。
b) A液10 mLに水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)0.5 mLを加えると,白い沈殿が生じ,この沈殿に水酸
化ナトリウム溶液(300 g/L)1 mLを加えると,沈殿が溶ける。これに塩化アンモニウム溶液(100 g/L)
10 mLを加えると,沈殿が再び析出する。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
3
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表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(AlCl3・6H2O)
質量分率 %
98.0以上
6.2
水溶状
試験適合
6.3
pH(50 g/L,25 ℃)
2.2以上
6.4
硫酸塩(SO4)
質量分率 %
0.002以下
6.5
ナトリウム(Na)
質量分率 %
0.05以下
6.6
銅(Cu)
質量分率 ppm
5以下
6.7
カルシウム(Ca)
質量分率 %
0.01以下
6.8
鉛(Pb)
質量分率 ppm
5以下
6.7
鉄(Fe)
質量分率 ppm
5以下
6.7
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法は,次による。
a) 試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
b) 使用するガラス器具は,特に規定がない場合は,JIS R 3503及びJIS R 3505による。
c) 使用する標準液は,計量計測トレーサビリティが確保された標準物質を,使用用途に合致することを
確認し,必要ならば希釈して使用する。このような標準液がない場合,使用用途に合致することを確
認して市販の標準液を用いるか,又は調製したものを用いる。
注記1 計量計測トレーサビリティが確保された標準物質としては,計量標準供給制度[JCSS
(Japan Calibration Service System)]に基づく標準液,国立研究開発法人産業技術総合研究所
計量標準総合センター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST),ドイツ連邦材料試験
研究所(BAM)などが供給する標準物質及びこれらへの計量計測トレーサビリティが確保
された市販の認証標準物質がある。
d) 滴定用溶液は,計量計測トレーサビリティが確保されたものを,使用用途に合致することを確認して
使用する。調製及び標定を行う場合,JIS K 8001の附属書JA(試験用溶液類の調製方法及び滴定用溶
液類の調製及び標定)による。
注記2 ISO/IEC 17025に準拠した方法によって標定された市販の滴定用溶液がある。
6.2
純度(AlCl3・6H2O)
純度(AlCl3・6H2O)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エタノール(99.5) JIS K 8101に規定するもの。
2) 酢酸(1+1) JIS K 8355に規定する酢酸の体積1と水の体積1とを混合する。
3) 酢酸−酢酸アンモニウム溶液 酢酸(1+1)11.4 mLに水80 mLを加え,更にJIS K 8359に規定す
る酢酸アンモニウム7.7 gを加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。
4) ジチゾン溶液 JIS K 8490に規定するジチゾン0.025 gをはかりとり,JIS K 8102に規定するエタノ
ール(95)を加えて溶かし,エタノール(95)を加えて100 mLにする。使用時に調製する。
5) 0.01 mol/L エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(0.01 mol/L EDTA2Na溶液)
(C10H14O8N2Na2・2H2O:3.722 g/L) JIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリ
ウム二水和物を用い,6.1 d) による。
4
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6) 0.01 mol/L酢酸亜鉛溶液[Zn (CH3COO)2・2H2O:2.195 g/L] JIS K 8356に規定する酢酸亜鉛二水
和物及びJIS K 8355に規定する酢酸を用い,6.1 d) による。
b) 操作 操作は,次のとおり行う。
試料0.6 gをビーカー200 mLなどに0.1 mgの桁まではかりとり,水50 mLを加えて溶かし,全量フ
ラスコ250 mLに洗い入れ,水を標線まで加えて混合する(S液)。S液25 mL(試料量0.06 g)及び
0.01 mol/L EDTA2Na溶液40 mLをコニカルビーカー250 mLなどに正確にとり,時計皿を載せて静か
に煮沸する。
冷却後,酢酸−酢酸アンモニウム溶液10 mL,エタノール(99.5)85 mL及びジチゾン溶液3 mLを
加え,0.01 mol/L 酢酸亜鉛溶液で滴定する。終点は,液の色が灰褐色から赤みの灰褐色に変わった点
とする。
別に,同一条件で空試験を行う。
c) 計算 純度(AlCl3・6H2O)は,次の式によって計算する。
(
)
100
250
25
3
414
002
.0
1
2
×
×
×
−
×
=
m
f
V
V
A
ここに,
A: 純度(AlCl3・6H2O)(質量分率 %)
V2: 空試験に要した0.01 mol/L 酢酸亜鉛溶液の体積(mL)
V1: 滴定に要した0.01 mol/L 酢酸亜鉛溶液の体積(mL)
f: 0.01 mol/L 酢酸亜鉛溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.002 414 3: 0.01 mol/L EDTA2Na溶液1 mLに相当するAlCl3・6H2O
の質量を示す換算係数(g/mL)
6.3
水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合する。
2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加
えて100 mLにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 6.1 c) による。
なお,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)を調製する場合,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム
1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準“澄明”は,次による。
塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.2 mLを共通すり合わせ平底試験管[c) 参照]にとり,水10 mL,
硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,更に水を加えて20 mLとし,振り混ぜて
から15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 濁り,ごみなどの有無が確認しやすい大きさで,目盛のあるもの。例
として,容量50 mL,直径約23 mmのもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
5
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1) 試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし,水で20 mLにする。
2) 試料を溶かした直後に,濁りの程度をb) と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を共
通すり合わせ平底試験管の上方又は側面から観察する。
e) 判定 d) によって操作し,次の1) 及び2) に適合するとき,“水溶状:試験適合”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b) の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めない。
6.4
pH(50 g/L,25 ℃)
pH(50 g/L,25 ℃)の試験方法は,次による。
a) ガス及び試験用溶液類 ガス及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 窒素 JIS K 1107に規定するもの。
2) 水酸化カリウム溶液(250 g/L)(必要な場合に用いる。) JIS K 8574に規定する水酸化カリウム29.4
gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保
存する。
3) 二酸化炭素を除いた水 JIS K 8001の5.8 c)(二酸化炭素を除いた水)による。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
1) 恒温水槽 (25±0.5)℃に調節できるもの。
2) pH計 JIS Z 8802に規定する形式II以上の性能のもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料5.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,二酸化炭素を除いた水を加え
て溶かし,水を標線まで加えて混合する。この液を適切な容量のビーカーにとる。
2) pHの測定は,JIS Z 8802の8.2(測定方法)による。この場合,液温(25.0±0.5)℃の恒温水槽に
つけた試料溶液の液面上に窒素を流し,かき混ぜながら測定する。
6.5
硫酸塩(SO4)
硫酸塩(SO4)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) アンモニア水(1+8) JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率 28.0 %〜30.0 %)の体積1
と水の体積8とを混合する。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。
3) 塩化バリウム溶液(100 g/L) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gをはかりとり,
水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。
4) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合する。
5) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL) 6.1 c) による。
なお,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)を調製する場合,JIS K 8962に規定する硫酸カリウム
1.81 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
2) ろ紙(5種C) JIS P 3801に規定するもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料3.0 gをはかりとり,水40 mLを加えて溶かし,アンモニア水(1+8)90 mL
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の中にかき混ぜながら徐々に加える。アンモニア臭がなくなるまで煮沸した後,冷却する。これに,
水を加えて150 mLにし,ろ紙(5種C)でろ過し,ろ液100 mL(試料量2.0 g)を約20 mLになる
まで濃縮する。必要ならばろ過し,水洗して,ろ液及び洗液を合わせて共通すり合わせ平底試験管
にとり,塩酸(2+1)0.3 mL及び水を加えて25 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,アンモニア水(1+8)60 mLを水浴上で加熱して蒸発乾固する。残分を水20 mL
で共通すり合わせ平底試験管に移し,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)4.0 mL,塩酸(2+1)0.3 mL
及び水を加えて25 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,エタノール(95)3 mL及び塩化バリウム溶液(100 g/L)2 mLを加えて
振り混ぜた後,1時間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側面から観察し
て,濁りを比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“硫酸塩(SO4):質量分率0.002 %以下(規格値)”と
する。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.6
ナトリウム(Na)
ナトリウム(Na)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) 6.5 a) 4) による。
2) ナトリウム標準液(Na:0.1 mg/mL) 6.1 c) による。
なお,ナトリウム標準液(Na:0.1 mg/mL)を調製する場合,JIS K 8150に規定する塩化ナトリ
ウム2.54 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合す
る。この液100 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエ
チレンなどの樹脂製瓶に保存する。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料0.10 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,塩酸(2+1)1 mL及び水を
加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,試料0.10 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,ナトリウム標準液(Na:0.1
mg/mL)0.5 mL,塩酸(2+1)1 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,吸収波長589.0 nm付近で吸光度
が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれフレーム中に噴霧し,ナトリウムの吸光度
を測定し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読み取る。
4) 測定結果は,X液の指示値n1とY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1とを比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“ナトリウム(Na):質量分率0.05 %以下(規格値)”
とする。
n1は,n2−n1より大きくない。
注記 ナトリウムの含有率(質量分率 %)は,次の式によって求めることができる。
7
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100
000
1
1
2
1
×
×
−
×
=m
n
n
n
B
A
ここに,
A: ナトリウムの含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中のナトリウムの質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
6.7
銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)
銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 酢酸ブチル JIS K 8377に規定するもの。
2) アンモニア水(2+3)(必要な場合に用いる。) JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0 %
〜30.0 %)の体積2と水の体積3とを混合する。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。
3) 塩酸(2+1)(必要な場合に用いる。) 6.5 a) 4) による。
4) くえん酸水素二アンモニウム溶液(100 g/L) JIS K 8284に規定するくえん酸水素二アンモニウム
10 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。
5) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1) による。
6) 1-ピロリジンカルボジチオ酸アンモニウム溶液(10 g/L)[APDC溶液(10 g/L)] 1-ピロリジンカ
ルボジチオ酸アンモニウム(原子吸光用)1.0 gをはかりとり,水100 mLを加えて溶かす。
7) 銅標準液(Cu:0.01 mg/mL) 6.1 c) による。
なお,銅標準液(Cu:0.01 mg/mL)を調製する場合,JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水和
物3.93 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水を
標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25 mL
を加え,更に水を標線まで加えて混合する。
8) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) 6.1 c) による。
なお,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)を調製する場合,JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 gを
全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで加
えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25 mLを加え,
更に水を標線まで加えて混合する。
9) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 6.1 c) による。
なお,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)を調製する場合,JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄
(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶
かし,水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。この液10 mLを全量フラスコ1 000
mLに正確にとり,硝酸(1+2)25 mLを加え,更に水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶
に保存する。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
1) pH計 6.4) b) 2) による。
2) フレーム原子吸光分析装置 6.6 b) による。
c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を,表2に示す。
8
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表2−分析種の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
銅(Cu)
324.8
鉛(Pb)
283.3
鉄(Fe)
248.3
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料4.0 gをビーカー200 mLなどにはかりとり,塩酸(2+1)l mL及び水を加
えて溶かし,水を加えて80 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,試料4.0 gをビーカー200 mLなどにはかりとり,銅標準液(Cu:0.01 mg/mL)
2.0 mL,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)2.0 mL,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)2.0 mL,塩酸(2+1)1
mL及び水を加えて溶かし,水を加えて80 mLにする。
3) 空試験用溶液の調製は,塩酸(2+1)1 mL及び水を加えて5 mLにする。
4) 試料溶液及び比較溶液に,くえん酸水素二アンモニウム溶液(100 g/L)2 mLを加え,pH計を用い
て,塩酸(2+1)又はアンモニア水(2+3)でpH約3.0に調節し,さらに,APDC溶液(10 g/L)
5 mLを直ちに加え,水を加えて100 mLにする。
5) 試料溶液及び比較溶液それぞれを,分液漏斗200 mLに入れ,酢酸ブチル20 mLを加えた後,1分間
激しく振り混ぜ,二層に分かれるまで放置する。この上層(酢酸ブチル相)を分取する。試料溶液
からの酢酸ブチル相をX液とし,下層(水相)は保存する。比較溶液からの酢酸ブチル相をY液と
し,下層(水相)は捨てる。
6) 試料溶液からの水相を分液漏斗200 mLにとり,酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激しく振り混ぜ,
二層に分かれるまで放置して,下層(水相)を分取する。この場合の上層(酢酸ブチル相)は捨て
る。再び,水相に酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激しく振り混ぜ,二層に分かれるまで放置して
下層(水相)を分離し,上層(酢酸ブチル相)は捨てる。ここで得た水相に3) の空試験用溶液を
加え,更にくえん酸水素二アンモニウム溶液(100 g/L)2 mLを加えた後,pH計を用いて,塩酸(2
+1)又はアンモニア水(2+3)でpH約3.0に調節する。更に,APDC溶液(10 g/L)5 mLを直ち
に加え,酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激しく振り混ぜ,二層に分かれるまで放置後,上層(酢
酸ブチル相)を分離し,Z液とする。
7) フレーム原子吸光分析装置は,あらかじめ酢酸ブチルを噴霧してフレームの状態を最適にしておき,
Y液をフレーム中に噴霧し,表2に示す測定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液,
Y液及びZ液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸光度を測定し,X液の指示値n1,Y液の
指示値n2及びZ液の指示値n3を読み取る。
8) 測定結果は,X液の指示値からZ液の指示値を引いたn1−n3をY液の指示値からX液の指示値を
引いたn2−n1と比較する。
e) 判定 d) によって操作し,次に適合するとき,“銅(Cu):質量分率5 ppm以下(規格値),鉛(Pb):
質量分率5 ppm以下(規格値),鉄(Fe):質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。
n1−n3は,n2−n1より大きくない。
注記 分析種の含有率(質量分率 ppm)は,次の式によって求めることができる。
9
K 8114:2016
6
1
2
3
1
10
000
1
×
×
−
−
×
=m
n
n
n
n
B
A
ここに,
A: 分析種の含有率(質量分率 ppm)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
6.8
カルシウム(Ca)
カルシウム(Ca)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) 6.5 a) 4) による。
2) カルシウム標準液(Ca:0.01 mg/mL) 6.1 c) による。
なお,カルシウム標準液(Ca:0.01 mg/mL)を調製する場合,JIS K 8617に規定する炭酸カルシ
ウム2.50 gをはかりとり,水50 mL及び塩酸(2+1)15 mLを加え,沸騰しない程度に加熱して溶
かし,更に二酸化炭素を除き,冷却する。これを全量フラスコ1 000 mLに移し,水を標線まで加え
て混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,塩酸(2+1)15 mLを加え,更
に水を標線まで加えて混合する。カルシウム系の可塑剤を含まないポリエチレンなどの樹脂製瓶に
保存する。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
フレーム原子吸光分析装置 6.6 b) による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,塩酸(2+1)1 mL及び水を加
えて溶かし,水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,試料2.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,カルシウム標準液(Ca:0.01
mg/mL)20 mL,塩酸(2+1)1 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,測定波長422.7 nm付近で吸光度
が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれフレーム中に噴霧し,カルシウムの吸光度
を測定し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読み取る。
4) 測定結果は,X液の指示値n1を,Y液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1と比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“カルシウム(Ca):質量分率0.01 %以下(規格値)”
とする。
n1は,n2−n1より大きくない。
注記 カルシウムの含有率(質量分率 %)は,6.6 d) の注記に準じて求めることができる。
7
容器
容器は,気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本産業規格番号
b) 名称“塩化アルミニウム(III)六水和物”及び“試薬”の文字
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c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号