K 8073:2017
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 種類······························································································································· 3
5 性質······························································································································· 3
5.1 性状 ···························································································································· 3
5.2 定性方法 ······················································································································ 3
6 品質······························································································································· 4
7 試験方法························································································································· 4
7.1 一般事項 ······················································································································ 4
7.2 純度(C7H6O2) ············································································································· 5
7.2.1 容量滴定法 ················································································································· 5
7.2.2 qNMR法···················································································································· 6
7.3 アンモニア水溶状 ·········································································································· 9
7.4 エタノール溶状 ············································································································ 10
7.5 融点 ··························································································································· 10
7.6 強熱残分(硫酸塩) ······································································································ 10
7.7 塩素化合物(Clとして) ································································································ 10
7.8 硫黄化合物(SO4として) ······························································································ 11
7.9 重金属(Pbとして) ····································································································· 12
7.10 鉄(Fe) ···················································································································· 13
7.11 過マンガン酸還元性物質(Oとして) ············································································· 14
8 容器······························································································································ 14
9 表示······························································································································ 14
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8073:2010は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成29年8月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 8073:2010によることができる。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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安息香酸(試薬)
Benzoic acid
C7H6O2 FW:122.12
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる安息香酸について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS H 6202 化学分析用白金皿
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0064 化学製品の融点及び溶融範囲測定方法
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JIS K 0117 赤外分光分析方法通則
JIS K 0215 分析化学用語(分析機器部門)
JIS K 0970 ピストン式ピペット
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8034 アセトン(試薬)
JIS K 8085 アンモニア水(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8201 塩化ヒドロキシルアンモニウム(試薬)
JIS K 8202 塩化1,10-フェナントロリニウム一水和物(試薬)
JIS K 8230 過酸化水素(試薬)
JIS K 8247 過マンガン酸カリウム(試薬)
JIS K 8295 グリセリン(試薬)
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8359 酢酸アンモニウム(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬)
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JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8799 フェノールフタレイン(試薬)
JIS K 8949 硫化ナトリウム九水和物(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS R 3505 ガラス製体積計
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語,定義,記号及び略語は,JIS K 0050及びJIS K 0215によるほか,次による。
3.1
定量核磁気共鳴分析法(qNMR法)
核磁気共鳴現象を利用して,標準物質と分析種の分子中のプロトン(1H)などの信号面積とを比較する
ことによって,化学物質の純度,不純物の含有率を定量する分析法。
3.2
プロトン(1H)共鳴周波数
磁場中に置かれた水素原子核[プロトン(1H)]の磁気モーメントが,外部磁場の周りを歳差運動する
共鳴周波数。
3.3
13Cデカップリング
化学結合する1Hと13Cのスピン-スピン結合を取り除き,信号の分裂を防ぐ手法。
3.4
FID(自由誘導減衰)
NMR測定によって得られる時間軸データ。
3.5
プローブ
試料にパルスを照射したり,試料から放出されるFIDを検出する装置。
3.6
試料管スピン(スピニング)
プローブ内部に設置された試料管を特定の回転速度で回転させる操作。
3.7
ダミースキャン
データの取得を開始する前に行う疑似積算。
3.8
積算回数
FIDを取得した回数。
3
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3.9
取り込み時間
FIDを取り込む時間。
3.10
繰返し待ち時間
FIDの取り込み後,次のパルスを照射するまでの時間。
3.11
観測スペクトル幅
フーリエ変換後のスペクトルの幅。
3.12
パルス角
磁化がパルスを与えることによって励起される角度。
3.13
信号面積
スペクトル上に観測される核磁気共鳴信号の面積。
3.14
13Cサテライト信号
水素原子核(1H)信号の一部(約1 %)が炭素原子核(13C)とのJカップリングで2本に分裂した信号
を意味する。信号比率は炭素核(13C)の同位体比である。
4
種類
種類は,特級とする。
5
性質
5.1
性状
安息香酸は,白い結晶又は結晶性粉末で,エタノール(99.5)及びジエチルエーテルに溶けやすく,水
に溶けにくい。加熱すると溶融し,揮散する。
5.2
定性方法
試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117に従って測定すると,波数3 069 cm-1,2 833 cm-1,2 673 cm-1,
1 686 cm-1,1 423 cm-1,1 326 cm-1,1 291 cm-1,933 cm-1及び707 cm-1付近に主な吸収ピークを認める。こ
の場合,試料調製はJIS K 0117の5.3(粉体)のa)(錠剤法)による。錠剤の調製に臭化カリウムを用い
たときの赤外吸収スペクトルの例を,図1に示す。
4
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図1−赤外吸収スペクトルの例
6
品質
品質は,箇条7によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(C7H6O2)
(容量滴定法)
質量分率 %
99.5 以上
7.2
(qNMR法)
アンモニア水溶状
−
試験適合
7.3
エタノール溶状
−
試験適合
7.4
融点
℃
121〜124
7.5
強熱残分(硫酸塩)
質量分率 %
0.005 以下
7.6
塩素化合物(Clとして)
質量分率 %
0.005 以下
7.7
硫黄化合物(SO4として)
質量分率 %
0.003 以下
7.8
重金属(Pbとして)
質量分率 ppm
5 以下
7.9
鉄(Fe)
質量分率 ppm
5 以下
7.10
過マンガン酸還元性物質
(Oとして)
質量分率 %
0.01 以下
7.11
7
試験方法
7.1
一般事項
一般事項は,次による。
a) 試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
b) 使用するガラス器具は,特に規定がない場合は,JIS R 3503及びJIS R 3505による。
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c) 使用する標準液は,計量計測トレーサビリティが確保された標準液を,使用用途に合致することを確
認し,必要ならば希釈して使用する。このような標準液がない場合,使用用途に合致することを確認
して市販の標準液を用いるか,又は調製したものを用いる。
注記1 計量計測トレーサビリティが確保された標準液としては,計量標準供給制度[JCSS(Japan
Calibration Service System)]に基づく標準液,国立研究開発法人産業技術総合研究所計量標
準総合センター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST),ドイツ連邦材料試験研究所
(BAM)などが供給する標準液及びこれらへの計量計測トレーサビリティが確保された市
販の認証標準液がある。
d) 滴定用溶液の調製及び標定は,JIS K 8001の附属書JA(試験用溶液類の調製方法及び滴定用溶液類の
調製及び標定)による。市販品を用いる場合は,使用用途に合致することを確認する。
注記2 計量計測トレーサビリティが確保された滴定用溶液としては,ISO/IEC 17025に基づく認
定試験所が認定の範囲で値付けした市販の滴定用溶液がある。
7.2
純度(C7H6O2)
純度(C7H6O2)の試験方法は,7.2.1又は7.2.2のいずれかによる。
7.2.1
容量滴定法
容量滴定法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) 二酸化炭素を除いた水 JIS K 8001の5.8 c)(二酸化炭素を除いた水)による。
3) フェノールフタレイン溶液 JIS K 8799に規定するフェノールフタレイン1.0 gをはかりとり,JIS
K 8102に規定するエタノール(95)90 mLを加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。
4) 0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:4.000 g/L) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウムを用
い,7.1 d)による。
b) 操作 操作は,次のとおり行う。
試料0.5 gをコニカルビーカー200 mLなどに0.1 mgの桁まではかりとり,エタノール(95)25 mL
を加えて溶かした後,二酸化炭素を除いた水25 mL及び指示薬としてフェノールフタレイン溶液数滴
を加え,0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液で滴定する。終点は,液のうすい紅色が30秒間持続する点
とする。
または,JIS K 0113の5.(電位差滴定方法)によって,指示電極にガラス電極,参照電極に銀−塩
化銀電極を用いて,又は同等の性能をもつ複合電極などを用いて0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液で
滴定する。終点は変曲点とする。
別に,同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
c) 計算 純度(C7H6O2)は,次の式によって算出する。
(
)
100
212
012
.0
2
1
×
×
−
×
=
m
f
V
V
A
ここに,
A: 純度(C7H6O2)(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液の体積
(mL)
6
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V2: 空試験に要した0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液の体積
(mL)
f: 0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.012 212: 0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液1 mLに相当するC7H6O2
の質量を示す換算係数(g/mL)
7.2.2
qNMR法
7.2.2.1
安息香酸の信号面積の和を用いる場合
安息香酸の信号面積の和を用いる場合は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) アセトン-d6 純度(GC)質量分率99.5 %以上及び重水素化率99.9 %以上の無色透明な揮発性の液
体。
2) 1,4-ビス(トリメチルシリル)ベンゼン-d4(1,4-BTMSB-d4) 国際単位系にトレーサブルな標準物質
であり,かつ重水素化率が99.0 %以上でqNMR法に使用できるもの。
注記 認証標準物質として供給されているものがある。
3) エチルベンゼン(必要な場合に用いる。) 純度(GC)質量分率99.0 %以上のもの。
4) 1,2-ジクロロベンゼン(必要な場合に用いる。) 純度(GC)質量分率98.0 %以上のもの。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) NMR試料管 外径5 mm,全長180 mm〜200 mmで,その材質がほうけい酸ガラス製などのもの。
なお,試料管のキャップの材質は樹脂製のもの。
注記 NMR試料管の真円度が高く,肉厚が薄くて均一なものほど,感度が良好となる。
2) 試料採取用容器 材質がアルミニウム製などのるつぼの形状の容器。
3) ピストン式ピペット JIS K 0970に規定するもので,アセトン-d6に耐性のあるチップが装着できる
もの。
4) バイアル瓶 容量5 mL〜30 mLのもの。
5) 精密天びん 最小表示値が0.000 1 mg〜0.01 mgのもの。
6) 核磁気共鳴装置(NMR装置) 磁場を発生させるための超伝導磁石,パルスの発信及び検出したFID
を増幅・検波するNMR分光計,パルスの照射及びFIDの検出を行うプローブ,データ処理のため
のコンピュータなどで構成される。例を,図2に示す。
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超伝導磁石
プ
ロ
ー
ブ
デジタル検波器
ラジオ波受信装置
(NMR分光計)
ラジオ波発信装置
パルスプログラマ
コンピュータ
フーリエ変換
ラジオ波
FID
(自由誘導減衰)
NMRスペクトル
図2−核磁気共鳴装置の概要
c) 分析条件 分析条件は,次による1)。
なお,別の分析条件でも同等の試験結果が得られることを確認した場合には,その条件を用いてもよい。
1) 測定対象とする核 プロトン(1H)
2) プロトン(1H)共鳴周波数 400 MHz以上
3) 取り込み時間 4秒以上
4) 観測スペクトル幅 −5 ppm〜15 ppmを含む20 ppm以上
5) スピニング OFF
6) パルス角 90°
7)
13Cデカップリング なし
8) 繰返し待ち時間 60秒以上
9) 積算回数 32回以上
10) ダミースキャン回数 2回以上
11) 試料温度 20 ℃〜30 ℃の一定温度
注1) NMR装置は,調製した試料溶液を用いて,システム適合性を測定する前に確認する。
・ 1,4-BTMSB-d4の示す信号をδ0 ppmとすると,δ7.24 ppm〜δ7.80 ppm付近に安息香酸
の信号があり,明らかな不純物の信号が重なっていないことを確認する。
・ δ7.24 ppm〜δ7.80 ppm付近の各信号のSN比は1 000以上である。
・ 6回の繰り返し測定で得たδ7.24 ppm〜δ7.80 ppm付近の信号面積と1,4-BTMSB-d4示
す信号面積との比の相対標準偏差は,0.5 %以下である。
d) 試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次による。
1) 採取室内環境が,常温,湿度0 %〜80 %であることを確認する。
2) 試料及び標準物質(1,4-BTMSB-d4)はそれぞれ,表2に従って,独立に3個はかりとる。
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表2−試料,標準物質及びアセトン-d6の採取量の例
天びんの最小表示値(mg)
試料(mg)
標準物質(mg)
アセトン-d6(mL)
0.000 1
12
2
2
0.001
36
6
6
0.01
156
26
26
3) 試料及び標準物質を試料採取用容器を使ってバイアル瓶にはかりとり,ピストン式ピペットでアセ
トン-d6を加えて溶かす。
4) 試料溶液約0.6 mLをピストン式ピペットでNMR試料管(高さ40 mm)に入れる。
e) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) NMR装置は,機器の取扱説明書などに従って,測定に支障のない状態にする。
2) NMR装置は,エチルベンゼン又は1,2-ジクロロベンゼンのNMR測定用重水素化溶媒溶液などを用
いて,装置の感度及び分解能を最適条件に調整する。
注記 市販品として封管された質量分率0.1 %エチルベンゼン重クロロホルム溶液が供給されて
いる。
3) 試料溶液の入ったNMR試料管をNMR装置に入れ,プロトン(1H)NMRスペクトルを測定する。
4) 試料溶液ごとに非連続2)に3回測定し,信号面積を求める。
なお,積分区間は,安息香酸,1,4-BTMSB-d4ともに最も外側の13Cサテライト信号を含む区間に
設定する。
注2) 例として,調製試料1→調製試料2→調製試料3→調製試料1→調製試料2→調製試料3
→調製試料1→調製試料2→調製試料3の順に測定する。
f)
計算 計算は,次のとおり行う。
なお,3試料溶液を3回測定したデータの平均値を純度とする。
A
m
m
S
S
P
×
×
×
×
226.50
122.12
5
18
sam
CRM
CRM
sam
=
ここに,
P: 純度の計算値(質量分率 %)
Ssam: 安息香酸の信号面積
SCRM: 1,4-BTMSB-d4の信号面積
5: 安息香酸の示すプロトン(1H)の数
18: 1,4-BTMSB-d4の示すプロトン(1H)の数
msam: はかりとった試料の質量(mg)
mCRM: はかりとった標準物質の質量(mg)
122.12: 安息香酸のモル質量(g/mol)
226.50: 1,4-BTMSB-d4のモル質量(g/mol)
A: 標準物質の純度(質量分率 %)
7.2.2.2
安息香酸の信号中の一つの信号の信号面積を用いる場合
安息香酸の信号中の一つの信号の信号面積を用いる場合は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 7.2.2.1 a)による。
b) 器具及び装置 7.2.2.1 b)による。
c) 分析条件 分析条件は,13Cデカップリングありとし,このパラメーター以外は7.2.2.1 c)による3)。
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注3) NMR装置は,調製した試料溶液を用いて,信号の確認,システム適合性を測定する前に確認
する。
・ 1,4-BTMSB-d4の示す信号をδ0 ppmとすると,δ7.80 ppm付近に安息香酸の多重線があ
り,明らかな不純物の信号が重なっていないことを確認する。
・ δ7.80 ppm付近の多重線のSN比は2 000以上である。
・ 6回の繰返し測定で得たδ7.80 ppm付近の多重線の信号面積と1,4-BTMSB-d4示す信号
面積の比の相対標準偏差は,0.5 %以下である。
d) 試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次による。
1) 採取室内環境が,温度 常温,湿度0 %〜80 %であることを確認する。
2) 試料及び標準物質(1,4-BTMSB-d4)はそれぞれ,表3に従って,独立に3個はかりとる。
表3−試料,標準物質,アセトン-d6の採取量の例
天びんの最小表示値(mg)
試料(mg)
標準物質(mg)
アセトン-d6(mL)
0.000 1
12
2
2
0.001
36
6
6
0.01
156
26
26
3) 試料及び標準物質を試料採取用容器を使ってバイアル瓶にはかりとり,ピストン式ピペットでアセ
トン-d6を加えて溶かす。
4) 試料溶液約0.6 mLをピストン式ピペットでNMR試料管(高さ40 mm)に入れる。
e) 操作 7.2.2.1 e)による。
f)
計算 7.2.2.1 f)による。
7.3
アンモニア水溶状
アンモニア水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) アンモニア水(2+3) JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0 %〜30.0 %)の体積2と
水の体積3とを混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する。
2) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合する。
3) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加
えて100 mLにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
4) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 7.1 c)による。
なお,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)を調製する場合,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム
1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“澄明”を用いる。
澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.2 mLを共通すり合わせ平底試験管[7.3
c)参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,更に水を加え
て20 mLとし,振り混ぜてから15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
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共通すり合わせ平底試験管 例として,容量50 mL,直径約23 mmで目盛のあるもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,アンモニア水(2+3)を加えて溶かし,アン
モニア水(2+3)を加えて20 mLにする。
2) 試料を溶かした直後に,試料溶液の濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の
有無を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。
e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“アンモニア水溶状:試験適合(規格値)”
とする。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。
7.4
エタノール溶状
エタノール溶状の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) 硝酸(1+2) 7.3 a) 2)による。
3) 硝酸銀溶液(20 g/L) 7.3 a) 3)による。
4) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 7.3 a) 4)による。
b) 濁りの程度の適合限度標準 7.3 b)による。
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 7.3 c)による。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,エタノール(95)を加えて溶かし,エタノー
ル(95)を加えて20 mLにする。
2) 試料を溶かした直後に,試料溶液の濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の
有無を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。
e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“エタノール溶状:試験適合(規格値)”と
する。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。
7.5
融点
融点の試験方法は,JIS K 0064の3.1(目視による方法)又は3.2(光透過量の測定による方法)による。
7.6
強熱残分(硫酸塩)
強熱残分(硫酸塩)の試験方法は,JIS K 0067の4.4.4(4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)による。
この場合,試料10 gをはかりとる。JIS K 8951に規定する硫酸0.5 mLを用い,強熱温度は,600 ℃±50 ℃
とする。強熱残分(硫酸塩)は,0.1 mgの桁まではかる。
7.7
塩素化合物(Clとして)
塩素化合物(Clとして)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 7.3 a) 2)による。
2) 硝酸銀溶液(20 g/L) 7.3 a) 3)による。
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3) 炭酸ナトリウム溶液(100 g/L) JIS K 8625に規定する炭酸ナトリウム10 gをはかりとり,水を加
えて溶かし,水を加えて100 mLにする。
4) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 7.3 a) 4)による。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 共通すり合わせ平底試験管 7.3 c)による。
2) 洗浄ろ紙 JIS P 3801に規定するろ紙(5種Cなど)を硝酸(1+2)50 mLずつで2回洗い,更に
水50 mLずつで2回洗ったもので,その最終洗液20 mLを試験管にとり,硝酸(1+2)1 mL及び
硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加えて15分間放置後に澄明[7.3 b)参照]であることを確認する。必
要であれば,洗浄を繰り返す。
3) 白金皿 JIS H 6202に規定するもの。
4) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
5) 電気炉 600 ℃±50 ℃に調節できるもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを白金皿にはかりとり,炭酸ナトリウム溶液(100 g/L)5 mL及び水
20 mLを加え,塩化物イオンの汚染がない水を用いた沸騰水浴上で加熱して蒸発乾固した後,熱板
(ホットプレート)上に移し,徐々に加熱して炭化させ,放冷する。さらに,電気炉に入れ,徐々
に加熱し600 ℃で強熱した後,放冷する。これに水5 mL及び硝酸(1+2)9 mLを加え,かき混ぜ
て溶かす。洗浄ろ紙(5種C)でろ過し,残分及びろ紙を水で洗い,ろ液と洗液とを合わせ,共通
すり合わせ平底試験管に移し,水を加えて25 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,炭酸ナトリウム溶液(100 g/L)5 mLを白金皿にとり,水20 mLを加え,塩化
物イオンの汚染がない水を用いた沸騰水浴上で加熱して蒸発乾固する。これを電気炉に入れ,徐々
に加熱し600 ℃で強熱した後,放冷する。これに水5 mL及び硝酸(1+2)9 mLを加え,かき混ぜ
て溶かす。これを,共通すり合わせ平底試験管に移し,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)5.0 mLを
加え,水を加えて25 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加えて振り混ぜた後,15分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“塩素化合物(Clとして):質量分率0.005 %以下(規
格値)”とする。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
7.8
硫黄化合物(SO4として)
硫黄化合物(SO4として)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エタノール(95) 7.4 a) 1)による。
2) 過酸化水素 JIS K 8230に規定するもの。
3) 塩化バリウム溶液(100 g/L) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gをはかりとり,
水に溶かし,水を加えて100 mLにする。
4) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合する。
5) 炭酸ナトリウム溶液(100 g/L) 7.7 a) 3)による。
6) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL) 7.1 c)による。
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なお,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)を調製する場合,JIS K 8962に規定する硫酸カリウム
1.81 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 共通すり合わせ平底試験管 7.3 c)による。
2) 白金皿 7.7 b) 3)による。
3) ろ紙(5種C) JIS P 3801に規定するもの。
4) 水浴 7.7 b) 4)による。
5) 電気炉 7.7 b) 5)による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料4.0 gを白金皿にはかりとり,炭酸ナトリウム溶液(100 g/L)5 mL及び水
10 mLを加えて溶かす。
2) 比較溶液の調製は,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)12.0 mLを白金皿にとり,炭酸ナトリウム溶
液(100 g/L)5 mLを加える。
3) 試料溶液及び比較溶液を沸騰水浴上で加熱して蒸発乾固する。これらを,熱板(ホットプレート)
上に移して徐々に加熱して炭化させ,放冷する。水約2 mLを加え,再び沸騰水浴上で加熱して蒸
発乾固し,熱板(ホットプレート)上に移し,徐々に加熱した後,電気炉に入れ600 ℃で強熱し,
放冷する。これらに,水10 mL及び過酸化水素1 mLを加えて数分間煮沸する。塩酸(2+1)5 mL
を加えて沸騰水浴上で加熱して蒸発乾固し,水を加えて溶かし40 mLにする。乾いたろ紙(5種C)
を用いてろ過し,初めのろ液10 mLを捨て,次のろ液20 mLを共通すり合わせ平底試験管にとり,
塩酸(2+1)0.3 mL及び水を加えて25 mLにする。次に,エタノール(95)3 mL及び塩化バリウ
ム溶液(100 g/L)2 mLを加えて振り混ぜた後,30分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“硫黄化合物(SO4として):質量分率0.003 %以下(規
格値)”とする。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
7.9
重金属(Pbとして)
重金属(Pbとして)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) アセトン JIS K 8034に規定するもの。
2) 酢酸(1+15) JIS K 8355に規定する酢酸の体積1と水の体積15とを混合する。
3) 硝酸(1+2) 7.3 a) 2)による。
4) 硫化ナトリウム・グリセリン溶液 JIS K 8295に規定するグリセリン30 mLに水10 mLを加えた溶
液に,JIS K 8949に規定する硫化ナトリウム九水和物5 gを加えて溶かす。放置後,上澄み液を用
いる。冷所に保存し,3か月以内に使用する。
5) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) 7.1 c)による。
なお,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)を調製する場合,JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 gを
全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)1 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで加
えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
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使用時に調製する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 7.3 c)による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料4.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,アセトン25 mLを加えて溶か
し,酢酸(1+15)2 mL及び水を加えて50 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,共通すり合わせ平底試験管に鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)2.0 mL,酢酸(1+15)
2 mL,アセトン25 mL及び水を加えて50 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,硫化ナトリウム・グリセリン溶液0.05 mLを加えて5分間放置する。
4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,色を比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“重金属(Pbとして):質量分率5 ppm以下(規格値)”
とする。
試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の暗色より暗くない。
7.10 鉄(Fe)
鉄(Fe)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エタノール(95) 7.4 a) 1)による。
2) 塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(100 g/L) JIS K 8201に規定する塩化ヒドロキシルアンモニ
ウム10 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。
3) 塩酸(2+1) 7.8 a) 4)による。
4) 酢酸アンモニウム溶液(250 g/L) JIS K 8359に規定する酢酸アンモニウム25 gをはかりとり,水
を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。
5) 1,10-フェナントロリン溶液(2 g/L) JIS K 8202に規定する塩化1,10-フェナントロリニウム一水和
物0.28 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。褐色ガラス製瓶に保存す
る。
6) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 7.1 c)による。
なお,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)を調製する場合,JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄
(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,塩酸(2+1)3 mL及び水を加えて溶か
し,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,塩酸(2
+1)3 mLを加え,水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 7.3 c)による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,エタノール(95)10 mL
を加えて溶かし,塩酸(2+1)1 mL及び水を加えて15 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)0.50 mLを共通すり合わせ平底試験管にとり,エ
タノール(95)10 mL,塩酸(2+1)1 mL及び水を加えて15 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(100 g/L)1 mLを加えて5分間放置
後,1,10-フェナントロリン溶液(2 g/L)1 mL,酢酸アンモニウム溶液(250 g/L)5 mL及び水を加
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
えて25 mLとし,20 ℃〜30 ℃で15分間放置する。
4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,色を比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“鉄(Fe):質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。
試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の黄みの赤より濃くない。
7.11 過マンガン酸還元性物質(Oとして)
過マンガン酸還元性物質(Oとして)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。
2) 0.02 mol/L 過マンガン酸カリウム溶液(KMnO4:3.161 g/L) JIS K 8247に規定する過マンガン酸
カリウムを用い,7.1 d)による。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
メスピペット 最小目盛0.01 mLのもの。
c) 操作 コニカルビーカー200 mLなどに水100 mLをとり,硫酸1.5 mLを加え,約80 ℃に加熱し,30
秒間うすい紅色を保つまで0.02 mol/L 過マンガン酸カリウム溶液を滴加する。これに試料1.0 gを加
えて溶かし,メスピペットを用いて0.02 mol/L 過マンガン酸カリウム溶液0.13 mLを加えて振り混ぜ,
光を遮り,30秒間放置した後,白の背景を用いて上方又は側方から観察する。ただし,0.02 mol/L 過
マンガン酸カリウム溶液のファクターが1.00でない場合は,加える体積を補正する。
注記 0.02 mol/L 過マンガン酸カリウム溶液1 mLは,0.000 800 0 gOに相当する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“過マンガン酸還元性物質(Oとして):質量分率0.01 %
以下(規格値)”とする。
試料溶液から得られた液の色は,紅色を保つ。
8
容器
容器は,気密容器とする。
9
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称“安息香酸”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度(容量滴定法)又は純度(qNMR法)
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号