K 8069:2019
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 2
6.1 一般事項 ······················································································································ 2
6.2 塩酸不溶分 ··················································································································· 3
6.3 窒素化合物(Nとして)·································································································· 3
6.4 銅(Cu),マンガン(Mn)及び鉄(Fe) ············································································ 6
6.5 けい素(Si) ················································································································· 7
6.6 チタン(Ti) ················································································································· 9
7 容器······························································································································ 10
8 表示······························································································································ 10
K 8069:2019
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8069:1994は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成31年8月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 8069:1994を適用してもよい。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 8069:2019
アルミニウム(試薬)
Aluminium (Reagent)
Al AW:26.981 539
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いるアルミニウムについて規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8034 アセトン(試薬)
JIS K 8051 3-メチル-1-ブタノール(試薬)
JIS K 8085 アンモニア水(試薬)
JIS K 8103 ジエチルエーテル(試薬)
JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)
JIS K 8136 塩化すず(II)二水和物(試薬)
JIS K 8160 塩化マンガン(II)四水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8230 過酸化水素(試薬)
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8529 臭素(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8548 硝酸カリウム(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JIS K 8653 デバルダ合金(試薬)
JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)
JIS K 8703 酸化チタン(IV)(試薬)
JIS K 8798 フェノール(試薬)
2
K 8069:2019
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS K 8810 1-ブタノール(試薬)
JIS K 8885 二酸化けい素(試薬)
JIS K 8905 モリブデン(VI)酸アンモニウム四水和物(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8960 硫酸アンモニウム(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬)
JIS K 9005 りん酸(試薬)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS Z 0701 包装用シリカゲル乾燥剤
JIS Z 8802 pH測定方法
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
アルミニウムは,銀白の光沢がある金属で,削ったもの,粒状,板状,線状又は薄板状で,強熱すると
白光を放って燃焼する。塩酸及び水酸化アルカリ溶液に水素を発生しながら溶ける。
4.2
定性方法
試料0.5 gに塩酸(2+1)20 mLを加え,加熱して溶かす。その2 mLに水8 mLとアルミノン溶液1 mL
とを加え加熱すると,紅色が現れる。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
塩酸不溶分
質量分率 %
0.05 以下
6.2
窒素化合物(Nとして)
質量分率 %
0.001 以下
6.3
銅(Cu)
質量分率 %
0.01 以下
6.4
マンガン(Mn)
質量分率 %
0.002 以下
6.4
鉄(Fe)
質量分率 %
0.02 以下
6.4
けい素(Si)
質量分率 %
0.03 以下
6.5
チタン(Ti)
質量分率 %
0.03 以下
6.6
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
3
K 8069:2019
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.2
塩酸不溶分
塩酸不溶分の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(1+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積1と水の体積1とを混合したもの。
2) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合したもの。
3) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加
えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) るつぼ形ガラスろ過器 細孔は,JIS R 3503の付図64のG4による。
2) 吸引ろ過装置 G4のガラスろ過器と吸引瓶とを組み合わせたもの。
3) デシケーター 乾燥剤にJIS Z 0701に規定するシリカゲルA形1種を用いたもの。
4) 電気定温乾燥器 105 ℃±2 ℃に調節できるもの。
c) 操作 操作は,有害な塩化水素が発生するので,排気に注意して,次のとおり行う。
1) 試料5.0 gをビーカー300 mLなどにはかりとり,塩酸(1+1)200 mLを加え,加熱して溶かす。
2) 室温まで冷却し,あらかじめ恒量にしたるつぼ形ガラスろ過器を用いて吸引ろ過し,水で洗浄する。
なお,洗浄は洗液20 mLをとり,硝酸(1+2)5 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加えたと
きに白濁しなくなるまで行う。
3) るつぼ形ガラスろ過器を105 ℃±2 ℃で恒量になるまで乾燥する。
d) 計算 塩酸不溶分は,次の式によって算出する。
100
1
2
×
−
=
m
W
W
A
ここに,
A: 塩酸不溶分(質量分率 %)
m: はかりとった試料の質量(g)
W1: 恒量にしたるつぼ形ガラスろ過器の質量(g)
W2: 恒量にした残分及びるつぼ形ガラスろ過器の質量(g)
e) 判定 計算して得られた塩酸不溶分が,規格値を満足しているとき,“塩酸不溶分:質量分率0.05 %
以下(規格値)”とする。
6.3
窒素化合物(Nとして)
窒素化合物(Nとして)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) デバルダ合金 JIS K 8653に規定するもの。
2) 吸収液 水150 mLを冷却し,かき混ぜながら,これにJIS K 8951に規定する硫酸10 mLを徐々に
加える。この液2 mLに水18 mLを加えたもの。
3) エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(インドフェノール青法用)[EDTA2Na溶液(イ
ンドフェノール青法用)] JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム1 gを水60 mLに溶かす。これ
にJIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物5 gを加えて溶かし,
水で100 mLにしたもの。
4) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質
量分率5 %〜12 %)の有効塩素を使用時に定量し,有効塩素が質量分率約1 %になるように水でう
4
K 8069:2019
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
すめたもの。冷暗所に保存し,30日以内に使用する。
なお,有効塩素の定量は,次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5 %〜12 %)10 gを
0.1 mgの桁まではかりとり,全量フラスコ200 mLに移し,更に水を標線まで加えて混合する。そ
の20 mLを共通すり合わせ三角フラスコ300 mLに正確にとり,水100 mL及びJIS K 8913に規定
するよう化カリウム2 gを加えて溶かした後,速やかに酢酸(1+1)6 mLを加えて栓をして振り混
ぜる。約5分間暗所に放置後,指示薬としてでんぷん溶液を用い,0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶
液で滴定する。この場合,でんぷん溶液は,終点間際で液の色がうすい黄になったときに約0.5 mL
を加える。終点は,液の青が消える点とする。別に同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
次亜塩素酸ナトリウム溶液の有効塩素濃度は,次の式によって算出する。
(
)
100
200
20
3
545
003
.0
2
1
×
×
×
−
×
=
m
f
V
V
A
ここに,
A: 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5 %〜
12 %)の有効塩素濃度(Cl)(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体積
(mL)
V2: 空試験に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(mL)
f: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.003 545 3: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液1 mLに相当する塩
素の質量を示す換算係数(g/mL)
また,酢酸(1+1),でんぷん溶液及び0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の調製は,次による。
・ 酢酸(1+1)の調製は,JIS K 8355に規定する酢酸の体積1と水の体積1とを混合する。
・ でんぷん溶液の調製は,JIS K 8659に規定する特級又は1級のでんぷん(溶性)1.0 gをはか
りとり,水10 mLを加えてかき混ぜながら熱水200 mL中に入れて溶かす。これを約1分間
煮沸した後に冷却する。冷所に保存し,10日以内に使用する。
・ 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の調製は,JIS K 8637に規定するチオ硫酸ナトリウム五水
和物及びJIS K 8625に規定する炭酸ナトリウム又はJIS K 8051に規定する3-メチル-1-ブタ
ノールを用い,JIS K 8001のJA.6.4 t) 2)(0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液)に従って,調
製,標定及び計算する。
5) 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム30.9 gを水に溶かして
100 mLにしたもの。ポリエチレン製瓶などに保存する。
6) ナトリウムフェノキシド溶液 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)18 mLをビーカー200 mLにとる。
冷水中で冷却しながらJIS K 8798に規定するフェノール12.6 gを少量ずつ加えた後,更にJIS K
8034に規定するアセトン4 mLを加え,水で100 mLにしたもの。使用時に調製する。
7) 窒素標準液(N:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,窒素標準液(N:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8548に規定する硝酸カリウム7.22
gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。この
液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 吸収セル 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,光路長が10 mmのもの。
5
K 8069:2019
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2) 共通すり合わせ平底試験管 例えば,容量50 mL,直径約23 mmで目盛のあるもの。
3) 沸騰石 ふっ素樹脂製,ガラス製又は磁製で,大きさが2 mm〜10 mmのもの。
注記 海外製品の場合,ボイリング・ストーン又はボイリング・チップの名称が用いられる。
4) 恒温水槽 20 ℃〜25 ℃に調節できるもの。
5) 蒸留装置 例を図1に示す。
6) 分光光度計 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。
A:
B:
C:
D:
E:
F:
G:
H:
I:
J:
K:
L:
蒸留フラスコ
連結導入管
すり合わせコックK-16
注入漏斗
ケルダール形トラップ球(E':小孔)
球管冷却器
逆流止め(約50 mL)
受器(有栓形メスシリンダー100 mL)
共通すり合わせ
共通テーパー球面すり合わせ
押さえばね
ヒーター
図1−蒸留装置の例
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,蒸留フラスコAに試料1.5 gをはかりとり,水を加えて約140 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,蒸留フラスコAに試料0.5 gをはかりとり,窒素標準液(N:0.01 mg/mL)1.0 mL
をとり,水を加えて約140 mLにする。
3) 空試験溶液は,蒸留フラスコAに水140 mLを入れる。
4) 1)〜3)で得られたそれぞれの溶液に沸騰石2,3個を入れる。受器Hに吸収液20 mLを入れ,逆流止
めGの先端を浸す。蒸留フラスコAにデバルダ合金1 gを入れ,直ちに蒸留装置に連結する。これ
に水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)30 mLを注入漏斗Dから加える。注入漏斗Dを水10 mLで洗
い,すり合わせコックCを閉じる。弱く加熱してアルミニウムを溶かした後に蒸留し,初留約75 mL
をとり,水を加えて100 mLにする(試料溶液から得られた液をX液,比較溶液から得られた液を
6
K 8069:2019
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
Y液,空試験溶液から得られた液をZ液とする。)。
5) X液10 mL,Y液10 mL及びZ液10 mLをそれぞれ共通すり合わせ平底試験管にとり,EDTA2Na
溶液(インドフェノール青法用)1 mL及びナトリウムフェノキシド溶液4 mLを加えてよく振り混
ぜる。これらに次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %)2.5 mLを加え,更に水を加
えて25 mLにし,20 ℃〜25 ℃の恒温水槽で15分間放置する。
6) X液及びY液から得られた液は,Z液から得られた液を対照液とし,吸収セルを用いて,分光光度
計で波長630 nmにおける吸光度をJIS K 0115の6.(特定波長における吸収の測定)によって測定
し,比較する。
d) 判定 X液から得られた液の吸光度が,Y液から得られた液の吸光度より大きくないとき,“窒素化合
物(Nとして):質量分率0.001 %以下(規格値)”とする。
6.4
銅(Cu),マンガン(Mn)及び鉄(Fe)
銅(Cu),マンガン(Mn)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 過酸化水素 JIS K 8230に規定するもの。
2) 塩酸(1+1) 6.2 a) 1) による。
3) 銅標準液(Cu:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,銅標準液(Cu:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水
和物3.93 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水
を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25
mLを加え,更に水を標線まで加えて混合する。
また,硝酸(1+2)の調製は,6.2 a) 2) による。
4) マンガン標準液(Mn:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,マンガン標準液(Mn:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8160に規定する塩化マンガ
ン(II)四水和物3.60 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,塩酸(2+1)15 mL及び水を加え
て溶かし,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝
酸(1+2)15 mLを加え,更に水を標線まで加えて混合する。
また,塩酸(2+1)の調製は,JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混
合する。
5) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム
鉄(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて
溶かし,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸
(1+2)25 mLを加え,更に水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。
また,硝酸(1+2)の調製は,6.2 a) 2) による。
b) 装置 主な装置は,次による。
・ フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。
c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表2に示す。
7
K 8069:2019
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表2−分析種の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
銅(Cu)
324.8
マンガン(Mn)
279.5
鉄(Fe)
248.3
d) 操作 操作は,有害な塩化水素が発生するので,排気に注意して,次のとおり行う。
1) 試料2.0 gをビーカー200 mLなどにはかりとり,塩酸(1+1)80 mLを加えて加熱して溶かす(溶
けにくい場合,約1 mLの過酸化水素を加えてよい。)。冷却後,全量フラスコ100 mLに移し,水を
標線まで加えて混合する(A液)。
2) 試料溶液の調製は,全量フラスコ100 mLにA液25 mL(試料量0.5 g)をとり,水を標線まで加え
て混合する(X液)。
3) 比較溶液の調製は,全量フラスコ100 mLにA液25 mL(試料量0.5 g)をとり,銅標準液(Cu:0.01
mg/mL)5.0 mL,マンガン標準液(Mn:0.01 mg/mL)1.0 mL,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)10 mL
を加え,水を標線まで加えて混合する(Y液)。
4) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表2に示す測
定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれアセチレン−空気フレ
ーム中に噴霧し,測定元素の吸光度を測定し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読み取る。
5) 測定結果は,X液の指示値n1をY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1と比較する。
e) 判定 n1が,n2−n1より大きくないとき,“銅(Cu):質量分率0.01 %以下(規格値),マンガン(Mn):
質量分率0.002 %以下(規格値),鉄(Fe):質量分率0.02 %以下(規格値)”とする。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,次の式によって,おおよその値を求めることができる。
100
000
1
1
2
1
×
×
−
×
=m
n
n
n
B
A
ここに, A: 分析種の含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
6.5
けい素(Si)
けい素(Si)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸 JIS K 8180に規定するひ素分析用のもの。
2) ジエチルエーテル JIS K 8103に規定するもの。
3) 1-ブタノール JIS K 8810に規定するもの。
4) 塩化すず(II)溶液(けい酸塩抽出比色法用) JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物1 g
をはかりとり,塩酸(2+1)9 mLを加えて溶かし,水を加えて100 mLにしたもの。
なお,塩酸(2+1)の調製は,JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)の体積2と水の体積1
とを混合する。
5) 塩酸(1+11) JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の体積11とを混合したもの。
なお,塩酸(1+11)の調製及び保存には,ポリエチレンなどの樹脂製器具及び容器を用いる。
6) 臭素水 JIS K 8529に規定する臭素3 mL〜4 mLに水を加えて100 mLにしたもの。激しく振り混ぜ,
8
K 8069:2019
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
放置後,上澄み液を用いる。褐色ガラス製瓶に保存する。
7) 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L) 6.3 a) 5) による。
8) 七モリブデン酸六アンモニウム溶液(りん酸定量用) JIS K 8905に規定するモリブデン(VI)酸
アンモニウム四水和物10.6 gをはかりとり,水70 mL及びJIS K 8085に規定するアンモニア水(質
量分率28.0 %〜30.0 %)7 mLを加え,加熱せずに溶かし,水を加えて100 mLにする。ろ過後,ろ
液に水を加え200 mLにする。さらに,硫酸(1+5)10 mLを加えたもの。洗浄は,これを分液漏
斗に移し,JIS K 8810に規定する1-ブタノール30 mLを加え,1〜2分間激しく振り混ぜる。放置後,
上層(1-ブタノール相)と下層(水相)とを分離する(水相を保存する。)。確認試験は,洗浄操作
で分離した1-ブタノール相(上層)を硫酸(1+5)15 mLで洗い,硫酸相(下層)を除去する操作
を2回行った後,1-ブタノール相(上層)に塩化すず(II)溶液(りん酸定量用)15 mLを加え,30
秒間振り混ぜて放置し,1-ブタノール相(上層)が青くならない。
なお,確認試験で上層(1-ブタノール相)が青くなった場合は,保存水相の洗浄及び確認試験を
繰り返す。
また,塩化すず(II)溶液(りん酸定量用),硫酸(1+30)及び硫酸(1+5)の調製は,次によ
る。
・ 塩化すず(II)溶液(りん酸定量用)の調製は,JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和
物40 gをはかりとり,JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)60 mLを加えて溶かし,そ
の1 mLに硫酸(1+30)を加えて250 mLにする。
・ 硫酸(1+30)の調製は,水の体積30を冷却し,かき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫
酸の体積1を徐々に加える。
・ 硫酸(1+5)の調製は,水の体積5を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸
の体積1を徐々に加える。
9) けい素標準液(Si:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,けい素標準液(Si:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8885に規定する二酸化けい素
を900 ℃〜1 000 ℃で強熱後に0.214 gを白金るつぼなどにはかりとり,JIS K 8625に規定する炭酸
ナトリウム1 gを加え,加熱融解する。冷却後,水を加えて溶かし,ポリエチレンなどの樹脂製全
量フラスコ100 mLに移し,水を標線まで加えて混合する。その10 mLをポリエチレンなどの樹脂
製全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレンなどの樹脂製
容器に保存する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 b) 2) による。
2) pH試験紙 0.3の違いが読み取れるもの。
3) pH計 JIS Z 8802に規定する形式II以上の性能のもの。
4) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどが載せられるもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料0.5 gをポリエチレンなどの樹脂製ビーカー200 mLにはかりとり,水10 mL及び水酸化ナトリ
ウム溶液(300 g/L)10 mLを加え,水浴上で加熱して溶かす。冷却後,ポリエチレンなどの全量フ
ラスコ100 mLに移し,水を標線まで加えて混合する(B液)。
2) 試料溶液の調製は,B液20 mL(試料量0.1 g)をポリエチレンなどの樹脂製ビーカー200 mLにとり,
水を加えて約70 mLにする。
9
K 8069:2019
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3) 比較溶液の調製は,けい素標準液(Si:0.01 mg/mL)3.0 mLをポリエチレンなどの樹脂製ビーカー
200 mLにとり,水を加えて約70 mLにする。
4) 試料溶液及び比較溶液に,約30 ℃にした七モリブデン酸六アンモニウム溶液(りん酸定量用)2 mL
を加え,pH試験紙を用いて塩酸(1+11)でpH 5〜6に調節し(pH調節時にpHが5以下になった
ときは試験をやり直す。),臭素水2 mLを加えた後,塩酸(1+11)でpH 1.7〜1.9に調節する。そ
れぞれを,ガラス製ビーカー200 mLに少量の水で洗い入れ,沸騰し始めるまで加熱して冷却し,水
を加えて90 mLにする。
5) 試料溶液及び比較溶液を前処理した後,それぞれを分液漏斗200 mLにとり,水10 mLで洗い入れ
て塩酸10 mL及びジエチルエーテル20 mLを加えて3分間激しく振り混ぜ,2層に分かれるまで放
置する。下層(水相)を別の分液漏斗200 mLにとり[上層(ジエチルエーテル相)は捨てる。],
塩酸10 mL及び1-ブタノール50 mLを加えて5分間激しく振り混ぜ,2層に分かれるまで放置し,
下層(水相)を捨てる。洗浄は,上層(1-ブタノール相)に塩酸(1+11)10 mLを加えて2分間激
しく振り混ぜ,2層に分かれるまで放置し,下層(水相)を捨てる。この洗浄操作は4回行う。上
層(1-ブタノール相)を共通すり合わせ平底試験管にとり,塩化すず(II)溶液(けい酸塩抽出比色
法用)0.5 mLを加えて30秒間振り混ぜる。
6) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液(1-ブタノール相)を共通す
り合わせ平底試験管の上方又は側方から観察して色を比較する。
d) 判定 試料溶液から得られた液の色が,比較溶液から得られた液の青より濃くないとき,“けい素
(Si):質量分率0.03 %以下(規格値)”とする。
6.6
チタン(Ti)
チタン(Ti)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) りん酸 JIS K 9005に規定するもの。
2) 過酸化水素 JIS K 8230に規定するもの。
3) 塩酸(1+1) 6.2 a) 1) による。
4) チタン標準液(Ti:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,チタン標準液(Ti:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8703に規定する酸化チタン(IV)
0.167 gをはかりとり,JIS K 8960に規定する硫酸アンモニウム5 g及びJIS K 8951に規定する硫酸
10 mLを加え,加熱して溶かす。冷却後,水に溶かし,全量フラスコ100 mLに移し,水を標線まで
加えて混合する。この10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせ平底試験管 6.3 b) 2) による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料0.5 gをビーカー200 mLなどにはかりとり,塩酸(1+1)40 mLを加えて
加熱して溶かし,約半量まで濃縮する。冷却後,共通すり合わせ平底試験管に移し,水を加えて25
mLにする。
2) 比較溶液の調製は,チタン標準液(Ti:0.01 mg/mL)15 mLを共通すり合わせ平底試験管にとり,
水を加えて25 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液にりん酸3 mL及び過酸化水素0.5 mLを加え混合する。
4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を共通すり合わせ平底試験管
10
K 8069:2019
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
の上方又は側方から観察して色を比較する。
d) 判定 試料溶液から得られた液の色が,比較溶液から得られた液の赤みの黄より濃くないとき,“チタ
ン(Ti):質量分率0.03 %以下(規格値)”とする。
7
容器
容器は,気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称“アルミニウム”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 元素記号及び原子量
e) 内容量
f)
製造番号
g) 製造業者名又はその略号