K 8061:2010
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 3
6 試験方法 ························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度(Na2SO3) ············································································································· 3
6.3 水溶状 ························································································································· 5
6.4 pH(50 g/l,25 ℃) ······································································································· 6
6.5 塩化物(Cl) ················································································································ 6
6.6 カリウム(K) ·············································································································· 7
6.7 銅(Cu),カルシウム(Ca),亜鉛(Zn),鉛(Pb)及び鉄(Fe) ·········································· 8
6.8 ひ素(As) ·················································································································· 13
7 容器······························································································································ 14
8 表示······························································································································ 14
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(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本試薬
協会(JRA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきと
の申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8061:1992は改正され,この規格に置き換えられた。
また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標
準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
日本産業規格
JIS
K 8061:2010
亜硫酸ナトリウム(試薬)
Sodium sulfite (Reagent)
Na2SO3 FW:126.04
序文
この規格は,1950年に制定され,その後3回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は1992年に
行われたが,その後の試験・研究開発などの技術進歩に対応するために改正した。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる亜硫酸ナトリウムについて規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0116 発光分光分析通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 0970 プッシュボタン式液体用微量体積計
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS K 8012 亜鉛(試薬)
JIS K 8044 三酸化二ひ素(試薬)
JIS K 8085 アンモニア水(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8121 塩化カリウム(試薬)
JIS K 8136 塩化すず(II)二水和物(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8230 過酸化水素(試薬)
JIS K 8284 くえん酸水素二アンモニウム(試薬)
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8374 酢酸鉛(II)三水和物(試薬)
2
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JIS K 8377 酢酸ブチル(試薬)
JIS K 8454 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬)
JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8580 すず(試薬)
JIS K 8603 ソーダ石灰(試薬)
JIS K 8617 炭酸カルシウム(試薬)
JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)
JIS K 8777 ピリジン(試薬)
JIS K 8780 ピロガロール(試薬)
JIS K 8896 メチルレッド(試薬)
JIS K 8897 メチレンブルー(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8920 よう素(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8953 硫酸亜鉛七水和物(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬)
JIS K 9512 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀(試薬)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS Z 8802 pH測定方法
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
亜硫酸ナトリウムは,白い結晶性粉末で,水に溶けやすく,エタノールにやや溶けにくい。水溶液は,
アルカリ性である。
4.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料1 gに酢酸(1+2)10 mlを加えて溶かした液に,0.05 mol/lよう素溶液1滴を加えると着色しな
い。
b) 炎色試験は,直径約0.8 mmの白金線を先端から約30 mmまで塩酸(1+1)に浸し,炎の長さ約120 mm,
内炎の長さ約30 mm程度としたガスバーナーの無色炎中に,内炎の最上部から約10 mmの位置に水
3
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平に入れた後,放冷する。この操作を炎に色が現れなくなるまで繰り返す。次に,白金線の先端約5 mm
を水で浸し,少量の試料を付着させたものをガスバーナーの無色炎中に入れると黄色が現れる。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(Na2SO3)
質量分率%
97.0以上
6.2
水溶状
試験適合
6.3
pH(50 g/l,25 ℃)
9.0〜11.0
6.4
塩化物(Cl)
質量分率%
0.02以下
6.5
カリウム(K)
質量分率%
0.05以下
6.6
銅(Cu)
質量分率ppm
5以下
6.7
カルシウム(Ca)
質量分率%
0.01以下
6.7
亜鉛(Zn)
質量分率ppm
5以下
6.7
鉛(Pb)
質量分率%
0.001以下
6.7
ひ素(As)
質量分率ppm
1以下
6.8
鉄(Fe)
質量分率%
0.001以下
6.7
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(Na2SO3)
純度(Na2SO3)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸の体積2と水の体積1とを混合する。
2) 水酸化ナトリウム溶液(300 g/l) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム30.9 gを水に溶かして
100 mlにする。ポリエチレン製瓶などに保存する。
3) でんぷん溶液 JIS K 8659に規定するでんぷん(溶性)1.0 gに水10 mlを加えてかき混ぜながら熱
水200 ml中に入れて溶かす。これを約1分間煮沸した後に冷却する。冷所に保存し,10日以内に
使用する。
4) ピロガロール・水酸化ナトリウム溶液 JIS K 8780に規定するピロガロール10 gを水酸化ナトリウ
ム溶液(300 g/l)80 mlに溶かし,更に水酸化ナトリウム溶液(300 g/l)を加えて全量を100 mlにす
る。この溶液は使用時に調製する(必要な場合に用いる。)。
5) 溶存酸素を除いた水 次のいずれか,又は5.1)〜5.5)の2つ以上を組み合わせたものを用い,使用時
に調製する。
5.1) 水をフラスコに入れ15分間沸騰させる。加熱を止め,フラスコの口を時計皿で軽くふたをして少
し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶にピロガロール・水酸化ナトリウム溶液を入れたも
のを連結するなどして空気中の酸素を遮り,冷却したもの。
5.2) 水をフラスコに入れ,水の中にJIS K 1107に規定する窒素を15分間以上通じたもの。
5.3) 水を酸素分離膜を用いたガス分離管を用いて溶存酸素を除いたもの。
4
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5.4) 水を超音波振動装置で十分に脱気を行ったもの。
5.5) 新鮮な18 MΩ・cm以上の抵抗率のある脱イオン化された水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立
てないように採取したもの。
6) 硫酸(1+1) 水の体積1を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々
に加える。
7) 0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液(Na2S2O3・5H2O:24.82 g/l) 0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液の
調製,標定及び計算は,次による。
7.1) 調製 JIS K 8637に規定するチオ硫酸ナトリウム五水和物26 g及びJIS K 8625に規定する炭酸ナ
トリウム0.2 gをはかりとり,溶存酸素を除いた水1 000 mlを加えて溶かした後,気密容器に入れ
て保存する。調製後2日間放置したものを用いる。
7.2) 標定 JIS K 8005に規定する容量分析用標準物質など1)のよう素酸カリウムの必要量をめのう乳
鉢で軽く砕いて,130 ℃で約2時間乾燥した後,デシケーターに入れて放冷する。その0.9〜1.1 g
を全量フラスコ250 mlに0.1 mgのけたまではかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて
混合する。その25 mlを共通すり合わせ三角フラスコ200 mlに正確にはかりとり,水100 mlを加
える。次に,JIS K 8913に規定するよう化カリウム2 g及び硫酸(1+1)2 mlを加え,直ちに栓を
して穏やかに振り混ぜて,暗所に5分間放置する。指示薬としてでんぷん溶液を用い,7.1)で調製
した液で滴定する。この場合,でんぷん溶液は,終点間際で液の色がうすい黄色になったときに
約0.5 mlを加える。終点は,液の青が消える点とする。
別に,共通すり合わせ三角フラスコ200 mlに水125 ml及びよう化カリウム2 gをはかりとり,
硫酸(1+1)2 mlを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜて,暗所に5分間放置し,同一条件
で空試験を行って滴定量を補正する。
注1) 容量分析に用いることが可能な標準物質であり,使用する場合は,認証書に定める使用
方法などによる。ただし,認証書のある標準物質を入手できない場合は,市販の含有率
が明らかな標準物質も用いることができ,使用する場合は,その説明書などによる。
7.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
(
)100
7
566
003
.0
250
25
2
1
A
V
V
m
f
×
−
×
×
=
ここに,
f: 0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとったよう素酸カリウムの質量(g)
A: よう素酸カリウムの純度(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液の体積
(ml)
V2: 空試験に要した0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液の体積
(ml)
0.003 566 7: 0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液1 mlに相当するよう素
酸カリウムの質量(g)
8) 0.05 mol/lよう素溶液(I:12.69 g/l) JIS K 8913に規定するよう化カリウム40 gをはかりとり,
25 ml及びJIS K 8920に規定するよう素13 gを加えて溶かした後,水を加えて1 000 mlにする。こ
れに塩酸3滴を加えて混合した後,遮光した気密容器に入れて暗所に保存する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
よう素フラスコ200 ml よう素滴定において,よう素の揮散による損失を防ぐため密栓のできる共
通すり合わせ付きフラスコ。
5
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c) 操作 操作は,次のとおり行う。
0.05 mol/l よう素溶液40 mlをよう素フラスコ200 mlに正確にとり,0.1 mgのけたまではかりとっ
た試料0.20 gを加えて溶かす。5分間放置し,塩酸(2+1)2 mlを加え,0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウ
ム溶液で滴定する。この場合,でんぷん溶液は,終点間際で液の色がうすい黄色になったときに約0.5
mlを加える。終点は,液の青が消える点とする。別に同一条件で空試験を行う。
d) 計算 純度(Na2SO3)は,次の式によって算出する。
(
)
100
302
006
.0
1
2
×
×
−
×
=
m
f
V
V
A
ここに,
A: 純度(Na2SO3)(質量分率 %)
V2: 空試験に要した0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液の体積
(ml)
V1: 滴定に要した0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液の体積
(ml)
f: 0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.006 302: 0.05 mol/lよう素溶液1 mlに相当するNa2SO3の質量(g)
6.3
水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60〜61 %)の体積1と水の体積2とを混合す
る。
2) 硝酸銀溶液(20 g/l) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mlにする。褐色ガラス
製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液
3.1) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
3.1.1) 計量標準供給制度[JCSS 2)]に基づく標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致し
た場合に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する(以下,“JCSSに基づく標準液”
という。)。
3.1.2) JCSS以外の認証標準液で酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,必要な
場合は,適切な方法で希釈して使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液がない場合は,市販
の標準液を用いる(以下,JCSS以外の認証標準液及び市販の標準液を合わせて,“JCSS以外の
認証標準液など”という。)。
3.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム1.65 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,
水を標線まで加えて混合する。
注2) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。
3.2) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml
に正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“澄明”を用いる。
塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)0.2 mlを共通すり合わせ平底試験管にとり,水10 ml,硝酸(1+2)
1 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加え,更に水を加えて20 mlとし,振り混ぜてから15分間放置
する。
6
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c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 例として,容量50 ml,直径約23 mmで目盛のあるもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料0.50 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加えて溶かし20 mlにする。
2) 試料を溶かした直後に濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を上方又
は側方から観察する。
e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“水溶状:試験適合”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。
6.4
pH(50 g/l,25 ℃)
pH(50 g/l,25 ℃)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) ソーダ石灰 JIS K 8603に規定するもの(必要な場合に用いる。)。
2) 水酸化カリウム溶液(250 g/l) JIS K 8574に規定する水酸化カリウム29.4 gを水に溶かして100 ml
にする(必要な場合に用いる。)。ポリエチレン製瓶などに保存する。
3) 二酸化炭素を除いた水 次のいずれか,又は3.1)〜3.4)の2つ以上を組み合わせたものを用い,使用
時に調製する。
3.1) 水をフラスコに入れ15分間沸騰させる。加熱を止め,フラスコの口を時計皿で軽くふたをして少
し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶に水酸化カリウム溶液(250 g/l)を入れたもの,又は
ソーダ石灰管を連結して空気中の二酸化炭素を遮り,冷却したもの。
3.2) 水をフラスコに入れ,水の中にJIS K 1107に規定する窒素を15分間以上通じたもの。
3.3) 水を二酸化炭素分離膜を用いたガス分離管を用いて二酸化炭素を除いたもの。
3.4) 新鮮な18 MΩ・cm以上の抵抗率のある脱イオン化された水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立
てないように採取したもの。
4) pH標準液 pH標準液は,JCSSに基づくpH標準液(第2種以上のもの。),JCSS以外の認証され
たpH標準液又はJIS Z 8802に規定する調製pH標準液のいずれかを用いる。
b) 窒素 窒素は,次のものを用いる。
JIS K 1107に規定するもの。
c) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
1) 恒温水槽 25±0.5 ℃に調節できるもの。
2) pH計 JIS Z 8802に規定する形式II以上の性能のもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料5.0 gを全量フラスコ100 mlにとり,二酸化炭素を除いた水を加えて溶か
し,水を標線まで加えて混合する。この液を適切な容量のビーカーにとる。
2) JIS Z 8802の7.2(測定方法)による。この場合,液温25±0.5 ℃の恒温水槽に浸した試料溶液の液
面上に窒素を流し,かき混ぜながらはかる。
6.5
塩化物(Cl)
塩化物(Cl)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 過酸化水素 JIS K 8230に規定するもの。
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2) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。
3) 硝酸銀溶液(20 g/l) 6.3 a) 2)による。
4) 水酸化ナトリウム溶液(100 g/l) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム10.3 gを水に溶かして
100 mlにする。ポリエチレン製瓶などに保存する。
5) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 6.3 a) 3.2)による。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
2) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料0.50 gをビーカー100 mlにとり,水10 mlを加えて溶かす。水酸化ナトリ
ウム溶液(100 g/l)2 ml及び過酸化水素10 mlを加えて,水浴上で加熱して蒸発乾固する。これに
硝酸(1+2)5 ml及び水を加えて溶かし100 mlにする。その20 ml(試料量0.10 g)を共通すり合
わせ平底試験管にとる。
2) 比較溶液の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)2.0 mlをビーカー100 mlにとり,水酸化ナトリ
ウム溶液(100 g/l)0.4 ml及び過酸化水素2 mlを加えて,水浴上で加熱して蒸発乾固する。これに
硝酸(1+2)1 ml及び水を加えて溶かし20 mlとし,共通すり合わせ平底試験管に移す。
3) 試料溶液及び比較溶液に,硝酸(1+2)5 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加え,振り混ぜた後
15分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“塩化物(Cl):質量分率0.02 %以下(規格値)”とする。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.6
カリウム(K)
カリウム(K)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) 6.2 a) 1)による。
2) カリウム標準液
2.1) カリウム標準液(K:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
2.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1)に準じる。
2.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2)に準じる。
2.1.3) JIS K 8121に規定する塩化カリウム1.91 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,
水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する。
2.2) カリウム標準液(K:0.01 mg/ml) カリウム標準液(K:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml
に正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
フレーム原子吸光分析装置 JIS K 0121に規定するもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ100 mlにとり,塩酸(2+1)10 ml及び水を加えて溶
かし,水を標線まで加えて混合する(S液)。S液10 ml(試料量0.10 g)を全量フラスコ100 mlに
とり,水を標線まで加えて混合する(X液)。
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2) 比較溶液の調製は,S液10 mlを全量フラスコ100 mlにとり,カリウム標準液(K:0.01 mg/ml)5.0
ml加え,更に水を標線まで加えて混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,測定波長766.5 nm付近で吸光度
が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸光度を測
定し,X液の指示値(n1)及びY液の指示値(n2)を読み取る。
4) 測定結果は,X液の指示値n1と,Y液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1とを比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“カリウム(K):質量分率0.05 %以下(規格値)”とす
る。
n1は,n2−n1より大きくない。
注記 カリウムの含有率(質量分率 %)は,次の式によって求めることができる。
なお,含有率を質量分率ppmに換算する必要がある場合は,Aに10 000を乗じる。
100
000
1
1
2
1
×
×
−
×
=m
n
n
n
B
A
ここに,
A: カリウムの含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中のカリウムの質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
6.7
銅(Cu),カルシウム(Ca),亜鉛(Zn),鉛(Pb)及び鉄(Fe)
銅(Cu),カルシウム(Ca),亜鉛(Zn),鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,次の第1法 ICP発光
分光分析法,又は第2法 原子吸光法のいずれかを用いる。
6.7.1
第1法 ICP発光分光分析法
第1法 ICP発光分光分析法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。
2) 塩酸(2+1) 6.2 a) 1)による。
3) イットリウム標準液(Y:1 mg/ml) 硝酸イットリウム六水和物(質量分率99.9 %以上)4.31 gを
全量フラスコ1 000 mlにとり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混
合する。
注記 イットリウム標準液(Y:1 mg/ml)は,ICP発光分光分析法で発光強度を補正するための
内標準物質として添加する。
4) 銅標準液,カルシウム標準液,亜鉛標準液,鉛標準液及び鉄標準液
4.1) 銅標準液(Cu:1 mg/ml),カルシウム標準液(Ca:1 mg/ml),亜鉛標準液(Zn:1 mg/ml),鉛標
準液(Pb:1 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
4.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1)に準じる。
4.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2)に準じる。
4.1.3) 銅標準液(Cu:1 mg/ml),カルシウム標準液(Ca:1 mg/ml),亜鉛標準液(Zn:1 mg/ml),鉛
標準液(Pb:1 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:1 mg/ml)を調製する場合
4.1.3.1) 銅標準液(Cu:1 mg/ml) JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水和物3.93 gを全量フラスコ
1 000 mlにとり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
4.1.3.2) カルシウム標準液(Ca:1 mg/ml) JIS K 8617に規定する炭酸カルシウム2.50 gに水50 ml
9
K 8061:2010
及び塩酸(2+1)15 mlを加え,沸騰しない程度に加熱して溶かし,更に二酸化炭素を除き,
冷却する。これを全量フラスコ1 000 mlに移し,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン
製瓶などに保存する。
4.1.3.3) 亜鉛標準液(Zn:1 mg/ml) JIS K 8953に規定する硫酸亜鉛七水和物4.40 gを全量フラスコ
1 000 mlにとり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
4.1.3.4) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml) JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 gを全量フラスコ1 000 ml
にとり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
4.1.3.5) 鉄標準液(Fe:1 mg/ml) JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄(III)・12水8.63 gを全
量フラスコ1 000 mlにとり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて
混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。
4.2) 銅標準液(Cu:0.01 mg/ml),カルシウム標準液(Ca:0.1 mg/ml),亜鉛標準液(Zn:0.01 mg/ml),
鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml) 次のものを用いる。
4.2.1) 銅標準液(Cu:0.01 mg/ml) 銅標準液(Cu:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確
にはかりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。
4.2.2) カルシウム標準液(Ca:0.1 mg/ml) カルシウム標準液(Ca:1 mg/ml)100 mlを全量フラスコ
1 000 mlに正確にはかりとり,塩酸(2+1)15 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。
ポリエチレン製瓶などに保存する。
4.2.3) 亜鉛標準液(Zn:0.01 mg/ml) 亜鉛標準液(Zn:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正
確にはかりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。
4.2.4) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確に
はかりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。
4.2.5) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml) 鉄標準液(Fe:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確に
はかりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に
保存する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) プッシュボタン式液体用微量体積計 JIS K 0970に規定するもの。
2) ICP発光分光分析装置 JIS K 0116に規定するもの。
c) 分析種及び測定波長 分析種及び測定波長の例を,表2に示す。
表2−分析種及び測定波長の例
分析種
測定波長
nm
銅
Cu
324.754
カルシウム
Ca
396.847
亜鉛
Zn
213.857
鉛
Pb
220.353
鉄
Fe
238.204
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ50 mlにとり,硝酸(1+2)1 ml及び水30 mlを加え
て溶かす。これに,イットリウム標準液(Y:1 mg/ml)50 μlを加え,更に水を標線まで加えて混合
する。
10
K 8061:2010
2) 3個の全量フラスコ50 mlを準備する。それぞれに硝酸(1+2)1 ml,イットリウム標準液(Y:1 mg/ml)
50 μl及び水10 mlをとり,プッシュボタン式液体用微量体積計で表3に示す各標準液の体積を3段
階にとり,水を標線まで加えて混合する(Y1液,Y2液及びY3液)。
表3−採取する標準液の体積
標準液
mg/ml
採取量 μl
Y1
Y2
Y3
銅標準液(Cu)
0.01
250
500
1 000
カルシウム標準液(Ca)
0.1
500
1000
2 000
亜鉛標準液(Zn)
0.01
250
500
1 000
鉛標準液(Pb)
0.01
500
1000
2 000
鉄標準液(Fe)
0.01
500
1000
2 000
3) 空試験用溶液の調製は,全量フラスコ50 mlに硝酸(1+2)1 ml及びイットリウム標準液(Y:
1 mg/ml)50 μlをとり,水を標線まで加えて混合する(Z液)。
4) ICP発光分光分析装置の一般事項は,JIS K 0116の5.(ICP発光分光分析)による。測定波長は,
表2に示す。
5) ICP発光分光分析装置は,高周波プラズマを点灯するなどによって,発光強度を測定できる状態に
する。
6) Z液,X液,Y1液,Y2液及びY3液を噴霧し,発光強度を測定する。
e) 計算 JIS K 0116の5.8.3(定量法)a) 2)(強度比法)によって検量線を作成し,分析種の含有率を計
算する。
f)
判定 d)によって操作し,e)によって計算し,次に適合するとき,“銅(Cu):質量分率5 ppm以下(規
格値),カルシウム(Ca):質量分率0.01 %以下(規格値),亜鉛(Zn):質量分率5 ppm以下(規格
値),鉛(Pb):質量分率0.001 %以下(規格値),鉄(Fe):質量分率0.001 %以下(規格値)”とする。
計算して得られた含有率が,規格値を満足している。
6.7.2
第2法 原子吸光法
第2法 原子吸光法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸 JIS K 8180に規定するもの。
2) 酢酸ブチル JIS K 8377に規定するもの。
3) くえん酸水素二アンモニウム溶液(100 g/l) JIS K 8284に規定するくえん酸水素二アンモニウム10
gを水に溶かして100 mlにする。
4) アンモニア水(2+3) JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0〜30.0 %)の体積2と水
の体積3とを混合する(必要な場合に用いる。)。ポリエチレン製瓶などに保存する。
5) 塩酸(2+1) 6.2 a) 1)による。
6) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム溶液(10 g/l)[NaDDTC溶液(10 g/l)] JIS K 8454
に規定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物1.3 gを水に溶かして100 mlにす
る。使用時に調製する。
7) メチルレッド−メチレンブルー溶液 JIS K 8896に規定するメチルレッド0.10 g及びJIS K 8897に
規定するメチレンブルー0.10 gをJIS K 8102に規定するエタノール(95)に溶かして200 mlにする。
11
K 8061:2010
褐色ガラス製瓶に保存する。
8) 銅標準液(Cu:0.01 mg/ml),カルシウム標準液(Ca:0.1 mg/ml),亜鉛標準液(Zn:0.01 mg/ml),
鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml) 次のものを用いる。
8.1) 銅標準液(Cu:0.01 mg/ml) 6.7.1 a) 4.2.1)による。
8.2) カルシウム標準液(Ca:0.1 mg/ml) 6.7.1 a) 4.2.2)による。
8.3) 亜鉛標準液(Zn:0.01 mg/ml) 6.7.1 a) 4.2.3)による。
8.4) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml) 6.7.1 a) 4.2.4)による。
8.5) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml) 6.7.1 a) 4.2.5)による。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
2) 水浴 6.5 b) 2)による。
3) フレーム原子吸光分析装置 6.6 b)による。
4) 分液漏斗300 ml JIS R 3503に規定するもの。
c) 分析種及び測定波長 分析種及び測定波長の例を,表4に示す。
表4−分析種及び測定波長の例
分析種
測定波長
nm
銅
Cu
324.8
鉛
Pb
283.3
鉄
Fe
248.3
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)
1.1) 試料溶液の調製は,試料10 gをビーカー200 mlにとり,水50 ml及び塩酸5 mlを加えて溶かす。
1.2) 比較溶液の調製は,試料10 gをビーカー200 mlにとり,水50 ml及び塩酸5 mlを加えて溶かす。
これに,銅標準液(Cu:0.01 mg/ml)5.0 ml,鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml)10 ml及び鉄標準液(Fe:
0.01 mg/ml)10 mlを加える。
1.3) 空試験用溶液の調製は,水50 ml及び塩酸5 mlをビーカー200 mlにとる。
1.4) 試料溶液,比較溶液及び空試験用溶液を,水浴上で加熱して蒸発乾固し,室温まで冷却する。ビ
ーカーの残分に塩酸(2+1)1 ml及び水50 mlを加えて溶かし,分液漏斗300 mlに移し入れる。
くえん酸水素二アンモニウム溶液(100 g/l)2 mlを加え,指示薬(メチルレッド−メチレンブル
ー溶液)を1〜2滴加え,塩酸(2+1)又はアンモニア水(2+3)を用いて液性を調節(灰青色)
する。NaDDTC溶液(10 g/l)5 mlを直ちに加え,水を加えて100 mlにする。酢酸ブチル20 ml
を全量ピペットで加え,1分間激しく振りまぜた後,静置する。上層(酢酸ブチル相)を共通すり
合わせ平底試験管に分離してとる。試料溶液からの酢酸ブチル相をX液,比較溶液からのものを
Y液及び空試験用溶液からのものをZ液とする。
1.5) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧3) し,表4に示す測定波長付近で
吸光度が最大となる波長を設定する。X液,Y液及びZ液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析
種の吸光度を測定し,X液の指示値(n1),Y液の指示値(n2)及びZ液の指示値(n3)を読み取
12
K 8061:2010
る。
1.6) 測定結果は,X液の指示値からZ液の指示値を引いたn1−n3と,Y液の指示値からX液の指示値
を引いたn2−n1とを比較する。
注3) あらかじめ酢酸ブチルを噴霧し,フレームの状態を最適にしておく。
2) カルシウム(Ca)
2.1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ100 mlにとり,塩酸(2+1)10 ml及び水を加えて
溶かし,水を標線まで加えて混合する(X液)。
2.2) 比較溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ100 mlにとり,カルシウム標準液(Ca:0.1 mg/ml)
1.0 ml及び塩酸(2+1)10 mlを加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する(Y液)。
2.3) 空試験用溶液の調製は,全量フラスコ100 mlに塩酸(2+1)10 mlを加え,更に水を標線まで加
えて混合する(Z液)。
2.4) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,測定波長422.7 nm付近で吸光
度が最大となる波長を設定する。X液,Y液及びZ液をそれぞれフレーム中に噴霧し,吸光度を
測定し,X液の指示値(n1),Y液の指示値(n2)及びZ液の指示値(n3)を読み取る。
2.5) 測定結果は,X液の指示値からZ液の指示値を引いたn1−n3と,Y液の指示値からX液の指示値
を引いたn2−n1とを比較する。
3) 亜鉛(Zn)
3.1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gをビーカー100 mlにとり,塩酸(2+1)5 ml及び水10 mlを加えて
溶かす。これを水浴上で加熱して蒸発乾固し,放冷する。塩酸(2+1)1 ml及び水10 mlを加え
て溶かし,水で全量フラスコ50 mlに移し,水を標線まで加えて混合する(X液)。
3.2) 比較溶液の調製は,試料1.0 gをビーカー100 mlにとり,塩酸(2+1)5 ml,亜鉛標準液(Zn:
0.01 mg/ml)0.5 ml及び水10 mlを加えて溶かす。これを水浴上で加熱して蒸発乾固し,放冷する。
塩酸(2+1)1 ml及び水10 mlを加えて溶かし,水で全量フラスコ50 mlに移し,水を標線まで加
えて混合する(Y液)。
3.3) 空試験用溶液の調製は,ビーカー100 mlに塩酸(2+1)5 mlをとり,水浴上で加熱して蒸発乾固
し,放冷する。塩酸(2+1)1 ml及び水10 mlを加えて溶かし,水で全量フラスコ50 mlに移し,
水を標線まで加えて混合する(Z液)。
3.4) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,測定波長213.9 nm付近で吸光
度が最大となる波長を設定する。X液,Y液及びZ液をそれぞれフレーム中に噴霧し,吸光度を
測定し,X液の指示値(n1),Y液の指示値(n2)及びZ液の指示値(n3)を読み取る。
3.5) 測定結果は,X液の指示値からZ液の指示値を引いたn1−n3と,Y液の指示値からX液の指示値
を引いたn2−n1とを比較する。
e) 判定 d)によって操作し,次に適合するとき,“銅(Cu):質量分率5 ppm以下(規格値),カルシウ
ム(Ca):質量分率0.01 %以下(規格値), 亜鉛(Zn):質量分率5 ppm以下(規格値)鉛(Pb):質
量分率0.001 %以下(規格値),鉄(Fe):質量分率0.001 %以下(規格値)”とする。
n1−n3は,n2−n1より大きくない。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,次の式によって求めることができる。
なお,含有率を質量分率ppmに換算する必要がある場合は,Aに10 000を乗じる。
13
K 8061:2010
100
000
1
1
2
3
1
×
×
−
−
×
=m
n
n
n
n
B
A
ここに,
A: 分析種の含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
6.8
ひ素(As)
ひ素(As)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 亜鉛(ひ素分析用) JIS K 8012に規定する粒径150〜1 400 μmのもの。
2) 硝酸 JIS K 8541に規定するもの(質量分率60〜61 %)。
3) ピリジン JIS K 8777に規定するもの。
4) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。
5) 塩化すず(II)溶液(N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀法用)[塩化すず(II)溶液(AgDDTC法
用)] JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物40 gをJIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分
析用)に溶かし,塩酸(ひ素分析用)で100 mlにする。小粒のJIS K 8580に規定する粒状のすず2
〜3個を加えて保存し,使用時に水で10倍にうすめる。褐色ガラス製瓶に保存する。
6) 塩酸(ひ素分析用)(1+1) 塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の体積1とを混合する。
7) 塩酸(ひ素分析用)(1+3) 塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の体積3とを混合する。
8) 酢酸鉛(II)溶液(100 g/l) JIS K 8374に規定する酢酸鉛(II)三水和物11.6 gを水に溶かして100
mlにした後,JIS K 8355に規定する酢酸0.1 mlを加える。
9) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀・ピリジン溶液(AgDDTC・ピリジン溶液) JIS K 9512に規
定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀(AgDDTC)0.5 gをピリジンに溶かし,ピリジンで
100 mlにする。褐色ガラス製瓶に入れ,冷所に保存する。
10) 水酸化ナトリウム溶液(100 g/l) 6.5 a) 4)による。
11) よう化カリウム溶液(200 g/l) JIS K 8913に規定するよう化カリウム20 gを水に溶かして100 ml
にする。使用時に調製する。
12) ひ素標準液
12.1) ひ素標準液(As:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
12.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1)に準じる。
12.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2)に準じる。
12.1.3) JIS K 8044に規定する三酸化二ひ素1.32 gに水酸化ナトリウム溶液(100 g/l)6 ml及び水500 ml
を加えて溶かす。塩酸(ひ素分析用)(1+3)でpH 3〜5に調節した後,水で全量フラスコ
1 000 mlに移し,水を標線まで加えて混合する。
12.2) ひ素標準液(As:0.001 mg/ml) ひ素標準液(As:1 mg/ml)25 mlを全量フラスコ250 mlに正確
にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。その10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確にはか
りとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 吸収セル 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,光路長が10 mmのもの(必
要な場合に用いる。)。
14
K 8061:2010
2) ひ素試験装置 例を,図1に示す。
3) 分光光度計 JIS K 0115に規定するもの(必要な場合に用いる。)。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料3.0 gをとり,水10 ml,硝酸2 ml及び硫酸1.5 mlを加え,加熱板上で硫酸
の白煙が発生するまで加熱する。冷却後に水20 mlに溶かし,水素化ひ素発生瓶100 mlに入れる。
2) 比較溶液の調製は,ひ素標準液(As:0.001 mg/ml)3.0 mlをとり,水10 ml,硝酸2 ml及び硫酸1.5
mlを加え,加熱板上で硫酸の白煙が発生するまで加熱する。冷却後に水20 mlに溶かし,水素化ひ
素発生瓶100 mlに入れる。
3) 空試験用溶液の調製は,水10 ml,硝酸2 ml及び硫酸1.5 mlを加え,加熱板上で硫酸の白煙が発生
するまで加熱する。冷却後に水20 mlに溶かし,水素化ひ素発生瓶100 mlに入れる。
4) 試料溶液,比較溶液及び空試験用溶液に,塩酸(ひ素分析用)(1+1)5 mlを加え,水で40 mlにす
る。これらによう化カリウム溶液(200 g/l)15 ml及び塩化すず(II)溶液(AgDDTC法用)5 mlを
加えて振り混ぜ,10分間放置する。次に亜鉛(ひ素分析用)3 gを加え,直ちに水素化ひ素発生瓶
100 mlと導管B(あらかじめ水素化ひ素吸収管CにAgDDTC・ピリジン溶液5 mlを入れ,導管B
と水素化ひ素吸収管Cとを連結しておく。)とを連結して約25 ℃の水中で約1時間放置した後,水
素化ひ素吸収管Cを離しピリジンを5 mlの標線まで加える。
5) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を水素化ひ素吸収管Cの上方
又は側方から観察して,赤を比較する。
なお,必要があれば吸収セルを用い,分光光度計で波長510 nm付近の吸収極大の波長における吸
光度を空試験用溶液からのAgDDTC・ピリジン溶液を対照液としてJIS K 0115の6.(特定波長にお
ける吸収の測定)によって測定する。
d) 判定 c)によって操作し,次の1)又は2)に適合するとき,“ひ素(As):質量分率1 ppm以下(規格値)”
とする。
1) 試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の赤より濃くない。
2) 試料溶液から得られた液の吸光度は,比較溶液から得られた液の吸光度より大きくない。
単位 mm
A:水素化ひ素発生瓶100 ml
B:導管
C:水素化ひ素吸収管
D:ゴム栓又はすり合わせ
E:酢酸鉛(II)溶液(100 g/l)で湿したガラスウール
F:40 mlの標線
G:5 mlの標線
15
K 8061:2010
図1−ひ素試験装置の例
7
容器
容器は,気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本産業規格番号
b) 名称 “亜硫酸ナトリウム”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号