K 8048:2010
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法 ························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度(C11H13N3O) ········································································································· 3
6.3 水溶状 ························································································································· 4
6.4 エタノール溶状 ············································································································· 5
6.5 融点 ···························································································································· 6
6.6 強熱残分(硫酸塩) ······································································································· 6
6.7 フェノール分析適合性 ···································································································· 6
7 容器······························································································································· 6
8 表示······························································································································· 7
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本試薬
協会(JRA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきと
の申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによってJIS K 8048:1992は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
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日本工業規格 JIS
K 8048:2010
4-アミノアンチピリン(試薬)
4-Amino antipyrine (Reagent)
C11H13N3O FW:203.24
序文
この規格は,1963年に制定され,その後2回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は,1992年に
行われたが,その後の試験・研究開発などの技術進歩に対応するために改正した。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる4-アミノアンチピリン1)について規定する。
注1) 化学名:4-アミノ-2,3-ジメチル-1-フェニル-5-ピラゾロン
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0064 化学製品の融点及び溶融範囲測定方法
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0068 化学製品の水分測定方法
JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0117 赤外分光分析方法通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS K 8042 アニリン(試薬)
JIS K 8085 アンモニア水(試薬)
JIS K 8101 エタノール(99.5)(試薬)
JIS K 8116 塩化アンモニウム(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
2
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JIS K 8223 過塩素酸(試薬)
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JlS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8798 フェノール(試薬)
JIS K 8801 ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム(試薬)
JIS K 8886 無水酢酸(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
4-アミノアンチピリンは,うすい黄色からうすい黄褐色の結晶又は結晶性粉末で,水及びエタノールに
溶けやすく,ジエチルエーテルに溶けにくい。
4.2
定性方法
試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数3 430 cm−1,3 325 cm−1,
1 647 cm−1,1 588 cm−1,1 496 cm−1,1 352 cm−1,1 273 cm−1,1 189 cm−1,757 cm−1,666 cm−1及び
569 cm−1付近に主な吸収ピークを認める。この場合,試料調製はJIS K 0117の5.3(粉体)のa)(錠剤法)
による。錠剤の調製に臭化カリウムを用いたときの赤外吸収スペクトルの例を,図1に示す。
図1−赤外吸収スペクトルの例
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
3
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表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(C11H13N3O)
質量分率 %
99.0 以上
6.2
水溶状
試験適合
6.3
エタノール溶状
試験適合
6.4
融点
℃
107〜110
6.5
強熱残分(硫酸塩)
質量分率 %
0.05 以下
6.6
フェノール分析適合性
6.7
発色適合性
吸光度
0.45以上
空試験適合性
吸光度
0.02以下
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(C11H13N3O)
純度(C11H13N3O)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 酢酸(非水滴定用) JIS K 8042に規定するアニリン1 gをJIS K 8355に規定する酢酸で溶かし酢
酸で100 mlにしたものをA液とする。正確にA液25 mlをとり,0.1 mol/l過塩素酸(酢酸溶媒)で
電位差滴定したときの滴定量をV1 mlとする。また,正確にA液25 mlをとり,酢酸75 mlを加え
0.1 mol/l過塩素酸(酢酸溶媒)で電位差滴定したときの滴定量をV2 mlとする。V2−V1は,0.1 ml
以下である。
なお,酢酸(非水滴定用)の水分測定は,JIS K 0068の6.3.5 a)(直接滴定)による。試料10 g
を用いる。この場合,滴定溶媒はメタノールに代えて,クロロホルム及びアルキレンカルボネート
を主成分とするカールフィッシャー用脱水溶剤40 mlを用いる。
2) 0.1 mol/l過塩素酸(酢酸溶媒)(HClO4:10.05 g/l) 0.1 mol/l過塩素酸(酢酸溶媒)の調製,標定
及び計算は,次による。
2.1) 調製 あらかじめ水分を測定した酢酸(非水滴定用)1 000 gをはかりとる。あらかじめ純度を測
定したJIS K 8223に規定する過塩素酸(質量分率70〜72 %)14 gを加え,次の式によって算出し
たJIS K 8886に規定する無水酢酸a gを加え混合した後,気密容器に入れて保存する。 調製後1
時間以上放置したものを用いる。
7.5
0.5]
)
100
14
100
000
[(1
2
1
×
−
×
+
×
=
W
W
a
ここに,
a: 無水酢酸の質量(g)(水を質量分率0.05 %に調節するための量)
W1: 酢酸(非水滴定用)の水分(質量分率 %)
W2: [100−過塩素酸の濃度(質量分率 %)]から求めた過塩素酸の
水分(質量分率 %)
0.5: 調製液中の水分質量分率約0.05 %を残すための数値
5.7: 水分量を無水酢酸量に換算するための係数
2.2) 標定 JIS K 8005に規定する容量分析用標準物質など2)のフタル酸水素カリウムの必要量をめの
う乳鉢で軽く砕いて,120 ℃で約60分間乾燥した後,デシケーターに入れて放冷する。その
0.5〜0.6 gを0.1 mgのけたまではかりとり,コニカルビーカー200 mlに移し,酢酸(非水滴定用)
50 mlを加え,JIS K 0113の5.(電位差滴定方法)によって,指示電極にガラス電極,参照電極に
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銀−塩化銀電極を用いて,2.1)で調製した液で電位差滴定を行う。
別に,酢酸(非水滴定用)50 mlをコニカルビーカー200 mlにはかりとり,同一条件で空試験を
行って滴定量を補正する。
注2) 容量分析に用いることが可能な標準物質であり,使用する場合は,認証書に定める使用
方法などによる。ただし,認証書のある標準物質を入手できない場合は,市販の含有率
が明らかな標準物質も用いることができ,使用する場合は,その説明書などによる。
2.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
)
(
422
020
.0
2
1
A
V
V
m
f
×
×
=
−
ここに,
f: 0.1 mol/l過塩素酸(酢酸溶媒)のファクター
m: はかりとったフタル酸水素カリウムの質量(g)
A: フタル酸水素カリウムの純度(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/l過塩素酸(酢酸溶媒)の体積(ml)
V2: 空試験に要した0.1 mol/l過塩素酸(酢酸溶媒)の体積
(ml)
0.020 422: 0.1 mol/l過塩素酸(酢酸溶媒)1 mlに相当するフタル酸
水素カリウムの質量(g)
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
電位差滴定装置 JIS K 0113に規定するもので,指示電極にガラス電極,参照電極に銀−塩化銀電
極を用いる。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
試料0.4 gを0.1 mgのけたまではかりとり,酢酸(非水滴定用)50 mlを加えて溶かし,0.1 mol/l過
塩素酸(酢酸溶媒)でJIS K 0113の5.(電位差滴定方法)によって滴定を行う。別に,同一条件によ
って空試験を行い,滴定量を補正する。
d) 計算 計算は,次による。
100
)
(
324
020
.0
2
1
×
×
−
×
=
m
f
V
V
A
ここに,
A: 純度(C11H13N3O)(質量分率 %)
V1: 試料の滴定に要した0.1 mol/l過塩素酸(酢酸溶媒)の体
積(ml)
V2: 空試験の滴定に要した過塩素酸(酢酸溶媒)の体積(ml)
f: 0.1 mol/l過塩素酸(酢酸溶媒)のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.020 324: 0.1 mol/l過塩素酸(酢酸溶媒)溶液1 mlに相当する4-
アミノアンチピリンの質量(g)
6.3
水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60〜61 %)の体積1と水の体積2とを混合す
る。
2) 硝酸銀溶液(20 g/l) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mlにする。褐色ガラス
製瓶に保存する。
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3) 塩化物標準液
3.1) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
3.1.1) 計量標準供給制度[JCSS3)]に基づく標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致し
た場合に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する。
3.1.2) JCSS以外の認証標準液で酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,必要な
場合は,適切な方法で希釈して使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液がない場合は,市販
の標準液を用いる。
3.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム1.65 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,
水を標線まで加えて混合する。
注3) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。
3.2) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml
に正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“澄明”を用いる。
塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)0.2 mlを共通すり合わせ平底試験管にとり,水10 ml,硝酸(1+2)
1 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加え,更に水を加えて20 mlとし,振り混ぜてから15分間放置
する。
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 例として,容量50 ml,直径約23 mmで目盛のあるもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加えて溶かし20 mlにする。
2) 試料を溶かした直後に濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を上方又
は側方から観察する。
e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“水溶状:試験適合”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。
6.4
エタノール溶状
エタノール溶状の試験方法は,次による。
a) 試薬 試薬は,次のものを用いる。
エタノール(99.5) JIS K 8101に規定するもの。
b) 濁りの程度の適合限度標準 6.3 b) による。
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,エタノール(99.5)を加えて溶かし20 mlにする。
2) 試料を溶かした直後に濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を上方又
は側方から観察する。
e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“エタノール溶状:試験適合”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。
6.5
融点
6
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
融点は,JIS K 0064の3.(融点測定方法)による。
6.6
強熱残分(硫酸塩)
強熱残分(硫酸塩)は,JIS K 0067の4.4.4 (4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)による。この場
合,試料2 gを0.1 mgのけたまではかりとる。JIS K 8951に規定する硫酸1 mlを用い,強熱温度は,600
±50 ℃とする。
6.7
フェノール分析適合性
フェノール分析適合性の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) アンモニア性塩化アンモニウム溶液(pH 10) JIS K 8116に規定する塩化アンモニウム7 gにJIS K
8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0〜30.0 %)10 ml及び水を加えて溶かし,水で100 ml
にする。ポリエチレン製瓶などに密栓して保存する。
2) ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム溶液(50 g/l) JIS K 8801に規定するヘキサシアノ鉄(III)酸カ
リウム5 gを水に溶かして100 mlにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
3) フェノール標準液
3.1) フェノール標準液(C6H5OH:1 mg/ml) JIS K 8798に規定するフェノール1.00 gを全量フラス
コ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。使用時に調製する。
3.2) フェノール標準液(C6H5OH:0.01 mg/ml) フェノール標準液(C6H5OH:1 mg/ml)10 mlを全
量フラスコ1 000 mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。使用時に調製する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 吸収セル 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,光路長が10 mmのもの。
2) 分光光度計 JIS K 0115に規定するもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液及び空試験用溶液の調製
1.1) 試料2.0 gを全量フラスコ100 mlにとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する(A液)。
1.2) 試料溶液の調製は,全量フラスコ50 mlにフェノール標準液(C6H5OH:0.01 mg/ml)20 mlをとり,
アンモニア性塩化アンモニウム溶液(pH 10)3 ml及びA液2.0 mlを正確に加え,振り混ぜる。こ
れにヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム溶液(50 g/l)4 mlを加えて振り混ぜた後,水を標線まで加
えて混合する。
1.3) 空試験用溶液の調製は,フェノール標準液の代わりに水20 mlを用いて試料溶液と同一操作を行う。
2) 発色適合性 吸収セルを用い,波長510 nm付近の吸収極大の波長における測定溶液の吸光度を,空
試験用溶液を対照液としてJIS K 0115の6.(特定波長における吸収の測定)によって測定する。
3) 空試験適合性 吸収セルを用い,発色適合性と同じ波長で空試験用溶液の吸光度を,水を対照液と
してJIS K 0115の6.によって測定する。
7
容器
容器は,遮光した気密容器とする。
7
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称 “4-アミノアンチピリン”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号