K 8032:2013
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 3
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度(CH3CN)(GC) ···································································································· 3
6.3 水溶状 ························································································································· 4
6.4 密度(20 ℃) ··············································································································· 5
6.5 屈折率
20
D
n····················································································································· 5
6.6 水分 ···························································································································· 5
6.7 不揮発物 ······················································································································ 5
6.8 酸(CH3COOHとして) ································································································· 5
6.9 シアン化水素 ················································································································ 8
6.10 過マンガン酸還元性物質 ································································································ 8
7 容器······························································································································· 9
8 表示······························································································································· 9
K 8032:2013
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8032:1995は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成25年9月20日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 8032:1995によることができる。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 8032:2013
アセトニトリル(試薬)
Acetonitrile (Reagent)
CH3CN FW:41.05
序文
この規格は,1953年に制定され,その後5回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は1995年に
行われたが,その後の試験・研究開発などの技術進歩に対応するために改正した。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いるアセトニトリルについて規定する。
警告 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とする。
この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするものではない。
この規格の利用者は,SDS(安全データシート),MSDS(化学物質等安全データシート:JIS Z
7250‐2012年廃止,猶予期間2016年まで)などを参考にして各自の責任において安全及び健
康に対する適切な措置をとらなければならない。
なお,アセトニトリルは引火性が強いので,火気を避け,また有害なので,蒸気を吸入しな
いように,皮膚・粘膜に付着しないようにする。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0061 化学製品の密度及び比重測定方法
JIS K 0062 化学製品の屈折率測定方法
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0068 化学製品の水分測定方法
JIS K 0114 ガスクロマトグラフィー通則
JIS K 0117 赤外分光分析方法通則
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8142 塩化鉄(III)六水和物(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
2
K 8032:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8247 過マンガン酸カリウム(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8603 ソーダ石灰(試薬)
JIS K 8842 ブロモチモールブルー(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8978 硫酸鉄(II)七水和物(試薬)
JIS K 9007 りん酸二水素カリウム(試薬)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS R 3505 ガラス製体積計
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
アセトニトリルは,無色の液体で特異なにおいがある。水,エタノール及びジエチルエーテルに極めて
溶けやすい。沸点は約82 ℃である。
4.2
定性方法
試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117に従って測定すると,波数3 164 cm-1,3 003 cm-1,2 944 cm-1,
2 293 cm-1,2 253 cm-1,1 444 cm-1,1 375 cm-1,1 039 cm-1,918 cm-1及び749 cm-1付近に主な吸収ピークを
認める。試料調製をJIS K 0117の5.4 a)(液膜法)によって行い,窓板に臭化カリウムを用いたときの赤
外吸収スペクトルの例を図1に示す。
3
K 8032:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図1−赤外吸収スペクトルの例
注記 図1は,独立行政法人産業技術総合研究所のSDBSから引用したものである。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(CH3CN)(GC)
質量分率 %
99.5以上
6.2
水溶状
試験適合
6.3
密度(20 ℃)
g/ml
0.780〜0.784
6.4
屈折率
20
D
n
1.343〜1.346
6.5
水分
質量分率 %
0.1以下
6.6
不揮発物
質量分率 %
0.005以下
6.7
酸(CH3COOHとして)
質量分率 %
0.01以下
6.8
シアン化水素
試験適合
6.9
過マンガン酸還元性物質
試験適合
6.10
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(CH3CN)(GC)
純度(CH3CN)(GC)の試験方法は,次による。
a) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) マイクロシリンジ又は試料導入装置 少量の定容量の測定溶液をガスクロマトグラフのカラムに導
入するマイクロシリンジ又は装置。
2) ガスクロマトグラフ JIS K 0114に規定するもの。
b) 分析条件 分析条件は,次による。
4
K 8032:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
なお,別の分析条件でも同等の試験結果が得られることが確認されている場合には,その条件を用
いてもよい。
1) 検出器の種類 水素炎イオン化検出器
2) 固定相液体名 ポリエチレングリコール
3) 固定相液体の膜厚 0.25 μm
4) カラム用キャピラリーの材質,内径及び長さ 石英ガラス,0.25 mm,30 m
5) 設定温度 カラム槽 60 ℃
試料気化室 110 ℃
検出器槽 250 ℃
6) キャリヤーガスの種類及び流量 ヘリウム,1.2〜1.5 ml/min
7) 試料の導入方式 スプリット注入法(スプリット比 1:100〜200)
8) 試料の導入量 0.2 μl
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料の導入及び記録 試料をマイクロシリンジ又は試料導入装置を用いてガスクロマトグラフに導
入してクロマトグラムを記録する。
なお,あらかじめアセトニトリルの保持時間を確認しておく。
2) ピーク面積の測定 クロマトグラムのピーク面積の測定は,JIS K 0114の11.3 a)(データ処理ソフ
ト又はデータ処理装置を用いる方法)による。
d) 定量法 各成分のピーク面積を測定し,JIS K 0114の11.5(面積百分率法)によって純度(CH3CN)
(GC)を求める。
6.3
水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60〜61 %)の体積1と水の体積2とを混合す
る。
2) 硝酸銀溶液(20 g/l) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mlにする。褐色ガラス
製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液
3.1) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
3.1.1) 計量標準供給制度[JCSS 1)]に基づく標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致し
た場合に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する。
3.1.2) JCSS以外の認証標準液で酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,必要な
場合は,適切な方法で希釈して使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液がない場合は,市販
の標準液を用いる。
3.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム1.65 gを全量フラスコ1 000 mlにはかりとり,水を加えて
溶かし,水を標線まで加えて混合する。
注1) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。
3.2) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに
正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準(“澄明”)は,次による。
5
K 8032:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)0.2 mlを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水10 ml,硝酸
(1+2)1 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加え,更に水を加えて20 mlとし,振り混ぜてから15
分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 濁り,ごみなどの有無が確認しやすい大きさで,目盛のあるもの。例
として,容量50 ml,直径約23 mmのもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料5.0 mlを共通すり合わせ平底試験管に入れ,水を加えて混合し20 mlにす
る。
2) 直後に,試料溶液の濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を共通すり
合わせ平底試験管の上方又は側面から観察する。
e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“水溶状:試験適合”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めない。
6.4
密度(20 ℃)
密度(20 ℃)の試験方法は,JIS K 0061の7.2(比重瓶法)又は7.3(振動式密度計法)による。
6.5
屈折率
20
D
n
屈折率
20
D
nの試験方法は,JIS K 0062による。
6.6
水分
水分の試験方法は,JIS K 0068の6.3(容量滴定法)又は,6.4(電量滴定法)による。ただし,容量滴
定法の場合,試料10 g(12.8 ml)をはかりとり,溶媒はメタノールとする。電量滴定法の場合,試料5 g
(6.4 ml)をはかりとる。
6.7
不揮発物
不揮発物の試験方法は,JIS K 0067の4.3.4(1)(第1法 水浴上で加熱蒸発する方法)による。ただし,
この場合,試料20 gをはかりとる。
6.8
酸(CH3COOHとして)
酸(CH3COOHとして)の試験方法は,次による。
a) 試薬,ガス及び試験用溶液類 試薬,ガス及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) ソーダ石灰 JIS K 8603に規定するもの(必要な場合に用いる)。
3) 窒素 JIS K 1107に規定するもの。
4) 塩酸(0.05 mol/l) JIS K 8180に規定する塩酸90 mlをはかりとり,水を加えて1 000 mlとし,混合
する。その10 mlをはかりとり,水を加えて200 mlとし,混合する。気密容器に入れて保存する。
5) 水酸化カリウム溶液(250 g/l) JIS K 8574に規定する水酸化カリウム29.4 gを水に溶かして100 ml
にする(必要な場合に用いる。)。ポリエチレン製瓶などに保存する。
6) 二酸化炭素を除いた水 次の6.1)〜6.4)のいずれか,又はそれらの二つ以上を組み合わせたものを用
い,使用時に調製する。
6.1) 水をフラスコに入れ,加熱し,沸騰が始まってから5分間以上その状態を保つ。加熱を止め,フ
ラスコの口を時計皿で軽く蓋をして少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶に水酸化カリ
ウム溶液(250 g/l)を入れたもの,又はソーダ石灰管を連結して空気中の二酸化炭素を遮り,冷却
6
K 8032:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
したもの。
6.2) 水をフラスコに入れ,水の中に窒素を15分間以上通じたもの。
6.3) 水から二酸化炭素分離膜をもつガス分離管を用いて二酸化炭素を除いたもの。
6.4) 18 MΩ・cm以上の抵抗率のある水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立てないように採取したも
の。ただし,採水後速やかに用いる。
7) pH 6.8の緩衝液(りん酸二水素カリウム−水酸化ナトリウム混合溶液) pH 6.8の緩衝液は,次に
よって調製する。
7.1) 0.1 mol/l りん酸二水素カリウム溶液 JIS K 9007に規定するりん酸二水素カリウム(pH標準液
用)6.80 g(質量分率100 %としての相当質量)を全量フラスコ500 mlに入れ,適量の二酸化炭素
を除いた水で溶かし,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合する。ほうけい酸ガラス製瓶,
ポリエチレン製瓶などに保存する。
7.2) 0.2 mol/l 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:8.00 g/l) 調製は,次による。
7.2.1) 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:40.00 g/l) 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の調製,標定
及び計算は,次による。
注記 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の調製,標定及び計算は,JIS K 8001のJA.5.2(滴定用
溶液の調製,標定及び計算)r) 1)と同じである。
7.2.1.1) 調製 JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム165 gをポリエチレン製などの気密容器500 ml
にはかりとり,水150 mlを加えて溶かした後,二酸化炭素を遮り4〜5日間放置する。その上
澄み液54 mlをポリエチレン製などの気密容器1 000 mlに入れ,二酸化炭素を除いた水を加え
て1 000 mlとし,混合した後,ソーダ石灰管を付けて保存する。
7.2.1.2) 標定 標定は,認証標準物質2) 又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のアミド硫酸を
用い,次のとおり行う。
7.2.1.2.1) 認証標準物質2) のアミド硫酸を用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
7.2.1.2.2) 容量分析用標準物質のアミド硫酸を用いる場合は,必要量をめのう乳鉢で軽く砕いた後,上
口デシケーター(減圧デシケーター)に入れ,上口デシケーター内圧2.0 kPa以下で約48時
間乾燥する。
7.2.1.2.3) 認証標準物質2) 又は容量分析用標準物質のアミド硫酸2.4〜2.6 gを0.1 mgの桁まではかりと
り,コニカルビーカー100 mlに移し,水25 mlを加えて溶かした後,指示薬としてブロモチ
モールブルー溶液数滴を加え,7.2.1.1)で調製した1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液で滴定する。
終点は,液の色が黄から青みの緑になる点とする。
注2) 容量分析に用いることが可能な認証書の付いた標準物質で,不確かさが算出され国
際単位系(SI)へのトレーサビリティが保証されたもの。ただし,認証書のある標
準物質を入手できない場合には,含有率が明らかな市販の標準物質を用いることが
でき,その説明書に従って使用する。
なお,認証標準物質の供給者としては,独立行政法人産業技術総合研究所計量標
準総合センター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST)などの国家計量機関及
び認証標準物質生産者がある。
7.2.1.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
09
097
.0
A
V
m
f
×
×
=
7
K 8032:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ここに,
f: 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとったアミド硫酸の質量(g)
A: アミド硫酸の純度(質量分率 %)
V: 滴定に要した1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の体積(ml)
0.097 09: 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液1 mlに相当するアミド硫酸
の質量を示す換算係数(g/ml)
7.2.2) 0.2 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の調製 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファクターから計算し
た必要な体積を正確に全量フラスコ100 mlに入れ,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混
合し,ソーダ石灰管を付けてポリエチレン製などの気密容器に入れる。
7.3) pH 6.8の緩衝液の調製 0.1 mol/l りん酸二水素カリウム溶液50 ml及び0.2 mol/l 水酸化ナトリウ
ム溶液11.82 mlを全量フラスコ100 mlに入れ,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合する。
ほうけい酸ガラス製瓶,ポリエチレン製瓶などに保存する。
8) ブロモチモールブルー溶液 JIS K 8842に規定するブロモチモールブルー0.10 gをエタノール(95)
50 mlに溶かし,水で100 mlにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
9) 0.05 mol/l 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:2.00 g/l) 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液10 mlを全量フ
ラスコ200 mlに正確に入れ,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合する。使用時に調製し,
ポリエチレン製などの気密容器に入れる。ファクターは,1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファクタ
ーを用いる。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
メスピペット JIS R 3505に規定するもので,最小目盛0.01 mlのもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,あらかじめ窒素を約200 ml/minの流量で約2分間通じて空気を置換した三角フ
ラスコ200 mlなどに,試料20 ml及び二酸化炭素を除いた水50 mlを入れ,ブロモチモールブルー
溶液3滴を加え,窒素を液面に通じながらメスピペットを用いて液の色が中間色3) になるまで0.05
mol/l 水酸化ナトリウム溶液又は塩酸(0.05 mol/l)で中和した後,試料10 g(12.8 ml)を速やかに
加え,共通すり合わせ三角フラスコの上方又は側面から液の色を観察する。
2) 試料溶液が中間色から酸性側の色(黄)の場合は,液面に窒素を通じながらメスピペットを用いて
0.05 mol/l 水酸化ナトリウム溶液0.34 mlを加え,共通すり合わせ三角フラスコの上方又は側面から
液の色を観察する。ただし,0.05 mol/l水酸化ナトリウム溶液のファクターが1.00でない場合は,
加える体積を補正する。
注3) 共通すり合わせ三角フラスコ200 mlなどにpH 6.8の緩衝液約70 mlを入れ,ブロモチモー
ルブルー溶液3滴を加えたときの緑。
d) 判定 c)によって操作し,次の1)又は2)に適合するとき,“酸(CH3COOHとして):質量分率0.01 %
以下(規格値)”とする。
1) 試料溶液の色は,中間色からアルカリ性色(青)になる。
2) 試料溶液から得られた液の色は,中間色からアルカリ性色(青)になる。
注記 酸(CH3COOHとして)の含有率(質量分率 %)を求める場合は,次の式によって計算す
る。
100
6
002
003
.0
×
×
×
=
m
f
V
A
ここに,
A: 酸(CH3COOHとして)の含有率(質量分率 %)
8
K 8032:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
V: 0.05 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の体積(ml)
f: 0.05 mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.003 002 6: 0.05 mol/l 水酸化ナトリウム溶液1 mlに相当する
CH3COOHの質量を示す換算係数(g/ml)
6.9
シアン化水素
シアン化水素の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩化鉄(III)溶液(50 g/l) JIS K 8142に規定する塩化鉄(III)六水和物8.4 gに塩酸(2+1)9 ml
及び水を加えて溶かし,水で100 mlにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
2) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸の体積2と水の体積1とを混合する。
3) 水酸化ナトリウム溶液(300 g/l) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム30.9 gを水に溶かして
100 mlにする。ポリエチレン製瓶などに保存する。
4) 硫酸(1+5) 水の体積5を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々に
加える。
5) 硫酸鉄(II)溶液(100 g/l) JIS K 8978に規定する硫酸鉄(II)七水和物18.3 gに硫酸(1+5)30 ml
及び水を加えて溶かし,水で100 mlにする。使用時に調製する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
c) 操作 操作は,局所排気装置の下又はドラフト内で,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 g(2.6 ml)を共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,硫酸鉄(II)溶
液(100 g/l)0.1 ml,塩化鉄(III)溶液(50 g/l)0.1 ml及び水酸化ナトリウム溶液(300 g/l)0.1 ml
を入れ,直ちに硫酸(1+5)0.5 mlを加え,10分間放置する。
2) 白の背景を用いて,試料溶液の色を,共通すり合わせ平底試験管の上方又は側面から観察する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“シアン化水素:試験適合”とする。
試料溶液には,青色が現れない。
6.10 過マンガン酸還元性物質
過マンガン酸還元性物質の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硫酸(1+1) 水の体積1を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々に
加える。
2) 0.02 mol/l 過マンガン酸カリウム溶液(KMnO4:3.161 g/l) 0.02 mol/l 過マンガン酸カリウム溶液の
調製,標定及び計算は,次による。
注記 0.02 mol/l 過マンガン酸カリウム溶液の調製,標定及び計算は,JIS K 8001のJA.5.2(滴定
用溶液の調製,標定及び計算)g)と同じである。
2.1) 調製 JIS K 8247に規定する過マンガン酸カリウム3.2 gをビーカー2 000 mlにはかりとり,水
1 050 mlを加えて1〜2時間穏やかに煮沸した後,約18時間暗所に放置する。その上澄み液をJIS
R 3503に規定するブフナー漏斗形ガラスろ過器(17G4又は25G4)を用いてろ過する。この場合,
ブフナー漏斗形ガラスろ過器は,ろ過の前に水洗はしない。約30分間水蒸気洗浄した褐色の気密
容器に保存する。
2.2) 標定 標定は,認証標準物質2) 又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のしゅう酸ナトリ
9
K 8032:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ウムを用い,次のとおり行う。
2.2.1) 認証標準物質2) のしゅう酸ナトリウムを用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
2.2.2) 容量分析用標準物質のしゅう酸ナトリウムを用いる場合は,必要量をめのう乳鉢で軽く砕いて,
130 ℃で約2時間乾燥した後,デシケーターに入れて放冷する。
2.2.3) 認証標準物質2) 又は容量分析用標準物質の0.20〜0.24 gを0.1 mgの桁まではかりとり,コニカル
ビーカー500 mlに移し,水200 mlを加えて溶かす。硫酸(1+1)20 mlを加え,液温を25〜30 ℃
にし,緩くかき混ぜながら2.1)で調製した0.02 mol/l 過マンガン酸カリウム溶液を,滴定所要量
の約2 ml手前までビュレットのコックを全開にして加え,液の紅色が消えるまで放置する。次
に,50〜60 ℃に加熱し,引き続き滴定する。終点は,液の薄い紅色が約30秒間残る点とする。
別に,水200 ml及び硫酸(1+1)20 mlをコニカルビーカー500 mlにはかりとり,50〜60 ℃
に加熱し,同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
(
)100
00
7
006
.0
2
1
A
V
V
m
f
×
×
=
−
ここに,
f: 0.02 mol/l 過マンガン酸カリウム溶液のファクター
m: はかりとったしゅう酸ナトリウムの質量(g)
A: しゅう酸ナトリウムの純度(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.02 mol/l 過マンガン酸カリウム溶液の体
積(ml)
V2: 空試験に要した0.02 mol/l 過マンガン酸カリウム溶液の
体積(ml)
0.006 700: 0.02 mol/l 過マンガン酸カリウム溶液1 mlに相当するし
ゅう酸ナトリウムの質量を示す換算係数(g/ml)
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料4.0 g(5.1 ml)を共通すり合わせ平底試験管に入れ,0.02 mol/l 過マンガン
酸カリウム溶液0.05 mlを加え,振り混ぜる。光を遮り(遮光し)30分間放置する。ただし,0.02 mol/l
過マンガン酸カリウム溶液のファクターが1.00でない場合は,加える体積を補正する。
2) 白の背景を用いて,試料溶液の色を,共通すり合わせ平底試験管の上方又は側面から観察する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“過マンガン酸還元性物質:試験適合”とする。
試料溶液は,紅色を保つ。
7
容器
容器は,気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称 “アセトニトリル”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
10
K 8032:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号