K 8027:2020
(1)
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 1
4 性質······························································································································· 1
4.1 性状 ···························································································································· 1
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度(CH3COCH2COCH3)(GC) ···················································································· 3
6.3 外観(色) ··················································································································· 3
6.4 水溶状 ························································································································· 3
6.5 エタノール溶状 ············································································································· 4
6.6 密度(20 ℃) ················································································································ 4
6.7 屈折率n20D ····················································································································· 5
6.8 水分 ···························································································································· 5
6.9 酸(CH3COOHとして) ································································································· 5
6.10 不揮発物 ····················································································································· 5
7 容器······························································································································· 6
8 表示······························································································································· 6
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(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人
日本試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を
改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本産業規格で
ある。これによって,JIS K 8027:2014は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,令和2年8月19日までの間は,産業標準化法第30条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 8027:2014を適用してもよい。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
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アセチルアセトン(試薬)
Acetylacetone (Reagent)
CH3COCH2COCH3 FW:100.12
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いるアセチルアセトンについて規定する。
注記 別名:2,4-ペンタンジオン,ジアセチルメタン
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0061 化学製品の密度及び比重測定方法
JIS K 0062 化学製品の屈折率測定方法
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0068 化学製品の水分測定方法
JIS K 0071-1 化学製品の色試験方法−第1部:ハーゼン単位色数(白金−コバルトスケール)
JIS K 0114 ガスクロマトグラフィー通則
JIS K 0117 赤外分光分析通則
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8840 ブロモクレゾールグリーン(試薬)
JIS K 8896 メチルレッド(試薬)
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
アセチルアセトンは,無色からうすい黄の液体で,光の影響下で重合することがあり,徐々に黄が濃く
なる。エタノール(99.5)及びジエチルエーテルに極めて溶けやすく,水に溶けやすい。沸点は約141 ℃
2
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である。
4.2
定性方法
試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117に従って測定すると,波数3 006 cm-1,2 924 cm-1,1 729 cm-1,
1 710 cm-1,1 622 cm-1,1 422 cm-1,1 361 cm-1,1 249 cm-1及び780 cm-1付近に主な吸収ピークを認める。こ
の場合,試料調製は,JIS K 0117の5.4 a)(液膜法)による。窓板に臭化カリウムを用いたときの赤外吸
収スペクトルの例を図1に示す。
[出典:国立研究開発法人産業技術総合研究所の有機化合物のスペクトルデータベース(SDBS)
(チャート上にピークの波数を追記)]
図1−赤外吸収スペクトルの例
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(CH3COCH2COCH3)(GC)
面積分率 %
99.0以上
6.2
外観(色)
ハーゼン単位
100以下
6.3
水溶状
−
試験適合
6.4
エタノール溶状
−
試験適合
6.5
密度(20 ℃)
g/mL
0.971〜0.978
6.6
屈折率n20D
−
1.450〜1.454
6.7
水分
質量分率 %
0.2以下
6.8
酸(CH3COOHとして)
質量分率 %
0.3以下
6.9
不揮発物
質量分率 %
0.03以下
6.10
3
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6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(CH3COCH2COCH3)(GC)
純度(CH3COCH2COCH3)(GC)の試験方法は,次による。
a) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) マイクロシリンジ又は試料導入装置 少量の定容量の測定溶液を,ガスクロマトグラフに導入でき
るもの。
2) ガスクロマトグラフ 装置の構成は,JIS K 0114に規定するもの。
b) 分析条件 分析条件は,次による。
なお,別の分析条件でも同等の試験結果が得られることが確認されている場合には,その条件を用
いてもよい。
1) 検出器の種類 水素炎イオン化検出器
2) キャピラリーカラム
・ 材質 石英ガラス
・ 内径 0.2 mm〜0.53 mm
・ 長さ 20 m〜50 m
・ 固定相液体の種類 ジメチルポリシロキサン
・ 固定相液体の膜厚 0.33 µm〜5 μm
3) 設定温度
・ カラム槽 150 ℃
・ 試料気化室 250 ℃
・ 検出器槽 250 ℃
4) キャリヤーガス
・ 種類 ヘリウム
・ 流量 1.3 mL/min〜5.0 mL/min
5) 試料の導入方式 スプリット注入法(スプリット比 1:5〜1:100)
6) 試料の導入量 1.0 μL
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料をマイクロシリンジ又は試料導入装置を用いてガスクロマトグラフに導入してクロマトグラム
を記録する。
なお,あらかじめアセチルアセトンの保持時間を確認しておく。
2) クロマトグラムのピーク面積の測定は,JIS K 0114の11.3 a)(データ処理ソフト又はデータ処理装
置を用いる方法)による。
d) 計算 検出したピークの面積を測定し,JIS K 0114の11.5(面積百分率法)によって純度
(CH3COCH2COCH3)(GC)を求める。
6.3
外観(色) 外観(色)の試験方法は,JIS K 0071-1の箇条7(測色計による測定)又は箇条8(目
視による測定)による。
6.4
水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
4
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a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合したもの。
2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,更に水
を加えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“澄明”を用いる。
澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.2 mLを共通すり合わせ平底試験管[c)
参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,更に水を加えて
20 mLとし,振り混ぜてから15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせ平底試験管 容量50 mL,直径約24 mmで目盛りのあるもの。
d) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料2 g(2.1 mL)を共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて混合
し,更に水を加えて20 mLにする。
2) 試料を溶かした直後に,試料溶液の濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の
有無を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。
e) 判定 次の1)及び2)に適合するとき,“水溶状:試験適合(規格値)”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。
6.5
エタノール溶状
エタノール溶状の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) 硝酸(1+2) 6.4 a) 1)による。
3) 硝酸銀溶液(20 g/L) 6.4 a) 2)による。
4) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 6.4 a) 3)による。
b) 濁りの程度の適合限度標準 6.4 b)による。
c) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせ平底試験管 6.4 c)による。
d) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料2 g(2.1 mL)を共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,エタノール(95)
を加えて混合し,更にエタノール(95)を加えて20 mLにする。
2) 試料を溶かした直後に,試料溶液の濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の
有無を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。
e) 判定 次の1)及び2)に適合するとき,“エタノール溶状:試験適合(規格値)”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。
6.6
密度(20 ℃)
密度(20 ℃)の試験方法は,JIS K 0061の7.2(比重瓶法)又は7.3(振動式密度計法)による。
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6.7
屈折率n20D
屈折率n20Dの試験方法は,JIS K 0062による。
6.8
水分
水分の試験方法は,JIS K 0068の6.3(容量滴定法)又は6.4(電量滴定法)による。ただし,試料量は,
容量滴定法の場合は5.0 g(5.1 mL)をはかりとり,電量滴定法の場合は1.0 g(1.0 mL)をはかりとる。滴
定溶媒又は電解液は,ピリジン−エチレングリコール混合液(ピリジンの体積5とエチレングリコールの
体積1とを混合する。)又は使用に適切な市販のケトン類水分測定溶媒を用いる。
6.9
酸(CH3COOHとして)
酸(CH3COOHとして)の試験方法は,次による。
a) ガス及び試験用溶液類 ガス及び試験用溶液類は,次による。
1) 窒素 純度がJIS K 1107に規定する2級以上のもの。
2) 0.02 mol/L 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:0.799 9 g/L) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム
を用い,JIS K 8001のJA.6.5 c) 2)(0.02 mol/L 水酸化ナトリウム溶液)に従って調製する。
3) 0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:4.000 g/L) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウムを
用い,JIS K 8001のJA.6.4 r) 4)(0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液)に従って調製,標定及び計算す
る。
4) 二酸化炭素を除いた水 JIS K 8001の5.8 c)(二酸化炭素を除いた水)による。
5) ブロモクレゾールグリーン−メチルレッド溶液 JIS K 8840に規定するブロモクレゾールグリーン
0.15 g及びJIS K 8896に規定するメチルレッド0.10 gをはかりとり,JIS K 8102に規定するエタノ
ール(95)を加えて溶かし,更にJIS K 8102に規定するエタノール(95)を加えて200 mLにする。
調製した溶液は,褐色ガラス製瓶に保存する。
b) 器具 主な器具は,次による。
1) メスピペット又はミクロビュレット 最小目盛0.01 mLのもの。
2) シリンジ 容量10 mL〜50 mLのもの。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,あらかじめ窒素を約200 mL/minの流量で約2分間通じて,空気を置換した三角
フラスコ200 mLに二酸化炭素を除いた水50 mL及びブロモクレゾールグリーン−メチルレッド溶
液3滴を速やかに加え,液面に窒素を通じながら,0.02 mol/L 水酸化ナトリウム溶液を液の色が緑
になるまでメスピペット又はミクロビュレットを用いて加える。
2) 直ちに,シリンジなどを用いて試料2 g(約2.1 mL)を加え,液面に窒素を通じながら,メスピペ
ット又はミクロビュレットを用いて,0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液1.0 mLを加え,液の色を観
察する。
d) 判定 試料溶液から得られた液の色が,アルカリ性側の色(緑)を示すとき,“酸(CH3COOHとして):
質量分率0.3 %以下(規格値)”とする。
注記 0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液1 mLは,0.006 005 g CH3COOHに相当する。
6.10
不揮発物
不揮発物の試験方法は,JIS K 0067の4.3.4(1)(第1法 水浴上で加熱蒸発する方法)による。ただし,
この場合,試料10 g(約10.3 mL)をはかりとる。
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7
容器
容器は,遮光した気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) この規格の番号
b) 名称“アセチルアセトン”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造年月又はその略号
i)
製造業者名又はその略号