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K 7642:2007  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本婚礼

写真協会(JBPS)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの

申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS K 7642:1994は改正され,この規格に置き換えられる。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。 

JIS K 7642には,次に示す附属書がある。 

附属書A(参考)保存中の湿度 

附属書B(参考)保存中の温度 

附属書C(参考)温度と相対温度との関係 

附属書D(参考)歴史的価値のあるプリント 

附属書E(参考)保存目的と使用目的との区別 

附属書F(参考)空気中の浮遊物と有害気体 

附属書G(参考)火災に対する防護 

附属書H(参考)銀画像の劣化 

附属書I(参考)参考文献 

附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表 

K 7642:2007 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 2 

3. 定義 ······························································································································ 3 

4. 包材及び収納箱 ··············································································································· 4 

4.1 開口包材 ······················································································································ 4 

4.2 密封包材 ······················································································································ 4 

5. 保存庫 ··························································································································· 5 

6. 保存室 ··························································································································· 5 

6.1 中期保存室 ··················································································································· 5 

6.2 長期保存室 ··················································································································· 5 

7. 環境条件 ························································································································ 6 

7.1 保存温度及び保存湿度(附属書A,附属書B及び附属書C参照) ··········································· 6 

7.2 空気調節の要件 ············································································································· 7 

7.3 空気の純度(附属書F参照) ··························································································· 8 

8. 耐火保存設備(附属書G参照) ························································································· 9 

9. プリントの識別,取扱い及び検査(附属書D,附属書E及び附属書H参照) ····························· 9 

9.1 識別のための素材 ·········································································································· 9 

9.2 取扱い ························································································································· 9 

9.3 検査 ···························································································································· 9 

附属書A(参考)保存中の湿度 ······························································································ 10 

附属書B(参考)保存中の温度 ······························································································ 11 

附属書C(参考)温度と相対温度との関係 ··············································································· 12 

附属書D(参考)歴史的価値のあるプリント ············································································ 13 

附属書E(参考)保存目的と使用目的との区別 ·········································································· 14 

附属書F(参考)空気中の浮遊物と有害気体 ············································································· 15 

附属書G(参考)火災に対する防護 ························································································ 16 

附属書H(参考)銀画像の劣化 ······························································································ 17 

附属書I(参考)参考文献 ····································································································· 18 

附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ·································································· 19 

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日本工業規格          JIS 

K 7642:2007 

写真−写真印画の保存方法 

Imaging materials−Processed photographic reflection prints− 

Storage practices 

序文 この規格は,2000年に発行された ISO 18920  Imaging materials−Processed photographic reflection 

prints−Storage practices を翻訳し,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,対応

国際規格に規定されていない規定項目を日本工業規格として追加している。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項又は原国際規格を変更して

いる事項である。変更の一覧表をその説明を付けて,附属書1(参考)に示す。 

写真印画(以下,プリントという。)は,文書及び画像の記録に重要な材料である。芸術,報道,法律,

科学,産業,及び歴史の各分野の,価値あるプリントの保全の知識が必要であることは,一般に認識され

てきている。この種の記録は,公文書館,博物館,図書館,官庁,企業,大学などで用いられており,価

値が高いので,寿命を最大限に延ばせるような管理のあり方に関心が集まっている。 

プリントは,いろいろの要因によって劣化しやすい。その要因は,一般に次の3項目に分類できる。 

a) プリントの安定性 既に多年にわたって,数多くのプリントが保存されてきた実績から,プリントの

安定性は,その物理的,化学的性質に依存していることが知られている。 

b) プリントの現像処理の影響 銀・ゼラチンタイプのプリントの,安定性に対する残留チオ硫酸塩の影

響は,今後の規格制定の課題である。 

c) 保存条件 プリントの保存条件は,そのプリントの耐久性にとって特に重要であり,この規格で規定

する。 

プリントの保存に特に影響を及ぼす要因は,温湿度及び保存環境の汚染であり,そのほか,水,光かび,

昆虫,微生物などによる破壊,固体,液体又は気体状の化学物質の接触による,劣化及び物理的損傷であ

る。 

温度,湿度,その変動幅,又は保存環境の汚染度が推奨範囲から外れても,悪影響が現れることなく許

容できる範囲は,暴露時間の長さ,かびの生育条件,及び環境雰囲気のプリント表面への影響しやすさに

左右される。 

この規格には,火災への防備方法,プリントの取扱方法及び検査の方法を規定している。また,通常起

こりやすい火災及び関連災害への備えには触れるが,天災及び人災に対する防備方法は扱わない。 

正しい保存を行うには,この規格に規定する保存方法のほかに,JIS K 7645 に規定されている,現像処

理済み写真用包材,アルバム及び保存容器も考慮することが望ましい。 

1. 適用範囲  

1.1 

この規格は,すべての種類,サイズのプリントの暗所保存条件,保存設備,取扱方法及び検査方法

K 7642:2007 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

について規定する。 

1.2 この規格は,次のプリントに適用する。 
1.2.1 不透明支持体を使ったプリント 

a) 紙支持体 

b) レジンコート紙支持体 

c) 不透明なプラスチック(ポリエステル,酢酸セルロースなど)フィルム支持体 

1.2.2 銀・ゼラチン黒白プリント 

a) 長期保存性のふ(賦)与及び/又は色調の改善(金, セレン又は硫黄化合物による調色)のための化

学的処理を含む湿式処理方式 

b) 拡散転写方式(例えば,ポラロイド,富士インスタントフィルム) 

c) 安定化処理方式(例えば,銀画像及び化学的に光に対して安定化された,ハロゲン化銀を含む。) 

d) 熱現像方式 

1.2.3 多色プリント及び単色プリント 

a) 発色現像方式のカラープリント (chromogenic,wasted and stabilized) 

b) 銀色素漂白方式(シルバーダイブリーチ方式,silver dye bleach) 

c) 色素転写方式(ダイトランスファー方式,dye transfer) 

d) 拡散転写方式(例えば,ポラロイド,富士インスタントフィルム。はく離型又は一体式) 

e) 顔料含有重クロム酸ゼラチン方式(カーボン方式,カーブロ方式など) 

1.2.4 黒白プリント及びカラープリント 

a) 染料熱転写方式(一般に,昇華型熱転写方式という。)[thermal dye transfer (commonly referred to as dye 

sublimation)]  

b) 溶融熱転写方式 (thermal wax transfer)  

c) 電子写真方式 

d) インクジェット方式 

e) ジアゾ方式 

1.3 

現像処理済みフィルムに対する保存条件はJIS K 7641に, 現像処理済み乾板に対する推奨保存条件

はJIS K 7644に,それぞれ規定されている。透過光によって観察するために透明なフィルム支持体を用い

たプリントも,JIS K 7641に規定する条件による保存が推奨される。 

1.4 

この規格を,1.3 の規定に従って,プリントの中期保存及び長期保存に適用する。  

1.5 

この規格は,適切な処理を施したプリントへ適用するために制定したものであるが,処理条件が不

明確なプリント,調色,マウント,レタッチなどを施したプリントに適用しても,その有効寿命を延ばす

顕著な効果が期待される。しかし,この規格は,この規格で規定する方法で保存を行ったときのプリント

の有効寿命を予測したり,格付けしたりすることを意図するものではない。 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD

(修正している),NEQ(同等でない)とする。 

ISO 18920:2000,Imaging materials−Processed photographic reflection prints−Storage practices  

(MOD) 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

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る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 7641 写真−現像処理済み安全写真フィルム−保存方法 

備考 ISO 5466:1992 Photography−Processed safety photographic films−Storage practicesが,この規

格と一致している。 

JIS K 7644 写真−現像処理済み写真乾板−保存方法 

JIS K 7645 写真−現像処理済み写真フィルム,乾板及び印画紙−包材,アルバム及び保存容器 

備考 ISO 18902:2001 Imaging materials−Processed photographic films,plates and papers−Filing 

enclosures and storage containersからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。 

ISO 14523 Photography−Processed photographic materials−Photographic activity test for enclosure materials 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。 

a) アーカイバル記録材料 (archival medium) 適切な保存条件において,記録された情報が損なわれず長

期に保存できることを目的とした記録材料。 

参考 写真分野で用いられる “アーカイバル” という用語は, 映像関連分野でしばしば誤用される。

したがって,ISO/TC42(国際標準化機構の写真専門委員会)は,今後の写真保存規格では “ア

ーカイバル保存”という用語を,“長期保存” (extended-term storage)という用語に替えると決

定した。 

b) 長期保存条件 (extended-term storage conditions) 永遠の価値をもつ記録情報の保存に適した条件。 

c) 耐火保存設備 (fire-protective storage) 火災の際に,過度の温度上昇,水又はその他の消火剤,水と

う(套)付き保管庫の断熱水から発生する蒸気,崩壊しやすい構造物などから,プリントを保護する

ために設計された設備。 

d) 耐火保管施設 (fire-resistant vaults) 規則で定められた保管施設(附属書Iの参考文献[1]及び[2]

参照)。 

参考 規則の例としては,我が国の消防法に基づく,危険物の規制に関する政令(昭和34年9月26

日政令306号)第39条に定めた基準が相当する。  

e) 断熱型記録物収納庫[insulated record containers (Class 150)] 国家規格又は規則で定められた150

級収納庫(附属書Iの参考文献[3]及び[4]参照)。 

f) 

寿命 (life expectancy,LE) 温度21 ℃,相対湿度50 % の条件下で,記録された情報が有効に保た

れると予測される期間。 

g) 中期保存条件 (medium-term storage conditions) 最低10年の寿命を得るのに適した保存条件。 

h) 収納箱 (storage container) プリントを保存するための箱又は缶。 

i) 

包材 (storage enclosure) フォルダ,スリーブ,保存袋,アルバム,中抜マットのような,プリント

に接触又は密着する保存材料。 

j) 

開口包材 (open enclosure) プリントを機械的損傷から物理的に保護する目的の包材で,遮光性も気密

性もないもの。この種の包材には,フォルダ,保存袋,保管箱,スリーブ,アルバム,中抜マット,

保護紙,ジャケットなどがある。 

k) 密封包材 (closed enclosure) 反応性気体,湿気,相対湿度の変動などの外部要因からプリントを保護

する,遮光性で,かつ,気密性をもつ包材。この種の包材には,密封型の保存袋などがある。 

l) 

保存庫 (storage housing) プリント及びその包材を収める設備。 

備考 保存庫の例として引出し,ラック,棚又はキャビネットがある。 

K 7642:2007 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4. 包材及び収納箱 中期保存及び長期保存を目的とした包材及び収納箱は,プリントへの直接の接触の

有無にかかわらず,JIS K 7645 及び ISO 14523の規定に適合しなければならない。  

紙としては中性紙が望ましく,プラスチック製の保存材料として適切なものは,塗布加工なしのポリエ

ステル(ポリエチレンテレフタレート),ポリスチレン,高密度ポリエチレン及びポリプロピレンである。

他のプラスチックも使用可能かもしれないが,まだ十分な実績がない。グラシン紙,塩化物若しくは硝酸

基をもつ化合物を含む包材,又は多量の可塑剤を含む包材は避けるべきで,特に硝酸セルロース及びポリ

塩化ビニルは, 絶対に使用してはならない。 

はり合せ又はシールに使用される接着剤は,JIS K 7645及びISO 14523の規定に適合していなければな

らない。はり合せ部分又はつなぎ目は包材の縁に設けるようにして,プリントの画像面に当たらないよう

にしなければならない。 写真用ゼラチン又は写真的に不活性なでん(澱)粉,ある種のアクリル系又はポ

リ酢酸ビニル系の接着剤も使用可能であり,紙の接着にはメチルセルロース系の接着剤が適している。 

保存中のプリントに対する不必要なばっ(曝)光は,避けなければならない。特に,カラープリント及

びジアゾプリントは,暗所保存とする。 

シート状のプリントは,紙,プラスチック製の保存袋,スリーブ,ファイルフォルダ,アルバム,中抜

マット及び箱に保存することができる。28 cm×36 cm(大四切)以下のサイズのプリントは縦置きしても

よいが,たるみ及びカールを最少にするように,堅い中性紙に挟んだ状態で保存すべきである。28 cm×36 

cm(大四切)より大きなサイズのプリントは,マウントされたもの又は堅い中性紙支持体付きのものを除

いて,水平保存が望ましい。水平保存におけるプリントの積み重ね厚さは 5 cm以下にして,最下層のプ

リントに大きな圧力が掛からないようにすることが望ましい。 複数枚のプリントを一つの袋又は箱に保存

する場合は,乳剤面どうしが接するような重ね方をしてはならない。 

プリントは,寿命をできるだけ長く保たせるために,保存場所に収納するまでの間も清浄な環境下に置

き,収納後は9.3に規定する方法によって,定期的に品質の確認をしなければならない。 

4.1 

開口包材 開口包材の目的は,ほこりの侵入の防止,機械的損傷からの保護,プリントの識別や取

扱いの容易化である。この包材は多少とも通気性をもっているので,開口包材に収納されたプリントの保

管場所の環境は,7. に規定した条件に保たれなければならない。 

シート状のプリントに使用できる開口包材は,紙,プラスチック製の保存袋,ホルダ,ジャケットなど

である。 ロール状のプリントは,ふた付きの包材又は箱を用いて保存することが望ましい。ふたは,かぶ

せ式又はねじ込み式が適しており,必ずしも密閉式である必要はない。 

リール又は巻心に巻いたプリントを固定するのに,ゴムバンドを使用してはならない。 紙バンドを用い

る場合は,ISO 14523の規定に適合したものを使用しなければならない。 

4.2 

密封包材 プリントに対する適切な水分の保持を行う場合,気体若しくは固体状の空気中の汚染物

質からの保護が必要な場合,又は湿度調節なしで低温度保存を行う場合は,密封包材を使用しなければな

らない。 

ヒートシールされたプラスチックフィルム製の袋が,この目的に適している。この袋にピンホールがあ

っても,その影響を防止できるように,袋を二重にして用いるのが望ましい。 ロール状のプリントの保存

には,気密性のはめ込み式又はねじ締め式のふたの付いた,非透過性の材料で作られたものが適している。

ゴム製のガスケットを使用してはならない。 

参考1. アルミニウムはく(箔)をしん(心)にして,内面に透明なポリエチレンをはり合わせ,外

面に紙をはり合わせたヒートシール可能な積層材料が,密封包材用として好成績をあげてい

る。 ちょうつがい留め及びはめ込み式のふたを使用してもよいが,そのはめ合わせ部分にガ

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ス透過性の低い圧着式接合テープを重ね巻きして,密封しなければならない。テープの巻き

状態が不完全の場合は巻き直し,また,完全な場合でも,2年ごとに定期的に巻き替えるの

が望ましい。 

2. ガス透過性が低く,写真に悪影響を与えないテープの材料は,ナイロン,ポリエチレンテレ

フタレートなどである。 

5. 保存庫 プリントは,引出し,キャビネットのような閉めることができる保存庫,又は密閉型の扉付

きキャビネットに保存されることが望ましい。 開放型の棚に置く場合は,密閉型の収納箱に収納した状態

で保存されることが望ましい。 

保存庫を構成する材質は,アルマイト,ステンレス鋼又は可塑剤を含まない樹脂によって粉末塗装され

た鋼材のように,不燃性で腐食性がなく化学的に安定しているものが望ましい。木材,合板,プレスボー

ド,パーティクルボードなどは可燃性であり,時間が経つと写真画像の劣化を促進する活性な物質を発生

する可能性があるので,使用してはならない。 

保存庫の塗装には,耐久性があり,しかも保存中のプリントへ悪影響を与える物質を含まない塗料を使

用する。 塩素化樹脂や可塑剤を多量に加えた樹脂を含む塗料は,プリントに悪影響を与える可能性がある。

また,塗りたての塗装から発散する溶剤も,プリントに悪影響を与える可能性がある。塗装後3か月間は,

塗膜から過酸化物, 溶剤その他の有害物質が発散される可能性がある。 

収納箱としてステンレス鋼製又はアルマイト製のキャビネットが望ましい。また,粉末塗装(溶剤を含

まず,静電気的に吸着された粉末樹脂が,加熱溶融されて被膜となる。)された金属で構成される保存庫も

推奨される。 

空気調節系を備えた保存庫では,プリントを保存しているすべての棚及び引出しが均一の温度及び湿度

条件になるように,空気を循環させる。保存庫を7.1に従って空気調節した室内に置く場合は,空気が庫

内に出入りできるように通気口を設ける。この通気口は,耐火及び防水上の必要条件を満たすものでなけ

ればならない。 

方式の異なるプリント又は,フィルムを同じ保存場所に置いてもよいが,同じ包材又は収納箱に一緒に

入れてはならない。 磁気テープ又は光ディスクは,保存中に写真画像を劣化させる可能性があるので,プ

リントと一緒に保存してはならない。 

6. 保存室  

6.1 

中期保存室 プリントを保存する部屋又は場所は,プリントの検査及び観察の準備室と同じ場所に

あることが望ましく,適切な管理が行われていなければならない。壁及び空気調節された室内は,屋外の

温度が低く壁が室内の露点以下に冷やされる時期でも,壁の内面又は室内の備品の表面に結露が生じない

ような設計でなければならない。また,洪水,漏水,スプリンクラなどの散水又は火災のときに石壁から

発生する蒸気によって,プリントが損傷を受けない構造でなければならない。 

中期的な価値をもつプリント用の作業室が,7.1で推奨する環境条件に保たれているならば,作業室とは

異なる特別の保存室を設ける必要はない。 

6.2 

長期保存室 長期保存においても,6.1の規定を適用しなければならない。長期間保存されているプ

リントの価値を考慮して,中期保存室,一時置場,事務所又は作業室から隔離された,専用の保存室又は

貯蔵室を設けるほうがよい。 

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7. 環境条件 表1で推奨する温度及び相対湿度条件は,保存庫中又は保存庫が置かれている保存室のい

ずれにおいても,守られなければならない。 

表 1 保存の最高温度及び平均相対湿度範囲 

プリント方式 

中期保存 

長期保存a) 

  

最高温度  

相対湿度範囲  

最高温度 

相対湿度範囲  

  

℃b) 

%c) 

℃d) 

%e) 

黒白・銀方式 

25 

20 〜 50 

18 

30 〜 50 

銀色素漂白方式 

  

  

拡散転写方式 

  

  

  

色素転写方式 

  

  

  

顔料含有重クロム酸ゼラチン方式 

  

  

  

ジアゾ方式 

  

  

  

発色現像方式カラープリント 

25 

20 〜 50 

2f) 

30 〜 40 

その他g) 

25 

20 〜 50 

−3 

30 〜 50 

注a) 従来は,“アーカイバル保存”と呼んでいた。歴史的価値のあるプリントの保存条件については,附属書Dを

参照。 

b) 任意の24時間当たりの温度の変動は±5 ℃以内,最高温度は規定の上限を超えないものとする。 

c) 任意の24時間当たりの相対湿度の変動は,±10 %以内とする。 

d) 任意の24時間当たりの温度の変動は±2 ℃以内,最高温度は規定の上限を超えないものとする。 

温度の下限は規定しないが,保存状態から外れたときの寿命短縮効果を考えると,−20 ℃以下にしても無意

味である。 

e) 任意の24時間当たりの相対湿度の変動は,±5 %以内とする。 

f) 通常,2 ℃で保存された発色現像方式カラープリントの安定性は,室温保存に比べて10〜15倍となる。 

発色現像方式カラープリントに対する長期保存条件は,同じ方式のカラーフィルムとは異なる。プリントに

おいて規定された上下の限界温度がフィルムにも適用され,プリントに対する相対湿度範囲の規定は,カーリ
ング又はもろさを考慮すると,プリントにおける方が広くなる。次の環境条件が,この規格及び JIS K 7641 の
規定に適合する。すなわち,プリントに対して最高温度2 ℃,最高相対湿度30 %。フィルムに対して最高温
度−3 ℃,相対湿度範囲30〜40 %。 

古いプリント又は歴史的価値をもつ発色現像方式カラープリントは安定性に乏しく,寿命を延ばすためには,

いっそうの低温で保存されることが多い(附属書D参照)。  

g) 溶融熱転写,染料熱転写,電子カラー写真,インクジェットのような新技術によるプリントにおける,劣化又

は物理的変化の速度に対する,低温及び/又は低湿度保存の効果は,今のところ明らかではない。 

  

7.1 

保存温度及び保存湿度(附属書A,附属書B及び附属書C参照) 

7.1.1 

中期保存環境 中期保存における温度は25 ℃以下が望ましく,温度の周期的な変動は,任意の24

時間内で±5 ℃以内とする(表1参照)。 相対湿度が表1の規定内にあれば,温度の多少の変動は許容さ

れる。 

中期保存における相対湿度は,20〜50 %までの範囲内とし,相対湿度の周期的な変動は,任意の24時

間内で±10 %以内とする。プリントに含まれる水分は,この環境における平衡含水量を超えてはならな

い。プリントを表1の規定の湿度の下限で保存すると,プリントにカールが生じて,取扱い中に損傷を発

生させることがある(附属書D参照)。プリントの使用前に,表1の下限より高い湿度中で平衡状態にす

ることを必要とする場合もある。 

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7.1.2 

長期保存環境 長期保存における温度は,表1の規定に従わなければならない。温度の周期的な変

動は,任意の24時間内で±2 ℃以内とする。相対湿度が表1の規定内にあれば,温度の多少の変動は許容

される。 

長期保存における相対湿度は,表1の規定に従わなければならない。相対湿度の変動は,任意の24時間

内で±5 %以内とする。プリントに含まれる水分は,この環境における平衡含水量を超えてはならない。  

銀・ゼラチン黒白,銀色素漂白,拡散転写,色素転写,顔料含有重クロム酸ゼラチン,ジアゾの各方式

のプリントに許容される保存温度の上限は18 ℃である。それより低い温度での保存は,すべてのプリン

トに対して,画像及び支持体の安定化のような,よりよい保存状態を作りだすことができる。 

多色及び単色発色現像方式,及び特に保存条件の規定がないすべての方式のプリントに,許容される保

存温度の上限は2 ℃である。カラープリントでも,このような低温度がよい保存条件である。このような

望ましい温度及び湿度条件が,個々の保存庫又は保存庫が置かれている保存室のいずれかで達成・維持さ

れていればよい。通常,プリントの寿命を延ばすために,次のいずれかの方法を使うことができる。  

a) 第一の方法は,保存室を推奨する相対湿度の範囲内で2 ℃に保つことである。この方法は,密閉型の

保存箱に対する必要条件を緩和するが,周囲の環境条件の維持のために,より多くの設備や装置が必

要となる。この方法の問題点は,プリントを暖かい場所へ取り出したときに,表面に結露することで

ある。この問題は,低温度のプリントを湿気を遮断したまま保存庫中に保ち,露点以上に温度が上が

ってから取り出すことによって解決される。 

b) 第二の方法は,プリントの保存場所からの出し入れが頻繁でないときに有効である。すなわち,プリ

ントを規定された相対湿度の下限付近にある空気と平衡状態にした後,密閉保存箱に入れて低温度で

保存する方法である。 平衡状態までに要する時間は,紙を支持体としたプリントでは1日,レジンコ

ート紙を支持体としたプリントでは7日である。保存用を目的として作られた,ヒートシール可能な

袋を二重にして使う方法によって,袋のピンホールからの空気の漏れによる障害を最少にすることが

できる。この方法の利点は,周囲の環境湿度を調節する必要がないために,低価格のフリーザー又は

冷蔵庫が保存庫として使えることである。また,欠点は,プリントの検査をするたびに保存場所に戻

す前に湿度を平衡状態にして,袋に詰め直さなければならないことである。 

極端に低い相対湿度の下では,ゼラチン画像層をもつプリントがもろくなる可能性がある。 

このような場合,プリントを使用前に50 %を超えない環境中で調節して,柔軟性を取り戻しておくのが

よい。使用後は,再び推奨する相対湿度に平衡状態にしてから,密閉保存箱に戻す必要がある。  

プリントが頻繁に取り出される場合,及び/又は比較的高温度の環境下で長時間使用される場合には,

低温度保存の効果が激減する(附属書C,附属書D及び附属書E参照)。 

7.2 

空気調節の要件 温度及び相対湿度を規定の範囲内に維持するためには,適切な空気調節が必要で

ある。 

特に規定が厳密な長期保存においては,適切な空気調節が重要である。保存室内は,外界より少し高い

気圧に保つのがよい。 空気調節設備及び送排気ダクト内の自動防火ダンパは,該当する国家規格及び規則

に従って設置し,維持されなければならない(附属書Iの参考文献[5]及び[6]参照)。 

参考1. 耐火資料室に該当する国家規格又は規則の例として,NFPA 90A(参考文献[5]参照)があ

る。 

2. 参考1. に例示された規格に規定されている内容は,JIS A 1304(建築構造部分の耐火試験方

法)の等級30分加熱に合格するものに相当し,また,我が国の建築基準法に基づく(建設省

告示第1675号)耐火構造(附属書Iの参考文献[6]参照)にも相当する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

それらはまた,該当する国家規格又は規則に記載されている耐火資料室の推奨規定にも従わ

なければならない(附属書Iの参考文献[1]及び[2]参照)。 

3. 自動防火ダンパに該当する国家規格又は規則の例として,NFPA 232(附属書Iの参考文献[1]

参照)がある。 

4. 参考3. に例示された規格に規定されている内容は,我が国の消防法に基づく危険物の規制に

関する政令(昭和34年9月26日政令第306号)第39条に定めた基準(附属書Iの参考文献

[2]参照)に相当する。 

石造り又はコンクリートの壁は,火災の熱によって内部の水分を蒸気として放出する場合があるので,

このような保存室には,蒸気遮断壁を設置するか又は密閉式の収納箱を使用すべきである。空気調節設備

は自動制御方式であることが望ましく,その点検は,正しく校正された湿度計によって頻繁に行われなけ

ればならない。 空気調節を行いにくい場所では,電気冷却方式の除湿器によって除湿し,湿度制御装置に

よって所定の湿度レベルに保つ方法でもよい。粒径0.3 μm以上のじんあい粒子を除去できるフィルタ(7.3

参照)を備えた除じん(塵)室であれば,純度の高いシリカゲルのような乾燥剤を使用して,相対湿度を

7.1の規定に従って管理することもできる。地下室又はほら穴のような,温度は低いが湿度がしばしば上

限を超えるような保存場所では,除湿が必要となる。 

通常の相対湿度が7.1で推奨する範囲より低いとき,又はカーリングや画像層のはがれのような低湿度

に起因する損傷を生じるおそれがあるときには,加湿が必要である。その場合,制御装置付きの加湿器を

使用しなければならない。皿に入れた水や薬品の飽和溶液は,過度の加湿による危険を伴うので,使用し

てはならない。 

7.3 

空気の純度(附属書F参照)固体粒子は,画像表面にすりきずを生じたり画像を化学的に変化させ

るおそれがあるので,フィルタによって,保存庫や長期保存用の部屋へ供給される空気から除去しなけれ

ばならない。この種のフィルタは,該当する国家規格又は規則の試験方法による捕集率85 %以上の,乾

式媒体型のものが望ましい(附属書Iの参考文献[7]及び[8]参照)。 

またフィルタは,該当する国家規格又は規則の構造要件を満たす,不燃性のものでなければならない(附

属書Iの参考文献[8]及び[9]参照)。 

参考1. フィルタに該当する国家規格又は規則の例として,ASHRAE 52-76 の汚染試験方法(附属書

Iの参考文献[7]参照)がある。 

2. 参考1.で例示した規格に規定されている内容は,JIS B 9908(換気用エアフィルタユニット・

換気用電気集じん器の性能試験方法)(附属書Iの参考文献[8]参照)の5.2.1(粒子捕集率

試験)に相当する。 

3. フィルタの不燃性に該当する国家規格又は規則の例として,UL 900の一級構造(附属書Iの

参考文献[9]参照)がある。 

プリントによっては,二酸化硫黄,硫化水素,種々の過酸化物,オゾン,アンモニア,酸の蒸気,溶剤

の蒸気,窒素酸化物のような気体状の有害物によって,画像又はその支持体の劣化を起こすことがある。 こ

れら有害気体は,適切な洗浄装置又は吸収装置によって除去することができる。 実用的には,プリントを 

4. 及び5. に適合した密封包材,収納箱又は保存庫中で保存すれば十分である。 

塗料の蒸気は,酸化性の汚染物質源になることがあるので,中期,長期のいずれの保存場所についても,

新たに塗料を塗ったときには3か月以上経過するまではプリントを収納してはならない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

8. 耐火保存設備(附属書G参照)耐火用保存容器は,150 ℃で4時間熱しても,発火又はプリントに有

害な気体の発生がないものでなければならない。多くの容器は,この温度で融解したり著しく変形するこ

とがあるが,内部のプリントが損傷を受けたり,又はプリントが取り出せなくなるほどに変形又は融解す

るようなことがあってはならない。 

火災及びそれに伴う危険からの保護のために,プリントは密閉容器に入れ,耐熱型保存施設に入れるか,

又は150級の断熱型記録物保存庫に保存する(附属書Iの参考文献[3]及び[4]参照)。耐熱型保存施設

は,特に蒸気に対する保護能力を確保でき,同時に該当する国家規格又は規則の構造要件に適合するもの

でなければならない(附属書Iの参考文献[1]及び[2]参照)。 

保存するプリントがあまり多くないときは,該当する国家規格又は規則に適合する150級の断熱型記録

物保存庫が使用できる。この保存庫は,その等級に応じて1時間から4時間の火炎暴露試験を行ったとき,

内部の温度が66 ℃を,内部の相対湿度が85 %をそれぞれ超えてはならない。建物が耐火構造でない場合

は,断熱型記録物保存庫は,直接地面に接している床の上に置かなければならない。 

火災からの最善の保護策は,複製を作って別の場所に保存することである。 

9. プリントの識別,取扱い及び検査(附属書D,附属書E及び附属書H参照) 

9.1 

識別のための素材 プリントには,インキ,フェルトペン又は粘着ラベルのような非写真的な方法

によって,識別記号を付与することが多い。インキのような識別記号を付与する素材は,ISO 14523に規

定の写真画像への影響度試験に適合したものでなければならない。 

9.2 

取扱い プリントの正しい取扱いを心がけることは重要である。頻繁に使用されるプリントは損傷

を受けやすく,細心の取扱いと適切な保存が必要である。プリントの取扱いは,曲げ,折れ又はたわみを

生じないように注意しながら,画像面に触れないように両端で支えて行わなければならない。 保存場所の

正しい管理と,清潔の維持は不可欠である。取り扱う者は,薄く清潔な木綿の手袋を着用しなければなら

ない。 

9.3 

検査 保存中のプリントから種類の異なる代表的なサンプルをなるべく多く選び出し,2年又は3

年ごとに検査するのがよい。保存中に温湿度が推奨範囲からはずれることがあった場合は,検査頻度を増

やさなければならない。 検査は,事前に立てたサンプリング計画によって実施されるべきである。プリン

ト又は包材に劣化の兆候が認められた場合は,温湿度管理の方法の改善,又は保護能力が低下した包材若

しくは収納容器の更新のような,是正処置をしなければならない。もしそれらの是正処置でも不十分の場

合は,より安定な素材による複製を作っておくことを推奨する。  

検査の結果は,プリントの変化を追跡し監視するために保管すべきである。是正処置の正しかったこと

を確認するために,定期的に繰返し検査をする必要がある。プリントは外力によってすりきずがつきやす

いので,検査中にも十分注意しなければならない。 

記録すべきプリントの変化には,次の項目を含めるべきである。 

a) プリントの物理的変化(たわみなどの変形,画面のひび割れ,接着故障) 

b) 外観の変化 [変色,退色,ブレミッシュ(きず状の欠陥)] 

c) プリントの変化(ぜい化,変色) 

可能ならばこれら問題点の原因を調べ,それを除去することが望ましい。 

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附属書A(参考)保存中の湿度 

相対湿度がこの規格の規定範囲を大きく外れる状態での保存は,プリントに対して極めて悪い影響を及

ぼすことがある。極端な高湿度及び低湿度は,いずれも避けたほうがよい。 

60 %を超える相対湿度に長時間放置すると,かび類の発生のためのゼラチン画像層の損傷や破壊が起こ

り,画像層が包材などに接着することがある。また,高湿度のもとでは,残留するハロゲン化銀及び処理

薬品(例えば,チオ硫酸塩)の銀画像に及ぼす作用が加速され,色素画像の安定性も損なわれることが多

い。高湿度は,プリントの支持体をも劣化させることがある。 

低湿度での保存はかびの発生及び成長を防ぐほか,化学的劣化の速度をも遅くする。最近の調査によれ

ば,保存湿度が50 %以下の場合,画像層の安定性が顕著に向上することが分かった。しかし,低湿度雰

囲気中では大きなカーリングが発生し,プリントの永久変形の原因となることもある。また,画像層がも

ろくなって,取扱い中のひび割れのような損傷のおそれが増す。また,既に存在している画像層のはがれ

などを,更に悪化させることがある。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B(参考)保存中の温度 

プリントを常時およそ40 ℃を超える温度に置くと,画像層のぜい化若しくは劣化又はある種の支持体

の柔軟性の低下を生じ,色素画像では退色が進むことがある。高温度乾燥条件下に継続的に置かれた画像

層では,収縮や変形が促進される。ゼラチン画像層が,0 ℃以下のような低温度でもろくなることは確か

であるが,室温へ戻せば柔軟性は回復する。もろくなったプリントは,取扱中にひび割れ,はがれ又は折

れのような物理的損傷を受ける危険があるので,低温度でプリントを折り曲げないように,取扱いには十

分注意が必要である。 

保存温度が露点以下のときは,包材及びその中のプリントの温度を露点以上に上げてから取り出さなけ

れば,プリントの表面に結露する。これを避けるためのならし時間は,プリントの大きさ及び温度差によ

っては,数時間にも及ぶことがある。 

保存温度に関する重要な留意点は,その相対湿度への影響である。 湿度の制御が行われていない場合,

温度を下げることによって相対湿度が上がることがある。 その結果,相対湿度が推奨範囲を超えてしまう

ことがある。このような場合は,密封した収納箱を使用するとよい。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C(参考)温度と相対温度との関係 

低い温湿度中では,化学反応によるプリントの劣化の進行を遅らせることができる。つまり,保存中の

温度又は湿度を下げることによって,プリントの寿命を延ばすことができる。さらに, 低温度保存におい

ては,湿度が上がってもプリントの寿命を縮めずにすむ。したがって,表1に示すような,長期保存目的

に使用できる温度及び相対湿度の組合せが可能である。 保存施設の設計者は,表1から,幾つかの組合せ

を選択することができる。 

低温度及び/又は低湿度保存設備の利点は,保存施設からのたびたびの取出し又は長時間の取出しによ

り,相殺されてしまうことがある。保存設備外に出されていた時間の影響に関しては,色素及び支持体の

安定性に対する促進試験によって,附属書C表1 に示すような数学的モデルが作成されている。 

附属書C表 1 保存条件と室温に置かれた日数からの寿命の推定 

保存条件 

年間の保存場所外に出された日数a) 

10 

30 

60 

温度 

相対湿度  

相 対 寿 命b) 

℃ 

20 

50 

30 

10 

50 

30 

50 

18 

14 

12 

30 

33 

23 

18 

−10 

50 

71 

36 

24 

11 

  

30 

132 

47 

29 

11 

−20 

50 

288 

58 

32 

12 

30 

538 

64 

34 

12 

注a) この表は,定性的なものである。プリントの実際の退色の速さ又は期待される寿

命は,これとは異なる。 

b) この表の中の数値は温度24 ℃,相対湿度40 %におけるカラープリントの暗退

色の速さの平均値の逆数である。 プリントが保存されずに使用された状態での
退色の速さを,相対的に1として表している。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書D(参考)歴史的価値のあるプリント 

歴史的価値のある写真記録が保存されている施設では,相対湿度レベルの選択に当たっては,既にある

程度の劣化(き裂,カール又は画像層のはがれ)が生じているプリントが,更に20 %から30 %という低

湿度による収縮力の影響を受けないように,十分な注意を払うべきである。 高湿度の場所と低湿度の場所

を繰り返し往復させると,既に生じている欠陥を悪化させることがある。 

低温度及び/又は低湿度での保存は,画像層をぜい化させて,取扱中の損傷の危険を増すことになる。 折

り曲げ又は粗雑な取扱いは,画像層のひび割れなどの物理的損傷を助長しやすい。 したがって,歴史的価

値のある,特に既に損傷を受けているプリントを低温度及び/又は低湿度で保存する場合は,その取扱い

を慎重にするのがよい。 

たびたび使用されるプリントは,複製を作っておくべきである。 低温度保存又は低湿度保存によって確

保されていた写真素材の化学的安定性が,高温度又は高湿度の使用場所に繰り返し取り出されたり,又は

長時間置かれることによって急速に失われるので,使用頻度の高いプリントの複製の作成は特に重要であ

る。 

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附属書E(参考)保存目的と使用目的との区別 

プリントにおける保存目的と使用目的の区別は,必ずしも明確ではない。使用目的のプリントは,公文

書保管所,記録センター,図書館及び博物館に置かれて容易に閲覧できるようになっており,有効に使わ

れている。しかし,便利に使用されることによって,破れ,折れ,すりきず,指紋及び汚れのような損傷

を受け,強い光及び高温度にさらされることがある。使用中のプリントは,保存場所とは全く異なる場所

での湿度に調湿されてしまうことがある。 保存場所と同じ条件に再調湿されない限り,使用中のプリント

には,実際にカーリングのような変形が起こり得る。 つまり,使用目的のプリントは,長期保存用として

は使えない。  

長期保存が必要なプリントには,使用を目的とした複製を作ることが望ましい。複製は,原版が保管さ

れている場所とは異なる場所に置いて,使用に供するのがよい。 原版は,該当する規格の要件を満たした

条件で使われ,保存においても該当する規格に適合する条件に置かれることが望ましい。原版も,ときに

は取り出して見ることがある。もし全く見ないのであれば,保存の意味がなくなる。 また,原版を見る機

会は頻繁でない方がよい。 

全保存期間を通して10回以上使用されるプリントには,使用目的の複製を作っておいた方がよい。 

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附属書F(参考)空気中の浮遊物と有害気体 

じんあい及び空気中の固体粒子がプリントに付着すると,見にくくなったり,すりきずを生じたりする

ことがある。反応性のじんあいは,画像の退色又はしみ・よごれの発生の原因となることもある。種々の

硫黄化合物やオゾン,過酸化物,アンモニア,塗料からの蒸気及びその他の活性な化合物などの有害気体

は,支持体の損傷及び写真画像の化学的な劣化を引き起こすことがある。  

特に市街地や工業地帯の環境で,最も頻発する有害気体は自動車の排気ガス,窒素酸化物,二酸化硫黄

及びオゾンで,これらは,わずかな濃度でも決定的な影響を与えやすい。硫化水素は,微生物スライム(湿

った場所に発生するかび状の物質)のたまった空気洗浄機から発生することがあり,低濃度でも銀画像に

対して極めて影響が大きい。 過酸化物のような酸化性の気体は,銀画像を局部的に酸化して,着色した微

粒子状のコロイド銀を析出させる。 

適切な方法による,有害ガスの除去は可能である。例えば,二酸化硫黄は空気洗浄機による水処理で,

二酸化硫黄及び硫化水素は化学的吸着剤で,除去できる。ただし,いずれも常時管理が必要であり,特に

活性炭のような化学的吸着剤の場合は,専門的な取扱いが必要である。 

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附属書G(参考)火災に対する防護 

火災によって,焼失するに至らなくとも,プリントには高温度による損傷が起こり得る。銀ゼラチン画

像は,150 ℃に数時間置かれても極端には劣化しないが,カラー画像では,退色及び色バランスの変化を

生じることがある。画像の損傷に加えて,高温度にさらされることによって,プリントは見るに耐えない

ほどの損傷を受けることがある。また,隣接したプリントどうしの接着又はブロッキング(平滑な面どう

しが接したときに, 滑りにくくなる現象)が発生する危険がある。 

ある種の耐火製の金庫,収納箱及び保存施設の扉は,蒸気を発生させてその冷却作用を利用するように

設計されている。この場合,プリントに蒸気が触れないような保護措置を講じておくのがよい。そうでな

いと,画像層の溶解,接着又は著しい変形が起こる。このことから,密封式の,内容物を蒸気にさらさな

い設計の断熱型記録物収納庫(150級)が推奨される(本体の8.参照)。 

極めて劣化しやすい記録及び火災から確実に守りたい記録は,複製を作り,それを別の場所に保存する

ことを推奨する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書H(参考)銀画像の劣化 

現像処理済み黒白画像は,好ましくない保存条件下又は不適切な包材中では,常に変色(微小なスポッ

ト,鏡面化又は黄変)の危険にさらされている。画像の劣化は,画像を形成している銀が局部的に酸化し

て,移動性の銀イオンとなることによって発生する。この移動性の銀イオンは,元々存在した位置から移

動し,還元され金属銀となって移動後の位置に定着する。この定着が画像層表面に起これば銀鏡となり,

浅い角度から反射で観察すると,金属光沢に見える。また,移動性の銀イオンの抜けが集中的に起こると,

その部分は微小の赤色のスポット又はブレミッシュ(きず状の欠陥)となる。黄変は全面又は部分的な変

色となる。 

このような画像の劣化を引き起こす酸化物質は,空気中の酸素又は過酸化物のような不純物,オゾン,

二酸化硫黄,硫化水素などである。空気中の水分には,酸素による劣化を促進する作用がある。過酸化物

は多くの木材中に存在し,挟み紙及び紙製収納箱の経年によっても発生することがある。密閉された保存

容器では,汚染物質を除去するためにモレキュラーシーブ(分子ふるい),化学的吸収材及び防せい(錆)

剤を使用するなど,種々の方法が採用される。 

プリントの現像処理及び保存条件が,変色又はブレミッシュの発生に大きな影響を与える。低温度で酸

化性の気体を含まない乾燥空気の雰囲気に保存すれば,変色又はブレミッシュを防ぎ,又は遅らせること

ができる。銀画像の化学的処理は,酸化性気体に対する耐性を増すことができる(附属書Iの参考文献[10]

参照)。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書I(参考)参考文献 

[1]ANSI/NFPA 232-1991 Protection of records 

[2]消防法に基づく危険物の規制に関する政令(昭和34年9月26日政令306号)第39条 

[3]ANSI/UL 72-1990 Tests for fire resistance of record protection equipment 

[4]JIS S 1037 耐火金庫 

[5]ANSI/NFPA 90A-1993 Installation of air conditioning and ventilating systems 

[6]JIS A 1304 建築構造部分の耐火試験方法 

[7]ASHRAE Standard 52-76 Method of testing air cleaning devices used in general ventilation of removing 

particulate matter 

[8]JIS B 9908 換気用エアフィルタユニット・換気用電気集じん器の性能試験方法 

[9]ANSI/UL 900-1995 Test performance of air filter units 

[10]ISO 18915:2000 Imaging materials − Methods for the evaluation of the effectiveness of chemical 

conversion of silver images against oxidation 

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1

9

K

 7

6

4

2

2

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0

7

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K

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附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表 

JIS K 7642:2007 写真−写真印画の保存方法 

ISO 18920:2000,イメージング材料−処理済み写真印画紙−保存要領 

(Ⅰ) JISの規定 

(Ⅱ) 国
際規格
番号 

(Ⅲ) 国際規格の規定 

(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の
項目ごとの評価及びその内容 
 表示箇所:本体,附属書 
 表示方法:点線の下線 

(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策 

項目 
番号 

内容 

項目 
番号 

内容 

項目ごと
の評価 

技術的差異の内容 

1.適用範囲 

写真印画の保存方
法,取扱方法及び検
査方法について規定 

ISO 
18920 
 

JISと同じ。 
ただし,この規格がプリ
ントの有効寿命の予測・
格付けを意図したもので
ない旨の記述はない。 

MOD/追加 

JISでは1.5として,
JIS旧版(JIS K 
7642:1994)の1.4と同
文を追加規定した。 

適用範囲をより明確にして,JIS使用者
に理解しやすくするため追加した。 
技術的差異はない。 

2.引用規格 

JIS K 7641 
JIS K 7644 
JIS K 7645 
ISO 14523 


 

ISO 5466 
 
ISO 18902 
ISO 14523 

IDT 
MOD/追加 
MOD/変更 
IDT 

JISでは,JIS K 7644
を追加。 

JIS使用者の利便性を考慮し追加した。 
 

3.定義 

j)開口包材 
k)密封包材 
 

i)保存包材 

MOD/変更 

JISでは,ISOの“保
存包材”の定義に代
え,旧版(JIS K 
7642:1994)の“3.5 開
口包材”及び“3.6 密
封包材”の定義に変更
した。 

JIS使用者の利便性を考慮し追加した。 
技術的差異はない。 

4. 包材及び 
収納箱 

包材及び収納箱につ
いて規定 

JISとほぼ同じ。 
 

MOD/追加 
 
 
 
 
 

JISでは,最新の技術
的知見によって,中性
紙の使用を推奨した。 
 

JIS使用者の利便性を考慮し追加した。 
ISOに提案を検討する。 

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2

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0

7

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K

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7

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(Ⅰ) JISの規定 

(Ⅱ) 国
際規格
番号 

(Ⅲ) 国際規格の規定 

(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の
項目ごとの評価及びその内容 
 表示箇所:本体,附属書 
 表示方法:点線の下線 

(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策 

項目 
番号 

内容 

項目 
番号 

内容 

項目ごとの
評価 

技術的差異の内容 

4. 包材及び 
収納箱(続き) 

JISとほぼ同じ。 
 

MOD/追加 
 

JISでは国際規格の
内容を省くことな
く,かつ,JIS旧版
(JIS K 7642:1994)
に記載の4.2 開口包
材及び4.3 密封包材
を追加。 

JIS使用者の利便性を考慮し追加した。 
 

5.保存庫 

JISと同じ。 

IDT 

− 

− 

6.保存室 

JISと同じ。 

IDT 

− 

− 

7.環境条件 

JISと同じ。 

IDT 

− 

− 

8.耐火保存設備 

JISと同じ。 

IDT 

− 

− 

9. プリントの識
別,取扱い及び
検査 

JISとほぼ同じ。 
 

MOD/変更 

JISでは,手袋を木綿
だけとした。 
ISOでは,木綿又は
プラスチック 

技術的差異はない。 

Annex 

ISO規格番号の新旧対照
表 

MOD/削除 

JISでは,国際規格の
Annex Aを記載せず,
附属書番号を順に繰
り上げた。 

国際規格のAnnex Aは,ISO規格番号
の新旧対照表であり,この規格の使用
者には無用のものである。 

附属書A(参考) 保存中の湿度 

Annex 

JISと同じ。 

IDT 

− 

− 

附属書B(参考) 保存中の温度 

Annex 

JISと同じ。 

IDT 

− 

− 

附属書C(参考) 温度と相対温度と

の関係 

 
 

Annex 

JISと同じ。 

IDT 

− 

− 

background image

   

2

1

K

 7

6

4

2

2

0

0

7

2

1

K

 7

6

4

2

2

0

0

7

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(Ⅰ) JISの規定 

(Ⅱ) 国
際規格
番号 

(Ⅲ) 国際規格の規定 

(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の
項目ごとの評価及びその内容 
 表示箇所:本体,附属書 
 表示方法:点線の下線 

(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策 

項目 
番号 

内容 

項目 
番号 

内容 

項目ごと
の評価 

技術的差異の内容 

附属書D(参考) 歴史的価値のある

プリント 

Annex 

JISと同じ。 

IDT 

− 

− 

附属書E(参考) 保存目的と使用目

的との区別 

Annex 

JISと同じ。 

IDT 

− 

− 

附属書F(参考) 空気中の浮遊物と

有害気体 

Annex 

JISと同じ。 

IDT 

− 

− 

附属書G(参考) 火災に対する防護 

Annex 

JISと同じ。 

IDT 

− 

− 

附属書H(参考) 銀画像の劣化 

Annex I JISと同じ。 

IDT 

− 

− 

附属書I(参考) 参考文献 

Annex J JISと同じ。 

IDT 

− 

− 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD 

 
備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。 

  ― IDT……………… 技術的差異がない。 
  ― MOD/削除……… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
  ― MOD/追加……… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
  ― MOD/変更……… 国際規格の規定内容を変更している。 
2. JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。 
  ― MOD…………… 国際規格を修正している。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。