K 7641:2008
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 2
2 引用規格 ························································································································· 3
3 用語及び定義 ··················································································································· 3
4 フィルム用包材及び収納箱 ································································································· 5
4.1 一般 ···························································································································· 5
4.2 ロールフィルム ············································································································· 5
4.3 シート状フィルム及びスライド························································································· 6
5 保存庫···························································································································· 7
6 保存室···························································································································· 7
6.1 中期保存室 ··················································································································· 7
6.2 長期保存室 ··················································································································· 8
7 環境条件 ························································································································· 8
7.1 保存温度及び保存湿度(附属書D,E及びF参照) ······························································ 8
7.2 空気調節の要件 ············································································································ 11
7.3 空気の純度(附属書C参照) ·························································································· 11
7.4 光の影響 ····················································································································· 12
8 耐火保存設備(附属書J参照) ·························································································· 12
9 写真フィルムの識別,取扱い及び検査(附属書A,G及びH参照) ········································· 13
9.1 識別 ··························································································································· 13
9.2 取扱い ························································································································ 13
9.3 検査 ··························································································································· 13
附属書A(参考)保存目的及び使用目的の区別 ········································································· 14
附属書B(参考)密封容器の長所及び問題点 ············································································· 15
附属書C(参考)空気中の浮遊物及び有害気体 ········································································· 16
附属書D(参考)保存中の湿度 ······························································································ 17
附属書E(参考)保存中の温度 ······························································································ 18
附属書F(参考)温度と相対湿度との関係 ················································································ 19
附属書G(参考)歴史的価値のある写真フィルム画像 ································································ 21
附属書H(参考)ミクロ環境 ································································································· 22
附属書I(参考)銀画像の劣化 ······························································································· 23
附属書J(参考)火災に対する防護 ························································································· 24
附属書K(参考)参考文献 ···································································································· 25
附属書JA(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································ 28
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本婚礼
写真協会(JBPS)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきと
の申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 7641:1994 は改正されこの規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
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日本工業規格 JIS
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写真−現像処理済み安全写真フィルム−保存方法
Imaging materials-Processed safety photographic films-
Storage practices
序文
この規格は,2000年に第1版として発行されたISO 18911:2000を基に作成した日本工業規格であるが,
規格本文で使用されていないアーカイバル保存用フィルムに関する用語を削除するため,技術的内容を変
更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一
覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
写真フィルムは,文書及び画像の記録に重要な材料である。芸術,法律,科学,産業及び歴史の各分野
で,現像処理済み写真フィルムの保全に関する情報及び知識が必要なことが,一般に認識されてきている。
公文書館,博物館,図書館,官庁,企業,大学などで用いられている,現像処理済み写真フィルムによ
る記録は価値が高いので,その寿命を最大限に延ばせるような管理のあり方に,関心が集まっている(参
考文献[1],[2],[3]参照)。
現像処理済み写真フィルムは,いろいろの要因によって劣化しやすい。その要因は,一般に次の3項目
に分類できる。
a) 写真フィルムの性質 写真フィルムによる記録の安定性は,写真フィルムの物理的性質及び化学的性
質に依存している。記録の保存に適した写真フィルムとしての要件がISO 18906に規定されている。
記録の保存を目的とする写真フィルムは,その期待できる寿命(life expectancy以下,“LE”という。)
に応じて,国際規格に基づいた分類(ISO 18906参照)がされている。
写真記録を最良な状態で保存するためには,LEの長い写真フィルムを使用して,この規格に規定す
る“長期保存条件”で保存することが望ましい。保存用途に適したLEの長い写真フィルムは,ISO 18901
の規定に適合する,ポリエステルベースを用いた銀・ゼラチンフィルムである。
記録材料に対する“アーカイバル”という用語は,従来,“実際に使われている期間の保存”から“永
久保存”までの範囲の,いろいろのレベルの意味で使われてきて不明確なので,今後は,規格では使
わないことにする。
この規格は,現像処理済みのカラーフィルム,ジアゾフィルム(ISO 18905参照),ベシキュラフィ
ルム(ISO 18912参照),及び熱現像フィルム(ISO 18919参照)にも適用する。一般に,これらの写
真フィルムのLEは長くないとされているが,中には,優れた保存性能の実績をもつものもある。
b) 写真フィルムの現像処理 銀・ゼラチンタイプの黒・白写真フィルムに対して,LEの長さそれぞれに
応じた残留チオ硫酸塩及び残留銀塩の最大許容量が,ISO 18901に規定されている。
ジアゾフィルムに対して,現像処理が適切に行われていることを確認する試験方法が,ISO 18905
に規定されている。ベシキュラフィルムに対しては,現像処理が適切に行われていることを確認する
2
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確認試験方法と,残留ジアゾニウム塩量の試験方法がISO 18912に規定されている。
c) 保存条件 写真記録を長期間保つために特に重要な,現像処理済み写真フィルムの保存条件を,この
規格で規定する(ISO 18906参照)。硝酸セルロースベースの写真フィルムに対しても,この規格の規
定と同じ条件での保存が推奨される。硝酸セルロースベースの写真フィルムは,適切な防火対策を施
した設備に隔離して保存しなければならない(参考文献[4]参照)。
写真フィルムの保存に特に悪影響を及ぼす要因は,高温度,高湿度及び保存環境の汚染であり,そ
のほかに火,水,光,かび,昆虫及び微生物による損傷,固体,液体又は気体状の化学物質の接触に
よる劣化並びに物理的損傷がある。品種の異なる写真フィルムとの直接の接触は,双方の写真フィル
ムに重大な損傷を発生させることがある。
温度,湿度及び保存環境の汚染度とその変動幅が推奨範囲から外れていても,必ずしも悪影響が現
れるとは限らず,環境若しくは雰囲気への暴露時間の長さ,環境若しくは雰囲気の写真画像若しくは
ベース表面への影響しやすさ,又はかびの生育条件からの隔たりによっては許容される場合がある。
高温度及び特に高湿度への暴露は,写真画像及びフィルムベースの劣化の原因となり得る(参考文献
[5],[6],[7]参照)。
ポリエステルベースフィルムよりも,セルロースエステルベースフィルムの方が,劣化を生じやす
い。
この規格では2種類の保存条件,すなわち中期保存条件及び長期保存条件について規定する。中期
保存条件は,記録を少なくとも10年間保存すべき写真フィルムに適用する。一方,長期保存条件とは,
新鮮な処理液で現像された大部分の写真フィルムの実用上のLEを,500年まで延ばせる条件である。
しかし,長期保存条件に保てば,写真フィルムタイプ,現像処理後の年数又は現像処理条件を問わず
に,すべての写真フィルムのLEを延長することができる。それぞれの保存条件には,保存設備の設
置と維持の費用に差があるのと同時に,保護能力のレベルの差がある。
保存条件の選択に当たっては場所がすぐに得られるか,コストが許容されるかの考慮が必要となる
場合がある。多くの保存設備において,この規格に規定する低温低湿レベルが省エネルギーの観点,
気象条件又は建築上の制約によって達成できない場合がある。このような理由による規格の規定から
の外れは保護能力低下を招くが,それでもできるだけ低温低湿に保つことによって,ある程度の保護
効果が得られる。
この規格は,自然災害又は人為的な加害に対する防護を目的としたものではないが,通常起こりや
すい火災及びそれに伴う災害からの保護は対象としている。
正しい保存を行うためには,この規格に規定する保存方法の外に,JIS K 7645に規定されている包
材及び保存容器をも考慮することが望ましい。
1
適用範囲
この規格は,大きさには関係なく,ロール状,ストリップ状,シート状又はアパーチュアカードの形態
の現像処理済み安全写真フィルム(以下,“写真フィルム”という。)について,その望ましい保存条件,
保存設備,取扱方法及び検査方法について規定する。
この規格は,箇条3に定義する写真フィルムの長期保存条件及び中期保存条件について規定する。
この規格は,使用頻度の少ない保存用写真フィルムに適用する。使用を目的とした写真フィルム(附属
書A参照)には適用しない。
この規格は,安全写真フィルム(ISO 18906参照)だけに適用する。硝酸セルロースベースの写真フィ
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ルムは不安定で危険であるため(参考文献[8]参照),この規格の対象としない。硝酸セルロースべース
の写真フィルムの保存には特別の条件(参考文献[4]参照)を必要とするが,環境条件については,この
規格の規定を適用する。
注記1 この規格は,適切に処理された写真フィルムに適用するために作成されたものであるが,処
理条件が不明確な写真フィルム,調色又はレタッチを施した写真フィルム,及び安定性が不
明な筆記具による書込みをした写真フィルムに適用しても,その寿命を延ばす効果がある。
写真印画及び写真乾板の保存には別の配慮が必要なので,この規格では取り扱わず,JIS K 7642及びJIS
K 7644に,それぞれ規定する。
注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 18911:2000,Imaging materials−Processed safety photographic films−Storage practices (MOD)
なお,対応の程度を表す記号(MOD)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,修正していることを示
す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
には適用しない。
JIS K 7645:2003 写真−現像処理済み写真フィルム,乾板及び印画紙−包材,アルバム及び保存容器
注記 対応国際規格:ISO 18902:2001 Imaging materials−Processed photographic films, plates and
papers−Filing enclosures and storage containers (MOD)
ISO 18901:2002,Imaging materials−Processed silver-gelatin type black-and-white films−Specifications for
stability
ISO 18905:2002,Imaging materials−Ammonia-processed diazo photographic film−Specifications for
stability
ISO 18906:2000,Imaging materials−Photographic films−Specifications for safety film
ISO 18912:2002,Imaging materials−Processed vesicular photographic film−Specifications for stability
ISO 18916:2007,Imaging materials−Processed imaging materials−Photographic activity test for enclosure
materials
注記 対応国際規格ISO 18911は,ISO 14523:1999を引用規格としているが,この規格ではISO
18916:2007を引用規格とした。
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
安全写真フィルム (safety photographic film)
ISO 18906の規定に適合する写真フィルム。
3.2
中期保存条件 (medium-term storage condition)
写真フィルムに記録された情報を,少なくとも10年間よい品質に保つための保存条件。
3.3
4
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長期保存条件 (extended-term storage conditions)
新鮮な現像液で適切に処理された大部分の写真フィルムに記録されている情報を,500年間よい品質に
保つための保存条件。
3.4
LE (life expectancy)
写真フィルムに記録された情報が,温度21 ℃,相対湿度50 %の条件下で,よい品質に保たれると期待
できる期間。
3.5
LEの等級 (LE designation)
写真フィルム及び付帯する保存システムのLE(3.4)の格付け。
注記 “LE”の記号の後に書かれた数字は,温度21 ℃,相対湿度50 %の条件下で保存された場合
に,写真フィルムに記録された情報が,著しく劣化しないで保存できると予想される年数であ
る。例えば,LE−100は,記録情報が,少なくとも100年間は保存できることを表す。
3.6
マクロ環境 (macroenvironment)
包材又は保存容器に入った状態の写真フィルムが置かれている,広い空間の温度,相対湿度及び汚染物
質。
3.7
ミクロ環境 (microenvironment)
包材又は保存容器の内部の温度,相対湿度及び汚染物質。
3.8
保存庫 (storage housing)
写真フィルム及びそれを保存するための包材を収める設備。
注記 保存庫には,引出し,ラック,たな(棚)又はキャビネットが備え付けられたものもある。
3.9
耐火保存庫 (fire-protective storage)
写真フィルムを,高温,水又は他の消火剤,壁の断熱材から発生する水蒸気又は消火及び設備の崩壊の
際に発生する水蒸気から保護するように作られた設備。
3.10
開口包材 (open enclosure)
写真フィルムを,物理的損傷から保護する目的の包材で,遮光性も気密性もないもの。
注記 この種の包材にはリール,スプール,巻心,カセット,マガジン,フォルダ,保存袋,収納箱,
スリーブ,スライドマウント及びアパーチュアカードがある。
3.11
密封包材 (protective enclosures)
写真フィルムを,反応性ガス,湿気,相対湿度の変動などの外的要因から保護し,ある種の記録材料に
ついては,光から保護するための,遮光性で,かつ,気密性をもつ包材。
注記 この種の包材の例は,テープでシールした缶及び封をした保存袋である。
3.12
複製 (duplicate)
5
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元の記録と同じネガポジ性及び寸法をもつ写真画像。
4
フィルム用包材及び収納箱
4.1
一般
中期保存又は長期保存を目的としたすべての包材及び収納箱は,JIS K 7645の規定に適合しなければな
らない。
4.2
ロールフィルム
4.2.1
中期保存用包材及び収納箱
航空写真用フィルム,マイクロフィルム,映画用フィルム及び一部の人物写真用フィルムは,リール又
は巻心に巻き,ロールの形で保存する。ロールは全長にわたって緩みがなく,しかも極端な張力を加える
ことがなく,適度のかた(堅)巻き状態に巻かれていなければならない。35 mm写真フィルムに対しては,
0.3 Nの張力での巻付けが望ましい。写真フィルムの長さが150 m以上のロールは,水平に置いて,その重
さがフィルムエッジにかかるような状態で保存しなければならない。
写真フィルムの長さが150 m以下のロールは,巻心に軸を通してけんか(懸架)し,ロールの下部に圧
力がかからない状態にしてあれば,垂直状態で保存してもよい。リール又はスプールにつば(フランジ)
が付いていれば,つばが重さを支えるので,巻心に軸を通してけんか(懸架)しない。
映画用フィルムは,映写特性をよくするために乳剤面を内巻きにする(参考文献[9]参照)。
ロールフィルムは,ほこり及び機械的な損傷から保護するために,保存庫を使用する。それが不可能な
場合は,密閉式収納箱に保存しなければならない(箇条5参照)。
カラーフィルム,ジアゾフィルム,熱現像銀フィルムは,遮光性をもった密閉包材中に保存しなければ
ならない。このような密封包材を使用する場合は,周囲の相対湿度は推奨する範囲を超えてはならない。
注記1 この目的に合った包材は,はめ込み方式又はねじ締め方式のふた(蓋)が付いた容器である。
容器の素材は,巻心及びリールに対する要求事項をすべて満たしたものでなければならない。密封包材
には必ずしも完全な気密性は必要がなく,ある程度の通気性はあってもよい。したがって,このような密
封包材を使用する場合は,周囲の相対湿度は推奨する範囲を超えてはならない。
写真フィルムに一定限度以上の水分を含ませてはならない場合(箇条7参照),大気中の気体状不純物か
らの保護を目的とする場合,又は湿度管理なしに低温保存する場合(附属書B参照)には,気体透過性の
ない包材を使用しなければならない。ゴム製ガスケットは使用してはならない。
注記2 この目的に合った包材は,気密性のはめ込み方式又はねじ締め方式のふたにシールを追加し
た密閉容器である。
注記3 ヒートシール袋を内装とする缶は,湿度からの保護能力をもっている。
注記4 金属製の保存容器は,環境中の気体状有害物に対する最高の保護能力をもつが,適切な表面
加工がなければ,内部から酸性気体が発生した場合にさびるおそれがある。
注記5 金属に替わる素材としてポリスチレン,ポリエチレン及びポリプロピレンがある。
4.2.2
長期保存用包材
長期保存においても,4.2.1の規定はすべて守られなければならない。巻心,リール及び包材として使用
する素材は,JIS K 7645及びISO 18916の写真画像への影響度の規定に適合していなければならない。巻
心又はリールに巻かれた写真フィルムの緩みを防ぐために,ゴムバンドを使用してはならない。
紙テープを使って留める場合は,紙は少なくともJIS K 7645及びISO 18916の写真画像への影響度の規
定に適合していなければならない。リールに巻かれた写真フィルムの外側の端を,フィルムロールとフラ
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ンジとの間に挟んで留めてもよい。粘着テープを使う場合は,過酸化物を含まず,ISO 18916の写真画像
への影響度の規定に適合した粘着テープを使用しなければならない。粘着テープが写真フィルムに直接接
触するような状態にしてはならない。
種類の異なる写真フィルム(例えば,銀・ゼラチンフィルムとジアゾフィルム),又は写真フィルムと磁
気テープ若しくは光ディスクとは,互いに影響を及ぼすことがあるので,種類の異なる写真フィルムを重
ねて巻いて1本のロールとしたり,種類の異なる写真フィルムのロールを同じ包材中に保存してはならな
い。保存庫中にじんあい(塵挨)又は損傷から保護された状態で収納されていない場合は,密閉包材を使
用しなければならない(箇条5参照)。
4.3
シート状フィルム及びスライド
4.3.1
中期保存用包材
カラーフィルム,ジアゾフィルム及び熱現像銀フィルムは,不透明な保存袋又はフォルダに保存し,こ
のような包材がない場合は,遮光性のあるものに入れて保存しなければならない。フィルムを積み重ねて
保存することは,重さによる圧力の影響を受けることがあるので望ましくない。
写真フィルム面と直接接触する紙又はプラスチック素材(例えば,保存袋,スリープ,ジャケット,フ
ォルダ,収納箱)は,最小限JIS K 7645及びISO 18916の,写真画像への影響度の規定に適合していなけ
ればならない。
シート状の写真フィルムの保存には,紙製の保存袋,折りたたみ式の収納箱,ファイルフォルダ,アパ
ーチュアカード又はフィルムジャケットが望ましい。スライドの保存には,厚紙, 金属又はプラスチック
製の箱が望ましい。
収納箱として適切なプラスチック素材は,表面に何も塗布を施していないポリエステル(ポリエチレン
テレフタレート),ポリスチレン,ポリエチレン又はポリプロピレンとする。グラシン紙又は塩素基,硝酸
基若しくは多量の可塑材を含むプラスチックフィルムを,包材又は収納箱として使用してはならない。 特
に,硝酸セルロース及びポリ塩化ビニルは,絶対に使用してはならない。
各種写真フィルムに要求される限界水分値(箇条7参照)を超えないようにしたい場合,大気中のガス
状の不純物からの保護を目的とする場合,又は湿度の管理をしないで低温保存する場合(附属書B参照)
には,気体透過性のない包材を使用しなければならない。
注記1 アルミニウムはく(箔)の内側に添加物を含まないポリエチレンを,外側には包材としての
条件を満たした紙をそれぞれは(貼)り合わせた,ヒートシール適性をもった積層包材で作
られた保存袋は,密閉包材としての好結果をあげている。
ヒートシール適性をもった積層包材で作られた保存袋に,ピンホールがあった場合の安全策として,保
存袋を二重にして使用するのが望ましい。ヒートシール方式の包材の使用に当たっては,内圧による破裂
を生じないように注意することが望ましい。保存袋の作成に使われる接着剤は,JIS K 7645及びISO 18916
の,写真画像への影響度の規定に適合していなければならない。保存袋における包材の合わせ目及び接合
部分は,袋の端に位置するようにして,写真フィルム表面には接しないようにしなければならない。
酸性のガスを発生するおそれのある写真フィルムは,中和機能をもった紙の保存袋に入れて保存しなけ
ればならない。
注記2 ある種のベシキュラフィルムは酸性ガスを発生し,これが銀・ゼラチン,ジアゾ,色素・ゼ
ラチン形のフィルムに影響を与えることがある。酢酸セルロースベースは,劣化によって酢
酸を発生し,発生した酢酸が触媒作用をして,更にベースの劣化を促進する。
4.3.2
長期保存用包材
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長期保存においても,4.3.1の要件のうちの一つの例外を除くすべてが満たされていなければならない。
例外として,長期保存用包材として厚紙を使用してはならない。
袋用の接着剤としては写真用ゼラチン,写真的に不活性な変性でん(澱)粉及びメチルセルロース系接
着剤が使用できる。長期持続性の粘着剤は,JIS K 7645及びISO 18916の,写真画像への影響度の規定に
適合していなければならない。
注記 スティックのりの中にはISO 18916の,写真画像への影響度の規定に適合しないものがある。
種類の異なる写真フィルム(例えば,銀・ゼラチンフィルム,ジアゾフィルム),又は写真フィルムと磁
気テープ若しくは光ディスクとは,互いに影響を及ぼすことがあり,種類の異なる写真フィルムを直接接
触させること又は同一の包材中に保存することをしてはならない。
5
保存庫
写真フィルムは,じんあい又は汚れから守るために,引出し若しくはキャビネットのような閉めること
ができる収納場所,又はすき間のない,扉が付いたたな(棚)若しくはラックに入れて保存するのが望ま
しい。ただし,写真フィルムを密閉式の包材に入れた場合は,扉なしのたな(棚)又はラックに保存して
もよい。
保存庫の材質は,JIS K 7645の規定に適合した不燃性,非腐食性で,化学的に不活性なものでなければ
ならない。木材,合板,プレスボード,バーチィクルボードなどは可燃性であり,時間が経過すると,写
真画像の劣化を促進する物質を発生する可能性があるので,使用してはならない。
保存庫の塗装には,耐久性があり,しかも保存中の写真フィルムへ悪影響を与える物質を含まない塗料
を使用する。粉末塗装された金属製の保存庫,又はステンレス若しくはアルマイト製のキャビネットが保
存庫として望ましい。
注記1 粉末塗装とは,溶剤を含まず,静電気によって吸着された粉末樹脂を,加熱溶融して皮膜と
する塗装をいう。
注記2 塩素化樹脂又は可塑剤を多量に加えた樹脂を含む塗料は,写真フィルムに悪影響を与える可
能性があり,また,塗りたての塗装から発散する溶剤も,写真フィルムに悪影響を与える可
能性がある。キャビネットに塗られた塗料は,塗装後3か月間は過酸化物,溶剤その他の有
害物質を発散する可能性がある。
空気調節設備を備えた保存庫では,写真フィルムを保存しているすべてのたな(棚)及び引出しが均一
の湿度条件になるように,内部の空気を循環させる。保存庫を7.1に従って空気調節した室内に置く場合
は,空気が保存庫内に出入りできるように通気口を設ける。 この通気口は,耐火及び防水上の必要条件を
満たすものでなければならない。
酸性ガスを発生する写真フィルム若しくは他の物質,磁気テープ又は光ディスクは,写真フィルムと混
在させて保存してはならない。
6
保存室
6.1
中期保存室
写真フィルムを保存する部屋又は場所は,写真フィルムの検査及び観察の設備を置いた部屋に通じてい
ることが望ましく,いずれも適切な管理が行われていなければならない。壁及び空気調節された室内は,
屋外の温度が低く壁が室内の露点以下に冷やされる時期でも,壁の内面又は室内の備品の表面に結露が生
じないような設計でなければならない。また,洪水,漏水,スプリンクラの散水又は火災の場合に石壁か
8
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ら発生する蒸気によって,写真フィルムが損傷を受けない構造でなければならない。保存室又は専用保存
施設はできれば地下室を避けた方がよい。
中期的な価値をもつ写真フィルム用の作業室が,7.1.2で推奨する環境条件に保たれているならば,作業
室とは異なる特別の保存室を設ける必要はない。
ある種のベシキュラフィルムのように,酸性ガスを発生する可能性があるフィルムの保存室に使用する
空気循環装置は,他の保存室とは別系統のものでなければならない。保存中に,酸の臭気のような劣化の
兆候が現れた写真フィルムは,別系統の空気循環装置を備えた,隔離された保存室へ移さなければならな
い。
6.2
長期保存室
長期保存においても,6.1の規定を適用しなければならない。長期間保存する価値のある写真フィルム
は,中期保存室,一時置き場,事務所又は作業室から隔離された,専用の保存室又は貯蔵室を設けて保存
することが望ましい。酸性ガスを発生する可能性があるフィルムの保存室に使用する空気循環装置は,他
の保存室とは隔離された別系統のものでなければならない。
注記 7.1に規定する温湿度条件及び7.3に規定する空気の清浄度が確保できれば,地下又はほら穴に
設置された保存室でも,写真フィルムは,よい保存状態に保たれることが分かっている。
7
環境条件
7.1
保存温度及び保存湿度(附属書D,E及びF参照)
7.1.1
中期保存の温湿度条件
中期保存における相対湿度の平均値は50 %を,最高相対湿度は60 %を,それぞれ超えてはならない。
長期間にわたっての保存場所の平均温度は21 ℃以下とするが,25 ℃を超えないことが望ましい。たと
え短時間であっても,最高温度が32 ℃を超えてはならない。
周期の短い温度変動は,避けなければならない。 任意の24時間内の相対湿度の変動幅は±10 %に,温
度の変動幅は±5 ℃に,それぞれ保たれなければならない。
7.1.2
長期保存の環境条件(附属書F参照)
表1で推奨する温度及び相対湿度条件は,保存庫の内部又は保存庫が置かれている保存室内のいずれに
おいても,守らなければならない。
9
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表1−長期保存条件として許容される最高温度及び平均相対湿度範囲
写真画像
フィルムベース
最高温度a),b)
℃
相対湿度範囲a),c)
%
黒白/銀・ゼラチンd)
(ISO 18901参照)
セルロースエステルe)
2
20〜50
5
20〜40
7
20〜30
黒白/銀・ゼラチンd)
(ISO 18901参照)
熱現像銀(ISO 18919参照)
ベシキュラ(ISO 18912参照)
銀色素漂白方式
ポリエステル
21
20〜50
カラー(発色現像方式)
ジアゾ方式(ISO 18905参照)
セルロースエステルe)
又はポリエステル
−10
20〜50
− 3
20〜40
2
20〜30
注a) 歴史的価値のある写真画像の保存条件については,附属書Gを参照。
b) 任意の24時間内の温度の変動幅は,±2 ℃とする。
c) 任意の24時間内の相対温度の変動幅は,±5 %とする。
d) 大気中の汚染物質の存在,包材の欠陥,並びに/又は温度及び相対湿度の高すぎによる銀画像の酸
化の可能性が心配な場合,更なる保存性強化のための化学的後処理という方法がある(ISO 18915参
照)。
e) セルロースエステルとは,セルロース・トリアセテート(三酢酸セルロース),セルロース・アセテ
ート,ブチレート又はセルロース・アセテート・プロピオネートをいう。
7.1.2.1
黒白写真フィルムの保存に推奨される環境条件
保存の平均温度を下げれば高い相対湿度でも保存することができるが,相対湿度の最高値は50 %を超
えてはならない。任意の24時間における相対湿度の変動幅は,±5 %でなければならない。また,任意の
24時間における温度の変動幅は,±2 ℃でなければならない。
保存の環境条件は,表1の規定の範囲内で選択することが望ましい。
注記1 フィルムベースの劣化及び酸化による画像銀の退色のような化学反応の進行は,低温度及び
低湿度の下で遅くなる。そのため,保存温度又は保存相対湿度のいずれを下げてもLEを延
ばすことができる。低い温度で保存すれば,湿度が高くともその悪影響を相殺してLEを短
縮しないですむ(附属書F参照)。したがって,表1に規定するような,幾通りかの温度/
湿度の組合せが長期保存環境条件として採用できる。
注記2 マクロ環境のもう一つの管理方法は,室温において写真フィルムを推奨する湿度で調湿し,
次いで密封包材又はテープでシールされた容器に入れ,低温の保存場所に置く方法である(参
考文献[10]参照)。
注記3 ロールフィルムもシートフィルムも,密封包材に入れ,内部の空気容積をできるだけ少なく
してからヒートシールし,更にその包材を二重にすることによって,適切に湿度から守るこ
とができる。二重袋による保存は,ピンホールからの空気の侵入の可能性を低くすることが
できるが,完全な保証をするものではない。しかし例外的な場合を除いて,二重袋方式では
内側の袋の内部の湿度を望ましい状態に保つことができるので,低温貯蔵庫又は価格的に無
理のない冷凍設備を含む施設での保存も可能となる。この場合も,シールされたフィルム包
材内部に残る空気の量を,できるだけ少なくすることが不可欠である。
注記4 ロールフィルムは,缶に入れて保存すれば物理的な損傷の心配がない。
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注記5 保存に最適な温度及び相対湿度を,一義的に規定するのは困難である。なぜならフィルムの
重要度,過去の保存の履歴,今後保存を必要とする期間,貯蔵庫の大きさ及び設置場所の環
境条件,その他の要因に対するコストの項目が,フィルムごとに異なっているからである。
注記6 保護能力とコストとの関係は,個々の保存施設に応じて適切に決められるべきものである。
容器中に保存する写真材料を, 適切な組合せにしなければならない。写真フィルム及び写真プリント又
は写真乾板を同一容器中に保存してはならない。新しい写真フィルムと古い写真フィルムとが混在する状
態での保存をしてはならない。
保存条件として推奨される温湿度を維持する方法には,保存庫の内部の管理又は保存庫が設置されてい
る保存室の内部の管理の二通りがあるが,このようなマクロ環境の管理ができない場合は,ミクロ環境を,
モレキュラシーブ,シリカゲル又は空気調節による除湿によって管理しなければならない(附属書H参照)。
ゼラチン画像層をもつ写真フィルムが著しく低い湿度の下に置かれると,画像層の乾燥によるぜい(脆)
化及びカールを生じる場合があるので,そのような問題の解決のためには,使用前に,写真フィルムを適
切な湿度環境で調湿するのがよい。
7.1.2.2
カラー写真フィルムの保存に推奨される環境条件
発色現像方式カラーフィルムの保存温度は,2 ℃以下(参考文献[11],[12]参照), 銀色素漂白方式
のカラーフィルムの保存温度は,21 ℃以下でなければならない。
注記1 カラーフィルムの保存に推奨される環境条件は,保存室を,表1に示す温度相対湿度条件で
管理することによって達成される。
注記2 これに代わる方法として7.1.2.1に記載した密閉容器又はテープでシールされた容器に入れ,
低温の保存条件に置く方法がある。
この規格の適用に当たっては,包装の手間及び包材の値段に合わせて,低温貯蔵庫又は冷凍施設の設置
費用及び運転コストをも考慮して,最適の方法を選択することが望ましい。
7.1.2.3
湿度の平衡に要する時間
写真フィルムが置かれた環境の湿度と平衡状態になるまでの時間は,温度と平衡状態になるまでの時間
より長いので,写真フィルムを保存状態に置く前に,湿度の予備調節をすることを必要とする。
注記1 湿度の平衡に要する時間は,主に次の要因によって決まる。
− 写真フィルムの形態(ロール,シート)
− シートフィルムの枚数及び積み重ね状態(単位厚さ当たりの枚数),ロールフィルムにおけ
る巻付け回数
− 包材及び収納箱の湿度透過性
− 湿度調節の出発点と終点とにおけるフィルムの含有率の差
− 湿度調節を行う環境の温度
注記2 これらの要因の組合せによっては,湿度調節に更に長い時間を要する事態が生じる。保存し
ながら湿度調節をしようとすれば低温貯蔵庫の有効性が疑わしくなる。例えば,150枚のシ
ートフィルムを積み重ねたものを,室温で湿度調節するのには2週間もかからないが,0 ℃
以下で湿度調節するためには6か月かかる(参考文献[13]参照)。
注記3 具体的な予備調節方法としては,シートフィルムを重ねない状態で,適切な温度及び相対湿
度に保たれた循環空気中に,24時間放置する方法がある(空気の清浄性については7.3参照)。
シートフィルムが重ねられた状態ならば,予備調節の時間は24時間より長くなる。
注記4 ロールフィルムでは,予備調節に更に長い時間を要する。換言すれば,写真フィルムが空気
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に暴露されていれば,予備調節に要する時間が短くなる。ロールフィルムでは,密閉式の金
属容器中より水分の透過性がある包材中に置かれた方が,予備調節に要する時間が短くなる
が,それでも,室温で数か月以内で済むという程度である(参考文献[12],[13]参照)。
注記5 含水率が多すぎる写真フィルムは,テープでシールした金属容器中に,シリカゲル又はモレ
キュラシーブとともに2〜3週間置いて,乾燥すれば予備調節となる。
注記6 使用環境の相対湿度を保存環境に合わせて適切に設定すれば,湿度調節時間を短縮し,又は
不要とすることができる。また, このような適切な設定によって,使用及び保存の繰返しに
よって写真フィルムに生じるひずみを減らすことができる。
注記7 使用環境及び保存環境の相対湿度が適切に設定されていなければ,湿度の平衡に要する時間
は極めて長いものとなる。
7.1.2.4
温度の平衡に要する時間
室温より著しく低い温度で保存されていた写真フィルムは,使用前に予備温度調節をして,水分の急激
な吸収又は写真フィルム表面への結露を防ぐ。この予備温度調節は,写真フィルムを防湿性のある容器又
は包材に収納した状態で行う。
注記1 必要十分な予備調節を行えば,写真フィルム全体が室温に達する(附属書E参照)。
注記2 予備調節に要する時間は,写真フィルムの量,容器の断熱性又は保存環境と使用環境との温
度差によって,1時間の場合もあれば1日を要する場合もある。
7.2
空気調節の要件
湿度及び温度を規格の規定に適合させるためには,適切な空気調節を行う必要があり,特に長期保存環
境では条件が厳しいので,空気調節されている保存庫又は保存室の内部は,外界より少し高い気圧に保た
なければならない。
空気調節設備及び保存室の送排気ダクト内の自動防火ダンパは,該当する国家規格又は規則(参考文献
[14],[15]参照)に従って設置し,維持しなければならない。また,該当する国家規格又は規則(参考
文献[16],[17]参照)に規定されている耐火資料室の推奨にも従わなければならない。れんが(煉瓦)
又はコンクリートの壁からは,火災の際に内部の水分が水蒸気となって放出されることがあるので,その
ような構造の保存庫では,密閉容器又は水蒸気遮へい(蔽)能力をもつ保存容器を使用しなければならな
い。
空気調節設備は自動制御方式であることが望ましく,点検は適切に校正された湿度計を用いて頻繁に行
い,表1に規定した管理範囲から外れていないことを, 常に確認しなければならない。
空気調節設備が使えない場合は,湿度計による制御機能を備えた電気除湿機を使用する。
粒径0.3 μm以上のじんあいを除去できるフィルタを備えたものであれば,不純物を含まないシリカゲル
のような乾燥剤を使った除湿機も,7.1の規定に適合するように湿度を管理することができる。
注記 地下室又はほら穴のような,低温で湿度が許容上限を超えやすい保存場所では,除湿が必要と
なる場合がある。
通常の相対湿度が7.1に規定した管理範囲より低いとき,又は保管中の写真フィルムにカール又はぜい
(脆)化のような問題が生じるおそれがあるときには,加湿の必要があり,加湿には, 制御装置を備えた
加湿器を用いなければならない。水又は薬品の飽和溶液を入れたトレイを置く方法による加湿は,湿度が
高くなりすぎる危険を伴うので,使用してはならない。
7.3
空気の純度(附属書C参照)
写真フィルムに記録された情報を,できるだけ長い期間にわたって良質に保つためには,写真フィルム
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を清浄な環境に置いて損傷の原因を除去し,それから保存しなければならない。
固体粒子は,写真フィルム表面にかききず(傷)を発生させたり,画像層に化学変化を与えるおそれが
あるので,保存庫又は保存室へ供給される空気からフィルタによって除去しなければならない。 フィルタ
は該当する国家規格又は規則(参考文献[19],[20]参照),に適合する構造で,不燃性のものでなければ
ならない。
この種のフィルタとしては,該当する国家規格又は規則(参考文献[18],[19]参照)の試験方法によ
る捕集率が,85 %以上の乾式のものが望ましい。
注記1 二酸化硫黄, 硫化水素,種々の過酸化物,オゾン,種々の酸の蒸気,アンモニア,窒素酸化
物のような気体不純物は,フィルムベースや写真画像の劣化を引き起こすことがあるが(附
属書I参照),それらは適切な洗浄装置又は吸収装置で除去できる。
長期保存用の施設は,汚染物質が有害なレベルになることがある市街地又は工場区域からできるだけ離
れた場所に設置することが望ましい。
注記2 写真フィルムを箇条4に規定する密閉式収納箱又は密封包材中に保存すれば,外気からの汚
染を適切に防ぐことができる。
塗料の蒸気は酸化性の汚染物質源になり得るので,長期保存,中期保存にかかわらず,保存場所に新た
な塗装を行った場合は,3か月間はその場所に写真フィルムを持ち込み,又は保存してはならない。
分解の進んでいる酢酸セルロース又は硝酸セルロースベースの写真フィルムから発生する気体は,同一
場所に保存されている写真フィルムの画像を劣化させ,又は破壊するので(参考文献[21]参照)保存す
る写真フィルムを酢酸セルロース又は硝酸セルロースベースの写真フィルムと同一の室内に置いてはなら
ない。また,換気ダクトでつながっている場合は, 別室であっても置いてはならない。
7.4
光の影響
写真画像によっては, 光による悪影響を受けるので,写真フィルムは暗所に保存することが望ましい。
8
耐火保存設備(附属書J参照)
耐火保存用の包材は150 ℃で4時間加熱しても発火せず,また包材から発生する気体は,写真フィルム
から発生する気体より反応性が少ないものでなければならない。この温度では,多くの包材は軟化したり
著しくゆがむことがあるが,その場合でも,写真フィルムが損傷を受けたり包材から取り出せなくなるこ
とがあってはならない。リール及び巻き心に用いる材料は,それに巻き付けて保存する写真フィルムより
燃焼性又は分解性が大きいものであってはならない。
火災及びそれに伴う損傷から保護するために,写真フィルムは密閉容器に入れ,それを耐火保存庫又は
150級の断熱形記録保存庫に保存しなければならない。
耐火保存庫は,該当する国家規格又は規則(参考文献[22],[23]参照)に適合する構造の,特に蒸気
からの保護を重視したものでなければならない。
写真フィルムの量があまり多くないときには,該当する国家規格又は規則(参考文献[22],[23]参照)
に適合する,150級の断熱形記録収納箱が保存用に適しており,この収納箱は,その等級に応じて1時間
〜4時間の火炎暴露試験を行った場合, その内部温度が65 ℃以下に,内部相対湿度が85 %以下に保たれ
るものでなければならない。
建物が耐火構造になっていない場合は,断熱形記録保存庫は,床下から炎にさらされない状態でなけれ
ばならない。
火災からの防護の最善策を取ろうとするならば,複製を作り,それを別の場所に保存しなければならな
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い。
9
写真フィルムの識別,取扱い及び検査(附属書A,G及びH参照)
9.1
識別
保存用の写真フィルムには,インキ,クレヨン,フェルトペンのようなものによる書込み,又は粘着ラ
ベルのはり(貼)付けによる識別が行われることが多いが,このような識別に使われる素材は,ISO 18916
の写真画像への影響度の規定に適合するものでなければならない。
9.2
取扱い
写真フィルムは,薄く清浄な木綿の手袋を着用し,写真フィルムの縁を持って取り扱わなければならな
い。
注記 保存場所の環境を適切に管理し,清浄に保つことが特に重要である。使用頻度の高い写真フィ
ルムは傷付きやすいので,取扱い及び保存容器・袋への収納に細心の注意が必要である。
ゼラチン層はすりきず(傷)が付きやすく,ベシキュラフィルムでは圧力によって気泡が破
壊され,画像が損傷しやすい。
9.3
検査
保存中の写真フィルムの検査は,2年ごとに,十分な数の代表的なサンプルを選び出して行う。保存中
に,環境の温度及び/又は湿度が7.1に規定された範囲から外れた場合は,検査の頻度を増やす。検査は,
事前に立てたサンプリング計画に従って実施し,包材の劣化をも検査項目とする。検査は,毎回異なるロ
ットについて行うことが望ましい。
写真フィルム及び包材に生じた劣化は,記録しておく。
注記1 写真フィルムの検査に関する推奨事項が,国家規格(例えば,参考文献[24])に記載されて
いる。
劣化には,写真フィルムの物理的変化(カール,ゆがみ,ぜい化,接着故障など),写真画像の視覚的変
化(退色,変色,ブレミッシュ),包材の変化(ぜい化,変色)があり,劣化の原因追及及び対応策を実施
しなければならない。
検査室の露点以下の温度で保存されていた写真フィルムは,包材に入れたままの状態で検査室の温度と
の差が数℃以内になるまで,温度調節を行ってから開封しなければならない。
注記2 写真フィルムの量又は温度差が大きいほど,温度調節に要する時間は長くなる。
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附属書A
(参考)
保存目的及び使用目的の区別
序文
この附属書は,写真フィルムにおける保存目的及び使用目的の区別について記載するものであって,規
定の一部ではない。
写真フィルムにおける保存目的及び使用目的の区別は,必ずしも明確ではない。使用目的の写真フィル
ムは,公文書保管所,記録センタ,図書館及び博物館に置かれて容易に閲覧できるようになっており,有
効に使われている。しかし便利に使用されることによって,破れ,折れ,すりきず,指紋及び汚れのよう
な損傷を受け,強い光や高温にさらされることがある。使用中の写真フィルムは,保存場所とは全く異な
る場所での湿度に調湿されてしまうことがある。保存場所と同じ条件に再調湿されない限り,使用中の写
真フィルムには,実際に物理的な変形が起こることがある。つまり使用目的の写真フィルムは,長期保存
用としては使えない。
長期保存が必要な写真フィルムには,使用を目的とした複製を作ることが望ましい。複製は,オリジナ
ルが保管されている場所とは異なる場所に置いて,使用に供するのがよい。オリジナルは,該当する規格
の要件を満たした条件で使われ,保存においても該当する規格に適合する条件に置かれることが望ましい。
オリジナルといえども,ときには取り出して見ることがある。全く見ないのであれば,保存の意味がなく
なる。もちろんオリジナルを見る機会は頻繁でない方がよい。
10回以上使用される写真フィルムには,使用目的の複製を作っておいた方がよい。
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附属書B
(参考)
密封容器の長所及び問題点
序文
この附属書は,写真フィルムにおける密封容器の長所及び問題点について記載するものであって,規定
の一部ではない。
写真フィルムの保存に推奨される容器は,どのような条件で保存するかによって,異なったものとなる。
テープでシールした缶又はヒートシールできる金属はく(箔)からなる保存袋のような密閉式保存容器は,
周囲の湿度及び気体状の汚染物質からの保護能力に優れている。金属製の缶は,保存容器の取扱い中に発
生することがある物理的な損傷やじんあいからの保護能力に加えて,水又は火に対するある程度の保護能
力をもち,更に積み重ねによる保存をも可能にする。
しかし,三酢酸セルロースベースの劣化は,そのような密閉容器中では促進されることが確認されてい
る。三酢酸セルロースベースの分解によって発生した酢酸蒸気が,密閉容器中に蓄積され,それが触媒作
用をして更にべースの劣化を促進する。
ボール紙製の箱又は紙袋は酢酸蒸気を吸収するので,劣化を抑える機能をもつが,周囲の湿度又は気体
状の汚染物質からの保護能力は低く,火及び水に対する防御としては全く無力である。また,紙素材が酢
酸を吸収してそのpHが4より低くなると,もろ(脆)くなる場合がある。
紙又は厚紙を素材とするすべての保存袋及び保存容器は,JIS K 7645及びISO 18916の写真画像への影
響度の規定に適合していることが望ましい。
写真フィルムの保存に当たっては,保存中に起こることがある損傷を,互いに定性的に比較検討するこ
とを推奨する。湿度,汚染物質,ごみ,水及び火からの保護が重要項目であれば,密閉容器の使用がよい。
写真フィルムのベースが三酢酸セルロースで,既ににおいなどの分解の兆候が見えているのであれば,容
器中に入れないで保存するか,又は酢酸蒸気を吸収する中和剤とともに包材又は保存容器に保存する方法
がよい。
容器に入れないで保存する場合は,三酢酸セルロースベースから発生する酢酸蒸気が,同じ室内にある
他の写真フィルムに与える影響にも,注意することが望ましい(附属書H参照)。このような配慮は,換
気の程度又は写真フィルムが置かれた間隔,他の写真フィルムに使用されている包材の種類に応じて行え
ばよい。
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附属書C
(参考)
空気中の浮遊物及び有害気体
序文
この附属書は,写真フィルムに対する,空気中の浮遊物及び有害気体の影響について記載するものであ
って,規定の一部ではない。
じんあい及び空気中の固体粒子が写真フィルムに付着すると,見にくくなったり,すりきずを生じたり
することがある。反応性のじんあいは,画像の退色又はステインの発生の原因となることもある。
種々の硫黄化合物やオゾン,過酸化物,アンモニア,塗料からの蒸気及びその他の活性な化合物などの
有害気体は,支持体の損傷及び写真画像の化学的な劣化を引き起こすことがある。
特に市街地及び工業地帯の環境で最も頻発する有害気体は二酸化硫黄で,わずかな濃度でも決定的な影
響を与えやすい。硫化水素はどこにでも存在するという有害気体ではないが,微生物スライムのたまった
空気洗浄機から発生することがあり,低濃度でも,銀画像に対して極めて影響が大きい。過酸化物のよう
な酸化性の気体は,微粒子の銀画像を局部的に酸化して,着色した微小なコロイド銀(参考文献[25][26]
[27]参照)を析出させる。
適切な方法による有害ガスの除去は可能である。例えば,二酸化硫黄は空気洗浄機による水処理で,二
酸化硫黄及び硫化水素は化学的吸着剤で(参考文献[28]参照),それぞれ除去できる。
ただし,いずれも常時管理が必要であり,特に活性炭のような化学的吸着剤の場合は,専門的な取扱い
が必要である。
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附属書D
(参考)
保存中の湿度
序文
この附属書は,写真フィルムに対する,保存中の湿度の影響について記載するものであって,規定の一
部ではない。
相対湿度がこの規格の規定範囲を大きく外れる状態での保存は,写真フィルムに対して極めて悪い影響
を及ぼすことがある。相対湿度が60 %を超える高湿度又は20 %に満たない低湿度は,いずれも避けた方
がよい。
60 %を超える相対湿度に長時間放置すると,かび類の発生によるゼラチン画像層の損傷又は破壊が起こ
り,画像層が包材などに接着することがある。また,高湿度のもとでは,残留するハロゲン化銀及び処理
薬品(例えば,チオ硫酸塩)の銀画像に及ぼす作用が加速され,色素画像の安定性も損なわれることが多
い。高湿度は,画像銀の酸化及びフィルムベースの劣化をも引き起こすことがある。
低湿度での保存はかびの生長を防ぐほか,化学的劣化の速度をも遅くする。最近の調査によれば(参考
文献[7],[29]参照),保存相対湿度が50 %以下の場合,画像層の安定性が顕著に向上し,相対湿度が
20 %の環境で保存すれば,写真フィルムの寿命が,測定した物性によって4倍から10倍に延びているこ
とが分かった。15 %より低い相対湿度で保存すると,ゼラチン画像層が一時的にもろくなるが,相対湿度
が30 %以上の環境で湿度調節すれば柔軟性が回復できる。
低湿度環境において保存中の写真フィルムの取扱いは,不必要に曲げたりしないように,注意深く行う
方がよい。低含水率の写真フィルムには静電気がたまって,じんあいを吸い付けやすくなるが,この問題
は適切な除電によって解消できる。
低湿度環境中の写真フィルムには大きなカールが発生し,シートフィルムでは永久変形の原因となり,
映画用フィルムではスポーキング1) が起こる。また,画像層のはがれ落ち又はめくれなどが既に存在して
いる場合は,それらを更に悪化させることがある。
注1) スポーキングとは,ロール状に巻かれていたフィルムを引き出して平らにすると, 巻きぐせ
(癖)に起因する,画像層のひび割れ又は細かいしわ(皺)が生じる現象をいう。
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附属書E
(参考)
保存中の温度
序文
この附属書は,写真フィルムに対する保存中の温度の影響について記載するものであって,規定の一部
ではない。
写真フィルムを,常時およそ40 ℃を超える温度に置くと,ある種の支持体では柔軟性の低下を生じ,
色素画像及びベシキュラ画像では,退色が進むことがある。
ゼラチン画像層が,0 ℃以下のような低温でもろくなることは確かであるが,室温へ戻せば柔軟性は回
復する。低温で保存中の写真フィルムは,不必要な折り曲げなどをしないように,取扱いには十分注意す
る必要がある。
保存温度が使用に供される場所の露点以下のときは,包材及びその中の写真フィルムの温度を露点以上
に上げてから取り出さなければ,写真フィルムの表面が結露する。これを避けるための温度調節時間は,
写真フィルムの大きさ,包材の種類及び温度差によっては,1時間から1日にも及ぶことがある。
保存温度に関する重要な留意点は,その相対湿度への影響である。湿度の制御が行われていない場合,
温度を下げることによって相対湿度が上がることがある。その結果,相対湿度が規定範囲の上限を超えて
しまうことがある。このような場合は,シールした缶や保存袋を使用するとよい。
シールした缶に保存する場合,写真フィルムを収納した状態での空間を,できるだけ少なくするような
大きさの缶を選んで使い,保存袋の場合は,シールする前に内部の空気をできるだけ追い出すとよい。こ
のような配慮を怠ると,低温保存の場合,内部の相対湿度が規定範囲の上限を超える可能性がある。
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附属書F
(参考)
温度と相対湿度との関係
序文
この附属書は,温度と相対湿度との関係について記載するものであって,規定の一部ではない。
低温度及び低湿度の環境では,化学反応による写真フィルムの劣化の進行を遅らせることができる。つ
まり,保存中の温度又は湿度を下げることによって,写真フィルムの寿命を延ばすことができる。
さらに,低温保存においては,湿度が上がっても写真フィルムの寿命を縮めずにすむ。
この関係が,図F.1に,三酢酸セルロースベースの,劣化による酸性度の増加として示される(参考文
献[29]参照)。
同様の関係が,ポリエステルベースの劣化及びカラー発色画像の退色においても認識されている。この
図から,7.1.2の表1に規定されるような,長期保存目的に使用できる温度及び相対湿度の組合せが得られ
る。保存施設の設計者は,この表から幾つかの選択肢を見つけることができる。
低温及び/又は低湿度保存設備の効果は,保存施設からの頻繁な取出し又は長時間の取出しによって相
殺されてしまうことがある。保存設備外に出されていた時間の影響に関しては,カラー発色画像及びフィ
ルムベースの安定性に対する促進試験のデータを数学的に処理して(参考文献[30]参照),表F.1に示さ
れるようなデータが得られている。
注記 現像直後の写真フィルムを始点とした促進試験による。
図F.1−三酢酸セルロースフィルムが,ある酸性度に達するまでの
年数に対応する,温度/相対湿度の組合せ
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表F.1−保存条件及び室温に置かれた,年間当たりの日数からの寿命の推定
保存条件
室温に置かれた,年間当たりの日数a)
0
5
10
30
60
温度
℃
相対湿度
%
相対寿命b)
20
50
30
1
2
1
2
1
2
1
2
1
2
10
50
30
5
9
4
8
4
7
4
5
3
4
0
50
30
18
33
14
23
12
18
7
9
5
5
−10
50
30
71
132
36
47
24
29
11
11
6
6
−20
50
30
288
538
58
64
32
34
12
12
6
6
注a) この表は定性的なものである。写真フィルムの実際の退色速さ又は期待される寿命は,これとは異なる。
b) 使用室の環境を温度24 ℃,及び相対湿度40 %と想定している。
この表の中の数値は,温度24 ℃,及び相対湿度40 %におけるカラープリントの暗退色速さの平均値の逆数
である。写真フィルムが保存されずに使用された状態での退色速さを,相対的に1として表している。言い換
えると,この表の中の数値は,左側に示される条件で保存された写真フィルの寿命が, 上の欄に示される年間日
数の室温放置によって短縮されていく状況を示すものである。
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附属書G
(参考)
歴史的価値のある写真フィルム画像
序文
この附属書は,歴史的価値のある写真フィルム画像の保存について,技術的な観点から記載するもので
あって,規定の一部ではない。
歴史的価値のある写真画像が保存されている施設では,相対湿度レベルの選択に当たっては,既にある
程度の劣化(画像層のき裂,ひだ又ははがれ)が生じている写真フィルムが,更に20 %から30 %という
低湿度による収縮力の影響を受けないように,十分な注意を払うべきである。高湿度の場所と低湿度の場
所とを繰り返し往復させると,既に生じている欠陥を悪化させることがある。
低温及び/又は低湿度での保存は,画像層又はフィルムベースをぜい化させて,取扱い中の損傷の危険
を増すことになる。したがって,歴史的価値のある,特に既に損傷を受けている写真フィルムを低温及び
/又は低湿度で保存する場合は,不必要に曲げたりしないように,その取扱いを慎重にするのがよい。折
り曲げ又は粗雑な取扱いは,画像層のひび割れ又ははがれなどの物理的損傷だけでなく,もろくなってい
るフィルムベースを損傷することがある。
たびたび使用される写真フィルム及び長期間使用される写真フィルムは,コピーを作っておくべきであ
る。低温保存又は低湿度保存によって確保されていた写真素材の化学的安定性が,高温又は高湿度の使用
場所に繰り返し取り出されたり,又は長時間置かれることによって急速に失われるので,コピーの作成は
特に重要である(附属書F参照)。
大部分の古いタイプ(例えば,1980年以前に製造された内形カプラタイプ)のカラーフィルムにおける
画像は,最近のカラーフィルム画像より本質的に安定度が低く,また長い保存年数の間に既に変化が生じ
ているので,寿命を延ばすためには,7.1.2の表1に規定される上限値より十分低い温度での保存が望まし
い。既に劣化が始まっている可能性がある,酢酸セルロースベースの古い黒白フィルムについても同様で
ある。
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附属書H
(参考)
ミクロ環境
序文
この附属書は,写真フィルム画像の保存におけるミクロ環境の管理について,技術的な観点から記載す
るものであって,規定の一部ではない。
この規格の作成は,まず保存施設全体,すなわちマクロ環境の管理の規定を目的に始められた。
マクロ環境の管理が,写真フィルムの保存方法としては基本的なものだからである。しかし,マクロ環
境の管理には高額の初期投資を要し,使用に当たっての温度及び湿度の維持の費用も大きなものとなる。
経験的にマクロ環境の管理は,写真フィルムの修復及び複製より低コストであることが知られているが,
空気調節設備の断熱工事の費用が高すぎたり,適切な設備がそろわなかったり,又は必要とする電力が得
られなかったりの理由から,実施不可能であった例も少なくないことに注目すべきである。このような状
況下では,ミクロ環境の管理が現実的な代替手段となる。ミクロ環境とは,密閉された収納箱又は保存袋
の内部をいう。
写真フィルムの寿命には,直接接している環境の影響が大きいので,ミクロ環境の管理は技術的な観点
からも合理的である。ただし,ミクロ環境の管理は,写真フィルムが水分若しくは有害気体の透過性のな
い容器又は袋に収納されている場合だけに有効である。
ミクロ環境の管理では,写真フィルムをあらかじめ低湿度において十分に湿度調節し,それを密閉容器
に収納するという手順が望ましい。50年以上前には,シリカゲルを使って写真フィルムの含水率を下げる
方法(参考文献[31]参照)が推奨されたが,Swedish Film Instituteが1981年に,映画用フィルムのミク
ロ環境の管理を目的とした,FICAという名前の装置を開発した(参考文献[10]参照)。この装置にはま
だ実験室的な部分も残されていたが,間もなくアメリカのNational Bureau of Standardによって,温度,湿
度及び汚染物質の管理を重点的にミクロ環境の管理技術が追求され,完成されるに至った(参考文献[32]
参照)。
近年,ゼオライト(通称モレキュラシーブ)による映画用フィルムのミクロ環境の管理が,再び注目さ
れている(参考文献[33]参照)。多くの種類のゼオライトが存在するが,その中に次の二つの機能を兼ね
備えたものがあり,写真フィルムの保存に有効である。すなわち水分吸収機能(参考文献[34]参照)及
び三酢酸セルロースベースの劣化によって生じる酢酸の吸収機能である。
酢酸は,触媒作用によって三酢酸セルロースベースの劣化を促進するので,それを吸収すれば写真フィ
ルムの寿命を延ばすことができる。さらにモレキュラシーブは,銀画像に有害なある種の気体状汚染物質
をも取り除くことができる(附属書I参照)。
ミクロ環境の管理における問題点は,実行に手間がかかること,収納箱又は保存袋への写真フィルムの
出し入れが面倒なことである。写真フィルムの出し入れのたびに再シールが必要であり,また,モレキュ
ラシーブ又はシリカゲルの定期的な交換も必要である。
マクロ環境の管理が困難の場合は,ミクロ環境の管理を推奨する。
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附属書I
(参考)
銀画像の劣化
序文
この附属書は,写真フィルムにおける銀画像の劣化について記載するものであって,規定の一部ではな
い。
現像処理済み黒白画像は,好ましくない保存条件下又は不適切な包材中では,常に変色(微小なスポッ
ト,鏡面化又は黄変)の危険にさらされている。画像の劣化は,画像を形成している銀が局部的に酸化し
て,移動性の銀イオンとなることによって発生する。この移動性の銀イオンは,元々存在した位置から移
動し,還元されて金属銀となって,移動後の位置に定着する。この定着が画像層表面に起これば銀鏡とな
り,浅い角度から反射で観察すると金属光沢に見える。また,移動性の銀イオンの抜けが集中的に起きる
と,その部分は,マイクロフィルムにおいてよく知られている微小の赤色のスポット又はブレミッシュと
なる。黄変は,全面又は部分的な変色となる。これらの現象は通常,フィルムロール先端のリーダ部分に
発生するが,フィルムロール内部の画像部分に発生することもある(参考文献[17],[35],[36]参照)。
このような画像の劣化を引き起こす酸化物質は,空気中の酸素又は過酸化物のような不純物,オゾン,
二酸化硫黄,硫化水素又は工場地域の大気中に存在する種々の酸化物質である。空気中の水分には,酸素
による劣化を促進する作用がある。過酸化物は多くの木材中に存在し,はさみ紙,紙製収納箱の経年によ
っても発生することがある。密閉された保存容器では,汚染物質を除去するためにモレキュラシーブ,化
学的吸収剤及びさび止め剤を使用するなど,種々の方法が採用される。
写真フィルムの現像処理及び保存条件が,変色又はブレミッシュの発生に大きな影響を与える。
低温で酸化性の気体を含まない乾燥空気の環境に保存すれば,変色又はブレミッシュを防ぎ,又は遅ら
せることができる(参考文献[25],[37],[38]参照)。銀画像の化学的処理は,酸化性気体に対する耐性
を増すことができる(ISO 18915参照)。
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附属書J
(参考)
火災に対する防護
序文
この附属書は,写真フィルムの火災に対する防御について,技術的な観点から記載するものであって,
規定の一部ではない。
火災によって焼失することに至らなくても,写真フィルムには高温による損傷が起きることがある。写
真フィルムには150 ℃である程度の変形が生じるが,銀ゼラチン画像は,150 ℃に数時間置かれても極端
には劣化しない。しかし,カラー画像やジアゾ画像では,退色及び色バランスの変化を生じることがある。
ベシキュラ画像及び熱現象銀画像は,通常,この温度で破壊されてしまう。写真フィルムは高温にさらさ
れることによって,画像の損傷に加えて,見ることもスライドとして投影することもプリントすることも
困難になるほどの損傷を受けることがある。
また,特にゼラチン又は他の素材によってバックコートされている写真フィルムでは,接している写真
フィルム同士の接着やブロッキングが発生する危険がある。
ある種の耐火仕様の金庫,収納箱及び保存施設の扉は,蒸気を発生させてその冷却作用を利用するよう
に設計されている。この場合,写真フィルムに蒸気が触れないような保護措置を講じておくのがよい。そ
うでないと,画像層の溶解,接着又は著しい変形が起こる。この理由から,密封方式で保存されている内
容物を, 蒸気にさらさない設計の断熱形記録物収納庫(150級)が推奨される(箇条8参照)。
極めて劣化しやすい記録及び火災から確実に守りたい記録は,複製を別の場所に保存することを推奨す
る。
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附属書K
(参考)
参考文献
序文
この附属書は,参考文献について記載するものであって,規定の一部ではない。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
O. Box 9101, Quincy, MA 02269-9101, USA.
[17] 消防法に基づく危険物の規制に関する政令306号(昭和34年9月26日)
[18] ASHRAE Standard 52-76, Method of testing air cleaning devices used in general ventilation for removing
particulate matter. American Society of Heating,Refrigeration, and Air Conditioning Engineers,1791 Tullie
Circle, NE, Atlanta, GA 30329, USA.
[19] JIS B 9908:1991, 換気用エアフィルタユニット
[20] ANSI/UL 900-1995, Test performance of air filter units. Underwriters Laboratories, 333 Pfingsten Rd.
Northbrook, IL 60062, USA.
[21] CARROLL, J. F. and CALHOUN, J.M. Effect of nitrogen oxide gases on processed acetate film. Journal of
the Society of Motion Picture and Television Engineers, vol. 64, Sept. 1955, pp. 501-507.
[22] ANSI/UL 72-1990, Tests for fire resistance of record protection equipment. Underwriters Laboratories, 333
Pfingsten Rd. Northbrook, IL 60062, USA.
[23] JIS S 1037:1995, 耐火庫
[24] ANSI/AIIM MS45-1990, Recommended practice for inspection of stored silver-gelatin microfilms for
evidence of deterioration. AIIM, 1100 Wayne Avenue, Suite 1100, Silver Spring, MD 20910, USA.
[25] HENN, R. W. and WEIST, D. G. Microscopic spots in processed microfilm, their nature and provention.
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lnternational Standards:A. Physics and Chemistry, vol. 72A, No. 3, May-June 1968.
[27] AIIM Special Interest Publication 34. Microspots and aging blemishes. AIIM, 1100 Wayne Avenue, Suite
1100, Silver Spring, MD 20910, USA.
[28] KIMBERLY, A. E. and EMLEY, A. L. A study of the removal of sulphur dioxide from the library air. NBS
Miscellaneous Publication No. 142, Washington, D. C., National Bureau of International Standards, Oct. 17,
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[29] ADELSTEIN, P. Z., REILLY, J. M., NlSHIMURA, D. W. and ERBLAND, C.J. Stability of cellulose ester
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[33] RAM, A. T., KOPPERL, D. F., SEHLIN, R. C., MASARYK-MORRIS,S., VINCENT,J.L. and MILLER,
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[34] BIGOURDAN, J. L., ADELSTEIN, P. Z. and REILLY, J. M. Use Of micro-environments for the preservation
27
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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[35] WEYDE, E. A simple test to identify gases which destroy silver images. Phtographic Science and
Engineering, vol. 16, July-Aug. 1972, pp. 283-286.
[36] REILLY, J. M., NISHIMURA, D. W., CUPRIKS, K. M. and ADELSTEIN, P. Z. Stability of black-and-white
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[37] HENN, R. W., WEIST, D. G. and MACK, B. G. Microscopic spots in processed microfilm:The effect of
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[38] MCCAMY,C.S. and POPE,C.I.,Redox blemishes−Their cause and prevention.Journal of Micrographics,
vol. 3, No. 4, June 1970, pp. 165-170.
[39] JIS K 7644:2004 写真−現像処理済み写真乾板−保存方法
注記 対応国際規格:ISO 18918:2000,Imaging materials−Processed photographic plates−Storage
practices (IDT)
[40] ISO 18920: 2000,Imaging materials−Processed photographic reflection prints−Storage practices
2
8
K
7
6
4
1
:
2
0
0
8
2
8
K
7
6
4
1
:
2
0
0
8
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附属書JA
(参考)
JISと対応する国際規格との対比表
JIS K 7641: 2008 写真−現像処理済み安全写真フィルム−保存方法
ISO 18911: 2000,Imaging materials−Processed safety photographic films−Storage
practices
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際規
格番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号及び
名称
内容
箇条番
号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
3 用語及び定
義
用語の定義
3
“アーカイバル”が,
用語として定義されて
いる。
削除
“アーカイバル”を削除。
規格本文では使用されていない。
4 フィルム用
包材及び収納
箱
包材及び収納箱とし
ての必要特性
4
−
追加
“スティックのり”に対する注
意を,注記として追加。
日本で使われている“スティック
のり”の,写真画像への悪影響の
実績に基づき,注意を喚起する。
−
Annex
A(参
考)
削除
Annex AはJISとして必要のな
い参考事項であるので削除し
た。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 18911:2000,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD…………… 国際規格を修正している。