K 7393-2:2018
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 3
4 試験片の作製 ··················································································································· 3
5 試験片の状態調節 ············································································································· 3
6 PP及びPEの比率の求め方 ································································································ 3
7 特性の求め方 ··················································································································· 3
附属書A(参考)赤外吸収スペクトルによるPP及びPEの比率の求め方 ········································ 5
附属書B(参考)PP及びPEの混合物の特性 ············································································· 7
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 10
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(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本プラスチック工業連盟(JPIF),一般社
団法人プラスチック循環利用協会(PWMI)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を
具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制
定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS K 7393の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS K 7393-1 第1部:呼び方のシステム及び仕様表記の基礎
JIS K 7393-2 第2部:試験片の作製方法及び特性の求め方
日本工業規格 JIS
K 7393-2:2018
プラスチック−プラスチック製容器包装等廃棄物
から選別・再生されたポリプロピレン及び
ポリエチレンの混合リサイクル材の分類−
第2部:試験片の作製方法及び特性の求め方
Plastics-Mixtures of polypropylene (PP) and polyethylene (PE) recyclate
derived from PP and PE used for flexible and rigid consumer packaging-
Part 2: Preparation of test specimens and determination of properties
序文
この規格は,2015年に第1版として発行されたISO 18263-2を基とし,技術的内容を変更して作成した
日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一
覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,プラスチック製容器包装等廃棄物から選別・再生された成形用,押出用などのポリプロピ
レン(PP)及びポリエチレン(PE)の混合リサイクル材の特性を測定するために使用する試験片の作製方
法及び標準試験方法を規定する。
リサイクル材に含まれる安定剤等に関する情報は得られないので,随時安定剤を添加しなければならな
い。また,この規格は,成形前の材料及び試験前の試験片の取扱い及び状態調節条件についても規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 18263-2:2015,Plastics−Mixtures of polypropylene (PP) and polyethylene (PE) recyclate derived
from PP and PE used for flexible and rigid consumer packaging−Part 2: Preparation of test
specimens and determination of properties(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 7111-1 プラスチック−シャルピー衝撃特性の求め方−第1部:非計装化衝撃試験
注記 対応国際規格:ISO 179-1,Plastics−Determination of Charpy impact properties−Part 1:
2
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Non-instrumented impact test(MOD)
JIS K 7111-2 プラスチック−シャルピー衝撃特性の求め方−第2部:計装化衝撃試験
注記 対応国際規格:ISO 179-2,Plastics−Determination of Charpy impact properties−Part 2:
Instrumented impact test(IDT)
JIS K 7139 プラスチック−試験片
注記 対応国際規格:ISO 20753,Plastics−Test specimens(MOD)
JIS K 7140-1 プラスチック−比較可能なシングルポイントデータの取得及び提示−第1部:成形材
料
注記 対応国際規格:ISO 10350-1,Plastics−Acquisition and presentation of comparable single-point data
−Part 1: Moulding materials(IDT)
JIS K 7161-1 プラスチック−引張特性の求め方−第1部:通則
注記 対応国際規格:ISO 527-1,Plastics−Determination of tensile properties−Part 1: General principles
(IDT)
JIS K 7161-2 プラスチック−引張特性の求め方−第2部:型成形,押出成形及び注型プラスチック
の試験条件
注記 対応国際規格:ISO 527-2,Plastics−Determination of tensile properties−Part 2: Test conditions for
moulding and extrusion plastics(IDT)
JIS K 7171 プラスチック−曲げ特性の求め方
注記 対応国際規格:ISO 178,Plastics−Determination of flexural properties(IDT)
JIS K 7210-1 プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルト
ボリュームフローレイト(MVR)の求め方−第1部:標準的試験方法
注記 対応国際規格:ISO 1133-1,Plastics−Determination of the melt mass-flow rate (MFR) and melt
volume-flow rate (MVR) of thermoplastics−Part 1: Standard method(IDT)
JIS K 7393-1 プラスチック−プラスチック製容器包装等廃棄物から選別・再生されたポリプロピレ
ン及びポリエチレンの混合リサイクル材の分類−第1部:呼び方のシステム及び仕様表記の基礎
注記 対応国際規格:ISO 18263-1,Plastics−Mixtures of polypropylene (PP) and polyethylene (PE)
recyclate derived from PP and PE used for flexible and rigid consumer packaging−Part 1:
Designation system and basis for specification(MOD)
ISO 291,Plastics−Standard atmospheres for conditioning and testing
ISO 472,Plastics−Vocabulary
ISO 1183-1,Plastics−Methods for determining the density of non-cellular plastics−Part 1: Immersion method,
liquid pyknometer method and titration method
ISO 1183-2,Plastics−Methods for determining the density of non-cellular plastics−Part 2: Density gradient
column method
ISO 1183-3,Plastics−Methods for determining the density of non-cellular plastics−Part 3: Gas pyknometer
method
ISO 15270,Plastics−Guidelines for the recovery and recycling of plastics waste
ISO 19069-2,Plastics−Polypropylene (PP) moulding and extrusion materials−Part 2: Preparation of test
specimens and determination of properties
注記 対応国際規格では,ISO 1873-2[Plastics−Polypropylene (PP) moulding and extrusion materials
3
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−Part 2: Preparation of test specimens and determination of properties]を引用しているが,2016
年に,ISO 1873-2は,ISO 19069-2に置き換わった。
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,ISO 472及びISO 15270による。
4
試験片の作製
試験片はISO 19069-2に従い作製するものとし,また,表1に示す各試験方法に従い試験する。試験片
は,常に同じ加工条件を用いて,同じ手順で作製しなければならない。
5
試験片の状態調節
機械特性及び密度を測定するための試験片は,ISO 291に従い,40〜96時間,(23±2)℃で状態調節す
る。
6
PP及びPEの比率の求め方
PP及びPEの比率は,サプライヤーが提供する追跡可能な書類に従い,決定する。
注記 再生プラスチックに関する追跡可能な書類に必要な手順等に関しては,参考資料としてEN
15343又はJIS Q 17050-1及びJIS Q 17050-2を使用することを推奨する。PP及びPEの比率は,
FTIRスペクトロメーターで測定可能であることは知られているが,他の材料が混入している場
合には,十分な精度データは今のところ得られていない(附属書A参照)。
7
特性の求め方
特性の測定及びデータの提示に当たっては,JIS K 7140-1に従う。全ての試験は,表1及び表2に明記
された場合を除き,(23±2)℃の標準雰囲気の中で行う。
表1はJIS K 7140-1からまとめたもので,また,記載した特性は,成形用及び押出用材料のPP及びPE
の混合リサイクル材に適したものである。これらの特性は,他の熱可塑性プラスチックの特性データと比
較するのに有用である。附属書Bに,PP及びPEの混合物について,混合比率と引張特性との関係を示す。
表2には,広く用いられているか,又は成形用及び押出用のPP及びPEの混合リサイクル材を特徴づけ
るために重要な特性を示す。
4
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表1−一般的特性及び試験条件(JIS K 7140-1から抜粋)
特性
単位
試験方法規格
試験片の種類
(寸法,単位mm)
試験条件及び
補足説明
流動特性
メルトマスフロー
レイト(MFR)
g/10 min
JIS K 7210-1
成形コンパウンド
温度230 ℃,
荷重2.16 kg
機械特性
引張降伏応力
MPa
JIS K 7161-1
JIS K 7161-2
JIS K 7139に規定する射
出成形タイプA1試験片
試験速度50 mm/min
引張破壊ひずみ
%
試験速度5 mm/min
引張破壊ひずみが
10 %未満の場合に
だけ引用
曲げ弾性率
曲げ強さ
MPa
MPa
JIS K 7171
JIS K 7139に規定する射
出成形タイプB2試験片
基づく(80×10×4)
試験速度2 mm/min
ノッチなしシャル
ピー衝撃強さ
kJ/m2
JIS K 7111-1
JIS K 7111-2
JIS K 7139に規定する射
出成形タイプB2試験片
(80×10×4)
エッジワイズ衝撃
破壊形式も記録(JIS
K 7111-1参照)
ノッチ付きシャル
ピー衝撃強さ
表2−追加的特性及び試験条件
特性
単位
試験方法規格
試験片の種類
試験条件及び
補足説明
基本特性
PP/PE組成(質量に
よる)
%
JIS K 7393-1
成形コンパウンド
箇条6参照
密度
g/cm3
ISO 1183-1,
ISO 1183-2,
又は
ISO 1183-3
MFR測定後のストランド ISO 1183-1,ISO
1183-2,及びISO
1183-3に規定する
方法は,この規格の
目的上は同等とみ
なす。
色
JIS K 7393-1
成形コンパウンド
目視検査
形状
JIS K 7393-1
成形コンパウンド
目視検査
5
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附属書A
(参考)
赤外吸収スペクトルによるPP及びPEの比率の求め方
A.1 一般
この附属書では,赤外吸収スペクトルの1 370 cm−1及び1 464 cm−1における吸光度の比と,未使用PP
及びPE混合物中のPPとPEとの混合比率との間の関係を示す。この関係は,リサイクル材におけるPP
及びPEの比率を推測する上で有用である。
注記 リサイクル材に PP/PE のコポリマーなどが含まれている場合は,この関係から算出された
PP/PEの比率は参考値に過ぎない。
A.2 試料
試料(表A.1参照)は約200 ℃で,試験ロール機で混合する。
PE-LLD:MFR=1.0 g/10 min,密度=0.926 g/cm3
PP(ホモ型ポリプロピレン):MFR=7.7 g/10 min
表A.1−作製した試料
単位 %
No.1
No.2
No.3
No.4
No.5
No.6
No.7
No.8
No.9
No.10
No.11
PE
100
95
90
85
75
50
25
15
10
5
0
PP
0
5
10
15
25
50
75
85
90
95
100
A.3 IR測定
全ての試料は次の条件で,FTIRによって測定する。
<条件>
ATR法:Zn-Se結晶を使用
波数領域:4 000〜650 cm−1
積算回数:64回
分解能:4 cm−1
A.4 結果
PPとPEとの比に対するA(1 370 cm−1)/A(1 464 cm−1)の比を,グラフに記入する(記入例は,図
A.1参照)。
A.5 PP及びPEの比率の試算
次の式を用いてPP及びPEの比率を計算する。
y=0.019 5 x+0.031
R2=0.992 6
ここに,
y: 1 370 cm−1と1 464 cm−1とにおける各々の吸光度の比
6
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x: PPの含有量(%)
R: 相関係数
図A.1−PP及びPEの混合物の,A(1 370 cm−1)/A(1 464 cm−1)とPP含有量との関係例
A
(
1
3
7
0
c
m
−
1
)/
A
(
1
4
6
4
c
m
−
1)
PPの含有量(%)
7
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附属書B
(参考)
PP及びPEの混合物の特性
B.1
一般
この附属書では,未使用のPPとPEとを用いた場合のPP/PEの混合比率と引張特性(引張降伏応力及び
引張破壊ひずみ)又はモルホロジーとの関係を示す。この関係は,リサイクル材の引張特性を推定するの
に有用である。ただし,これらの関係を概略的に示しているだけなので,引張特性又はモルホロジーのデ
ータをリサイクル材の組成を計算するのに用いてはならない。
B.2
試料の作製
PP及びPE混合物の試料(表B.1参照)は,実験室用二軸スクリュータイプのバッチミキサーで,PEの
質量比を0,30,50,70,及び100 %とする組成で溶融混合した。圧縮成形で150 mm×150 mm×0.5 mm
のシートを作製する。
<成形条件>
− 予熱:220 ℃,5分
− 圧縮:220 ℃,10 MPa,5分
− 冷却:30 ℃,10 MPa,5分
<材料>
PE-HD:MFR=0.36 g/10 min(190 ℃×2.16 kg),密度=0.956 g/cm3
PP:MFR=3.1 g/10 min(230 ℃×2.16 kg),ホモ型PP
表B.1−作製した試料
単位 %
No.1
No.2
No.3
No.4
No.5
PE
100
70
50
30
0
PP
0
30
50
70
100
混合シートから引張試験片,JIS K 7127のタイプ2(幅=15 mm)を切り出して作製する。引張試験片
を4時間以上,(23±2)℃で状態調節する。
B.3
引張試験
B.3.1 試験条件
試験速度:50 mm/min
グリップ間の初期距離:100 mm
試験条件:(23±2)℃
B.3.2 結果
試験結果を,表B.2及び図B.1に示す。
8
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表B.2−引張試験の結果
試料(PE/PP)
引張降伏応力
引張破壊応力
引張破壊ひずみ
MPa
MPa
%
No 1(100/0)
24.2
18.0
1 000
No 2(70/30)
27.0
25.9
130
No 3(50/50)
28.9
27.6
25
No 4(30/70)
30.9
23.1
300
No 5(0/100)
30.2
32.4
2 500
図B.1−PE/PPに対する引張破壊ひずみ
参考文献[5]に,同様な引張ひずみの傾向が示されている。
B.4
透過電子顕微鏡による観察
試料は,四塩化ルテニウムで染色した後,透過電子顕微鏡で観察する。
B.4.1 結果
PPとPEとの比が70/30の試料,及びPPとPEとの比が50/50の試料は,典型的な海(PP),島(PE)
構造をもつ。この結果から,PE又はPPいずれかの量が多い方が,PE及びPPが等量の場合よりも混和性
が高い。透過電子顕微鏡写真を,図B.2に示す。
100/
80/20
60/40
40/60
20/80
0/100
9
K 7393-2:2018
PPシート
PPとPEとの比が70:30
(質量比)
PPとPEとの比が50:50
(質量比)
5.0 μm
2 500倍
図B.2−PPシート,及びPPとPEとの混合シートの透過電子顕微鏡写真
参考文献
[1] JIS K 7127 プラスチック−引張特性の試験方法−第3部:フィルム及びシートの試験条件
[2] JIS Q 17050-1 適合性評価−供給者適合宣言−第1部:一般要求事項
[3] JIS Q 17050-2 適合性評価−供給者適合宣言−第2部:支援文書
[4] EN 15343,Plastics−Recycled plastics−Plastics recycling traceability and assessment of conformity and
recycled content
[5] PE/PP/相容化剤系材料のモルフォロジーと力学的特性に関する研究,中村重哉,徳満勝久,来田村實
信,宮川栄一,神澤岳史,田中皓,環境資源工学第55巻p56-65(2008年)
10
K 7393-2:2018
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS K 7393-2:2018 プラスチック−プラスチック製容器包装等廃棄物から選
別・再生されたポリプロピレン及びポリエチレンの混合リサイクル材の分類−第
2部:試験片の作製方法及び特性の求め方
ISO 18263-2:2015,Plastics−Mixtures of polypropylene (PP) and polyethylene (PE)
recyclate derived from PP and PE used for flexible and rigid consumer packaging−Part 2:
Preparation of test specimens and determination of properties
(I)JISの規定
(II)国際
規格番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲 容器包装等廃棄物
1
容器包装廃棄物
追加
特に技術的差異はない。
適用範囲に若干の広がりをもたせ
るために“等”を加えた。
(右の国際規格の
規定を削除した)
1
ただし,危険物などの輸
送,取扱い,又は保存に
使用した容器包装廃棄
物は使用してはならな
い。
削除
JISでは,危険物などの輸送等に使
用した容器でも使用できることを
示唆した。
危険物などの輸送等に使用した容
器でも洗浄すれば使用可能である
ので,当該規定を削除した。
2 引用規格 ISO 19069-2
2
ISO 1873-2
変更
技術的差異はない。
対応国際規格発行後,ISO 1873は
ISO 19069に置き換わった。内容
は継承している。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 18263-2:2015,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
2
K
7
3
9
3
-2
:
2
0
1
8