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K 7361-1 : 1997 (ISO 13468-1 : 1996) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 7361-1 : 1997 

(ISO 13468-1 : 1996) 

プラスチック−透明材料の 

全光線透過率の試験方法 

−第1部:シングルビーム法 

Plastics−Determination of the total luminous transmittance 

of transparent materials−Part 1:Single beam instrument 

序文 

この規格は,1996年に第1版として発行されたISO 13468-1, Plastics−Determination of the total luminous 

transmittance of transparent materials−Part 1 : Single beam instrumentを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式

を変更することなく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で下線(点線)を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。 

1. 適用範囲 この規格は,平らで透明な,基本的には無色のプラスチックの可視領域における全光線透

過率の試験方法について規定し,装置は,CIE規格で指定する光源及びフォト検出器を備えたシングルビ

ーム測光器を用いる。 

この規格は,蛍光物質を含むプラスチックには適用できない。 

適用するプラスチックは,基本的に透明な成形材料,フィルム及び板で,厚さが10mmを超えないもの

とする。 

参考1. 全光線透過率は,この規格の第2部のダブルビームの光束を用いる分光光度計によっても測定

できるが,この第1部に規定する方法は,可視光光束による正確,迅速で実際的な方法を提供

するものである。この方法は,分析などの目的だけでなく品質管理にも適用できる。 

2. 基本的に無色なプラスチックとは,淡い色のものも含む。 

3. 10mm以上の厚さの試験片についても,測定器の構造が許せば測定可能である。ただし,10mm

を超えない試験片の測定結果とは比較できない場合がある。 

2. 引用規格 次の規格は,この規格に引用することによって,この規格の一部を構成する。この規格の

発行の時点では,引用規格は,ここに示す発行年の版の規格が有効であるが,すべての規格は改正される

ことがあるので,この規格の使用者は,引用規格の最新版を適用できるかどうか検討することが望ましい。 

ISO 291 : 1977, Plastics−Standard atmospheres for conditioning and testing 

ISO 5725-1 : 1994, Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results−Part 1 : General 

principles and definitions 

ISO 5725-2 : 1994, Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results−Part 2 : Basic 

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K 7361-1 : 1997 (ISO 13468-1 : 1996) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

method for the determination of repeatability and reproducibility of a standard measurement method 

ISO 5725-3 : 1994, Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results−Part 3 : 

Intermediate measures of the precision of a standard measurement method 

ISO 7724-2 : 1984, Paints and varnishes−Colorimetry−Part 2 : Colour measurement 

ISO/CIE 10526 : 1991, CIE standard colorimetric illuminants 

ISO/CIE 10527 : 1991, CIE standard colorimetric observers 

IEC 50 (845) : 1987, International electrotechnical vocabulary−Chapter 845 : Lighting 

3. 定義 この規格に用いる主な用語の定義は,透明媒体,透過率,正透過率及び光束についてIEC50(845)

によるほか,次による。 

3.1 

透明プラスチック (transparent plastics)  透過光が主に正透過から成り,可視領域の正透過率が高い

プラスチック。 

参考4. 位置関係が適切であれば可視領域において,これを通して物体が明りょう(瞭)に識別して

見えるもの。 

3.2 

全光線透過率 (total luminous transmittance)  試験片の平行入射光束に対する全透過光束の割合。 

4. 測定装置 

4.1 

測定装置は,安定化された光源,これと組み合わされた光学系及びフォトメーターと開口部の付い

た積分球から構成される。積分球へは,外部からの光束が入らないようにすること。装置の構成を図1に

示す。 

図1 装置の構成図 

4.2 

光源とフォト検出器は,フィルターと組み合わせて,ISO/CIE 10527によるCIE測色標準観測者と

ISO/CIE 10526によるCIEの標準の光D65に対応する出力を得られるものでなければならない。その出力

は,使用光束の範囲で入射光束に対し1%以内の精度で正比例するものでなければならない。光源とフォ

ト検出器の分光特性は,各試験片の試験を通じ一定でなければならない。測定中に試験片の温度が上昇す

るようなものであってはならない。 

4.3 

光源は光学システムと組み合わせて平行光線を作るものとし,光束にはその中心線に対し0.087rad 

(5°) を超える光線が含まれないこと。光束は積分球の入口でにじんではならない。 

光束の直径は,積分球の入口開口の直径の0.5から0.8とする。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.4 

この装置の使用における全光線透過率の併行標準偏差は,測定値の0.2%以内であること。長時間を

経た後の室内再現精度は,前述の併行精度の3倍を超えてはならない。 

4.5 

装置は積分球に光が入っていない場合は,指示値が零となるよう設計されていること。 

4.6 

透過光束の集積には積分球を使用する。球の直径は,開口部の全面積が球の内面積の3%以下になる

ように選ぶこと。 

参考5. 積分球の直径は,測定する試験片に対し十分大きくなるよう150mm以上であることが望まし

い。 

6. 積分球の直径が150mmで,入口開口,補償開口及びフォト検出器の開口が30mmの場合は,

開口面の積分球の内面積に対する割合は3.0%である。 

4.7 

積分球の入口開口と補償開口は,円形で同じ寸法であること。入口開口,補償開口及びフォト検出

器は大円上にあってはならない。 

4.8 

フォト検出器は,試験片から直接光が入らないようにバッフルを付けなければならない。 

4.9 

積分球の内表面とバッフルは,実際上同一反射率のもので,ISO 7724-2による反射率が90%以上で

かつ±3%以内とする。ただし,積分球内面を直接測定することが困難な場合は,同じ条件で別に調製した

ものを測定してもよい。 

4.10 ライトトラップは,これに入射する光の95%以上を吸収するものであること。 

4.11 試験片ホルダーは,±2°で光束に直交する平面内に試験片を固定し,積分球にできるだけ近接して

設置して,拡散光を含む全透過光を捕捉するようになっていなければならない。また,ホルダーは,フィ

ルムのような可とう性の試験片の平面性を保持できるような構造でなければならない。 

参考7. 薄くてたわみやすいフィルムでは,二重リング式のホルダーに挟むか,又はホルダーの周辺

に両面粘着テープをは(貼)り,供試フィルムを引っ張りながらはり付けることもできる。

後者は,二重リングに挟み込めない厚い試料に適している。 

5. 試験片 

5.1 

試験片は,フィルム,板又は射出成形若しくは圧縮成形品から切り出す。 

5.2 

試験片は傷,泡,ぶつなどの欠陥がなく,ごみやグリースの付着がなく,また,保護材料からの接

着剤などが付いていないこと。また,肉眼で見ることができる空げき(隙)や粒子が存在しないこと。 

5.3 

試験片は,積分球の入口開口,補償開口を覆うのに十分な大きさであること。 

参考8. 直径150mmの積分球の場合には,試験片は,直径50mm若しくは60mmの円形又は一辺がこ

れと同じ長さの正方形のものがよい。 

5.4 

試験片の数は,特に規定がない場合には,3個とする。 

6. 試験片の状態調節 

6.1 

状態調節が必要な試験片は,試験の前にISO 291に基づき温度23℃±2℃,相対湿度 (50±5) %の条

件で状態調節を行う。状態調節の時間は,試験片の厚さ及び材料にもよるが,試験片が熱平衡に達するま

でとする。 

参考9. 厚さ0.025mm以下の試験片では16時間で十分であり,これより厚いものでは40時間以上が望

ましい。 

6.2 

試験装置は,温度23℃±2℃,相対湿度 (50±5) %の条件で使用する。 

7. 測定方法 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

7.1 

測定装置は,稼動後十分に時間をおいて熱平衡に達した後測定する。 

7.2 

表1の二つの値を計器から読む。 

表1 

計器の読み 

試験片 

補償開口部の 

ライトトラップ 

摘要 

入口開口 

補償開口 

τ1 

なし 

あり 

あり 

入射光 

τ2 

あり 

なし 

あり 

試験片を透過した全光線 

試験片は,積分球に直接設置され,補償開口はライトトラップで覆われていること。 

τ1の装置の読みを100に合わせる。 

7.3 

試験片のすべてについて各τ1とτ2の読みを繰り返し,測定の均一性を確認する。 

7.4 

試験片は,3か所の厚さを,シートでは0.02mm,フィルムでは1μmの精度で計る。 

8. 結果の表し方 

全光線透過率τt%は,次の式によって算出する。 

100

(%)

1

=ττ

τt

参考10. 附属書Aは,積分球の効率に及ぼす補償開口の効果を数学的に検討したものである。 

備考 JIS K 7105-81(プラスチックの光学的特性試験方法)の5.5(光線透過率及び全光線反射率)

は,積分球の効率を考慮していない試験方法である。 

9. 精度(参考) ISO 5725-1,ISO 5725-2及びISO 5725-3[これらの内容はJIS Z 8402(分析・試験の

許容差通則)と同等である。]に基づく1993年の共同試験による実際の室内再現精度(室内再現標準偏差)

及び室間再現精度(室間再現標準偏差)の推定値は,表2のとおりである。ただし,試験室数は8,試料

は10種である。Grubbsの方法による異常値は検出されなかった。 

表2 

透明プラスチック 

室内再現標準偏差sRW 

室間再現標準偏差sR 

試料 

公称厚さ 

全光線透過率τt 

PMMA 

2mm 

92.6 

0.05 

0.11 

PMMA-I 

2mm 

92.3 

0.06 

0.13 

PVC 

2mm 

87.0 

0.04 

0.17 

PS 

2mm 

89.6 

0.06 

0.15 

MABS 

2mm 

89.8 

0.05 

0.10 

PC 

3mm 

88.3 

0.04 

0.23 

PP 

50μm 

92.4 

0.06 

0.23 

PP (SiO2) 

50μm 

92.1 

0.04 

0.24 

PE-HD 

30μm 

90.7 

0.04 

0.23 

PVDC 

10μm 

90.3 

0.08 

022 

室間再現精度とは,同一とみなせる試料において,試験室,試験員,試験日時及び試験装置のすべてが

異なる条件のもとで,同一の方法を用いて得た試験結果の精度をいう。これは,室間再現標準偏差又は室

間再現分散として表す。 

室内再現精度とは,同一の試験室で同一とみなせる試料の測定において,試験員,試験装置若しくは試

験日時の一部,又はすべてが異なった条件のもとで,同一の方法を用いて得た結果の精度をいう。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考11. 透明プラスチックシートのうちPMMAは,理論的な全光線透過率と共同実験で得られた全

光線透過率とが等しく,良好な室間再現標準偏差が得られた。 

これらの結果,透明メタクリル樹脂キャスト板 (PMMA) は,装置の校正のための標準物質として用い

ることができることが明らかとなった(附属書Aの参考を参照)。 

10. 試験結果の報告 試験結果の報告は,次の事項について行う。 

a) 試料片と試料の識別に必要な全明細 

b) 用いた光源の種類 

c) 試験片の厚さ(3個の平均) 

d) 全光線透過率 τt(3個の平均値で0.1%までの値) 

K 7361-1 : 1997 (ISO 13468-1 : 1996) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A(参考) 

補償開口の採用による積分球の効率の向上 

積分球の効率は,球の内面積,開口数及び開口部の覆い方などによって左右される。 

シングルビーム装置による通常の光線透過率の測定では,開口部(入口開口)による積分球の効率のた

めの測定誤差は避けられない。 

この試験方法は,補償開口を設けて測定誤差を無くする方法であり,装置の標準物質による校正が不要

となる。 

全光線透過率は,次のようにして導き出される(図A.1参照)。 

試験片を補償開口に置くと入射光束の読みが変わり,試験片から反射して積分球に戻る光束φ×ρ'が含ま

れ,積分球中の光束φ1は,次の式によって与えられる。 

φ1=φ−(φe+φc×αʼ+φc×τʼ ······················································ (A.1) 

ここに, 

φ: 全入射光束 

φe: 入口開口からの放出される光束 

φc: 補償開口からの放出される光束 

τʼ: 試験片の透過率(%透過率;τ=τʼ×100) 

ρʼ: 試験片の反射率 

αʼ: 試験片の吸収率 

τʼ+ρʼ+αʼ=1及び

c

φ−~

とみなせるから 

φ1=φ−2φe+φe×ρʼ ································································· (A.2) 

試験片が入口開口にあるとき,積分球の光束φ2は,次の式で表される。 

φ1=φ−[ (φ×ρʼ+φ×αʼ)+(φe×τʼ×αʼ+φe×τʼ2)+φc×τʼ ] ················ (A.3) 

 =τʼ×(φ−2φe+φe×ρʼ) 

式 (A.2) と式 (A.3) から 

τʼ=

100

1

2

τ

φ

φ=

式 (A.2) と式 (A.3) の共通項が相殺される。すなわち,光線透過率は,積分球の効率を考慮することな

く測定されることになる。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図A.1 積分球に対するφ1及びφ2の決定 

参考 補償開口のない従来の積分球又は反射の基準白板を補償開口部に置く積分球を用いてτtを測定することはでき

る。しかし,この場合は,使用する積分球の効率によって誤った高い値が測定されるので,ダブルビーム分光
光度計又はこのISO 13468-1に規定する方法を用いて校正した標準を用いることが必要になる。ただし,効率の
影響が小さいことが証明されている場合はよい。 

よく準備された3mm厚さの透明メタクリル樹脂キャスト板では,通常,理論値92.6%の全光線透過率が

得られる。 

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JIS原案作成委員会本委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

服 部   滋 

荒川化学工業株式会社 

金 綱 久 明 

東京家政大学 

金 子   剛 

財団法人日本電気用品試験所 

峰 松 陽 一 

芝浦工業大学 

山 本   真 

東京都立工業技術センター 

北 野   武 

工業技術院物質工学工業技術研究所 

渡 辺   寧 

工業技術院物質工学工業技術研究所 

中 島 邦 雄 

通商産業省基礎産業局 

地 崎   修 

工業技術院標準部 

浜 中 隆 夫 

日産自動車株式会社 

高 杉 和 徳 

株式会社東芝 

十 時   稔 

株式会社東レリサーチセンター 

日 野 元 和 

株式会社島津製作所 

三 原 観 治 

株式会社東洋精機製作所 

市 原 祥 次 

三菱油化株式会社 

小 沢 丈 夫 

ダイセル化学工業株式会社 

風 間 元 臣 

三菱樹脂株式会社 

酒 井 幸 一 

帝人株式会社 

市 川 昌 彦 

住友化学工業株式会社 

中 川 英 昭 

三菱油化株式会社 

野 村 勇 夫 

三菱瓦斯化学株式会社 

村 野 政 生 

東洋紡績株式会社 

吉 木   健 

日本プラスチック工業連盟 

(事務局) 

樋 口 秀 臣 

財団法人高分子素材センター 

田 村 正 勝 

日本プラスチック工業連盟 

JIS原案作成委員会分科会 構成表 

氏名 

所属 

(分科会長) 

吉 木   健 

日本プラスチック工業連盟 

峰 松 陽 一 

芝浦工業大学 

中 島 邦 雄 

通商産業省基礎産業局 

地 崎   修 

工業技術院標準部 

大 石 不二夫 

神奈川大学 

高 根 由 充 

財団法人日本ウエザリングテストセンター 

須 賀   蓊 

スガ試験機株式会社 

佐 藤 辰 巳 

株式会社島津製作所 

金 子 順 治 

日本電色工業株式会社 

馬 場 護 郎 

株式会社村上色彩技術研究所 

近 藤 暁 弘 

株式会社村上色彩技術研究所 

長谷川 和 弘 

三菱化成株式会社 

井 田 浩 三 

三菱レイヨン株式会社 

中 山 浩 史 

旭化成工業株式会社 

山 田 八 郎 

住友化学工業株式会社 

吉 田 耕 二 

株式会社クラレ 

比恵島 康 夫 

電気化学工業株式会社 

(事務局) 

樋 口 秀 臣 

財団法人高分子素材センター 

田 村 正 勝 

日本プラスチック工業連盟