K 7350-4:2008
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 原理······························································································································· 2
4 装置······························································································································· 2
5 試験片···························································································································· 8
6 試験条件 ························································································································· 9
6.1 温度 ···························································································································· 9
6.2 試験槽内空気の相対湿度 ································································································· 9
6.3 噴霧サイクル ················································································································ 9
6.4 暗黒期間を含むサイクル ································································································· 9
6.5 フィルタ ······················································································································ 9
7 操作······························································································································· 9
7.1 試験片の取付け ············································································································· 9
7.2 暴露 ··························································································································· 10
7.3 放射露光量の測定 ········································································································· 10
7.4 暴露後の特性の変化の測定······························································································ 10
8 試験報告書 ····················································································································· 10
附属書JA(規定)光源の仕様 ································································································ 12
附属書JB(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································ 13
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,日本プラスチック
工業連盟 (JPIF)及び財団法人日本規格協会 (JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべき
との申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これ
によって,JIS K 7350-4:1996は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
JIS K 7350の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS K 7350-1 第1部:通則
JIS K 7350-2 第2部:キセノンアーク光源
JIS K 7350-3 第3部:紫外線蛍光ランプ
JIS K 7350-4 第4部:オープンフレームカーボンアークランプ
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日本工業規格 JIS
K 7350-4:2008
プラスチック−実験室光源による暴露試験方法−
第4部:オープンフレームカーボンアークランプ
Plastics-Methods of exposure to laboratory light sources-
Part 4: Open-flame carbon-arc lamps
序文
この規格は,2004年に第2版として発行されたISO 4892-4及びTechnical Corrigendum 1(2005) を基に,
技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。ただし,技術的正誤票(Technical Corrigendum)につい
ては,編集し,一体とした。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JBに示す。
なお,オープンフレームカーボンアークランプは,サンシャインカーボンアークランプともいう。
警告
この規格の利用者は,通常の実験室での作業に精通しているものとする。この規格は,その使用に関連
して起こるすべての安全性の問題を取り扱おうとするものではない。この規格の利用者は,各自の責任に
おいて安全及び健康に対する適切な措置を取らなければならない。
1
適用範囲
この規格は,材料が実際の使用環境で昼光又は窓ガラス越しの昼光に暴露されるときに生じる現象を再
現するために,水分の存在下で,試験片をオープンフレームカーボンアークランプで暴露する方法につい
て規定する。
特定の材料に関する,試験片の作製及び試験結果の評価は,該当規格による。
なお,試験についての全般的な指針は,JIS K 7350-1による。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 4892-4:2004,Plastics−Methods of exposure to laboratory light sources−Part 4: Open-flame
carbon-arc lamps 及びTechnical Corrigendum 1(2005) (MOD)
なお,対応の程度を表す記号(MOD)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,修正していることを示
す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
には適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 7350-1:1995 プラスチック−実験室光源による暴露試験方法 第1部:通則
2
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注記 JIS K7350-1:1995には,対応するISO 4892-1:1994,Plastics−Methods of exposure to laboratory
light sources−Part 1: General guidance があるが,この規格の対応国際規格で引用しているISO
4892-1:1999には対応していないが技術的差異はない。
JIS K 7362 プラスチック−アンダーグラス屋外暴露,直接屋外暴露又は実験室光源による暴露後の
色変化及び特性変化の測定方法
注記 対応国際規格:ISO 4582,Plastics−Determination of changes in colour and variations in properties
after exposure to daylight under glass, natural weathering or laboratory light sources (MOD)
ASTM G152,Standard Practice for Operating Open Flame Carbon Arc Light Apparatus for Exposure of
Nonmetallic Materials
3
原理
3.1
試験片を,ガラスフィルタを通したオープンフレームカーボンアークランプ,熱及び水分のもとで
連続的に,又はこれらの反復サイクルで暴露する。
3.2
暴露条件は,次の項目について設定する。
a) ガラスフィルタの種類
b) 水噴霧又は湿度
c) 光及び水噴霧条件下,又は光及び湿度条件下での暴露時間
d) 暴露温度
e) 照射時間及び暗黒時間
試験片に対する水分の影響は,通常,空気中の湿度の調整,試験片への脱塩水若しくは脱イオン水の噴
霧,又は試験片表面での水の凝縮によって得られる。
3.3
操作には,試験片の表面での放射照度及び放射露光量の測定を含むことがある。
3.4
試験片とともに,性能既知の類似材料を比較用(コントロール)として同時に暴露するのがよい。
3.5
試験材料について,試験装置間での統計的な関係が得られていない限り,異なる試験装置で暴露し
た試験片で得た試験結果は,相互比較しないほうがよい。
4
装置
4.1
実験室光源
4.1.1 一般
オープンフレームカーボンアーク光源には,希土類の混合物を含み,銅などの金属を表面に被覆した3
対又は4対のカーボン棒を用いる。カーボン棒間に電流を流し燃焼させて,紫外,可視及び赤外の放射を
発生させる。上下1対のカーボンが同時に燃焼し,他の対のカーボンが順次燃焼する。カーボン棒は,装
置の製造業者が推奨するものを使用する。光源の詳細な仕様は,附属書JAによる。試料に達する放射は,
フィルタを通すものとし,実際には,3種類のフィルタを用いる。一般的に用いるデイライトフィルタ(タ
イプ1)及び窓ガラスフィルタ(タイプ2)を通したオープンフレームカーボンアークランプの相対分光放
射照度分布を,それぞれ表1及び表2に,紫外拡張フィルタ(タイプ3)を通したオープンフレームカー
ボンアークランプの相対分光放射照度分布を,表3に示す。
さらに,タイプ1,タイプ2及びタイプ3のフィルタを通したオープンフレームカーボンアークランプ
の250 nm〜800 nmの代表的な分光放射照度,並びに比較用のCIE No.85:1989の表4の昼光の分光放射照
度を,図1に示す。また,タイプ1,タイプ2及びタイプ3のフィルタを通したオープンフレームカーボ
3
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ンアークランプの250 nm〜320 nmの代表的な分光放射照度,並びに比較用のCIE No.85:1989の表4の昼
光の分光放射照度を,参考として図2に示す。図2は,三つのフィルタの短波長域での立上がり波長の違
いをよく示している。
装置の製造業者は,各々のフィルタを通したオープンフレームカーボンアークランプの分光放射照度が
要求を満たしていることを示さなければならない。要求事項及び要求を満たしていることを確認する手順
は,ASTM G152による。
X 波長 (nm)
Y 分光放射照度 (W/m2/nm)
図1−比較用のCIE No.85:1989の表4の昼光(◇)並びに代表的なフィルタ,タイプ1(□),タイプ2(△)
及びタイプ3(×)を通したオープンフレームカーボンアークランプの分光放射照度
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X 波長 (nm)
Y 分光放射照度 (W/m2/nm)
図2−比較用のCIE No.85:1989の表4の昼光(◇)並びに代表的なフィルタ,タイプ1(□),
タイプ2(△)及びタイプ3(×)を通したオープンフレームカーボンアークランプ
の250 nm〜320 nmの分光放射照度(参考)
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4.1.2
デイライトフィルタ(タイプ1)を通したオープンフレームカーボンアークランプの分光放射照度
昼光をシミュレートするフィルタを通したオープンフレームカーボンアークランプの代表的なデータを,
表1に示す(CIE No.85:1989の表4参照)。
表1−デイライトフィルタ(タイプ1)を通したオープンフレームカーボンアークランプの
代表的な紫外部の分光放射照度分布a),b)
分光波長域
λ : 波長 (nm)
デイライトフィルタを通したオープ
ンフレームカーボンアークランプの
代表的な分布c)
%
CIE No.85:1989の表4d),e)
%
λ<290
0.05
―
290≦λ≦320
2.9
5.4
320<λ≦360
20.5
38.2
360<λ≦400
76.6
56.4
注a) この表は,指定の波長域における放射照度を290 nm〜400 nmの放射照度に対する百分率で示す。デイライトフ
ィルタを通したオープンフレームカーボンアークランプの相対分光放射照度分布を求めるには,250 nm〜400
nmの分光放射照度を測定する。この測定は,通常2 nmごとに行う。次いで,個々の波長域の放射照度を集計
し,290 nm〜400 nmの放射照度で除す。
b) この表は,ほうけい酸ガラスのデイライトフィルタを通したオープンフレームカーボンアークランプの代表的な
値である。現在,デイライトフィルタを通したオープンフレームカーボンアークランプの仕様を決めるのに十分
な数のデータはそろっていない。
c) 波長域における個々の相対分光放射照度分布の百分率を合計すると,100 %になる。
d) CIE No.85:1989の表4の値は,エアマス1.0,標準気圧での大気オゾン含有量0.34 cm,可降水量1.42 cm及び500
nmでの混濁係数0.1のときにおける水平面全天放射照度である。これらの値は比較のために示す。
e) CIE No.85:1989の表4に代表される太陽光について,290 nm〜800 nmの放射照度との百分率で示すと,紫外放
射(290 nm〜400 nm)は11 %,可視放射(400 nm〜800 nm)は89 %である。オープンフレームカーボンアークラン
プ装置で暴露される試験片上の紫外放射照度及び可視放射照度の割合は,暴露される試験片の数及び反射特性に
よって異なることがある。
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4.1.3
窓ガラスフィルタ(タイプ2)を通したオープンフレームカーボンアークランプの分光放射照度
窓ガラスフィルタを通したオープンフレームカーボンアークランプの代表的なデータを,表2に示す。
表2−窓ガラスフィルタ(タイプ2)を通したオープンフレームカーボンアークランプの
代表的な紫外部の分光放射照度分布a),b)
分光波長域
λ : 波長 (nm)
窓ガラスフィルタを通したオープン
フレームカーボンアークランプの代
表的な分布 c)
%
CIE No.85:1989の表4
に窓ガラス効果を加えた値d),e)
%
λ<300
0.0
―
300≦λ≦320
0.3
≦1
320<λ≦360
18.7
33.1
360<λ≦400
81.0
66.0
注a) この表は,指定の波長域における放射照度を290 nm〜400 nmの放射照度に対する百分率で示す。窓ガラスフィ
ルタを通したオープンフレームカーボンアークランプの相対分光放射照度分布を求めるには,250 nm〜400 nm
の分光放射照度を測定する。この測定は,通常2 nmごとに行う。次いで,個々の波長域の放射照度を集計し,
290 nm〜400 nmの放射照度で除す。
b) この表は,窓ガラスフィルタを通したオープンフレームカーボンアークランプの代表的な値である。現在,分光
放射照度の仕様を決めるのに十分な数のデータはそろっていない。
c) 波長域における個々の相対分光放射照度分布の百分率を合計すると,100 %になる。特定のカーボンアーク及び
窓ガラスフィルタの分光放射照度のデータは,試験装置の製造業者から入手する。
d) CIE No.85:1989の表4に窓ガラス効果を加えた値は,CIE No.85:1989の表4の値に,米国及び欧州で使われて
いる代表的な窓ガラスの上限及び下限の透過率を乗じて得たデータである。これらの値は比較のために示す。
e) CIE No.85:1989の表4に窓ガラスのデータを加えた値は,300 nm〜800 nmの放射照度との百分率で示すと,300
nm〜400 nmの紫外放射は7.7 %〜10.6 %まで,可視放射は89.4 %〜92.3 %までである。オープンフレームカ
ーボンアークランプ装置で暴露される試験片上の紫外放射照度及び可視放射照度の割合は,暴露される試験片の
数及び反射特性によって異なることがある。
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4.1.4
紫外拡張フィルタ(タイプ3)を通したオープンフレームカーボンアークランプの分光放射照度
紫外拡張フィルタを通したオープンフレームカーボンアークランプに要求されるデータを,表3に示す
(CIE No.85:1989の表4参照)。タイプ3に適した代表的なフィルタは,通常Corex 70581)として知られて
いる。
注1) Corex 7058は,入手可能な製品の一例である。この情報は,この規格の利用者の便宜を図って
記載するもので,この製品を推奨するものではない。
表3−紫外拡張フィルタ(タイプ3)を通したオープンフレームカーボンアークランプの
紫外部の分光放射照度分布a),b)
分光波長域
λ : 波長 (nm)
最小値c)
%
最大値c)
%
CIE No.85:1989の表4 d),e)
%
λ<290
―
4.9
―
290≦λ≦320
2.3
6.7
5.4
320<λ≦360
16.4
24.3
38.2
360<λ≦400
68.1
80.1
56.4
注a) この表は,指定の波長域における放射照度を290 nm〜400 nmの放射照度に対する百分率で示す。フィルタを通
したオープンフレームカーボンアークランプがこの表の要求事項を満足するか否かを決めるには,250 nm〜400
nmの分光放射照度を測定する。この測定は,通常2 nmごとに行う。次いで,個々の波長域の放射照度を集計
し,250 nm〜400 nmの放射照度で除す。
b) この表の最小値及び最大値は,異なる製造ロット及び各種経時変化したフィルタを通した,製造業者の推奨する
オープンフレームカーボンアークランプでの測定数24の分光放射照度分布のデータを基にしている。最小値及
び最大値は,すべての測定値の平均値から少なくとも3 σ以内である。オープンフレームカーボンアークランプ
は,250 nm〜280 nmの間の波長域において,かなりの量の短波長の紫外放射を発生する。この短波長の紫外放
射の強度は,用いたカーボン棒の成分とともに紫外拡張フィルタの経時変化及び初期透過率によって変わる。カ
ーボン棒の成分は,製造ロット間及び製造業者間で異なるかもしれない。
c) 最小値及び最大値の欄は,測定値の最小値及び最大値を記載しているので,必ずしも100 %にはならない。個々
の相対分光放射照度分布の値は,この表の波長域で計算すると百分率の合計は100 %になる。個々の紫外拡張
フィルタを通したオープンフレームカーボンアークランプの各々の波長域における百分率は,指定の最小値と最
大値との間に入ることを確認する。許容範囲と異なる分光放射照度分布のカーボンアーク装置での試験結果は,
異なることが予想される。用いたカーボンアークランプ及びフィルタの分光放射照度分布のデータについては,
試験装置の製造業者から入手する。
d) CIE No.85:1989の表4の値は,エアマス1.0,標準気圧での大気オゾン含有量0.34 cm,可降水量1.42 cm,500 nm
での混濁係数0.1のときにおける水平面全天放射照度である。これらの値は比較のため示す。
e) CIE No.85:1989の表4に代表される太陽光について,290 nm〜800 nmの放射照度との百分率で示すと,紫外放
射(290 nm〜400 nm)は11 %,可視放射(400 nm〜800 nm)は89 %である。オープンフレームカーボンアークラン
プ装置で暴露される試験片上の紫外放射照度及び可視放射照度の割合は,暴露される試験片の数及び反射特性に
よって異なることがある。
4.1.5
次の事項は,オープンフレームカーボンアークランプの分光放射照度分布に影響する。
a) フィルタの成分及び厚さの違いは,透過する短波長の紫外放射の量に大きく影響する。
b) カーボンアークの放射によるフィルタの経時変化は,フィルタの短波長紫外部の透過をかなり減少さ
せる。その結果,フィルタを通る紫外放射が減少する。フィルタの経時変化は,ガラスの成分によっ
て影響を受ける。
c) フィルタに付く汚れ又はその他の残さは,フィルタの透過率に影響する。
d) カーボン棒に用いる金属塩の成分の違いは,分光放射照度分布に影響する。
4.2
試験槽
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試験槽は,試験片取付枠を装備し,温度調節のために試験片の面上に空気を流す装置を備える。試験片
取付枠は,カーボン棒取付ホルダの中心軸の周りを回転する。代表的な取付枠の直径は,96 cmである。
受渡当事者間の協定によって,他の直径のものを用いてもよい。試験片は,取付枠に直接固定するか又は
枠に取り付けた試験片ホルダに固定する。取付枠は,垂直形又は傾斜形とする。
上部及び下部のカーボン棒並びにフィルタは,装置の製造業者の指示に従って取り付ける。
装置は,その運転限界内で,暴露サイクルをプログラム制御する機能をもっていなければならない。
4.3
放射計
放射計を用いるときは,JIS K 7350-1:1995の5.2による。
4.4
ブラックスタンダード温度計又はブラックパネル温度計
温度計は,ブラックスタンダード温度計又はブラックパネル温度計とし,JIS K 7350-1の5.1.5による。
ただし,ブラックスタンダード温度計は,金属板の厚さが0.5 mmのものとする。
4.5
水噴霧及び湿度調整装置
4.5.1
一般
水噴霧若しくは凝縮によって,又は高い湿度中で試験片を水分に暴露する。手順の詳細及び試験条件を
試験報告書に記載する。
4.5.2
相対湿度の制御装置
相対湿度の制御装置を,試験槽に備える。試験片の面上を流れる空気の湿度は,受渡当事者間の協定に
よる。またその湿度は,試験槽内に挿入し,光源から遮へいした適切な装置によって測定する。
4.5.3
凝縮及び噴霧システム
試験槽は規定の条件下で試験片の表面に凝縮を間欠的に起すシステム,又は試験片の表面又は裏面に水
を間欠的に噴霧するシステムを備え,凝縮又は噴霧は試験片に均一に分布していなければならない。噴霧
システムは,用いる水を汚染しない耐食性材料で作る。
試験条件に凝縮が規定されている場合には,試験片の裏面又は試験片の裏あてに噴霧し,試験片を冷や
すように噴霧システムを作る。
試験片の表面への噴霧に用いる水は,試験片に目立った汚れや付着物がつかないものを用いる。要求さ
れる品質の水は,逆浸透膜とイオン交換樹脂との組合せで作ることができる。
注記 参考までに噴霧に用いる水の推奨する水質を示すと,電気伝導率5 μS/cm 未満,全固形分1 μg/g
未満及びシリカのレベル0.2 μg/g未満である。これらを測定する場合,JIS K 0101に規定する
測定方法を参照する。
4.6
試験片ホルダ
試験片ホルダは,試験片の裏面を開放した形又は試験片の裏面に裏あてをしたものでもよい。試験片ホ
ルダの材料は,試験結果に影響しない不活性なもの,例えば酸化を起こさないアルミニウム又はステンレ
ス鋼とする。黄銅,鋼又は銅は,試験片の近くで用いてはならない。裏あて及び裏あてと試験片との間の
すき間は(特に透明な試験片の場合),試験結果に影響を与えることがある。裏あての方法は,受渡当事者
間の協定による。
4.7
特性の変化を評価する機器
選択した特性は, JIS K 7362に規定する機器を用いて求める。
5
試験片
試験片は,JIS K 7350-1による。試験結果を統計的に評価するためには,試験ごとに,各材料で少なく
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とも3個の試験片を暴露することが望ましい。
6
試験条件
6.1
温度
6.1.1
ブラックスタンダード温度又はブラックパネル温度
温度は,ブラックスタンダード温度を用いることが望ましい。しかし,オープンフレームカーボンアー
クランプ装置では,ブラックパネル温度が広く用いられている。ブラックパネル温度を用いるときには,
63 ℃±3 ℃が一般的に用いられる。ブラックパネル温度を用いるときには,温度計の種類,試験片ホルダ
への取付方法及び試験温度を試験報告書に記載する。水噴霧を用いるときには,水噴霧の開始直前の温度
とする。
注記 一般的な暴露条件では,ブラックパネル温度は,ブラックスタンダード温度より3 ℃〜12 ℃
低い温度を表示する。
6.1.2
試験槽内空気温度
要求された場合には,試験槽内空気温度を制御する。この場合には,特に規定がなければ,40 ℃±3 ℃
とする。
6.2
試験槽内空気の相対湿度
特に規定がない限り,相対湿度は,(50±5) %とする。
注記 試験槽内で測定した空気の相対湿度は,試験片の色及び厚さの違いによって試験片の温度が異
なるので,必ずしも試験片近くの水分と等しくはならない。
6.3
噴霧サイクル
噴霧サイクルは,受渡当事者間の協定による。ただし,次のいずれかによることが望ましい。
− 噴霧サイクル1 噴霧時間 (18±0.5) 分間
噴霧停止時間 (102±0.5) 分間
− 噴霧サイクル2 噴霧時間 (12±0.5) 分間
噴霧停止時間 (48±0.5) 分間
6.4
暗黒期間を含むサイクル
6.1〜6.3の条件は,光源から連続的に放射エネルギーが発生している場合に適用する。暗黒期間を含む
場合には,高い相対湿度及び高い試験槽温度で試験片に結露させるため,より複雑なサイクルをプログラ
ムしてもよい。
これらのプログラムは,詳細な設定条件とともに試験報告書に記載する。
6.5
フィルタ
使用するフィルタの種類は,関連規格又は受渡当事者間の協定による。
注記 屋外をシミュレートするには,タイプ1又はタイプ3を用いる。屋内の場合には,タイプ2を
用いる。
7
操作
7.1
試験片の取付け
試験片を,試験槽内の試験片ホルダに取り付ける。各試験片は,暴露後の特性変化の測定に用いる部分
を避けて,消えることのない適切なマーキングを付け識別する。確認用として,試験片の取付位置の配置
図を作るとよい。
10
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
色の変化及び外観の変化の測定に用いる試験片の場合には,必要に応じて,試験中各試験片の一部分を
不透明なカバーで覆ってもよい。これは,暴露部分に近い未暴露部分として比較に用いるためであり,暴
露の進行過程を確認するのに役立つが,報告するデータは,必ず別途暗所に保管した未暴露試験片との比
較に基づくものでなければならない。
均一な暴露状態が,確実に得られるように暴露領域に空き部分がないようにする。必要な場合はダミー
の試験片を試験片ホルダに取り付け空き部分がないようにする。
7.2
暴露
7.2.1 試験片を試験槽に取り付ける前に,試験機が規定の条件(箇条6参照)で作動していることを確認
し,暴露期間中はこれらの条件を維持する。装置の保守及び試験片の点検のための中断は,最小限度に抑える。
7.2.2 すべての試験片を均一に照射するため,各位置において等しい暴露期間になるような順番で,試験
片の垂直方向の位置を入れ替える。暴露期間が24時間以下の場合には,試験片は試験片取付枠の上側半分
に取り付ける。暴露期間が100時間以下の場合には,試験片の位置を毎日入れ替えるほうがよい。受渡当
事者間の協定によって,均一な放射露光量が得られる他の方法を用いてもよい。
7.2.3 フィルタは,2 000時間使用後,又は白濁した著しい変色が生じたときの,いずれか最初に起きたと
きに交換する。フィルタは,製造業者の推奨する間隔で,清浄で,乾いた,研磨性のない布若しくはタオ
ルで清掃するか,又は洗剤で洗い,次いで清浄な水ですすぐ。フィルタは,長期間にわたり均一な暴露を
与えるように,一定のスケジュールで交換する。この場合,500時間ごとに対称位置にある2枚を順次取
り替える。毎回,最も古いフィルタを2枚取り除けるように,フィルタの使用時間及び位置を記録してお
く。
7.3
放射露光量の測定
放射計を用いるときは,試験片の暴露面での放射照度を示すように放射計を取り付ける。
暴露期間は,選択した波長域での,暴露面の単位面積当たりの放射エネルギー( J/m2 )で表す。
放射計を用いないときは,暴露の期間を時間で表示するのが望ましい。
7.4
暴露後の特性の変化の測定
暴露後の特性の変化の測定は,JIS K 7362による。
8
試験報告書
試験報告書には,次の事項を記載しなければならない。
a) この規格の番号
b) 試験片の詳細 試験片の詳細は,次による。
1) 試験片の仕様及び出所
2) 必要ならば化合物,硬化時間及び温度の詳細
3) 試験片の作製方法の完全な詳細
注記 暴露試験を請負機関で行う場合には,試験片は通常コード番号で認識する。この場合,請
負機関が試験報告書に記載するのに必要な,試験片の詳細は,依頼者が用意する。
c) 試験方法 試験方法は,次による。
1) 次の事柄を含む暴露装置及び光源の詳細
1.1) 装置及び光源
1.2) 用いたフィルタの詳細
1.3) 要求された場合には,試験片表面における放射照度(測定時の波長域を含む。)
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K 7350-4:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2) 用いたブラックパネル温度計のセンサのタイプ,及びセンサが試験片の暴露領域にない場合にはセ
ンサの正確な位置
3) 要求された場合には,湿度を測定する機器のタイプ
4) 用いた暴露サイクルの詳細
4.1) 用いたブラックパネル温度計のセンサによって記録された温度の平均及び許容限度
4.2) 試験片上を流れる空気の相対湿度の平均及び許容限度
4.3) 水噴霧を含む試験の場合には,水噴霧の時間及び水が暴露面の表面若しくは裏面又は両面に噴霧
されたかどうかの報告。試験片に目立った汚れや付着物がついた場合は,噴霧に用いた水の水質
を報告
4.4) 水を試験片に凝縮させた場合には,凝縮時間の報告
4.5) 照射時間及び暗黒時間
5) 試験片の裏あてに用いた材料の詳細を含む,試験片の試験片枠への取付方法の詳細
6) 試験片の位置を入れ替えた場合には,その手順
7) 放射計で露光量を測定した場合には,その放射計の詳細
d) 試験結果 試験結果は,次による。
1) 報告した特性の測定に用いた手順の詳細
2) 次の事柄を含むJIS K 7362によって得られた結果
1.1) 試験片の特性測定の結果
1.2) コントロール試験片の特性測定の結果
1.3) 測定した場合には,未暴露のファイル試験片(試験した試験片と同時に作製し,保存しておいた
試験片)の特性測定の結果
1.4) 暴露期間(時間,又は放射エネルギーJ/m2及びその測定波長)
e) 試験年月日
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K 7350-4:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(規定)
光源の仕様
JA.1
オープンフレームカーボンアーク光源の仕様は,表JA.1による。
表JA.1−光源の仕様
項目
仕様
光源の形式
開放式
灯数
1
アーク電圧 V
交流電圧 許容範囲 48〜52
設定値 50±1
アーク電流 A
交流電流 許容範囲 58〜62
設定値 60±1.2
カーボン電極a) mm
1. 上部用:直径 23又は22, 長さ 305
下部用:直径 13又は15, 長さ 305
2. 上部用:直径 36.5,
長さ 350
下部用:直径 23,
長さ 350
3. 上部用:直径 36.5,
長さ 410
下部用:直径 23,
長さ 410
注a) カーボン電極は,いずれの場合も,心にセリウムを含有し,表面に銅などの金属被覆を施
したもので,曲がり,割れなどの欠陥がないものとする。
参考文献 [1] CIE No.85:1989,Technical Report−Solar spectral irradiance
[2] JIS K 0101 工業用水試験方法
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附属書JB
(参考)
JISと対応する国際規格との対比表
JIS K 7350-4:2008 プラスチック−実験室光源による暴露試験方法−第4部:オープンフ
レームカーボンアークランプ
ISO 4892-4:2004 Plastics−Methods of exposure to laboratory light sources−Part 4:
Open-flame carbon-arc lamps及びTechnical Corrigendum 1(2005)
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際規格番
号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇
条ごとの評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号及び名称
内容
箇条番
号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
4 装置
4.1 実験室光源
4.1.1
光源につい
て規定
4
4.1
4.1.1
JISとほぼ同じ
追加
光源の仕様を追加。
詳細は附属書JAに規定。
使用者の利便性を考慮した。
技術的に差異はない。
4 装置
4.3 放射計
放射計につ
いて規定
4.3
JISとほぼ同じ
変更
引用規格の構成の変更に伴
い,細分箇条の変更。
構成の変更のため。
技術的に差異はない。
4 装置
4.4 ブラックスタ
ンダード温度計又
はブラックパネル
温度計
温度計につ
いて規定
4.4
温度計について規定
追加
温度計の板の厚さを追加。
JISはISO 4892-1:1994に対応し
ているが,最新版のISO 4892-1:
1999には対応していない部分が
あり,その部分の規定を追加し
た。
ISOに提案する。
4 装置
4.5.1 一般
報告書への
記載につい
て規定
4.5.1
−
追加
手順の詳細及び試験条件を報
告書に記載することを追加
ISO 4892-4:2004には,ISO 4892-2:
2006及びISO 4892-3:2006に規定
の事項が抜けている。
今後,ISO 4892-4の修正を
TC61/SC6へ申し入れる。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際規格番
号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇
条ごとの評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号及び名称
内容
箇条番
号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
4 装置
4.5.3 凝縮及び噴
霧システム
噴霧に用い
る水質を参
考記載
4.5.3
噴霧に用いる水質を規定
変更
噴霧に用いる水質を規定から
参考の注記に変更し,ISO
4892-4に記載されていない水
質項目の測定方法(JIS K
0101)を参考として追記
ISO 4892-4には,噴霧に用いる水
質を規定しているが,この規格の
使用実態に則して変更した。
今後,ISO 4892-4の修正を
TC61/SC6へ申し入れる。
6 試験条件
6.5 フィルタ
フィルタの
種類につい
て規定
−
−
追加
4.1に規定されているフィル
タの使い方を追加。
使用者の利便性を考慮した。
技術的に差異はない。
7 操作
7.1 試験片の取付
け
試験片の取
付け方につ
いて規定
7.1−
−
追加
試験片ホルダの空き部分をな
くする記述を追加。
使用者の利便性を考慮した。
実作業の実態であり,技術的に差
異はない。
7 操作
7.2 暴露
7.2.1
装置の保守
及び試験片
の点検につ
いて規定
7.2.1
−
追加
装置の保守及び試験片の点検
に伴う暴露の中断を最小限に
押さえる記述を追加。
ISO 4892-4:2004には,ISO 4892-2:
2006及びISO 4892-3:2006に規定
の事項が抜けている。
今後,ISO 4892-4の修正を
TC61/SC6へ申し入れる。
8 試験報告書
試験報告書
の詳細につ
いて規定
8
試験報告書の詳細につい
て規定
追加
JIS K 7350-1の引用をやめ,
詳細に報告項目を記載し,
ISO規格の最新版の規定を追
加。
JISはISO 4892-1:1994に対応し
ているが,最新版のISO 4892-1:
1999に追加された部分を含めた。
ISOに提案する。
附属書 JA
光源につい
て規定
−
−
追加
光源の仕様詳細を規定。
(4.1.1に追加)
使用者の利便性を考慮した。
技術的に差異はない。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 4892-4:2004及びTechnical Corrigendum 1(2005),MOD
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD…………… 国際規格を修正している。