K 7315-2:2012 (ISO 28078-2:2009)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 試験片の作製方法 ············································································································· 3
3.1 一般 ···························································································································· 3
3.2 成形前の材料の取扱い ···································································································· 3
3.3 射出成形 ······················································································································ 3
4 試験片の状態調節 ············································································································· 4
5 特性の求め方 ··················································································································· 4
K 7315-2:2012 (ISO 28078-2:2009)
(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,エンプラ技術連合
会(JEPTC),日本プラスチック工業連盟(JPIF)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準
原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大
臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 7315-2:2006は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS K 7315の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS K 7315-1 第1部:呼び方のシステム及び仕様表記の基礎
JIS K 7315-2 第2部:試験片の作製方法及び特性の求め方
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日本工業規格 JIS
K 7315-2:2012
(ISO 28078-2:2009)
プラスチック−ポリフェニレンスルフィド(PPS)
成形用及び押出用材料−第2部:試験片の作製方法
及び特性の求め方
Plastics-Polyphenylene Sulfide (PPS) moulding and extrusion
materials-Part 2: Preparation of test specimens and determination of
properties
序文
この規格は,2009年に第1版として発行されたISO 28078-2を基に,技術的内容及び構成を変更するこ
となく作成した日本工業規格である。
1
適用範囲
この規格は,成形用及び押出用熱可塑性ポリフェニレンスルフィド(PPS)材料の特徴を把握するため
に,PPSの試験片の作製方法及び特性の求め方について規定する。
注記1 この規格は,成形前の材料の取扱い方及び試験片の状態調節についての要求事項を規定して
いる。また,この規格は試験片を作製する手順及び条件,並びに,成形した試験片を用いて
PPSの特性を求める手順を規定している。
この規格に示す特性は,JIS K 7140-1に規定している一般的試験方法から選定している。
これ以外にも,これらの成形用及び押出用材料について,広範囲に用いる試験方法又は特に
重要なその他の試験方法も,この規格は含んでいる。JIS K 7315-1に規定している表示特性
[メルトマスフローレイト(MFR),溶融粘度(MV),密度及び引張弾性率]もこの規格に
含まれる。
再現性があり,ほかと比較できる試験結果を得るためには,この規格で規定している試験
片の作り方,状態調節方法,試験片寸法及び試験手順を採用する。寸法の異なる試験片又は
異なった手順で得られた試験結果は,必ずしも一致するとは限らない。
注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 28078-2:2009,Plastics−Poly(phenylene sulfide) (PPS) moulding and extrusion materials−Part
2: Preparation of test specimens and determination of properties(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
2
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引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 2110-1 固体電気絶縁材料−絶縁破壊の強さの試験方法−第1部:商用周波数交流電圧印加によ
る試験
注記 対応国際規格:IEC 60243-1,Electrical strength of insulating materials−Test methods−Part 1:
Tests at power frequencies(MOD)
JIS C 2134 固体絶縁材料の保証及び比較トラッキング指数の測定方法
注記 対応国際規格:IEC 60112,Method for the determination of the proof and the comparative tracking
indices of solid insulating materials(IDT)
JIS C 2138 電気絶縁材料−比誘電率及び誘電正接の測定方法
注記 対応国際規格:IEC 60250,Recommended methods for the determination of the permittivity and
dielectric dissipation factor of electrical insulating materials at power, audio and radio frequencies
including metre wavelengths(MOD)
JIS C 2139 固体電気絶縁材料−体積抵抗率及び表面抵抗率の測定方法
注記 対応国際規格:IEC 60093,Methods of test for volume resistivity and surface resistivity of solid
electrical insulating materials(MOD)
JIS C 2320 電気絶縁油
JIS C 60695-11-10 耐火性試験−電気・電子−第11-10部:試験炎−50 W試験炎による水平及び垂直
燃焼試験方法
注記 対応国際規格:IEC 60695-11-10,Fire hazard testing−Part 11-10: Test flames−50 W horizontal
and vertical flame test methods(IDT)
JIS K 7100 プラスチック−状態調節及び試験のための標準雰囲気
注記 対応国際規格:ISO 291,Plastics−Standard atmospheres for conditioning and testing(MOD)
JIS K 7111-1 プラスチック−シャルピー衝撃特性の求め方−第1部:非計装化衝撃試験
注記 対応国際規格:ISO 179-1,Plastics−Determination of Charpy impact properties−Part 1:
Non-instrumented impact test(MOD)
JIS K 7139 プラスチック−試験片
注記 対応国際規格:ISO 20753,Plastics−Test specimens(MOD)
JIS K 7140-1 プラスチック−比較可能なシングルポイントデータの取得及び提示−第1部:成形材
料
注記 対応国際規格:ISO 10350-1,Plastics−Acquisition and presentation of comparable single-point data
−Part 1: Moulding materials(IDT)
JIS K 7152-1 プラスチック−熱可塑性プラスチック材料の射出成形試験片−第1部:通則並びに多
目的試験片及び短冊形試験片の成形
注記 対応国際規格:ISO 294-1,Plastics−Injection moulding of test specimens of thermoplastic materials
−Part 1: General principles, and moulding of multipurpose and bar test specimens(IDT)
JIS K 7162 プラスチック−引張特性の試験方法 第2部:型成形,押出成形及び注型プラスチック
の試験条件
注記 対応国際規格:ISO 527-2,Plastics−Determination of tensile properties−Part 2: Test conditions for
moulding and extrusion plastics(IDT)
JIS K 7171 プラスチック−曲げ特性の求め方
3
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注記 対応国際規格:ISO 178,Plastics−Determination of flexural properties(IDT)
JIS K 7191-2 プラスチック−荷重たわみ温度の求め方−第2部:プラスチック及びエボナイト
注記 対応国際規格:ISO 75-2,Plastics−Determination of temperature of deflection under load−Part 2:
Plastics and ebonite(IDT)
JIS K 7199 プラスチック−キャピラリーレオメータ及びスリットダイレオメータによるプラスチッ
クの流れ特性試験方法
注記 対応国際規格:ISO 11443,Plastics−Determination of the fluidity of plastics using capillary and
slit-die rheometers(IDT)
JIS K 7209 プラスチック−吸水率の求め方
注記 対応国際規格:ISO 62,Plastics−Determination of water absorption(IDT)
JIS K 7210 プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボ
リュームフローレイト(MVR)の試験方法
注記 対応国際規格:ISO 1133,Plastics−Determination of the melt mass-flow rate (MFR) and the melt
volume-flow rate (MVR) of thermoplastics(IDT)
JIS K 7250-1 プラスチック−灰分の求め方−第1部:通則
注記 対応国際規格:ISO 3451-1,Plastics−Determination of ash−Part 1: General methods(IDT)
JIS K 7251 プラスチック−水分含有率の求め方
注記 対応国際規格:ISO 15512,Plastics−Determination of water content(IDT)
ISO 1183-1,Plastics−Methods for determining the density of non-cellular plastics−Part 1: Immersion method,
liquid pyknometer method and titration method
ISO 11357-3,Plastics−Differential scanning calorimetry (DSC)−Part 3: Determination of temperature and
enthalpy of melting and crystallization
ISO 11359-2,Plastics−Thermomechanical analysis (TMA)−Part 2: Determination of coefficient of linear
thermal expansion and glass transition temperature
3
試験片の作製方法
3.1
一般
試験片は,射出成形で作製し,常に同じ成形条件,同じ手順で作製する。
3.2
成形前の材料の取扱い
成形前の材料の水分含有率は,JIS K 7251に規定する方法を用い,ポリマーだけでなく充塡材を含んだ
材料としての質量分率で,0.05 %を超えてはならない。水分含有率がこの基準を超える場合,製造業者の
推奨条件で乾燥させる。
水分含有率を確実に低く保つためには,射出成形機のホッパ(供給槽)中の材料を適切なガス(例えば,
乾燥した空気,窒素ガス又はアルゴンガス)の雰囲気下に置くことが望ましい。除湿ホッパドライヤを用
い,乾燥を強化すれば,更によい結果が得られる。
3.3
射出成形
射出成形試験片は,JIS K 7152-1に従い,表1の条件で作製する。
4
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表1−試験片の射出成形条件(設定条件)
溶融温度
℃
金型温度
℃
平均射出速度
mm/s
保圧時間
s
全サイクル時間
s
320
140
350±150
20±10
60
4
試験片の状態調節
機械的特性,熱的特性,電気的特性及び密度を測定するための試験片は,JIS K 7100に従って,温度(23
±2)℃,相対湿度(50±10)%で,4時間以上,状態調節を行う。
5
特性の求め方
特性の求め方及びデータの表示は,JIS K 7140-1による。全ての試験は,表2及び表3に規定がなけれ
ば,温度(23±2)℃,相対湿度(50±10)%の標準状態で行う。
JIS K 7140-1に規定するものの中から,PPS材料に適切な特性を,表2に規定する。これらの特性は,
他の熱可塑性プラスチックのデータと比較するのに有用である。
表2に規定していない特性で,PPS材料を特徴付けるのに重要な特性を,表3に示す。
5
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表2−一般的特性及びその試験条件
特性
単位
規格
試験片のタイプ
及び寸法
mm
試験片の
作製方法
試験条件及び補足説明
レオロジー的特性
メルトマスフローレ
イト(MFR)
g/10 min
JIS K 7210に
よる。
成形材料
−
JIS K 7315-1参照
メルトボリュームフ
ローレイト(MVR)
cm3/10 min
溶融粘度(MV)
Pa・s
JIS K 7199に
よる。
成形材料
−
JIS K 7315-1参照
機械的特性
引張弾性率
MPa
JIS K 7162に
よる。
JIS K 7139に規定
するタイプA1
射出成形
試験速度1 mm/min
引張降伏応力
MPa
降伏点のある破壊
試験速度50 mm/min
引張降伏ひずみ
%
引張破壊時
呼びひずみ
%
引張破壊応力
MPa
降伏点のない破壊
試験速度5 mm/min
引張破壊ひずみ10 %以下の
場合に適用する。
試験速度50 mm/min
引張破壊ひずみ10 %を超え
る場合に適用する。
引張破壊ひずみ
%
曲げ弾性率
MPa
JIS K 7171に
よる。
JIS K 7139に規定
するタイプB
射出成形
試験速度2 mm/min
曲げ強さ
MPa
シャルピー衝撃強さ
(ノッチ付き)
kJ/m2
JIS K 7111-1
による。
JIS K 7139に規定
するタイプB
V-ノッチ
r=0.25
射出成形
方法 1 eA
(エッジワイズ衝撃)
熱的特性
荷重たわみ温度
℃
JIS K 7191-2
による。
JIS K 7139に規定
するタイプB
射出成形
1.8 MPa
(フラットワイズ)
線膨張係数
℃−1
ISO 11359-2
による。
JIS K 7139 a)
射出成形
流れ方向
に平行
23 ℃〜55 ℃
の温度範囲で
のセカント値
を記録する。
流れ方向
に直角
燃焼性
mm/min
JIS C
60695-11-10に
よる。
125×13×3
(JIS K 7140-1
参照)
射出成形
A法:水平試験片の燃焼線
速度
s
B法:垂直燃焼試験片の
a) 火炎燃焼時間
b) 赤熱燃焼時間
電気的特性
比誘電率
−
JIS C 2138に
よる。
≧60×≧60×2
射出成形
周波数100 Hz及び1 MHz
(電極のエッジの影響を補
償する。)
誘電正接
−
体積抵抗率
Ω・m
JIS C 2139に
よる。
≧60×≧60×2
射出成形
電圧500 V
表面抵抗率
Ω
6
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表2−一般的特性及びその試験条件(続き)
特性
単位
規格
試験片のタイプ
及び寸法
mm
試験片の
作製方法
試験条件及び補足説明
耐電圧
kV/mm
JIS C 2110-1
による。
≧60×≧60×1
射出成形
25 mm / 25 mmの同軸シリ
ンダー形の電極を用いる。
JIS C 2320の変圧器油に浸
せきする。短時間試験法(迅
速昇圧法)を用いる。
≧60×≧60×2
耐トラッキング性
−
JIS C 2134に
よる。
≧20×≧20×≧4
射出成形
溶液Aを用いる。
その他の特性
吸水率
質量分率
%
JIS K 7209に
よる。
厚さ≧1
射出成形
23 ℃の水中での飽和値
密度
kg/m3
ISO 1183-1に
よる。
10×10×4
射出成形
注a) JIS K 7139のタイプA1試験片(多目的試験片)から切り出したものを用いることが望ましい。
表3−追加の特性及び試験条件
特性
単位
規格
試験片のタイプ
及び寸法
mm
試験片の
作製方法
試験条件及び補足説明
溶融温度
℃
ISO 11357-3
による。
成形材料
−
溶融ピーク温度を記録。
20 ℃/minを用いる。
灰分
質量分率
%
JIS K 7250-1
による。
成形材料
−
充塡又は強化グレードだ
け。
600±25 ℃又は
750±50 ℃ a)
注a) 鉱物などの充塡材を用いている場合,750±50 ℃では鉱物の化学変化によって測定にばらつきが生じやすい
ことから,600±25 ℃が望ましい。600±25 ℃では,燃焼時間は3時間以上が望ましい。
参考文献 JIS K 7315-1 プラスチック−ポリフェニレンスルフィド(PPS)成形用及び押出用材料−第1
部:呼び方のシステム及び仕様表記の基礎
注記 対応国際規格:ISO 28078-1,Plastics−Poly(phenylene sulfide) (PPS) moulding and
extrusion materials−Part 1: Designation system and basis for specifications(IDT)