2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 7237-1995
エポキシ樹脂のアミン系硬化剤の
全アミン価試験方法
Testing method for total amine values of amine-based
hardeners of epoxide resins
1. 適用範囲 この規格は,エポキシ樹脂の硬化剤として用いられるアミン系化合物の全アミン価を試験
する方法について規定する。
備考1. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JIS K 4108 ニトロベンゼン類(ニトロベンゼン・o−ニトロトルエン・m−ニトロトルエン・P−ニ
トロトルエン)
JIS K 8223 過塩素酸(試薬)
JIS K 8294 クリスタルバイオレット(試薬)
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8809 フタル酸水素カリウム(試薬)
JIS K 8886 無水酢酸(試薬)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS R 3505 ガラス製体積計
2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。
(1) アミン系硬化剤 分子中に塩基性窒素を1個以上もち,これによってエポキシ樹脂を硬化させること
ができるアミン化合物。
(2) 全アミン価 試料1g中に含まれる全塩基性窒素を中和するのに要する過塩素酸と,当量の水酸化カリ
ウムのmg数を表し,無名数とする。
3. 試験方法の種類 試験方法の種類は,次の二通りとする。
(1) 電位差滴定法
(2) 指示薬滴定法
4. 試験方法
4.1
電位差滴定法
2
K 7237-1995
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4.1.1
試験方法の概要 試料を,o−ニトロトルエン及び酢酸の混合溶剤に溶かし,ガラス電極と比較電
極を用いて,0.1mol/l過塩素酸酢酸溶液で滴定する。電位差計又はpH計の読みと,これに対応する0.1mol/l
過塩素酸酢酸溶液の滴定量との関係を作図し,滴定曲線に得られた変曲点を終点とする。消費した0.1mol/l
過塩素酸酢酸溶液の量によって全アミン価を算出する。
4.1.2
器具及び装置 器具及び装置は,次のとおりとする。
(1) 化学はかり 感量0.1mgのもの。
(2) フラスコ及びビーカー JIS R 3503に規定する所定容量のもの。
(3) メスシリンダー,ピペット及びビュレット JIS R 3505に規定する所定容量のもの。
(4) デシケーター JIS R 3503に規定するもので,乾燥剤は,シリカゲル又は塩化カルシウムとする。
(5) マグネチックスターラー及びかくはん(攪拌)子 発熱によって液温に影響を与えないもの。
(6) 電位差滴定装置 JIS K 0113に規定するもの。
4.1.3
試薬 試薬は,次のとおりとする。
(1) 酢酸 JIS K 8355に規定するもの。
(2) o−ニトロトルエン JIS K 4108に規定するもの。
(3) 混合溶剤 (2)に規定するo−ニトロトルエン900mlと(1)に規定する酢酸200mlとを混合したもの。
(4) 無水酢酸 JIS K 8886に規定するもの。
(5) 過塩素酸 JIS K 8223に規定する含量70.0〜72.0%のもの。
(6) フタル酸水素カリウム JIS K 8809に規定するフタル酸水素カリウムを120℃の乾燥器中で2時間乾
燥後デシケーター中で室温まで放冷したもの。
(7) 0.1mol/l過塩素酸酢酸溶液
(7.1) 調製 過塩素酸(1)8.5mlをあらかじめ酢酸500mlと無水酢酸30mlとを混合した溶液中にゆっくり加
えて混合後,更に酢酸を加えて全量を1 000mlとし,1昼夜放置する。
注(1) 過塩素酸の酢酸溶液は,この試験方法の操作条件では危険はないが,濃過塩素酸は加熱さ
れると強力な酸化剤となるので,取扱いには注意する。
(7.2) 標定
(a) フタル酸水素カリウム0.1〜0.2gを0.1mgまで量り採り酢酸20mlに溶かす。
(b) この溶液にo−ニトロトルエン90mlを加え,4.1.4(3),(4)と同様な操作で0.1mol/l過塩素酸酢酸溶液
の調製液を用いて滴定する。
(c) 別に用意した混合溶剤110mlについて,空試験を行う。
(d) 0.1mol/l過塩素酸酢酸溶液のファクターは,次の式によって小数点以下3けたまで求める(2)。
(
)
2
1
1
1.0
23
.
204
1000
V
V
m
f
−
×
×
×
=
ここに,
f: 0.1mol/l過塩素酸酢酸溶液のファクター
m1: フタル酸水素カリウムの質量 (g)
V1: 終点までの滴定に消費した0.1mol/l過塩素酸酢酸溶液の量
(ml)
V2: 空試験に消費した0.1mol/l過塩素酸酢酸溶液の量 (ml)
注(2) 0.1mol/l過塩素酸酢酸溶液のファクターは,1±0.05とし,これを外れるときは再度調製す
る。
4.1.4
試験の手順 試験の手順は,次のとおりとする。
(1) ビーカーに,塩基性窒素として2〜3mmolに相当する試料を0.1mgまで量り採る(3)。
3
K 7237-1995
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
注(3) 試料が空気との接触によって変質しないよう注意すること。
(2) 混合溶剤100mlを加え,かくはん子を使用してマグネチックスターラーによって試料を完全に溶かす。
(3) 電極を試料溶液中に浸し,試料溶液が飛散しないように,また空気が入らない程度にかくはんの強さ
を調節する。
(4) 電位差滴定装置によって0.1mol/l過塩素酸酢酸溶液で滴定する(4)。得られた滴定曲線の変曲点を滴定
の終点とし,消費した0.1mol/l過塩素酸酢酸溶液の量を0.01mlまで読み取る。
注(4) 有機溶剤の体積膨脹係数は比較的大きいので,0.1mol/l過塩素酸酢酸溶液の標定時の温度と使用
時の温度との差は,5.0℃以内でなければならない。もし使用時の温度が標定時の温度より高く,
その差が5.0℃を超えるときは,その使用量に係数 (1.000−0.001t) を,また使用時の温度が標
定時の温度より低く,その差が5.0℃を超えるときは係数 (1.000+0.001t) をそれぞれ乗じる。
ここで,tは標定時温度と使用時温度との差をいう。
(5) 同様にして空試験を行う。
(6) 試験は,同一試料について2回以上行う。
4.1.5
計算 全アミン価は,次の式によって算出し,2回試験したその平均値を求め,有効数字3けたに
丸める。
(
)
2
4
3
1.0
11
.
56
m
f
V
V
A
×
−
×
×
=
ここに,
A: 全アミン価
V3: 終点までの滴定に消費した0.1mol/l過塩素酸酢酸溶液の量
(ml)
V4: 空試験に消費した0.1mol/l過塩素酸酢酸溶液の量 (ml)
f: 0.1mol/l過塩素酸酢酸溶液のファクター
m2: 試料の質量 (g)
4.2
指示薬滴定法
4.2.1
試験方法の概要 試料をo−ニトロトルエン及び酢酸の混合溶剤に溶かし,クリスタルバイオレッ
トを指示薬として0.1mol/l過塩素酸酢酸溶液で滴定する。消費した0.1mol/l過塩素酸酢酸溶液の量によっ
て全アミン価を算出する。
4.2.2
器具及び装置 器具及び装置は,次のとおりとする。
(1) 化学はかり 4.1.2(1)に規定するもの。
(2) フラスコ及びビーカー 4.1.2(2)に規定するもの。
(3) メスシリンダー,ピペット及びビュレット 4.1.2(3)に規定するもの。
(4) デシケーター 4.1.2(4)に規定するもの。
(5) マグネチックスターラー及びかくはん子 4.1.2(5)に規定するもの。
4.2.3
試薬 試薬は,次のとおりとする。
(1) 酢酸 4.1.3(1)に規定するもの。
(2) o-ニトロトルエン 4.1.3(2)に規定するもの。
(3) 混合溶剤 4.1.3(3)に規定するもの。
(4) 無水酢酸 4.1.3(4)に規定するもの。
(5) 過塩素酸 4.1.3(5)に規定するもの。
(6) フタル酸水素カリウム 4.1.3(6)に規定するもの。
(7) 0.1mol/l過塩素酸酢酸溶液
4
K 7237-1995
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(7.1) 調製 4.1.3(7.1)による。
(7.2) 標定
(a) 4.1.3(7.2)(a)によってフタル酸水素カリウムを溶かす。
(b) この溶液にo−ニトロトルエン90mlを加え4.2.4(3)と同様な操作で0.1mol/l過塩素酸酢酸溶液の調
製液を用いて滴定する。
(c) 同様にして空試験を行う。
(d) 4.1.3(7.2)(d)によって0.1mol/l過塩素酸酢酸溶液のファクターを求める。
(8) クリスタルバイオレット指示薬溶液 JIS K 8294に規定するクリスタルバイオレット0.1gを酢酸
100mlに溶かしたもの。
4.2.4
試験の手順 試験の手順は,次のとおりとする。
(1) 4.1.4(1)と同様に試料を量り採る。
(2) 4.1.4(2)と同様に試料を溶かす。
(3) クリスタルバイオレット指示薬溶液を2,3滴加え,ビュレットに入れた0.1mol/l過塩素酸酢酸溶液で,
青に緑がつき始める点まで滴定する。
(4) 4.1.4(5)と同様に空試験を行う。
(5) 4.1.4(6)と同様に2回以上とする。
4.2.5
計算 計算は,4.1.5による。
5. 報告 報告には,次の事項を記入する。
(1) 試料名
(2) 試験結果
(3) 試験方法(指示薬滴定法を採用した場合だけ明記する。)
(4) 試験年月日
(5) その他必要とする事項
関連規格 JIS K 7231 エポキシ樹脂及び硬化剤の試験方法通則