2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 7233-1986
エポキシ樹脂及び硬化剤の粘度試験方法
Testing Methods for Viscosity of Epoxide Resins and Hardeners
1. 適用範囲 この規格は,常温で液状又は溶剤で希釈したエポキシ樹脂及び硬化剤の粘度試験方法につ
いて規定する。
引用規格:
JIS B 7410 石油類試験用ガラス製温度計
JIS K 6862 ホットメルト接着剤の溶融粘度試験方法
JIS K 7231 エポキシ樹脂及び硬化剤の試験方法通則
JIS Z 8803 粘度測定方法
対応国際規格:
ISO 2555 Resins in the liquid state or as emulsions or dispersions−Determination of Brookfield RV
viscosity
ISO 3104 Petroleum products−Transparent and opaque Iiquids−Determination of kinematic
viscosity and calculation of dynamic viscosity
ISO 3105 Glass capillary kinematic viscometer−Specification and operating instructions
関連規格:JIS K 5400 塗料一般試験方法
JIS K 6901 液状不飽和ポリエステル樹脂試験方法
ASTM D 1545 Viscosity of Transparent Liquids by Bubble Time Method
2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,次のとおりとする。
(1) エポキシ樹脂 JIS K 7231(エポキシ樹脂及び硬化剤の試験方法通則)による。
(2) 硬化剤 JIS K 7231による。
(3) 粘度 JIS Z 8803(粘度測定方法)による。
3. 試験方法の種類 試験方法の種類は,次の三とおりとする。
(1) 毛細管粘度計法
(2) 単一円筒回転粘度計法
(3) 泡粘度計法
4. 試験方法
4.1
毛細管粘度計法
2
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4.1.1
試験方法の概要 内径均一な毛細管中に層流状態で試料を流し,一定体積の試料が通過するために
要する時間を測定してその試料の粘度を求める。
4.1.2
器具及び装置 器具及び装置は,次のとおりとする。
(1) キャノン−フェンスケ粘度計 JIS Z 8803の5.2.1(キャノン−フェンスケ粘度計)に規定するもの。
図1に形状を,表1にその寸法の一例を示す。
(2) 恒温水槽 25.0±0.1℃に制御でき,粘度測定時に外部から内部が水平に透視できる構造のもの。
(3) ストップウオッチ 最小目盛0.2秒以下のもの。
(4) 温度計 JIS B 7410(石油類試験用ガラス製温度計)のVIS 17に規定するもの,又はこれと同等の性
能をもつもの。
4.1.3
試験の手順 試験の手順は,次のとおりとする。
(1) 粘度計を逆さにして一方の細い管(2)の先端を試料中に浸し,他の一方の管(1)から,m2に液面がくる
まで吸い上げて試料を採り,常態に戻す(図1参照)。
(2) 試料を入れた後,粘度計を恒温水槽内に入れて揺れないように鉛直に取り付ける。このとき球B, D, G
の中心が同一鉛直線上にくるように取り付け,測定中における粘度計内の試料面は,恒温水槽の水面
から20mm以上深くなるようにする(図1参照)。
(3) 試料の温度が測定温度に達した後(10〜30分間ぐらい放置すればよい。)試料内に泡のないことを確
かめ,吸引又は加圧して測定球Dの上標線より5〜10mm上まで試料面を上げた後,試料を自然流下
させ,試料面が測定球の上下標線間(m1,m2間)を通過するために要する時間を測定する(1)。
注(1) 測定時間が100秒以下のときは,毛細管Fの内径が小さい粘度計を用いて測定する。
(4) 試験は,同一試料について2回行う。
備考 できれば試料の大体の粘度又は動粘度を簡単な方法で前もって測定しておき,測定時間が100
〜600秒になるような粘度計を選定しておくとよい。
3
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図1 キャノン−フェンスケ粘度計の形状(一例)
表1 キャノン−フェンスケ粘度計の各部寸法の一例
常用測定範囲
10-4m2/s
毛細管Fの内径
mm
管A, Cの内径
mm
球Bの体積
cm3
球Dの体積
cm3
0.004〜 0.016
約0.3
約3
約3
約3
0.008〜 0.032
約0.4
0.03 〜 0.12
約0.6
0.07 〜 0.28
約0.8
0.2 〜 1
約1.0
1 〜 5
約1.5
5 〜 25
約2.2
4.1.4
計算 計算は,次のとおりとする。
(1) 試料の粘度は,次の式によって算出する。
ρ
ρ
η
−
=
=
t
c
t
c
v
2
1
ここに,
η: 粘度 (10-1Pa・s)
ν: 動粘度 (10-4m2/s)
ρ: 密度 (g/cm3)
c1: 粘度計定数 (10-4m2/s)
c2: 粘度計係数 (10-4m2)
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t: 流下時間 (s)
この場合,ρ(密度)は,次の式によって算出する。
ρ=S・K
ここに,
ρ: 25℃における試料の密度 (g/cm3)
S: 25℃における試料の比重
K: 25℃における蒸留水の密度 (g/cm3)
ここで,
ρ
t
c2は,運動エネルギーの補正項であり,運動エネルギーの補正が小さくて無視しても差し
支えない場合には,次の式によって算出してもよい。
η=ν・ρ=c1tρ
(2) 2回の計算値の平均値を求め,有効数字3けたに丸めてPa・sで表す。
4.1.5
報告 報告には次の項目を記入する。
(1) 試料名
(2) 試験方法
(3) 試験結果
(4) 試験年月日
(5) その他必要とする事項
4.2
単一円筒回転粘度計法
4.2.1
試験方法の概要 電動機によってロータを試料中で回転させ,その粘性抵抗によるトルクをスプリ
ングバランスによって測定する。
4.2.2
器具及び装置 器具及び装置は,次のとおりとする。
(1) 単一円筒回転粘度計 JIS K 6862(ホットメルト接着剤の溶融粘度試験方法)の4.(1)(粘度計)に準
拠したもの。図2に粘度計の一例を示す。
(2) 容器 内径85mm,深さ120mm以上のふた付きのもの,又は粘度計に附属している外筒。
(3) 恒温水槽 25.0±0.2℃に制御できるもの。
(4) 温度計 JIS B 7410のSP33に規定するもの,又はこれと同等の性能をもつもの。
4.2.3
試験の手順 試験の手順は,次のとおりとする。
(1) 試料約500mlを泡の入らないように容器に採り,温度計を試料内に挿入しふたをして,恒温水槽の中
に試料の液面が恒温水槽の水面より約1cm下になるように設置する。
(2) 試料温度が25.0±0.2℃になれば,ほぼ同温度に保った粘度計のロータを容器のほぼ中央に位置し,ロ
ータに泡が付着しないように注意しながら浸液マークまで浸せきし,2分間以上保つ。
(3) ロータ番号と回転数を,指示計の目盛が20〜95%の範囲に入るように選び,ロータを回転させ,指針
が安定したときの指示計の示す目盛を小数点以下1けたまで読む。
(4) 試験は,同一試料について2回行う。
4.2.4
計算 計算は,次のとおりとする。
(1) 粘度計の示す目盛の数値にその装置に指定された定数を乗じて計算する。
(2) 2回の計算値の平均値を求め,有効数字3けたに丸めてPa・sで表す。
4.2.5
報告 報告には,次の項目を記入する。
(1) 試料名
(2) 試験方法
(3) 粘度計の種類
5
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(4) ロータ番号
(5) 回転数
(6) 試験結果
(7) 試験年月日
(8) その他特記事項
図2 単一円筒回転粘度計(一例)
4.3
泡粘度計法
4.3.1
試験法の概要 液中を昇る泡の速さを標準液と比較し,粘度を標準管に示した記号で表す。
4.3.2
器具及び装置 器具及び装置は,次のとおりとする。
(1) 泡粘度計の標準管 表2に示す管に粘度標準液(2)を封入したもの,又はこれと動粘度の等しいもの。
この規格で用いる泡粘度計の標準管の記号と動粘度の関係を表3に示す。
注(2) 温度25.0土0.1℃で指定の動粘度をもつ鉱油とする。
(2) 泡粘度計の試料管 標準管と同一の形状の管を用いる。
(3) 恒温水槽 25.0±0.5℃に制御できるもの。
(4) 温度計 JIS B 7410のTAG 50に規定するもの,又はこれと同等の性能をもつもの。
表2 泡粘度計の管の寸法
単位 mm
内径
10.65±0.05
口端Aと標線Bとの距離
約5
標線Bと標線Cとの距離
8±1
標線Cと底面Dとの距離
100±1
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表3 泡粘度計の標準管の記号と動粘度
標準管の
記号
動粘度
10-4m2/s
標準管の
記号
動粘度
10-4m2/s
標準管の
記号
動粘度
10-4m2/s
標準管の
記号
動粘度
10-4m2/s
A5
0.005
G
1.65
R
4.70
Z3
46.3
A4
0.062
H
2.00
S
5.00
Z4
63.4
A3
0.14
I
2.25
T
5.50
Z5
98.5
A2
0.22
J
2.50
U
6.27
Z6
148
A1
0.32
K
2.75
V
8.84
Z7
388
A
0.50
L
3.00
W
10.70
Z8
590
B
0.65
M
3.20
X
12.90
Z9
855
C
0.85
N
3.40
Y
17.60
Z10
1 066
D
1.00
O
3.70
Z
22.7
E
1.25
P
4.00
Z1
27.0
F
1.40
Q
4.35
Z2
36.2
4.3.3
試験の手順 試験の手順は,次のとおりとする。
(1) 試料を泡粘度計の試料管に液面が標線Cに達するまで入れ,標線Bから標線Cまでの間に空気を残し
て密栓し,25.0±0.5℃の恒温水槽の中に管の口端Aを下に,底面Dを上にして鉛直に立て,標準管2
本と並置して20分間以上放置する。このときの標準管の選択は,試料管を中心にして,気泡の移動が
それより速いものと遅いものとを選び,かつアルファベット順とする。
(2) 標準管2個と試料管1個を同時に手早く180度転倒し,標線B−C間に封入してある泡の上昇する速
さを比較する。
(3) 試験は,1回とする。
4.3.4
判定及び結果 粘度計記号の泡の上昇が速い方の標準管の泡が標線Bに到達したとき判定する。
(1) 標準管の泡と同時に標線Bに到達した試料管は,その標準管の記号で表示する(例 A)。
(2) 2本の標準管の中間のときは,その2本の標準管の記号を並記する(例 A−B)。
(3) 速い標準管より遅く,2本の標準管の中間より速いときは,速い標準管の記号にプラス(+)を付け
加える(例 A+)。
(4) 遅い標準管より速く,2本の標準管の中間より遅いときは,遅い標準管の記号にマイナス(−)を付
け加える(例 B−)。
4.3.5
報告 報告には,次の項目を記入する。
(1) 試料名
(2) 試験方法
(3) 試験結果
(4) 試験年月日
(5) その他必要とする事項