K 7225:2018
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 原理······························································································································· 2
5 装置及び材料 ··················································································································· 2
6 試料······························································································································· 3
7 試験片···························································································································· 4
7.1 寸法 ···························································································································· 4
7.2 試験片の数 ··················································································································· 4
7.3 状態調節 ······················································································································ 4
8 操作······························································································································· 4
9 結果のまとめ方 ················································································································ 5
9.1 質量の一定変化率の計算 ································································································· 5
9.2 水蒸気透過速度の計算 ···································································································· 6
9.3 水蒸気透過度の計算 ······································································································· 6
9.4 水蒸気透過係数の計算 ···································································································· 6
9.5 水蒸気拡散抵抗指数の計算 ······························································································ 6
10 報告 ····························································································································· 7
附属書A(規定)試験体の作製法 ···························································································· 8
附属書B(参考)水蒸気拡散抵抗指数計算のための式の誘導 ························································ 10
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 13
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(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,日本プラスチック
工業連盟(JPIF),ウレタンフォーム工業会(JUFA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標
準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業
大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 7225:2005は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格 JIS
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硬質発泡プラスチック−水蒸気透過性の求め方
Rigid cellular plastics-
Determination of water vapour transmission properties
序文
この規格は,2007年に第3版として発行されたISO 1663を基に,技術的内容を変更して作成した日本
工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一
覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,硬質発泡プラスチックの水蒸気透過速度,水蒸気透過度,水蒸気透過係数,及び水蒸気拡
散抵抗指数の求め方について規定する。この方法は,厚さ10 mm以上の均質な硬質発泡プラスチックに適
用し,また,スキン又は面材をもつものにも適用できる。ここで規定する温度及び湿度条件は,次の3種
類とする。
a) 温度38 ℃,相対湿度勾配0 %〜88 %
b) 温度23 ℃,相対湿度勾配0 %〜85 %
c) 温度23 ℃,相対湿度勾配0 %〜50 %
この方法で得られる結果は,設計目的,生産管理,及び製品仕様書に載せるために適している。
この方法は,水蒸気透過速度が3 μg/(m2・s)〜200 μg /(m2・s)の材料に適する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 1663:2007,Rigid cellular plastics−Determination of water vapour transmission properties(MOD)
なお,対応の程度を表す記号 “MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 6900 プラスチック−用語
JIS K 7100 プラスチック−状態調節及び試験のための標準雰囲気
注記 対応国際規格:ISO 291,Plastics−Standard atmospheres for conditioning and testing
JIS K 7248 発泡プラスチック及びゴム−寸法の求め方
注記 対応国際規格:ISO 1923,Cellular plastics and rubbers−Determination of linear dimensions
2
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3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 6900によるほか,次による。
3.1
水蒸気透過速度(water vapour transmission rate)
規定の温度,相対湿度,及び厚さの条件下で,単位時間内に試験片の単位面積を通過する水蒸気量。単
位は,μg/(m2・s)。
注記 水蒸気透過速度は,試験片の厚さに依存する。
3.2
水蒸気透過度(water vapour permeance)
試験片の水蒸気透過速度を,試験片の両表面における水蒸気圧差で除したもの。単位は,ng/(m2・s・Pa)。
注記 水蒸気透過度は,試験片の厚さに依存する。
なお,水蒸気透過度のことを透湿係数ともいう。
3.3
水蒸気透過抵抗(water vapour resistance)
水蒸気透過度の逆数。単位は,m2・s・Pa/ng。
注記 水蒸気透過抵抗のことを透湿抵抗ともいう。
3.4
水蒸気透過係数(water vapour permeability)
単位厚さの試験片を,単位水蒸気圧差で単位時間に透過する水蒸気量。水蒸気透過度と厚さとの積で表
す。単位は,ng/(m・s・Pa)。
注記 水蒸気透過係数は,均質な材料の場合,その物質の特性値となる。
なお,水蒸気透過係数のことを透湿率ともいう。
3.5
水蒸気拡散抵抗指数(water vapour diffusion resistance index)
空気の水蒸気透過係数を当該材料の水蒸気透過係数で除したもの。これは,同一温度で同等の厚さの静
止空気層に対して,当該材料がどれだけ透過しにくいかを示す。単位は,無次元。
注記 水蒸気拡散抵抗指数は,均質な材料の場合,その物質の特性値となる。
4
原理
吸湿剤を入れた試験容器の開口部に試験片を置き密封する。次に,試験体を規定の温度及び相対湿度の
雰囲気下に置き,水蒸気が試験片を通じて吸湿剤に吸収される割合を測定する。試験体を定期的にひょう
量し,水蒸気透過速度,水蒸気透過度などを求める。
5
装置及び材料
5.1
試験容器 開口部が円形で,水蒸気に対して不透過性の材料,例えば,ガラス製又は金属製で,内
径が65 mm以上で,かつ,上部は封ろう剤を収容できるように僅かに外側に開いた容器とする。代表的な
試験体の作製については,附属書Aに,型枠を必要とする試験体については,5.3による。
5.2
測定器具 測定器具は,JIS K 7248に規定する測定器具で,長さを測定できるものとする。
5.3
円形の型枠 型枠は,使用後の取り外しを容易にするため傾斜した縁を付け,試料の暴露面積と同
じ面積のものとする。端部での水蒸気の回り込みによる影響を減らすため,型枠の直径は,試験片の直径
3
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の90 %以上でなければならない。
5.4
ポット又は皿 封ろう剤を溶かすために用いるもの(5.7参照)。
5.5
はかり 精度0.1 mgで試験体をひょう量できるもの。
5.6
恒温恒湿槽 設定温度の±1 ℃及び相対湿度の±5 %に維持でき,連続的に監視できるものとする。
恒温恒湿槽は,恒温恒湿室であってもよい。恒温恒湿室ではなくて図1に示す恒温恒湿槽を用いる場合に
は,正確にひょう量できるように,スイッチで空気循環を停止できるものでなければならない。
注記1 規定の恒温恒湿室を使用する場合は,図1に示す装置を使用する必要はない。
湿度調節のできない湿度槽の場合には,次の溶液を用いる。
a) 温度38 ℃,相対湿度勾配0 %〜88 %における試験の場合は,38 ℃で溶解していない過剰の硝酸カリ
ウムを含む硝酸カリウム溶液。
b) 温度23 ℃,相対湿度勾配0 %〜85 %における試験の場合は,23 ℃で溶解していない過剰の塩化物を
含む塩化物溶液。
注記2 温度23 ℃,相対湿度勾配0 %〜50 %の場合で,8.1の許容差に合致する塩化物は見当たらな
い。
5.7
封ろう剤 試験条件によって影響を受けないものとする。次に,適切な封ろう剤の例を示す。
a) 微細結晶ワックス90 %と可塑剤(例えば,低分子量ポリイソブチレン)10 %との混合物。
b) 微細結晶ワックス60 %と精製結晶パラフィン40 %との混合物。
5.8
無水塩化カルシウム吸湿剤 吸湿剤は,30番(600 μm)のふるいを通過する微粉末を含まない,直
径約2 mm〜5 mmのものとする。
5.9
境界リング 薄い試料に使用する(附属書A参照)。
図1−実験者が状態調節した環境に入ることのできない場合に薦める試験片の暴露及び測定装置
6
試料
試料は,当該材料を代表するものでなければならない。試料は,当該材料の構成要素として,スキン又
は面材を含んでもよい。
密度が芯材部分と非常に異なったスキンをもつ発泡プラスチックも存在する。そのような材料の水蒸気
透過係数を求める場合には,試験片は均質でなければならないので,スキン及び面材を除去してから測定
する。
1
グローブボックス形扉口をもつ
状態調節した環境試験槽
2
はかり
3
つり下げたひょう量台
4
ひょう量中の試験体
4
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7
試験片
7.1
寸法
7.1.1
形状
試験片は,図A.1に規定する試験体の中から,適切なものを選択し,その試験体の寸法に適合するよう
に切断する。
7.1.2
厚さ
試験片の厚さは10 mm以上とし,製造厚さで10 mm未満のものは除いて試験を行う。試験片の厚さは,
25 mmが望ましい。
注記 製品の厚さが10 mm未満のものは,受渡当事者間での合意がある場合は,測定してもよい。
7.1.3
暴露面積
暴露面積は,3 200 mm2以上とする。
7.2
試験片の数
最少5個の試験片を準備する。
試験する材料が異方性の場合には,意図した使用状態において製品を通過する水蒸気の流れ方向と試験
片の平行面とが直角になるように,試験片を切断する。
当該材料の表面が両側で異なるスキン又は面材で覆われている場合には,水蒸気の流れ方向が製品の意
図した使用状態における流れと同じ方向となるようにして,試験片を試験する。意図した使用状態におけ
る水蒸気の流れ方向が分からない場合には,試験片を二組用意し,水蒸気の流れの各々の方向に対して試
験する。
7.3
状態調節
精密に測定するために,試験片は,JIS K 7100に規定する雰囲気中の一つで状態調節しなければならな
い。
8
操作
8.1
試験条件は,次の3種類の条件から選択する。
a) 温度38±1 ℃,相対湿度勾配0 %〜(88±5)%
b) 温度23±1 ℃,相対湿度勾配0 %〜(85±5)%
c) 温度23±1 ℃,相対湿度勾配0 %〜(50±5)%
注記 吸湿剤を用いると,相対湿度が0 %になると考えられるので,相対湿度0 %については,許容
差を設定していない。また,試験条件によって値が異なる場合があるので,試験条件は使用条
件に最も近いものを選択するとよい。
8.2
試験槽(5.6参照)内の環境は絶えず監視し,試験体をひょう量するため試験環境から取り出す可能
性がある場合には,試験室の温度は試験槽の温度と同じ温度とし,JIS K 7100に規定する温度幅の一つで
維持しなければならない。
8.3
図A.1に規定する試験体の中から,適切な試験体を選択する。
8.4
選択した試験体の形状に適合するように円形の試験片を作製する。
8.5
測定は,JIS K 7248に従って試験片の厚さを各4分円において0.1 mmまで,又は5 %の精度までの
いずれか精密な方で行う。試験片ごとに平均値を計算し,その試験片の厚さとする。
8.6
各容器の底に厚さ(20±5)mmの吸湿剤(5.8参照)を置く。封ろう剤(5.7参照)を液化するまで
加熱する。次に,選択した試験体に対応する附属書Aの手順に従う。吸湿剤と試験片との間の空間は,(15
5
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±5)mmとする。暴露面積の直径は,試験片の直径の90 %以上とする。代表的な試験体を図2に示す。
図2−代表的な試験体
8.7
水蒸気拡散抵抗指数を求める場合は,大気圧を毎日測定し,記録する。
8.8
各試験体を24時間状態調節し,試験体を100 μgの単位まで測定する。
8.9
24時間間隔で各試験体をひょう量する。試験体をひょう量するため試験環境から取り出す場合は,
ひょう量後試験体をできるだけ早く試験環境に戻す。
8.10 単位時間当たりの質量変化を5回連続して測定し,その平均値が±2 %で一定となるまでひょう量を
継続する(9.1参照)。時間に対して質量の変化を図に描くと変化率が一定状態に達したときを確認できる。
9
結果のまとめ方
9.1
質量の一定変化率の計算
2回連続したひょう量における単位時間当たりの質量の変化G12は,次の式(1)によって求める。
1
2
1
2
12
t
t
m
m
G
−
−
=
(μg/h) ································································ (1)
ここに,
1
2
m
m−
: 試験体を2回連続してはかった質量の差(μg)
1
2t
t−: 試験体を2回連続してひょう量した時間の間隔(h)
G(μg/h)は,G12の5回連続した値の平均値とする。5回連続した値のそれぞれが0.980 G〜1.020 Gの
範囲内となったとき,試験を完了する。
1
試験片の直径 d
2
暴露領域の直径(≧0.9d)
3
試験片の厚さ (≧10 mm)
4
空気隙間 [(15±5) mm]
5
吸湿剤 [厚さ(20±5) mm]
6
封ろう剤
6
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9.2
水蒸気透過速度の計算
水蒸気透過速度gは,次の式(2)によって求める。
600
3
1
×
=A
G
g
[μg/(m2・s)] ························································· (2)
ここに, A: 湿気に暴露した側の試験片の面積(m2)
9.3
水蒸気透過度の計算
水蒸気透過度WPは,次の式(3)によって求める。
36
10
×
=AP
G
WP
[ng/(m2・s・Pa)] ····················································· (3)
ここに, P: 水蒸気圧の差(Pa)。次のいずれかの値とする。
38 ℃,0 %〜88 %RHにおいて5 860 Pa
23 ℃,0 %〜85 %RHにおいて2 390 Pa
23 ℃,0 %〜50 %RHにおいて1 400 Pa
9.4
水蒸気透過係数の計算
水蒸気透過係数δは,次の式(4)によって求める。
3
10
s
WP×
=
δ
[ng/(m・s・Pa)] ·························································· (4)
ここに,
s: 試験片の厚さ(mm)
9.5
水蒸気拡散抵抗指数の計算
ひょう量する各期間において毎日の気圧の平均値を計算する。これらの気圧の値を使って定められるH
の値を表1に示す。
注記 表1に示されるkPaの刻みの中間におけるHの値は,刻み間を直線とした内挿で求める。
7
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表1−水蒸気拡散抵抗指数の計算に用いるHの値
試験条件
気圧
kPa
H
温度
℃
相対湿度
%
23
0〜50
90
95
100
105
110
26.7
25.3
24.0
22.9
21.8
23
0〜85
90
95
100
105
110
45.3
43.0
40.8
38.9
37.1
38
0〜88
90
95
100
105
110
115.8
109.7
104.3
99.3
94.8
水蒸気拡散抵抗指数μは,次の式(5)によって求める。
3
10
574
.
11
×
×
×
=
s
g
H
μ
································································· (5)
ここに,
s: 試験片の厚さ(mm)
g: 水蒸気透過速度(9.2参照)
H: 規定の試験条件及び気圧から
)
(
000
24
2
1
L
p
p−
×
×δ
(附属書B
参照)で表される値。表1を用いる。
10 報告
試験報告書に,次の事項を記載する。
a) この規格番号
b) 厚さ,面材の詳細,製造場所,並びに製造日及び/又は製造ロット識別表示
c) 測定時の温度及び相対湿度勾配
d) 試験形態
e) 試験条件
f)
水蒸気透過特性(水蒸気透過速度,水蒸気透過度,水蒸気透過係数,及び水蒸気拡散抵抗指数のうち
必要な事項)の計算値。両面が異なる場合,両面に対する水蒸気の流れ方向を明示する。
なお,必要な事項は,受渡当事者間の協議による。
g) 個々の試験結果
h) 試験結果の相加平均
i)
この規格からの逸脱,例外及び付加事項
j)
試験年月日,及び試験場所
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附属書A
(規定)
試験体の作製法
A.1 A法 [図A.1のa) 試験体A参照]
試験片を据え付ける場所として,試験容器(5.1参照)の上部リング状の内面に,溶融した液状の封ろう
剤(5.7参照)を塗り,封ろう剤の薄膜を施す。試験片を容器の中央位置に置く。試験片の中央に載るよう
に型枠(5.3参照)を置く。容器と型枠を載せた試験片との隙間に,溶融した液状の封ろう剤をゆっくりと
注入する。次に,気泡が生じないように容器の縁まで封ろう剤で充塡し,封ろう剤が試験片の端部に均等
に接触するようにする。封ろう剤が室温まで冷え,固化してから,型枠を注意深く取り除く。
図A.1のa) 試験体Aは,型枠を取り除く直前の試験体を示す。
A.2 B法 [図A.1のb) 試験体B参照]
試験片の大きい方の表面が容器にぴったりと合うように,試験片の端部を斜めに切断する。試験片を置
く容器の側面部分を,封ろう剤の軟化温度まで温める。溶融した液状の封ろう剤を試験片の縁に十分かつ
均等に覆うように塗布する。容器の内側の温めた側面にも,溶融した液状の封ろう剤を塗布してもよい。
試験片を速やかに容器の上部に置き,型枠を試験片の中央に載るように置く。直ちに試験片を規定の水平
位置まで均一に押し下げる。容器と型枠との隙間に,溶融した液状の封ろう剤を容器の縁まで充塡し,封
ろう剤が試験片の端部に均等に接触するようにする。封ろう剤が室温まで冷えたら,型枠を注意深く取り
除く。
図A.1のb) 試験体Bは,型枠を取り除く直前の試験体を示す。
A.3 C法 [図A.1のc) 試験体C参照]
封ろう剤の軟化温度まで容器の縁を温める。容器の縁に,溶融した液状の封ろう剤を均一に塗布し,直
ちに試験片をその上に載せる。封ろう剤がまだ温かいうちに,試験片と容器との接合部全周に粘着テープ
を完全に張り付け,封ろう剤が試験片と容器とに対して,気泡の発生もなく均等に付着するようにする。
このテープに対して,及び試験片と容器とを接着したテープの接合部に対して,十分な封ろう剤を塗布す
る。接合部及びテープに対する封ろうと同様に,試験片の端部に対する封ろうも確実に行う。封ろう剤が
室温に冷えるまで放置する。
A.4 D法 [図A.1のd) 試験体D参照]
この方法は,薄い試験片に適する。試験片を据え付ける場所として,試験容器の上部リング状の内面に,
液状の封ろう剤を塗布する。封ろう剤がまだ柔らかいうちに試験片を容器の中央に置く。境界リング(5.9
参照)を試験片の中央に載るように置く。境界リングの内径は,容器の内径と同一でなければならない。
容器と境界リングとの隙間に,気泡が生じないように容器の縁まで,溶融した液状の封ろう剤をゆっくり
充塡する。封ろう剤が冷えるまで放置する。境界リングは,試験のためにその位置に残しておく。
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図A.1−試験体の例
a) 試験体A
b) 試験体B
c) 試験体C
d) 試験体D
1 吸湿剤
2 試験片
3 封ろう剤
4 テープ
5 型枠
6 境界リング
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附属書B
(参考)
水蒸気拡散抵抗指数計算のための式の誘導
B.1
一般
水蒸気拡散に対する等価空気層厚さSd(m)は,厚さsの試験片と同等の水蒸気拡散抵抗をもつ静止空
気層の厚さを示す。等価空気層厚さSd(m)は,次の式(B.1)によって求める。
s
S
×
=μ
d
·············································································· (B.1)
ここに,
μ: 水蒸気拡散抵抗指数
s: 試験片の厚さ(m)
式(B.1)に式(B.3)を代入すると,次の式(B.2)が得られる。
L
2
1
L
d
S
I
p
p
A
S
−
−
×
×
=δ
·························································· (B.2)
ここに,
δL: 空気中の水蒸気透過係数[kg/(m・h・Pa)]
A: 試料の試験面積(m2)
p1,p2: 試料の上下界面における水蒸気分圧(Pa)
I: 水蒸気拡散速度(kg/h)
SL: 試験片下の試験容器内の空気層の平均厚さ(m)
均質な物質の場合には,水蒸気拡散抵抗指数μは,次の式(B.3)によって求める。
−
−
×
×
=
L
2
1
L
1
S
I
p
p
A
sδ
μ
······················································ (B.3)
等価空気層厚さSdが1.0 mを超える試料に対しては,SLは無視して差し支えない。
空気中の水蒸気透過係数δLは,測定中の気圧及び温度に依存し,図B.1から求めるか,又は次の式(B.4)
によって求める。
T
R
D
×
=
D
L
δ
81
.1
0
D
273
083
.0
×
×
×
=
T
p
p
T
R
······················································· (B.4)
ここに,
D: 水蒸気拡散係数(m2/h)
RD: 水蒸気のガス定数[462 J/(kg・K)]
T: 試験槽又は試験室の温度(K)
p: 試験槽又は試験室の平均気圧(kPa)
p0: 標準状態下の気圧(101.325 kPa)
Sdの値が1 500 mを超える場合,材料は,試験した厚さにおいて“実質的に水蒸気を通さない”と記載
してもよい。
11
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B.2
簡易計算法
水蒸気透過速度gは,次の式(B.5)によって求める。
A
m
m
t
t
g
1
2
1
2
24
−
×
−
=
[g/(m2・d)] ················································· (B.5)
ここに,
1
2m
m−
: 2回のひょう量間の質量の差(g)
1
2t
t−: 2回のひょう量間の時間の差(h)
A: 試料の試験面積(m2)
I
t
t
m
m
×
=
−
−
000
1
1
2
1
2
,及び式(B.5)を式(B.3)に代入すると次の式(B.6)が得られる。
−
−
×
×
=
L
2
1
L
)
(
000
24
1
S
g
p
p
sδ
μ
··············································· (B.6)
SLを無視すると,次の簡略化した式(B.7)が得られる。
s
g
p
p
×
−
×
×
=
)
(
000
24
2
1
L
δ
μ
························································· (B.7)
式(B.7)からの水蒸気拡散抵抗指数μの計算を容易にするため,分子[
])
(
000
24
2
1
L
p
p−
×
×δ
の数値を記号
Hによって表すと,Hの値は,各試験条件に対して5個の違った気圧の場合について,表1に示される。
9.2では水蒸気透過速度gを[μg/(m2・s)]で表している。一方,上記の式(B.5)では,[g/(m2・d)]で表し
ている。式(B.7)でこの差異を修正し,かつ,Hを用いると,次の式(B.8)が得られる。
s
g
H
×
×
×
=
600
3
24
106
μ
s
g
H
×
×
=
574
.
11
···································································· (B.8)
12
K 7225:2018
図B.1−23 ℃(296 K)及び38 ℃(311 K)の式(B.4)における空気中の水蒸気透過係数と
気圧との関係
気圧 (hPa)
空
気
中
の
水
蒸
気
透
過
係
数
[
μ
g
/(
m
・
h
・
P
a)
]
38 ℃
(311 K)
23 ℃
(296 K)
13
K 7225:2018
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS K 7225:2018 硬質発泡プラスチック−水蒸気透過性の求め方
ISO 1663:2007,Rigid cellular plastics−Determination of water vapour transmission
properties
(I)JISの規定
(II)国際
規格番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異の
理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲
1
3 ng/(m2・s)〜200
ng/(m2・s)
変更
単位の誤記なのでngをμgに変
更
ISO規格の単位誤記修正をした。ISO
に提案する。
3 用語及び
定義
3
追加
JIS K 6900を引用した。
国内事情による。
5 装置及び
材料
5.6 b)
−
5.7.2
Note 2
Note 2及びISO 483を参
考とする。
削除
一定湿度溶液として,六価クロムを
使用する内容がISO規格には記載さ
れていたが,取扱い上の問題から削
除した。ISOに提案する。
ISO 483に記載の技術は陳腐化して
おり,日本国内では利用されていな
いため,削除した。ISOに提案する。
7試験片
7.1.2 厚さ
7.1.2
試験片の厚さは,10 mm
以上の製造厚さのもの
を測定する。
追加
製品の厚さが10 mm未満の測定
については,注記で“受渡当事
者間での合意がある場合は,測
定してもよい。”と追記した。
国内事情による。
7.1.3 暴露面積
7.1.3
試験片の直径は,試験片
の厚さの4倍以上とす
る。
削除
試験片の直径は,試験片の厚さ
の4倍以上を削除
試験片の厚さが厚い場合,試験体の
質量がはかりのひょう量を超過し,
ひょう量が不可能となる。ISOに提
案する。
暴露面積は,50 cm2以上
とする。
変更
暴露面積3 200 mm2以上に変更
5.1の規定に整合化させるため面積及
び単位を変更した。ISOに提案する。
4
K
7
2
2
5
:
2
0
1
8
14
K 7225:2018
(I)JISの規定
(II)国際
規格番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異の
理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
8 操作
8.2
8.2
ISO規格には規定して
いない。
追加
JIS K 7100に規定する温度幅の
一つで維持することを追加規定
した。
5年ごとの見直しに合わせてISOに
提案する。
9 結果のま
とめ方
9.2 水蒸気透過速度
の計算
9.2
試験片暴露面積の単位
(cm2)
変更
試験片暴露面積の単位をm2に,
それに伴う式(2)の係数変更。
技術的差異はない。
−
−
10
試験の精確さ
削除
試験の精確さの箇条を,削除し
た。
この試験の精確性は研究データがな
いため不明であり,JISに規定するに
は不適当と考え,削除した。
10 報告
11
JISに同じ
変更
箇条番号の繰り上がり。
ISO規格の試験の精確さの箇条10削
除に伴う繰上り。
f)
(ここでは,固有の全て
の特性値を報告する。)
変更
(ここでは,固有の全ての特性
値を報告する。)を削除し,(…
のうち必要な事項)を追加した。
“水蒸気拡散抵抗指数”は日本では
使用されていないことから,JISでは
全ての報告ではなく,選択で報告で
きる表現とした。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 1663:2007,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
4
K
7
2
2
5
:
2
0
1
8