2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 7224-1996
高吸水性樹脂の吸水速度試験方法
Testing method for water absorption rate of super absorbent polymers
1. 適用範囲 この規格は,吸水量が10g/g以上の高吸水性樹脂のボルテックス法による吸水速度の試験
方法について規定する。
備考1. この試験方法に使用する高吸水性樹脂の粒径は,60μm以上のものとする。測定に使用する
試料の粒径は,測定結果のばらつきに影響するので,測定値のばらつきを少なくするには,
できるかぎり試料の粒度分布を狭くする方が望ましい。
なお,試料の粒径が60μm未満の場合は,受渡当事者間の協定による。
2. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS K 0069 化学製品のふるい分け試験方法
JIS K 6900 プラスチック−用語
JIS K 7100 プラスチックの状態調節及び試験場所の標準状態
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS Z 8401 数値の丸め方
2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 6900によるほか,次のとおりとする。
(1) 高吸水性樹脂 水を高度に吸水して,膨潤する樹脂。高吸水性樹脂は,架橋構造の親水性物質で,水
と接触することによって吸水し,一度吸水すると,圧力を掛けても離水しにくい特徴をもっている。
(2) 吸水量 高吸水性樹脂が単位質量当たりに吸水する質量。
(3) 吸水速度 高吸水性樹脂が吸水を開始してから,この規格で規定する終点に至るまでの単位時間当た
りに試料単位質量が吸水した試験液の質量。
(4) 脱イオン水 溶存するイオンの大部分を除去した水。導電率は10μS/cm以下とする。
3. 試料及び試験液の状態調節並びに試験温度・湿度
3.1
試料及び試験液の状態調節 試料及び試験液は,原則として,試験前にJIS K 7100の標準温度状態
2級(温度23±2℃)において,24時間以上状態調節する。
備考 高吸水性樹脂の状態調節は,密封容器に入れたまま温度だけの調節を行う。
また,必要に応じて試料の乾燥減量を測定する。
3.2
試験温度及び湿度 試験は,原則としてJIS K 7100の標準温湿度状態2級[温度23±2℃及び相対
湿度 (50±5) %]の室内で行う。
4. 試験器具及び試験液
2
K 7224-1996
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4.1
試験器具
(1) マグネチックスターラー マグネチックスターラーの回転数は,毎分600±60回とする。
なお,スターラーチップは,中央部の直径がφ8mm,両端の直径がφ7mm,長さ30mmでふっ素樹脂
でコーティングされたものとする。
備考 マグネチックスターラーの回転数は,回転軸の回転数をタコメータで測定して確認する。
また,磁力とトルクは,正常に機能するかを定期的に確認する。
(2) ビーカー ビーカーは,試験液を入れてマグネチックスターラーに載せて,スターラーチップを回転
させながら試料を入れるもので,JIS R 3503に規定する底面が平らな100mlのビーカーとする。
(3) はかり はかりは,試料の質量を1mgまで測定できるものとする。
(4) タイマー タイマーは,試料の吸水速度を測定するもので,秒の単位まで測定できるものとする。
4.2
試験液 試験液は,試料に吸水させるためのもので,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウムと脱イ
オン水を用いて調整した0.900±0.001M/v%の食塩水及び脱イオン水とする。
5. 試料
5.1
試料の粒径及び質量 試料の粒径は,60μm以上のものとする。試料の質量は,試験液が脱イオン水
の場合は約0.50g,0.9M/v%の食塩水の場合は約2.00gとする。
5.2
試料の採取 試料の採取は,次による。
(1) 試料の採取に当たっては,できるだけランダムにサンプリングすることによって粒度分布が母集団を
代表する試料となるように調整する。
(2) 試料が粒径60μm未満の粒子を含む場合,60μm未満の粒子は,JIS K 0069の3.1(乾式によるふるい
分け方法)によってふるい分けする。
備考 ふるい分けする場合,高吸水性樹脂が吸湿しやすいのでJIS K 7100の標準温湿度状態2級[温
度23±2℃及び相対湿度 (50±5) %]の室内で行うか,ふるいの全体をシールするなどの注意を
必要とする。
なお,特定の粒度分布域での試料の吸水速度を測定する場合のふるい分けは,受渡当事者間
の協定による。
5.3
試料の試験回数 試料の試験回数は,5回とする。
6. 操作 操作は,次のとおり行う。
(1) 試験液が脱イオン水の場合は,試料約0.50gを0.001gまで素早く量り採る。0.9M/v%の食塩水の場合
は,試料約2.00gを0.001gまで素早く量り採る。
(2) あらかじめpH及び導電率を測定した試験液50g及びスターラーチップをビーカーに入れ,ビーカー
をマグネチックスターラーに載せる。
(3) マグネチックスターラーの回転数を毎分600±60回に合わせて,試験液が安定した渦を生成すること
を確認する。
(4) 試料をできるだけビーカーの内壁面付近に均一になるように入れた後,タイマーを始動する。
備考 吸水量が小さいか又は吸水速度が遅い高吸水性樹脂の場合は,このボルテックス法では測定が
難しいので,そのときは試料量を増量して測定するとよい。吸水速度を表示及び記録する場合
は,試料量を必ず記録する。
(5) 試験の終点は,スターラーチップが試験液に覆われるまでとし,その時間を秒の単位まで測定する。
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備考 この試験の終点が観察しにくい場合,試験液を少量の水溶性の染料などで染色することによっ
て終点の観察が容易になる。
7. 計算
7.1
吸水速度 吸水速度は,次の式(1)によって算出する。
t
a
M
V=
···················································································· (1)
ここに,
V: 吸水速度 (g/g/s)
M: 試験液の質量 (g)
a: 試料の質量 (g)
t: 終点までの時間 (s)
7.2
試験結果の丸め方 各試験結果は個々に算出し,その平均値をJIS Z 8401によって有効数字3けた
に丸める。
7.3
標準偏差及び変動係数 標準偏差及び変動係数を必要とするときは,次の式(2)及び式(3)によって算
出し,JIS Z 8401によって有効数字2けたに丸める。
1
)
(
2
−
−
=
n
x
x
s
∑
·········································································· (2)
100
×
x
s
CV=
············································································· (3)
ここに,
s: 標準偏差
CV: 変動係数 (%)
x: 個々の測定値
x: 測定値の平均値
n: 測定値の数
8. 報告 報告には,必要に応じて,次の事項を記録する。
(1) 試料の種類,組成,形態,作製方法及び製造業者名
(2) 試料のサンプリング方法,粒度分布及び平均粒径
(3) 試料の乾燥減量
(4) 試料の状態調節の温度及び時間
(5) 試験温度及び湿度
(6) 試験器具の明細
(7) 試験液の種類及び質量
(8) 試験前の試験液のpH及び導電率 (μS/cm)
(9) 採取した試料の量
(10) 試験結果(試料個々の吸水速度,平均値,標準偏差及び変動係数)
(11) 試験年月日
(12) その他特記すべき事項
4
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信頼性評価方法委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
宮 入 裕 夫
東京医科歯科大学医用器材研究所
(委員)
細 川 幹 夫
通商産業省基礎産業局
井 田 久 雄
通商産業省基礎産業局
富 田 育 雄
通商産業省生活産業局
岡 林 哲 夫
工業技術院標準部
金 原 勲
東京大学工学部
一 條 久 夫
工業技術院物質工学工業技術研究所
河 野 嗣 男
東京都立科学技術大学工学部
中 村 孔三郎
NTT境界領域研究所
代 田 忠
代田技術事務所
小 牧 和 夫
工業技術院大阪工業技術研究所
大 庭 敏 之
日産自動車株式会社
天 城 滋 夫
株式会社日立製作所
三 好 一 雄
三菱電機株式会社
目 崎 正 和
古河電気工業株式会社
町 田 邦 郎
株式会社ブリヂストン
橋 本 輝 国
株式会社日本触媒
本 間 清 一
住友化学工業株式会社
齋 藤 英 隆
株式会社オリエンテック
須 田 勉
昭和電工株式会社
北 沢 清 一
大日本インキ化学工業株式会社
藤 本 隆
三菱化学株式会社
三 原 観 治
株式会社東洋精機製作所
松 岡 慶 典
三菱レイヨン株式会社
(事務局)
鹿 毛 紀久雄
財団法人高分子素材センター
新 鍋 秀 文
財団法人高分子素材センター
吸水性試験方法分科会 構成表
氏名
所属
(分科会長)
一 條 久 夫
工業技術院物質工学工業技術研究所
(委員)
石 井 博 之
埼玉県工業技術研究所
山 内 愛 造
HOYA株式会社
梅 村 英 治
社団法人日本衛生材料工業連合会
増 田 善 彦
株式会社日本触媒
本 橋 忠 一
住友化学工業株式会社
藤 本 隆
三菱化学株式会社
川 島 和 夫
花王株式会社
小 林 勝
工業技術院標準部
宮 入 裕 夫
東京医科歯科大学医用器材研究所
田 中 健 治
三洋化成工業株式会社
松 山 武 司
日本合成化学工業株式会社
谷 奥 勝 三
荒川化学工業株式会社
岡 田 実
東亜合成株式会社
(事務局)
鹿 毛 紀久雄
財団法人高分子素材センター
新 鍋 秀 文
財団法人高分子素材センター