2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 7223-1996
高吸水性樹脂の吸水量試験方法
Testing method for water absorption capacity of super absorbent polymers
1. 適用範囲 この規格は,吸水量が10g/g以上の高吸水性樹脂のティーバッグ法による吸水量の試験方
法について規定する。
備考1. この試験方法に使用する高吸水性樹脂の粒径は,60μm以上のものとする。測定に使用する
試料の粒径は,測定結果のばらつきに影響するので,測定値のばらつきを少なくするには,
できる限り試料の粒度分布を狭くする方がよい。
なお,試料の粒径が60μm未満の場合は,受渡当事者間の協定による。
2. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS K 0069 化学製品のふるい分け試験方法
JIS K 6900 プラスチック−用語
JIS K 7100 プラスチックの状態調節及び試験場所の標準状態
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS Z 8401 数値の丸め方
2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 6900によるほか,次のとおりとする。
(1) 高吸水性樹脂 水を高度に吸水して,膨潤する樹脂。高吸水性樹脂は,架橋構造の親水性物質で,水
と接触することによって吸水し,一度吸水すると,圧力をかけても離水しにくい特徴をもっている。
(2) 吸水量 高吸水性樹脂が単位質量当たりに吸水する質量。
(3) 脱イオン水 溶存するイオンの大部分を除去した水。導電率は10μS/cm以下とする。
3. 試料及び試験液の状態調節並びに試験温度・湿度
3.1
試料及び試験液の状態調節 試料及び試験液は,原則として,試験前にJIS K 7100の標準温度状態
2級(温度23±2℃)において,24時間以上状態調節する。
備考 高吸水性樹脂の状態調節は,密封容器に入れたまま温度だけの調節を行う。
また,必要に応じて試料の乾燥減量を測定する。
3.2
試験温度及び湿度 試験は,原則としてJIS K 7100の標準温湿度状態2級[温度23±2℃及び相対
湿度 (50±5) %]の室内で行う。
4. 試験器具,試験液及びティーバッグ
4.1
試験器具
(1) ビーカー ビーカーは,試験液を入れて,それに試料を入れたティーバッグを浸せきするもので,JIS
2
K 7223-1996
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
R 3503に規定するビーカー1lとする。
(2) はかり はかりは,試料の質量を測定するもので,1mgまで測定できるものとする。
4.2
試験液 試験液は,試料に吸水させるためのもので,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウムと脱イ
オン水を用いて調整した0.9質量%の食塩水及び脱イオン水とする。
4.3
ティーバッグ ティーバッグは,試料を入れて試験液に浸せきするもので,原則として,ナイロン
製の織物で目開き57μm(255メッシュ)のものを,10×40cmの長方形に切断して,図1のように長手方
向に折り曲げて,両端をヒートシールして袋状とする。
図1 ティーバッグの形状及び寸法
5. 試料
5.1
試料の粒径及び質量 試料の粒径は,60μm以上のものとする。試料の質量は,試験液が脱イオン水
の場合は約0.20g, 0.9質量%の食塩水の場合は約1.00gとする。
5.2
試料の採取 試料の採取は,次による。
(1) 試料の採取に当たっては,できるだけランダムにサンプリングすることによって粒度分布が母集団を
代表する試料となるように調整する。
(2) 試料が粒径60μm未満の粒子を含む場合,60μm未満の粒子は,JIS K 0069の3.1(乾式ふるい分け)
によってふるい分けする。
備考 ふるい分けする場合,高吸水性樹脂が吸湿しやすいのでJIS K 7100の標準温湿度状態2級[温
度23±2℃及び相対湿度 (50±5) %]の室内で行うか,ふるいの全体をシールするなどの注意が
必要である。
3
K 7223-1996
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
なお,特定の粒度分布域での試料の吸水量を測定する場合のふるい分けは,受渡当事者間の
協定による。
5.3
試料の試験回数 試料の試験回数は,5回とする。
6. 操作 操作は,次のとおり行う。
(1) 試験液が脱イオン水の場合,試料約0.20gを0.001gまで素早く量り採りaとする。0.9質量%の食塩水
の場合は,試料約1.00gを0.001gまで素早く量り採りaとする。
(2) あらかじめpH及び導電率を測定した試験液1lを,ビーカーに入れる。
(3) 試料をティーバッグの底部に均一になるように入れ,ままこ(継粉)を生じないように静かにティー
バッグの下部約150mmを試験液に規定時間浸せき(1)する。浸せき時間は脱イオン水の場合は3時間
及び24時間,0.9質量%の食塩水の場合は1時間,3時間及び24時間とする。
注(1) 試験液1lに1個のティーバッグを浸せきする。
(4) 規定時間浸せきした後,試験室内で,図2に示すとおりティーバッグの底が傾斜するように10分間つ
るして水切りした後,直ちに,0.001gまで量り採りbとする。
図2 ティーバッグのつるし方の一例
(5) 試料を入れないティーバッグ(2)を試験液に規定時間浸せき(3)した後,(4)の操作を行い,ティーバッグ
の質量を量り採りcとする。
注(2) ブランク試験用のティーバッグは,2個とする。
(3) 試験液1lに2個のティーバッグを浸せきしてもよい。
(6) (1)〜(4)の操作を,5回繰り返す。測定後にティーバッグから吸水した試料の漏れの有無を観察する。
漏れが観察されたときは,その分を再試験する。
7. 計算
7.1
吸水量 吸水量は,次の式(1)によって算出する。
4
K 7223-1996
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
a
a
c
b
W
−
−
=
············································································ (1)
ここに, W: 吸水量 (g/g)
a: 試料の質量 (g)
b: 試料を入れたティーバッグを所定時間浸せきし,水切り後の
質量 (g)
c: 試料を入れないティーバッグを所定時間浸せきし,水切り後
の質量の平均値 (g)
7.2
試験結果の丸め方 各試験結果は個々に算出し,5回の平均値をJIS Z 8401によって有効数字2け
たに丸める。
7.3
標準偏差及び変動係数 標準偏差及び変動係数を必要とするときは,次の式(2)及び式(3)によって算
出し,JIS Z 8401によって有効数字2けたに丸める。
1
)
(
2
−
−
=
n
x
x
s∑
········································································ (2)
100
×
x
s
CV=
············································································· (3)
ここに,
s: 標準偏差
CV: 変動係数 (%)
x: 個々の測定値
x: 測定値の平均値
n: 測定値の数
8. 報告 報告には,必要に応じて,次の事項を記録する。
(1) 試料の種類,組成,形態,作製方法及び製造業者名
(2) 試料のサンプリング方法,粒度分布及び平均粒径
(3) 試料の乾燥減量
(4) 試料の状態調節の温度及び時間
(5) 試験温度及び湿度
(6) 試験液の種類
(7) 採取した試料の量
(8) 試験前の試験液のpH及び導電率 (μS/cm)
(9) 試験結果(試料個々の吸水量,平均値,標準偏差及び変動係数)
(10) 試験年月日
(11) その他特記すべき事項
5
K 7223-1996
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
信頼性評価方法委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
宮 入 裕 夫
東京医科歯科大学医用器材研究所
(委員)
細 川 幹 夫
通商産業省基礎産業局
井 田 久 雄
通商産業省基礎産業局
富 田 育 雄
通商産業省生活産業局
岡 林 哲 夫
工業技術院
金 原 勲
東京大学工学部
一 條 久 夫
工業技術院物質工学工業技術研究所
河 野 嗣 男
東京都立科学技術大学工学部
中 村 孔三郎
NTT境界領域研究所
代 田 忠
代田技術事務所
小 牧 和 夫
工業技術院大阪工業技術研究所
大 庭 敏 之
日産自動車株式会社
天 城 滋 夫
株式会社日立製作所
三 好 一 雄
三菱電機株式会社
目 崎 正 和
古河電気工業株式会社
町 田 邦 郎
株式会社ブリヂストン
橋 本 輝 国
株式会社日本触媒
本 間 清 一
住友化学工業株式会社
齋 藤 英 隆
株式会社オリエンテック
須 田 勉
昭和電工株式会社
北 沢 清 一
大日本インキ化学工業株式会社
藤 本 隆
三菱化学株式会社
三 原 観 治
株式会社東洋精機製作所
松 岡 慶 典
三菱レイヨン株式会社
(事務局)
鹿 毛 紀久雄
財団法人高分子素材センター
新 鍋 秀 文
財団法人高分子素材センター
吸水性試験方法試験方法分科会 構成表
氏名
所属
(分科会長)
一 條 久 夫
工業技術院物質工学工業技術研究所
(委員)
石 井 博 之
埼玉県工業技術研究所
山 内 愛 造
HOYA株式会社
梅 村 英 治
社団法人日本衛生材料工業連合会
増 田 善 彦
株式会社日本触媒
本 橋 忠 一
住友化学工業株式会社
藤 本 隆
三菱化学株式会社
川 島 和 夫
花王株式会社
小 林 勝
工業技術院
宮 入 裕 夫
東京医科歯科大学医用器材研究所
田 中 健 治
三洋化成工業株式会社
谷 奥 勝 三
荒川化学工業株式会社
松 山 武 司
日本合成化学工業株式会社
岡 田 実
東亜合成株式会社
(事務局)
鹿 毛 紀久雄
財団法人高分子素材センター
新 鍋 秀 文
財団法人高分子素材センター