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K 7212 : 1999 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによってJIS K 7212 : 1995は改正され,この規格に置き換えられる。

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 7212 : 1999 

プラスチック−熱可塑性プラスチック 

の熱安定性試験方法−オーブン法 

Plastics−Determination of thermal stability 

of thermoplastics−Oven method 

1. 適用範囲 この規格は,強制通風循環式オーブンを用いてシート状の熱可塑性プラスチックを空気中

で加熱して劣化を促進し,その熱安定性を試験する方法について規定する。 

ただし,ポリプロピレン及びプロピレン共重合体の熱酸化安定性試験方法については,この規格を適用

せず,JIS K 7368による。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 7757 強制循環式空気加熱老化試験機 

JIS K 6900 プラスチック−用語 

JIS K 7368 プラスチック−ポリプロピレン及びプロピレン共重合体−空気中での熱酸化安定性の測

定方法−オーブン法 

備考 ISO 4577 : 1983 Plastics−Polypropylene and propylene-copolymers−Determination of thermal 

oxidative stability in air−Oven methodがこの規格と一致している。 

JIS T 8202 一般用風速計 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 6900によるほか,次による。 

a) オーブン 温度調節装置及び材料を取り付けて回転する装置を備えた,強制通風循環式の電熱加熱槽。 

b) 全加熱空間容積 加熱空気が満たされる,オーブン及び通風循環装置を含む空間容積。 

c) 空気置換率 全加熱空間容積に対する1時間当たりの空気置換回数。 

d) 温度分布 オーブン内9か所における最高温度と最低温度の差(JIS B 7757の附属書付図1参照)。 

e) 平均風速 オーブン内9か所又は18か所における風速の平均値(JIS B 7757の附属書付図2参照)。 

4. 原理 強制通風循環式オーブンを用いて,空気中で試験片を加熱し劣化を促進する。この試験条件下

で,試験片は,材料の熱的耐久性に依存する速度で劣化する。 

結果の判定は,所定時間経過後における試験片の特性変化の程度又は特性が所定の値に到達する時間に

よって行う。 

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K 7212 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5. 装置 

5.1 

オーブン 強制通風循環式の加熱槽で,試験槽,電気加熱装置,温度調節装置及び試験片取付枠回

転装置を備え,風速及び空気置換率の異なるA形及びB形の2形式がある(5.1.1参照)。 

5.1.1 

風速及び空気置換率 オーブンの風速及び空気置換率は,JIS B 7757の附属書の4.(風速の測定)

及び2.(空気置換率の測定)によって測定したとき,表1のとおりとする。 

表1 オーブンの風速及び空気置換率 

オーブンの

形式 

平均風速 

m/s 

空気置換率 

A形 

1  ±0.2 

1分間に1回以上 

B形 

0.5±0.1 

1時間に3〜10回 

5.1.2 

温度調節 オーブン内の温度は,(周囲温度+20℃)から300℃までの範囲をカバーし,設定温度

の±1℃まで調節できるものとする。 

温度調節には,温度の過度の上昇を防止する機能が含まれる必要があり,また,オーブン内の温度を記

録できる装置を備えることが望ましい。 

5.1.3 

温度分布 オーブン内の温度分布は,JIS B 7757の附属書の3.(温度分布の測定)によって測定し

たとき,温度設定範囲に応じて表2のとおりとする。 

表2 温度分布 

単位 ℃ 

温度設定範囲 T 

温度分布 

     T≦100 

2以内 

100<T≦200 

4以内 

200<T≦300 

6以内 

5.2 

温度計 温度計は,300℃までの温度範囲をもち,精度1℃の水銀温度計又はメーター式を使用する。 

感温部の位置は,空気導入側の壁の中央から50mm離れた位置とする。 

5.3 

試験片取付枠 試験片取付枠は,毎分5〜10回転の1軸回転枠とする。試験片取付枠の形状の例を,

図1に示す。 

図1 1軸式試験片取付枠の一例 

5.4 

風速計 JIS T 8202に規定する性能を満たす熱式風速計を用いる。 

K 7212 : 1999  

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5.5 

金属製クリップ 試験片がクリップに直接接触しないよう,アルミニウムはく,フルオロカーボン

のフィルム又はその他の材料で被覆したもの。 

6. オーブンの検査 オーブンは,必要に応じて試験前に,JIS B 7757の附属書に規定する方法によって

検査し,5.1.1及び5.1.3の規定を満たしていることを確認する。 

7. 試験片 

7.1 

試験片の作製 試験片は,関連材料規格又は当事者間で協定した方法及び条件によって成形したシ

ートから作製する。 

7.2 

試験片の形状,寸法 試験片の形状,寸法は,関連する材料規格又は当事者間の協定による。 

7.3 

試験片の数 試験片の数は,各試料ごとに1試験水準に付き少なくとも5個とする。 

8. 状態調節 特に規定がなければ,試験前に23℃±2℃及び相対湿度 (50±5)%において,48時間以上試

験片の状態調節を行う。 

9. 試験条件 

9.1 

試験温度 試験温度は,例えば,劣化が適切な試験期間に発生するような温度とする。 

9.2 

風速 オーブン内の平均風速は,表1のとおりとする。 

9.3 

空気置換率 オーブンの空気置換率は,表1によって適切な値を選ぶ。 

9.4 

異種材料の取扱い 異種材料又は配合の異なる材料を同じオーブンで加熱することは,揮発性物質,

分解生成物などが老化に重大な影響を及ぼすことがあるので避けるべきである。 

10. 手順 

10.1 オーブンは,あらかじめ試験温度より十分高い温度に加熱し,前の試験によって発生し付着したお

それのある揮発性生成物などが,次の試験に影響しなくなるまで保持した後,内部を清掃する。 

10.2 オーブンの温度を試験温度に昇温する。 

10.3 適切な金属製クリップを用いて,5個の試験片を試験片取付枠に取り付ける。金属製クリップは,そ

の被覆とともに適切な溶剤であらかじめ洗浄しておく。 

オーブンの温度が試験温度に安定したことを確認してから,試験片の一端を金属製クリップに挟み,こ

れを試験片取付枠に懸垂する。試験片の取扱いは,ピンセット又は清浄な手袋を用いて行う。この場合,

各試験片は互いに3mm以上離し,オーブンの内壁から70mm以上離すようにする。 

その後,試験片取付枠の回転を開始する。 

10.4 関連材料規格又は当事者間で協定した方法によって,オーブンから試験片を取り出して試験を行う。 

目視観察による試験の場合は,適切な時間間隔で試験片の外観変化を観察し,劣化が認められた試験片

はオーブンから取り出して,その数と暴露時間を記録した後,すべての試験片が劣化するまで試験を続け

る。 

11. 結果の判定 この試験における劣化の判定基準は,関連材料規格又は当事者間の協定による。 

劣化の判定方法は,一般に次のいずれかによって行われることが多い。 

a) 目視観察によって,試験片に局部的な粉化,割れ,ひび,変形などの発生 

K 7212 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) 質量の変化 

c) 引張試験,曲げ試験又は他の力学的試験による性能の低下 

d) 変色,退色,失透など光学的性能の低下 

e) 絶縁耐力,絶縁抵抗,誘電率など電気的性能の低下 

12. 試験結果の表し方 試験結果の表し方は,関連材料規格で定めた方法又は当事者間の協定による。 

13. 試験報告書 試験報告書には,必要に応じて次の事項を記入する。 

a) 試験した材料の種類 

b) 試験片の作製方法(成形又は加工方法及びその条件) 

c) オーブンの形式及び内容積 

d) 試験片の形状,寸法及び数 

e) 試験条件(温度,風速,空気置換率,試験片取付枠の回転速度) 

f) 

判定方法 

g) 試験結果 

h) 試験室の温度及び湿度 

i) 

試験年月日及び試験場所 

j) 

その他の必要と思われる事項 

関連規格 JIS K 6257 加硫ゴムの老化試験方法 

IEC 60811-1-2 Common test methods for insulating and sheathing materials of electric cables−Part 

1 : Methods for general application−Section Two : Thermal ageing methods 

ISO 188 Rubber, vulcanized or thermoplastic−Accelerated ageing and heat resistance tests 

K 7212 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

本委員会  分科会 

(委員長) 

代 田   忠 

代田技術事務所 

◎ 

○ 

峰 松 陽 一 

峰松技術事務所 

○ 

高 根 由 充 

財団法人日本ウエザリングテストセンター 

○ 

金 子   剛 

財団法人日本電気用品試験所 

○ 

◎ 

山 本   真 

東京都立産業技術試験所 

○ 

増 田   優 

通商産業省基礎産業局 

○ 

大 嶋 清 治 

工業技術院標準部 

○ 

橋 本 繁 晴 

財団法人日本規格協会 

○ 

渡 辺   寧 

物質工学工業技術研究所 

○ 

○ 

相 沢   明 

三菱樹脂株式会社 

○ 

○ 

須 賀 茂 雄 

スガ試験機株式会社 

○ 

○ 

光 井 正 道 

株式会社島津製作所 

○ 

小 野 瑞 穂 

株式会社東洋精機製作所 

○ 

○ 

(相 川 次 男)  

小 倉 和 雄 

岩崎電気株式会社 

○ 

尾 崎 晃 男 

オカモト株式会社 

○ 

(鈴 木   環)  

角 田 林 一 

旭化成工業株式会社 

○ 

両 角 三 春 

旭硝子株式会社 

○ 

伊 藤   信 

旭化成工業株式会社 

○ 

岩 坂 忠 彦 

丸善ポリマー株式会社 

○ 

(越 野 雄 治 

丸善石油化学株式会社) 

後 藤   博 

日産自動車株式会社 

○ 

鈴 木 寛 二 

住化エイビーエス・ラテックス株式会社 

○ 

○ 

三 宅   彰 

住友化学工業株式会社 

○ 

香 山   茂 

財団法人高分子素材センター 

○ 

○ 

濱 島 俊 行 

濱島技術事務所 

○ 

○ 

(関係者) 

樋 口 秀 臣 

財団法人高分子素材センター 

○ 

○ 

(事務局) 

三 宅 孝 治 

日本プラスチック工業連盟 

○ 

○ 

◎印は委員長 

(文責 金子 剛)