日本工業規格
JIS
K
7162-
1994
(ISO 527-2 :
1993
)
プラスチック−引張特性の試験方法
第 2 部:型成形,押出成形及び注型
プラスチックの試験条件
Plastics
−Determination of tensile properties−
Part 2 : Test conditions for moulding and extrusion plastics
日本工業規格としてのまえがき
この規格は,ISO 527-2 : 1993 (Plastics−Determination of tensile properties−Part 2: Test conditions for moulding
and extrusion plastics)
を翻訳し,
技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格で
ある。
なお,この規格で下線(点線)を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。
参考 本規格 (ISO 527-2) の 1.2 に,適する材料として“moulding, extrusion and cast materials”と“cast”
(注型)が併記されており,原国際規格の名称は編集上の誤りとみられる。誤解を防ぐために
本規格の名称には“注型”を追記した。
原国際規格のまえがき(抜粋)
ISO
推奨規格 R 527 : 1966 を廃棄し,技術上の改訂を行った ISO 527-1 及び同規格の他部(パート)に
置き換える。
国際規格 ISO 6239 : 1986, Plastics−Determination of tensile properties by use of small specimens を廃棄し,
本規格の
附属書 A に置き換える。
ISO 527 (JIS K 7161
∼7165) は一般名称を“プラスチック−引張特性の試験方法”とし,次の各部(パ
ート)によって構成される。
プラスチック−引張特性の試験方法 (Plastics−Determination of tensile properties)
− 第 1 部:通則 (Part 1 : General principles)
参考 日本工業規格 JIS K 7161(−第 1 部:通則)がこの国際規格に相当する。
− 第 2 部:型成形(
1
)
,
押出成形及び注型(
2
)
プラスチックの試験条件 (Part 2 : Test conditions for moulding and
extrusion plastics)
参考 日本工業規格 JIS K 7162(−第 2 部:型成形,押出成形及び注型プラスチックの試験がこの国
際規格に相当する。
− 第 3 部:板及びフィルムの試験条件 (Part 3 : Test conditions for sheet and film)
参考 日本工業規格 JIS K 7163 がこの国際規格に相当するものとなる予定である。
2
K 7162-1994 (ISO 527-2 : 1993)
− 第 4 部:等方性及び面内等方性繊維強化プラスチックの試験条件 (Part 4 : Test conditions for isotropic
and orthotropic fibre-reinforced plastic composites)
参考 日本工業規格 JIS K 7164 がこの国際規格に相当するものとなる予定である。
− 第 5 部 : 一 方 向 繊 維 強 化 プ ラ ス チ ッ ク の 試 験 条 件 (Part 5 : Test conditions for unidirectional
fibre-reinforced plastic composites)
参考 日本工業規格 JIS K 7165 がこの国際規格に相当するものとなる予定である。
注(
1
)
“moulding”の訳語:射出成形,中空成形など金型を用いる成形方法。
(
2
) JIS K 7162 (ISO 527-2)
の 1.2 に,適する材料として“moulding, extrusion and cast materials”と
“cast”(注型)が併記されており,原国際規格の名称は編集上の誤りとみられる。誤解を防ぐ
ために“注型”を追記した。
JIS K 7162
(ISO 527 の第 2 部)の
附属書 A は,本国際規格の追加規定である。
1.
適用範囲
1.1
本規格第 2 部 (ISO 527-2) は,第 1 部 [JIS K 7161 (ISO 527-1)] に規定する一般原則に基づいて,型
成形,押出成形及び注型(
2
)
プラスチックの試験条件について規定する。
参考 厚さ 1mm 未満の板及びフィルムのための試験条件は,ISO 527-3 で規定される予定である。
1.2
本試験方法は,特に次の材料に適する。
− 型成形,押出成形及び注型の硬質・半硬質熱可塑性プラスチック材料。非充てんプラスチックのほか,
充てん材入り及び強化材[例えば,短繊維,小棒,板又はか(顆)粒のもの。ただし,織物繊維を除
く。
]入りのコンパウンドを含む(ISO 527-4 及び 527-5 参照)
。
− 型成形及び注型用の硬質・半硬質熱硬化性材料。充てん物入り及び強化材(織物用繊維を除く。
)入り
のコンパウンドを含む(ISO 527-4 及び 527-5 参照)
。
− サーモトロピック液晶ポリマー
本試験方法は,織物用繊維で強化された材料(ISO 527-4 及び 527-5 参照)
,硬質発泡材料及び発泡
材料を用いたサンドイッチ構造物には適さない。
1.3
本試験方法は,規定の形状に型成形した試験片,又は型成形品若しくは圧縮成形板からの切削若し
くは打抜による機械加工した試験片を用いる。多目的試験片(ISO 3167 : 1993, Plastics−Multipurpose test
specimens
参照)が望ましい。
2.
引用規格
次の規格は,本規格に引用されることによって,本規格の規定の一部を構成する。本規格の発行時点で
は,ここに示す版の規格が有効である。すべての規格は改訂されることがあるので,本規格の使用者は,
引用規格の最新版を適用できるかどうか検討するのが望ましい。
ISO 37 : 1977
Rubber, vulcanized−Determination of tensile stress-strain properties.
ISO 293 : 1986
Plastics−Compression moulding test specimens of thermoplastic materials.
ISO 294 :
−
1)
Plastics−Injection moulding test specimens of thermoplastic materials.
ISO 295 : 1991
Plastics−Compression moulding of test specimens of thermosetting materials.
ISO 527-1 : 1993
Plastics−Determination of tensile properties−Part 1 : General principles.
[日本工業規格 JIS K 7161(プラスチック−引張特性の試験方法−第 1 部:通則)が,この国際規格に
相当する。
]
3
K 7162-1994 (ISO 527-2 : 1993)
ISO 1926 : 1979
Cellular plastics−Determination of tensile properties of rigid materials.
ISO 2818
−
2)
Plastics−Preparation of test specimens by machining.
ISO 3167 : 1993
Plastics−Multipurpose test specimens.
ISO 6239 : 1986
Plastics−Determination of tensile properties by use of small specimens.
1)
発行予定(ISO 294 : 1975 の改訂)
2)
発行予定(ISO 2818 : 1980 の改訂)
3.
原理
JIS K 7161 (ISO 527-1 : 1993)
の 3.参照。
4.
定義
JIS K 7161 (ISO 527-1 : 1993)
の定義を本規格に適用する。
5.
装置
JIS K 7161 (ISO 527-1 : 1993)
の 5.参照。
6.
試験片
6.1
形状寸法
可能な限り,
図 1 に示すダンベル形の試験片 1A 形及び 1B 形を用いる。試験片を直接型成形する場合は
1A
形の,また,機械加工によって作製する場合は 1B 形の多目的試験片が望ましい。
備考1. 厚さ4mm の1A 形及び1B 形試験片は,ISO 3167による多目的試験片のそれぞれ A 形,B 形と
同一である。
小形試験片を使用する場合は,
附属書 A を参照する。
6.2
試験片の作製
試験片は試験される材料の規格に従って作製する。
その規格がなく,
又は他に指定がない場合は,
ISO 293,
ISO 294
及び ISO 295 に従って,圧縮成形若しくは射出成形で直接成形するか又は圧縮若しくは射出成形
した板を ISO 2818 に従い機械加工をして作製する。
試験片のすべての面には目視できるひび,かき傷及びその他の欠陥があってはならない。成形試験片に
ついて,バリがある場合は表面に傷を付けないように取り除く。
製品から試験片を採取する場合は,平らな面又は湾曲の最も少ない部分から取る。強化プラスチックに
ついては,特に必要がなければ,厚さを薄くする加工をしてはならない。表面加工した試験片と,加工し
ない試験片とでは,それらの結果を比較できない。
6.3
標線
JIS K 7161 (ISO 527-1 : 1993)
の 6.3 参照。
6.4
試験片の検査
JIS K 7161 (ISO 527-1 : 1993)
の 6.4 参照。
7.
試験片の数
JIS K 7161 (ISO 527-1 : 1993)
の 7.参照。
4
K 7162-1994 (ISO 527-2 : 1993)
8.
状態調節
JIS K 7161 (ISO 527-1 : 1993)
の 8.参照。
9.
手順
JIS K 7161 (ISO 527-1 : 1993)
の 9.参照。
弾性率の測定には試験速度は 1mm/min でなければならない。
試験片 1A 形及び 1B 形は
図 1 を参照する。
また,小形試験片は,
附属書 A を参照する。
10.
計算及び結果の表示
JIS K 7161 (ISO 527-1 : 1993)
の 10.参照。
11.
精度
本試験法の精度は,試験室間のデータがないので不明である(
3
)
。精度は,そのデータが得られた時点で,
次の改訂版に追加される。
注(
3
)
日本国内の7か所の試験室による引張弾性率のラウンドロビンテストを行った。詳細は本規格の
解説に記す。
12.
報告
試験報告は,次の事項を含むこと。
a)
規格番号,試験片の形及び試験速度は,次のように示す。
[JIS K 7161 (ISO 527-1 : 1993) の
表 1 参照]
b)
∼q) JIS K 7161 (ISO 527-1 : 1993) の 12.b)∼q)参照。
5
K 7162-1994 (ISO 527-2 : 1993)
図 1 試験片 1A 形及び 1B 形
試験片の形 1A
1B
l
3
:全長
≧150
1
)
l
1
:幅の狭い平行部分の長さ 80±2
60.0
±0.5
r
:半径 20∼25
≧60
2)
l
2
:幅の広い平行部分間の間隔
104
∼113
3)
106
∼120
3)
b
2
:端部の幅
20.0
±0.2
b
1
:狭い部分の幅
10.0
±0.2
h
)
:標準厚さ
4
4.0
±0.2
L
0
:標準間距離
50.0
±0.5
L
:つかみ具間の初めの間隔 115±1
5
0
2
+
+
l
注 射出成形などで直接型成形する試験片は 1A 形多目的試験片,また,板などから機械加工によっ
て作る試験片は 1B 形多目的試験片を標準 (Preferred) とする。
1)
材料によっては,つかみ具の中での滑りや破壊を防ぐために,つかみ部の長さを大きくする必要があ
る。
(例えば,l
3
=200mm)
2)
r= [ (l
2
−l
1
)
2
+ (b
2
−b
1
)
2
] /4 (b
2
−b
1
)
3)
l
1
, r, b
1
及び b
2
によって決まる。ただし,記載した許容範囲内であること。
4)
支障のない限り優先的に使用する厚さ。
6
K 7162-1994 (ISO 527-2 : 1993)
附属書 A(規定) 小形試験片
何かの理由で,標準形の 1 形試験片を使用できない場合は,1BA, 1BB 形(
図 A.1 参照),5A 又は 5B 形
の試験片(
図 A.2 参照)を使用してもよい。ただし,その場合には,JIS K 7161 (ISO 527-1 : 1993) 5.1.2 の
表 1 に示す試験速度の中から,対応する標準寸法の試験片に用いられる呼びひずみ速度に最も近くなるよ
うに試験速度を選ばなければならない。なお,呼びひずみ速度とは,試験速度[JIS K 7161 (ISO 527-1 : 1993)
4.2
参照]をつかみ具間の初めの距離で除した値である。弾性率の測定が必要な場合,試験速度は 1 mm/min
とする。小形試験片による弾性率の測定は,標線間距離が小さく,また,測定時間が短くなるため技術的
に困難である。小形試験で得た測定結果は,1 形(標準形)によるものと比較できない。
図 A.1 試験片 1BA 形及び 1BB 形
単位mm
試験片の形 1BA
1BB
l
3
:全長
≧75
≧30
l
1
:幅の狭い平行部分の長さ 30±0.5 12±0.5
r
:半径
≧30
≧12
l
2
:幅の広い平行部分間の間隔 58±2 23±2
b
2
:端部の幅 10±0.5 4±0.2
b
1
:狭い部分の幅
5
±0.5 2±0.2
h
:厚さ
≧2
≧2
L
0
:標線間距離 25±0.5 10±0.2
L
:つかみ具間の初めの間隔
2
0
2
+
+
l
1
0
2
+
+
l
注 1BA 形及び 1BB 形試験片は,厚さを除き,1B 形試験片のそれぞれ 1 : 2 及び 1 : 5 の大きさのもので
ある。
7
K 7162-1994 (ISO 527-2 : 1993)
図 A.2 試験片 5A 形及び 5B 形
試験片の形 5A
5B
l
2
:全長
≧75
≧35
b
2
:端部の幅 12.5±1 6±0.5
l
1
:幅の狭い平行部分の長さ
25
±1 12±0.5
b
1
:幅の狭い平行部分の幅
4
±0.1 2±0.1
r
1
:小半径
8
±0.5 3±0.1
r
2
:大半径 12.5±1 3±0.1
L
:つかみ具間の初めの間隔
50
±2
20
±2
L
0
:標線間距離
20
±0.5 10±0.2
h
:厚さ
≧2
≧1
注 5A 形及び 5B 形試験片は,JIS K 7163 (ISO 527-3) の 5 形試験片にほぼ比例した寸法のもので,ISO
37
の 2 形及び 3 形試験片にそれぞれ相当するものである。
8
K 7162-1994 (ISO 527-2 : 1993)
JIS
原案作成委員会 構成表
氏名
所属
本委員会
分科会
(委員長)
近 藤 春 樹
大阪大学基礎工学部
○
○
宮 入 裕 夫
東京医科歯科大学医用器材研究所
○
○
小 林 政治郎
小林技術事務所
○
中 山 和 郎
物資工学工業技術研究所
○
田 中 正 躬
通商産業省基礎産業局
○
地 崎 修
工業技術院標準部
○
○
高 野 忠 夫
財団法人高分子素材センター試験・検査事業部
○
○
馬 場 文 明
三菱電機株式会社材料デバイス研究所
○
我 妻 誠 NTT 電話サービス技術協力センター
○
斎 藤 満
株式会社東洋精機製作所
○
○
小 泉 親 秀
株式会社島津製作所試験計測事業部
○
○
斎 藤 英 隆
株式会社オリエンテック技術部
○
○
今 井 敏
鐘淵化学工業株式会社中央研究所
○
川 村 好 宏
三菱樹脂株式会社平塚研究所
○
浜 島 俊 行
日本石油化学株式会社研究部
○
○
小 林 敏 男
三菱油化株式会社四日市総合研究所
○
○
(田 辺 久 光)
千 野 修 一
ポリプラスチック株式会社技術部
○
飯 森 博
三井東圧化学株式会社化成品建材事業部
○
○
岸 本 祐一郎
三菱レイヨン株式会社樹脂応用第一技術センター
○
中 井 了 一
旭化成工業株式会社テナック技術開発部
○
(事務局)
樋 口 秀 臣
財団法人高分子素材センター試験・検査事業部
三 宅 孝 治
財団法人高分子素材センター試験・検査事業部
田 村 正 勝
日本プラスチック工業連盟
○:委員