K 7130 : 1999
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS K 7130 : 1992は改正され,この規格に置き換えられる。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 7130 : 1999
プラスチック−フィルム及び
シート−厚さ測定方法
Plastics−Film and sheeting−Determination of thickness
序文 この規格は,次の国際規格を元に,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。
− 1993年に第2版として発行されたISO 4593, Plastics−Film and sheeting−Determination of thickness by
mechanical scanning
− 1992年に第2版として発行されたISO 4591, Plastics−Film and sheeting−Determination of average
thickness of a sample, and average thickness and yield of a roll, by gravimetric techniques (gravimetric
thickness)
1. 適用範囲 この規格は,次の試験方法について規定する。
(1) プラスチックフィルム又はシートの厚さの機械的走査による測定方法(A法)
(2) プラスチックフィルム又はシートから採った試料の質量法による厚さの測定方法(B1法)
(3) プラスチックフィルム又はシートのロール製品の質量法による平均厚さの測定方法,及び必要に応じ
てイールド(単位質量当たりの面積)の測定方法(B2法)
A法は,エンボスフィルム及びシートには適用しない。
B1法とB2法はすべてのプラスチックフィルム及びシートに適用することができる。また,さらにエン
ボス加工したシート厚さの測定のように,厚さ測定器具を用いて十分正確な測定を行うことができない場
合に特に有用である。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによってこの規格の規定の一部を構成する。
これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構成す
るものであってその後の改訂版・追補には適用しない。発行年を付記していない引用規格は,その最新版
(追補を含む。)を適用する。
JIS K 7112 プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法
備考 ISO 1183 : 1987, Plastics−Methods for determining the density and relative density of non-cellular
plasticsがこの規格と一致している。
ISO 4592 : 1992, Plastics−Film and sheeting−Determination of length and width
3. 機械的走査による厚さの測定方法A法
3.1
装置
3.1.1
厚さの測定器 次に掲げる正確さをもつもの。
2
K 7130 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
− 100μm以下は,正確さ1μm(参考1.参照)
− 100μmを超え250μmまでは,正確さ2μm
− 250μmを超えるものは,正確さ3μm
参考1. 上記に適合しない場合及びより高い正確さが必要な場合は,この方法を適用しないで,より
適した測定器又は他の方法を選択することができる。
測定器は,下側の測定面は平面で,上側の測定面は平面又は球面であること。面全体は研磨されたもの
であること。
3.1.1.1
測定器の測定面が平面/平面の場合は,それぞれの測定面の直径は2.5mm〜10mmの間にあり,
平行度は5μm以内とする。下側の面はこの平行度が得られるように調整できること。測定にかかる力は,
0.5N〜1.0Nとする。
3.1.1.2
測定器の測定面が平面/球面の場合は,それぞれの測定面の直径は5mm以上であること。及び
上側の面の半径は,15mm〜50mmとする。球面にかかる力は0.1N〜0.5Nとする。
参考2. 測定の検出は,機械的(マイクロメータ),光学的(反射ミラー),電気的(電磁誘導)など
で行われる。
3.2
試験片は,試料の全幅にわたって約100mmの幅に切断すること。必要に応じ,試料の長手方向で約
1m間隔で試験片を採取する。提出用や包装目的でフィルムを折りたたむ場合を除いて,試験片にしわが
あってはならない。試験片にはそのほかの欠陥があってはならない。
3.3
手順
3.3.1
試験片は,23℃±2℃で1時間以上状態調節すること。なお湿度の影響を受けやすいフィルムの場
合は,状態調節の時間と雰囲気は,その材料に規定された試験条件若しくは,受渡当事者間で規定された
条件にする。
3.3.2
試験片及び測定器(3.1.1)は,ほこりなどで汚れていないこと。
3.3.3
測定器のゼロ点は,測定を開始する前に確認し,一連の測定後に再確認する。
3.3.4
厚さ測定のときは,測定の上面を静かに接触させ,材料が変形しないように扱う。
3.3.5
試験片の厚さを,試験片の長さに沿って等間隔で,次の箇所数を測る。
a) 試料の幅が300mm以内−10か所。
b) 試料の幅が300mm〜1 500mmの間−20か所。
c) 試料の幅が1 500mm以上−最低30か所。
測定値は,トリミングしていないロールでは端面から50mm以内は採用しない。
3.4
精度 この測定方法の精度は,試験室間のデータがないので規定しない。精度のデータが得られし
だい,次の改正時に追加する。
3.5
報告 結果の報告には,次の事項を含める。
a) この規格の引用
例 JIS K 7130−ISO 4593
b) 試料の完全な特定に必要なすべての事項
c) 測定器の測定面の形状及び測定時の力
d) 試験片の長さ
e) 測定した試験片の数
f)
それぞれの測定値の算術平均は,1μm又は0.001mmまでの値で,機械的走査によって測定された試験
片の平均厚さとして報告する。
3
K 7130 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
g) 全測定値,必要に応じて標準偏差
4. 試料の質量法による厚さの試験方法B1法
4.1
原理 試料の質量法による厚さは,その質量,面積,及び密度の測定値から計算によって求める。
4.2
装置
4.2.1
ナイフエッジ打ち抜き刃 面積100cm2±5cm2で正方形又は円形のもの。又は,
4.2.2
正方形の型 面積100cm2±5cm2のもの。
4.2.3
微量化学はかり 0.000 1gの正確さのもの。
4.3
試験片 長手方向に約1m離れた2か所で,幅方向のほぼ等間隔の位置で面積10cm2±0.5cm2の試験
片を切り出す。
フィルム又はシートのそれぞれの幅方向から採る試験片の最低枚数は,その試料の幅に応じて次のとお
りとする。
1 000mm以下
3
1 000mmを超え1 500mm以下
5
1 500mmを超えるもの
10
フィルムが非常に薄く,面積100cm2±0.5cm2の試験片の質量が1g以下の場合は,長手方向(押出方向
/カレンダー方向)に近接する位置の2枚の試験片を用いて,1回の測定を行ってもよい。
4.4
手順
4.4.1
温度23℃±1℃の下で,試験片の質量を,少なくとも有効数字の3けたまでグラム単位で求め,JIS
K 7112に従ってその密度を計算する。質量の測定の再現性に影響を与える可能性のある静電気が発生しな
いよう,注意を払う必要がある。
4.4.2
湿度に敏感なフィルム又はシートについては,状態調節を行うための相対湿度と時間を,受渡当事
者間で決める。
4.5
結果の表し方 1枚の試験片を用いた場合,質量法による厚さのマイクロメートル及びミリメートル
単位の値は,それぞれ式(1)又は式(2)から計算する。
m)
(
100
μ
ρ
s
s
m
t=
········································································ (1)
(mm)
10ρ
s
s
m
t=
············································································ (2)
ここに, ms: 試験片の質量 (g)
ρ: 試験片の密度 (g/cm3)
2枚の試験片を用いた場合は,式(3)又は式(4)から計算する。
m)
(
50
μ
ρ
s
s
m
t=
·········································································· (3)
(mm)
20ρ
s
s
m
t=
··········································································· (4)
4.6
精度 この試験方法の精度は,試験室間のデータが不十分なので規定しない。精度はデータが得ら
れしだい,次の改正時に追加する。
4.7
報告 結果の報告には,次の事項を含める。
4
K 7130 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
a) この規格の引用
例 JIS K 7130-ISO 4591
b) 試料の完全な特定に必要なすべての事項
c) 各試験片の質量法による厚さ。マイクロメートル又はミリメートル単位で表す。
d) 試料の質量法による平均厚さとして結果の算術平均値を,1μm又は0.001mmまでの値で表す。
5. ロール製品の質量法による平均厚さ及びイールドの測定方法B2法
5.1
原理 ロール製品の平均厚さ及び必要に応じてイールドを,その長さ,幅の平均値,正味質量及び
シート又はフィルムの密度の測定値から計算する。
5.2
装置
5.2.1
はかり 少なくとも読みの0.5%の正確さがあるもの。
5.3
手順
5.3.1
ロール状のフィルム又はシートの長さと,幅の平均値 ISO 4592に従ってロール製品の長さと幅
の平均値を,メートル単位で算出する。
5.3.2
ロール製品の正味質量 ロール製品を,はかりの皿又は他の支持具のほぼ中央に置き,そのロール
製品と皿がなにものにも触れていないことを確認する。
その全質量を0.5%の正確さで算出する。次にフィルム又はシートを巻いてある紙管,その他のものの質
量を全質量から差し引いた正味質量を,同じ正確さで求める。
ロール製品の正味質量を,0.5%の正確さに対応する有効数字でキログラム単位で算出する。
5.3.3
密度 フィルム又はシートの密度をJIS K 7112に従って,温度23℃±1℃の下で測定する。
5.4
結果の表し方
5.4.1
ロール製品の質量法による平均厚さ ロール製品の質量法による平均厚さのマイクロメートル及
びミリメートル単位の値を,それぞれ式(5)又は式(6)から計算する。
m)
(
000
1
μ
ρ
×
×b
L
m
t
r
r=
······································································ (5)
(mm)
ρ
×
×b
L
m
t
r
r=
······································································ (6)
ここに, mr: ロール製品の正味質量 (kg)
L: ロールの長さ (m)
b: ロールの幅の平均値 (m)
ρ: フィルム又はシートの密度 (g/cm3)
結果は,それぞれ1μm又は0.001mmの正確さで表す。
5.4.2
イールド 必要に応じて,イールドAmを式(7)からキログラム当たり平方メートルで計算する。
r
m
m
b
L
A
×
=
················································································ (7)
ここに, L,b,mrは,5.4.1に規定したもの。
5.5
精度 この試験方法の精度は,試験室間のデータが不十分なので規定しない。精度はデータが得ら
れしだい,次の改正時に追加する。
5.6
報告 結果の報告には,次の事項を含める。
5
K 7130 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
a) この規格の引用
例 JIS K 7130-ISO 4591
b) 試料の完全な確認に必要なすべての事項
c) 試験したロール製品の質量法による平均厚さ
d) ロール製品のイールド(必要がある場合)
原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
山 田 純 男
福井工業高等専門学校物質工学科
(委員)
増 田 優
通商産業省基礎産業局
大 嶋 清 治
工業技術院標準部
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
仲 川 勤
明治大学理工学部工業化学科
小 野 昌 孝
実践女子大学生活科学部生活環境学科
小松原 恒 雄
硬質塩化ビニル板協会
高 野 忠 夫
財団法人高分子素材センター
越 山 了 一
社団法人日本包装技術協会
葛 良 忠 彦
東洋製缶株式会社
平 和 雄
東洋製缶株式会社
土 屋 博 隆
大日本印刷株式会社
池 田 弘 治
日本合成ゴム株式会社
名 務 孝
凸版印刷株式会社
石 井 恒
住友ベークライト株式会社
岩 本 威 生
三菱化学株式会社
米 田 昌 雄
三菱樹脂株式会社
尾 崎 樹 男
三井石油化学株式会社
足 立 卓 雄
藤森工業株式会社
下 川 正 明
森永製菓株式会社
世 代 文 彦
花王株式会社
猪 狩 恭一郎
東京製紙株式会社
真 弓 高 明
株式会社島津製作所
(事務局)
吉 木 健
日本プラスチック工業連盟