K 7129-2:2019
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 原理······························································································································· 2
5 試験片···························································································································· 2
5.1 試験片の形状 ················································································································ 2
5.2 試験片の数 ··················································································································· 2
5.3 試験片の厚さ測定 ·········································································································· 2
6 状態調節························································································································· 2
7 装置······························································································································· 2
7.1 一般 ···························································································································· 2
7.2 透過セル ······················································································································ 2
7.3 流量計 ························································································································· 3
7.4 赤外線センサ ················································································································ 3
7.5 乾燥筒 ························································································································· 3
8 試験条件························································································································· 3
9 手順······························································································································· 4
9.1 一般 ···························································································································· 4
9.2 ゼロレベル電圧 ············································································································· 4
9.3 相対湿度調節 ················································································································ 4
9.4 試験片の装着 ················································································································ 4
9.5 測定 ···························································································································· 4
10 計算 ····························································································································· 5
11 試験結果 ······················································································································· 5
12 精度 ····························································································································· 5
13 試験報告書 ···················································································································· 5
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································· 6
K 7129-2:2019
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本プラスチック工業連盟(JPIF)及び一般
財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,
日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
これによって,JIS K 7129:2008は廃止され,その一部を分割して制定したこの規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS K 7129の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS K 7129-1 第1部:感湿センサ法
JIS K 7129-2 第2部:赤外線センサ法
JIS K 7129-3 第3部:電解質センサ法
JIS K 7129-4 第4部:ガスクロマトグラフ法
JIS K 7129-5 第5部:圧力センサ法
JIS K 7129-6 第6部:大気圧イオン化質量分析法
JIS K 7129-7 第7部:カルシウム腐食法
日本工業規格 JIS
K 7129-2:2019
プラスチック−フィルム及びシート−
水蒸気透過度の求め方−第2部:赤外線センサ法
Plastics-Film and sheeting-Determination of water vapour transmission
rate-Part 2: Infrared detection sensor method
序文
この規格は,2003年に第1版として発行されたISO 15106-2を基とし,国際規格体系と整合させるため,
技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,エンボスなどのない表面が平滑な,プラスチックフィルム,プラスチックシート及びプラ
スチックを含む多層材料の赤外線センサ法による水蒸気透過度の求め方について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 15106-2:2003,Plastics−Film and sheeting−Determination of water vapour transmission rate−
Part 2: Infrared detection sensor method(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 6900 プラスチック−用語
JIS K 7130 プラスチック−フィルム及びシート−厚さ測定方法
注記 対応国際規格:ISO 4593,Plastics−Film and sheeting−Determination of thickness by mechanical
scanning
JIS K 8121 塩化カリウム(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8371 酢酸ナトリウム三水和物(試薬)
JIS K 8953 硫酸亜鉛七水和物(試薬)
JIS K 9006 りん酸二水素アンモニウム(試薬)
ISO 2528,Sheet materials−Determination of water vapour transmission rate (WVTR)−Gravimetric (dish)
method
2
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3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 6900によるほか,次による。
3.1
水蒸気透過度(water vapour transmission rate)
規定の温度及び湿度の条件で,単位時間中に試験片を通過する単位面積当たりの水蒸気の量。
注記 水蒸気透過度は,24時間に透過した面積1平方メートル(m2)当たりの水蒸気のグラム(g)
で表した質量[g/(m2・24 h)]で表す。
3.2
標準試験片(reference test specimen)
水蒸気透過度が既知の試験片,又はISO 2528によって水蒸気透過度を測定し,水蒸気透過度の明らかに
なっている試験片。
4
原理
低湿度チャンバと高湿度チャンバとを試験片によって隔離する。試験片を通して低湿度チャンバに透過
した水蒸気量を赤外線センサで検出して,水蒸気透過度を算出する方法である。
5
試験片
5.1
試験片の形状
試験片は,試験材料を代表するもので,目視で,しわ,折れ目,又は孔がなく,厚さが均一なものとす
る。試験片の寸法は,使用するセルの水蒸気透過部分よりも大きい寸法とし,セルに密着可能なものとす
る。
5.2
試験片の数
試験片の数は,最低3枚とする。ただし,他の規定又は受渡当事者間の協定による場合には,その限り
ではない。
注記 製品によっては,4枚以上の試験片の試験は,より精度の高い結果を得られる。
5.3
試験片の厚さ測定
厚さの測定は,JIS K 7130のA法による。ただし,均等な間隔をおいて3か所測定する。
6
状態調節
状態調節は,JIS K 7130の3.3.1による。
7
装置
7.1
一般
試験片を挟んで低湿度チャンバ及び高湿度チャンバの二つのチャンバをもつ透過セル,低湿度チャンバ
の水蒸気量を測定する赤外線センサ,装置内の空気又は窒素ガスを循環するためのポンプ,流量計,乾燥
筒,切替バルブなどで構成した水蒸気透過度測定装置の例を,図1に示す。
7.2
透過セル
透過セルは,温度コントローラによって±0.5 ℃に保たれる機構とする。透過面積は5 cm2〜100 cm2と
する。
3
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7.3
流量計
流量計は,5 mL/min〜100 mL/minの流量を測定できるものとする。
7.4
赤外線センサ
赤外線センサは,1 μg/L,又は1 mm3/dm3(体積分率1 ppm)の水蒸気量変化を検知できるものとする。
赤外線センサは,製造業者の指示によって保守及び校正を行う。
7.5
乾燥筒
乾燥筒は,空気又は窒素ガスを赤外線センサの検出限界以下に乾燥できるものとする。
記号
1
試験片
7
記録計
2
透過セル
8
調節バルブ
3
調湿ガス
9
流量計
4
切替バルブ
10
乾燥筒
5
ポンプ
11
低湿度チャンバ
6
赤外線センサ
12
高湿度チャンバ
図1−赤外線センサ法による水蒸気透過度測定装置の例
8
試験条件
試験条件は,表1の中から選択する。
なお,表1以外の試験条件は,受渡当事者間の協定による。
4
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表1−試験条件
条件
透過セルの温度
℃
相対湿度差
%
高湿度チャンバの
相対湿度
%
低湿度チャンバの
相対湿度
%
1
2
3
4
5
25±0.5
38±0.5
40±0.5
23±0.5
25±0.5
90±2
90±2
90±2
85±2
75±2
90±2
90±2
90±2
85±2
75±2
0
0
0
0
0
9
手順
9.1
一般
9.2〜9.5の手順に従って,標準試験片について測定し,続いて各試験片について測定する。標準試験片
の水蒸気透過度は,年に1〜2回の頻度で,定期的に確認する。測定機関は,各自の標準試験片を保有し,
それを用いる。
9.2
ゼロレベル電圧
乾燥空気又は乾燥窒素ガスを用いて,装置のゼロレベル電圧を測定する。
9.3
相対湿度調節
規定の相対湿度の調湿ガスを供給できる装置の場合は,その調湿ガスによる。
塩飽和水溶液を使って規定の相対湿度に調節する装置の場合は,調湿綿を入れた高湿度チャンバ内に塩
飽和水溶液を注入する。
塩飽和水溶液を使用する装置の場合,相対湿度 (90±2) %は,JIS K 8953に規定する硫酸亜鉛七水和物
又はJIS K 9006に規定するりん酸二水素アンモニウムの飽和水溶液によって得る。相対湿度 (85±2) %は,
JIS K 8121に規定する塩化カリウムの飽和水溶液によって得る。相対湿度 (75±2) %は,JIS K 8150に規
定する塩化ナトリウム又はJIS K 8371に規定する酢酸ナトリウム三水和物の飽和水溶液によって得る。
9.4
試験片の装着
透過セルの両側の試験片装着面に真空グリスを薄く均一に塗り,標準試験片又は試験片を低湿度チャン
バと高湿度チャンバとの間に装着する。このとき,試験片の表面に,しわ又はたるみを生じないよう注意
する。
9.5
測定
装置内に透過セルを固定し,低湿度チャンバに規定流速で乾燥空気又は乾燥窒素ガスを流す。赤外線セ
ンサからの出力電圧を観測し,定常状態となって±5 %の範囲に収まることを確認する。
出力電圧の振れ幅が±5 %に収まらないで終了したときは,収まらなかったことを報告書に記載する。
注記 流速は,機器製造業者の仕様によって決めるとよい。
5
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10 計算
各試験片の水蒸気透過度は,次の式によって算出する。
(
)
(
)
S
R
0
R
0
S
A
A
E
E
E
E
S
J
×
−
−
×
=
ここに,
J: 試験片の水蒸気透過度[g/(m2・24 h)]
E0: 乾燥空気又は乾燥窒素ガスによる測定装置のゼロレベル電
圧(V)
ER: 標準試験片の定常状態の電圧(V)
S: 標準試験片の水蒸気透過度[g/(m2・24 h)]
ES: 試験片の定常状態の電圧(V)
AR: 標準試験片の透過面積(m2)
AS: 試験片の透過面積(m2)
11
試験結果
試験結果は,個々に算出して,その結果の平均値を1未満は小数点2桁,1以上は有効数字2桁に丸め
る。
12 精度
この試験方法の精度は,試験室間の比較データがないため,不明である。精度に関する規定は,そのデ
ータが得られた時点で,改正版に追記する予定である。
13 試験報告書
試験報告書には,次の事項を記載する。
a) この規格の番号
b) 試験条件
c) 測定に用いた測定装置の名称
d) 標準試験片の詳細事項
e) 試験片を特定するのに必要な事項
f)
試験片の作製方法
g) (多層フィルム・シートのように,表裏の組成及び構造が異なる場合)試験片の水蒸気供給面
h) 試験片の透過面積
i)
試験片の平均厚さ
j)
試験片の数
k) 試験片の状態調節方法の詳細
l)
赤外線センサ法で,赤外線センサからの出力電圧の振れ幅が±5 %以内の一定値(定常状態)になら
ない試料片を採用した場合は,その詳細事項(9.5参照)
m) 試験結果
n) 試験年月日(試験期間が1日で終了しない場合には,試験開始日及び終了日を記載)
6
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附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS K 7129-2:2019 プラスチック−フィルム及びシート−水蒸気透過度の求め
方−第2部:赤外線センサ法
ISO 15106-2:2003,Plastics−Film and sheeting−Determination of water vapour
transmission rate−Part 2: Infrared detection sensor method
(I)JISの規定
(II)国際
規格番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲
1
追加
“エンボスなどのない表面が平滑
な,”という表現を追加した。
補足的な追加であり,技術的な差
異はない。
3 用語及び
定義
3
追加
JIS K 6900にもよるとした。
規格利用者の利便性を考慮した。
技術的な差異はない。
6 状態調節
6
状態調節は,温度 23±
2 ℃,相対湿度 (50±
5) %で,その材料の仕様
書に示す時間行う。
変更
水蒸気透過度を求める前に試験片
の厚さを測定するものとし,JIS K
7130による厚さ測定に規定する状
態調節をもってこの試験の状態調
節を兼ねるように変更。
ISO規格では,“状態調節は,温度
23±2 ℃,相対湿度 (50±5) %に
おいて行う”と規定しているが,
測定条件と状態調節温湿度とが大
きく異なっており,厚さ測定時に
行う状態調節で,この試験の状態
調節を行うものとした。今後,ISO
に提案予定。
7 装置
9 手順
10 計算
7
9
10
搬送ガスに空気を使用
追加
窒素ガスを追加。
従来の空気だけでなく窒素ガスも
利用されてきている実態を反映さ
せた。今後,ISOに提案予定。
7 装置
図1 赤外線センサ
法による水蒸気透
過度測定装置の例
図1
調湿綿を使用
変更
調湿綿を用いた調湿だけでなく,調
湿ガスを透過セルに導入できる透
過セルの構造に変更。
利用者の利便性を図った変更であ
り,技術的な差異はない。
8 試験条件 表1 試験条件
表1
追加
“高湿度チャンバの相対湿度”及び
“低湿度チャンバの相対湿度”の項
目を追加。
利用者の利便性を図った追加であ
り,技術的な差異はない。
3
K
7
1
2
9
-2
:
2
0
1
9
7
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(I)JISの規定
(II)国際
規格番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
9 手順
9.3 相対湿度調節
9.3
追加
規定の相対湿度の調湿ガスを供給
できる装置を用いる場合の手順を
追加。
技術の進歩に伴い,調湿ガスを供
給できる装置が増加し,従来の塩
飽和水溶液による調湿から装置を
用いた方法に代わってきている実
態を反映させた。今後,ISOに提
案予定。
塩飽和水溶液の調湿方
法を注記で記載。
変更
塩飽和水溶液の調湿方法を注記か
ら規定に変更し,かつ,試薬の品質
をJISを引用して規定。
利用者の利便性を図った追加であ
り,技術的な差異はない。
9.4 試験片の装着
9.4
追加
試験片の装着面に真空グリスを薄
く均一に塗る手順を追加。
実際に行われている手順を加え
た。今後,ISOに提案予定。
10 計算
10
変更
式中のWVTRをJに変更。
規格利用者の利便性を考慮した。
技術的な差異はない。
13 試験報
告書
c) 測定に用いた測
定装置の名称
13
追加
“c) 測定に用いた測定装置の名
称”を追加。
実際に行われている報告事項を加
えた。今後,ISOに提案予定。
g) 試験片の水蒸気
供給面
13
追加
表裏の組成及び構造が異なる場合
に限るという条件を追加した。
透過測定において試験片の水蒸気
供給面が,測定結果に影響を及ぼ
す場合は,試料片が膜厚方向に非
対称な構造をもつ積層体だけであ
るため,単層で構成された試験片
が該当しないことを明示するよう
にした。今後,ISOに提案予定。
n) 試験年月日
13
追加
試験実施期間が1日で終了しない
場合は,試験開始日及び終了日の両
方を記載することとした。
水蒸気透過度が低い場合,試験実
施期間が1日で終了しないことが
想定されるため。今後,ISOに提
案予定。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 15106-2:2003,MOD
3
K
7
1
2
9
-2
:
2
0
1
9
8
K 7129-2:2019
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
3
K
7
1
2
9
-2
:
2
0
1
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