2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 7101-1981
着色プラスチック材料のガラスを透過
した日光に対する色堅ろう度試験方法
Testing Method for Colour Fastness of Plastics
under Window Glass upon Exposure to Daylight
1. 適用範囲 この規格は,主として屋内で使用される着色プラスチック材料の窓ガラスを透過した日光
に対する色堅ろう度試験方法について規定する。ただし,自発光着色材を含むプラスチック材料には適用
しない。
要旨
本試験方法は,試験片をアンダーグラス法によって暴露し,暴露による試験片の変退色をブル
ースケール,変退色用グレースケール又は測色計などを使用して測定し,その色堅ろう度を評
価する。
引用規格:
JIS L 0801 染色堅ろう度試験方法通則
JIS L 0804 変退色用グレースケール
JIS L 0841 日光に対する染色堅ろう度試験方法
JIS R 3202 フロート,みがき板ガラス
JIS Z 8722 物体色の測定方法
JIS Z 8730 色差表示方法
JIS Z 8902 キセノン標準白色光源
2. 試験の種類 試験の種類は,次の3種類とする。
(1) A法 ブルースケールを用いて色堅ろう度を評価する方法。
(2) B法 変退色用グレースケール又は測色計を用いて色堅ろう度を評価する方法。
(2.1) B-1法 所定期間暴露後の変退色を,変退色用グレースケール又は測色計で求めた色差によって色
堅ろう度を評価する方法。
(2.2) B-2法 所定の変退色に達するまでの暴露期間によって色堅ろう度を評価する方法。
3. 暴露場所の条件 暴露場所は,その地域の気象条件を代表し,人為的及び局地的な特異条件がなく,
日の出30分後から日没30分前までの間に,日光の直射を妨げるような地上物体がない場所とする。
なお,アンダーグラス屋外暴露装置(以下,暴露装置という。)の設置場所は,照り返し,ほこりの舞い
立ちなどを防ぐ処置を行うことが望ましい。
参考 気象条件は,統計上,年対年の気象変化が少なく,年間日照時間が2000時間以上,全天日射量
が4200MJ/m2 {100kcal/cm2} 以上であることが望ましい。
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4. 装置及び用具
4.1
暴露装置 暴露装置は,ガラスふた,試験片取り付けわく,取り付けジグ(1)などからなり,試験片
周辺の通風を良くした構造であり,試験片の暴露面が規定の角度に保持できるものとする。一例を図に示
す。ガラスふた(2)で試験片を取り付けわくにふたをしたとき,ガラス面と試験片との間隔は50mm以上あ
るようにする。
また,暴露装置は,大気汚染ガス,煙,ほこりなどがなるべくかからない場所を選んで設置し,試験片
が南面してその傾斜が水平面に対して45度の角度(3)になるようにする。架台の前脚の高さは750mm以上
とする。
注(1) 試験片に異常な変退色を及ぼすような材料を使用してはならない。
(2) ガラスは,JIS R 3202(フロート,みがき板ガラス)に規定する厚さ3mmのものを用い,
半年ないし1年経過したときは取り替えなければならない。
(3) 当事者間の協定によって他の角度を用いてもよい。
図 暴露装置(一例)
4.2
ブルースケール JIS L 0841(日光に対する染色堅ろう度試験方法)の4.(1)に規定のもの。
4.3
変退色用グレースケール JIS L 0804(変退色用グレースケール)に規定のもの。
4.4
測色計 分光測光器又は光電色彩計を用いる。
(1) 分光測光器は,JIS Z 8722(物体色の測定方法)の4.2による。
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(2) 光電色彩計は,JIS Z 8722の5.2による。
(3) けい光着色材を含む試料については,キセノンけい光測色計(4)を用いる。
注(4) キセノンけい光測色計は,光源としてJIS Z 8902(キセノン標準白色光源)に規定するキ
セノン標準白色光源を使用し,計器の指示からXf, Yf, Zfが直接測定できるもので,ルーター
条件を十分に満足していなければならない。
なお,照明及び受光の幾何学的条件は,試料面に対して45度方向から照明し,垂直方向
の反射を受光するものとする。
5. 試験片
5.1
試験片の形状・寸法 試験片の大きさは,長さ60mm以上,幅60mm以上が望ましく,厚さは,板
状又はフィルム状の場合には原寸厚さとし,成形材料の場合には当事者間の協定による。ただし,ブルー
スケールを用いる場合は,試験片の幅は10mm以上でよい。
5.2
試験片の数 試験片の数は,次のいずれかによる。
(1) 同一試験片について,6.の暴露方法に規定する各水準の変退色を測定する場合は,1個以上とする。
(2) 各水準ごとに別個の試験片を使用して測定する場合は,各水準ごとに3個以上とする。
5.3
試験片の取り付け方法 試験片を暴露装置に取り付ける際には,暴露装置内に熱がこもらないよう
に,十分な試験片間隔をとらなければならない。
また,日の出30分後から日没30分前までの間に,日光の直射が妨げられないような位置に取り付けな
ければならない。
6. 暴露方法
6.1
A法 JIS L 0841の6. (b) 第2露光法による。ただし,ブルースケール7級以上の日光堅ろう度の場
合には,2段階目の新しいブルースケールと取り替えて暴露を続け,7級ブルースケールが標準変退色を示
す期間暴露する。それでも試験片の変退色が認められない場合には,更に3段階目の新しいブルースケー
ルと取り替えて暴露を続け,試験片の変退色が変退色用グレースケール4号と同程度の変退色を示すまで
暴露を続ける。
6.2
B法
6.2.1
B-1法 日,月又は年単位の一定期間暴露し,暴露後の試験片の変退色を測定し,変退色用グレー
スケール等級又は色差で表示する。
6.2.2
B-2法 試験片の変退色が所定の変退色用グレースケール等級又は色差に達するまでの期間を求
め,日数で表示する。
備考1. B法においては,暴露期間中は,適当な日射計又は積算照度計を用いて日射量を計るの
が望ましい。
2. B法における一定期間又は所定の変退色用グレースケール等級若しくは色差については,
当事者間の協定による。
なお,所定期間及び所定変退色の程度を限度見本で置き換えてもよい。
7. 判定
7.1
一般条件
(1) 暴露後の試験片は,試験の目的に合う適当な方法で清浄にする。
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(2) 試験片の変退色を判定する前に,原則として温度23±2℃及び相対湿度50±5%において48時間以
上状態調節を行う。
7.2
A法 JIS L 0841に規定するブルースケールによる日光堅ろう度試験方法の規定によって判定する。
ただし,2段階以降は7級以下の判定は行わない。
7.3
B法 試験片の変退色の判定は,次のいずれかによる。
7.3.1
変退色用グレースケールによる判定 試験片の変退色の判定は,未暴露試験片と比較し,JIS L 0801
(染色堅ろう度試験方法通則)の10.判定による。
7.3.2
色差による判定 4.4の測色計を用いて暴露前後の試験片の測色値を測定し,JIS Z 8730(色差表
示方法)により色差を求める。
備考 色堅ろう度のほかに,必要に応じて視感量に影響を及ぼすと思われる光沢度,光線透過率,ヘ
ーズなどの変化を調べることが望ましい。
8. 表示 次のいずれかの方法によって表示する。
8.1
A法の表示 ブルースケールを用いる場合の表示は,次による。
(1) 日光堅ろう度の等級は,試験片と同程度の変退色を示したブルースケール等級で表し,次の例のよ
うに表示する。ここで,6/1の6はブルースケール等級,1はブルースケール段階を示す。
例:A法 日光堅ろう度 ブルースケール6/1
(2) 判定の結果が二つの級の中間にあるときは,例えば4-5/1のように二つの級をハイフンで結んで表
すが,3級以下はこのような表示はしない。
(3) 1級より弱い試料の等級は1/1と表示する。
(4) 日光堅ろう度が4/1又はそれ以上であって,初期堅ろう度が3/1又はそれ以下である場合は,必要
に応じて初期堅ろう度を括弧に入れて付記する。例えば6/1 (3/1) とは,その試料は試験中にブルー
スケール3級が変退色し始めたとき,わずかに変退色したが,更に照射を続けたところ,日光堅ろ
う度はブルースケール6級と同等であったことを表す。
(5) ブルースケール2段階以上の試験を行った場合には,7/nと表示する。ただし,nはブルースケール
段階を示す。
例:A法 日光堅ろう度 ブルースケール7/3
8.2
B法の表示 ブルースケールを用いない場合の表示は,次のいずれかによる。
8.2.1
B-1法の場合
(1) 変退色用グレースケール表示の場合は,所定暴露期間後の変退色用グレースケール等級で表示し,
暴露期間を括弧の中に付記する。
例:B-1法 変退色用グレースケール3級(1年)
(2) 色差表示の場合は,所定暴露期間後の色差を表示し,暴露期間を括弧の中に付記する。
例:B-1法 ⊿Eab*=5(2年)
8.2.2
B-2法の場合 所定変退色に達するまでの期間を日数で表示し,所定の変退色用グレースケール等
級又は色差を括弧の中に付記する。
例:B-2法 200日(変退色用グレースケール3級)
B-2法 150日(⊿Eab*=6)
9. 報告 報告には,必要に応じて次の事項を記入する。
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(1) 試料の名称,種類
(2) 試験片の形状及び数
(3) 暴露場所の所在地,緯度,経度及び標高
(4) 試験開始時期,試験終了時期及び暴露試験期間
(5) 試験片の暴露角度
(6) 暴露期間中の暴露場所における日射量 (J/m2) 及び受光面の角度と測定波長範囲,又は暴露場所から
最も近い気象台又は測候所の全天日射量
(7) 試験結果(表示及び観察した事項)
(8) 測色計を使用したときはその形式,色差式,反射か透過の別など
(9) 試験の途中で中止又は中断した場合は,その時期と理由
(10) その他必要と思われる事項
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高分子部会 プラスチック試験方法専門委員会 構成表
氏 名
所 属
(委員会長)
牧 廣
工業技術院製品科学研究所
山 口 章三郎
工学院大学
上 田 重 幸
群馬大学
小 沢 丈 夫
工業技術院電子技術総合研究所
島 村 昭 治
工業技術院機械技術研究所
代 田 忠
工業技術院繊維高分子材料研究所
植 村 幸 生
工業技術院大阪工業技術試験所
小 林 力 夫
工業技術院化学技術研究所
鈴 木 晃
通商産業省基礎産業局
田 村 尹 行
工業技術院標準部
金 田 栄 一
東芝強化プラスチック工業株式会社
塚 野 隆
財団法人日本プラスチック検査協会
須 藤 作 幸
財団法人建材試験センター
宇佐美 民 雄
日本国有鉄道鉄道技術研究所
松 前 一 義
日本電信電話公社武蔵野電気通信研究所
峰 松 陽 一
芝浦工業大学
奈 良 正 孝
石油化学工業協会
丸 山 暢
三井東圧化学株式会社
鎌 田 太 一
鐘淵化学工業株式会社
村 井 真三次
住友ベークライト株式会社
菅 野 久 勝
日本試験機工業会
矢 島 一 郎
日本プラスチック工業連盟
鹿 毛 紀久雄
プラスチック標準試験方法研究会
(事務局)
藤 原 正 祥
工業技術院標準部繊維化学規格課
田 仲 信 夫
工業技術院標準部繊維化学規格課