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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 7082-1993 

炭素繊維強化プラスチックの 
両振り平面曲げ疲れ試験方法 

Testing method for complete reversed plane bending fatigue of 

carbon fibre reinforced plastics 

1. 適用範囲 この規格は,炭素繊維強化プラスチック(以下,CFRPという。)の定応力振幅両振り平面

曲げ疲れ試験方法について規定する。 

備考1. この試験方法は,平板状試験片の板面に直交する面内に,等しい正負の値の間を繰り返す曲

げモーメントを加えて,材料の疲れ特性を測定する方法である。 

2. 一方向CFRPの場合は,曲げ疲れによる破壊よりも,つかみ具の端部での圧壊が支配的とな

ることが多いので,特別な目的の場合を除き対象外とする。 

3. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS B 7502 外側マイクロメータ 

JIS B 7507 ノギス 

JIS K 6900 プラスチック用語 

JIS K 7072 炭素繊維強化プラスチックの試料の作製方法 

JIS K 7074 炭素繊維強化プラスチックの曲げ試験方法 

JIS K 7100 プラスチックの状態調節及び試験場所の標準状態 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

4. この規格の中で { } を付けて示してある単位は,従来単位によるものであって,参考とし

て併記したものである。 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 6900によるほか,次のとおりとする。 

(1) 繰返し応力 一定の最大値と最小値との間を周期的に変動する応力(図1参照)。 

図1 繰返し応力−時間線図 

(2) 繰返し数 試験片に一定の振幅で繰返し応力を加えたときの応力の繰返しの数。N又はnで表し,N

は疲れ破壊までの繰返し数,nは疲れ試験中の応力の繰返し数を表す。 

K 7082-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(3) 応力振幅 (σa)  繰返し応力の最大応力と最小応力との差の2分の1(図1参照)。 

(4) 剛性保持率 最終剛性を初期剛性で除した値の百分率。 

(5) 時間強さ 指定された回数の繰り返しに耐える繰返し応力の上限値。時間強さには,末尾に繰返し数

を括弧を付けて表す。 

例 σa (105) 

(6) S-N線図(応力−繰返し数線図) 縦軸に応力振幅,横軸に破壊までの繰返し数(未破壊で試験を終

了した場合は,その点に右向きの矢印を付ける。)をとって描いた線図。 

(7) 疲れ限度 無限回の繰返し数に耐える上限の繰返し応力。プラスチック系材料の場合には,107回まで

に疲れ限度(S-N線図で,それ以上は横軸に水平となる繰返し応力)を示さない場合が多く,一般に

107回までに破壊しない応力の上限値を疲れ限度としている。この場合,107回までに破壊しない応力

の上限値であることを明記しておく[(5)時間強さ参照]。 

(8) 疲れ強さ 疲れ限度及び時間強さの総称。 

3. 試験片の状態調節並びに試験温度及び湿度 

3.1 

試験片の状態調節 試験片は,原則として,試験前にJIS K 7100の標準温度状態2級及び標準湿度

状態2級[温度23±2℃及び相対湿度 (50±5) %]において,48時間以上状態調節を行う。 

3.2 

試験の温度及び湿度 試験は,原則として,3.1と同じ温度及び湿度[温度23±2℃及び相対湿度 (50

±5) %]の室内で行う。 

4. 試験装置及び器具 

4.1 

試験機 試験機は,次のとおりとする。 

(1) 試験機は,試験片の軸を含む面に直交する面内の曲げモーメントを,設定値の1%以下の精度に保っ

て,繰り返し与えることができる構造のものとする。この場合,曲げモーメント以外の力やモーメン

トが作用しない構造のものでなければならない。 

(2) 試験機は,試験片が所定の剛性低下にいたるか,又は破壊するまでの繰返し数が求められる機構を備

えているものとする。 

(3) 試験機は,試験片の剛性変化に対応した振幅を,運転中に連続的,又は任意の時間間隔で計測できる

機能を備えているものとする。 

(4) 負荷装置は,試験機に4点曲げ方式の負荷ジグを取り付けたものとする(図2参照)。 

なお,つかみ具の角は,試験片がつかみ具の端部で局部的な圧縮破壊するのを避けるため,半径2mm

程度の丸みを付けたものを使用する(図3参照)。 

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図2 平面曲げ負荷装置の一例 

図3 つかみ具の端部形状 

4.2 

寸法測定器具 

4.2.1 

マイクロメータ マイクロメータは,試験片の最小幅及び厚さを測定するためのもので,JIS B 

7502に規定する測定範囲0〜25mmのもの又はこれと同等以上の精度のものとする。 

4.2.2 

ノギス ノギスは,試験片の長さ及び幅を測定するためのもので,JIS B 7507に規定する最大測定

長300mm,最小読取り値0.05mmのもの又はこれと同等以上の精度のものとする。 

5. 試験片 

5.1 

標準試験片 標準試験片の形状及び寸法は,次のとおりとする。 

(1) 試験片の形状及び寸法の一例を図4に示す。寸法は,使用する疲れ試験機の最大曲げモーメント,最

大振幅及びCFRPの弾性率と厚さによって決めるものとする。 

(2) 厚さ (h) は,約2mmとし,その形状は平板とする。 

(3) 長さ (L) は,厚さの50倍以上とする。 

(4) 試験領域長さ (l) は,厚さの20倍以上とする。 

(5) 幅 (B) は,25mm以上とする。 

(6) 最小幅 (b) は,15mm以上とする。 

(7) 曲線加工の半径 (R) は,最小幅の3〜7倍とする。 

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図4 試験片の形状及び寸法の一例 

5.2 

その他の試験片 試験領域に平行部のある試験片形状でも試験結果に差のないことが確認できる場

合は,平行部のある試験片を用いてもよい。 

5.3 

試験片の作製 試験片の作製は,次のとおり行う。 

(1) 試験片は,JIS K 7072に規定する圧縮成形,オートクレーブ成形などによって作製した積層板から,

ダイヤモンド工具を用いた機械加工又はこれと同等以上の精度で加工できる方法で行う。 

なお,試験片を切削加工するときは,過度に熱が発生しないように十分注意する。 

(2) 試験片は,材料が実際に使用されるときに受ける荷重方向と試験片が受ける荷重の方向とが同じにな

るように切り出す。 

(3) 繊維配列方向と試験片の切り出し角度とのずれが,疲れ強さに影響するため,切り出し時には,適切

なジグを用いるなどして,ずれが生じないようにしなければならない。 

なお,曲線加工においては左右対称となるように十分注意する。 

備考 試験片作製の良否は,材料の疲れ特性に大きく影響するので,このことを熟知して作製する必

要がある。受渡当事者間の協定による方法及び条件がある場合には,これに従わなければなら

ない。 

5.4 

試験片の数 試験片の数は,次のとおりとする。 

(1) 試験片の数は,原則としてS-N線図を作成するために必要な測定値が得られるだけ用意する。通常は,

破壊までの繰返し数範囲103〜107回での繰返し応力5段階に対して,それぞれ3個以上が望ましい。 

(2) 明らかな欠陥によって破壊した試験片は除き,この分の試験片を追加して試験する。 

備考 繰返し応力を決めるために必要な静的曲げ強さ (σb) 測定用の試験片は,同一材料から5個以

上用意する。この場合,σbの測定は,JIS K 7074による。 

6. 操作 操作は,次のとおり行う。 

(1) 試験片の厚さを最小幅位置において中央部を含む3か所で0.01mmの精度で測定し,その平均値を厚

さとして記録する。 

(2) 試験片の試験領域における最小幅を0.01mmの精度で,また,試験片の両端の幅及び長さを0.05mm

の精度で,それぞれ測定し記録する。 

(3) 試験片を試験機に取り付けるときは,その軸が加えられる曲げモーメントによって生じる応力の方向

と一致するように,また,厚さの中心が曲げ応力の中立面と一致するように注意して行う。 

なお,試験片は,試験中緩まないように,試験機に取り付けなければならない。 

(4) 繰返し応力に相当する荷重を試験機に設定する。最初の繰返し応力の決定が困難なときは,σbの50

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

〜60%に相当する繰返し応力とする。 

なお,S-N線図を求めるためには,相隣る二つの応力の比が,1.05〜1.5となるように,等間隔の繰

返し応力段階をそれぞれ選ぶのが望ましい。 

備考 静的曲げ試験は,JIS K 7074に従って行う。測定したσbを繰返し応力のレベル設定の基準にす

る。 

(5) 繰返し速さは,原則として,毎分1 000〜1 800回とする。一連の試験は,同一の繰返し速さで行う。 

なお,一定の繰返し応力に調整するまでの繰返し数は,全繰返し数に含めるためできるだけ少なく

なるようにする。 

また,調整中の最大応力,最小応力は所定の値を超えてはならない。 

備考1. 規定の繰返し速さ以外を採用する場合は,受渡当事者間の協定による。 

2. 不平衡質量回転型の試験機では,繰返し速さの変化は繰返し応力に影響するので,一定速さ

で運転されるように十分注意しなければならない。 

(6) 試験片の剛性が,き裂,層間はく離などによって定量低下した時期をもって疲れ破壊とする。試験片

の剛性は,連続的又は任意の時間間隔で記録する。 

(7) 剛性保持率が80%に達したときを,疲れ破壊の時期とする。 

(8) 試験片が剛性保持率80%に達する前に破壊した場合は,その時期を疲れ破壊とする。 

(9) 繰返し数107回までに(7)の条件を満たさなかった場合は,107回で試験を打ち切ることができる。107

回以上の繰返し数の試験を行う場合は,疲れ破壊の時期を受渡当事者間の協定によって決める。 

(10) ある繰返し応力で試験する場合,破壊しなかった試験片を再使用してはならない。 

(11) 試験は,一定の試験条件で連続運転しなければならない。やむを得ず運転を停止した場合には,停止

までの繰返し数,停止時間などを記録する。 

(12) 試験が終了した試験片の破壊状況を観察し,その結果を記録する。 

7. 計算及び試験結果の表し方 

7.1 

繰返し応力 繰返し応力(応力振幅)は,次の式(1)によって算出し,JIS Z 8401によって有効数字3

けたに丸める。 

2

1

3

h

b

l

P

Z

M

a

=

=

σ

 ······································································ (1) 

ここに, 

σa: 応力振幅 (MPa) {kgf/mm2} 

M: 曲げモーメント (N・mm) {kgf・mm} 

Z: 断面係数 (mm3) 

P: 荷重 (N) {kgf}  

b: 試験片の最小幅 (mm) 

h: 試験片の厚さ (mm) 

l1: つかみ部の支持点間長さ (mm) 

7.2 

破壊までの繰返し数 破壊までの繰返し数 (N) は,6.の(7)〜(9)の条件が成立するまでの繰返し数と

して記録する。 

繰返し数は,例えば,2.34×105のように,10nの倍数で表し,JIS Z 8401によって有効数字3けたに丸

める。 

7.3 

S-N線図 S-N線図は,縦軸に応力振幅又は

b

a

σ

σを等間隔目盛で,横軸に繰返し数を対数目盛で描く。

測定点が重なった場合は,重なった点の数を付記する(図5参照)。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

S-N線図において,破壊しなかった試験片を示す点は右向き矢印を付ける。 

S-N線図は,試験結果を表す各点のほぼ中央に引いて示す。S-N線図は,外挿法によって引いてはならな

い。 

図5 S-N線図の一例 

7.4 

疲れ限度 疲れ限度は,次のいずれかの方法によって求めた応力振幅とする。 

(1) S-N曲線が水平となる場合 S-N曲線がある繰返し数以上で水平になる場合は,次による。 

(a) 繰返し応力レベルごとの試験片の半数以上が未破壊であった繰返し応力レベルのうち,最大の応力

振幅。この場合,それより低い繰返し応力レベルでは,未破壊の試験片が過半数以上でなければな

らない。 

(b) (a)で,水平線を表す応力振幅として求められる繰返し応力レベルでの試験片がすべて未破壊の場合

は,その繰返し応力レベルとその一段階上の繰返し応力レベルとの平均の応力振幅。 

(2) S-N曲線が水平とならない場合 S-N曲線が水平とならない場合は,107回に対応する応力振幅をS-N

曲線上に求めたものとする。 

なお,疲れ限度は,JIS Z 8401によって有効数字3けたに丸めて示す。 

8. 報告 報告には,必要に応じて次の事項を記入する。 

(1) 使用した材料の種類,等級及び製造業者名 

(2) 試料の成形方法,炭素繊維の体積含有率又は質量含有率 

(3) 試験片の形状,寸法,作製方法及び採取方向 

(4) 試験した試験片の数 

(5) 試験片の状態調節の温度,湿度及び時間 

(6) 試験室の温度及び湿度 

(7) 試験機の形式及び容量 

(8) 試験方法(支持点間長さ,繰返し応力の算出方法及び繰返し速さ) 

(9) 試料の静的曲げ試験結果(強さ及び弾性率の平均値並びにそれらの標準偏差及び変動係数) 

(10) 破壊時期の判定の剛性保持率 

(11) 個々の繰返し応力とその破壊までの繰返し数の一覧表及び主な破壊様相 

(12) S-N線図(σa−N, 

b

a

σ

σ−N)及び疲れ限度 

(13) 試験年月日 

(14) 受渡当事者間で協定した事項 

(15) その他特記すべき事項 

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関連規格 JIS K 7118 硬質プラスチック材料の疲れ試験方法通則 

JIS K 7119 硬質プラスチック平板の平面曲げ疲れ試験方法 

JIS Z 2275 金属平板の平面曲げ疲れ試験方法 

JIS Z 8203 国際単位系 (SI) 及びその使い方 

炭素繊維複合材料本委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

宮 入 裕 夫 

東京医科歯科大学医用器材研究所 

中 島 邦 夫 

通商産業省基礎産業局 

森   康 晃 

通商産業省基礎産業局 

長 田 直 俊 

通商産業省生活産業局 

地 崎   修 

工業技術院標準部 

金 原   勲 

東京大学工学部 

影 山 和 郎 

東京大学工学部 

野 口 義 男 

科学技術庁航空宇宙技術研究所 

野 口 祐 成 

工業技術院機械技術研究所 

古 江 治 美 

工業技術院機械技術研究所 

劔 持   潔 

工業技術院製品科学研究所 

渡 辺   寧 

工業技術院繊維高分子材料研究所 

小 牧 和 夫 

工業技術院大阪工業技術試験所 

則 竹 佑 治 

防衛庁技術本部第3研究所 

代 田   忠 

代田技術事務所 

犬 竹 紀 弘 

石川島播磨重工業株式会社 

葭 田 雄次郎 

富士重工業株式会社 

野 尻 邦 夫 

三菱重工業株式会社 

三 好 一 雄 

三菱電機株式会社 

村 島 善 樹 

トヨタ自動車株式会社 

星   郁 夫 

日立化成工業株式会社 

山 内 啓 司 

東邦レーヨン株式会社 

広 瀬 博 光 

東レ株式会社 

松 岡 廣 典 

三菱レイヨン株式会社 

藤 田 利 仁 

日東紡績株式会社 

(事務局) 

鹿 毛 紀久雄 

財団法人高分子素材センター 

新 鍋 秀 文 

財団法人高分子素材センター 

K 7082-1993  

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疲れ試験方法分科会 構成表 

氏名 

所属 

(分科会長) 

古 江 治 美 

工業技術院機械技術研究所 

野 口 義 男 

科学技術庁航空宇宙技術研究所 

則 竹 佑 治 

防衛庁技術本部第3研究所 

小 牧 和 夫 

工業技術院大阪工業技術試験所 

宮 野   靖 

金沢工業大学 

谷 本 敏 夫 

湘南工科大学 

加 地 秋 好 

大阪市立工業研究所 

前 川 善一郎 

京都工芸繊維大学 

森 田 宏 明 

株式会社ドナック 

野 田   稔 

川崎重工業株式会社 

伊 藤 泰 宏 

川崎重工業株式会社 

小 林   勝 

工業技術院標準部 

宮 入 裕 夫 

東京医科歯科大学 

北 條 正 樹 

製品科学研究所 

高 野 勝 美 

株式会社ペトカ 

(事務局) 

鹿 毛 紀久雄 

財団法人高分子素材センター 

新 鍋 秀 文 

財団法人高分子素材センター