K 6952:2008
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 原理······························································································································· 4
5 装置······························································································································· 4
5.1 コンポスト化環境 ·········································································································· 4
5.2 温度測定用装置 ············································································································· 4
5.3 pHメータ ····················································································································· 4
5.4 酸素測定用装置 ············································································································· 4
5.5 ふるい ························································································································· 4
5.6 デュワー瓶 ··················································································································· 4
6 操作······························································································································· 5
6.1 培養前及び培養期間中の作業···························································································· 5
6.2 分析及び工程管理 ·········································································································· 7
7 計算······························································································································· 8
8 試験の妥当性 ··················································································································· 9
9 試験報告書 ······················································································································ 9
附属書JA(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································ 10
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,生分解性プラスチック研究会 (BPS),日本プ
ラスチック工業連盟 (JPIF) 及び財団法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格
を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格
である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
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日本工業規格 JIS
K 6952:2008
プラスチック−パイロットスケールにおける
規定されたコンポスト化条件下での
プラスチック材料の崩壊度の求め方
Plastics-Determination of the degree of disintegration of plastic materials
under defined composting conditions in a pilot-scale test
序文
この規格は,2002年に第1版として発行されたISO 16929を基に,技術的内容を変更して作成した日本
工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一
覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
警告
コンポストは,潜在的な病原性生物を含む可能性があるので,取扱いに当たって,適切な予防措置を講
じる必要がある。
1
適用範囲
この規格は,パイロットスケールにおいて規定された好気的コンポスト化条件下でのプラスチック材料
の崩壊度の求め方について規定する。この規格は,ISO 17088 : 2008に規定するプラスチックのコンポス
ト化可能性評価スキームの一部を構成する。この規格で規定する試験方法によって,試験材料がコンポス
ト化プロセス及び得られたコンポストの品質に及ぼす影響を求めることができる。この方法は試験材料の
好気的生分解度を求めるためには適用できない。その場合には,JIS K 6950,JIS K 6951及びJIS K 6953
に規定する方法を適用する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 16929 : 2002,Plastics−Determination of the degree of disintegration of plastic materials under
defined composting conditions in a pilot-scale test (MOD)
なお,対応の程度を表す記号 (MOD) は,ISO/IEC Guide 21に基づき,修正していることを
示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0102 工場排水試験方法
2
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JIS K 0400-22-10 水質−全有機体炭素 (TOC) の定量のための指針
注記 対応国際規格:ISO 8245 : 1987,Water quality−Guidelines for the determination of total organic
carbon (TOC) (IDT)
JIS K 0400-35-40 水質−イオンの液体クロマトグラフィーによる溶存陰イオンの定量−第2部:廃水
中の臭化物,塩化物,硝酸,亜硝酸,オルトりん酸及び硫酸イオンの定量
注記 対応国際規格:ISO 10304-2,Water quality−Determination of dissolved anions by liquid
chromatography of ions−Part 2 : Determination of bromide,chloride, nitrate, nitrite,
orthophosphate and sulfate in waste water (IDT)
JIS K 0400-42-60 水質−アンモニウムの定量−第1部:吸光光度法
注記 対応国際規格:ISO 7150-1,Water quality−Determination of ammonium−Part 1 : Manual
spectrometric method (MOD)
JIS K 0400-44-40 水質−ケルダール窒素の定量−セレンを用いる無機質化後の方法
注記 対応国際規格:ISO 5663,Water quality−Determination of Kjeldahl nitrogen−Method after
mineralization with selenium (MOD)
JIS K 6950 プラスチック−水系培養液中の好気的究極生分解度の求め方−閉鎖呼吸計を用いる酸素
消費量の測定による方法
注記 対応国際規格:ISO 14851,Determination of the ultimate aerobic biodegradability of plastic
materials in an aqueous medium−Method by measuring the oxygen demand in a closed respirometer
(IDT)
JIS K 6951 プラスチック−水系培養液中の好気的究極生分解度の求め方−発生二酸化炭素量の測定
による方法
注記 対応国際規格:ISO 14852,Determination of the ultimate aerobic biodegradability of plastic
materials in an aqueous medium−Method by analysis of evolved carbon dioxide (IDT)
JIS K 6953 プラスチック−制御されたコンポスト条件下の好気的究極生分解度及び崩壊度の求め方
−発生二酸化炭素量の測定による方法
注記1 対応国際規格:ISO 14855 : 1999,Determination of the ultimate aerobic biodegradability and
disintegration of plastic materials under controlled composting conditions−Method by analysis of
evolved carbon dioxide (IDT)
注記2 ISO 14855 : 1999は2005年に廃止され,現在,ISO 14855-1 : 2005に切り替えられた。
ISO 3310-2,Test sieves−Technical requirements and testing−Part 2 : Test sieves of perforated metal plate
ISO 10390,Soil quality−Determination of pH
ISO 11465,Soil quality−Determination of dry matter and water content on a mass basis−Gravimetric method
ISO 17088 : 2008,Specifications for compostable plastics
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
生物的な処理適性(biological treatability)
物質が,好気的にコンポスト化されるか又は嫌気的にバイオガス化される可能性。
3
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3.2
分解(degradation)
物質の構造が著しく変化するような不可逆過程。一般に特性(例えば,完全な元の状態,分子量又は分
子構造,機械的強度)の低下及び/又は断片化によって表し,環境条件の影響を受け,ある期間かけて進
行し,1段階以上のステップで引き起こされる。
3.3
生分解(biodegradation)
生物活性,特に酵素作用によって起こる分解。物質の化学構造の著しい変化をもたらす。
3.4
崩壊(disintegration)
物質が非常に小さい破片にくずれ,壊れる現象。
3.5
コンポスト(compost)
主として,植物残さ(渣)からなる混合物の生分解によって得られ,ときには,他の有機物質及び一部
の無機物質を含有する有機土壌調節材。
3.6
コンポスト化(composting)
好気的工程でのコンポストの製造。
3.7
コンポスト化可能性(compostability)
物質がコンポスト化プロセスで生分解される可能性。
注記 コンポスト化可能性の主張には,物質が標準試験法で示されるようなコンポスト化システムで
生分解されて崩壊すること及び製品が最終的に使用される間に生分解を完了することが,実証
されていなければならない。また,コンポストは,該当する品質基準を満たさなければならな
い。コンポストの品質基準には,例えば,重金属含有量が少ない,生態毒性が少ない,明らか
に識別可能な残分がない,などが挙げられる。
3.8
コンポストの腐熟度(maturity of compost)
コンポストがどの程度まで進んだかの程度。デュワー瓶を用いた自己発熱試験による最高温度の測定で
行う。
注記 腐熟度 (Rottegrad) と呼ばれる用語で表現される(6.2.3.1参照)。
3.9
全乾燥固形物(total dry solids)
試験材料又はコンポストの既知量をとり,105 ℃で乾燥して一定質量(恒量)になったときの固形物。
3.10
揮発性固形物(volatile solids)
試験材料又はコンポストを約550 ℃で燃焼した後の残さ(渣)を,同じ試料の全乾燥固形物から差し引
いて得られる固形物。
注記 揮発性固形物含量は,含有する有機物量の指標となる。
4
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4
原理
崩壊度試験は,パイロットスケールにおける標準化された規定のコンポスト化条件において,実施する。
試験材料を正確にはかりとって新鮮な生物系廃棄物と混合し,規定のコンポスト化環境に導入する。自
然界に一般的に存在する微生物によって,自発的にコンポスト化が始まり,温度が上昇する。コンポスト
化内容物は定期的に切り返して混ぜ合わせる。温度,pH,水分含量及びガス組成を定期的に測定する。こ
れら測定値は,十分で適切な微生物活性を確保するために一定の要求値を満たす必要がある。コンポスト
化プロセスは,十分に安定したコンポストが得られるまで継続する。通常は12週間必要である。
コンポストを定期的に観察し,試験材料がコンポスト化を阻害しないか調査する。試験終了後に,コン
ポストの腐熟度を測定する。さらに,コンポストと試験材料との混合物を目開き2 mm及び10 mmのふる
いでふるう。目開き2 mmのふるいに残った試験材料画分及び試験に用いた量について全乾燥固形物量を
比較することによって,試験材料の崩壊度を求める。コンポスト化プロセスが終了した後に得られたコン
ポストは,化学的分析及び生態毒性試験に用いることができる。
5
装置
5.1
コンポスト化環境
5.1.1
一般
コンポスト化は,パイロットスケールのコンポスト化容器又はパイロットスケールのコンポスト化容器
に埋めたサンプルネット中で実施する。それぞれの容器の体積は,自然に自己発熱が起こる十分な大きさ
が必要である。空気供給装置を用いて,十分でむらがない空気供給を行う。
試験条件を標準化するために,恒温室に設置した容器,又は断熱容器を用いてコンポスト化予備試験を
実施してもよい。
自己発熱段階においてコンポストの温度が65 ℃を超えると,微生物種の多様性が失われる可能性があ
る。好熱細菌の十分な種類を回復するために,直近の同じ出所の完熟したコンポスト(最大3か月以内)
を再接種することが望ましい(初期生物系廃棄物全量の質量分率約1 %)。
5.1.2
コンポスト化容器
5.1.2.1
容積及び材質
容器は,次による。
− 140 L以上の容積がある。
− 頑丈で,耐熱性があり,生分解しない材質から構成される。
− コンポスト化プロセス又はコンポスト品質に影響しない。
5.1.2.2
排水路 排水路は,容器の底の少なくとも厚さ5 cmの排水層からなる。
5.1.3 サンプルネット サンプルネットを使用する場合は,120 ℃で安定で分解しないプラスチックを材
料としたメッシュサイズ1 mmの網目状のものを使用する。最小容積は20 Lでなければならない。
5.2 温度測定用装置 通常実験室で使用する温度測定用装置
5.3
pHメータ 通常実験室で使用されるpHメータ
5.4
酸素測定用装置 通常実験室で使用される酸素測定用装置
5.5
ふるい 目開き2 mm及び10 mmの金網をもつふるいを使用する(ISO 3310-2参照)。
5.6
デュワー瓶 容量1〜2 L
5
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6
操作
6.1
培養前及び培養期間中の作業
6.1.1
試験の開始
6.1.1.1
生物系廃棄物の調製
試験材料の担体として,可能なら主に都市ごみを扱っているコンポスト工場に供給されている生物系廃
棄物を用いる。又は,十分ではないが直接家庭から若しくは食料品店からの生物系廃棄物を用いる。
なお,その他の方法として,次の材料を含む代表的な人工の生物系廃棄物を使ってもよい。
− 新しく混合した果実及び野菜の廃棄物
− ラビットフード(種や押出し成形した乾燥野菜のペレット)
− 完熟コンポスト
− 良好な湿潤度とするために十分な水
− かさのある充てん(填)材[例 木くず(屑)又は樹皮]
すべての試験において同じ熟成期間の,同一起源で均一な生物系廃棄物を使うことが重要である。生物
系廃棄物を,破砕又はふるいによって粒子径が最大50 mm以下になるようにする。廃棄物の種類によって,
10〜60 %のかさのある充てん材(木くず又は樹皮のような,構造的に安定で,大きさが10 mm〜50 mmの
間にある成分)を添加する。
良好なコンポスト化プロセスを確保するために,生物系廃棄物は,次の基準を満たすものとする。
− 新鮮な生物系廃棄物とかさのある充てん材との混合物の炭素と全窒素との比 (C/N) は,20〜30の間
とする。
− 水分含量は,質量分率50 %を超え,かつ,遊離水は含まない。
− 全固形物中の揮発性固形物含量は,質量分率50 %を超える。
− pHは5を超える。
必要ならば,尿素によって炭素と全窒素との比 (C/N) を調整する。
6.1.1.2
試験材料の調製
a) 試験目的が試験材料の崩壊度の測定並びに試験材料のコンポスト化プロセス及びコンポスト品質への
影響を求めるものならば,試験材料は,最終使用形状と同じ形状(例 形,厚さ)のものを用いる。
大きな形状のものは,フィルムでは10 cm×10 cmの大きさ以内に,他の製品の場合は5 cm×5 cm以
内に小さくする。場合によっては,より簡単に単離するために,試験材料に顔料(例えば,TiO2又は
Fe2O3)を加えてもよい。
b) 試験の目的(任意)が,生態毒性試験のためのコンポストの作製を含む場合,a) に示した試験材料以
外に粉状又はか(顆)粒状の形態のものも加える。細かい形状を用いるのは,生物系廃棄物及び試験
材料が過剰にかさばりすぎるのを防ぐためである。試験材料は500 μm未満の粒子径の粉末を使うこ
とが望ましい。
6.1.1.3
試験の数
少なくとも,次の数の試験を行う。
a) 生物系廃棄物だけの対照試験
2組
b) 6.1.1.2 a) の目的の場合の試験材料の試験
2組
c) (任意)6.1.1.2 b) の目的の場合の試験材料の試験
以上に加え2組
6.1.1.4
生物系廃棄物と試験材料との混合比
各コンポスト化試験は,おおむね同量(湿潤質量で最低60 kg)の生物系廃棄物を用いて行う。
6
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これに次の量の試験材料を加える。
a) 崩壊度の測定及びコンポストの分析の場合[6.1.1.2 a) 参照]
− 製品形状の試験材料(湿潤状態で質量分率1 %)
b) 崩壊度の測定,コンポストの分析及び生態毒性試験の場合[6.1.1.2 a) 及びb) 参照]
− 製品形状の試験材料(湿潤状態で質量分率1 %)に加えて
− 粉状又はか(顆)粒状の試験材料(湿潤状態で質量分率9 %)
c) (任意)生態毒性試験だけの場合[6.1.1.2 b) 参照]
− 製品形状の試験材料(湿潤状態で質量分率1 %)及び粉状又はか(顆)粒状の試験材料(湿潤状態
で質量分率9 %),
− 又は,粉状又はか(顆)粒状の試験材料(湿潤状態で質量分率10 %)
6.1.1.5
サンプルの調製
生物系廃棄物は無作為に採取し,均質で代表的なサンプルとする。
各試験の組は別々に調製する。すべての試験材料の試験において,生物系廃棄物及び試験材料は正確に
はかりとり,コンポスト化容器に投入する前に,よく混合する。
コンポスト化容器中でサンプルネットを使用する場合は,各サンプルから容器に生物系廃棄物をはかり
とり,その後6.1.1.4に規定する割合の試験材料を完全に混合する。この生物系廃棄物と試験材料との混合
物をネットに入れ,生分解性のない耐熱性のプラスチック製のひもでネットの口を強く縛り,適切な表示
をする。
6.1.2
切返し
生物系廃棄物混合物の塊を細くし,水分,微生物及び基質を再混合する目的で定期的に切返しを行う。
試験の最初の4週間は週に1回,以降試験終了までは2週に1回切返しを行う。サンプルネットを使用す
る場合は,サンプルネットを開き,内容物を混合する。
6.1.3
試験の終了
6.1.3.1
試験期間
培養期間は,12週間とする。
6.1.3.2
ふるい方
一連のコンポスト化試験の各々で得られたコンポストから,残存した試験材料の小片を得るため,次の
ようにふるい分ける。
試験で容器を使用したときは,各々の容器から均一なサンプルを望ましくは容器の全量か,少なくとも
50 %を取り出す。容器の中でサンプルネットを使用したときは,サンプルネットの全量を使う。
標準の目開き10 mmのふるいによって,各サンプルをふるう。ふるいを通過しない大きい塊の試験材料
は,注意深く探し,それらを砕いてばらばらにしてふるう。更に標準の目開き2 mmのふるいを通して分
ける。このようにして得られた2 mm〜10 mmの大きさの画分から,試験材料のすべての小片を取り出し,
それらを別の目開き2 mmのふるいに置く。そして,注意深く洗浄し,可能であれば流水で洗う。洗浄し
た小片を,恒量になるまで105 ℃(又は105 ℃未満の融点をもつ試験材料では40 ℃)で乾かす。このよ
うにして得た全乾燥固形物から,箇条7で示す方法で,崩壊度を計算する。さらに,揮発性物質量を測定
することによって,存在する有機物の量を求める。
小片を試験材料から拾い出すとき,2 mm〜10 mmの大きさの画分に調整するが,より狭い粒径範囲の画
分に分けることによって(2 mm〜5 mm及び5 mm〜10 mm)拾い出しは,容易となる。洗浄過程での試験
材料のかけらの損失は,目開き2 mmのふるいの下に追加の目開き1 mmのふるいを用いることによって
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避けられる。しかし,すべての2 mm以下の小片は通常無視する。試験材料を取り出した後のコンポスト
サンプルを,コンポスト品質分析及び生態毒性試験のために残すことが望ましい。
6.1.3.3
目視観察(任意)
少なくとも,試験の始めと終わりで,かつ,可能であれば,試験材料を切り返したときは,いつでも目
視による評価をする。試験材料の小片の粒径分布を調べ,試験材料の小片の表面に微生物が成育した証拠
(例えば,菌糸,細菌の生育)を記録する。
このために,ほとんど分解しないものから大部分分解した試験材料まで,目視によってすべての分解現
象のこん(痕)跡を残している少なくとも10の小片を選ぶ。選んだかけらを注意して水で洗浄し,次に示
す項目に関して目視によって評価する。
− 材料のちょう(稠)性及びち(緻)密さ
− 脱色
注記 スポット状又は糸状の白濁,変色なども含む。
− 局部的な崩壊の兆候(例えば,穴の存在)
− 試験材料を見付けることが簡単だった(又は難しかった)かどうか。
選んだ小片をコンポストと試験材料との混合物に戻す。文章及び写真で,各々の評価の結果を書き留め,
記録する。試験材料が12週間後に完全に崩壊しない場合,目視による評価を強く推奨する。
6.2
分析及び工程管理
6.2.1
試験の開始時
a) 生物系廃棄物
試験の始めに生物系廃棄物を分析し,別に,かさのある充てん材(6.1.1.1参照)を分析する。廃棄
物の組成(例えば,庭廃棄物と台所廃棄物との割合)を明らかにし,記録する。
b) 試験材料
材料のタイプ,表面積と体積との比又は厚さ,炭素と全窒素との比 (C/N),水分含量,全乾燥固形
物量及び揮発性固形物含量で,試験材料(6.1.1.2参照)を規定する。
6.2.2
試験中
6.2.2.1
通気
コンポスト化が障害なく進行するように通気を制御する。コンポスト化進行中の試料内部又は排気中の
酸素濃度を定期的に測定する。頻度は最初の1か月は少なくとも週末を除く毎日,それ以降は週1回とす
る。試料内部の酸素濃度は,体積分率10 %を超える状態に保たなければならない。酸素濃度が体積分率
10 %未満に低下した場合は,全乾燥固形物に対し15 L/(kg-全乾燥固形物)/h以下の空気量で試料を通気
する。
通気量によって,コンポスト化容器中の温度及び湿度を制御する。コンポスト化容器の換気に使用する
通気量は,実際のコンポスト化施設で使用する通気量に一致することが望ましい。実用上の理由によって
多い通気量を採用する場合は,除去されるアンモニア量を見積もっておくべきである。アンモニアは,例
えば,尿素の添加によって補充することができる。
6.2.2.2
水分含量及びpH
切返し後,pH及び水分含量を測定するために,それぞれの試験の組のサンプルを採取する。水分含量が
低すぎる(質量分率40 %未満)場合は,良好なコンポスト化を継続するため,水を添加する。
6.2.2.3
温度
少なくとも平日は1日に1回,コンポスト化進行中の試料中心部の温度を測定する。
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6.2.2.4
目視観察(任意)
切返し中に目視で混合物及び試料の構造,水分,菌の繁殖状況その他の状態を検査する(6.1.3.3参照)。
6.2.3
試験の終了時
6.2.3.1
コンポストの測定
a) ふるい分け前にコンポスト全体の湿潤質量を測定する。計量及びふるいにかける前にコンポスト化試
料を容器ごと室温まで冷却しておくことが望ましい。試料の温度が高い場合,水分含量の測定に当た
って,計量とサンプリングとの間で多量の水分が揮散する可能性がある。
b) 10 mm未満の画分の均一化されたサンプルを採取して,全乾燥固形物及び揮発性固形物(ISO 11465
による),全有機体炭素(JIS K 0400-22-10による),pH(ISO 10390による),アンモニア性窒素(JIS
K 0400-42-60による),硝酸性及び亜硝酸性窒素(JIS K 0400-35-40による)並びに全窒素(JIS K
0400-44-40による)を測定する。
c) 揮発性脂肪酸(JIS K 0102の16.3[アルカリ消費量(遊離酸)]による)及び/又は腐熟度 (Rottegrad)
を測定するなどの方法でコンポストの腐熟度を求める。
腐熟度 (Rottegrad) は,デュワー瓶(5.6参照)にコンポスト化試料を満杯に入れ,所定の期間,試
料中心温度及び外気温度をそれぞれ測定し,自己発熱による試料中心温度と外気温度との差を最高到
達温度 (Tmax) とし求める。
コンポストの腐熟度は,1日目を除く,2〜5日の期間に測定された最高到達温度 (Tmax) を基に,次
に分類する。
− 腐熟度 Ⅰ : Tmax >60 ℃ (未処理の生物系廃棄物)
− 腐熟度 Ⅱ : Tmax 50.1 ℃〜60 ℃
− 腐熟度 Ⅲ : Tmax 40.1 ℃〜50 ℃
− 腐熟度 Ⅳ : Tmax 30.1 ℃〜40 ℃
− 腐熟度 Ⅴ : Tmax ≦30 ℃ (完熟コンポスト)
これらの分析で得た結果から,でき上がったコンポストの品質を記述する。結果を高品質のコンポ
ストとしてよく知られたものと比較するとよい。
d) 必要に応じて,10 mm未満の画分を生態毒性試験用の試料として用いる。
6.2.3.2
試験材料
2 mmを超える画分の全試料を用いて,全乾燥固形物を測定する。
7
計算
回収した2 mmより大きな画分(6.1.3.2参照)の試験材料の質量を合計し,初期に投入した試験材料の
質量と比較する(6.1.1.2参照)。それぞれの全乾燥固形物量に基づき,次の式から試験材料の崩壊度を計
算する。
100
1
2
1
i
×
−
=
m
m
m
D
ここに,
Di: 試験材料の崩壊度[質量分率 (%)]
m1: 投入した試験材料の全乾燥固形物量 (g)
m2: 回収した試験材料の全乾燥固形物量 (g)
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8
試験の妥当性
試験は,生物系廃棄物及び生物系廃棄物と試験材料との混合物の容器又は容器中のサンプルネットが,
次のような場合妥当である。
a) コンポスト化中の最高温度が最初の1週間が75 ℃未満,それ以降は65 ℃未満
b) 温度が少なくとも1週間は60 ℃を超える。
c) 温度が少なくとも連続4週間は40 ℃を超える。
d) pHは試験中7を超え,5未満にはならない。
e) 試験材料を含まない生物系廃棄物のコンポストが12週間後にⅣからⅤの腐熟度 (Rottegrad) になって
いる,及び/又は揮発性脂肪酸量が500 mg/kg未満である,又は正常なコンポスト化プロセスの完了
を確認できる他の適切なパラメータを用いる。
9
試験報告書
試験報告書には,少なくとも次の事項を記載する。
a) この規格の番号
b) 試験材料の同定及び記述に必要な情報:全乾燥固形物量,揮発性固形物含量,全有機体炭素,形状及
び外観
c) 生物系廃棄物源及び試験開始時に行った分析結果
d) コンポスト化装置(容器,容器の中のサンプルネット)の正確な記述
e) コンポスト化試験の一連の量並びに生物系廃棄物及び試験材料の量
f)
試験結果,例えば,残存している試験材料の量及びコンポスト化しふるい分けした後の崩壊度
g) 温度プロフィール,pH,水分含量,酸素濃度などのコンポスト化プロセスを特徴付けるパラメータ値
h) コンポスト化終了時に行った分析結果
i)
(任意)試験中及び試験終了時の生物系廃棄物コンポスト及び試験材料の観察結果(記述及び写真で
裏付けられた菌の生長,構造,色,臭いなど)
j)
試験結果を棄却した理由
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K 6952:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(参考)
JISと対応する国際規格との対比表
JIS K 6952 : 2008 プラスチック−パイロットスケールにおける規定されたコンポ
スト化条件下でのプラスチック材料の崩壊度の求め方
ISO 16929 : 2002,Plastics−Determination of the degree of disintegration of plastic
materials under defined composting conditions in a pilot-scale test
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ)
国際規格
番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び名称
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
5 装置
5 装置
追加
温度測定用装置,pHメータ及
び酸素測定用装置の説明を追
加した。デュワー瓶が抜けてい
たので追加した。
技術的差異はない。
6.2.3.1 コ
ンポスト
の測定
6.2.3.1
コンポス
ト
追加
全有機体炭素及び揮発性脂肪
酸の試験方法を追加した。
腐熟度の試験方法の詳細を追
加した。
試験項目だけ規定されているが,
試験方法がないのでJISを追加し
た。
今後,ISO 16929の定期見直しなど
を通じて,対応国際規格の修正を
検討する。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 16929:2002,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 追加 ··············· 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD··············· 国際規格を修正している。
2
K
6
9
5
2
:
2
0
0
8
2
K
6
9
5
2
:
2
0
0
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