K6938-1:2006 (ISO 10366-1:2002)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,日本ABS樹脂工業
会(JARIA)/日本プラスチック工業連盟(JPIF)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日
本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日
本工業規格である。
これによって,JIS K 6938-1:1999は改正され,この規格に置き換えられる。
改正に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 10366-1:2002,Plastics−Methyl
methacrylate-acrylonitrile-butadiene-styrene(MABS)moulding and extrusion materials−Part 1:Designation system
and basis for specificationsを基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS K 6938の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS K 6938-1 第1部:呼び方のシステム及び仕様表記の基礎
JIS K 6938-2 第2部:試験片の作り方及び諸性質の求め方
K 6938-1:2006 (ISO 10366-1:2002)
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 2
3. 呼び方のシステム ············································································································ 2
3.1 一般 ···························································································································· 2
3.2 データブロック1 ··········································································································· 3
3.3 データブロック2 ··········································································································· 4
3.4 データブロック3 ··········································································································· 4
3.5 データブロック4 ··········································································································· 6
3.6 データブロック5 ··········································································································· 6
4. 呼び方の例 ····················································································································· 7
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 6938-1:2006
(ISO 10366-1:2002)
プラスチック−メタクリル酸メチル−アクリロニト
リルーブタジエン−スチレン(MABS)成形用及び押
出用材料−第1部:呼び方のシステム及び仕様表記
の基礎
Plastics-
Methyl methacrylate-acrylonitrile-butadiene-styrene(MABS)
moulding and extrusion materials-
Part 1:Designation system and basis for specifications
序文 この規格は,2002年に第2版として発行されたISO 10366-1,Plastics−Methyl methacrylate-
acrylonitrile-butadiene-styrene(MABS)moulding and extrusion materials−Part 1:Designation system and basis for
specificationsを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲
1.1
この規格は,メタクリル酸メチル−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンプラスチック(MABS)
成形用材料及び押出用材料の呼び方のシステムについて規定する。この呼び方のシステムは,仕様表記の
基礎として用いることができる。
1.2
MABSを,次の特性の適切な水準,並びに組成,意図する用途及び/又は成形方法,重要な特性,
添加剤,着色剤,充てん材及び強化材に関する情報に基づいて,区分する。
a) ビカット軟化温度
b) メルトボリュームフローレイト
c) ノッチ付きシャルピー衝撃強さ
d) 引張弾性率
1.3
この規格は,スチレン(及び/又はアルキル基で置換したスチレン),アクリロニトリル及びメタク
リル酸メチルを主成分としたコポリマーからなる連続相,並びにブタジエンを基本とする弾性体の分散相
からなるすべてのメタクリル酸メチル−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン材料に適用できる。
この規格は,着色剤,添加剤,充てん材などで改質されているかいないかにかかわらず,粉状,か粒状,
又はペレット状の通常使用されるMABS材料に適用できる。
1.4
この規格で同じ呼び方をする材料が,必ずしも同一の性能を示すとは限らない。この規格は,特定
用途及び/又は成形方法のための材料を規定するのに必要な技術的なデータ,性能データ,又は成形条件
に関するデータを提供するものではない。
2
K 6938-1:2006 (ISO 10366-1:2002)
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このような追加の特性が必要な場合には, JIS K 6938-2に規定する試験法が適用できる場合,それに従
って測定する。
1.5
特定用途向けに熱可塑性材料を規定するため,又は再現性よく成形するために,追加の要求事項を,
データブロック5に入れてもよい(3.1参照)。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 10366-1:2002,Plastics−Methyl methacrylate-acrylonitrile-butadiene-styrene(MABS)moulding
and extrusion materials−Part 1:Designation system and basis for specifications (IDT)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 6899-1 プラスチック−記号及び略語−第1部:基本重合体(ポリマー)及びその特性
備考 ISO 1043-1:1997,Plastics−Symbols and abbreviated terms−Part 1:Basic polymers and their
special characteristicsが,この規格と一致している。
参考 ISO 1043-1の最新版は,2001年版であり,この国際一致規格としてJIS K 6899-1を改正中で
ある。
JIS K 6938-2 プラスチック−メタクリル酸メチル/アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン
(MABS) 成形用及び押出用材料−第2部:試験片の作り方及び諸性質の求め方
備考 ISO 10366-2:1994,Plastics−Methyl methacrylate/acrylonitrile/butadiene/styrene(MABS)
moulding and extrusion materials−Part 2:Preparation of test specimens and determination of
propertiesからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
参考 ISO 10366-2は,2003年に改正版が発行されたため,この国際一致規格としてJIS K 6938-2
を改正する予定である。
3. 呼び方のシステム
3.1
一般 熱可塑性プラスチックの呼び方のシステムは,次による。
呼び方
種類ブロック
(記載任意)
識別項目ブロック
規格番号
ブロック
個別項目ブロック
データ
ブロック
1
データ
ブロック
2
データ
ブロック
3
データ
ブロック
4
データ
ブロック
5
この呼び方は,記載任意な種類ブロック(“熱可塑性プラスチック”と記載する。),並びに規格番号ブロ
ック及び個別項目ブロックからなる識別項目ブロックで構成する。個別項目ブロックを,更に次に示す五
つのデータブロックに細分し,表示があいまいにならないようにする。
データブロック1: JIS K 6899-1による略号(MABS)を用いた,プラスチックの識別及びポリマー組成
に関する情報(3.2参照)。
データブロック2: コードの文字位置1:意図する用途及び/又は成形方法(3.3参照)
コードの文字位置2〜8:重要な特性,添加剤及び補足情報(3.3参照)
データブロック3: 呼び方に使用する特性(3.4参照)
3
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データブロック4: 充てん材又は強化材及びこれらの公称含有率(3.5参照)
データブロック5: 仕様を表記するために,追加情報を含んだ第5番目のデータブロックを加えてもよ
い(3.6参照)。
個別項目ブロックの最初の文字は,ハイフンとする。それぞれのデータブロックは,互いをコンマで区
切る。
なお,データブロックを使わない場合には,“,,”のように分離記号を二つ続ける。
3.2
データブロック1 ハイフンの後に,メタクリル酸メチル−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレ
ンプラスチックをJIS K 6899-1による略号 (MABS) で識別する。ポリマーについての追加情報があれば,
その略号の後に,更にハイフン及び表1で規定するコード(文字)で識別する。
表 1 データブロック1に使用する追加組成情報のコード(文字)
コード(文字)
AN質量分率の範囲
%
MMA質量分率の範囲
%
A
B
C
D
<30
<30
30≦
30≦
10<〜≦50
50<〜≦80
10<〜≦50
50<
連続相のAN質量分率の測定は,JIS K 6938-2の附属書による。
コンパウンドのMMA質量分率は,酸素含有量分析によって測定する。
4
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3.3
データブロック2 コードの文字位置1で意図した用途及び/又は成形方法に関する情報を識別す
る。データブロックの位置2〜8で,重要な特性,添加剤及び着色剤に関連する情報を識別する。表2に,
使ってよいコード(文字)を示す。
なお,位置2〜8に情報を記載しているが,位置1に情報がない場合には,文字“X”(表示なしを示す。)
を,位置1に挿入する。
表 2 データブロック2に使用するコード(文字)
コード(文字)
コードの文字位置1
コード(文字)
コードの文字位置2〜8
A
成形安定処方
B
ブロー成形用
B
ブロッキング防止処方
C
カレンダ加工用
C
着色品
D
粉末
E
押出用
E
発泡処方
F
フィルム押出用
F
特殊燃焼特性処方
G
一般用
G
か粒
H
熱安定化処方
K
ケーブル又はワイヤコーティング用
K
金属不活性処方
L
モノフィラメント押出用
L
耐光処方
M
射出成形用
M
造核剤処方
N
自然色(非着色品)
P
耐衝撃処方
Q
圧縮成形用
R
回転成形用
R
離型剤処方
S
焼結用
S
滑剤処方
T
テープ用
T
透明
X
表示なし
Y
導電処方
Z
帯電防止処方
3.4
データブロック3
3.4.1
一般 ビカット軟化温度の範囲は,3けたのコード(番号)で表示する(3.4.2参照)。メルトボリ
ュームフローレイトの範囲は,2けたのコード(番号)で表示する(3.4.3参照)。
ノッチ付きシャルピー衝撃強さの範囲は,2けたのコード(番号)で表示する(3.4.4参照)。引張弾性率
の範囲は,2けたのコード(番号)で表示する(3.4.5参照)。これら四つのコード(番号)は,それぞれを
ハイフンで区切る。
なお,特性値が,範囲の境界上にあるか,又は範囲の境界に近い場合には,製造業者がその材料をいず
れの範囲とするかを表明する。その後,たとえ各試験値がその範囲を外れても,製造の許容誤差範囲内な
ら,そのコード(番号)を変える必要はない。
備考 現在入手可能な材料について,表記に使う特性値のすべての組合せができるとは限らない。
5
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.4.2
ビカット軟化温度 ビカット軟化温度(VST)は,JIS K 6938-2 に従って測定する。試験片は乾燥
材料を用いて成形し,測定するまで(23±2)℃のデシケータ内で保存する。
ビカット軟化温度の値は,表3に規定する四つの範囲に分割し,それぞれを3けたのコード(番号)で
表示する。
表 3 データブロック3のビカット軟化温度に使用するコード(番号)
コード(番号)
ビカット軟化温度の範囲
℃
075
085
095
105
≦ 80
80 < 〜 ≦ 90
90 < 〜 ≦100
100 <
3.4.3
メルトボリュームフローレイト メルトボリュームフローレイト(MVR)は,JIS K 6938-2 に従
って測定する。メルトボリュームフローレイトを測定する材料は,(80±2)℃で4時間状態調節し,その
後,測定するまで(23±2)℃のデシケータ内で保存する。
表4に規定するように,メルトボリュームフローレイトの値を四つの範囲に分割し,それぞれを2けた
のコード(番号)で表示する。
表 4 データブロック3のメルトボリュームフローレイトのコード(番号)
(220 ℃/10 kgで測定)
コード(番号)
メルトボリュームフローレイトの範囲
cm3/10 min
04
08
15
25
≦ 5
5< 〜 ≦ 10
10< 〜 ≦ 20
20<
3.4.4
ノッチ付きシャルピー衝撃強さ ノッチ付きシャルピー衝撃強さは,JIS K 6938-2 に従って測定す
る。表5に規定するように,ノッチ付きシャルピー衝撃強さを,五つの範囲に分割し,それぞれを2けた
のコード(番号)で表示する。
表 5 データブロック3のノッチ付きシャルピー衝撃強さに使用するコード(番号)
コード(番号)
ノッチ付きシャルピー衝撃強さの範囲
kJ/m2
04
09
16
25
35
3 ≦〜 ≦ 7
7 < 〜 ≦ 14
14 < 〜 ≦ 23
23 < 〜 ≦ 35
35<
6
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3.4.5 引張弾性率 引張弾性率は,JIS K 6938-2 に従って測定する。引張弾性率の値を,表6に規定する
ように,四つの範囲に分割し,それぞれを2けたのコード(番号)で示す。
表 6 データブロック3の引張弾性率に使用するコード(番号)
コード(番号)
引張弾性率の範囲
MPa
15
20
25
30
< 1 800
1 800 < 〜 ≦ 2 300
2 300 < 〜 ≦ 2 800
2 800 <
3.5
データブロック4 位置1に充てん材及び/又は強化材の種類を1字のコード(文字)で表示する。
データブロックの位置2にその物理的形状を,別の1字のコード(文字)で表示する。これらのコード(文
字)を表7に規定する。このコードに続けて,空白なしで位置3にその質量分率を,2けたの数字で表示
する。
表 7 データブロック4で使用する充てん材及び強化材コード(文字)
コード(文字)
材料(位置1)
コード(文字)
形状(位置2)
B
ほう素
B
球,ビーズ,又は中空球
C
カーボン (1)
D
粉末又はドライブレンド
F
繊維
G
ガラス
G
摩砕粉又は粉砕
H
ウィスカ
K
炭酸カルシウム
L
セルロース (1)
M
鉱物 (1),(2)又は金属 (1)
S
合成物又は有機物 (1)
S
うろこ又はフレーク
T
タルク
X
規定なし
X
規定なし
Z
その他 (2)
Z
その他
注(1) これらの材料は,例えば,これらの化学記号,又は関連JISに規定する追加の記号によって,
更に規定してもよい。金属 (M) の場合には,化学記号を用いて金属の種類を表示することが必
す(須)である。
(2) 鉱物充てん材は,化学記号で表示できるならば,これを用いて更に正確に表記する。
備考 数種の材料又は異なる形状の混合物を表す場合には,“+”の記号を使って,関連するコード(文
字)を結合し,その全体を括弧でくくる。例えば,ガラス繊維(GF)25 %と鉱物粉末(MD) 8 %
との混合物は,(GF25+MD08)と表示する。
3.6
データブロック5 特定用途の材料仕様書を作成するときなど,必要な追加事項を表示する。例えば,
適切な日本工業規格,又は一般に用いられている標準的な仕様を引用する。
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K 6938-1:2006 (ISO 10366-1:2002)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4. 呼び方の例 アクリロニトリル質量分率30 %未満,メチルメタクリレート質量分率10〜50 %,射出
成形用 (M),熱安定化処方 (H),耐光処方 (L) した自然色 (N),ビカット軟化温度95 ℃ (095),メルト
ボリュームフローレイト0.5 cm3/10 min(04),ノッチ付きシャルピー衝撃強さ10 kJ/m2(09),引張弾性率2 400
MPa(25)及びガラス繊維(GF)25 %で補強したメタクリル酸メチル−アクリロニトリル−ブタジエン−スチ
レン(MABS)成形用材料は,次のように呼ぶ。
種類ブロック
(記載任意)
規格番号
ブロック
個別項目ブロック
データ
ブロック
1
データ
ブロック
2
データ
ブロック
3
データ
ブロック
4
(熱可塑性プラスチック)
JIS K 6938-1(ISO 10366-1)
MABS-A
MHLN
095-04-09-25
GF25
規格番号
データブロック1:記号
データブロック2:コードの文字位置1:射出成形用
コードの文字位置2:熱安定化処方
コードの文字位置3:光安定化処方
コードの文字位置4:自然色
データブロック3:コードの文字位置1:ビカット軟化温度
コードの文字位置2:メルトボリュームフローレイト
コードの文字位置3:ノッチ付きシャルピー衝撃強さ
コードの文字位置4:引張弾性率
データブロック4:コードの文字位置1:ガラス
コードの文字位置2:繊維
コードの文字位置3:25 %
呼び方:(熱可塑性プラスチック)JIS K 6938-1(ISO 10366-1)-MABS-A,MHLN,095-04-09-25,GF25