K 6935-1-1996 (ISO 12086-1 : 1995)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目次
ページ
まえがき ····························································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 2
3. 定義 ······························································································································ 3
4. 略語及び記号 ·················································································································· 4
5. 分類の体系 ····················································································································· 4
5.1 データブロック1 ··········································································································· 5
5.2 データブロック2 ··········································································································· 6
5.3 データブロック3 ··········································································································· 7
5.3.1 転移温度 ···················································································································· 8
5.3.2 相対分子量 ················································································································· 8
5.3.3 機械的特性 ················································································································ 10
5.3.4 密度 ························································································································· 11
5.3.5 ふっ素ポリマー及び界面活性剤の含有率 ········································································· 12
5.3.6 粒径 ························································································································· 12
5.3.7 かさ密度 ··················································································································· 13
5.3.8 粉末流れ時間 ············································································································· 13
5.3.9 押出圧力 ··················································································································· 13
5.3.10 汚染 ························································································································ 13
5.4 データブロック4 ·········································································································· 13
5.5 データブロック5 ·········································································································· 14
5.6 ふっ素ポリマーの表示特性······························································································ 14
5.6.1 全ふっ素ポリマーに適用する表示特性 ············································································ 14
5.6.2 個別のふっ素ポリマーに適用される表示特性···································································· 15
6. 分類の表示例 ················································································································· 15
7. ふっ素ポリマーの仕様 ····································································································· 16
8. 包装及び表示 ················································································································· 18
8.1 包装 ··························································································································· 18
8.2 表示 ··························································································································· 18
附属書A(規定) 各種一般的ふっ素ポリマーの表示特性 ··························································· 19
附属書B(規定) JIS K 6935-1 (ISO 12086-1) のコード番号, ISO 12086-2の試験方法のための一般的
ふっ素 ポリマーの種類及び表示特性に関する相互参照表 ································· 21
附属書C(参考) ふっ素ポリマー族 ······················································································ 24
附属書D(参考) ふっ素ポリマーの標準仕様·········································································· 26
附属書E(参考) ISO 12086-2の試験方法リスト ······································································ 27
K 6935-1-1996 (ISO 12086-1 : 1995) 目次
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ページ
附属書F(参考) JIS K 6935-1 (ISO 12086-1) を 使用するに当たって簡単な指示 ···························· 28
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 6935-1-1996
(ISO 12086-1 : 1995)
プラスチック−
ふっ素ポリマーのディスパージョン,
成形用材料及び押出用材料−
第1部:分類の体系と仕様作成のための基準
Plastics−Fluoropolymer dispersions and moulding and extrusion materials
−
Part 1 : Designation system and basis for specifications
日本工業規格としてのまえがき
この規格は,1995年第1版として発行されたISO 12086-1 : 1995 (Plastics−Fluoropolymer dispersions and
moulding and extrusion materials−Part 1 : Designation system and basis for specifications) を翻訳し,技術的内容
及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で下線(点線)を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。
原国際規格のまえがき(抜粋)
ISO 12086 (JIS K 6935-1996) は,一般名称“プラスチック−ふっ素ポリマーのディスパージョン,成形用
材料及び押出用材料”のもとに,次の各部(パート)によって構成される。
第1部:分類の体系と仕様作成のための基準 (Part 1 : Designation system and basis for specifications)
参考:日本工業規格JIS K 6935-1(第1部:分類の体系と仕様作成のための基準)が,この国際規格
と一致している。
第2部:試験片の調製及び諸性質の測定方法 (Part 2 : Preparation of test specimens and determination of
properties)
1. 適用範囲
2
K 6935-1-1996 (ISO 12086-1 : 1995)
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1.1
この規格は,ふっ素ポリマー材料の分類の体系を規定する。この体系を仕様作成のための基準とし
て用いてもよい。この規格は,ふっ素ポリマーのホモポリマー及び各種のふっ素モノマーから製造される
コポリマーを扱う。これらは,ディスパージョン及び型成形,押出成形,及びその他の特殊な応用に使用
される。この規格は,分類の体系及び情報コード及び表示特性の数値表について述べている。分類体系は,
多様な技術によって作られたはん(汎)用熱可塑性ふっ素ポリマー及び独特な操作によって加工された非
はん用熱可塑性ポリテトラフルオロエチレンの双方に適用される。材料としては未使用のポリマー又は再
使用並びに再利用のフルオロカーボンポリマー及びその他各種のふっ素ポリマーを包括する。この規格で
は,分類体系の拡張として材料の仕様を含む。ふっ素エラストマーは特別に除外した。
1.2
ふっ素ポリマーは,ふっ素モノマーから製造される長い鎖のポリマー及びコポリマーである。ふっ
素ポリマーは少量の異なるふっ素モノマーによって変成できる。一般的に5質量%まで変成ふっ素モノマ
ーを加えた変成ポリマー材料は,基本ポリマー材料として分類できる。
PVDFは基本ポリマーとして分類するが,重合時に2質量%までの他のふっ素モノマーがポリマー構造
に含まれ変成されている。PTFEについては,テトラフルオロエチレンとして分類されるためには,変成
コモノマーは1質量%が上限である。
一般的にふっ素ポリマー族の一員についての解説は,附属書C(参考)に含まれている。この規格は,
主に4.2に示している材料に関するものであるが,これだけに限るものではない。
1.3
ふっ素ポリマーの類型は,分類体系によって互いに異なる。体系はふっ素ポリマーの種類及び表示
特性の水準,同時に基本的ポリマーの特性値,予定されている用途又は加工方法,重要特性,添加剤,色
材,充てん材,強化材料についての情報を基礎にしている。
各ふっ素ポリマーの表示特性は5.3の一般リストから選ばれ,各ふっ素ポリマーの指定すべき諸特性は
5.6及び附属書A(規定)及び附属書B(規定)に表で示す。
1.4
再生及び再利用の材料に対しての分類は,この規格で規定する。再加工PTFEの分類には特別な条
件が必要なため,別の表示特性で規定する。使用済のはん用熱可塑性ふっ素ポリマーの分類には,表1で
指示するZ1,Z2又はZ3コードは,データブロック1に用いるほかは,未使用の材料と同様な表示特性を
用いる。
1.5
同じ分類の素材が,同じ性能を必ずしも示すとは限らない。逆にいえば,異なる分類の材料が同じ
用途に適用することもある。この規格では,技術データ,性能データ,又は特殊な最終用途の材料を指定
するために必要な加工条件などの情報を提供しない(データブロック5の利用は5.及び7.での討論を参照。)。
追加の特性が必要なら,ISO 12086-2(この規格の第2部)に指定した試験方法で測定すべきである。
2. 引用規格 次の規格を引用することによって,K 6935群の規定の一部を構成する。この規格の発行の
時点では,引用規格はここに示す発行年の版の規格が有効であるが,すべての規格は改正されることがあ
るので,この規格の使用者は,引用規格の最新版を適用できるかどうか検討するのが望ましい。
ISO 472 : 1988 Plastics−Vocabulary
参考 JIS K 6900(プラスチック−用語)-1994が,この国際規格と一致している。
ISO 527-1 : 1993 Plastics−Determination of tensile properties−Part 1 : General principles
参考 JIS K 7161(プラスチック−引張特性の試験方法 第1部:通則)-1994が,この国際規格と
一致している。
ISO 527-2 : 1993 Plastics−Determination of tensile properties−Part2 : Test conditions for moulding and
extrusion plastics
3
K 6935-1-1996 (ISO 12086-1 : 1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考 JIS K 7162(プラスチック−引張特性の試験方法 第2部:型成形,押出成形及び注型プラ
スチックの試験条件)-1994が、この国際規格と一致している。
ISO 842 : 1984 Raw materials for paints and varnishes−Sampling
ISO 1043-1 : 1987 Plastics−Symbols−Part 1 : Basic polymers and their special characteristics
参考 JIS K 6899[プラスチック−記号−第1部:基本重合体(ポリマー)及びそれらの特性]-1992
が,この国際規格と一致している。
ISO 1043-2 : 1988 Plastics−Symbols−Part 2 : Fillers and reinforcing materials
ISO 1133 : 1991 Plastics−Determination of the melt mass-flow rate (MFR) and the melt volume-flow rate
(MVR) of thermoplastics
ISO 1183 : 1987 Plastics−Methods for determining the density and relative density of non-cellular plastics
ISO 12086-2 : 1995 Plastics−Fluoropolymer dispersions and moulding and extrusion materials−Part 2 :
Preparation of test specimens and determination of properties
3. 定義
3.1
ISO 472に収録されている用語とともに,3.2に新たに定義する用語が,この国際規格に用いられる。
3.1の用語は,ISO 472から再掲したもので,誤解を生じさせないためである。
3.1.1
ディスパージョン (dispersion) 微細化した材料が他の材料の中に分配されている不均質な系。
3.1.2
ふっ素プラスチック (fluoroplastic) 1個又はそれ以上のふっ素原子を含むモノマーで製造するポ
リマー,又はそのようなモノマーとその他のモノマーとのコポリマーで,そのふっ素含有モノマーが質量
で最大量存在するものを主成分とするプラスチック。
3.1.3
ラテックス (latex) 高分子材料のコロイド状水性分散液。
3.2
この規格を記述するために,特に次の用語を使用する。
3.2.1
アモルファス (amorphous) 非晶性,又は規則性構造のないこと。
3.2.2
かさ密度 (bulk density) 粉末などの見掛け密度で規定条件下で計られる質量でg/lで表される。
3.2.3
コポリマー (copolymer) 2種類以上の単量体から誘導された重合体。
3.2.4
エマルジョンポリマー (emulsion polymer) ふっ素ポリマー材料に適用される。ポリマー中にポリ
マー固体を含むコロイド状水性ディスパージョンから分離した物質。
備考1. 3.2.4に規定の定義は,ふっ素樹脂工業でファインパウダーと呼ばれて使用され,JIS K 6900
(ISO 472) に規定のラテックスの定義に類似している。しかし,JIS K 6900 (ISO 472) に規定
しているエマルジョン(乳濁液)の定義とは全く異なる。
3.2.5
フルオロカーボンプラスチック (fluorocarbon plastic) ふっ素及び炭素だけからなるパーフルオ
ロモノマーで製造するポリマーを主成分とするプラスチック。
3.2.6
ふっ素エラストマー (fluoroelastomer) ふっ素原子を1個又はそれ以上含むモノマーで製造され
たポリマー又はふっ素含有モノマーと他のモノマーから誘導されたコポリマーを主成分とするエラストマ
ーで,ふっ素モノマーが質量的に最大量を占める。
3.2.7
ふっ素ポリマー (fluoropolymer) ふっ素プラスチックと同義で3.1.2参照。
3.2.8
溶融加工性 (melt-processible) 熱可塑性プラスチックに使用される特徴的な,例えば,射出成形,
スクリュー押出成形などの操作で加工が可能。
3.2.9
予備成形 (preforming) 粉末状PTFEを型に入れて加圧しながら圧縮して固形物を作ること。固形
物を予備成形品 (preform) と呼び,取扱いが容易になる。
4
K 6935-1-1996 (ISO 12086-1 : 1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
備考2. PTFEで型成形とか圧縮(成形)の用語は,予備成形の代わりに使用される。
3.2.10 プレシンタード樹脂 (presintered resin) あらかじめ予備成形することなく,大気圧下で,融点又
はそれ以上の温度で熱処理を施したプラスチック。
3.2.11 再加工プラスチック (reprocessed plastic) ふっ素ポリマー素材の製造から出たスクラップを調製
し,次の用途に適するように変換した材料。
備考3. この材料は,成形加工工程から生じる副産物といわれている。
4. 関連の定義は,ASTM D 5033-90に規定されている。再生樹脂の固有使用に関連する標準化
指針。
3.2.12 焼成 (sintering) 材料の粒子が加熱処理中に互いに溶融融着し,冷却しながら再結晶を起こす一
種の熱処理。
予備成形品を焼成することで融着が促進され機械的強度は一段と向上する。
3.2.13 標準比重 (SSG) (Standard Specific Gravity) 予備成形し,焼成するPTFE材料であってISO 12086-2
に示す適当な焼成パターンを用い,1℃/minの冷却速度で結晶させて得られる試験片の比重。
備考5. 未変成PTFEのSSGは分子量と逆の関係にある。
3.2.14 懸濁ポリマー (suspension polymer) コロイド状物質の粒子径より大きな粒径をもつ固体を液状
重合媒体から分離したポリマー。
3.2.15 ゼロ強度時間 (ZST) (Zero Strength Time) PCTFEの相対分子質量の一つの尺度。
4. 略語及び記号
4.1
JIS K 6899 (ISO 1043-1) 及びISO 1043-2で示している略号は,この規格に用いる。
4.2
この規格は,次に掲げるプラスチックを,主として対象とする。JIS K 6899 (ISO 1043-1) 及びISO
1043-2とは若干異なるが,現在広く使用している用語の略号である。
PTFE
ポリテトラフルオロエチレン
PFA
パーフルオロアルコキシアルカン
FEP
パーフルオロエチレンプロペンコポリマー
EFEP
エチレン−パーフルオロエチレンプロペンコポリマー
TFE/PDD
テトラフルオロエチレン−パーフルオロジィオキソールコポリマー
VDF/HFP
ふっ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロペンコポリマー
VDF/TFE
ふっ化ビニリデン−テトラフルオロエチレンコポリマー
VDF/TFE/HFP
ふっ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロペンコポリマー
ETFE
エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー
PVDF
ポリふっ化ビニリデン
VDF/CTFE
ふっ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー
PCTFE
ポリクロロトリフルオロエチレン
PVF
ポリふっ化ビニル
ECTFE
エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー
4.3
この規格のために,3.2及び4.2に加えて次の略号を用いる。
AF
非晶性ふっ素ポリマー
ESG
拡張比重 (extended specific gravity)
MFR
メルトマスフローレート
5
K 6935-1-1996 (ISO 12086-1 : 1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
MVR
メルトボリュウムフローレート
SSG
標準比重
SVI
延伸空げき(隙)指数
TII
熱不安定指数
5. 分類の体系 熱可塑性プラスチックの分類の体系は,次の標準様式に基づいている。
分類
識別ブロック
類別ブロック
(記載任意)
ISO規格
番号
個別項目ブロック
データ
ブロック
1
データ
ブロック
2
データ
ブロック
3
データ
ブロック
4
データ
ブロック
5
分類は,記述任意な類別ブロック(熱可塑性プラスチックと記載する。)と識別ブロックから構成し,さ
らには,識別ブロックはISO規格番号と個別項目ブロックから構成する。あいまいな表示を避けるため,
個別項目ブロックを,次の五つのデータに更に細分する。
データブロック1: プラスチックの識別には,JIS K 6899 (ISO 1043-1) のプラスチックの略号表を用い
て表し,かつ,その構成成分に関する情報も示す(なお,補足すれば,ふっ素ポリ
マーの略号は,この規格の4.2又はASTM D 1600による。)(5.1参照)。
データブロック2: 位置1:用途又は加工方法(5.2参照)
位置2〜8:重要な性質,添加剤,その他の補足情報(5.2参照)
データブロック3: 表示特性(5.3及び5.6参照)
データブロック4: 充てん材又は強化材料,ISO 1043-2に示し文字によって記号化する。これらの材料
コード文字は表20に補足的に示し,公称添加量をアラビア数字で表示する(5.4参
照)。
データブロック5: このデータブロックの追加は,材料の一般的分類を材料仕様に変換する方法を詳細
に述べている。これは特性に対する特殊な要求事項を参照させること,適当な国家
規格を参照すること,又はその両方によって行われる。更に進んでの論議及び例に
ついては7.を参照のこと。
個別項目ブロックの最初の記号はハイフンである。5個のデータブロックは,コンマでそれぞれを分離
する。もし1個のデータブロックを使用しない場合には,その項の最後にコンマを置く。結局 (,,) のよ
うに分離記号を2個使用する。
5.1
データブロック1 このデータブロックでは,ふっ素ポリマーはJIS K 6899 (ISO 1043-1) で定義し
た略語,ハイフン及びそのポリマーの性格を示す表1で指定する一つの文字で識別される。4.2に,一般に
はん用のふっ素ポリマーの略号を掲げている。
6
K 6935-1-1996 (ISO 12086-1 : 1995)
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表1 ふっ素ポリマーのデータブロック1用情報コード
コード文字
データブロック1に使用する文字の意味
A
変成
B
ブロックコポリマー
C
レオロジー管理,分子量分布の狭領域化が施されたもの
D
ディスパージョン
E
乳化ポリマー
F
添加剤樹脂
G
注型用ポリマー
H
ホモポリマー
K
コポリマー
L
グラフトポリマー
M
バルクポリマー
R
ランダムコポリマー
S
懸濁ポリマー
SS
懸濁ポリマーの焼成品
Z1
原料メーカーの工場で回収した材料,仕様外品,廃品
Z2
成形加工メーカーからの副産物から得た材料
Z3
最終消費者が使い終わった製品から得た材料
5.2
データブロック2 このブロックでは,表2で指定するコード文字を使用して情報を8項目まで示す
ことができる。最初の位置は用途又は加工方法を示す。第2〜第8の位置に,重要な性質,添加剤又はそ
の他補足情報を必要に応じて(最大7個まで)示す。情報コード文字は表2に示す。例えば,Eのような
一つの文字は,位置1の意味に適用する。位置2〜位置8の情報が与えられ,位置1には特別な情報が与
えられていない場合でも,位置1にはコード文字を入れる必要がある。適正な文字コードがない場合,位
置1には文字コードXを挿入する。位置2〜位置8に2個以上の文字を使用しなければならない場合には
ABC順に従う。
データブロック2で示す用途は慎重に選ばなければならない。多くの材料は二つ以上の用途又は加工方
法がある。押出し成形 (E) 及び型成形 (M) のような例がある。このような材料には特別な変更を用いず,
はん用 (G) とすべきである。特殊工程のコード文字は応用に応じた材料設計を予約すべきである。
7
K 6935-1-1996 (ISO 12086-1 : 1995)
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表2 データブロック2用情報コード
用途又は加工方法
重要な性質,添加剤,又はその他の補足情報
コード文字
位置1
コード文字
位置2〜8
A
接着剤
C
着色品
B
ブロー成形
D
粉末
B1
押出ブロー成形
D1
ドライブレンド
B2
射出ブロー成形
D2
流動性が良い
C
カレンダー加工
D3
流動性が悪い
E
押出し成形
E
発泡性
F
充てん材コンパウンド
F
特別燃焼特性
G
はん用
F1
酸素指数>95%
H
コーティング
F2
難燃性
H1
粉末コーティング
F4
低煙性
H2
浸せき塗装
G
か粒
H3
湿式コーティング
G1
ペレット
H4
含浸
G2
レンチルカット(メルトカット)
H5
スプレイコーティング
G3
ビーズ
K
ケーブル及びワイヤコーティング
H1
耐放射線安定化
L
モノフィラメント押出し
L
耐光性又は耐候性
M
型成形
M
造核剤
M1
射出成形
M1
コモノマーによる変性
M2
トランスファー成形
N
自然色(非着色品)
P
ペースト成形
N1
食品接触に適す
Q
圧縮成形
N2
高純度
Q1
自動成形
P
耐衝撃性改良
Q2
アイソスタティック成形
R
離型性
R
回転成形
S
潤滑剤
S
焼成
S1
表面潤滑処理
T
テープ製作
T
透明な
T1
切削テープ又は生フィルム
T1
半透明な
T2
生(未焼成)テープ又は生フィルム
T2
乳白色
T3
発泡テープ又はフィルム
T3
紫外線透過改良
V
熱成形
T4
紫外線低透過
X
適切な文字コードがない場合
V
熱収縮性
Y
織物用糸,紡糸
W1
耐薬品性改良
X
架橋性
Y
良導電性
Z
帯電防止性
5.3
データブロック3 ふっ素ポリマー族の一員の各々はそれぞれ固有の一組の分類用特性がある。特性
は表3から選ばれ,詳細は5.6で述べる。附属書Aに表にして示してある。附属書Bにはこの規格に含ま
れているそれぞれのふっ素ポリマーの表示特性を表にして概要を示している。各表示特性を規定する表の
数字,ISO 12086-2に規定する試験方法の所在する節を示している。
表示特性は,各項目に指示している試験方法及び試験条件に従って測定する。
データブロック3における1個の位置は,一つの特定ふっ素ポリマーに対する個々の表示特性に対応す
る。したがって,データブロック3は,ある場合にはふっ素ポリマーは他のものより多くの位置数をもっ
ている。一例として,PTFE-Sにはデータブロック3に八つの表示特性が入ることが附属書A又は附属書B
から分かる。他の例としてPTFE-Zでは表示特性はわずか2個で,データブロック3には2個だけの位置
で足りる。メルトフローレートのようなある種の特性には,1個以上の文字又は数字がいる。測定結果は
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K 6935-1-1996 (ISO 12086-1 : 1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.6及び附属書A中の表示特性を順序だてて表示するように,データブロック3に分類及びコード化され
る。情報コードを分離するために終止符が使われる。
特性化のためのコードが含まれていない場合,通常その位置の終わりに終止符を置いて示す。結果は2
個の終止符を続ける,“..”,特性化の諸コードは分類に含まれていないことを表している。このデータブ
ロックの最後の位置の終わりには,最後の位置が空でなければ終止符を使用しない。
材料特性値が分類範囲内又は範囲限度近くにある場合,製造業者はどちらの範囲に入れるか通告しなけ
ればいけない。引き続き試験値がセル限界以上,又はその両側にあれば,製造許容値の幅があるため,分
類には影響がない。原料製造業者は,データブロック3のコードを決めなければいけない。
備考6. 現在利用できるポリマーは,表示特性値のすべての組合せを満足できるわけではない。表示
特性値のすべてを一つのポリマーが兼備するとは限らない。
5.3.1
転移温度
5.3.1.1
溶融ピーク温度 溶融ピーク温度の測定は,ISO 12086-2による。結晶性及び半結晶性ポリマー
の分類特性には溶融ピーク温度を採用する。コード文字,コード番号及び温度範囲を表3に示す。
参考 ISO 12086-2に規定の溶融ピーク温度の測定は,ASTM D 3418及びASTM D 4591の原則に従い,
細部を改良した方法である。
5.3.1.2
ガラス転移温度 ガラス転移温度は,ISO 12086-2によって測定される。非晶性ふっ素ポリマー
の表示特性にはガラス転移温度を使用する。コード文字,コード番号及び温度範囲を表3に示す。
参考 ISO 12086-2に規定のガラス転移温度は,ASTM D 3418の原則に従い細部を改良した方法であ
る。
表3 データブロック3に使用する転移温度のコード文字,コード番号及び温度範囲
コード文字
温度範囲℃
コード文字,番号
温度範囲℃
A
< 20
S
190≦〜<200
B
20≦〜< 30
T
200≦〜<210
C
30≦〜< 40
U
210≦〜<220
D
40≦〜< 50
V
220≦〜<230
E
50≦〜< 60
W
230≦〜<240
F
60≦〜< 70
X
240≦〜<250
G
70≦〜< 80
Y
250≦〜<260
H
80≦〜< 90
Z
260≦〜<270
I
90≦〜<100
1
270≦〜<280
J
100≦〜<110
2
280≦〜<290
K
110≦〜<120
3
290≦〜<300
L
120≦〜<130
4
300≦〜<310
M
130≦〜<140
5
310≦〜<320
N
140≦〜<150
6
320≦〜<330
O
150≦〜<160
7
330≦〜<340
P
160≦〜<170
8
340≦〜<350
Q
170≦〜<180
9
350≦〜<360
R
180≦〜<190
0
360≦
5.3.2
相対分子量 標準比重 (SSG) はPTFE工業では,ポリマーの相対分子量測定に通常用いる特性で
ある。一般の熱可塑性ふっ素ポリマーには普段メルトマスフローレート (MFR) を用いる。PCTFEにはゼ
ロ強度時間 (ZST) を用いる。MFRのコード番号表示には,3けた(3個の数字)を使用する。2個の数字
はフローレート及び荷重の値を,1個の文字は温度などの試験条件をそれぞれ示す。
9
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.3.2.1
標準比重 (SSG) SSGは,ISO 12086-2の手続に従って測定する。コード番号及び範囲は,表4に
示す。
表4 データブロック3に使用するコード番号及び標準比重 (SSG)
コード番号
標準比重 (SSG) の範囲
0
<2.140
1
2.140≦〜<2.160
2
2.160≦〜<2.180
3
2.180≦〜<2.200
4
2.200≦〜<2.220
5
2.220≦〜<2.240
6
2.240≦
5.3.2.2
メルトマスフローレート及びメルトボリュウムフローレート メルトマスフローレート及びメ
ルトボリュウムフローレートは,ISO 12086-2に従い表6及び表7から選んだ試験条件を用いて測定する。
メルトマスフローレートは,表6及び表7に示される。
温度と重荷は,コードNo.に従って,表5で与えられるコードによってデータブロック3に示す。
もし,メルトボリュウムフローレートが決められれば,メルトマスフローレートは,メルトボリュウム
フローレートとポリマーの溶融比重によって計算できる。
表5 データブロック3に使用するコード番号及びメルトマスフローレート (MFR)
コード番号
MFR
g/10min.
コード番号
MFR
g/10min.
0
<0.1
5
2.0≦〜< 5.0
1
0.1≦〜<0.2
6
5.0≦〜<10.0
2
0.2≦〜<0.5
7
10.0≦〜<20.0
3
0.5≦〜<1.0
8
20.0≦〜<50.0
4
1.0≦〜<2.0
9
50.0≦
表6 データブロック3に使用するコード文字及びMFRの試験温度
コード文字
試験温度℃
コード文字
試験温度℃
A
372 ±1
D
265±1
B
297 ±1
E
230±1
C
271.5±1
表7 データブロック3に使用するコード番号及びMFRの試験荷重
コード番号
試験荷重
N (kgf)
1
3.190 (0.325)
2
11.77 (1.20)
3
21.18 (2.16)
4
37.26 (3.80)
5
49.03 (5.00)
6
98.07 (10.00)
7
122.6 (12.50)
8
211.8 (21.60)
9
309.9 (31.60)
5.3.2.3
ゼロ強度時間 (ZST) ゼロ強度時間について,表8にコード番号で示す。
参考 ゼロ強度時間は,ASTM D 1430に示されている。
10
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表8 データブロック3に使用するゼロ強度時間 (ZST) のコード番号
コード番号
ZST s
0
< 115
1
115≦〜< 175
2
175≦〜< 300
3
300≦〜< 750
4
750≦〜<2 500
5
2 500≦
5.3.3
機械的特性 引張強さ,引張降伏応力,引張破壊伸び及び引張弾性率は,JIS K 7161 (ISO 527-1) 及
びJIS K 7162 (ISO 527-2) の試験方法の原則に従って,細部を改良したISO 12086-2によって測定される。
表9〜12に引張強さ(PTFE-Sの厚さも併記),引張降伏応力,引張破壊伸び,引張弾性率の各範囲のコー
ド文字を示す。
注) 5.6.1.3参照
表9 データブロックに使用するコード文字,引張強さ及び引張降伏応力
コード文字 引張強さ及び降伏応力 MPa
A
<15
B
15≦〜<20
C
20≦〜<25
D
25≦〜<30
E
30≦〜<35
F
35≦〜<40
G
40≦〜<45
H
45≦〜<50
I
50≦〜<55
J
55≦
11
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表10 データブロック3に使用するコード文字及び引張破壊伸び
コード文字
引張破壊伸び %
A
< 50
B
50≦〜<100
C
100≦〜<150
D
150≦〜<200
E
200≦〜<250
F
250≦〜<300
G
300≦〜<350
H
350≦〜<400
I
400≦〜<500
J
500≦〜<600
K
600≦〜<800
L
800≦
表11 データブロック3に使用するコード文字及び引張弾性率
データ文字
引張弾性率 MPa
A
< 500
B
500≦〜< 800
C
800≦〜<1 200
D
1 200≦〜<1 600
E
1 600≦〜<2 000
F
2 000≦〜<3 000
G
3 000≦〜<4 000
H
4 000≦〜<6 000
I
6 000≦
表12 データブロック3に使用するコード番号及びPTFE-Sの試験片厚さ
コード番号
試験片の厚さ mm
1
<0.125
2
0.125≦〜<0.500
3
0.500≦〜<1.00
4
1.00≦
5.3.4
密度 密度は,ISO 12086-2に規定するISO 1183の原則に従って測定する。コード文字を表13に
示す。
12
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表13 データブロック3に使用するコード文字及び密度
コード文字
密度g/cm3・23℃
A
<1.6
B
1.6≦〜<1.7
C
1.7≦〜<1.8
D
1.8≦〜<1.9
E
1.9≦〜<2.0
F
2.0≦〜<2.1
G
2.1≦〜<2.2
H
2.2≦〜<2.3
I
2.3≦〜<2.4
J
2.4≦〜<2.5
K
2.5≦〜<3.0
L
3.0≦〜<3.5
M
3.5≦〜<4.0
N
4.0≦〜<4.5
O
4.5≦〜<5.0
P
5.0≦〜<5.5
Q
5.5≦〜<6.0
R
6.0≦〜<6.5
S
6.5≦〜<7.0
T
7.0≦
5.3.5
ふっ素ポリマー及び界面活性剤の含有率 ふっ素ポリマー及び界面活性剤の含有率は,ISO
12086-2に規定する手順によって測定する。界面活性剤含有量は,乾燥ふっ素ポリマー含有量を基礎にし
て質量百分率で報告する。
含有率は,データブロック3の位置6に,表14のふっ素ポリマー含有率に対応するコード番号及び表
15の界面活性剤含有率に対応するコード文字で表す。
表14 データブロック3に使用するディスパージョン中のふっ素ポリマーの
含有量表示のためのコード番号及び含有率の範囲
コード番号
ふっ素ポリマー含有率 %
2
≦40
4
>40
表15 データブロック3に使用する添加界面活性剤の含有量表示のための
コード文字及び含有率の範囲(ポリマーの質量百分率として計算)
コード文字 界面活性剤の最少含有率 %
A
<0.5
B
0.5≦〜<2.5
C
2.5≦〜<3.5
D
3.5≦
5.3.6
粒径 粒径は,ISO 12086-2に従って測定する。特定のふっ素ポリマーに対する粒径の測定方法は,
そのポリマーの種類による。その方法とは湿式又は乾式ふるい分け分析,電気感能帯試験方法,及び光散
乱方法である。この規格及びISO 12086-2に詳しい方法が示されているが,同等の測定結果を示す自動計
測又はその他の計測方法があれば代わりの方法として承認するものとする。コード文字及び範囲を表16
に示す。
13
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表16 データブロック3に使用する粒径 (50%) 表示のためのコード番号及び範囲
コード番号
粒径 μm
0
<
10
1
10≦〜< 125
2
125≦〜< 250
3
250≦〜< 350
4
350≦〜< 500
5
500≦〜< 710
6
710≦〜< 1 000
7
1 000≦
5.3.7
かさ密度 かさ密度は,ISO 12086-2に示した方法で測定するものとする。コード番号及びかさ密
度範囲を表17に表示する。
表17 データブロック3に使用するかさ密度表示のためのコード番号及び範囲
コード番号
かさ密度 g/l
1
<500
2
500≦〜<800
3
800≦
5.3.8
粉末流れ時間 粉末流れ時間の測定は,ISO 12086-2による。コード番号及び時間の範囲を表18
に表示する。
表18 データブロック3に使用する粉末流れ時間のコード番号及び範囲
コード番号
粉末流れ時間 s
0
不適切な試験
1
<10
2
10≦〜<20
3
20≦
5.3.9
押出圧力 押出圧力は,ISO 12086-2に規定する試験方法で測定する。コード番号及び圧力値の範
囲を表19に示す。
表19 データブロック3に使用する押出圧力表示のためのコード番号
及び圧力範囲[縮少比 (RR) 400 : 1で測定]
コード番号
押出圧力 MPa
1
<15
2
15≦〜<35
3
35≦
5.3.10 汚染 汚染物に関する仕様は,売手と購買者の間で協定を結ぶのもよい。
5.4
データブロック4
− ふっ素ポリマーの添加剤としての充てん材及び強化材料の種類
− 添加剤の物理的形状
この二つの項目は,ISO 12086-2に規定する記号でコードする。表20のものは,代表的添加物のタイプ
及び形態の情報コードのリストである。添加物含有量は,材料記号と“−”で分離し,数字で呼び質量含
有率を表す。
数種類の材料の混合物,材料の形態(粉末,繊維,等々),又はその両方を表示するには情報コード符号
を“+”で結んで示す。
14
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表20 データブロック4に使用する充てん材及び強化材料の表示コード文字
コード文字
材料
コード文字
形態/構造
B
ほう素
B
ビーズ,スフェア,ボール
C
炭素
C
チップ,カッティング
C1
コークス
D
粉末
C2
局部黒鉛化炭素
F
繊維
C−G
黒鉛
G
磨砕物
E
クレイ(粘土)
H
ウィスカ
G
ガラス
K
編み物
K
炭酸カルシウム
L
レイヤー(層)
M
鉱物,金属
M
マット(厚物)
M1
アルミナ(磐土,酸化アルミニウム)
N
不織布及び薄物
M2
青銅(砲金)
P
紙
M3
ふっ化カルシウム
S
ロービング
M4
二硫化モリブデン
T
スケール,フレーク
M5
ステンレス鋼
V
ひも
P
雲母
W
合板
Q
シリカ
X
特に指定せず
R
アラミド
Y
糸
S
合成物,有機物
Z
その他
S−X
Xはフィラーを使用したポリマーの省略コード
T
タルク
X
適当な文字コードがない場合
Z1
原料メーカーの工場内回収材料
Z2
加工メーカーの再生材料
Z3
最終需要家の使用済み材料
5.5
データブロック5 このデータブロックの役目は分類に加え,ふっ素ポリマー材料の仕様の作成のた
めにある。前述したようにこのデータブロック体系の一般論として,これは特殊な特性値,適切な国家規
格又はその両方に対応し明確に引用する。
ISO 12086-2の試験法は,特性値の仕様の作成に使用する。
この仕様特性値は,表示特性に対し限定しない。コード文字及び範囲はISO 12086-2で仕様の作成に必
要であるが分類の条件に使用しない特性値を含む。それゆえ,この規格には含まない。データブロック5
の使用に関する指針のための考察及び事例は7.で示す。
5.6
ふっ素ポリマーの表示特性
5.6.1
全ふっ素ポリマーに適用する表示特性
備考7. 個々のポリマーには,通常表示特性として5.6.1.1〜5.6.1.4に表記した中から唯一の特性だけが
選ばれる。例外として機械的特性だけは複数の特性が,附属書A又は附属書Bの中から選ば
れる。
5.6.1.1
転移温度,℃
溶融ピーク温度,Tm(結晶性ポリマーに対して)
ガラス転移温度,Tg(無定形ポリマーに対して)
5.6.1.2
相対分子量
メルトマスフローレート (MFR),g/10min.(はん用熱可塑性プラスチック及びPTFEを添加した
材料に対して適用)
標準比重 (SSG) [PTFE(添加用PTFEを除く。)材料に対し適用]
15
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ゼロ強度時間 (ZST) ,秒(PCTFEだけに適用)
5.6.1.3
機械的特性
引張降伏応力,MPa(PVDF及びそのコポリマーに対して適用)
引張破壊応力(引張強さ),MPa(その他のふっ素ポリマーに対して適用)
引張破壊伸び,%
引張弾性率,MPa(PVDF及びそのコポリマーに対して適用)
5.6.1.4
密度,g/cm3
5.6.2
個別のふっ素ポリマーに適用される表示特性
5.6.2.1
ディスパージョン
5.6.2.1.1
ディスパージョン中のポリマーをディスパージョンの質量含有率として表す。
5.6.2.1.2
ディスパージョン中の界面活性剤は,ポリマーの質量含有率として表す。
5.6.2.2
PTFE及び関連ポリマーは,通常代表的な押出成形,射出成形などでは加工できない。PTFEディ
スパージョンから分離したポリマーについては,5.6.2.2.1の要求事項を含む。
5.6.2.2.1
5.6.1に記している全特性。5.6.1.2では標準比重 (SSG) を用いる。
5.6.2.2.2
PTFE粉末については粒子又はかたまりの寸法
5.6.2.2.3
PTFEの粉末に対してはかさ密度
5.6.2.2.4
PTFEの粉末には粉末流れ特性
5.6.2.2.5
PTFE乳化ポリマーには押出圧力
5.6.2.3
はん用熱可塑性ふっ素ポリマー はん用熱可塑性ふっ素ポリマーには,5.6.1に表記してある全特
性が求められる。5.6.1.2ではメルトフローレートを用いる[PCTFEには例外でゼロ強度時間 (ZST) を使
用する。]。
6. 分類の表示例
はん用型成形用材料及び押出用材料としてのETFEふっ素材料
分類:熱可塑性プラスチック,ISO 12086-ETFE-K, GG1N, Y.5B5. B. H. . , , ,
16
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分類の詳細な説明
7. ふっ素ポリマーの仕様 データブロック5は,分類を仕様に変換するために用意している。データブ
ロック5を利用する好ましい四つの方法について,それぞれの手順を例を挙げて概説する。
仕様に必要な情報を提供するその他の体系も利用できる。
7.1
分類を仕様に変換するにはデータブロック3中の特性に対応するコードの前に,アステリスク“*”
を付けるとともに,更に仕様の範囲を決めることを表示するためには5.3の約束と異なりデータブロック5
に“*”で示す。
仕様を規定するために1個以上の特性を選ぶ。
例 仕様限界とセル限界が等しいことが,仕様の部分として望ましい。それぞれの指定特性は,望ま
しい分類及び仕様を提供する。
PVDFホモポリマー,懸濁ポリマー,押出し用標準品,自然色のか粒の状態で販売,次の特性を
もつ。
− 溶融点は170〜180℃の間
− MFRは試験温度230℃,試験荷重49.03N (5kgf) の条件で5〜10g/10min.
17
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− 引張降伏応力は50〜55MPa
− 引張破壊伸びは50〜100%
− 引張弾性率は2 000〜3 000MPa
− 密度は1.7g/cm3〜1.8g/cm3
このポリマーの分類及び仕様は,次のとおりである。
ISO 12086-PVDF-S, EGN, *Q. *6E5. *I. *B. *F. *C,, *. *. *. *. *. *
参考 上記特性をもつポリマーは,ASTM D 3222に従えばタイプII PVDFと記述される。
7.2
分類をデータブロック5によって仕様に変えるために,この規格のリスト又はISO 12086-2から一つ
の特性を選び,直接又はセルの表を使用して必要な数値を提供する。セル表中に与えられている数値が仕
様目的に満足できない場合がある。このような場合を表示するには,データブロック3の数値に対応する
コード番号文字及び仕様向けの数値範囲を示す場所に疑問符“?”を使用し,データブロック5の対応す
る位置に丸括弧中で示す。
例 VDF/HFPランダムコポリマー,押出成形標準品,自然色のか粒状態で販売
− 溶融点は130〜140℃
− MFRは試験温度230℃,試験荷重49.03N (5kgf) の条件で4〜8g/10min.
− 引張降伏応力は15〜20MPa
− 引張破壊伸びは600〜800%
− 引張弾性率は500MPa以下
− 密度は1.7g/cm3〜1.8g/cm3
これらの特性のうち2個は特別に必要である。すなわち,500MPa以下の引張弾性率で示され
る高い柔軟性(たわみ性)及び4〜8の間のMFR値である。今現在この要求事項に適合する材料
を含む一般的に承認された規格はない。その結果,既存の規格を参照して仕様を作ることはでき
ない。
このポリマーの分類及び仕様は,次のとおりである。
ISO 12086-VDF/HFP-R, EGN, M. ?E5. B. K. *A. C,, ? (4-8) . *
7.3
分類を仕様に変換するのにデータブロック5の7.1及び7.2に規定している手順と参考に規定の
ASTM規格を引用して併用する。
例 7.1に挙げた例に類似の材料で,追加要求としてMFRが指定条件下で4-6g/10min. と規定する。
分類及び仕様は,次のとおりである。
ISO 12086-PVDF-S, EGN, Q. ?CE. I. B. F. C,, ASTM D 3222-91a. IOI. ? (4-6)
参考 ASTM規格を引用したデータブロック5の使用によって分類を仕様に変換する方法。データブ
ロック5の使用は,表21に示した一般的書式を基本にしている。
附属書Dには広く使用されているふっ素ポリマーのASTM標準仕様書のリストが含まれて
いる。これは7.3.1及び7.3.2の体系が仕様に使うために選ばれたとき引用できる。
7.3.1
例としてASTM規格仕様を使って,PTFE樹脂の仕様を作る。
表21 データブロック5における仕様
18
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データブロック5に “ASTM D 4895-91a.16C” と記載することは,ポリテトラフルオロエチレンを基本
にした一種のエマルジョンポリマーを使用する。この規格には型,等級及び級に対しすべての性質がリス
トに成っていて,適切な特性,表,又はその両方が表記されている。
終止符“.”は標準番号と型の間の分離コードとして使用する。分離コードは,型,等級及び級の間には
必要ない。ローマ数字,アラビア数字及び大文字など “Form and Style for ASTM Standards 8th Edition.” のB
8.1に規定しているからである。
ゼロ “0” は,等級に該当する仕様がない場合型及び級のコードの間に置く。“特殊備考”の条項は他の
情報が要求に応じて供給できることを包含する。
特殊備考を用いるときは,終止符を前に置く。
7.3.2
PVDFを例としてASTM標準仕様書を利用する場合
7.1で述べたPVDF材料の仕様は,次のとおりである。
ISO 12086-PVDF-S, EGN, Q.6E5. I. B. F. C,, ASTM D 3222-91a. IOI
8. 包装及び表示
8.1
包装 材料は,標準商用容器に包装する。契約書又は注文書に特に規定がなければ,一般の運送業
者によって配達地まで安全輸送して受領されるように造られた容器が使われる。
8.2
表示 出荷コンテナーには,材料名,タイプ及び容量を表示しなければならない。
参考 すべてのこん包,包装及びASTM D 3892に規定の表示をこの仕様に適用すべきである。
参考 試料採取 材料は,ASTM D 1898に従って試料採取すべきである。適切な統計的試料採取方法
があれば代替方法として承認すべきである。
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K 6935-1-1996 (ISO 12086-1 : 1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A(規定) 各種一般的ふっ素ポリマーの表示特性
この規定は,附属書表A.1及び附属書表A.2に包含している材料に特別に関係したものであるが,これ
らに限定されるものではない。Xは,表示特性として使用されることを示す。
附属書表A.1 ポリテトラフルオロエチレン (PTFE) 1)
S
E
SS
Z
F
D
熱的特性
融解ピーク温度
X
X
X
X
X
X
ガラス転移温度
相対分子質量
SSG
X
X
X
MFR(3コード,値,温度,荷重)
X
ZST
機械的特性
引張強さ
X
X
試験片の厚さ
X
引張破壊伸び %
X
X
ディスパージョン
ポリマー含有率
X
界面活性剤含有率
X
粒径
X
X
X
X
X
かさ密度
X
X
X
X
粉末流れ性
X
X
押出圧力
X
注1) 幾つかの国で使用
S
(懸濁ポリマー材料)は,か粒PTFEとして知られる。
E
(乳化ポリマー材料)は,CD又はFP(ファインパウダー)と
して知られる。
SS (懸濁ポリマーの予備焼結品)として知られる。
D
(ディスパージョン)は,エマルジョンとして知られる。
F
(添加剤樹脂)微粉末又はL(潤滑粉末)と称するものを含む。
本体表1のコード文字を参照
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K 6935-1-1996 (ISO 12086-1 : 1995)
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附属書表A.2 はん用熱可塑性ポリマー
AF
グループI
グループII
PFA
ECTFE
FEP
VDF/TFE/HFP
EFEP VDF/TFE
ETFE
PVDF
VDF/HFP
VDF/CTFE
PCTFE
PVF
熱的特性
溶融ピーク温度
X
X
X
X
ガラス転移温度
X
相対分子量
SSG
MFR
(3記号使用−数値,
温度,荷重)
X
X
X
X
ZST
X
機械的特性1)
降伏応力
X
引張強さ
X
X
X
X
破壊伸び
X
X
X
X
X
引張弾性率
X
密度1)
X
X
X
X
X
ディスパージョン2)
ポリマー含有率
X
X
X
界面活性剤含有率
X
X
X
粒径3)
X
X
X
X
注1) はん用熱可塑性ふっ素ポリマーのペレットだけに適用。
2) はん用熱可塑性ふっ素ポリマーのディスパージョンだけに適用。
3) はん用熱可塑性ふっ素ポリマーの粉末だけに適用。
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附属書B(規定) JIS K 6935-1 (ISO 12086-1) のコード番号,
ISO 12086-2の試験方法のための一般的ふっ素
ポリマーの種類及び表示特性に関する相互参照表
この規定は,主に次の材料に関連したものではあるが,これらに限定したものではない。
ISO 12086-1
ISO 12086-2
表番号
試験方法参照項目
PTFE-S
ポリテトラフルオロエチレン懸濁ポリマー粉末
溶融ピーク温度
3
8.3.3
標準比重 (SSG)
4
10.6
引張強さ
9
8.2.2
試験片厚さ
12
破壊伸び
10
8.2.2
粒径
湿式ふるい分析
16
8.6
乾式ふるい分析
16
8.6
かさ密度
17
10.3
粉末流れ時間
18
10.5
PTFE-E
ポリテトラフルオロエチレン乳化ポリマー
溶融ピーク温度
3
8.3.3
標準比重 (SSG)
4
10.6
引張強さ
9
8.2.2
破壊伸び
10
8.2.2
乾式ふるい分析による粒径
16
8.6
かさ密度
17
10.3
押出圧力
19
10.4
PTFE-SS
ポリテトラフルオロエチレン予備焼成材料
溶融ピーク温度
3
8.3.3
乾式ふるい分析による粒径
16
8.6
粉末流れ時間
18
10.5
かさ密度
17
10.3
PTFE-Z
再加工ポリテトラフルオロエチレン粉末
溶融ピーク温度
3
8.3.3
乾式ふるい分析による粒径
16
8.6
PTFE-F
ポリテトラフルオロエチレン添加用樹脂
溶融ピーク温度
3
8.3.3
メルトマスフローレート
5
11.2
電気抵抗バリエーションテスターによる粒径
16
8.6.3
PTFE-D
ポリテトラフルオロエチレンデイスパージョン
溶融ピーク温度
3
8.3.3
標準比重 (SSG)
4
10.6
ディスパージョン中のポリマー含有率
14, 15
9.5
ディスパージョン中の界面活性剤含有率
14, 15
9.5
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K 6935-1-1996 (ISO 12086-1 : 1995)
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ISO 12086-1
ISO 12086-2
表番号
試験方法参照項目
TFE/PDD-AF
テトラフルオロエチレンパーフルオロジオキソールコポリマー
(非晶性ふっ素ポリマー)
ガラス転移温度
3
8.3.3
引張特性1)
9〜12
8.2.2
密度
13
8.4
ディスパージョン中のポリマー含有率2)
14, 15
9.5
ディスパージョン中の界面活性剤含有率2)
14, 15
9.5
粒径3)
16
8.6
はん用熱可塑性ふっ素ポリマー……グループI
PFA
パーフルオロアルコキシアルカン
FEP
パーフルオロエチレンプロペンコポリマー
ETFE
エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー
E/TFE/HFP
エチレン−パーフルオロエチレンプロペンコポリマー
(EFEP)
VDF/TFE
ふっ化ビニリデン−テトラフルオロエチレンコポリマー
VDF/TFE/HFP
ふっ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフル
オロプロペンコポリマー
ECTFE
エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー
溶融ピーク温度
3
8.3.3
メルトマスフローレート
(3コード:数値,温度,荷重)
5
11.2
引張強さ1)
9
8.2.2
破壊伸び
10
8.2.2
密度1)
13
10.6
ディスパージョン中のポリマー含有率2)
14, 15
9.5
ディスパージョン中の界面活性剤含有率2)
14, 15
9.5
粒径3)
16
8.6
はん用熱可塑性ふっ素ポリマー……グループII
PVDF
ポリふっ化ビニリデン
VDF/HFP
ふっ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロペンコポリマー
VDF/CTFE
ふっ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー
融解ピーク温度
3
8.3.3
メルトマスフローレート
(3コード:数値,温度,荷重)
5
11.2
引張降伏応力1)
9
8.2.2
破壊伸び1)
10
8.2.2
引張弾性率
11
8.2.2
密度1)
13
10.6
ディスパージョン中のポリマー含有率2)
14, 15
9.5
ディスパージョン中の界面活性剤含有率2)
14, 15
9.5
粒径3)
16
8.6.3
PVF
ポリふっ化ビニル
溶融ピーク温度
3
8.3.3
メルトマスフローレート
(3コード:数値,温度,荷重)
5
11.2
引張強さ
9
8.2.2
破壊伸び
10
8.2.2
密度1)
13
8.4
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K 6935-1-1996 (ISO 12086-1 : 1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ISO 12086-1
ISO 12086-2
表番号
試験方法参照項目
PCTFE
ポリクロロトリフルオロエチレン
溶融ピーク温度
3
8.3.3
ゼロ強度時間
8
12.3
引張強さ
9
8.2.2
破壊伸び
10
8.2.2
密度1)
13
8.4
粒径3)
16
8.6
注1) はん用熱可塑性ふっ素ポリマーのペレットだけに適用。
2) はん用熱可塑性ふっ素ポリマーのディスパージョンだけに適用。
3) はん用熱可塑性ふっ素ポリマーの粉末だけに適用。
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K 6935-1-1996 (ISO 12086-1 : 1995)
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附属書C(参考) ふっ素ポリマー族
ふっ素ポリマー族には,フルオロカーボン樹脂(ふっ素及び炭素だけからなるモノマー;パーフルオロ
モノマーから製造される)及びH,C1又は別のふっ素以外の原子が炭素鎖中の原子の幾つかに結合したそ
の他のふっ素ポリマーがある。ふっ素ポリマーを作るための主要なフルオロモノマーには,テトラフルオ
ロエチレン (TFE) ,ふっ化ビニリデン (VDF) ,及びクロロトリフルオロエチレン (CTFE) などがある。
コモノマーとしては,パーフルオロ(アルキルビニルエーテル) (PAVE) 及びヘキサフルオロプロペン
(HFP) が,主要モノマーの組合せ組成と同様にパーフルオロコモノマーが使用される。エチレンは重要な
コモノマーである。
フルオロポリマーは,少量の異なるフルオロモノマーで変成できる。変成モノマーの許容限界量は,本
体1.2に提案している。
TFE, VDF及びCTFEを基礎にした材料の,分子鎖中の支配的繰り返し単位は,それぞれ次のとおりであ
る。
主鎖に沿って乱雑に分布している製品には,コモノマーが1又は数個使われている。
例外としてTFE又はCTFEとエチレンを原料にした材料は,通常次に示す代替コポリマーで,FやCl
などのハロゲン原子は,“X”で示している。どのハロゲン原子が選ばれるかは,どのふっ素モノマーが使
われるかによる。
市販のETFE重合体は,本体1.2に規定する限界の5%以内の少量の追加のコモノマーを含んでいる。
この規格が含むふっ素ポリマーのすべては,正式に熱可塑性プラスチックポリマーとして分類される。
大多数の材料,特にPTFEの溶融粘度は極めて高く,一般の熱可塑性プラスチックの手順では処理できな
くて,特殊加工技術が必要である。
他のふっ素ポリマー及びコポリマーは,通常の熱可塑性プラスチックと同様に溶融した状態で通常の手
順で加工される。
はん用熱可塑性ふっ素ポリマー材料は,ペレット,粉末,ディスパージョンとして供給される。指定及
び表示特性のリストは,材料の形状の種類によって特性を選ぶべきことを示している。
PFAフルオロカーボン材料は,下に示したような構造でテトラフルオロエチレン (TFE) とパーフルオロ
プロピルビニルエーテル又は他のPAVEの長鎖コポリマーである。
分子鎖中の繰り返し単位は,
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K 6935-1-1996 (ISO 12086-1 : 1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
FEPフルオロカーボン材料は,テトラフルオロエチレン (TFE) とヘキサフルオロプロペンの長鎖コポリ
マーである。分子鎖中の繰り返し単位は,
非フルオロカーボン系モノマーから製造したふっ素ポリマーの例は,ポリ(ふっ化ビニリデン−ヘキサ
フルオロプロペン)のコポリマーである。
ふっ素ポリマーディスパージョンは,長鎖合成ふっ素ポリマーのコロイド状粒子群である。あるふっ素
ポリマーは,PTFEと定義されながら,重合中に1%より少ないふっ化オレフィンによって変性することが
できる。ISO 12000では,プラスチック/ゴム−ポリマーディスパージョン及びゴムラテックス(天然及
び合成)−この形の材料の定義をし,一般的試験方法の再検討をしている。ディスパージョンは1〜2種類
の界面活性剤を加えると安定化する。ディスパージョン中に含有する基本ふっ素ポリマー及び界面活性剤
に対して,ふっ素ポリマー10 質量%以下のその他の非ふっ素ポリマーの添加によって,特別の目的に供せ
られる材料を造ることができる。
備考8. ディスパージョンは,しばしばエマルジョン又はラテックスと呼ばれているが,一方,TFE
による重合系は公式なエマルジョンポリマーとはいえない。従来この材料については“懸濁
系”が適切である。
ふっ素ポリマーは,結晶性,半結晶性又は無定形の状態で存在するが,同時に二つ以上の状態が存在す
るふっ素ポリマーを造れる可能性は少ない。それぞれのふっ素ポリマーが,それぞれ主要熱転移の型を示
すことは重要である。
結晶性,半結晶性ポリマーには,明確な溶融吸熱ピーク温度がある。半結晶性ポリマーは,ガラス転移
温度及び結晶形状に対するそれぞれの異なる溶融ピーク温度を示す可能性がある。
ガラス転移温度は,溶融ピーク温度よりはるかに低い。したがって,一般に半結晶性材料の表示特性は,
溶融ピーク温度に代表される。
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K 6935-1-1996 (ISO 12086-1 : 1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書D(参考) ふっ素ポリマーの標準仕様
ASTM D 1430-91a
Specification for polychlorotrifluoroethylene (PCTFE) plastics.
ASTM D 1457-91a
Specification for PTFE molding and extrusion materials.
ASTM D 2116-91a
Specification for FEP fluorocarbon molding and extrusion materials.
ASTM D 3159-91a
Specification for modified ETFE fluoropolymer molding and extrusion materials.
ASTM D 3222-91a
Specification for unmodified poly (vinylidene fluoride) (PVDF) molding, extrusion, and
coating materials.
ASTM D 3275-91a
Specification for E−CTFE fluoroplastic molding, extrusion and coating materials.
ASTM D 3307-93
Specification for PFA fluorocarbon molding and extrusion materials.
ASTM D 4441-91b
Specification for aqueous dispersions of polytetrafluoroethylene.
ASTM D 4894-91a
Specification for polytetrafluoroethylene (PTFE) granular molding and ram extrusion
materials.
ASTM D 4895-91a
Specification for polytetrafluoroethylene (PTFE) resins produced from dispersion.
ASTM D 5275-95
Specification for fluoropolymer micropowders.
BS 6564
Part 1 : Section 1.1 : 1989, Polytetrafluoroethylene (PTFE) materials and products−Part 1 :
Polytetrafluoroethylene powders for moulding and extrusion−Section 1.1 : Specification.
BS 6564
Part 1 : Section 1.2 : 1989, Polytetrafluoroethylene (PTFE) materials and products−Part 1 :
Polytetrafluoroethylene powders for moulding and extrusion−Section 1.2 : Method of
specifying.
BS 7485 : 1991
Method of specifying aqueous dispersions of polytetrafluoroethylene (PTFE) materials.
JIS K 6896 : 1974
Polytetrafluoroethylene powder for molding and extrusion materials.
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K 6935-1-1996 (ISO 12086-1 : 1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書E(参考) ISO 12086-2の試験方法リスト
参照項目
ぜい化温度
························································· 12.1
かさ密度
························································· 10.3
ディスパージョンの凝析物
························································· 9.4
摩擦係数
························································· 12.2
荷重たわみ温度
························································· 8.3.1
密度
························································· 8.4
誘電率
························································· 8.1.1
絶縁耐力
························································· 8.1.2
誘電正接
························································· 8.1.1
電気特性
························································· 8.1
誘電率及び誘電正接
························································· 8.1.1
絶縁耐力
························································· 8.1.2
表面抵抗
························································· 8.1.3
押出圧力
························································· 10.4
ガラス転移温度
························································· 8.3.2
衝撃特性
························································· 8.2.1
酸素指数
························································· 8.5
機械的特性
························································· 8.2
メルトフローレート
························································· 11.2
溶融ピーク温度
························································· 8.3.3
曲げ弾性率
························································· 8.2.3
粒径
························································· 8.6
ディスパージョン中のポリマー含有率及び界面
活性剤含有率
························································· 9.5
ディスパージョンのpH値
························································· 9.7
粉末流れ時間
························································· 10.5
相対密度(密度の項参照のこと)
························································· 8.4
比重(密度の項参照のこと)
························································· 8.4
標準比重 (SSG),拡張比重 (ESG),熱不安定指
数 (TII)
························································· 10.6
延伸空げき(隙)指数 (SVI)
························································· 10.7
表面抵抗
························································· 8.1.3
引張特性
························································· 8.2.2
転移温度
························································· 8.3
ゼロ強度時間
························································· 12.3
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附属書F(参考) JIS K 6935-1 (ISO 12086-1) を
使用するに当たって簡単な指示
F.1 通則 この規格は,慣例的な5個のデータブロック様式によるISOの分類及び仕様の体系をふっ素ポ
リマーに適用したものである。この体系の詳細な記載事項をこの規格の中で述べている。この附属書は,
使用者が速やかにふっ素ポリマーの分類及び仕様を読み取る手助けとなるよう工夫してある。ある種の特
殊ふっ素ポリマーに対する情報は,情報コード文字及び数字を用いて,5個のデータブロックで包含でき
る。この体系の概要を次に示す。
データブロック1 ふっ素ポリマーの名前の略語は本体4.に掲げている。データブロック1に本体表1の
情報コードに示すふっ素ポリマーの情報を表示する。
データブロック2 使用する情報コードは,本体表2にある。位置1にはふっ素ポリマーに勧めている用
途又は加工方法に関する情報を与える。本体表2の情報コードの位置2〜8に,ふっ素ポリマーの特殊な特
性の仕様を示す。
データブロック3 分類に用いる。一つの分類はふっ素ポリマーの主要特性を記述する。各ポリマーの種
類に対し,表示特性として数種類の特性が選ばれる。これらはふっ素ポリマーの種類が異なれば,選ばれ
る特性も異なる。
特性は,この規格の第2部:ISO 12086-2に記載の試験方法によって測定する。
各種類のふっ素ポリマーの表示特性のリストは,附属書A及び附属書Bに記している。
一定のポリマーに対し,まず附属書A又は附属書Bを参照して,表示特性表及び求められる情報コード
の複数の位置を探す。データブロック3に含まれる本体表3〜表19に規定している同じ順序にある情報コ
ードは,附属書A又は附属書Bにある。
終止符(フルストップ又はピリオド) (.) で一つの位置内での情報コードで分離する。
追加符号(*及び?)は特に分類から仕様に変換する場合に使用する。この特徴の概要は,次に述べるデ
ータブロック5で検討する。
データブロック4 ふっ素ポリマーの充てん材又は強化材料の品質等級表示に使う。添加剤の種類及び添
加量の表示には表20に規定の情報コードを用いる。
データブロック5 分類を仕様に変換する目的に使用する。この変換の詳細は本体7.に詳しく述べる。変
換を行うには四つの方法がある。本体7.に各方法の例を掲げ次に概要を述べる。
a) 1個のセルに対し1個のコードを対応させるのに限界があるとき,仕様の範囲の限界と同様で,デー
タブロック3の情報コードの前に (*) 符号を,データブロック5に繰り返し (*) を置く。
b) データブロック3のセルの数値が限られているために仕様が適正でないとき,データブロック3の特
性コードは疑問符 (?) で置き換え,データブロック5で繰り返し使用する。疑問符の後に特性の仕様
に要求される値が続く。
c) 現行ASTMで指定しているポリマーに対しては,この規格のデータブロック5で直接参照できる。
d) 上述のa),b),c)の特徴を組み合わせる。
e) 規定の分類及び仕様の解読方法
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K 6935-1-1996 (ISO 12086-1 : 1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
F.2 規定の表示分類及び仕様の解読方法
備考9. データブロック同士はコンマ (, ) で分ける。データブロックの省略はブロックの終わりにコ
ンマを置くこと,分離符号(コンマ,)を二つ使用することになる。
a) データブロック1に指定するふっ素ポリマーの略号は本体4.によって決める。
b) データブロック2及び本体表2規定の情報コードを使用して,用途及び加工方法,又は特別な性質を
照合する。
c) データブロック3の使用。
1) 特定のふっ素ポリマーに対しどの特性を指定するかは,附属書A又は附属書Bに規定の表の中から
決められる。
2) 表示特性の数値は本体表3〜表19規定の情報コードと説明によって決定する。
d) データブロック4が使用されるなら,本体表20の情報コードを使用して,いかなる添加剤及び濃度も
識別する。
e) データブロック5の存在は,分類を四つの方法の中の一つを使用して仕様に変換することを示してい
る。この附属書の概要及び本体7.に掲げている例で詳細に討議する。
関連規格:ASTM D 1430-91a, Specification for polychlorotrifluoroethylene (PCTFE) plastics.
ASTM D 1600-93, Terminology for abbreviated terms relating to plastics.
ASTM D 3222-91a, Specification for unmodified poly (vinylidene fluoride) (PVDF) molding, extrusion,
and coating materials.
ASTM D 3418-83 (1988) , Test method for transition temperatures of polymers by thermal analysis.
ASTM D 3892-93, Plactice for packaging/packing of plastics.
ASTM D 4591-93a, Test method for determining temperatures and heats of transitions of
fluoropolymers by differential scanning calorimetry.
ASTM D 4895-91a, Specification for polytetrafluoroethylene (PTFE) resins produced from dispersion.
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K 6935-1-1996 (ISO 12086-1 : 1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS K 6935-1原案作成委員会及び分科会 構成表
氏名
所属
(委員長)
◎
植 村 勝
立教大学
◎
増 田 優
通商産業省基礎産業局化学製品課
◎
岡 林 哲 夫
工業技術繊維化学規格課
◎
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会技術部国際整合化規格室
◎ ○ 高 畠 栄 治
日東電工株式会社エンプラ部材事業部門開発センター
◎ ○ 北 川 澄 男
中興化成株式会社営業本部
◎ ○ 下 田 裕
ニチアス株式会社ふっ素樹脂事業部
◎ ○ 中 川 哲
日本バルカー工業株式会社技術管理部
◎ ○ 両 角 三 春
旭硝子株式会社機能商品開発センター
◎ ○ 菅 原 秀 一
呉羽化学工業株式会社合成樹脂部
◎ ○ 浅 野 興 三
ダイキン工業株式会社樹脂応用研究部
◎ ○ 斎 藤 善 孝
三井・デュポンフロロケミカル株式会社営業本部技術サービス
グループ
○ 岩 瀬 進
元デュポンジャパン
○ 磯 田 武
日本弗素樹脂工業会
(事務局)
◎ ○ 濱 島 俊 行
日本プラスチック工業連盟
備考 ◎:原案作成委員会,○:分科会