2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 6929-1-1996
(ISO 4597-1 : 1983)
プラスチック−エポキシ樹脂用
硬化剤及び促進剤−
第1部:指定分類
Plastics−Hardeners and accelerators for epoxide resins−
Part 1 : Designation
日本工業規格としてのまえがき
この規格は1983年発行されたISO 4597-1 (Plastics−Hardeners and accelerators for epoxide resins−Part 1 :
Designation) を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で下線(点線)を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲 この規格 (ISO 4597-1 : 1983) は,エポキシ樹脂用硬化剤及び促進剤の指定分類及びこの表
示の方法について規定する。
この規格の目的は,製品についてその性状に一連の数値を割り当て,これらの製品についてコード化さ
れた情報を提供することである。
このことによって,同じ性状をもち,同じ用途に使用される製品は,すべて同じ指定分類で表示される。
製造業者がデータシートにこの指定分類を記入することで,使用者は,この指定分類で製品を選択する際
の基準にすることができる。
2. 引用規格
ISO 3219 : 1977 Plastics−Polymers in the liquid, emulsified or dispersed state−Determination of
viscosity with a rotational viscometer working at defined shear rate
参考 JIS K 7117-1987(液状の樹脂の回転粘度計による粘度試験方法)が,この国際規格と一致し
ている。
3. 指定分類の体系 硬化剤及び促進剤の指定分類は,スペースで区切られた,四組の2けたの数字を横
一列に並べて表示される。左端の組から三組目までは主要な性状を示し,左端の組から四組目(右端)の
組は二次的な性状を示す。
− 2けたの数字で表される四つの組は,それぞれ表に示された四種の性状に対応する。
− 2けたの数字で表される四組の並びの順位で,各組の置かれる位置(表では,列順位I〜IVなどが
対応)は,それぞれに対応する性状を示す。
− 指定分類で,四組の2けたの数値はクラス(01,02,03,その他)を示し,表に示される特定の組
2
K 6929-1-1996 (ISO 4597-1 : 1983)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
成又は特定の性状に対応する。
参考1. 実際には,クラスの組合せがすべて存在するわけではないし,製品の指定分類によって表示
されるクラスが,表中,横の行の並びで偶然一致することもある。
2. V及びVIの性状で,製品がどのクラスになるかを決定するときに用いられる値は,製造業で
一般に用いられるデータシートに記載された平均値である。
製品を製造するとき,この製品の,性状の変動は避けられない。このため,指定分類によ
って,性状が,特定な性状を表示するクラスに分類された製品について,この性状を個別に
測定すると,このときの測定値は,
− 平均値が指定分類の特定な性状の下限値に近い場合は,一つ下のクラスの性状になること
があるし,
− 平均値が指定分類の特定な性状の上限値に近い場合は,一つ上のクラスの性状になること
がある。
4. エポキシ樹脂用硬化剤及び促進剤の指定分類 前節で述べた指定分類の体系に従って,製品はスペー
スで区切られた,四組の2けたの数字によって表示される(表参照)。
− 2けたの数字で表される左端の組(表の列順位I及びIIに対応)は,化学種を表示する。
− 2けたの数字で表される左端の組から二組目の組(表の列順位III及びIVに対応)は,変性剤及び
溶剤を表示する。
− 2けたの数字で表される左端の組から三組目の組(表の列順位Vに対応)は,製品の粘度を表示す
る。
− 2けたの数字で表される右端の組(表の列順位VIに対応)は,添加剤を表示する。
例 指定分類が06 12 02 00で表示される硬化剤又は促進剤は,変性脂環式ポリアミンで,促進剤及び
溶剤を含み,粘度が0.25〜1Pa・sである。添加剤については特定されない。
参考 製造業者は,技術資料に硬化剤及び促進剤の指定分類を記載することで,指定分類で特定され
る性状の実測値や,製造上及び測定上の許容差の記載を省略できるわけではない。
5. 特殊な性状 特殊な性状は,この指定分類には適用されないため,特殊な性状が必要な場合は,実測
値で示し,関連するISO試験法を引用する。
3
K 6929-1-1996 (ISO 4597-1 : 1983)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表
列順位
I及びII
III及びIV
V
VI
主要な性状
二次的な性状
化学種
有機変性剤又は溶剤(1)
粘度(2)
23℃
γ=10s−1
添加剤
Pa・s
クラス
00
特定されない
特定されない
特定されない
特定されない
0l
未変性脂肪族ポリアミン
なし
≦0.25
なし
02
変性脂肪族ポリアミン
反応性試剤
>0.25〜1
フィラー
03
未変性芳香族ポリアミン
非反応性試剤
>1〜5
有機又は無機着色剤
04
変性芳香族ポリアミン
溶剤
>5〜15
フィラー及び着色剤
05
未変性脂環式ポリアミン
促進剤
液体>15
乳化剤
06
変性脂環式ポリアミン
溶剤を含む反応性試剤
半固形
07
未変性ポリアミノアミド
促進剤を含む反応性試剤
固形
08
変性ポリアミノアミド
溶剤及び促進剤を含む反応性試剤
チキソトロピー
09
アミン系硬化剤の混合物
溶剤を含む非反応性試剤
10
第三アミン
促進剤を含む非反応性試剤
11
溶剤及び促進剤を含む非反応性試剤
12
溶剤を含む促進剤
20
アミン誘導体とホルムアルデヒドの
縮合体(尿素ホルムアルデヒド,メ
ラミンホルムアルデヒド,その他)
31
未変性脂肪酸と酸無水物
32
未変性脂環式酸と酸無水物
33
未変性芳香族酸と酸無水物
34
変性酸と酸無水物
35
ハロゲン化酸無水物及び酸
40
ヒドラジド誘導体
41
ジシアンジアミドとその誘導体
42
ボロンハライド錯体
43
有機金属錯体
44
オニウム塩類
46
ポリチオール
47
フェノールホルムアルデヒド縮合体
48
フェノールとその誘導体
49
水酸基をもつ他の化合物
50
イソシアネート
51
ブロックイソシアネート
60
ケチミン
70
イミダゾールとその誘導体
注(1) 化学種及び有機変性剤は,2けたの数字で表示される。クラス1は01,クラス2は02などと表示する。
(2) テスト方法ISO 3219は,規定のせん(剪)断速度での回転粘度計によって測定するものであるが,国際規格
に示される他の粘度計も同じ結果が得られるものであれば使用できる。
4
K 6929-1-1996 (ISO 4597-1 : 1983)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS K 6929-1 原案調査作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
○ 垣 内 弘
横浜国立大学(名誉教授)垣内技術研究所
増 田 優
通商産業省基礎産業局
岡 林 哲 夫
工業技術院標準部
○ 宮 入 裕 夫
東京医科歯科大学医用器財研究所
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
○ 永 瀬 利 平
ソマール株式会社
○ 北 村 卓
大日本インキ化学工業株式会社
○ 久戸瀬 極
ダウ・ケミカル日本株式会社
○ 武 田 恭 幸
東都化成株式会社
○ 村 田 保 幸
油化シェルエポキシ株式会社
○ 原 田 平
三井石油化学工業株式会社
○ 高 橋 秦
旭チバ株式会社
○ 秋 本 耕 司
旭電化工業株式会社
○ 神 尾 邦 政
住友化学工業株式会社
○ 浜 口 昌 宏
日本化薬株式会社
○ 山 村 宜 民
ヘンケル白水株式会社
◎ 北 原 正 友
富士化成工業株式会社
○ 伊 藤 達 郎
エポキシ樹脂技術協会
(事務局)
○ 田 村 正 勝
日本プラスチック工業連盟
備考 ○印は国際整合化JIS(翻訳)作成分科会委員,
◎印は同分科会幹事