K 6927-2 : 1997 (ISO 4894-2 : 1995)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS K 6727 : 1996は改正され,この規格に置き換えられる。
今回の改正は,従来の日本工業規格を国際規格に整合させるために,ISO 4894-2 : 1995を基礎として用
いた。
JIS K 6927-2 : 1997には,次に示す附属書がある。
附属書A(規定) 連続相中の結合アクリロニトリル含有率の求め方
附属書(規定) アクリロニトリル・スチレン樹脂(AS樹脂)試験方法
参考 附属書は,従来のJIS K 6875 : 1995に一致しており,国際規格を日本工業規格に導入するため
の経過処置として添付する。
JIS K 6927 : 1997は,一般名称を“プラスチック−スチレン/アクリロニトリル (SAN) 成形用及び押出
用材料”として,次の各部によって構成する。
第1部:呼び方
(Part 1 : Designation system and basis for specifications)
第2部:試験片の作り方及び諸性質の求め方
(Part 2 : Preparation of test specimens and determination of properties)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 6927-2 : 1997
(ISO 4894-2 : 1995)
プラスチック−スチレン/アクリロニ
トリル (SAN) 成形用及び押出用材料−
第2部:試験片の作り方及び諸性質の求め方
Plastics−Styrene/acrylonitrile (SAN) moulding and extrusion materials−
Part 2 : Preparation of test specimens and determination of properties
序文 この規格は,1995年に第2版として発行されたISO 4894-2, Plastics- Styrene/acrylonitrile (SAN)
moulding and extrusion materials−Part 2 : Preparation of test specimens and determination of propertiesを元に作
成した日本工業規格であり,附属書(規定)を除いて,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく
作成している。
附属書(規定)には,従来のJIS K 6875 : 1995で規定していたアクリロニトリル・スチレン樹脂の試験
方法について規定した。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にない事項である。
1. 適用範囲
1.1
この規格は,成形用及び押出用SAN材料の試験片の作り方及び諸性質の求め方について規定する。
この規格では,試験材料の取扱い及び成形前の試験材料と試験前の試験片の状態調節についての要求事項
を規定する。
この規格は,試験片を作る手順と条件,及び成形された試験片を用いて,その材料の諸性質を測定する
手順を示す。成形用及び押出用SAN材料の特徴を知るための適切,かつ,必要な諸性質の試験方法を表に
示す。
諸性質は,JIS K 7140に規定する一般的試験方法から選んだ。これら成形用及び押出用材料に対して広
範囲に使われている試験方法及び特殊で重要な他の試験方法,並びにJIS K 6927-1に規定する区分用の性
質も,この規格に含む。
再現性があり,他と比較できる試験結果を得るためには,ここに規定する試験片の作り方,状態調節方
法,試験片寸法及び試験手順を採用する。
寸法の異なる試験片及び異なった手順で得られた試験結果は,必ずしも一致するとは限らない。
附属書(規定)は,2001年3月31日まで適用する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発効年(又は発行年)を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの
規格の規定を構成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。
JIS C 2134 : 1996 湿潤状態での固体電気絶縁材料の比較トラッキング指数及び保証トラッキング指
2
K 6927-2 : 1997 (ISO 4894-2 : 1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
数を決定する試験方法
備考 IEC 112 : 1979, Method for determining comparative and the proof tracking indices of solid
insulating materials under moist conditionsが,この規格と一致している。
JIS K 6927-1 : 1997 プラスチック−スチレン/アクリロニトリル (SAN) 成形用及び押出用材料−第
1部:呼び方
備考 ISO 4894-1 : 1995, Plastics−Styrene/acrylonitrile (SAN) moulding and extrusion materials−Part 1 :
Designation system and basis for specificationsが,この規格と一致している。
JIS K 7111 : 1996 プラスチック−シャルピー衝撃強さの試験方法
備考 ISO 179 : 1993, Plastics−Determination of Charpy impact strength of rigid materialsが,この規格
と同等である。
JIS K 7139 : 1996 プラスチック−多目的試験片
備考 ISO 3167 : 1993, Plastics−Preparation and use of multipurpose test specimensが,この規格と一致
している。
JIS K 7140 : 1995 プラスチック−比較可能なシングルポイントデータの取得と提示
備考 ISO 10350 : 1993, Plastics−Acquisition and presentation of comparable single-point dataが,この
規格と一致している。
JIS K 7151 : 1995 プラスチック−熱可塑性プラスチック材料の圧縮成形試験片
備考 ISO 293 : 1986, Plastics−Compression moulding test specimens of thermoplastic materialsが,この
規格と一致している。
JIS K 7152 : 1995 プラスチック−熱可塑性プラスチック材料の射出成形試験片
備考 ISO 294 : 1995, Plastics−Injection moulding test specimens of thermoplastic materialsが,この規
格と一致している。
JIS K 7160 : 1996 プラスチック−引張衝撃強さの試験方法
備考 ISO 8256 : 1990, Plastics−Determination of tensile-impact strengthが,この規格と一致している。
JIS K 7161 : 1994 プラスチック−引張特性の試験方法 第1部:通則
備考 ISO 527-1 : 1993, Plastics−Determination of tensile properties−Part 1 : General principlesが,この
規格と一致している。
JIS K 7162 : 1994 プラスチック−引張特性の試験方法 第2部:型成形,押出成形及び注型プラスチ
ックの試験条件
備考 ISO 527-2 : 1993, Plastics−Determination of tensile properties−Part 2 : Test conditions for
moulding and extrusion plasticsが,この規格と一致している。
JIS K 7171 : 1994 プラスチック−曲げ特性の試験方法
備考 ISO 178 : 1993, Plastics−Determination of flexural propertiesが,この規格と一致している。
JIS K 7191-1 : 1996 プラスチック−荷重たわみ温度の試験方法−第1部:通則
備考 ISO 75-1 : 1993, Plastics−Determination of temperature of deflection under load−Part 1 : General
test methodが,この規格と一致している。
JIS K 7191-2 : 1996 プラスチック−荷重たわみ温度の試験方法−第2部:プラスチック及びエボナイ
ト
備考 ISO 75-2 : 1993, Plastics−Determination of temperature of deflection under load−Part 2 : Plastics
and eboniteが,この規格と一致している。
3
K 6927-2 : 1997 (ISO 4894-2 : 1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ISO 62 : 1980, Plastics−Determination of water absorption
ISO 291 : 1977, Plastics−Standard atmospheres for conditioning and testing
ISO 306 : 1994, Plastics−Thermoplastic materials−Determination of Vicat softening temperature
(VST)
ISO/DIS 527-4 : 1993, Plastics−Determination of tensile properties−Part 4 : Test conditions for
isotropic and orthotropic long glass fiber-reinforced plastics
ISO 899-1 : 1994, Plastics−Determination of creep behaviour−Part 1 : Tensile creep
ISO 1133 : 1991, Plastics−Determination of the melt mass-flow rate (MFR) and the melt
volume-flow rate (MVR) of thermoplastics
ISO 1183 : 1987, Plastics−Methods for determining the density and relative density of noncellular
plastics
ISO 1210 : 1993, Plastics−Determination of the burning behaviour of horizontal and vertical
specimens in contact with a small flame ignition source
ISO 1656 : 1988, Rubber, raw natural, and rubber latex, natural−Determination of nitrogen content
ISO 2561 : 1974, Plastics−Determination of residual styrene monomer in polystyrene by gas
chromatography
ISO 2818 : 1994, Plastics−Preparation of test specimens by machining
ISO 4581 : 1994, Plastics−Styrene/acrylonitrile copolymers−Determination of residual acrylonitrile
monomer content−Gas chromatography method
ISO 4589-2 : 1996, Plastics−Determination of burning behaviour by oxygen index−Part 2 :
Ambient-temperature test
ISO/DIS 4589-3, Plastics−Determination of burning behaviour by oxygen index−Part 3 : Elevated
temperature test
IEC 93 : 1980, Methods of test for volume resistivity and surface resistivity of solid electrical
insulating materials
IEC 243-1 : 1988, Methods of test for electric strength of solid insulating materials−Part 1 : Tests at
power frequencies
IEC 250 : 1969, Recommended methods for the determination of the permittivity and dielectric
dissipation factor of electrical insulating materials at power, audio and radio frequencies
including metre wavelength
IEC 296 : 1982, Specification for unused mineral insulating oils for transformers and switch gear
IEC 1006 : 1991, Methods of test for the determination of the glass transition temperature of
electrical insulating materials
3. 試験片の作り方 試験片は,射出成形又は圧縮成形によって作るものとする。
試験片の成形方法は,表4及び表5の中に,それぞれの試験方法に対して次のコードで示す。
− コード M:射出成形
− コード Q:圧縮成形
すべての試験片は,それぞれの成形方法について次に示す同一の成形条件で作る。
3.1
成形前の材料の取扱い 成形の前に,試料の水分率が,0.2% (m/m) を超えてはならない。
4
K 6927-2 : 1997 (ISO 4894-2 : 1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
水分率が,上記の限界を超える場合は,その材料は,80℃±3℃で3h±0.5h乾燥する。乾燥後,再度試
料の水分量を調べる。
3.2
射出成形 射出成形試験片は,JIS K 7152に従い,表1に規定する条件で作る。
表1 試験片の射出成形条件
材料
溶融温度
℃
金型温度
℃
平均射出速度
mm/s
全銘柄
240
60
200±100
3.3
圧縮成形 圧縮成形シートはJIS K 7151に従い,表2に規定する条件で作る。
表2 試験片の圧縮成形条件
材料
成形温度
℃
平均冷却速度
℃/min
成形品取出温度
℃
全圧
MPa
加圧時間
min
予熱時間
min
全銘柄
200
10
≦60
4±0.5
5±1
5±1
諸性質の測定に必要な試験片は,ISO 2818に従って切削するか又は打ち抜く。
4. 試験片の状態調節 試験片は,ISO 291に従って23℃±2℃, (50±5) %RHの条件下で,少なくとも
16時間状態調節しなければならない。
5. 諸性質の求め方 諸性質の求め方及びデータの提示は,JIS K 7140に規定する規格,補足説明及び備
考に従う。
すべての試験は,以下の表に特に規定がなければ,23℃±2℃, (50±5) %RHの標準状態で行う。
表3に,JIS K 7140に規定するものの中から,成形用及び押出用スチレン/アクリロニトリル材料に適
切な性質を記載した。これらの性質は,他の熱可塑性プラスチックのデータと比較するのに有用である。
表4には,表3に記載していない性質で,成形用及び押出用スチレン/アクリロニトリル材料を特徴づ
けるのに重要な性質又は一般に広く用いられている性質を記載する。
表3 一般的性質及びその試験条件(JIS K 7140から抜粋)
性質
単位
規格
試験片のタイプ
及び寸法
mm
試験片
の
作り方
試験条件及び補足説明
レオロジー的性質
メルトマスフローレイト
(MFR)
g/10min
ISO 1133
成形材料
−
試験温度 220℃
試験加重 98.07N
メルトボリュームフローレ
イト
(MVR)
cm3/10min
機械的性質
引張弾性率
MPa
JIS K 7161
(ISO 527-1)
JIS K 7162
(ISO 527-2)
及び
ISO 527-4
JIS K 7139
(ISO 3167)
M
試験速度1 mm/min
引張破壊応力
試験速度5 mm/min
引張破壊ひずみ
%
引張クリープ弾性率
MPa
ISO 899-1
JIS K 7139
(ISO 3167)
M
1時間
ひずみ
≦0.5%
1 000時間
5
K 6927-2 : 1997 (ISO 4894-2 : 1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
性質
単位
規格
試験片のタイプ
及び寸法
mm
試験片
の
作り方
試験条件及び補足説明
曲げ弾性率
MPa
JIS K 7171
(ISO 178)
JIS K 7139
(ISO 3167)
M
試験速度2 mm/min
曲げ強さ
MPa
JIS K 7171
(ISO 178)
JIS K 7139
(ISO 3167)
M
試験速度2 mm/min
シャルピー衝撃強さ
(ノッチ付き)
kJ/m2
JIS K 7111
(ISO 179)
80×10×4
V−ノッチ r=0.25
M
方法1eA
(エッジワイズ衝撃)
シャルピー衝撃強さ
(ノッチなし)
kJ/m2
JIS K 7111
(ISO 179)
80×10×4
M
方法1eU
(エッジワイズ衝撃)
引張衝撃強さ
(ノッチ付き)
kJ/m2
JIS K 7160
(ISO 8256)
80×10×4
ダブルV−ノッチ
r=1
M
ノッチ付きシャルピー
試験で破壊しなかった
場合だけに適用する。
熱的性質
ガラス転移温度
℃
IEC 1006
成形材料
−
A法(DSC又はDTA)
20℃/min
荷重たわみ温度
℃
JIS K 7191-1
(ISO 75-1)
JIS K 7191-2
(ISO 75-2)
110×10×4
又は
80×10×4
M
0.45MPa
及び
1.8MPa
ビカット軟化温度
℃
ISO 306
10×10×4
M
昇温速度 50℃/h
荷重 50N
燃焼性
mm/min
ISO 1210
125×13×3
M
A法:試験片の
水平燃焼速度
着火性
%
ISO 4589
80×10×4
M
手順A−上面着火
電気的性質
比誘電率
−
IEC 250
≧80×≧80×1
Q
周波数:100Hz及び
1MHz,電極のエッジの
影響を補償する。
誘電正接
体積抵抗率
Ω・m
IEC 93
Q
電圧100V
表面抵抗率
Ω
耐電圧
kV/mm
IEC 243-1
≧80×≧80×1
Q
25mm/75mmの同軸シ
リンダー形の電極を使
用する。
IEC 296の変圧器油に
浸せきする。短時間試
験法(迅速昇圧法)を
使用する。
≧80×≧80×3
M
耐トラッキング性
−
JIS C 2134
(IEC 112)
≧15×≧15×4
M
溶液Aを使用する。
その他の性質
吸水率
%
ISO 62
50×50×3
又はφ50×3
M
23℃の水中に24時間
浸せきする。
%
厚さ≦1
Q
23℃の水中での飽和値
%
Q
23℃,50%RHでの飽和
値
密度
kg/m3
ISO 1183
10×10×4
M
射出成形試験片からサ
ンプルを採取する。
M:射出成形
Q:圧縮成形
6
K 6927-2 : 1997 (ISO 4894-2 : 1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表4 成形用及び押出用SANに特に有用な追加の諸性質及び試験条件
性質
単位
規格
試験片のタイプ
及び寸法
mm
試験片
の
作り方
試験条件及び補足説明
残留スチレンモノマー含有
率
%
ISO 2561
成形材料
−
−
残留アクリロニトリルモノ
マー含有率
%
ISO 4581
成形材料
−
−
結合アクリロニトリル含有
率
%
−
成形材料
−
(附属書A参照)
7
K 6927-2 : 1997 (ISO 4894-2 : 1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A(規定) 連続相中の結合アクリロニトリル含有率の求め方
A.1 原理 連続相中の非結合樹脂は,分散したエラストメリック相から分離し,この樹脂中の窒素含有
率を求め,そして連続相のアクリロニトリル含有率を計算する。
A.2 操作手順
A.2.1 n-ヘキサンを用いた予備抽出 乾燥した粒状物(およそ3mm×3mm×3mm)をn-ヘキサンを用い
てソクスレー装置の中で約80時間抽出する。この時間内に酸化防止剤や潤滑剤などの添加剤は取り除かれ
る。
残留物を少なくとも2時間,60℃真空下で乾燥する。
A.2.2 アセトンを用いた抽出 A.2.1で得られた残留物1.2gをアセトン50cm3を用い,24時間室温で時折
かくはんしながら抽出する。不溶残留物を含む分散溶液を遠心分離(20 000rev/minで約40分)して,樹
脂溶液を分離する。
アセトンを用いて数回,残留物を抽出して,遠心分離で分離する。
アセトン抽出物はすべての非結合樹脂を含有している。それを10倍の容量の−10℃のメタノールに注い
で沈殿させる。
60℃真空下で沈殿した樹脂を乾燥する。
A.2.3 アクリロニトリル含有率 沈殿した樹脂の窒素含有率を求める。
ISO 1656に規定されたケルダール−セミミクロ法で,次の式を使用して窒素含有率からアクリロニトリ
ル含有率を計算する。
AN=3.79N
ここに,
AN: アクリロニトリル含有率,質量百分率で表示
N: 窒素含有率,質量百分率で表示
3.79: アクリロニトリル (C2H3CN) と窒素の相対分子量の比率
備考1. アクリロニトリル含有率は,別途,熱分解/熱伝導度法によって求めてもよい。
8
K 6927-2 : 1997 (ISO 4894-2 : 1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書(規定) アクリロニトリル・スチレン樹脂
(AS樹脂)試験方法
Testing methods for AS resins
まえがき この附属書は,国際規格を日本工業規格に導入するため,経過措置として添付するが2001
年3月31日まで適用する。
参考 この附属書は,従来の日本工業規格JIS K 6875 : 1995に一致している。
1. 適用範囲 この附属書は,アクリロニトリル・スチレン樹脂(以下,AS樹脂という。)の試験方法に
ついて規定する。
なお,AS樹脂にブルーイング剤,酸化防止剤,滑剤及び重合助剤を添加したもの,着色品種,光安定
品種,帯電防止品種,難燃品種,充てん材配合品種などの特殊な品種にも適用する。
参考 この規格では,SANと呼んでいる。
備考1. この附属書の引用規格を,次に示す。
JIS K 6900-1994 プラスチック−用語
JIS K 7100-1981 プラスチックの状態調節及び試験場所の標準状態
JIS K 7110-1984 硬質プラスチックのアイゾット衝撃試験方法
JIS K 7112-1980 プラスチックの密度と比重の測定方法
JIS K 7113-1995 プラスチックの引張試験方法
JIS K 7202-1995 プラスチックのロックウェル硬さ試験方法
JIS K 7203-1995 硬質プラスチックの曲げ試験方法
JIS K 7206-1961 熱可塑性プラスチックのビカット軟化温度試験方法
JIS K 7207-1995 硬質プラスチックの荷重たわみ温度試験方法
JIS K 7210-1995 熱可塑性プラスチックの流れ試験方法
2. この附属書の対応国際規格を,次に示す。
ISO 4894/2 Plastics−Styrene/acrylonitrile (SAN) copolymer moulding and extrusion materials−
Part 2 : Determination of properties
2. 用語の定義 この附属書で用いる主な用語の定義は,JIS K 6900による。
3. 試験項目 試験項目は,次のとおりとする。
(1) メルトフローレート
(2) 比重及び密度
(3) 引張試験
(4) 曲げ試験
(5) アイゾット衝撃試験
(6) ロックウェル硬さ試験
(7) ビカット軟化温度試験
9
K 6927-2 : 1997 (ISO 4894-2 : 1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(8) 荷重たわみ温度試験
4. 試験の一般条件 試験の一般条件は,次のとおりとする。
(1) 試料の予備乾燥 試験片の成形及びメルトフローレートの測定に用いる試料は,予備乾燥(1)を行う。
注(1) 一般的な乾燥条件は,80℃で4時間とする。
なお,成形材料の種類によっては乾燥条件が若干異なることがある。この場合,材料メーカ
ーの指定する条件による。
また,予備乾燥後,再吸湿するおそれのある場合は,デシケーター中などで保存する。
(2) 試験片の作製 試験片は,規定の形状及び寸法になるように射出成形若しくは圧縮成形によって作製
するか,又は射出成形,若しくは圧縮成形したシートから,規定の形状・寸法になるように切り取る
か,打ち抜くか,又は切削加工(2)によって作製する。
注(2) 切削加工するときは,その切削熱などによって材料の性質が変化しないよう十分注意しなけれ
ばならない。
(3) アニーリング アニーリングは行わない。
なお,荷重たわみ温度試験については,必要があれば,当事者間の協定によってアニーリングを行
う。
(4) 試験片の状態調節 試験片は,成形後速やかにJIS K 7100の標準温度状態2級及び標準湿度状態2級
[温度23±2℃及び相対湿度 (50±5) %]において,16時間以上状態調節する。
なお,ビカット軟化温度及び荷重たわみ温度試験に用いる試験片は,成形後速やかにJIS K 7100の
標準温度状態2級(温度23±2℃)の雰囲気下に置かれたデシケーター中に入れ,16時間以上状態調
節する。
(5) 試験場所の標準状態 引張試験,曲げ試験,アイゾット衝撃試験及びロックウェル硬さ試験は,(4)と
同じ温度及び湿度[温度23±2℃及び相対湿度 (50±5) %]の室内で行う。
5. 試験方法 試験方法は,次のとおりとする。
なお,試験条件が複数規定されている場合は,試験結果にその条件を付記する。
(1) メルトフローレート メルトフローレートの試験は,JIS K 7210によって行う。この場合,標準試験
条件は,JIS K 7210の表1の条件11(試験温度220℃,試験荷重98.07N)とする。
なお,試験温度200℃,試験荷重49.03Nを用いてもよい。
(2) 比重及び密度 比重及び密度の測定は,JIS K 7112によって行う。この場合,水の温度は23±0.5℃と
する。
(3) 引張試験 引張試験は,JIS K 7113によって行う。この場合,試験片は,1号形を用い,厚さ4±0.2mm
とし,試験速度は,速度C(毎分5mm±20%)とする。
(4) 曲げ試験 曲げ試験は,JIS K 7203によって行う。この場合,試験片は,標準寸法[幅10±0.5mm,
高さ (h) 4±0.2mm,長さ80mm以上],支点間距離 (L) は68±0.5mm (=17h) ,試験速度 (V) は毎分
2mm±10%とする。
(5) アイゾット衝撃試験 アイゾット衝撃試験は,JIS K 7110によって行う。この場合,標準試験片寸法
は,1号A(長さ80±2mm,厚さ10.0±0.1mm,幅4.0±0.2mm)とする。
なお,2号A(長さ64±2mm,厚さ12.7±0.1mm,幅2〜13mm)を用いてもよい。
(6) ロックウェル硬さ試験 ロックウェル硬さ試験は,JIS K 7202によって行う。スケールは,Mスケー
10
K 6927-2 : 1997 (ISO 4894-2 : 1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ルとする。
(7) ビカット軟化温度試験 ビカット軟化温度試験は,JIS K 7206によって行う。この場合,試験片に加
える試験荷重はB法の49.03〜49.52N,昇温速度は毎時50±5℃とする。
(8) 荷重たわみ温度試験 荷重たわみ温度試験は,JIS K 7207によって行う。この場合,試験片は標準寸
法(幅4.0±0.2mm,高さ10.0±0.2mm,長さ110mm以上)で,曲げ応力はA法 (1.81MPa) を用いる。
6. 報告 報告には必要に応じて,次の事項を記入する。
(1) 試験した試料の名称,種類又はその記号
(2) 試料の形態
(3) 試験項目
(4) 試験片の種類,形式及び寸法
(5) 試験片の成形方法,成形条件及びその他の作製条件
(6) 試験片の状態調節条件並びに試験場所の温度及び湿度
(7) 試験条件及び試験片の数
(8) 試験結果
(9) 試験年月日及び試験場所
(10) その他必要とする事項
関連規格 JIS K 6871 ポリスチレン試験方法
JIS K 6874 ABS樹脂試験方法
JIS Z 8203 国際単位系 (SI) 及びその使い方
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K 6927-2 : 1997 (ISO 4894-2 : 1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS K 6927-1, -2 (SAN) 原案作成委員会 構成表
本委員会
分科会
氏名
所属
◎
植 村 勝
工学院大学講師
○
大 嶋 清 治
工業技術院標準部
○
増 田 優
通商産業省基礎産業局
○
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
○
塚 野 隆
財団法人高分子素材センター
○
本 橋 健 司
建設省建築研究所
○
吉 川 高 雄
財団法人鉄道総合技術研究所
○
高 杉 知 徳
株式会社東芝映像メディア事業本部
○
狩 野 佐登視
富士重工業株式会社スバル開発本部
○
西 山 浩
日本ポリエチレン製品工業連合会
○
伊 藤 治 之
日本ポリオレフィンフィルム工業組合
○
鈴 木 照 彦
東燃化学株式会社千鳥工場
○
久 米 和 男
出光石油化学株式会社樹脂研究所
○
石 本 亮 治
三井・デュポンポリケミカル株式会社テクニカルセンター
○
横 山 昭
三井石油化学工業株式会社環境保安品質保証部
○
○
雨 宮 英 夫
三井東圧化学株式会社樹脂事業本部
○
瀬 沼 昭 高
日本ユニカー株式会社樹脂技術研究所
○
○
佐 藤 裕 之
大日本インキ化学工業株式会社石油化学技術本部
○
岡 島 修
旭化成工業株式会社技術センター
○
服 部 靖 郎
旭化成工業株式会社樹脂技術センター
○
石 橋 正 雄
三井東圧化学株式会社大阪工業所
○
江 沢 洋
三井東圧化学株式会社樹脂事業部
○
飯 尾 恵 司
三井東圧化学株式会社樹脂事業部
(事務局) 濱 島 俊 行
日本プラスチック工業連盟
◎は,委員長を示す。